JP3628602B2 - 給紙装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿に描かれた画像を読み取ったり、プリンタや複写機等の画像形成装置に装着され、積層、収容された原稿を分離して、所定の位置に給送する給紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、上記したような画像形成装置には、画像読取部や画像形成部(以下、「原稿処理部」という)に原稿を給送する給紙装置が設けられている。この給紙装置には、多数の原稿が積層して収容されており、原稿分離機構によって、積層された原稿を1枚に分離して原稿処理部に向けて給送する。
【0003】
上記給紙装置における原稿分離機構には従来様々な構成が存在する。例えば、特開2000−62989号公報(以下、「第1の従来技術」という)においては、分離用駆動ローラに所定の摩擦力を有するフリクションパッドを当接させたもの(摩擦分離方式)が開示されており、この摩擦分離方式は、フリクションパッドの幅を分離用駆動ローラの幅よりも小さくすることで、原稿分離時における異音の発生を防止するとしている。
【0004】
また、特開昭62−235143号公報(以下、「第2の従来技術」という)は、送り方向ローラと逆方向ローラの表面摩擦の差を利用して分離する手段を、シートの搬送方向に2段に設けることにより、シートの分離を確実に行うように構成したいわゆる逆転分離方式を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第1の従来技術の原稿分離機構におけるフリクションパッドは、幅方向に対する工夫は成されているものの、原稿搬送方向については特に考慮されていない。つまり、原稿搬送方向において、分離用駆動ローラとフリクションパッドとの間のニップ部1ヶ所のみで原稿の分離作用を行なうため、必ずしも確実な1枚分離が成されるとは限らない。また、原稿搬送方向でのフリクションパッドの分離用駆動ローラに対する接触状態では、分離作用部分に対する接触面積、接触圧力に不安定が生じると、スティッキング的な異音が生じ易い。
【0006】
また、上記第2の従来技術においては、2段の分離ローラを構成する全てのローラが所定の速度に設定される駆動ローラであって駆動機構が複雑となるばかりか、長時間の使用により各分離ローラの表面摩擦係数μがペーパーダストや油分等の付着の影響で変化してしまい、所期の分離性能を維持し続けることが困難であった。また、一つの分離ローラを構成する上下の駆動ローラが逆回転することから、取り扱うシートが薄い場合、当該シートを傷めることがあった。
【0007】
本発明は、上記した問題に基いて成されたものであり、摩擦分離方式で構成された原稿分離機構を有する給紙装置において、積層原稿の確実な1枚分離を可能にすることを目的とし、さらには、分離作用部分に対する接触面積、接触圧力を安定化させる給紙装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、原稿を搬送する駆動ローラと、この駆動ローラに弾性付勢され、原稿搬送方向に複数配設されたコロとを備え、原稿載置部に積層された原稿を分離する原稿分離機構を有しており、前記複数のコロの搬送方向間に、少なくとも1つのフリクションパッドを設けたことを特徴とする。
【0009】
このように、本給紙装置においては、駆動ローラに対し、原稿搬送方向に沿って複数のコロを配設したことにより原稿の分離作用を行う機会を増やし、さらに、当該複数のコロの搬送方向間に少なくとも1つのフリクションパッドを設けたことにより、原稿の分離機能を増大させるのである。
【0010】
また、前記複数のコロの夫々に、所定トルクになると回転を停止させるトルクリミッタを設けたことにより、駆動ローラからコロに対して所定のトルクが伝達されたときに、コロを回転させることができ、所定トルク以下の場合はコロを停止させる機能を有する。このため、複数の原稿が駆動ローラとコロのニップ部に送り込まれた場合トルクが低下してコロが停止し、その静止摩擦力によって原稿の1枚分離が行なわれるのである。
【0011】
さらに、本給紙装置において、前記複数のコロは、同一のフレーム上に支持されており、このフレームが弾性部材によって前記駆動ローラに向けて付勢されていることにより、分離作用部分に対する接触面積及び接触圧力を安定化させるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る給紙装置を組み込んだ画像形成装置の全体の構成例を示す図である。なお、この実施の形態では、画像形成装置は、原稿に描かれている画像の読取を行なう画像読取装置として構成されている。
【0016】
最初に、画像読取装置の全体的な構成を簡単に説明する。
画像読取装置1は、下部ユニット2と、下部ユニット2に対してヒンジ等により開閉自在に取り付けられた上部ユニット3とを有している。
【0017】
上部ユニット3は、原稿(原稿)を積層して収容する給紙トレイ5と、給紙トレイ5上の原稿を搬送し、画像の読取処理を行なう本体6と、給紙トレイと併設され、読取処理された原稿が排紙される排紙トレイ7とを備えている。
【0018】
本体6は、給紙トレイ5上に積層された原稿の1枚分離を果たす分離機構を具備した給紙装置10と、この給紙装置によって分離された原稿を搬送する搬送経路12と、この搬送経路に設けられたローラ対15,16,17とを有しており、搬送される原稿は、ローラ対16,17間において、下部ユニット2内に配された光学読取装置30によって読取処理が成される。
【0019】
なお、この実施の形態では、原稿の両面読取が可能となるように構成されており、前記搬送経路12は、循環経路12aと給紙トレイ5の下側に形成されたスイッチバック経路12bとを備えた構成となっている。すなわち、両面読取を行なう場合は、循環経路12aを介して読取部Xを通過した原稿を、第1切換部材19、排紙ローラ対20、第2切換部材21を介してスイッチバック経路12bに案内し、ここで原稿をスイッチバックして再び循環経路12aに戻し、裏面側を読取部Xで読み取るようになっている。
【0020】
前記光学読取装置30は、搬送ローラ対16,17の間に位置するシートスループラテン31aを通過する原稿の画像を読み取るよう構成されており、キャリッジ32を備えている。このキャリッジ32には、原稿に対して照射光を投光する光源(図示せず)と、光源によって投光された照射光の原稿からの反射光を受光して水平方向の反射光に方向を変換する反射鏡32aが搭載されている。そして、反射光32aからの反射光は、反射鏡33,34を介して集光レンズ35に入射され、ここで合焦された反射光は、ラインセンサ37によって検知され、デジタル信号に変換された後、出力される。
【0021】
また、光学読取装置30は、ブック型の原稿を読取りできるように構成されている。すなわち、下部ユニット2の上面には、前記シートスループラテン31aと隣接してブック読みプラテン31bが設けられており、このブック読みプラテンに載置された原稿を、キャリッジ32が点線で示すように移動することで走査を行い、その内容を読み取るようになっている。このため、前記排紙トレイ7の下面には、ブック読みプラテン31bに載置された原稿を柔らかく押圧して固定する弾力性を有する押圧部材7aが固着されている。
【0022】
次に、図2を参照して、上記した給紙装置10の構成を説明する。
給紙装置10は、給紙トレイ5上に積載された原稿に当接して、原稿を繰出すピックアップローラ41と、ピックアップローラ41の下流側に配設され、原稿分離機能を果たす分離ローラ(駆動ローラ)42とを備えている。この場合、ピックアップローラ41と分離ローラ42の駆動軸は、連結ベルト43によって連結されており、図示しない駆動モータによって同期駆動される。
【0023】
分離ローラ42の軸中心を回転中心にしてピックアップローラ41は、上下動可能に構成されていて分離部に充分繰り出した後は、原稿面から上昇して繰り出し動作を停止する。これは次の原稿の繰り出しタイミングを適正に制御するためである。
【0024】
分離ローラ42の外周面には、搬送方向に沿って複数個(図に示す構成では2つ)のコロ45,46が当接されており、分離ローラ42とコロとの間のニップ部に複数の原稿が通過したときに分離作用を与えるようになっている。この場合、各コロ(第1コロ45、第2コロ46)は、上部ユニットの本体に対し一対の弾性バネ47によって支持されたフレーム48に回転可能に保持されており、分離ローラ42の外周面に弾性的に付勢された状態となっている。このように原稿分離機能を有するコロを、原稿の搬送方向に沿って複数個配設したことで、それだけ分離作用を受ける機会が多くなり、原稿の1枚分離の性能を向上することが可能となる。
【0025】
なお、原稿を積層、収容する給紙トレイ5の前端部に、図2に示すような、給紙方向に沿って次第に上昇する分離壁5aを形成しておくことが好ましい。このような構成により、ピックアップローラ41の駆動時に、積層原稿に分離作用を与えて、分離ローラ42と第1コロ45のニップ部に原稿を送り込むことができ、原稿の1枚分離の性能をより向上させることができる。そして、この構成では、更に、分離壁5aの上方に分離機能を果たす分離パッド(図示せず)を配設しておくことがより好ましい。更に、分離壁5aに上下動可能なストッパーを配設しても良い。ストッパー(図示せず)はピックアップローラ41が積層原稿を繰り出す時に分隔壁5aから1ミリとか2ミリ出突ってつれ送りを規制する。ストパーは出突ったままのケースもあるし、原稿にすり傷をつけないために、所定量の積層原稿をピックアップローラ41が繰り出したら引っ込む機能としても良い。
【0026】
分離パッドがある程度大きく前後のコロがないと原稿がパットに接触する面積は不定になる。さらに、後段は搬送ローラ対などが引張力を与えるが入口側はフリーである。フリーかテンションがあるかにも程度が依存するのだが、パッドは大方μが大きいのでスティッキング現象(ついたり離れたり)を引き起こす力が発生する。シート断面から見て弦振動の様に振るえて異音の元となる。本発明ではパッドを巾狭くして、且つ、その前後をコロで規制したからパッドに接している原稿は安定するし上記のスティッキング力も発生が小さい。
【0027】
また、上記した構成において、各コロ45,46の間に、分離ローラの外周に当接するフリクションパッド50を配設することが好ましい。このフリクションパッド50は、前記フレーム48に固定されており、コロ45,46及びフリクションパッド50は、フレーム48に一体的に支持されて分離ローラ42の外周面に弾性的に付勢された状態となっている。このような構成によれば、給紙方向に沿って原稿分離作用を受ける機会がより多くなり、更に原稿の1枚分離の性能を向上することが可能となる。なお、この場合、フリクションパッド50は、フレーム48に設けられた付勢バネ50aによって、分離ローラ42の外周面に弾性的に付勢されていても良い(図3参照)。
【0028】
摩擦分離方式では、A.コロと原稿、B.原稿と原稿、C.ローラやベルトと原稿、との間で定義される静止摩擦係数を、μA、μB、μC、とした時に、μC>μA>μBであり、この関係から複数枚の原稿から1枚が分離されるのだが、原稿面が静電気や真空によって貼り付き、この力がつれ送りをして1枚に分離できないのである。
【0029】
したがって、上記したような構成によれば、摩擦分離方式による原稿分離機構が、分離ローラ42の外周面に沿って一体的に配設された状態となり、分離作用部分に対する原稿の接触面積、接触圧力が安定化されて、異音の発生も効果的に防止することができる。
【0030】
また、上記コロ45,46は、フレーム48に回転可能に保持されているが、この場合、図3に示すように、各コロの支持部分に所定のトルクが作用するとコロを回転させるように機能するトルクリミッタ53,54を介在しておくことが好ましい。
【0031】
このようなトルクリミッタは、以下のように機能する。
【0032】
すなわち、分離ローラとコロとの間のニップ部に、1枚の原稿が通過する場合、分離ローラからコロに伝達されるトルクが大きいため、トルクリミッタが滑ってコロは回転することができ、原稿は分離ローラとコロの回転により、ニップ部を通過して行く。ところが、原稿の重送、例えば、2枚の原稿がニップ部を通過しようとすると、原稿間に生じる滑り等により、分離ローラからコロに伝達されるトルクが小さくなり、コロは停止する。この場合、動摩擦力よりも静止摩擦力が大きいため、コロに接触している原稿は、その静止摩擦力によって、コロに対して滑らなくなり、駆動ローラ側の原稿のみが搬送されて、原稿の分離作用がなされる。また、第1コロ45と分離ローラ42の間のニップ部に3枚の原稿が搬入されたとすると、このニップ部において1枚が連れ送られる可能性があるが、この連れ送られた原稿は、次のフリクションパッド50の部分で停止されて分離することが可能となる。同様に、第1コロ45と分離ローラ42との間のニップ部に4枚の原稿が搬入されたとすると、このニップ部において2枚が連れ送られる可能性があるが、この連れ送られた原稿は、フリクションパッド50の部分、及び第2コロ46の部分で停止されて分離することが可能となる。
【0033】
以上のように、各コロにトルクリミッタを介在させることによって、更に、原稿の1枚分離の機能を向上させることができる。
【0034】
図4は、本発明の別の実施形態を示す図である。
この実施の形態では、分離ローラ42の下流側に、それと同径のローラ62を配設し、これらのローラ間に搬送ベルト63を張設すると共に、この張設された搬送ベルト63に対して、搬送方向に沿って複数の摩擦式の分離手段を配設したものである。具体的には、分離ローラ42の部分において、フリクションパッド65を付勢バネ66によって弾性的に付勢して第1の分離手段とし、その下流側に、複数のコロ(この実施形態では4つ)73を搬送ベルト63に弾性付勢させることで、第2、第3…の分離手段を設けている。
【0035】
この場合、各コロは、隣接配置されたフレーム70に、一対ずつ回転可能に保持されており、各フレーム70を弾性バネ71で搬送ベルト63に向けて付勢することによって、各コロは搬送ベルトに弾性的に付勢されている。
【0036】
このように、原稿の搬送経路をベルト状にすることによって、分離手段、すなわち原稿に対して分離作用を与えられる機会を容易に増やすことができ、より確実な1枚分離を行うことが可能になると共に、分離作用部分における原稿に対する接触面積、接触圧力を安定化させることができるようになる。もちろん、この実施の形態においても、各コロに、上述したトルクリミッタを介在しておくことで、より分離性能の向上を図ることができる。
【0037】
図5は、トルクリミッタの例を示す。図5における(a)は、トルクリミッタ53の分解構造図を、同(b)は、その組み立て図を示す。
【0038】
図5(a)において、トルクリミッタの固定アーム83は、分離部フレーム48(図3)に固定的に取り付けられる。固定アーム83には、押圧バネ91の一方の端側を受け入れるための円柱突起83aが設けられている。当該円柱突起83aの中心部にはコロ回転軸84を軸支するための貫通穴が開けられている。コロ45には、押圧バネ91の他方の端側を受け入れるための円柱突起45aが設けられている。
【0039】
図5(b)において、固定アーム83とコロ45は押圧バネ91を両端側から圧縮する状態において、固定アーム83はコロ回転軸84に対して固定ピン93によって固定される。押圧バネ91の内側には、固定アームの円柱突起83aとコロの円柱突起45aが入り込むので押圧バネ91は圧縮された状態を維持して外れることはない。さらに、コロ回転軸84は、固定アーム83の円柱突起83aの中心部の貫通穴を摺動可能に貫通する。このように、コロ45は、固定フレーム83と共に押圧バネ91を両端から圧縮した状態で固定フレーム83に回転可能に軸支されることとなる。
【0040】
これにより、押圧バネ91の一方の端と固定フレーム83間、及び押圧バネ93の他方の端とコロ45間には、押圧バネ91の押圧力に比例した所定の摩擦力が生じることとなる。これによって、コロ45は、所定値以上のトルクが与えられた場合には回転し、所定値以下のトルクの場合は回転を停止した状態を維持することとなるのである。
【0041】
このように、本発明は、摩擦分離方式で構成された原稿分離機構を有する給紙装置において、分離作用を与える部分を搬送方向に沿って複数配設したことで、積層原稿の確実な1枚分離を行うことが可能となる。また、本発明の構成によれば、分離作用部分における原稿に対する接触面積、接触圧力を安定化させることができ、分離時に異音の発生を防止することを可能としたのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る給紙装置を組み込んだ画像形成装置の全体の構成例を示す。
【図2】図1に示される給紙装置を拡大して示す。
【図3】給紙装置の変形例を示す。
【図4】給紙装置の別の実施形態を示す。
【図5】トルクリミッタの例を示す。
【符号の説明】
5 給紙トレイ
5a 分離壁
10 給紙装置
42 分離ローラ(駆動ローラ)
45,46,73 コロ
48,70 フレーム
50 フリクションパッド
53,54 トルクリミッタ
63 搬送ベルト
Claims (3)
- 原稿を搬送する駆動ローラと、この駆動ローラに弾性付勢され、原稿搬送方向に複数配設されたコロとを備え、原稿載置部に積層された原稿を分離する原稿分離機構を有しており、
前記複数のコロの搬送方向間に、少なくとも1つのフリクションパッドを設けたことを特徴とする給紙装置。 - 前記複数のコロの夫々に、所定トルクになると回転を停止させるトルクリミッタを設けたことを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
- 前記複数のコロは、同一のフレーム上に支持されており、このフレームが弾性部材によって前記駆動ローラに向けて付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
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