JP3626115B2 - チタン化合物を含有するcvdチタン膜の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体装置におけるCVD チタン膜に関するものであり、特にコバルトシリサイド膜上におけるチタン膜の成膜に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
半導体素子の微細化に伴い、コンタクト孔の径は縮小し、コンタクト部のアスペクト比は増加する。スパッタリング法を用いて、微細化するコンタクト孔の側壁部、あるいは底部に所望の密着層(例えば窒化チタTiN)を形成するには、密着層の堆積膜厚を厚膜化しなければならない。オーバーハング形状を有するスパッタリング膜の厚膜化は、図1に示すようにコンタクト入り口の径を狭めてしまうため、その後の化学気相成長(CVD)法によるタングステン(W)膜の埋め込みが困難になってしまう。そのため、スパッタリング法に代わり、優れたカバレッジが得られるCVD法が期待されている。
【0003】
CVD法で窒化チタン膜を形成するには、テトラキシジメチルアミノチタニウム(TDMAT), テトラキシジエチルアミノチタニウム(TDEAT)などの有機系、あるいは無機系の四塩化チタン(TiCl)を原料ガスとして用いる。ただし、有機系原料はコストが高く、カバレッジも悪いのが現状である。また、膜中にカーボン(C)を不純物として含むことにより比抵抗がスパッタリング膜の10倍程度も高くなるデメリットがあるため、一般的には四塩化チタンが原料ガスとして量産に使用されている。また、有機系原料ガスによるチタン成膜は困難であるため、チタン(Ti)膜の形成にも四塩化チタンが使用されている。
【0004】
【発明があ解決しようとする課題】
図2に、シリコン(Si)、シリコン酸化膜(SiO)及びコバルトシリサイド(CoSi)層上におけるチタン堆積膜厚の成膜時間依存性を示す。コバルトシリサイド(CoSi)上は他の下地と比較して成膜速度が遅いことが示されている。この現象は、CVD チタン膜の成膜メカニズムに起因している。下地がシリコンの場合には、堆積したチタンはシリコンと反応してチタンシリサイド(TiSix)層が形成され、チタンシリサイド層は四塩化チタンガスによってエッチングされない。
【0005】
しかしながら、シリコン酸化膜, コバルトシリサイド(CoSi)上に堆積されたチタンには、四塩化チタンガスによるエッチングが生じ、成膜とエッチングのバランスにより最終的なチタン堆積膜厚が決定される。また、シリコン酸化膜とコバルトシリサイド(CoSi)上でチタン堆積速度が異なるのは、チタン膜質の差によるエッチング速度の違いのためであり、コバルトシリサイド(CoSi)上に堆積されたチタンのエッチングを抑制することが課題となっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コバルトシリサイド(CoSi)表面、あるいはコバルトシリサイド(CoSi)中にチタンと反応を生じる元素を含有させることにより、CVD チタン堆積中にチタン化合物を形成し、四塩化チタンガスのエッチングを抑制した高い成膜速度のCVD チタン膜堆積を実現することを目的としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
図3及び図4に本発明の実施の形態を示す。半導体基板1に素子分離領域2を形成後、ソース及びドレイン3、ゲート電極4を形成後、アクティブ領域の自然酸化膜を除去するため弗酸(HF)溶液により洗浄する(図3(a))。次に、コバルトターゲットを用いてコバルト膜5を、続いてキャップ層としての窒化チタン膜6を、連続で大気中に晒すことなくスパッタリング法を用いて成膜する(図3(b))。続いて、550℃, 30秒の熱処理を窒素(N)雰囲気中で行うことにより、高抵抗なコバルトシリサイド(CoSi)層の形成を行う。その熱処理後、未反応のコバルトと窒化チタンキャップ層を硫酸(HSO)と過酸化水素水(H)の混合薬液により除去する。
【0008】
次に、低抵抗なコバルトシリサイド(CoSi)層7を形成するため、850℃、30秒の熱処理を窒素雰囲気中で行う。その後に、インプラ用マスクとしての役割を担う絶縁膜8(例えばシリコン酸化膜)を堆積し、BF インプラによりコバルトシリサイド(CoSi)中にボロン(B)を分布させる(図3(d))。そして、中間絶縁膜9(例えばシリコン酸化膜、BPSG)を堆積した後に、形成したいパターンに応じた配置でコンタクト孔を、公知のリソグラフィー技術及びエッチング技術により形成する(図4(a))。
【0009】
コンタクト孔を形成した後、アルゴン(Ar)のスパッタリングエッチングによりコバルトシリサイド(CoSi)表層のエッチングを行う。その後、密着層であるCVD 窒化チタン/チタンを成膜する。密着層を成膜する際、減圧されたチタン CVDチャンバーにウエハを入れ、650℃の成膜温度まで昇温させ、次に、原料ガス(例えば四塩化チタン、水素(H)等)をチャンバー内に導入し、プラズマ法によりCVD チタン膜10を生成する。CVD チタン膜の成膜時にはコバルトシリサイド(CoSi)表面層のボロンとチタンが反応することによりTiBx化合物層が形成される(図4(b))。
【0010】
ギブスの自由エネルギー(室温298K)の観点から、TiBx化合物であるTiB、TiB はそれぞれ170.6 KJ/mol、324.4KJ/molと、チタンシリサイド(TiSix)化合物であるTiSi, TiSiの−144.3 KJ/mol、−152.1KJ/molと比較して安定な化合物であることから、CVD チタン成膜中に容易に形成されることが分かる。したがって、安定なチタン化合物を形成することにより、四塩化チタンガスによるエッチングを抑制することが可能になる。
【0011】
次に、真空を保ったまま、または同一チャンバーで窒化ガス(例えば、アンモニア、窒素等)を導入する。ここで、窒化ガスを導入するが、チャンバー圧力は窒化ガスが先に成膜したチタン膜中を過度に拡散しない圧力、つまり、表面を窒化する圧力に制御する。その後、RFを印加し、プラズマ処理を行う。次に、真空を破らずに別チャンバーにウエハを移送した後、原料ガス(例えば四塩化チタン、アンモニア等)をチャンバー内に導入し、680℃の成膜温度で窒化チタン膜111を生成する。成膜後、窒化チタン CVDチャンバー内でアンモニアガスにてアニール処理を行う。その後CVD タングステン膜112を成膜しコンタクト孔を埋め込む(図4(c))。
【0012】
また、コバルトにボロン添加したターゲットを用いてコバルトを堆積することにより、コバルトシリサイド(CoSi)中にボロンを容易に含有させることができる。 以上述べたように、コバルトシリサイド(CoSi)層中へボロンを含有させることにより、四塩化チタンガスのエッチングを抑制するTiBx化合物をCVD チタン成膜時に形成するとともに、CVD 窒化チタン層とコバルトシリサイド(CoSi)層の接触抵抗を低減する役割を担うTiBx層を高い成膜速度で堆積可能とする。
【0013】
本実施の形態では不純物はボロンであったが、シリコンをイオン注入法あるいは、シリコンを添加したターゲットを用いて、コバルトシリサイド(CoSi)層中にシリコンを導入することにより、ボロンの場合と同様に成膜速度の向上を計ることができる。
この場合、TISixの化合物が形成されるため、四塩化チタンガスによるチタン膜のエッチングを抑制されるためである。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本発明は、コバルトシリサイド(CoSi)層上に形成される四塩化チタンガスをもちいたCVDチタン膜の成膜において、四塩化チタンガスのエッチングを抑制したために、成膜速度の大きいCVD チタン膜の堆積が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術における問題点を説明するためのコンタクトホール部の図である。
【図2】従来技術におけるチタン膜の堆積速度を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態におけるコバルトシリサイド上へのチタン膜の形成方法を示めす工程図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるコバルトシリサイド上へのチタン膜の形成方法を示めす工程図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 素子分離領域
3 ソース及びドレイン
4 ゲート電極
5 コバルト膜
6 窒化チタン膜
7 コバルトシリサイド
8 絶縁膜
9 中間絶縁膜
10 チタン膜
11 窒化チタン膜
12 タングステン膜

Claims (4)

  1. コバルトシリサイド層表面あるいはコバルトシリサイド層中にチタンと反応する元素を含有する工程と、
    四塩化チタンガスを用いたCVD法により前記コバルトシリサイド層上にチタン膜を形成する工程と、
    前記チタン膜を形成すると同時に前記チタン膜と前記元素とを反応させ、チタン化合物を形成する工程とを有することを特徴とするチタン化合物を含有するCVDチタン膜の形成方法。
  2. 前記元素はボロンあるいはシリコンであることを特徴とする請求項1記載のチタン化合物を含有するCVDチタン膜の形成方法。
  3. チタンと反応する元素を含有するコバルトターゲットを用いて、該元素を含有するコバルト膜をスパッタリング法によりシリコン基板表面上に形成する工程と、
    熱処理により前記コバルト膜と前記シリコン基板とを反応させコバルトシリサイド膜を形成する工程と、
    四塩化チタンガスを用いたCVD法により前記コバルトシリサイド層上にチタン膜を形成する工程と、
    前記チタン膜を形成すると同時に前記チタン膜と前記元素とを反応させ、チタン化合物を形成する工程とを有することを特徴とするチタン化合物を含有するCVDチタン膜の形成方法。
  4. 前記元素はボロンあるいはシリコンであることを特徴とする請求項3記載のチタン化合物を含有するCVDチタン膜の形成方法。
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