JP3624784B2 - 排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は工業プロセスなどで発生したCO含有排ガス中のCO濃度を低減し、COの大気中への排出量を削減するための排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業プロセスなどで発生した排ガス中に含まれるCOをCaOやCa(OH)に吸収固定させることにより排ガス中から除去する技術が、特開平3−32721号公報や特開平7−88362号公報などで提案されている。このうち特開平3−32721号公報には、燃焼装置の排ガス排出系の下流側にCaOやCa(OH)などの固体塩基粉末の流動層を設けた炭酸ガス除去装置が示され、また、特開平7−88362号公報には石炭灰、高炉スラグからなる産業廃棄物を主成分とし、且つカルシウム化合物の水和物を含有する粉粒状の炭酸ガス吸着体が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来技術ではCaOやCa(OH)によるCOの固定が十分な速度で進行せず、このため工業規模での実用化は困難である。
そこで、本発明者らは排ガス中のCOを工業規模で且つ効率的に吸収・除去できる方法を見い出すべくCOの吸収方法について詳細な検討を行い、その結果、従来技術においてCOの吸収固定が十分な速度で進行しないのは、CaOやCa(OH)を含む固体粒子にCO含有排ガスを直接接触させていたためであること、これに対してCaOやCa(OH)を含む固体粒子に適当な水分の存在下で、より好ましくは固体粒子の表面付着水(固体粒子表面に形成された水膜)を介してCO含有排ガスを接触させることにより、排ガス中のCOを固体粒子に効率的に吸収固定できることを見い出した。
【0004】
本発明は、このような適当な水分の存在下でCaOやCa(OH)を含む固体粒子にCO含有排ガスを接触させることで排ガス中のCOを固体粒子に吸収固定する方法を前提とし、この方法の実施に好適な反応装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
CaOやCa(OH)を含む固体粒子に適当な水分の存在下で(より好ましくは固体粒子の表面付着水を介して)排ガスを接触させることにより、排ガス中のCOを固体粒子に吸収固定するための反応装置としては、流動層方式、ロータリーキルン方式、充填層方式などが考えられるが、このなかで充填層方式が装置としては最も簡便で実用性がある。そこで、本発明者らはこの充填層方式の反応装置を用いてCOを固体粒子に吸収固定するための種々の実験を行った。この実験では、箱型の反応槽内に水分が適量添加された固体粒子(CaOやCa(OH)を含む固体粒子)充填し、この反応槽の底部からCO含有排ガスを供給して行った。そして、この実験の結果以下のような事実が判明した。
【0006】
▲1▼ 反応槽内に充填された固体粒子に含まれるCaOやCa(OH)と排ガス中のCOとの反応で発生した熱により反応槽内の水分の一部が蒸発し、また、槽内部の充填層は固体粒子を充填し均一に均らしただけで加圧などによる締め固めを行っていないため、排ガスの通気による固体粒子の振動により充填層が締まり、その見掛け体積が減少する。この充填層の収縮により層内に長径5mm〜数cm程度の排ガスの通り道(空隙)ができ、これが短時間のうち急速に成長して長径5〜10cm以上となり、図4に示すようなガスの吹き抜けが発生する。そして、このような吹き抜けが発生すると、充填層の固体粒子の大部分は排ガスとの接触が不十分なままとなり、COの吸収固定率が大幅に低下する。
【0007】
▲2▼ 上記のようなガスの吹きぬけが発生するのは、充填層の収縮によって初期段階に排ガスの通り道が発生すると、圧損が小さいためにその通り道に排ガスの流れが集中して急速に大きなガス流路となり、これが吹抜けとなるためである。
▲3▼ 吹き抜けは概ね反応槽の内壁面に沿った位置や反応槽の隅部(コーナー部)などに発生しやすい。これは、槽内壁面には水分を含んだ固体粒子の付着物が生成しやすいため、充填層の体積減少によって壁面(正確には壁面付着物)に沿った位置に空隙が生じやすく、また反応槽の隅部は単純投入による充填では充填密度が最初から低く、ここに吹き抜けの起点である排ガスの小さな通り道ができやすいためであると考えられる。
【0008】
▲4▼ また、排ガスを反応槽の底部から槽内に供給することも吹き抜けの発生原因の一つとなる。すなわち、排ガスを反応槽の底部から槽内に供給した場合、排ガス流による充填層の持ち上げ効果が充填層自体の自重による締まりを阻害し、この作用によっても吹き抜けの起点となる排ガスの通り道が生じ、これが上記▲2▼のような過程で吹き抜けの発生につながる。また、このような主因による吹きぬけは概ね反応槽の内壁面に沿って発生しやすい。これは充填物の体積減少により内壁面との間に隙間が生じ、上記のような初期の排ガスの通り道が生じ易いためであると考えられる。
【0009】
そして、以上のような機構で生じる排ガスの吹き抜けの発生防止対策について検討した結果、以下のような各手段が有効であり、しかもこれらを適宜組み合わせることにより吹き抜けの発生をより効果的に防止できることが判った。
(1) 反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設する。このような振動装置により反応槽の側壁に振動を与えることにより、槽内壁面への固体粒子の付着が防止されるとともに、充填層の自重による締りが促進され、この結果、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生を抑えることができる。
【0010】
(2) 反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付す。このような傾斜による槽内部の水平断面積の縮小により、排ガス通気に起因した充填層の締まりよる体積減少が相殺され、その結果、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生を抑えることができる。
(3) 反応槽内部の水平断面形状を、円形状、楕円形状又は隅部が円弧若しくは楕円弧状である形状に構成する。上述したように反応槽への単純投入による充填では反応槽の隅部での固体粒子の充填密度が低くなり、上記のような充填層の体積減少が生じると、この反応槽の隅部に吹き抜けの起点となる排ガスの通り道ができやすい。これに対して、反応槽の水平断面形状を円形状又は楕円形状にして隅部をなくすか、或いは隅部の水平断面形状を円弧若しくは楕円弧状にして充填密度が低くなるような隅部をなくすことにより、反応槽で充填密度が低い部分が生じることが防止され、これにより吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道発生を抑えることができる。
【0011】
(4) 反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設ける。これにより排ガス流による充填層の持ち上げ効果がなくなり、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生を抑えることができる。
(5) 上記記(1)〜(3)の構造において、反応槽の排ガス導入部を槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、この排ガス室に排ガス供給管を接続した構造とすることにより、充填層全体に排ガスを流すことができ、COとの反応が不十分な充填層部分が生じるのが防止される。
【0012】
(6) 上記(4)の構造において、排ガス排出部を槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、この排ガス室に排ガス排出管を接続した構造とすることにより、充填層全体に排ガスを流すことができ、COとの反応が不十分な充填層部分が生じるのが防止される。また、多孔板を槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔を有する構造とすることにより、排ガスの流れが槽底部中央側寄りに誘導される結果、特に吹き抜けが生じやすい槽内壁面の近傍でのガス流れの形成が適度に抑制され、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生を抑えることができる。
(7) 上記(1)〜(4)の構成の中から選ばれる構造を2つ以上組み合わせることにより吹き抜けをより効果的に防止できる。また、上記(1)〜(3)の構成を組み合わせることにより、さらに好ましくは(1)〜(4)の全部を組み合わせることにより、最も効果的に吹き抜けを防止することができる。
【0013】
本発明は以上のような知見に基づきなされたもので、その特徴は以下のとおりである。
[1] 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
前記反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設したことを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0014】
[2] 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
前記反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付したことを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0015】
[3] 上記[1]又は [2] 反応装置において、反応槽の排ガス導入部を、槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス供給管を接続したこと特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0016】
[4] 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
前記反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設け、該排ガス排出部を、槽底部に設けられ且つ槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔を有する多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス排出管を接続したこと特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0018】
[5] 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
前記反応槽が下記(a)〜(d)の中から選ばれる2つ以上の構成を備えていることを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
(a) 反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設する。
(b) 反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付す。
(c) 反応槽内部の水平断面形状を、円形状、楕円形状又は隅部が円弧若しくは楕円弧状である形状に構成する。
(d) 反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設け、該排ガス排出部を、槽底部に設けられ且つ槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔を有する多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス排出管を接続する。
【0019】
[6] 上記[5]の反応装置において、反応槽が(a)〜(c)の構成を備えていることを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
[7] 上記[5]又は[6]の反応装置において、反応槽が(a)〜(c)の中から選ばれる2つ以上の構成を備え、且つ反応槽の排ガス導入部を、槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス供給管を接続したこと特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
[8] 上記[5]の反応装置において、反応槽が(a)〜(d)の構成を備えていることを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0020】
[9] 上記[5]の反応装置において、反応槽が(d)の構成と(a)〜(c)の中から選ばれる1つ以上の構成とを備えていること特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
[10] 上記 [1] [9] のいずれかの反応装置において、反応槽が、少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH) を含む固体粒子の集合体が粒子表面に付着した水膜を有する状態で充填される反応槽であることを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明の反応装置の一実施形態を示すので、図1は装置の縦断面模式図、図2は同じく横断面模式図である。
図において、1は固体粒子の集合体の充填層を形成するための密閉型(または半密閉型)の反応槽であり、この反応槽1の底部側には排ガス(CO含有排ガス)を供給するための排ガス導入部2が、また、上端側には槽内に供給された排ガスを排出するための排ガス排出部3がそれぞれ設けられ、これら排ガス導入部2と排ガス排出部3には、それぞれ排ガス供給管4と排ガス排出管5が接続されている。なお、上記反応槽1は図示しない充填物出入部(又は充填物の装入部と排出部)を有し、この充填物出入部を通じて反応槽1に対する固体粒子の集合体(充填物)の出し入れを行う。
【0022】
本実施形態では、反応槽1内部がその底部寄りに設けられた多孔板6により仕切られ、多孔板4の下方に風箱の機能を有する排ガス室7aが形成されるとともに、この排ガス室7aに対して前記排ガス供給管4が接続されている。前記多孔板6には、その全面に多数の小径のガス通孔60が貫設されている。したがってこの実施形態では、前記多孔板6と排ガス室7aがガス導入部2を構成し、多孔板6の上方の空間が固体粒子を充填する反応室7bを構成している。
なお、前記多孔板6のガス通孔60の径は、固体粒子が落下せず且つ固体粒子による詰まりが生じないようにするため、充填層を構成する固体粒子の粒度などに応じて適宜選択される。
【0023】
前記反応槽1の内部は水平断面形状が矩形状に構成されているが、その隅部8(コーナー部)にはアールが付され、円弧状に構成されている。この隅部8のアールの大きさは適宜選択すればよいが、アールがあまり小さいと隅部8での充填物(固体粒子)の充填密度が十分に確保できず、この部分に吹き抜けの起点となる排ガスの小さい通り道が形成されてしまう。このため隅部8のアールは50mm以上、望ましくは100mm以上とすることが望ましい。
なお、反応槽内部の水平断面形状は角状の隅部が存在しないような形状であればよく、このため本実施形態の形状以外に、隅部を楕円弧状にしたり、或いは反応槽内部の水平断面形状を円形状若しくは楕円形状にしてもよい。
【0024】
さらに、反応槽1の内壁面9には、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜が付されている。この内壁面9の傾斜度は槽内の有効容積が過度に小さくならない限度で適宜選択すればよいが、一般には鉛直方向に対して1/10以上の傾斜とすることが有効である。
さらに、前記反応槽1の側壁の外側には、槽側壁に振動を与えるための振動装置10が付設されている。この振動装置10としては、槽側壁に振動を与えて充填物(固体粒子)の槽内壁面への付着を防止できるような方式のものであれば、その種類を問わない。例えば、偏芯質量型の振動装置などを用いることができる。
【0025】
なお、この実施形態の装置では、図1の仮想線で示すように反応槽1を複数基設け、これら反応槽1,1a,1b …… に対して排ガス供給管を直列に接続した構造とすることもできる。このような装置によれば、反応槽1から排出された排ガスを反応槽1aに供給し、さらに、反応槽1aから排出された排ガスを反応槽1bに供給するというように、複数の直列的な反応槽で排ガスを順次処理することにより、排ガス中のCOを効果的に低減させることができる。
【0026】
図1及び図2に示す実施形態の装置では、反応槽1の反応室7bに固体粒子の集合体が装入されて充填層Aが形成され、この充填層Aに対してCO含有排ガスが供給される。排ガスは排ガス供給管4から槽底部の排ガス室7aに供給された後、多孔板6の多数のガス通孔60を通じて充填層Aに供給され、この充填層Aを流れる過程で排ガス中のCOが固体粒子のCaO、Ca(OH)と反応し、COが固体粒子にCaCOとして固定される。この反応を終えた排ガスは槽上部の排ガス排出部3及び排ガス排出管5から槽外に排出される。
そして、このような装置の稼働中に連続的に或いは任意のタイミングで振動装置10を作動させて反応槽1の側壁に振動を与え、これにより槽内壁面への充填物(固体粒子)の付着を防止するとともに、充填層Aの自重による締りを促進し、これにより吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生が抑えられる。
【0027】
また、反応槽1の内壁面9の傾斜による槽内部断面積の縮小により排ガス通気に起因した充填層Aの締まりよる体積減少が相殺され、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生が抑えられ、さらには、反応槽1の隅部8が円弧状であるためこの隅部8での充填物の充填密度が確保され、これにより隅部8での吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生が抑えられる。
また、本実施形態では、排ガス導入部2を反応槽1の底部に設けられる多孔板6とその下方に形成される排ガス室7aとにより構成し、この排ガス室7aに排ガス供給管4を接続した構造であるため、充填層全体に排ガスを流すことができ、COとの反応が不十分な充填層部分が生じるのが防止される。
【0028】
図3は本発明の反応装置の他の実施形態を示す縦断面模式図である。
図において、11は固体粒子の集合体の充填層を形成するための密閉型(又は半密閉型)の反応槽であり、この反応槽11の上端側には排ガス(CO含有排ガス)を供給するための排ガス導入部12が、また、底部側には槽内に供給された排ガスを排出するための排ガス排出部13がそれぞれ設けられ、これら排ガス導入部12と排ガス排出部13には、それぞれ排ガス供給管14と排ガス排出管15が接続されている。なお、上記反応槽11は図示しない充填物出入部(又は充填物の装入部と排出部)を有し、この充填物出入部を通じて反応槽11に対する固体粒子の集合体(充填物)の出し入れを行う。
【0029】
本実施形態では、反応槽11内部がその底部寄りに設けられた多孔板16により仕切られ、多孔板16の下方にガス排出用の排ガス室17aが形成されるとともに、この排ガス室17aに対して前記排ガス排出管14が接続されている。前記多孔板16には、その全面に多数の小径のガス通孔160が貫設されている。したがってこの実施形態では、前記多孔板16と排ガス室17aが排ガス排出部12を構成し、多孔板16の上方の空間が固体粒子を充填する反応室17bを構成している。
【0030】
前記多孔板16に貫設されるガス通孔160の孔径は、固体粒子がガス通孔160を通じて飛散せず且つ固体粒子による詰まりが生じないようにするため、充填層を構成する固体粒子の粒度などに応じて適宜選択される。反応槽11内の充填物(固体粒子)には水分が添加されるため、固体粒子の大きさに対してガス通孔160の孔径がある程度大きくても、固体粒子の飛散性はさほど問題にはならず、実験の結果では、例えば6mmのアンダーの固体粒子(鉄鋼スラグなど)を使用する場合、ガス通孔160の孔径が4mm以下であれば固体粒子の飛散は殆ど無視できる程度であった。一方、ガス通孔160の孔径の下限に関しては、例えば上記のような粒径の固体粒子を使用する場合、孔径が1mm未満となると固体粒子による詰まりが顕著になる傾向が見られた。但し、ガス通孔160を通じた固体粒子の飛散性と固体粒子によるガス通孔160の詰まりの傾向は、使用する固体粒子の篩下粒度だけでなく、粒度分布にも依存しているため、これらに応じて適宜選択される。
【0031】
一般に前記反応槽11の気筒流速は、0.15〜0.01m/sと非常に遅いため動圧に対する配慮は必要がない。このため前記ガス導入部12は必ずしも反応槽11の天井部に設ける必要はなく、反応槽11の側壁上部に設けてもよい。なお、ガス導入部12及びガス供給管14を設置するに当たっては、ガス供給管14内のドレンが充填層上に流入しないように、適当なドレン抜きを設置するなどの対策を採ることが好ましい。
【0032】
排ガスの吹き抜けは反応槽11の内側壁面に沿って形成されやすく、これを防止するためには充填層の上面からその底部に向かって流れる排ガス流は、反応槽11の底部中心側に誘導されるようにすることが好ましい。このため本実施形態では、多孔板16のガス通孔160は槽側壁に近い外縁部には形成せず、その外縁部を除く領域にのみ設けられている。通常、ガス通孔160を設けない多孔板16の外縁部の範囲(すなわち、側壁位置から多孔板中心方向での外縁部の幅)としては、反応槽底部の水平断面形状が矩形状などの多角形状の場合には、その各辺の長さの10%以上、反応槽底部の水平断面形状が円形状の場合には、該円の半径の10%以上、反応槽底部の水平断面形状が楕円形状の場合には、該楕円の短径の10%以上とすることが好ましい。一方、このガス通孔160を設けない外縁部の範囲があまり広いと排ガス流が反応槽11の底部中央側に集中する結果、槽側壁に近い充填物(特に、槽底部に近い充填物)に対する排ガスの供給量が少なくなり、この部分の充填物は未反応のまま残存してしまう。このため上記各場合におけるガス通孔160を設けない外縁部の範囲(幅)は20%以下とすることが好ましい。
【0033】
また、ガス通孔160の個数については、ガス通孔160を通じた固体粒子の飛散や固体粒子によるガス通孔の詰まりを防止するため、排ガス流量を全ガス通孔の断面積の合計(ガス通孔の孔径が全て同じ場合には、ガス通孔の断面積×ガス通孔個数)で除した平均通過流速が10m/s以下、望ましくは1〜3m/s程度になるような個数とすることが好ましい。
【0034】
なお、本実施形態の装置では、図3の仮想線で示すように反応槽11を複数基設け、これら反応槽11,11a,11b …… に対して排ガス供給管を直列に接続した構造とすることもできる。このような装置によれば、反応槽11から排出された排ガスを反応槽11aに供給し、さらに、反応槽11aから排出された排ガスを反応槽11bに供給するというように、複数の直列的な反応槽で排ガスを順次処理することにより、排ガス中のCOを効果的に低減させることができる。
【0035】
図3に示す実施形態の装置では、反応槽11の反応室17bに固体粒子の集合体が装入されて充填層Aが形成され、この充填層Aに対してCO含有排ガスが供給される。排ガスは排ガス供給管14から充填層上方の槽内部空間に供給された後、充填層A内を上から下に向かって流れ、この充填層Aを流れる過程で排ガス中のCOが固体粒子のCaO、Ca(OH)と反応し、COが固体粒子にCaCOとして固定される。この反応を終えた排ガスは多孔板16のガス通孔160を通って排ガス室17aに集められ、槽底部の排ガス排出部13と排ガス排出導管15から槽外に排出される。
【0036】
そして、このように排ガスが充填層A内を上から下に向かって流れるため、排ガス流による充填層Aの持ち上げ効果がなくなり、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生が抑えられる。
さらに、本実施形態では、排ガス排出部13を反応槽11の底部に設けられる多孔板16とその下方に形成される排ガス室17aとにより構成し、この排ガス室17aに排ガス排出管15を接続し、しかも、多孔板16が槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔160を有する構造としたことにより、充填層全体に排ガスを流すことができ、COとの反応が不十分な充填層部分が生じるのが防止されるとともに、特に吹き抜けが生じやすい槽内壁面の近傍でのガス流れの形成が適度に抑制され、吹き抜けの起点となる排ガスの小さな通り道の発生を抑えることができる。
【0037】
上述した2つの実施形態のうち図1及び図2に示す実施形態のものは、下記(a)〜(d)の構成のうちの(a)〜(c)の構成を備えた構造を有し、また、図3に示す実施形態のものは(d)の構成を備えた構造を有するものであるが、本発明の装置は下記(a)〜(d)のうちの少なくとも1つの構成を備えることにより、所望の吹き抜け防止効果が得られる。一方、下記(a)〜(d)の構成のうちの2つ以上の構成を備えることにより、また好ましくは図1及び図2の実施形態のように(a)〜(c)の構成を備えることにより、さらに好ましくは(a)〜(d)の構成の全てを備えることにより、さらに優れた吹き抜け防止効果が得られる。また、下記(a)〜(d)の構成のうちの2つの構成を組み合わせる場合には、(a)−(b)の組み合わせが特に好ましい。
【0038】
(a) 反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設する。
(b) 反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付す。
(c) 反応槽内部の水平断面形状を、円形状、楕円形状又は隅部が円弧若しくは楕円弧状である形状に構成する。
(d) 反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設ける。
【0039】
次に、本発明の装置におけるCOの固定化作用、使用される固体粒子及び排ガスの条件、反応槽に対する固体粒子の装入条件などについて説明する。
本発明の装置内に形成される充填層Aは、例えば、スラグやコンクリートなどのようなCaOおよび/またはCa(OH)(以下、CaOを例に説明する)を含む固体粒子で構成され、この固体粒子の集合体に水の存在下でCO含有排ガスを接触させ、下記の反応により排ガス中のCOを固体粒子にCaCOとして固定し、排ガス中のCOを吸収・除去する。
CaO(固体粒子)+CO(排ガス)→CaCO(固体粒子)
【0040】
CaOを含む固体粒子の集合体を用い、この固体粒子の集合体にCO含有排ガスを接触させることにより、排ガス中のCOを固体粒子にCaCOとして固定する場合、排ガスを固体粒子中に含まれる適当な水分を介して固体粒子に接触させること、より好ましくは固体粒子に表面付着水(固体粒子表面の水膜)を存在させた状態で排ガスを接触させることにより、固体粒子による排ガス中のCOの吸収率を効果的に高めることができる。したがって、充填層Aを構成する固体粒子の集合体は水を含有していること、より望ましくは表面付着水を有していることが好ましい。この表面付着水とは、固体粒子とともに存在する水分のうち、粒子内部に含有される水分以外、すなわち固体粒子外表面に存在する水(水膜)のことである。
また、同様の観点から固体粒子の集合体の含水率は3〜20%であることが好ましい。したがって、このような固体粒子およびその集合体の水分を確保するために、必要に応じて事前に固体粒子の集合体に水分を添加することが好ましい。
【0041】
固体粒子が水分、特に表面付着水を有している場合、排ガス中のCOと固体粒子との反応は、固体粒子から表面付着水中に溶出(拡散)したCa成分(Caイオン)と排ガス中から表面付着水中に溶解した炭酸ガス成分との反応となるが、このような固体粒子の表面付着水を介したCOとの反応が、排ガス中のCOを効率的に吸収・固定する上で特に有効である。
【0042】
すなわち、本発明者らによる当初の予想では、排ガス中のCOを固体粒子中のCaと反応させ、CaCOとして固体粒子に固定するという方法では、反応の進行にしたがい固体粒子表面全体にCaCOが析出し、固体粒子からのCaイオンの拡散が妨げられる結果、工業規模で実用化できるような高いレベルのCO吸収効率は期待できないと考えられていた。しかし、このような予想に全く反し、固体粒子に水分、特に表面付着水を存在させた状態でCOと反応させることにより、極めて高い効率でCOを吸収できることが判明した。
【0043】
この理由は必ずしも明らかではないが、下記のような理由が考えられる。
すなわち、CaOを含む固体粒子の表面に表面付着水を存在させた状態では、表面付着水中に固体粒子側からはCaイオンが、排ガス側からはCO(炭酸イオン)がそれぞれ溶解し、これらが表面付着水中で反応して主に固体粒子の表面にCaCOが析出するが、この析出の際にCaCOの析出核が水中で均一に生成するのではなく、固体粒子表面で生成しやすい不均一核生成として生成するため、CaCOの析出およびその後の成長が固体粒子表面の特定領域でのみ生じる。この結果、CaCOの析出、成長が生じない固体粒子の表面領域が相当な割合で存在することができ、この領域から表面付着水中へのCaイオンの供給(溶出)を維持できるため、COを短時間で効率的に吸収・固定することができるものと考えられる。
【0044】
本発明の装置で使用される固体粒子の集合体は、組成としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体である。固体粒子中に含まれるCa(OH)も、CaOと同様にCOと反応し、これをCaCOとして固定できるため、固体粒子はこのCa(OH)を含むものであってもよい。固体粒子中に含まれるCaO、Ca(OH)は、少なくとも固体粒子の組成の一部として含まれるものであればよく、したがって、鉱物としてのCaO、Ca(OH)の他に、2CaO・SiO、3CaO・SiO、ガラスなどのように組成の一部として固体粒子中に存在するものも含まれる。
【0045】
このような固体粒子の種類に特に制限はないが、特にCaO(および/またはCa(OH))の含有率が高く、しかも資源のリサイクルを図ることができるという点で、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、コンクリート(例えば、廃コンクリート)が好ましい。また、上記スラグやコンクリート以外に、モルタル、ガラス、アルミナセメント、CaO含有耐火物、MgO含有耐火物などが挙げられ、これらの固体粒子の集合体の1種以上を単独でまたは混合して、或いはスラグおよび/またはコンクリートと混合して使用することもできる。
これらの素材は必要に応じて粉状または粒状などに破砕処理され、固体粒子の集合体として用いられる。
【0046】
一般に、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグのCaO濃度は約13〜55wt%、また、コンクリート(例えば、廃コンクリート)のCaO濃度は約5〜15wt%(セメント中のCaO濃度:50〜60wt%)であり、また、これらは入手も極めて容易であるため、CO吸収材となる固体粒子として極めて好適な素材であるといえる。
【0047】
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグとしては、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグなどの高炉系スラグ、予備処理、転炉、鋳造等の工程で発生する脱炭スラグ、脱燐スラグ、脱硫スラグ、脱珪スラグ、鋳造スラグなどの製鋼系スラグ、鉱石還元スラグ、電気炉スラグなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、2種以上のスラグを混合して用いることもできる。
また、コンクリートとしては、例えば、建築物や土木構造物の取壊しなどにより生じた廃コンクリートなどを用いることができる。
また、固体粒子の粒度は特に限定されないが、排ガスとの接触面積を確保して反応性を高めるためにはなるべく粒度が細かい方が好ましく、具体的には実質的に(すなわち、不可避的に含まれる粒度の大きい固体粒子を除き)5mm以下、特に望ましくは1mm以下の粒度が好ましい。
【0048】
本発明の装置が処理の対象とするCO含有排ガスとは、各種設備や装置から排出されるCOを含むガスのことであり、このような排ガス源に特別な制限がないことは言うまでもない。比較的CO濃度が高い排ガスとしては、CaCO焼成炉の排ガス、熱風炉ガス、ボイラー排ガス、コークス炉排ガス、焼結炉排ガス、スラブ加熱炉排ガス、焼鈍炉排ガスなどが挙げられる。また、この排ガスは燃焼排ガスであるか否か、或いは燃料などとして利用可能か否かも問わず、例えば、鉄鋼製造プロセスで発生し、燃料ガスとして利用されている所謂副生ガス(例えば、高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガスなど)も本発明装置が処理の対象とするCO含有排ガスに含まれる。
【0049】
また、処理効率を上げるためには、反応槽内に供給する排ガスを加圧した状態とすることが好ましい。このガス圧力は特に限定しないが、CO分圧が高いほど固体粒子の表面付着水中へのCO溶解速度が大きくなるので、加圧した状態で固体粒子の集合体と接触させれば、大気圧での接触に較べて処理効率を効果的に向上させることができる。
排ガスは、その温度をある程度高くすることにより固体粒子との反応性が高まるが、反応槽内に導入する排ガス温度が、当該反応槽内での水の沸点を超えると固体粒子に付着した水を蒸発させ、却って反応性を阻害する。このため排ガス温度は反応槽内での水の沸点以下とすることが好ましい。
【0050】
また同様の理由から、反応槽内の温度を水の沸点以下に保つこと、さらに、固体粒子の集合体の温度も反応槽内での水の沸点以下に保つことが好ましい。 また、同様の観点から、排ガス中の水蒸気濃度は高い方が好ましく、このため予め排ガスを水中に通すことでHOを飽和させ、しかる後、反応槽に供給するようにすることが好ましい。
また、反応槽内における固体粒子の集合体の充填率が小さいと排ガスが固体粒子に接触する機会が少なくなり、処理効率に影響を与えるため、固体粒子の集合体の充填率は40〜80容積%以上、望ましくは50〜70容積%であることが好ましい。
【0051】
【実施例】
[実施例1]
縦×横×高さがそれぞれ1m×1m×3mの直方体反応槽(反応槽の底部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の上部に排ガス排出部を設け、前記排ガス導入部を反応槽の底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、この排ガス室に排ガス導入管を接続し、前記多孔板にはその全面に均一にガス通孔を設けた反応槽)を有する反応装置に対して、下記に示すような吹き抜け改善策1〜3を単独で又は2つ以上組み合わせて施し、各々の装置を使用した場合の充填層の吹き抜けの発生状況を調べた。
【0052】
改善策1:反応槽の両側壁の外側(槽高さ方向の中間位置)に2基の偏芯質量型振動装置(出力1KW)を付設し、この振動装置を排ガス通気の初期段階から作動させ、反応槽の側壁に連続して振動を付与した。
改善策2:反応槽の内壁面の高さ方向に1/5と1/10の2水準の傾斜を付した。
改善策3:反応槽の4つの隅部に100mmのアールを付した。
【0053】
上記改善策1〜3を単独で又は2つ以上組み合わせて施した試験例2〜5と、上記改善策を全く施さなかった試験例1の結果を表1に示す。なお、試験例1〜5では反応槽内に粒度5mm以下の製鋼スラグを装入して充填層を形成し、排ガス導入部からCOを25%、他は概略N2よりなる排ガスを供給して、48時間の処理を行った。試験1〜5では槽内に供給する排ガス流量や充填物などの条件は全て同じにした。
また、試験例1及び試験例5でのCO吸収固定率は、化学分析法により試験後及び保存しておいた試験前のスラグ中のCO含有率(CaCO量から換算されるCO含有率)を測定し、両者を比較することにより求めた。
【0054】
表1によれば、試験例2〜5は程度の差はあるものの吹き抜け発生の改善効果が得られている。また、その中でも「改善策1」を単独で実施した試験例2に較べて「改善策1」と「改善策2」を組み合わせた試験例3,4の方が吹き抜け発生の改善効果が高く、さらに「改善策1」〜「改善策3」を組み合わせた試験例5が最も高い改善効果が得られている。また、この試験例5では試験例1に較べてCO吸収固定率が約20%増加した。
【0055】
【表1】
Figure 0003624784
【0056】
[実施例2]
縦×横×高さがそれぞれ1m×1m×3mの直方体反応槽を有し、且つ以下のような構造を有する反応装置(試験例1〜3)を用い、各々の装置におけるCO吸収固定率を調べた。
【0057】
試験例1:反応槽の底部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の上部に排ガス排出部を設け、前記排ガス導入部を反応槽の底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、この排ガス室に排ガス導入管を接続した。多孔板にはその全面にガス通孔を等間隔で設けた。
試験例2:反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設け、この排ガス排出部を反応槽の底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、この排ガス室に排ガス排出管を接続した。多孔板にはその全面にガス通孔を等間隔で設けた。
試験例3:装置の基本構造は試験例2と同じであるが、多孔板については、その外縁部の幅120mmの部分を除く部分にガス通孔を等間隔で設けた。
【0058】
なお、試験例1〜3では反応槽内に粒度5mm以下の製鋼スラグを装入して充填層を形成し、排ガス導入部からCOを25%、他は概略Nによりなる排ガスを供給して、48時間の処理を行った。試験例1〜3では槽内に供給する排ガス流量や充填物などの条件は全て同じにした。
CO吸収固定率は、化学分析法により試験後及び保存しておいた試験前のスラグ中のCO含有率(CaCO量から換算されるCO含有率)を測定し、両者を比較することにより求めた。
これらの試験結果では、試験例2のCO吸収固定率は試験例1に較べて約12%増加し、試験例3のCO吸収固定率は試験例1に較べて約18%増加した。
【0059】
【発明の効果】
以上述べた本発明の装置によれば、CaOやCa(OH)を含む固体粒子の充填層に適当な水分の存在下でCO含有排ガスを導入することにより、排ガス中のCOを固体粒子に吸収固定することができ、また、その際に充填層内でのガス吹き抜けを適切に防止し、COの効率的な吸収固定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反応装置の一実施形態を示す縦断面模式図
【図2】図1のII−II線に沿う断面模式図
【図3】本発明の反応装置の他の実施形態を示す縦断面模式図
【図4】反応槽内での吹き抜けの発生状況を示す説明図
【符号の説明】
1,1a,1b…反応槽、2…排ガス導入部、3…排ガス排出部、4…排ガス供給管、5…排ガス排出管、6…多孔板、7a…排ガス室、7b…反応室、8…隅部、9…内壁面、10…振動装置、11,11a,11b…反応槽、12…排ガス導入部、13…排ガス排出部、14…排ガス供給管、15…排ガス排出管、16…多孔板、17a…排ガス室、17b…反応室、60,160…ガス通孔

Claims (10)

  1. 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
    前記反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設したことを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  2. 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
    前記反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付したことを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  3. 反応槽の排ガス導入部を、槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス供給管を接続したこと特徴とする請求項1又は2に記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  4. 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH) を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO 含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO 含有排ガス中のCO を吸収固定させるための反応装置であって、
    前記反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設け、該排ガス排出部を、槽底部に設けられ且つ槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔を有する多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス排出管を接続したこと特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  5. 少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(OH)を含む固体粒子の集合体が水分を含んだ状態で充填される反応槽を有し、該反応槽内にCO含有排ガスを導入して前記固体粒子にCO含有排ガス中のCOを吸収固定させるための反応装置であって、
    前記反応槽が下記(a)〜(d)の中から選ばれる2つ以上の構成を備えていることを特徴とする排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
    (a) 反応槽に槽側壁に振動を与えるための振動装置を付設する。
    (b) 反応槽の内壁面に、槽下方に向けて槽内部の水平断面積を減ずるような傾斜を付す。
    (c) 反応槽内部の水平断面形状を、円形状、楕円形状又は隅部が円弧若しくは楕円弧状である形状に構成する。
    (d) 反応槽の上部に排ガス導入部を設けるとともに、反応槽の底部に排ガス排出部を設け、該排ガス排出部を、槽底部に設けられ且つ槽側壁に近い外縁部を除く領域にのみガス通孔を有する多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス排出管を接続する。
  6. 反応槽が(a)〜(c)の構成を備えていることを特徴とする請求項5に記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  7. 反応槽が(a)〜(c)の中から選ばれる2つ以上の構成を備え、且つ反応槽の排ガス導入部を、槽底部に設けられる多孔板とその下方に形成される排ガス室とにより構成し、該排ガス室に排ガス供給管を接続したこと特徴とする請求項5又は6に記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  8. 反応槽が(a)〜(d)の構成を備えていることを特徴とする請求項5に記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  9. 反応槽が(d)の構成と(a)〜(c)の中から選ばれる1つ以上の構成とを備えていることを特徴とする請求項5に記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
  10. 反応槽が、少なくとも組成の一部としてCaOおよび/またはCa(O H) を含む固体粒子の集合体が粒子表面に付着した水膜を有する状態で充填される反応槽であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の排出炭酸ガス吸収反応用の反応装置。
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