JP3622903B2 - 軟弱地盤改良工法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にセメントミルク等の流動物を軟弱地盤中に噴出し、原位置土と混合する軟弱地盤改良工法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤改良では、固化系流動物を軟弱土に供給・混合して、強固な柱状パイルを造成したり、土質性状を安定化することにより地盤強度を改良する場合がある。流動物は、例えば、セメントミルクであり、グラウポンプ等により回転軸に沿って設けられた配管経路に圧送され、撹拌翼の付け根部等に設けられた吐出口から撹拌翼の回転によって形成される空隙に排出される。排出された流動物は、撹拌翼の回転に伴って回転軌跡に散布され、原位置土と撹拌混合される。
ところで、本出願人は、従来軟弱地盤改良における流動物の排出形態を工夫することにより、原位置土の流動性を上げ、効率施工を可能にした工法及び装置を先に開発した(例えば、特開2000−290993号)。この技術は、流動物をポンプの移送能力により配管経路の下端吐出口から吐出する従来構成(単独排出態様)に代え、流動物を圧縮エアーに同伴させて軟弱土へ吐出する構成(エアー同伴噴出態様)にしたものである。構造的には、流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段を組として有し、又、混合エジェクターにより流動物供給手段から導入される流動物を、圧縮エアー供給手段から導入される圧縮エアーに同伴させて、原位置土へ霧状に吐出させる。作動的には、流動物を圧縮エアーに乗せて霧状に噴出するため吐出力を数段増大でき、かつ、流動物を軟弱土に高速で衝突させるため土流動化及び土細分化つまり混合撹拌効率を向上できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記したエアー同伴噴出態様では、固化系流動物の吐出力が回転軸の地中深さが増すと土圧等の影響を受けて次第に弱くなり、目的の土流動化及び土細分化作用を維持し難くなることが判明した。また、この対策としては、回転軸の貫入に応じ圧縮エアーの圧力を増すことが考えられるが、その場合にどの様な指標ないしは目安が妥当するかが問題となる。
【0004】
本出願人らは、以上の問題について検討を重ねてきた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的は、上記したエアー同伴噴出態様において、貫入深さが増しても、所定の調整指標により施工することにより前記した土流動化及び土細分化作用を深さ方向で同等に与えることができ、高品質化及び信頼性を向上することにある。他の目的は以下の説明と共に明らかにする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の本発明は、撹拌翼付の回転軸と、固化系の流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段と、前記回転軸又は撹拌翼側に設けられて、前記流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段に対応する配管を介し接続される混合エジェクターとを備え、前記回転軸の地中への貫入や引き抜き過程等で、前記混合エジェクターにより前記流動物供給手段から対応配管を介し送られる流動物を圧縮エアー供給手段から対応配管を介し送られる圧縮エアーに同伴させて原位置土へ噴出し原位置土と混合する軟弱地盤改良工法であって、前記圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを、次式1に基づいて前記回転軸の深度z方向に沿って調整することを特徴としている。
P=(γ×z+ΔP)+α×qc (式1)
なお、式1中、γ×zは処理対象である軟弱土の土水圧(kgf/cm2)、ΔPは前記配管固有の圧送損失(kgf/cm2)、αは土質係数、qcはコーン指数(kgf/cm2)である。
【0006】
また、請求項3の発明は、上記発明工法を装置的に捉えたもので、地中へ貫入されたり引き抜かれる回転軸と、該回転軸と一体に回転される撹拌翼と、供給装置を構成している流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段と、前記回転軸又は撹拌翼側に設けられて、前記流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段に対応する配管を介し接続され、前記流動物供給手段から送られる固化系流動物を圧縮エアー供給手段から送られる圧縮エアーに同伴させて噴出可能な混合エジェクターとを備えた軟弱地盤改良装置であって、前記圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを、前記式1を基にし前記回転軸の深度z方向に沿って調整する制御手段を有していることを特徴としている。
【0007】
以上の各本発明は、流動物をポンプの移送能力により配管経路の下端吐出口から吐出する従来構成(以下、これを単独排出態様と称する)ではなく、流動物を圧縮エアーに同伴させて軟弱土へ吐出する構成(以下、これをエアー同伴噴出態様と称する)を対象としている。従って、流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段、混合エジェクター自体は、特開2000−290993号、特願2000−196709号等に記載のものと同じか類似している。要部は、圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを、前記式1に準拠して回転軸の深度z方向に沿って調整することにあり、試験から導き出された以下の原理に基づいている。
【0008】
本発明の原理を図2を参照し説明する。図2は前記エアー同伴噴出態様を適用した場合、深度zに沿って圧縮エアー供給手段から圧送するエアー圧力Pをどの様に調整したら、上記土流動化及び土細分化を伴う混合撹拌作用を深さ方向各部で等しく作用させることができるか、検証した結果を模式化したものである。破線は固化材を噴出する際に受ける土水圧γ×zである。この土水圧は地中深さに比例して増大し、施工対象の深さが定まることにより算出される。一点鎖線は配管系に発生する圧送損失ΔPである。この圧送損失は、図1の如く用いられる軟弱地盤改良装置が処理対象域に設置されて前記配管の長さ等が決まることにより算出される。通常は0.5〜2kgf/cm2の範囲となる。そして、流動物を地中へ排出するには、少なくとも土水圧及び圧送損失よりも高い圧力、つまり前記式1中の(γ×z+ΔP)の値以上にしなければならない。この点は上記従来の単独排出態様にも当てはまる。
【0009】
本発明は、上記式1の(α×qc)の項目を工夫したものであり、上記混合撹拌作用(土流動化及び土細分化)を深さ方向各部で等しく得るようにしたり、固化材の投入量を深さ方向でも均等になるよう調整可能にする。上記式1の(α×qc)は、図2において土のせん断力に相当している。この土のせん断力は、上記エアー同伴噴出態様において、固化材が地中へ噴出されて原位置土を流動化・細分化するに要する力である。この土のせん断力は、土質係数とコーン指数との積として求められることが試験から分かった。土質係数αは、施工対象の土質又は地盤性状を示す係数である。粘性土では0.2〜1.0の範囲であり、砂質土では0.4〜1.0となる。コーン指数qcは、施工対象地盤強度であり、オランダ式コーン貫入値に限られず、粘性土等で使用される一軸圧縮強度(qu)から推定算出される値であってもよく、更にN値等から推定算出される値も含む広義なものである。後者の例としては、「Meyerhof」の提案する、qc=4N(社団法人、土質工学会「土質基礎工学ライブラリー4」、昭和62年2月25日発行を参照)の様にN値等に換算した値が挙げられる。
【0010】
以上の様に、本発明は、上記エアー同伴噴出態様において、圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを深度z方向に沿って上記式1に準拠し調整することで、流動物が地中深さ方向で調整された圧力Pにて均一に噴出され、かつ、上記した土流動化及び土細分化作用が深さ方向各部で等しく行われるようにして、施工パイル等の安定施工と品質及び信頼性を向上したことに意義がある。
【0011】
請求項2は、前記混合エジェクターから噴出される流動物と圧縮エアーとの体積混合率について、流動物:圧縮エアー=1:5〜30になるようにすることを特定したものである。これは、実際の改良施工において、流動物の投入量が対象地盤の一軸圧縮強度等から決められ、圧縮エアーの供給量が該流動物の投入量に対し5〜30倍となるよう設定されることを意味する。この体積混合率は、試験から得られた値であり、上記した土流動化及び土細分化作用、更には安定及び効率施工の観点から最適な値となる。
請求項4は上記制御手段を具体的に特定したもので、圧縮エアー供給手段と混合エジェクターとの間の配管経路に設けられた圧力計、流量計、圧力調整弁、流量調整弁と共に、上記式1に基づいて前記圧力調整弁を可変調整するエアー演算処理部を有している構成である。この場合は、エアー演算処理部が式1に準拠して圧力調整弁を可変調整つまり自動制御を可能にする。勿論、本発明は、作業者が式1に基づいて回転軸の深さ方向毎にエアー圧Pを手動にて調整しても上記作動を同じく実現できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態である図面を参照しながら更に説明する。図1は実施形態を模式的に示す全体構成図、図2は本発明要部の原理図、図3は最適体積混合率を説明するための参考図、図4は図1の軟弱地盤改良装置に用いられる混合エジェクターの構成例を示す図である。以下の説明では、軟弱地盤改良装置、混合エジェクター、供給装置、制御手段、施工要領の順に述べる。
【0013】
(軟弱地盤改良装置)図1の軟弱地盤改良装置は、回転軸1を主体とし、撹拌翼3、回転駆動機構4及びスイベル管5、供給装置として流動物供給手段6及び圧縮エアー供給手段7、配管2として流動物用配管経路2a,2A及び圧縮エアー用配管経路2b,2B、各配管経路2A,2Bが接続される混合エジェクター13を有している。また、制御手段20としてはエアー演算処理部21、流動物演算処理部22、体積混合率演算部23を備え、制御手段20で調整した状態で流動物を圧縮エアーに乗せて混合エジェクター13から噴出可能にするものである。
【0014】
回転軸1は有底筒状をなし、内部上下方向に沿って配管経路2A,2Bを配置しており、軸下端側に2段に設けられてそれぞれ2枚構成の撹拌翼3A、3Bと、撹拌翼3Bに設けられた混合エジェクター13とを有し、上端側に設けられる回転駆動機構4により回転される。即ち、施工時には、例えば、回転軸1が図示を省略しているベースマシン側の支持用リーダー8及びウインチ機構等を介して上下動可能に支持されて、地盤下へ貫入されたり引き抜かれる。回転駆動機構4は、回転軸1をモーター及び減速ギア機構等を介し正転・逆転するもので、全体が回転軸1と共にリーダー8に沿って昇降される。なお、構造的には、施工条件に応じ、回転軸1が複数本で構成されたり、掘削刃9が軸下端に装着されたり、エアー回収用リブ材が軸上下方向に付設されたり、共回り防止板が付設される。
【0015】
各配管経路2A,2Bは模式化されており、スイベル管5側から回転軸1内に挿入されて、図4の如く撹拌翼3Bに対応する内下側まで延び、撹拌翼3Bに対応した回転軸1の壁面を貫通した状態に設けられている。各上端は、流動物供給手段6及び圧縮エアー供給手段7の対応配管経路2a,2bに接続具を介し接続されている。各下端は、直に又は接続パイプを介し軸外へ貫通されて、混合エジクター13の対応入口側に接続されている。なお、配管経路2A,2Bは、2本独立したものを例示したが、圧縮エアーと流動物とを独立して圧送できれば、公知の二重管等であってもよい。
【0016】
(混合エジェクター)混合エジェクター13は、図4の如く鋼製ハウジングが導入筒部14、ノズル部17、取付部18とを形成している。導入筒部14内は、後側のエアー供給部14bと前側の流動物供給部14aとが弁機構等により区画され、又、各供給部14a,14bに入口13a,13bが設けられている。この弁機構は、導入筒部14の内周に固定されて、エア供給部14bに導入される圧縮エアーを内部に導入可能な(弁座を形成している)弁ケース15と、弁ケース15内と流動物供給部14a側とを開閉する弁部材16とを有している。そして、入口13aには配管経路2Aが、入口13bには配管経路2Bが直に或いはパイプを介し接続される。弁部材16は、通常、バネ部材16aにより閉状態になっていて両供給部14a,14bの間を遮断しており、エアー供給部14b(弁ケース15)内が所定圧になるとバネ部材16aの付勢圧に抗し開状態に切り換えられて圧縮エアーを供給部14b側から供給部14a側へ導入する。これにより、供給部14a内に導入された流動物は、供給部14bから導入される圧縮エアーに乗せられてノズル部17側へ導出される。ノズル部17は、後側が供給部14aに接合一体化され、前側に行くに従って横幅を増大している。ノズル部17の噴出口13cは、供給部14a側から先端に向けて次第に横幅を増大した偏平な開口となっている。以上の混合エジェクター13は、撹拌翼3Bの下面側で左右略中間箇所に、噴出口13cが撹拌翼3Bの混合作動時における回転方向を向くよう配置され、取付部18等を溶接等にて固着される。なお、混合エジェクター13については、例えば、特開2000−290993号の図3及び図4の如くノズル部17を分割したり、回転軸1や撹拌翼3への取付態様として特願2001−61262号の図4の様な構成でも差し支えない。
【0017】
(供給装置)圧縮エアー供給手段7は、コンプレッサー7aを主体とし、配管経路2bに付設されたエアー圧力計7b、エアー流量計7c、エアー流量調整弁7d、エアー圧力調整弁7eを備えている。コンプレッサー7aの駆動により生成される圧縮エアーは、後述する制御手段20のエアー演算処理部21でエアー圧を調整された状態で配管経路2Bへ供給される。これに対し、流動物供給手段6は、セメント等の流動物原料用サイロ6aと、該サイロ6aから導入される原料と不図示の水槽側から導入される水とを混合し所定の流動物を製造する製造プラント6bと、低圧ポンプ(グラウトポンプ等)6cとを主体とし、前記配管経路2aに付設された流動物圧力計6d、流動物流量計6e等を備えている。製造プラント6bで製造された流動物は、制御手段20の流動物演算処理部22で流量が調整された状態で供給配管経路2Aへ供給される。
【0018】
(制御手段)制御手段20は、エアー演算処理部21と、流動物演算処理部22と、体積混合率演算部23とを組として構成されている。このうち、エアー演算処理部21は、体積混合率演算部23からの指示信号に基づき、圧縮エアー供給手段7から圧送される圧縮エアーの流量をエアー流量調整弁7dを介し調整(例えば、初期設定調整)したり、圧送される圧縮エアーのエアー圧Pを回転軸1の深度z方向に沿って調整するものであり、上記式1に準拠したプログラムが組み込まれている。エアー演算処理部21には、回転軸1を地中へ貫入したり引き抜く過程における軸下端の深さデータ又は検出値(深度z)が送信されると共に、配管経路1bに圧送される圧縮エアーについて、エアー圧力計7bで検出される圧力検出値と、エアー流量計7cで検出される流量検出値とが送信される。一方、流動物演算処理部22は、体積混合率演算部23からの指示信号に基づき、流動物供給手段6から圧送される流動物の流量を低圧ポンプ6cを介し調整(例えば、初期設定調整)する。流動物演算処理部22には、回転軸1を地中へ貫入したり引き抜く過程における軸下端の深さデータ又は検出値(深度z)が送信されると共に、配管経路2aに圧送される流動物について、流動物圧力計6dで検出される圧力検出値と、流動物流量計6eで検出される流量検出値とが送信される。
【0019】
これに対し、体積混合率演算部23は、流動物と圧縮エアーとの最適混合率に関するプログラムが組み込まれ、エアー演算処理部21を介し受信したエアー流量計7cの流量検出値と、流動物演算処理部22を介し受信した流動物流量計6eの流量検出値とが設計上の最適混合率からずれているか否かを判断し、最適混合率からずれているときに、エアー演算処理部21を介しエアー流量調整弁7dを調整したり、流動物演算処理部22を介し低圧ポンプ6cを調整する。以上の最適混合率とは、図3に模式化した如く予め設計で決定される流動物と圧縮エアーとの混合率であり、ノズル部17から地中へ噴出されるときのエアーと流動物との単位体積当たりの割合である。この混合率としては、試験から確認された流動物:エアー=1:5〜30の比率が好ましい。なお、流動物の方は、目標とする一軸圧縮強度から算出され一定値となる。このため、通常は、流動物の供給量は一定で、圧縮エアーの方で最適混合率が調整(エアー流量調整弁7dを介し調整)されることになる。
【0020】
(施工要領)次に、以上の制御手段20の作動例を実際の地盤改良工法例と共に概説する。まず、実施工では、上記した最適混合率となる様に配管経路2bへ圧送される圧縮エアーの流量がエアー流量調整弁7dを介し初期設定され、又、配管経路2aへ圧送される流動物の流量が低圧ポンプ6cの駆動力を介し初期設定された後、回転軸1が回転駆動機構4により回転されて、貫入過程又は/及び引き抜き過程にて混合操作が行われる。即ち、混合処理段階では上記初期設定された通り、流動物が配管経路2a及び配管経路2Aを通って混合エジェクター13(流動物供給部14a)まで圧送され、同時に、圧縮エアーが配管経路2b及び配管経路2Bを通って混合エジェクター13(エアー供給部14b)まで圧送される。そして、混合エジェクター13では、上記した如くエアー供給部14bが所定圧になるとバネ部材16aの付勢圧に抗し弁部材16が開状態に切り換えられ、圧縮エアーが供給部14b側から供給部14a側へ導入されて、供給部14aに導入された流動物がその圧縮エアーに乗せられてノズル部17の噴出口13cから、地中の原位置土へ向けて噴出する。この噴出態様は、流動物が圧縮エアーに同伴して霧状に噴出され、撹拌翼3Bの回転軌跡内で撹拌翼回転方向である前方へ強く噴射している。即ち、このエアー同伴吐出態様では、流動物が圧縮エアーに乗せられ原位置土を細分化したり流動化している。なお、本発明は、それらの作用が上記した如く地中深さに対応した土圧等の抵抗を受けて維持不能となることを解消したものである。
【0021】
即ち、エアー演算処理部21では、上記式1により、前記深さデータ(深度z)に対応して圧縮エアーのエアー圧Pを演算し、該演算値がエアー圧力計7bで検出される圧力検出値と異なるときに、前記したエアー圧力調整弁7eへ信号を送ってエアー圧力調整弁7eを制御する。この制御は、前記演算値を充足するようエアー圧力調整弁7eを自動的に調整する。調整結果は、エアー圧力計7bで検出される圧力検出値により確認される。このため、この構造では、回転軸1が地中深く貫入しているときも、上記エアー同伴吐出態様の原位置土に対する土細分化作用や土流動化作用を同等に維持できる。このようにエアー同伴吐出態様が深さ方向各部において同等に維持できることは、流動物の投入も深さ方向で均等となるよう投入維持できることを意味する。また、この構造では、例えば、混合エジェクター13から噴出される流動物と圧縮エアーとの体積混合率、つまり上記最適混合率がずれたとき、エアー演算処理部21が体積混合率演算部23から信号を受けてエアー流量調整弁7dを可変調整するようにしているため、最適混合率も維持され、前述した地中深さ方向における土細分化作用、土流動化作用、流動物の均等投入が安定的に維持できる。なお、本発明は、以上の形態に何ら制約されるものではなく、技術的には請求項1又は3に記載の技術要件を具備すればよいものである。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、先に開発したエアー同伴吐出態様において、固化系流動物の深さ方向各部における均一投入だけではなく、深さが増しても土細分化及び土流動化を伴う撹拌混合作動を地中深さ方向において同等に維持でき、これにより撹拌混合効率を上げて造成される改良用パイル等の高品質化及び信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地盤改良装置例の全体を示す模式構成図である。
【図2】本発明の制御手段の原理を説明するための参考図である。
【図3】本発明を説明するための参考図である。
【図4】図1の混合エジェクターを示す模式構成図である。
【符号の説明】
1は回転軸
2a,2Aは流動物側の配管経路(配管)
2b,2Bは圧縮エアー側の配管経路(配管)
3,3A,3Bは撹拌翼
6は供給装置の流動物供給手段
7は供給装置の圧縮エアー供給手段
7aはコンプレッサー
7bはエアー圧力計
7cはエアー流量計
7dはエアー流量調整弁(制御手段)
7eはエアー圧力調整弁(制御手段)
20は制御装置
21はエアー演算処理部(制御手段)
Claims (4)
- 撹拌翼付の回転軸と、固化系の流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段と、前記回転軸又は撹拌翼側に設けられて、前記流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段に対応する配管を介し接続される混合エジェクターとを備え、前記回転軸の地中への貫入や引き抜き過程等で、前記混合エジェクターにより前記流動物供給手段から対応配管を介し送られる流動物を圧縮エアー供給手段から対応配管を介し送られる圧縮エアーに同伴させて原位置土へ噴出し原位置土と混合する軟弱地盤改良工法であって、
前記圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを、次式1に基づいて前記回転軸の深度z方向に沿って調整する、ことを特徴とする軟弱地盤改良工法。
P=(γ×z+ΔP)+α×qc (式1)
なお、式1中、γ×zは処理対象である軟弱土の土水圧(kgf/cm2)、ΔPは前記配管固有の圧送損失(kgf/cm2)、αは土質係数、qcはコーン指数(kgf/cm2)である。 - 前記混合エジェクターから噴出される流動物と圧縮エアーとの体積混合率が、流動物:圧縮エアー=1:5〜30に設定される請求項1に記載の軟弱地盤改良工法。
- 地中へ貫入されたり引き抜かれる回転軸と、該回転軸と一体に回転される撹拌翼と、供給装置を構成している流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段と、前記回転軸又は撹拌翼側に設けられて、前記流動物供給手段及び圧縮エアー供給手段に対応する配管を介し接続され、前記流動物供給手段から送られる固化系流動物を圧縮エアー供給手段から送られる圧縮エアーに同伴させて噴出可能な混合エジェクターとを備えた軟弱地盤改良装置であって、
前記圧縮エアー供給手段から送る圧縮エアーの圧力Pを、次式1を基にし前記回転軸の深度z方向に沿って調整する制御手段を有している、ことを特徴とする軟弱地盤改良装置。
P=(γ×z+ΔP)+α×qc (式1)
なお、式1中、γ×zは処理対象である軟弱土の土水圧(kgf/cm2)、ΔPは前記配管固有の圧送損失(kgf/cm2)、αは土質係数、qcはコーン指数(kgf/cm2)である。 - 前記制御手段は、前記圧縮エアー供給手段と前記混合エジェクターの間の配管経路に設けられた圧力計、流量計、圧力調整弁、流量調整弁と共に、前記式1に基づいて前記圧力調整弁を可変調整するエアー演算処理部を有している請求項3に記載の軟弱地盤改良装置。
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