JP3629151B2 - 通信内容記録装置及び通信内容記録方法 - Google Patents

通信内容記録装置及び通信内容記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信回線を利用して送信される音声データ等の通信内容を記録する通信内容記録装置及び通信内容記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀行、証券等の金融関係、通信販売などのテレマーケッティング、あるいは、競馬等の公共事業において、電話回線を利用して取引を行うことがある。このような場合、通話内容を、取引内容の確認あるいは証拠として記録しておくことが要求される。このため従来より、通話の当事者に影響を与えることなく通話内容を記録する通信内容記録装置が利用されている。
【0003】
この種の通信内容記録装置では、既存の通信システムの動作に影響を与えることなく通信内容を記録するため、例えば特開平5−234247号公報に開示されているように、電話回線上の信号レベルやオフフック/オンフックを監視することで、通話記録の開始及び停止を制御している。
【0004】
ところで、近年のデジタル技術の発達により、電話、データ等の異なったサービスを同一のデジタル交換機とデジタルパスを用いて接続することが可能な通信網としてISDN(Integrated Services Digital Network)が普及しつつある。ISDNは、情報をデジタル化して伝送させるため、アナログ回線に比べ信号の劣化が少なく、高速な通信が可能である。
【0005】
ここで、ISDNについて簡単に説明する。
ISDNは、呼制御情報などの制御情報を伝送する信号チャンネル(Dチャンネル)と、ユーザ情報を伝送する情報チャンネル(Bチャンネル)とを備えている。ISDNのインターフェースとしては、1つのDチャンネルおよび2つのBチャンネルからなる基本インターフェース(BRI:Basic Rate Interface)と、複数のBチャンネルおよびDチャンネルからなる一次群速度インターフェース(PRI:Primary Rate Interface)の2種類がある。
【0006】
また、ISDNのユーザ・網インターフェース(Iインターフェース)では、通信端末装置とISDNとの接続条件について、レイヤ1〜レイヤ3を規定している。レイヤ1〜レイヤ3は、ISOが定めた開放型システム相互間接続(OSI:Open System Interconnection)の7レイヤモデルに準拠しており、通信網の制御に関連する物理層、データリンク層、ネットワーク層の低レイヤに基づいている。これにより、多種多様な通信機器間での通信を可能にしている。
【0007】
レイヤ1は、情報チャンネル及び信号チャンネルに適用され、通信端末装置をデジタル回線終端装置(DSU:Digital Service Unit)に接続するための電気的・物理的条件を規定している。具体的には、配線構成、フレーム構成、伝送路符号、信号チャンネルアクセス制御、フレーム同期、電気的特性および給電条件等を規定している。
【0008】
レイヤ2は、通信端末装置およびISDN間において、信号チャンネルを介して送受される情報の転送を実現するための情報伝送の管理について規定している。これは、LAPD(Link Access Procedure on the D−channel)と呼ばれる。レイヤ2にしたがって、通信端末装置およびISDN間でリンクが確立することにより、後述するレイヤ3上で情報チャンネルの呼を確立することが可能となる。
【0009】
具体的には、フレームフォーマット、フレーム種別、情報伝送の手順および端末終端点識別子(TEI:Terminal Endpoint Identifier)管理手順等を規定している。フレームフォーマットには、レイヤ3の情報の転送を行うための情報フレーム、情報フレームの送達確認、再送要求等を行うための監視フレーム、モード設定・切断および確認型情報転送等を行うための非番号制フレームがある。
【0010】
図6は、ISDNにおけるLAPDフレームを説明するための模式図である。
LAPDのプロトコルを用いたフレームは、図6に示すように、フラグ(0111110)により挟まれた中に、アドレス部、制御部(シーケンス番号を含む)、情報部、フレームチェックシーケンス部とを備えた構成となっている。
【0011】
レイヤ3は、レイヤ2のリンクが確立したのちに、通信端末装置間で伝送される情報チャンネル上の情報について規定している。具体的には、情報フォーマットの内容、回線交換呼の制御手段、パケット通信手順等を規定している。レイヤ1及びレイヤ2により、ISDN(デジタル通信網)と通信端末装置の間の回線接続とリンクが確立し、レイヤ3により、ISDNを介して通信端末装置間の呼が確立する。
【0012】
レイヤ3において、情報フレームにより、呼制御を指示するメッセージなどが転送される。呼制御を指示するメッセージには、呼を確立するための呼設定、呼設定受付、呼出、応答および応答確認、呼を解放するための切断、解放および解放完了などがある。
【0013】
次に、ISDNで用いられるフレームフォーマットについて説明する。
情報フレームには、送信シーケンス番号及び受信シーケンス番号が付される。これらのシーケンス番号は、送信したとき、又は、受信したときに、番号が1つずつ増加する。送信シーケンス番号及び受信シーケンス番号は、「0」から「127」までの数値を繰り返して用いるモジュロ(mod)128(例えば、0,1,2,…126,127,0,1,2,…)である。例えば、最初に送信した情報フレームは、送信シーケンス番号が「0」であり、2番目に送信した情報フレームは、送信シーケンス番号が「1」である。このとき、受信側では、まだ情報フレームを受信していない場合は受信シーケンス番号が「0」であり、情報フレームを受信すると受信シーケンス番号が「1」となる。
【0014】
監視フレームには、情報フレームが一定時間発生しなかったときに、相手側に対して、受信したフレームの数(次に受信すべきフレームの送信シーケンス番号)を通知する受信可(RR:Receive Ready)、受信したフレームの送信シーケンス番号から、伝送エラー等により受信できなかったフレームを検出し、受信できなかったフレームの送信シーケンス番号を用いて再度送信するように通知するリジェクト(REJ:reject)等のフレームがある。
【0015】
非番号制フレームには、非同期平衡モード設定(SAMBE:Set Asynchronous Balanced Mode Extended)、非番号制情報(UI:Unnumbered Information)、切断(DISC:Disconnect)、非番号制確認(UA:Unnumbered Acknowledgement)等のフレームがある。
【0016】
次に、ISDNを利用した従来の通信システムについて説明する。
図7は、ISDNを利用した従来の通信システムの概略構成を示す模式図である。
図7に示するように、通信システム701において、通信端末装置703は、インターフェースの役割を果たすDSU704を介してISDN702に接続されている。DSU704は、通信端末装置703とISDN702とを物理的に接続するための制御を行う。
【0017】
通信端末装置703は、受信部705、LAPD受信処理部706、送信部707、LAPD送信処理部708、レイヤ3プロトコル処理部709、情報チャンネル上のデータを処理する情報チャンネル処理部710とを備えている。
【0018】
受信部705は、DSU704を介してISDN702から送信されてくる情報(データ)を受信する。そして、信号チャンネル上のデータをLAPD受信処理部706に出力するとともに、情報チャンネル上のデータを情報チャンネル処理部710に出力する。
【0019】
LAPD受信処理部706は、信号チャンネル上のLAPDフレームから、フレームフォーマット、フレーム種別、情報伝送手順等を取得して、信号チャンネルを介して送受される情報の管理を行う。
【0020】
なお、LAPD受信処理部706は、LAPDフレームのフレームチェックシーケンス部によりエラー検出を行うとともに、受信したLAPDフレームの送信シーケンス番号の連続性を監視することで、LAPDフレームの欠損検出を行っている。エラーが検出された場合、あるいは、欠損があった場合、LAPD送信処理部708は、送信部707を介してISDN702に再送要求のフレームを送信する。これにより、フレーム送信側の通信端末装置703に、エラーが検出されたLAPDフレームあるいは欠損したLAPDフレームの再送を要求する。
【0021】
レイヤ3プロトコル処理部709は、自己の通信端末装置703とISDN702との通信状態を監視し、呼の確立や呼の解放等のメッセージに基づいてISDN702との通信を制御する。例えば、通信相手に情報を送信する場合、制御情報を生成し、これを情報チャンネル処理部710で生成した情報とともに送信するように、LAPD送信処理部708及び送信部707を制御する。
【0022】
このようなISDNを利用した通信システム701では、通信端末装置703とISDN702との間にて、信号チャンネル上でメッセージのやり取りを行い、情報チャンネルの呼の確立や呼の解放、あるいは、情報チャンネルの選択などを行う。これらのメッセージのやり取りに際してエラーが検出された場合には、メッセージの再送によってエラーから復帰する。
【0023】
図8は、ISDNを利用した従来の通信システムにおいて、通信端末装置がエラーフレームを受信した際の処理動作を示すフローチャートである。
図7において、ISDN702から通信端末装置703へ、または、通信端末装置703からISDN702へのデータ伝送にエラーが生じた場合、図8に示すフローチャートに基づいて処理される。
【0024】
ISDN702から通信端末装置703へデータ伝送を行う信号チャンネルの場合、まず、受信部705がLAPDフレームを受信すると(S801)、LAPD受信処理部706は、受信したLAPDフレームがエラーフレームであるか否かを判断する(S802)。受信したLAPDフレームがエラーフレームでない場合は、このLAPDフレームの内容にしたがった処理を行う(S803)。
【0025】
一方、LAPDフレームがエラーフレームである場合は、エラーフレームを廃棄する(S804)。LAPD送信処理部708は、送信部707を介して、ISDN702に再送要求のフレームを送信する(S805)。LAPD受信処理部706は、エラーフレームを受信してから再送要求が送信される間に受信した情報を無視する。再送要求を受け取ったISDN702は、再送要求により指定された情報をLAPDフレームとして再度送信する。
【0026】
なお、前述したように、LAPD受信処理部706は、受信したフレームの送信シーケンス番号の連続性を監視することで、LAPDフレーム欠損を検出している。そして、欠損があった場合、LAPD送信処理部708は、エラーフレームの場合と同様に、再送要求を送信する。通信端末装置703からISDN702へデータ伝送を行う信号チャンネルの場合も、ISDN702で同様の処理が行われる。
【0027】
このような再送制御は、ITU−TS勧告I.441(Q.921)で定められている。その他、特開平5−183644号公報、特開平7−143174号公報、特開平9−200290号公報などに開示されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の通信内容記録装置は、アナログ回線を介して行われる通話を記録するものである。前述したISDNのように、回線接続の設定などをプロトコルにより行っているデジタル通信には対応していない。すなわち、回線上の信号レベルやオフフック/オンフックを監視することで、通話記録の開始及び停止を制御する従来の通信内容記録装置では、電話やデータ通信などの種々のサービスが行われるデジタル通信において、音声データなどの通信データを確実に記録するように制御することが困難である。
【0029】
また、前述したように、ISDNでは、通信端末装置間において、一方がエラーフレームを受信した場合、当該フレームを受信した通信端末装置が通信相手に対して再送要求することにより、再度、通信相手からデータを送信してもらうことが可能である。これに対し、通信内容記録装置は、前述したように、通話の当事者に影響を与えないようにするため、通信網に対して送信できないようにしてある。すなわち、通信網とのインターフェースとしては、通信網から音声データなどの通信データを受信するための受信部が設けられているのみである。
【0030】
このため、通信を行っている通信端末装置間では正常に通信を行っているが、当該通信端末装置間の通信内容を記録する通信内容記録装置において、何らかの原因によりエラーフレームを受信してしまった場合、このエラーフレームが記録開始あるいは記録終了を示すフレームである場合は、通信データを正常に記録することができないことが予測される。
【0031】
したがって、本発明は、ISDNなどのデジタル通信に対応した通信内容記録装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、エラーフレームを受信した場合やフレームに欠落が生じた場合でも、通信データを正常に記録することが可能なデジタル通信に対応した通信内容記録装置を提供することを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】
そのため本願の発明は、ISDN回線の通信網を利用した通信システムの複数の通信端末装置の間で伝送される通信内容を記録する通信内容記録装置において、一方の通信端末装置が通信網に送信する信号チャンネル及び情報チャンネルの信号を受信する端末側受信部と、通信網が前記一方の通信端末装置に送信する信号チャンネル及び情報チャンネルの信号を受信する網側受信部と、端末側受信部及び網側受信部が受信した信号チャンネルの信号からLAPDフレームを抽出する受信処理部と、端末側受信部及び網側受信部が受信した情報チャンネルの通信内容の記録を行う情報チャンネル処理部と、受信処理部で抽出されたLAPDフレームに含まれる情報チャンネルの呼の確立又は呼の解放のメッセージに基づいて情報チャンネル処理部での情報チャンネルの通信内容の記録開始又は記録停止を制御するプロトコル監視部とを備え、プロトコル監視部は、受信処理部で抽出されたLAPDフレームに含まれる応答又は応答確認メッセージに該当する呼番号の呼設定が未完了であり、且つ、呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に、情報チャンネル処理部により記録停止中であり且つ呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの通信内容の記録を開始することを特徴としている。
【0033】
また、本願の発明は、前述した通信内容記録装置において、プロトコル監視部は、受信処理部で抽出されたLAPDフレームに含まれる応答又は応答確認メッセージに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了であり、且つ、呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に、情報チャンネルが確定しているときは情報チャンネル処理部により当該情報チャンネルの通信内容の記録を開始することを特徴としている。
【0034】
また、本願の発明は、前述した通信内容記録装置において、更に端末側受信部と網側受信部が受信したLAPDフレームの連続性を監視することでLAPDフレームの欠落を検出するフレーム欠落検出手段とを備え、プロトコル監視部は、情報チャンネルの通信内容の記録を開始した後にフレーム欠落検出手段によりLAPDフレームの欠落が検出された場合にLAPDフレーム欠落検出時における情報チャンネルの記録の有無に応じて当該情報チャンネルに対する情報チャンネル処理手段での記録処理の開始または停止の制御をすることを特徴としている。
【0035】
また、本願の発明は、ISDN回線の通信網を利用した通信システムの複数の通信端末装置の間で伝送される通信内容を記録する通信内容記録方法において、一方の通信端末装置と通信網との間の信号チャンネル及び情報チャンネルで伝送される信号を受信するステップと、信号チャンネルを伝送する信号からLAPDフレームを抽出するステップと、抽出した前記LAPDフレームに含まれるメッセージが応答又は応答確認メッセージであるかを判断するステップと、応答又は応答確認メッセージのLAPDフレームを受信した場合に当該LAPDフレームに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了であるかを判断するステップと、応答又は応答確認メッセージに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了である場合に当該呼番号の呼設定メッセージが受信されていない又は呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされているかを判断するステップと、呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に当該情報チャンネルが確定しているかを判断するステップと、情報チャンネルが確定しているときは当該情報チャンネルの通信内容の記録を開始し、情報チャンネルが確定していないときは記録停止中で且つ呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの通信内容の記録を開始するステップとを備えることを特徴としている。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の通信内容記録装置の一実施例を備えた通信システムの概略構成を示す模式図である。
図1に示す通信システム101において、ISDN(デジタル通信網)102には、DSU103を介して通信端末装置104が接続されている。通信内容記録装置105は、送信機能を持たず受信機能のみを有し、DSU103と通信端末装置104との間に接続され、ISDN102と通信端末装置104間で伝送される情報チャンネルの呼の確立や呼の解放のメッセージや情報を受信し、メッセージ等のデータに基づいて、ISDN102を介して複数の通信端末装置104間で伝送される通信内容をモニタし、記録媒体等に記録する。
【0037】
ここで、本実施例では、ISDN102に、2つの通信端末装置104が接続され、それら2つの通信端末装置104間での情報のやり取りについて説明するが、それに限定されなず、そのような1対のチャンネルが複数存在してもよい。また、2つの通信端末装置104間で接続された1対のチャンネルが複数存在する場合でも、通信内容記録装置105は、それら複数チャンネルの通信内容を監視して記録することが可能である。
【0038】
図1において、通信内容記録装置105は、端末側受信部106、網側受信部107、第1フレーム受信処理部108、第2フレーム受信処理部109、第1エラーチェック受信処理部110、第2エラーチェック受信処理部111、プロトコル監視部112、フレーム連続性検出部113、情報チャンネル処理部114を備えている。
【0039】
端末側受信部106は、通信端末装置104からISDN102に送信された複数チャンネルのデータを受信し、信号チャンネルのデータを第1フレーム受信処理部108に出力し、情報チャンネルのデータを情報チャンネル処理部114に出力する。また、網側受信部107は、ISDN102から通信端末装置104に送信された複数チャンネルのデータを受信し、信号チャンネルのデータを第2フレーム受信処理部109に出力し、情報チャンネルのデータを情報チャンネル処理部114に出力する。
【0040】
第1フレーム受信処理部108及び第2フレーム受信処理部109は、端末側受信部106及び網側受信部107から入力するISDN102又は通信端末装置104から送信された信号チャンネル上のフラグを検出し、図6に示すようなLAPDフレームを第1エラーチェック受信処理部110及び第2エラーチェック受信処理部111に出力する。
【0041】
第1エラーチェック受信処理部110及び第2エラーチェック受信処理部111は、第1フレーム受信処理部108及び第2フレーム受信処理部109から入力するLAPDフレームに付加されているフレームチェックシーケンスによって、フレームエラーを検出する。そして、エラーフレームは廃棄し、エラーフレーム以外のLAPDフレームは、プロトコル監視部112に出力する。
【0042】
プロトコル監視部112は、第1エラーチェック受信処理部110及び第2エラーチェック受信処理部111から入力するフレームフォーマット、フレーム種別、情報伝送手順等に基づいてメッセージを抽出して、情報チャンネルの呼の確立又は呼の解放のメッセージにより、ISDN102と通信端末装置104との間の通信状態を監視し、ISDN102から通信端末装置104に送信したメッセージ、又は、通信端末装置104からISDN102に送信したメッセージに基づいて、後述する情報チャンネル処理部114におけるISDN102と通信端末装置104との間で情報チャンネルを伝送する通信内容の記録を制御する。
【0043】
フレーム連続性検出部113は、プロトコル監視部112が受信したLAPDフレームに基づいて、LAPDフレームに付加されている送信シーケンス番号、受信シーケンス番号を用いてフレームの欠落を検出し、フレーム間の連続性を確認し、確認した結果をプロトコル監視部112に出力する。
【0044】
情報チャンネル処理部114では、端末側受信部106及び網側受信部107から入力する情報チャンネルのデータについて一定期間データをバッファリングしてフレーム化し、プロトコル監視部112からの制御に従って、フレーム化したデータを記録もしくは廃棄(消去)する。また、プロトコル監視部112からの制御により、記録中の情報チャンネルの記録したデータを廃棄(消去)する。
【0045】
次に、図1に示す通信システムにおいて、通信内容記録装置105が接続されている通信端末装置104とISDN102との間でのレイヤ2のリンクの確立から、レイヤ3の呼の確立、呼の解放、レイヤ2のリンクの解放に至るシーケンス例について説明する。ここで、ISDN102と他の通信端末装置104の場合も同様のシーケンスにより行われ、本実施例においては、通信端末装置104とISDN102の間でのシーケンスについて説明する。
【0046】
図2は、ISDNを利用した通信システムにおけるISDNと通信端末装置間でのレイヤ2のリンクの確立からレイヤ2のリンクの解放に至るシーケンス例を示す。
図2において、ISDN102から通信端末装置104に「SABME」フレームを送信すると、通信端末装置104は、ISDN102に「UA」フレームを送信する。このことにより、信号チャンネルにおけるレイヤ2のリンクが確立し、情報伝送が可能となる。
【0047】
そして、ISDN102は、通信端末装置104に呼設定メッセージ(SETUP)を送信する。ここで、通信端末装置104は、情報フレーム等を受信したことを、情報フレーム又は「RR」フレームでISDN102に通知する。本実施例では「RR」フレームをISDN102に送信する。図2において、以下の通信端末装置104から送信する「RR」フレームの記載を省略する。
【0048】
次に、通信端末装置104は、ISDN102からの呼設定メッセージ(SETUP)を受信すると、ISDN102に対して呼設定受付メッセージ(CALL PROCEEDING)を送信する。ここで、ISDN102は、情報フレーム等を受信したことを、通信端末装置104に情報フレーム又は「RR」フレームを送信して通知する。本実施例では「RR」フレームを通信端末装置104に送信する。図2において、以下のISDN102から送信する「RR」フレームの記載を省略する。
【0049】
通信端末装置104は、ISDN102に対して呼設定受付メッセージ(CALL PROCEEDING)を送信すると共に、情報チャンネルを接続するための呼び出し中であることを知らせる呼出メッセージ(ALERTING)を、ISDN102に送信する。ISDN102が通信端末装置104からの呼設定受付メッセージ(CALL PROCEEDING)を受信することにより、ISDN102を介して通信端末装置104間で情報チャンネルが設定される。通信端末装置104は、呼び出しに応答したとき、ISDN102に対して応答メッセージ(CONNECT)を送信する。
【0050】
ISDN102は、応答メッセージ(CONNECT)を受信すると、通信端末装置104に対して応答確認メッセージ(CONNECT ACK)を送信する。このことにより、該当する情報チャンネルの呼が確立し、ISDN102を介して通信端末装置104間で情報チャンネルでの情報の通信が可能となる。
【0051】
このような情報フレームに伝送エラーが生じた場合、例えば、通信端末装置104からISDN102に対して、送信シーケンス番号「4」、「5」、「6」の情報フレームを送信し、送信シーケンス番号「5」の情報フレームが伝送エラーにより、ISDN102に受信されなかった場合、ISDN102は、通信端末装置104から送信された情報フレームの送信シーケンス番号から、受信されなかった情報フレームを検出し、その情報フレームの再送を要求する「REJ」フレームを通信端末装置104に送信する。通信端末装置104は「REJ」フレームを受信すると、要求されている送信シーケンス番号の情報フレームをISDN102に送信する。
【0052】
通信を停止する場合、通信端末装置104は、ISDN102に対して情報チャンネルの呼の解放を要求する切断メッセージ(DISCONNECT)を送信する。ISDN102が、切断メッセージ(DISCONNECT)を受信すると通信が停止し、ISDN102は、通信端末装置104に対して情報チャンネルを解放する解放メッセージ(RELEASE)を送信する。通信端末装置104は、解放メッセージ(RELEASE)を受信すると、ISDN102に対して解放完了メッセージ(RELEASE COMPLETE)を送信する。このことにより、レイヤ3上において情報チャンネルの呼が解放される。
【0053】
そして、呼が1つも存在しなくなると、ISDN102は、「DISC」フレームを通信端末装置104に対して送信すると、通信端末装置104は、ISDN102に「UA」フレームを送信する。これにより、信号チャンネルにおけるレイヤ2のリンクが解放される。
【0054】
以上のように、ISDN102を介して他の通信端末装置104との間で送受されている信号チャンネルのメッセージに基づいて、本実施例の通信内容記録装置105は、ISDN102と通信端末装置104との間の信号チャンネルを監視し、該当する情報チャンネルの情報(データ)の記録を開始する。例えば、図2の場合は、情報チャンネルの呼を確立する時に、ISDN102から通信端末装置104に対して送信される呼設定メッセージ(SETUP)を受信し、それが音声通信であるという情報を含んでいた場合には、通信端末装置104からISDN102に対して送信する応答メッセージ(CONNECT)、又は、ISDN102から通信端末装置104に対して送信される応答確認メッセージ(CONNECT ACK)を受信した時に、該当する情報チャンネルの情報(データ)の記録を開始する。
【0055】
また、情報チャンネルの呼を解放する時に、ISDN102から通信端末装置104に送信される切断メッセージ(DISCONNECT)、又は、通信端末装置104からISDN102に送信される解放メッセージ(RELEASE)、或いは、ISDN102から通信端末装置104に送信される解放完了メッセージ(RELEASE COMPLETE)を受信した時に、該当する情報チャンネルの情報(データ)の記録を停止する。
【0056】
ここで、本実施例の通信内容記録装置105が、信号チャンネル上でエラーフレームを受信した場合、ISDN102と通信端末装置104との間でやりとりされたフレームそのものがエラーフレームの場合と、接続されている環境などの影響により通信内容記録装置105に入力されたフレームだけがエラーフレームの場合がある。また、フレームを検出するフラグにエラーが発生した場合には、フレームそのものが欠落してしまう。
【0057】
しかし、通信内容記録装置105は、受信機能のみを有し、またISDN102と通信端末装置104との間の通信に影響を与えないようにするため、ISDN102及び通信端末装置104に対して、送信機能を持たない構成になっている。そのため、エラーフレームを受信したり、フレームの欠落を検出した場合でも、通信内容記録装置105から再送要求をすることができない。そのため、通信内容記録装置105に入力されたフレームだけがエラーフレームである場合、又は、フレームの欠落を検出した場合、更に、記録の開始や停止にあたるメッセージにエラーが発生した場合には、正常な記録制御ができない。
【0058】
本実施例の通信内容記録装置105は、エラーフレームの受信時に、図3に示すシーケンスに従って処理を行う。
図3は、本実施例の通信内容記録装置における処理動作を示すフローチャートである。
図3において、通信内容記録装置105は、プロトコル監視部112において、フレームの受信があると(S1)、そのフレームが非番号制フレームか否かを判断する(S2)。非番号制フレームの場合は、次のフレームの受信を待ち、非番号制フレームでない場合は、監視フレームかどうかを判断する(S3)。
【0059】
監視フレームは、ISDN102と通信端末装置104との間のレイヤ2のリンクが確立されているかを確認するためのフレームであり、相手側からの送信されたフレームを受信したことを示すRRフレーム、受信したフレームのシーケンス番号が1つ前のフレームのシーケンス番号と連続していないときに、番号が抜けたシーケンス番号のフレームを再度送信するように要求するREJフレーム等がある。
【0060】
受信したフレームが監視フレームである場合、その監視フレームがREJフレームか否かを判断する(S4)。REJフレームの場合、ISDN102又は通信端末装置104がエラーフレームを受信して再送要求を行ったものと判断し、後述するフレーム連続性確認処理(S5)で登録された欠陥フレームを解除し(S6)、次のフレームの受信を待つ。
【0061】
受信したフレームがREJフレームでない場合(S4)、後述するフレーム連続性確認処理(S5)における受信シーケンス番号の連続性に基づいて、記録開始又は記録停止の制御を行う。
【0062】
受信したフレームが、非番号制フレームでなく(S2)、また、監視フレームでない場合(S3)、レイヤ3のメッセージが含まれている情報フレームと判断し、レイヤ3に基づく記録の制御を行うレイヤ3処理を行う(S7)。
【0063】
図4は、本実施例の通信内容記録装置におけるレイヤ3処理の動作を示すフローチャートである。
図4において、レイヤ3上での処理は、レイヤ3のメッセージに付されている呼番号によって管理し制御されている。まず、図3において、受信したフレームが、非番号制フレームでなく(S2)、また、監視フレームでない場合(S3)、レイヤ3のメッセージが含まれている情報フレームと判断し、図4におけるフレームのメッセージが呼設定受付メッセージか否かを確認する(S8)。
【0064】
図4において、受信したフレームが呼設定受付メッセージの場合、その呼設定受付メッセージのフレームに該当する呼番号の呼設定メッセージがあるかを確認する(S9)。受信した呼設定受付メッセージのフレームに該当する呼番号の呼設定メッセージがある場合、それが音声通信の呼設定であるかを確認し(S10)、音声通信の呼設定である場合、該当呼番号の音声呼設定を完了して(S11)、フレーム連続性確認処理(S5)の処理を行う。音声通信以外の呼設定である場合、該当呼番号の非音声呼設定を完了して(S12)、フレーム連続性確認処理(S5)の処理を行う。
【0065】
また、受信したフレームが呼設定受付メッセージのフレームに該当する呼番号の呼設定メッセージを受信していない場合(S9)、呼設定受付メッセージ内に使用するチャンネルを示すチャンネル識別子が含まれているかを確認し(S13)、チャンネル識別子が含まれる場合には、呼設定メッセージ欠落のため、音声又は非音声を区別することができず、音声通信として呼設定を完了する(S11)。チャンネル識別子が含まれない場合には、フレーム連続性確認処理(S5)の処理を行う。
【0066】
受信したフレームのメッセージが呼設定受付メッセージでない場合(S8)、受信したフレームのメッセージが応答または応答確認メッセージかどうかを判断する(S14)。受信したフレームのメッセージが応答または応答確認メッセージの場合、応答又は応答確認メッセージに付されている呼番号の呼設定が完了しているか否かを判断する(S15)。
【0067】
応答又は応答確認メッセージに付されている呼番号の呼設定が完了している場合は、録音すべき情報(B)チャンネルが確定しているため、該当する情報(B)チャンネルに音声通信の呼設定がされているかを判断する(S16)。呼設定において音声通信であることが通知されている場合、後述するフレーム連続性確認処理(S5)における該当する情報(B)チャンネルがフレームの不連続による録音中であるか否かを判断する(S17)。
【0068】
後述するフレーム連続性確認処理(S5)における該当する情報(B)チャンネルがフレームの不連続による録音中であった場合(S17)、それまでの録音は不要なものとして廃棄する(S18)。そして、該当Bチャンネルの録音を開始する(S19)。後述するフレーム連続性確認処理(S5)における該当する情報(B)チャンネルがフレームの不連続による録音中でない場合(S17)は、該当Bチャンネルの録音を開始する(S19)。
【0069】
応答又は応答確認メッセージに付されている呼番号の呼設定が完了し(S15)、該当する情報(B)チャンネルに音声通信の呼設定がされていない場合は、フレーム連続性確認処理を行う(S5)。
【0070】
このようにすることで、応答又は応答確認メッセージの両方が欠落した場合でも、レイヤ2に基づいて録音の開始を制御することができる。また、誤って録音を開始した場合も、それまでの録音を廃棄して、正規の録音を行うことができる。
【0071】
また、受信したフレームが、呼設定メッセージでなく(S8)、応答又は応答確認メッセージ(S14)でない場合、切断、解放又は解放完了メッセージか否かを判断する(S20)。受信したフレームが切断、解放又は解放完了メッセージの場合には、該当する情報(B)チャンネルの録音を停止する(S21)。受信したフレームが切断、解放又は解放完了メッセージでない場合には、フレーム連続性確認処理を行う(S5)。
【0072】
また、受信したフレームが応答または応答確認メッセージであり(S14)、該当する呼番号の呼設定が完了していない場合は(S15)、録音すべき情報(B)チャンネルの特定ができない場合がある。そこで、応答または応答確認メッセージの該当呼番号の呼設定メッセージが受信されているか否かを確認する(S22)。呼設定メッセージを受信している場合は、音声呼設定がされているか否かを判断する(S23)。音声呼設定がされていない場合は、フレーム連続性確認処理を行う(S5)。
【0073】
応答または応答確認メッセージの該当呼番号の呼設定メッセージが受信され(S22)、音声呼設定がされている場合は(S23)、情報(B)チャンネルの変更が不可であるか否かを判断する(S24)。情報チャンネルの変更ができる場合は、すなわち情報(B)チャンネルを特定できない音声通信があることになるため、現在録音停止中で、且つ、呼設定完了により確保されていない情報(B)チャンネルの録音を開始する(S25)。情報チャンネルの変更ができない場合は、すなわち情報(B)チャンネルが確定しているため、該当する情報(B)チャンネルの録音を開始する(S19)。
【0074】
また、呼設定メッセージを受信していない場合は(S22)、音声通信かデータ通信かを区別することができず、情報(B)チャンネルの特定もできない通信があると判断し、情報(B)チャンネルの変更が不可であるか否かを判断する(S24)。情報チャンネルの変更ができる場合、すなわち情報(B)チャンネルを特定できない音声通信があることになるため、現在録音停止中で、且つ、呼設定完了により確保されていない情報(B)チャンネルの録音を開始する(S25)。情報チャンネルの変更ができない場合、すなわち情報チャンネルが確定しているため、該当する情報(B)チャンネルの録音を開始する(S19)。
【0075】
このようにすることで、音声以外の呼設定がなされている場合の録音を排除することができると共に、呼設定メッセージが欠落し、音声通信かデータ通信かの区別がつかない場合の、情報(B)チャンネルの録音漏れを防止することができる。また、呼設定受付メッセージの欠落により、使用する情報(B)チャンネルの特定ができないために生じる音声通信の録音漏れを防止することができる。
【0076】
ここまでの制御では、記録の開始時には、応答または応答確認メッセージ、停止時には、切断、解放または解放完了メッセージのうちのどれか一つのメッセージを受信しなければ、記録を制御することができない。そのため、これらのメッセージ全てが欠落してしまった場合には、記録の開始または停止が正しく行われない。すなわち、図3において、受信したフレームが非番号制フレームおよび監視フレームでなく、また、フレームのメッセージが応答または応答確認メッセージ、或いは、切断、解放または解放完了メッセージでない場合、情報(B)チャンネルの記録開始又は記録停止が行われない。
【0077】
そこで、このような場合は、シーケンス番号によるフレームの連続性を確認するフレーム連続性確認処理(S5)を行うことで、記録を制御する。
図5は、本発明の通話内容記録装置におけるフレーム連続性確認処理の処理動作を示すフローチャートである。
まず、受信したフレームの送信シーケンス番号の連続性を確認する(S26)。受信したフレームの送信シーケンス番号が欠落している場合、すなわち、送信シーケンス番号が「2」のフレームを受信した後に受信したフレームの送信シーケンス番号が「4」の場合、送信シーケンス番号「3」のフレームを欠落フレームとして登録する(S27)。
【0078】
ここで登録された欠落フレームは、図3において、再送要求のときに用いられる監視フレームのREJフレームを受信した場合(S4)、REJフレームの受信シーケンス番号にしたがって登録されている欠落フレームの登録を解除する(S6)。
【0079】
受信したフレームの送信シーケンス番号が連続している場合は(S26)、エラーフレームを受信または欠落フレームを検出しているはずの側から送信された新たなフレームを受信したとき、受信したフレームの受信シーケンス番号から、欠落フレームとして登録したフレームが受信されているか確認する(S28)。
【0080】
欠落フレームとして登録したフレームが受信された場合には、応答待ちになっている情報(B)チャンネルがあるか否かを判断し(S29)、応答待ちになっている情報(B)チャンネルがある場合、通信内容記録装置105のみが、フレームエラーまたはフレームの欠落を検出したとして、該当する情報(B)チャンネルの記録を開始し(S30)、全ての情報(B)チャンネルに対してフレームの欠落が発生していることを示すフラグを立てる(S31)。また、応答待ちになっている情報(B)チャンネルがない場合は(S29)、全ての情報(B)チャンネルに対してフレームの欠落が発生していることを示すフラグを立てる(S31)。
【0081】
エラーフレームを受信または欠落フレームを検出しているはずの側から送信された新たなフレームを受信し、受信した新たなフレームが、受信シーケンス番号から判断して欠落フレームとして登録したフレームでない場合(S28)、その新たなフレームの受信シーケンス番号−1が、既に検出している送信シーケンス番号を追い越しているかを判断する(S32)。
【0082】
受信シーケンス番号−1が既に検出している送信シーケンス番号より大きい場合、すなわち、受信シーケンス番号−1が、既に検出している送信シーケンス番号を飛び越している場合、フレームの欠落が生じたものと判断し、S29〜S31の処理を行う。
【0083】
S30において記録を開始した後に、図4に示すように、新たに受信したフレームが、応答または応答確認のメッセージのフレームの場合(S14)、フレームの欠落検出により開始した記録中か否かを判断し(S17)、フレームの欠落検出により開始した記録中の場合、その情報(B)チャンネルのそれまでの通話内容を廃棄し(S18)、該当する情報(B)チャンネルの記録を開始する(S19)。また、フレームの欠落検出により開始した記録中でない場合は(S17)、該当する情報(B)チャンネルの記録を開始する(S19)。
【0084】
こうすることで、応答または応答確認メッセージの両方が欠落した場合でも、記録を開始することができ、さらに、前述した判断により誤って記録を開始した場合にも、それまでの記録を廃棄し、正規の記録を行うことができる。
【0085】
図5に示すフレーム連続性確認処理において、送信シーケンス番号が連続し(S26)、登録されている欠落フレームでなく(S28)、新たなフレームの受信シーケンス番号−1が、既に検出している送信シーケンス番号を追い越していない場合(S32)、欠落フラグが立っている情報(B)チャンネルの情報フレームか否かを判断する(S33)。
【0086】
欠落フラグの立っている情報フレームを受信した場合には、そのフレームのメッセージが呼設定受付または呼出メッセージか否かを判断し(S34)、呼設定受付または呼出メッセージの場合には、該当する情報(B)チャンネルの記録を停止する(S35)。
【0087】
欠落フラグの立っている情報フレームでない場合(S33)、または、呼設定受付または呼出メッセージでない場合(S34)、さらに、該当する情報(B)チャンネルの記録を停止した場合(S35)、該当する情報(B)チャンネルの欠落フラグをOFFとして(S36)、次のフレームの受信を待つ。
【0088】
こうすることで、切断、解放または解放完了メッセージのすべてが欠落した場合でも、呼の切れ目を認識し、記録の制御を行うことができる。
【0089】
以上のように、信号(D)チャンネル上でやり取りされるLAPDフレームに付けられている送信シーケンス番号により連続性を監視し、フレームの欠損やエラーフレームの受信などにより、受信フレームの連続性が途切れた場合には、通信にエラーがあるとして、通信端末装置・通信網間のプロトコルで規定されている再送手順が取られるかどうか監視する。
【0090】
そして、欠落した情報フレームを受信した側から、REJフレーム送信による再送手順が取られず、しかも、監視フレームまたは情報フレームが送信され、このフレームに正常な受信手順が継続していることを示すシーケンス番号が付加されている場合には、通信内容記録装置のみがエラーを受信していると判断し、各情報チャンネルの制御に次のフレームが受信されたと仮定して、その時点で音声通信による呼設定受付を完了して、応答メッセージ待ちになっている情報チャンネルの記録を開始することで、音声の通信内容の取り逃しを防止することができる。
【0091】
また、記録中の情報チャンネルに、呼設定受付、呼出、切断、解放または解放完了メッセージが受信された場合には、記録を停止することで無用な記録を防止することができる。それと共に、切断、解放または解放完了メッセージが受信できなかった場合でも、直前の通話の記録の制御を、次の呼設定受付、呼出メッセージのいずれかのフレームの受信により判断し、通話の切れ目に基づいて記録を制御することができる。
【0092】
また、LAPDフレームのフレームチェックシーケンスでエラーが検出された場合には、フレーム連続性検出部に通知せずにフレームを廃棄する。このことにより、フレーム連続性検出処理は、フレームの欠損とエラーフレームの受信時での処理を同一の手順で行うことができる。
【0093】
また、フレームの不連続検出により、記録を開始した情報チャンネルを制御する正常フレームを信号チャンネル上で受信した場合には、正常フレームによる制御を行う。特に、応答または応答確認メッセージを受信した場合には、先に記録したデータが無効である旨を情報チャンネル処理部に通知し、情報チャンネル処理部では、通知に基づきそれまでの記録データを廃棄し、上記メッセージの受信時から再度記録を開始することで、無効データの記録を防止することができる。
【0094】
通信内容記録装置のみがフレームの欠損またはエラーフレームを受信した場合でも、同一の処理手順によって、情報チャンネル上で通信されている音声データの記録を制御し、処理を継続することができる。
【0095】
また、応答又は応答確認メッセージを受信した場合で、且つ、応答又は応答確認メッセージを待っている呼番号の呼設定が完了していない場合、該当する呼番号の呼設定メッセージが受信されているかを確認し、呼設定メッセージを受信しているとき、音声呼設定であるか否かを確認する。さらに、情報(B)チャンネルの変更が可能か否かを確認する。音声呼設定であり且つ情報チャンネルの変更が可能な場合には、情報チャンネルを特定できない音声通信があるものとして、現在録音停止中で、且つ、呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの録音を開始する。
【0096】
また、呼設定メッセージすら受信されていない場合には、音声通信かデータ通信かを区別することができず、また、情報チャンネルの特定もできない通信があるものとし、現在録音停止中で、且つ、呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの録音を開始する。
【0097】
このようにすることで、呼設定メッセージが欠落し、音声通信かデータ通信かの区別がつかない場合の音声データの録音の取り逃しを防止することができる。さらに、呼設定受付メッセージの欠落により、使用する情報チャンネルの特定ができない音声データの録音の取り逃しを防止することができる。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、監視している回線の対象の通信が正常に行われ、通信内容記録装置のみが信号チャンネル上で受信フレームにエラーを検出した場合でも、情報チャンネル上でやり取りされる通信内容の記録の制御を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の通信内容記録装置を備えた通信システムの一実施例の概略構成を示す模式図である。
【図2】ISDNを利用した通信システムにおけるISDNと通信端末装置間でのレイヤ2のリンクの確立からレイヤ2のリンクの解放に至るシーケンス例を示す。
【図3】本実施例の通信内容記録装置における処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の通話内容記録装置におけるレイヤ処理の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の通話内容記録装置におけるフレーム連続性確認処理の処理動作を示すフローチャートである。
【図6】ISDNにおけるLAPDフレームを説明するための模式図である。
【図7】従来のISDNを利用した通信システムの概略構成を示す模式図である。
【図8】従来の端末装置においてエラーフレームを受信した時の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
101・・通信システム、102・・ISDN、103・・DSU、104・・通信端末装置、105・・通信内容記録装置、106・・端末側受信部、107・・網側受信部、108・・第1フレーム受信処理部、109・・第2フレーム受信処理部、110・・第1エラーチェック受信処理部、111・・第2エラーチェック受信処理部、112・・プロトコル監視部、113・・フレーム連続性検出部、114・・情報チャンネル処理部
701・・通信システム、702・・ISDN、703・・通信端末装置、704・・DSU、705・・受信部、706・・LAPD受信処理部、707・・送信部、708・・LAPD送信処理部、709・・レイヤ3プロトコル処理部、710・・情報チャンネル処理部

Claims (4)

  1. ISDN回線の通信網を利用した通信システムの複数の通信端末装置の間で伝送される通信内容を記録する通信内容記録装置において、一方の通信端末装置が通信網に送信する信号チャンネル及び情報チャンネルの信号を受信する端末側受信部と、通信網が前記一方の通信端末装置に送信する信号チャンネル及び情報チャンネルの信号を受信する網側受信部と、前記端末側受信部及び前記網側受信部が受信した信号チャンネルの信号からLAPDフレームを抽出する受信処理部と、前記端末側受信部及び前記網側受信部が受信した前記情報チャンネルの通信内容の記録を行う情報チャンネル処理部と、前記受信処理部で抽出された前記LAPDフレームに含まれる前記情報チャンネルの呼の確立又は呼の解放のメッセージに基づいて前記情報チャンネル処理部での前記情報チャンネルの通信内容の記録開始又は記録停止を制御するプロトコル監視部とを備え、前記プロトコル監視部は、前記受信処理部で抽出された前記LAPDフレームに含まれる応答又は応答確認メッセージに該当する呼番号の呼設定が未完了であり、且つ、前記呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は前記呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に、前記情報チャンネル処理部により記録停止中であり且つ呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの通信内容の記録を開始することを特徴とする通信内容記録装置。
  2. 請求項1記載の通信内容記録装置において、前記プロトコル監視部は、前記受信処理部で抽出された前記LAPDフレームに含まれる応答又は応答確認メッセージに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了であり、且つ、前記呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は前記呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に、前記情報チャンネルが確定しているときは前記情報チャンネル処理部により当該情報チャンネルの通信内容の記録を開始することを特徴とする通信内容記録装置。
  3. 請求項1及び2記載の通信内容記録装置において、前記通信内容記録装置は、更に前記端末側受信部と前記網側受信部が受信した前記LAPDフレームの連続性を監視することで前記LAPDフレームの欠落を検出するフレーム欠落検出手段とを備え、前記プロトコル監視部は、情報チャンネルの通信内容の記録を開始した後に前記フレーム欠落検出手段により前記LAPDフレームの欠落が検出された場合にLAPDフレーム欠落検出時における情報チャンネルの記録の有無に応じて当該情報チャンネルに対する前記情報チャンネル処理手段での記録処理の開始または停止の制御をすることを特徴とする通信内容記録装置。
  4. ISDN回線の通信網を利用した通信システムの複数の通信端末装置の間で伝送される通信内容を記録する通信内容記録方法において、一方の通信端末装置と通信網との間の信号チャンネル及び情報チャンネルで伝送される信号を受信するステップと、前記信号チャンネルを伝送する信号からLAPDフレームを抽出するステップと、抽出した前記LAPDフレームに含まれるメッセージが応答又は応答確認メッセージであるかを判断するステップと、前記応答又は応答確認メッセージのLAPDフレームを受信した場合に当該LAPDフレームに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了であるかを判断するステップと、前記応答又は応答確認メッセージに該当する情報チャンネルの呼番号の呼設定が未完了である場合に当該呼番号の呼設定メッセージが受信されていない又は前記呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされているかを判断するステップと、前記呼番号の呼設定メッセージが受信されていない場合又は前記呼番号の呼設定メッセージが受信され音声呼設定がされている場合に当該情報チャンネルが確定しているかを判断するステップと、前記情報チャンネルが確定しているときは当該情報チャンネルの通信内容の記録を開始し、前記情報チャンネルが確定していないときは記録停止中で且つ呼設定完了により確保されていない情報チャンネルの通信内容の記録を開始するステップとを備えることを特徴とする通信内容記録方法。
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