JP3624231B2 - 自動車用内装部品の支持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車用内装部品の支持装置に係り、特に、サンバイザやアシストグリップなどの自動車用内装部品の支持に好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車などの自動車の車内には、アシストグリップやサンバイザなどの内装部品が多種多様に設けられており、これら部品は多くが車体パネルに支持されている。
【0003】
従来、上記各内装部品を支持するために装置として、例えば、アシストグリップの場合で説明すると、特表平10−51293号公報に開示されたものが公知である。
【0004】
この公表公報には、アシストグリップに対して締結あるいは一体成形されたクリップを備え、該クリップには車体パネルの開口に装着可能な脚部が設けられ、さらに、脚部間には、これに対して着脱可能なベゼルに形成されているロック用桁状部が挿入されて脚部の一方のスロット内に上記ロック用桁状部が入り込むことで脚部の相対的な動きを規制するようにした構成が開示されている。
【0005】
つまり、上記従来技術では、脚部を車体パネル側の開口にスナップ式に装着すると共に脚部が閉じ態位となるのをベゼルに形成されたロック用桁状部によって規制することで脚部が車体パネル側の開口から脱落しないように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成にあっては、クリップに設けられている脚部が片持ち梁状の装置であることから、撓みやすく、車体パネルにスナップ形式で装着された際、外力が作用すると変形しやすく、もって脱落しやすい、という課題を有していた。また、クリップに装着されるキャップに相当するベゼルは、クリップの脚部内側に挿入されて脚部の相対移動を規制するように構成されているため、拡開弾性を有する脚部が車体パネルの開口に装着された後、その弾性により脚部が拡開するとガタを生じやすくなり、キャップがぐらついて不安定となりやすい、という課題も有していた。さらに、脚部が装着される開口を有する部材、例えば、トリムなどが柔軟性部材であると、脚部に対して引き動かす力が作用した場合、脚部とこの脚部が当接する開口周縁部との間の接触面積が小さいため負荷の集中が発生し、トリムがつぶれてガタを生じやすくなる。しかも、装飾上、アシストグリップの一部に被冠されるベゼルはアシストグリップと同じ材質で構成されることが多く、これにより、必要十分な引張り強度が保てなくなる虞れもある等、多くの課題を有していた。
【0007】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、内装部品を確実に係止した状態で支持できると共に、内装部品の一部にガタつきや強度劣化が発生しない自動車用内装部品の支持装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明にあっては、自動車用内装部品を支持する基部と、この基部から延長され、車体パネル側の取付穴に挿入後に該取付穴の開口周辺に係止可能な状態に拡開して成る一対の係止片を有する壁部と、を有する支持部と、この支持部に着脱可能で、上記支持部が取付穴に挿入された後に係止片の収縮変形を規制する規制部を有するキャップと、を有する自動車用内装部品支持具において、上記支持部の外周面には、キャップ取付方向に沿って溝部を形成するとともに、上記キャップには、前記溝部と係脱可能な爪片を形成して、支持部とキャップとを係止したことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載された発明にあっては、自動車用内装部品を支持する基部と、この基部から延長され、車体パネル側の取付穴に挿入後に該取付穴の開口周辺に係止可能な状態に拡開して成る一対の係止片を有する壁部と、を有する支持部と、この支持部に着脱可能で、上記支持部が取付穴に挿入された後に係止片の収縮変形を規制する規制部を有するキャップと、を有する自動車用内装部品支持具において、上記取付穴より大きく、パネルと基部との間に位置される部材の穴より小さい径の段部を、上記支持部と壁部との間に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載された発明にあっては、上記係止片は、各々対向させて壁部の一部が切り起こされて、上記段部側を先端として拡開させたものであることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
それ故、請求項1に記載された発明にあっては、キャップ部と支持部との係合が強固になるため、不用意に脱落してしまうことが有効に防止される。しかも、両部材のがたつきも防止される。
【0012】
また、請求項2に記載の発明にあっては、自動車用内装部品からの荷重が支持部と車体パネルとに大きく作用し、該車体パネルと上記基部との間に位置される部材には、この荷重がさほど作用しなくなる。この結果、上記部材が軟質材等の場合であってもこの部材の耐久性を向上させることができる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、係止片は、壁部で支えられることになり、よって、係止片は、段部側を先端とすることができるので、段部に壁部を設けても、車体パネル取付穴周縁に当接させる先端には十分な撓みを確保させることができる。この結果、係止片のたわみ剛性が大きくなり、その分、がたつきや脱落を有効に防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施の一形態例に基づきこの発明を詳細に説明する。
図1に示すように、この形態例に係る自動車用内装部品の支持装置は、支持部1と、キャップ2と、から構成されている。
【0015】
この支持部1とキャップ2とは、相互に異なる種類の樹脂材料によって成形された部材であり、そのうちの支持部1は、本形態例の場合、自動車用内装部品であるアシストグリップ(図示せず)の回転軸を支持するように構成されている。
【0016】
即ち、上記支持部1には、上記回転軸を挿通支持するための支持ブラケット部1Aと、該ブラケット部1Aと一体成形された係止片1Bおよび弾性片1Cと、が設けられている。
【0017】
そして、上記支持部1は、図2に示すように、支持ブラケット1Aの基部であるベース部1A1と、このベース部1A1を挟んで支持ブラケット1Aと反対側に位置する中空角柱部1A2と、を備えて構成されている。尚、上記支持ブラケット1Aには、内部に後述するキャップ2の規制片を挿通するための開口を有する凹部が設けられている。
【0018】
ベース部1A1は、図2に示すように、車体パネルPに重畳されるトリムTに形成されてなる取付穴に挿嵌可能なサイズを有し、また、上記中空角柱部1A2は、ベース部1A1よりも小さく形成されて、車体パネルP側の取付穴に挿通できるように構成されている。この中空角柱部1A2とベース部1A1とのサイズの違いにより、ベース部1A1には、中空角中部1A2の取り付け基部側面に段部Dが形成されることになる。
【0019】
また、上記係止片1Bは、図1に示すように、上記中空角柱部1A2における対向壁面の一部が側方に向けて切り起こされて上記段部D側を先端として形成されており、基端が壁部に一体化され、かつ、先端が車体パネルP側に形成された取付穴の外周縁に向けて拡開させて構成されている。そして、この係止片1Bの先端部には、図2に示すように、車体パネルPの取付穴の周縁近傍に対面できるように拡開弾性が付与されている。
【0020】
さらに、上記弾性片1Cは、上記係止片1Bとは位相を異ならせた位置で上記壁部に基端が一体化され、かつ、その先端は上記トリムT側の取付穴の径寸法よりも大きくなるように拡開形成されている。
【0021】
従って、上記係止片1Bは中空角柱部1A2の壁部の一部を切り起こして形成されているので、先端までの長さを短くすることができ、これによって、片持ち梁状であっても曲げモーメントを小さくして剛性を高めることができ、車体パネルPに対する抜け止め用の係止力を大きくすることができる。また、上記係止片1Bは、壁部で支えられることになり、よって、この係止片1Bは、段部D側を先端とすることができるので、この段部Dに壁部を設けても、車体パネル取付穴周縁に当接させる先端には十分な撓みを確保させることができる。この結果、係止片1Bのたわみ剛性が大きくなり、その分、がたつきや脱落を有効に防止できる。
【0022】
一方、上記支持部1における支持ブラケット1A側には、その外周面方向に沿って複数の溝1A3が凹設されている。これらの溝1A3は、取付穴に対する支持部1の挿入方向と平行に形成されており、後述するキャップ2の係止爪が係合できる断面形状を備えている。
【0023】
また、上記キャップ2は、図3に示すように、有底筒状の蓋部2Aと、この蓋部2Aの周方向に沿って支持部1側の溝1A3と同位相で突出する係止爪2Bと、蓋部2Aの内面の略中央位置に植設された規制部2Cと、を有して構成されている。
【0024】
上記係止爪2Bの突出する先端部には、上記溝1A3と係合する鈎部が形成されており、また、規制部2Cは、図2に示すように、支持部1に形成された係止片1Bの配置位置間に挿入されて係止片1Bの収縮変形を規制するように構成されている。
【0025】
上述のように構成される本形態例に係る自動車用内装部品の支持装置により、アシストグリップを取り付ける工程は、以下のとおりである。すなわち、先ず支持部1をトリムTへ仮固定する。トリムTは、車体パネルPの取付穴よりも大きい径の取付穴を有しており、このトリムTの取付穴へ支持部1の中空角柱1A2が挿入される。この際、中空角柱部1A2に形成された弾性片1Cにより、トリムTが支えられ、支持部1へ仮固定された状態となる。
【0026】
次いで、仮固定状態にある上記トリムTと支持部1とを、車体パネルPへ取り付ける。中空角柱部1A2は、車体パネルPの取付穴へ挿入されると、係止片1Bにより抜け止めされた状態となる。このようにして、上記支持部1と車体パネルPとの間に上記トリムTが挟まれた状態となる。
【0027】
一方、上記支持部1がトリムTおよび車体パネルPの取付穴に装着されると、キャップ2が支持部1の外周面を抱え込むようにして装着される。このように、上記キャップ2は周方向の複数箇所で支持部1の外周面を抱え込んでいるので、周方向と直角な方向に対するずれが発生する心配が全くなく、がたつきを確実に防止することができる。
【0028】
また、上記キャップ2は、支持部1に形成された溝1A3に対して係止爪2Bが嵌り込むことで、上記規制片2Cを係止片1Bの配置位置間、つまり中央部に挿入することができるので、係止片1Bの収縮変形が規制されて支持部1の抜け止めを確実に経時保持することができる。
【0029】
さらに、上記ベース部1A1には、中空各部1A2とのサイズの違いにより段部D(図2参照)が形成され、この段部Dに車体パネルPが位置するようにセットされるので、支持ブラケット1A側に引き動かされるような負荷(荷重)が作用した場合でも、この荷重がトリムTに強く作用することはなく、もってトリムTが潰れる等の虞れがなくなり、トリムTの耐久性向上に寄与する。
【0030】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明にあっては、キャップ部と支持部との係合が強固になるため、不用意に脱落してしまうことが有効に防止される。しかも、両部材のがたつきも防止される。
【0031】
また、請求項2に記載の発明にあっては、自動車用内装部品からの荷重が支持部と車体パネルとに大きく作用し、該車体パネルと上記基部との間に位置される部材には、この荷重がさほど作用しなくなる。この結果、上記部材が軟質材等の場合であってもこの部材の耐久性を向上させることができる。
【0032】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、係止片は、壁部で支えられることになり、よって、係止片は、段部側を先端とすることができるので、段部に壁部を設けても、車体パネル取付穴周縁に当接させる先端には十分な撓みを確保させることができる。この結果、係止片のたわみ剛性が大きくなり、その分、がたつきや脱落を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態例に係るアシストグリップの支持装置の構成を示す斜視図である。
【図2】同支持装置が車体側に装着された状態を説明するための図である。
【図3】同支持装置のキャップの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 支持部
1A 支持ブラケット
1A1 ベース部
1A2 中空角柱部
1A3 溝
1B 係止片
1C 弾性片
2 キャップ
2A 蓋部
2B 係止爪
2C 規制部
D 段部
Claims (3)
- 自動車用内装部品を支持する基部と、この基部から延長され、車体パネル側の取付穴に挿入後に該取付穴の開口周辺に係止可能な状態に拡開して成る一対の係止片を有する壁部と、を有する支持部と、この支持部に着脱可能で、上記支持部が取付穴に挿入された後に係止片の収縮変形を規制する規制部を有するキャップと、を有する自動車用内装部品支持具において、
上記支持部の外周面には、キャップ取付方向に沿って溝部を形成するとともに、上記キャップには、前記溝部と係脱可能な爪片を形成して、支持部とキャップとを係止したことを特徴とする、自動車用内装部品支持具。 - 自動車用内装部品を支持する基部と、この基部から延長され、車体パネル側の取付穴に挿入後に該取付穴の開口周辺に係止可能な状態に拡開して成る一対の係止片を有する壁部と、を有する支持部と、この支持部に着脱可能で、上記支持部が取付穴に挿入された後に係止片の収縮変形を規制する規制部を有するキャップと、を有する自動車用内装部品支持具において、
上記取付穴より大きく、パネルと基部との間に位置される部材の穴より小さい径の段部を、上記支持部と壁部との間に設けたことを特徴とする、自動車用内装部品支持具。 - 前記係止片は、各々対向させて壁部の一部が切り起こされて、前記段部側を先端として拡開させたものであることを特徴とする、請求項2に記載の自動車用内装部品支持具。
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