JP7333535B1 - 中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置、中圧噴射攪拌による地盤改良工法 - Google Patents

中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置、中圧噴射攪拌による地盤改良工法 Download PDF

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

【課題】粘着性の高い粘土塊が地中に存在する場合でも、粘土塊を細かく粉砕することが可能であって、高品質の地盤改良体を造成可能な地盤改良体造成装置を提供する。【解決手段】中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置1は、地盤内で噴射する改良材の流路が形成された単管のロッド11と、改良材と地盤を攪拌混合する攪拌翼21と、攪拌翼21による地盤掘削の負担を軽減する大流量の改良材噴流を中圧噴射する大径噴射ノズル51と、地中の粘土塊を粉砕する層流の改良材噴流を噴射する小径噴射ノズル41を有する。この地盤改良体造成装置1を地盤内で前進または後退させつつ回転させるとともに、改良材を地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する。この地盤改良体造成装置を用いることで、大流量噴射と細切削噴射を組み合わせた複合中圧噴射攪拌により、掘削能力の向上と粘土塊粉砕による地盤改良体の高品質化が実現される。【選択図】図1

Description

本発明は、攪拌翼や噴射ノズルを具備する注入ロッドを地盤内で前進(貫入)または後退(引上)させつつ回転させるとともに、地盤改良材を中圧(およそ5MPa~20MPa未満の圧力)で地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する地盤改良体造成装置および地盤改良工法に関するものである。
地盤改良工法の一種として、中圧噴射機械攪拌工法が知られている。中圧噴射機械攪拌工法で用いる従来の地盤改良体造成装置を図11に示す。従来の地盤改良体造成装置は、高圧流体である改良材(スラリー状のセメント系固化材)の流路を具備するロッド91と、大流量の改良材を中圧噴射する噴射ノズル93と、地盤と改良材を攪拌混合する攪拌翼95を備えている。
中圧噴射機械攪拌工法では、改良材を原位置に添加する際、攪拌翼と改良材中圧噴射を併用し、強制的に地盤を改良し柱状の地盤改良体を造成する。そして、従来の地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射機械攪拌工法では、攪拌翼95の下に位置する噴射ノズル93から大流量の改良材を噴射することで、地盤改良体造成装置を地中に貫入する時の攪拌翼掘削を補助している。
しかしながら、粘着性の高い粘土塊が対象地盤の地中に存在する場合、大流量の改良材を噴射するノズルでは、噴射した改良材の噴流径が大きく乱流構造のため、大流量噴射による粘土塊の細かい粉砕が困難であった。
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、粘着性の高い粘土塊が地中に存在する場合でも、粘土塊を細かく粉砕することが可能であって、高品質の地盤改良体を造成可能な、中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置および地盤改良工法を提供することにある。
上記目的は、攪拌翼を具備するロッドを地盤内で前進または後退させつつ回転させるとともに、地盤改良材を地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する地盤改良体造成装置であって、
地盤内で噴射するスラリー状の地盤改良材の流路が形成されたロッドと、
前記ロッドに設けられ、地中の粘土塊を粉砕する噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する第1の噴射ノズルと、
前記ロッドに設けられ、前記第1の噴射ノズルよりも大きいノズル径を有し、前記攪拌翼による地盤掘削の負担を軽減する噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する第2の噴射ノズルと、
前記ロッドに設けられ、地中に噴射された前記地盤改良材と地盤を攪拌混合するための攪拌翼と、
を有する中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置によって達成される。
上記地盤改良体造成装置において、第1の噴射ノズルは、ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する。また、第2の噴射ノズルは、ほぼ乱流の噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する。
また、上記地盤改良体造成装置において、第1の噴射ノズルと第2の噴射ノズルは、それぞれ、各噴射ノズルからの噴流が前記攪拌翼の端部に向かうように設けられている。
また、前述した目的は、上記特徴の地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法であって、
ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤に貫入する工程と、
ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤から引き上げる工程と、
を含んでおり、
前記貫入工程及び/又は前記引上工程において、地中の粘土塊を粉砕する噴流をなすように、第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する、ことによって達成される。
また、前述した目的は、上記特徴の地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法であって、
ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤に貫入する工程と、
ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤から引き上げる工程と、
を含んでおり、
前記貫入工程及び/又は前記引上工程において、
地中の粘土塊を粉砕する噴流をなすように、第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射するとともに、
攪拌翼による地盤掘削の負担を軽減する噴流をなすように、第2の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する、ことによって達成される。
上記地盤改良工法では、第1の噴射ノズルと第2の噴射ノズルから、ほぼ同じ圧力で地盤改良材を噴射する。
また、上記地盤改良工法では、第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する際に、第1の噴射ノズルからの噴流のレイノルズ数Reが、ほぼ2300又はこれより小さくなるように、あるいは、ほぼ2300~ほぼ4000の範囲に収まるように、地盤改良材を噴射する。
本発明によれば、中圧噴射攪拌による地盤改良において、粘着性の高い粘土塊の細かい粉砕が可能になるため、粘着性の高い粘土塊が在る地盤において高品質の地盤改良体を造成することができる。
また、細切削噴射を担う小径噴射ノズルと大流量噴射を担う大径噴射ノズルを組み合わせた、複合中圧噴射攪拌により、掘削能力の向上と粘土塊粉砕による地盤改良体の高品質化が実現される。
また、攪拌翼による地盤掘削の負担軽減を担う大径噴射ノズルとは別に、地中の粘土塊の粉砕を担う小径噴射ノズルを設けているので、地盤掘削の機能を損なうことなく粘土塊を粉砕することが可能となる。
本発明に係る地盤改良体造成装置を示す斜視図である。 本発明に係る地盤改良体造成装置(変形例)を示す斜視図である。 層流と乱流の違いによる噴流イメージを示す図である。 施工仕様とレイノルズ数の関係を示す表である。 本発明に係る地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法を示す図である。 試験施工で用いた(a)比較例の地盤改良体造成装置と(b)実施例の地盤改良体造成装置を示す斜視図である。 試験施工仕様を示す表である。 試験施工で造成した深度5.0mの採取改良体を示す拡大写真である。(左:比較例、右:実施例) 試験施工で造成した改良体の頭部を示す写真である。(左:比較例、右:実施例) 試験施工で造成した材齢29日改良体の一軸圧縮試験結果を示すグラフである。 従来の地盤改良体造成装置を示す斜視図である。
本実施形態の地盤改良体造成装置は、中圧噴射機械攪拌工法で用いる装置であって、攪拌翼を具備するロッドを地盤内で前進(貫入)または後退(引上)させつつ回転させるとともに、地盤改良材を中圧で地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する装置である。以下、地盤改良材を単に「改良材」という。
この出願における「中圧噴射」とは、およそ5MPa~20MPa未満の圧力での改良材の噴射である。なお、20MPa以上の高圧噴射領域では改良材噴流が乱流となるため、本発明は20MPa未満の中圧噴射領域に適している。
(地盤改良体造成装置)
はじめに、図1に基づいて、中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置の構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の地盤改良体造成装置1は、
・改良材の流路が内部に形成された単管のロッド11(注入ロッド)と、
・ロッド11の先端に設けられた削孔用の掘削ビット13と、
・地中に噴射された改良材と地盤を攪拌混合する上下二段の攪拌翼21,31と、
・粘土塊を細かく粉砕可能な層流による細切削噴射を担う小径噴射ノズル41と、
・攪拌翼21による地盤掘削の負担を軽減させる大流量噴射を担う大径噴射ノズル51と、を有している。
ロッド11には、地盤内で噴射する改良材(例えばスラリー状のセメント系等の固化材)あるいは水の流路が形成されている。ロッド内部の流路は、噴射ノズル41,51に通じている。ロッド11の先端には、削孔用の掘削ビット13が設けられている。所定圧力(5MPa~20MPa未満の中圧で)改良材がロッド11内の流路を介して圧送されて、噴射ノズル41,51からほぼ同圧で噴射される。
一対の攪拌翼21(下段攪拌翼)は、ロッド11の外周面から周囲に突き出るようにロッド中心軸に対して垂直に設けられている。また、一対の攪拌翼21は互いに反対方向へ延びている。ロッド11と一体回転する攪拌翼21は、地中に噴射された改良材と地盤を攪拌混合する役割を担うほか、改良対象地盤を掘削する役割を担う。
攪拌翼21には、複数の掘削ビット23が設けられている。また、攪拌翼21の先端には、地盤内で噴射した改良材が逸走するのを防止する逸走防止板25,26が設けられている。
一対の攪拌翼31(上段攪拌翼)は、ロッド11の外周面から突き出るようにロッド中心軸に対して垂直に設けられている。また、一対の攪拌翼31は互いに反対方向へ延びている。ロッド11と一体回転する攪拌翼31は、地中に噴射された改良材と地盤を攪拌混合する役割を担う。なお、上段の攪拌翼31は必須の構成要素ではなく、これを省いてもよい。また、一対の攪拌翼は必ずしも二段に限定されるものではなく、三段以上設けてもよい。
第1の噴射ノズルである小径噴射ノズル41はロッド11の外周に設けられており、攪拌翼21の上に位置し、大径噴射ノズル51よりも小さいノズル径を有する。小径噴射ノズル41は、その噴流が攪拌翼21の端部に設けた逸走防止板25に向かうように設けられている。小径噴射ノズル41から中圧噴射された改良材噴流は、その先に立ちはだかる逸走防止板25によって進路が遮断されるので、改良材が当該逸走防止板25を超えて周囲に逸走することがない。すなわち、小径噴射ノズル41から噴射された改良材は、逸走防止板25による遮断作用によって、攪拌翼端部の回転軌跡の内側領域(すなわち攪拌翼21による攪拌混合の領域内)に留まることになる。なお、逸走防止板の代わりに噴射ノズルを攪拌翼先端部に向かう角度とし、改良材噴流を攪拌翼先端に衝突させることで進路を遮断することも可能である。
この小径噴射ノズル41は、地中の粘土塊を粉砕する噴流が形成されるように改良材を中圧で噴射する。ここでいう「地中の粘土塊を粉砕する噴流」は、ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流によって達成される。すなわち、小径噴射ノズル41は、ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流をなすように改良材を中圧で噴射する。
小径噴射ノズル41からのほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流は、(大径噴射ノズル51からの噴流径と比較して)噴流径を小さく設定してあるので、(大径噴射ノズル51からの噴流と異なり)乱流とはならず、その結果、地中における粘土塊の細かい粉砕が可能である。したがって、小径噴射ノズル41からの改良材噴流は、粘土塊を細かく粉砕する細切削噴流として機能し、地盤内における流動性と攪拌混合度を向上させる。
このように小径噴射ノズル41は、主として粘土塊を細かく粉砕することを狙った細切削噴流を噴射する役割を担うことから、「細切削噴射ノズル」と言い換えることができる。
第2の噴射ノズルである大径噴射ノズル51はロッド11の外周に設けられており、攪拌翼21の下に位置し、小径噴射ノズル41よりも大きいノズル径を有する。すなわち、大径噴射ノズル51の径をD、小径噴射ノズル41の径をdとした場合、D>dである。大径噴射ノズル51は、その噴流が攪拌翼26の端部に設けた逸走防止板26に向かうように設けられている。大径噴射ノズル51から中圧噴射された改良材噴流は、逸走防止板26によって進路が遮断されるので、当該逸走防止板26を超えて改良材が逸走することがない。すなわち、大径噴射ノズル51から噴射された改良材は、逸走防止板26による遮断作用によって、攪拌翼先端の回転軌跡の内側領域(すなわち攪拌翼21による攪拌混合の領域内)に留まることになる。
この大径噴射ノズル51は、攪拌翼21による地盤掘削の負担を軽減する噴流が形成されるように改良材を中圧で噴射する。ここでいう「攪拌翼による地盤掘削の負担を軽減する噴流」は、小径噴射ノズル41よりも大流量であって、例えばほぼ乱流の噴流によって達成される。すなわち、大径噴射ノズル51は、ほぼ乱流の噴流が形成されるように改良材を中圧で噴射する。本実施形態では、この大径噴射ノズル51を攪拌翼21の下方に設けることで、攪拌翼21による地盤掘削に先行して、大径噴射によりある程度切削されるので、攪拌翼21による地盤掘削の負担が軽減される。
このように大径噴射ノズル51は、(前述した小径噴射ノズル41とは異なり、地中の粘土塊を細かく粉砕することを狙ったものではなく)小径噴射ノズル41よりも大流量の改良材を噴射する役割を担うことから、「大流量噴射ノズル」と言い換えることができる。
なお、本実施形態では、小径噴射ノズルと大径噴射ノズルを併設する地盤改良体造成装置を例示したが、本発明の地盤改良体造成装置はこれに限定されるものではない。
例えば、各噴射ノズルの数は特に限定されるものではなく、地盤改良体造成装置は、大径噴射ノズルを1つ又は複数具備するとともに、小径噴射ノズルを1つ又は複数具備するものとして構成してもよい。
例えば図2に示す地盤改良体造成装置の変形例は、小径噴射ノズル41を1つ、大径噴射ノズル51を2つ具備しており、本発明の実施形態としてこのような構成を採用することも可能である。
また、大径噴射ノズルを具備せず、小径噴射ノズルを1つ又は複数具備する地盤改良体造成装置を採用することも可能である。
さらに、大径噴射ノズル・小径噴射ノズルのいずれか一方を1つ具備し、他方を複数具備する地盤改良体造成装置を採用することも可能である。
また、本実施形態では、小径噴射ノズル41を攪拌翼21の上に設け、大径噴射ノズル51を攪拌翼21の下に設けているが、本発明において各噴射ノズルの設置位置はこれに限定されるものではない。
例えば、小径噴射ノズル41を攪拌翼21の下に設け、大径噴射ノズル51を攪拌翼21の上に設けてもよい。また、攪拌翼21の上または下において、小径噴射ノズル41と大径噴射ノズル51を上下または左右に並べて設けてもよい。
(レイノルズ数に基づく改良材噴流の制御)
次に、図1、図3、図4に基づいて、レイノルズ数に基づく改良材噴流の制御について説明する。
小径噴射ノズル41は、噴流径(噴射ノズルからの噴流の径)が小さくなるように設計されており、ほぼ層流または層流に近いほぼ遷移領域の噴流を形成する。なお、小径噴射ノズル41からの噴流径は、小径噴射ノズル41の径によって定まるものである。
層流をなす改良材噴流のイメージを図3(a)に示す。同図に示すとおり、層流をなす改良材噴流は、流れの進行方向においてほとんど乱れが無く、規則正しい流れである。
大径噴射ノズル51は、小径噴射ノズル41よりも噴流径が大きくなるように設計されており、小径噴射ノズル41よりも大流量でほぼ乱流の噴流を形成する。なお、大径噴射ノズル51からの噴流径は、大径噴射ノズル51の径によって定まるものである。
乱流をなす改良材噴流のイメージを図3(b)に示す。同図に示すとおり、乱流をなす改良材噴流は、噴射ノズルから遠ざかるにつれて流れに乱れが生じ、不規則な流れである。
図3(a)(b)から分かるように、層流とは、乱流のような不規則な流速ベクトルを持たない、一様流を形成する流れである。
噴射ノズルからの噴流が層流になるか、乱流になるかは、レイノルズ数という無次元数によって整理することができる。レイノルズ数Reは次式によって定義される。
Re=VD/ν
上記式において、
V:改良材噴流の流速(改良材の吐出後の速度)
D:改良材の噴流径(噴射ノズルのノズル径)
ν:改良材の粘性(動粘性係数)
である。
「層流」の改良材噴流は、レイノルズ数Reが約2300より小さくなるように、V(改良材の流速)、D(改良材の噴流径)、ν(改良材の粘性)をそれぞれ設定することで実現できる。
「乱流」の改良材噴流は、レイノルズ数Reが約4000より大きくなるように、V(改良材の流速)、D(噴射ノズルのノズル径)、ν(改良材の粘性)をそれぞれ設定することで実現できる。
「遷移領域」の改良材噴流は、レイノルズ数Reが約2300~約4000の範囲に収まるように、V(改良材の流速)、D(噴射ノズルのノズル径)、ν(改良材の粘性)をそれぞれ設定することで実現できる。「遷移領域」とは、層流から乱流に変化する領域(層流と乱流が混在した領域)の流れの状態である。
なお、「Re=VD/ν」の式から分かるとおり、V(改良材の流速)が同じでも、ν(改良材の粘性)やD(改良材の噴流径/噴射ノズルのノズル径)により、改良材噴流の状態は層流または乱流、あるいは遷移領域の状態となる。
例えば施工において、V(改良材の流速)が所定の値に定まっている場合には、例えば改良材のW/C(水セメント比)を100%以下とするなどしてν(改良材の粘性)を高く設定するとともに、D(噴射ノズルのノズル径)を小さくすることで、レイノルズ数Reが低下し、ほぼ層流または層流に近いほぼ遷移領域の噴流を実現することができる。
また、例えば施工において、V(改良材の流速)、ν(改良材の粘性)が、所定の値に定まっている場合には、D(噴射ノズルのノズル径)を小さくすることで、レイノルズ数Reが低下し、ほぼ層流または層流に近いほぼ遷移領域の噴流を実現することができる。
レイノルズ数に基づく改良材噴流の制御に関するシミュレーションの結果を図4に示す。なお、図4において、「大流量噴射」は、大径噴射ノズルによる噴射を示している。「細切削噴射」は、小径噴射ノズルによる噴射を示している。
図4から分かるように、V(改良材の流速)、D(噴射ノズルのノズル径)、ν(改良材の粘性)を変化させることで、それに応じてレイノルズ数Reが変化していることが分かる。すなわち、V(改良材の流速)、D(噴射ノズルのノズル径)、ν(改良材の粘性)のいずれか1または2以上を所望の値に設定することで、改良材噴流のレイノルズ数Reを制御できることが分かる。そして、改良材噴流のレイノルズ数Reを制御できれば、改良材噴流の流れの状態を、層流・遷移領域・乱流のいずれかに設定することが可能になる。
なお、20MPa以上の高圧噴射領域では改良材噴流が乱流となるため、地盤改良体造成装置を用いた地盤改良工法は、20MPa未満の中圧噴射領域に適している。
(地盤改良体造成装置を用いた地盤改良工法)
次に、図1、図5に基づいて、前述した地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法について説明する。
図5に示すように、地盤改良工法の実施にあたっては、主として、前述した地盤改良体造成装置1と、その駆動制御機構を具備する地盤改良機2を用いる。地盤改良機としては、例えば図5に例示するバックホウタイプのベースマシンのほか、各種の地盤改良専用機を用いることができる。
これらの機材を用いた地盤改良工法では、攪拌翼21,31や噴射ノズル41,51を具備するロッド11を地盤内で前進(貫入)または後退(引上)させつつ回転させるとともに、改良材を中圧で地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する。
本実施形態の地盤改良工法は、主として、「貫入工程」と「引上工程」の二工程を含んでいる。
貫入工程では、ロッド11を正方向に回転させて、攪拌翼21により地盤を掘削しつつ、地盤改良体造成装置1を対象地盤に貫入する。
引上工程では、ロッド11を逆方向に回転させつつ、地盤改良体造成装置1を対象地盤から引き上げる。
また、貫入工程においてロッド11を貫入する過程では、攪拌翼21による地盤掘削の負担を軽減する噴流(例えば乱流)を形成するように、大径噴射ノズル51からスラリー状の改良材を中圧で噴射する。同時に、地中の粘土塊を粉砕する噴流(ほぼ層流またはほぼ遷移領域の流れ)を形成するように、小径噴射ノズル41からスラリー状の改良材を中圧で噴射する。
具体的には、大径噴射ノズル51からは、小径噴射ノズル41とほぼ同じ圧力で、スラリー状の改良材を中圧で噴射する。大径噴射ノズル51からの改良材噴流は、小径噴射ノズル41からの噴流径よりも大径の大流量噴流となって、攪拌翼21による地盤掘削の負担を軽減させる。大径噴射ノズル51からの噴流のレイノルズ数Reは、例えば約4000より大きくなるように設定される。
大径噴射ノズル51による大流量の改良材噴流が、攪拌翼21の回転動作に先行するため、攪拌翼21による地盤掘削の負担が軽減される。すなわち、大径噴射ノズル51による大流量噴流が攪拌翼21による地盤掘削を支援し、その結果、ロッド11の回転トルクを低減することができる。
また、小径噴射ノズル41からは、大径噴射ノズル51とほぼ同じ圧力で、スラリー状の改良材を中圧で噴射する。このとき、小径噴射ノズル41からの噴流のレイノルズ数Reが、ほぼ2300になるように又はこれより小さくなるように改良材を噴射する。あるいは、小径噴射ノズル41からの噴流のレイノルズ数Reが、ほぼ2300~ほぼ4000の範囲に収まるように改良材を噴射する。
小径噴射ノズル41からの改良材噴流は、大径噴射ノズル51による噴流径によりも小径であり、ほぼ層流またはほぼ遷移領域の流れを形成するので、大径噴射ノズル51による大流量噴流で粉砕できなかった地中の粘土塊を粉砕することが可能である。
そして、噴射ノズル41,51から噴射された改良材噴流は、その先に立ちはだかる逸走防止板25,26によって進路が遮断されるので、改良材が当該逸走防止板25,26を超えて周囲に逸走することがなく、攪拌翼先端の回転軌跡の内側空間(すなわち円柱状空間)の範囲内に留まることになる。なお、逸走防止板の代わりに噴射ノズルを攪拌翼先端部に向かう角度とし、改良材噴流を攪拌翼先端に衝突させることで進路を遮断することも可能である。そして、噴射ノズル41,51から噴射された当該改良材は、攪拌翼21,31によって地盤と攪拌混合される。
なお、本実施形態では、地盤改良体造成装置1を貫入する過程で噴射ノズル41,51から改良材を中圧噴射しているが、貫入と引上の両過程において、噴射ノズル41,51から改良材を中圧噴射してもよい。あるいは、貫入する過程では改良材を噴射することなく、引上の過程において、噴射ノズル41,51から改良材を中圧噴射してもよい。
上述した地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法によれば、各噴射ノズルで流量は異なるものの、同じ圧力で大流量噴射と細切削噴射を組み合わせた、複合中圧噴射攪拌により、掘削能力の向上と粘土塊粉砕による地盤改良体の高品質化が実現される。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
地盤改良体造成装置として、図6(a)(b)に示す二種の地盤改良体造成装置を用意し、試験施工を実施した。
図6(a)に示す比較例の地盤改良体造成装置は、上下二段の攪拌翼と上下二つの大径噴射ノズルを具備していた。
図6(b)に示す実施例の地盤改良体造成装置は、本発明の具体的実施例であって、上下二段の攪拌翼と、細切削噴射を担う上下二つの小径噴射ノズルと、大流量噴射を担う一つの大径噴射ノズルを具備していた。
なお、比較例と実施例の地盤改良体造成装置は、小径噴射ノズルに係る部分を除いて同様に構成されていた。
実施例と比較例の地盤改良体造成装置を用いた試験施工の仕様は、図7に示すとおりであった。
実施例と比較例の地盤改良体造成装置を用いて造成した地盤改良体は、図8、図9に示すとおりであった。
造成した各地盤改良体について一軸圧縮試験を実施したところ、その試験結果は図10に示すとおりであった。
すなわち、本発明の実施例の装置で造成したと地盤改良体は、比較例の装置で造成したと地盤改良体よりも高い一軸圧縮強さを示し、高い品質を確保できることを確認した。
したがって、細切削噴射を担う小径噴射ノズルと大流量噴射を担う大径噴射ノズルを組み合わせた、複合中圧噴射攪拌により、掘削能力の向上と粘土塊粉砕による地盤改良体の高品質化が実現されることが試験施工において確認できた。
1 地盤改良体造成装置
2 地盤改良機
11 ロッド(注入ロッド)
13 掘削ビット
21 攪拌翼
23 掘削ビット
25 逸走防止板
26 逸走防止板
31 攪拌翼
41 小径噴射ノズル(第1の噴射ノズル/細切削噴射ノズル)
51 大径噴射ノズル(第2の噴射ノズル/大流量噴射ノズル)
91 ロッド
93 噴射ノズル
95 攪拌翼

Claims (6)

  1. 攪拌翼を具備するロッドを地盤内で前進または後退させつつ回転させるとともに、地盤改良材を地盤内に注入することによって柱状の地盤改良体を造成する地盤改良体造成装置であって、
    地盤内で噴射するスラリー状の地盤改良材の流路が形成されたロッドと、
    前記ロッドの流路に通じており、地中の粘土塊を粉砕する噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する第1の噴射ノズルと、
    前記ロッドの流路に通じており、前記第1の噴射ノズルよりも大きいノズル径を有し、前記攪拌翼による地盤掘削の負担を軽減する噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する第2の噴射ノズルと、
    前記ロッドに設けられ、地中に噴射された前記地盤改良材と地盤を攪拌混合するための攪拌翼と、を有しており、
    前記第1の噴射ノズルは、ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射し、
    前記第2の噴射ノズルは、ほぼ乱流の噴流をなすように前記地盤改良材を中圧で噴射する、
    ことを特徴とする中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置。
  2. 前記第1の噴射ノズルと前記第2の噴射ノズルは、それぞれ、
    各噴射ノズルからの噴流が前記攪拌翼の端部に向かうように設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の中圧噴射攪拌による地盤改良体造成装置。
  3. 請求項1に記載の地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法であって、
    ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤に貫入する工程と、
    ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤から引き上げる工程と、
    を含んでおり、
    前記貫入工程及び/又は前記引上工程において、ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流をなすように、第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する、
    ことを特徴とする中圧噴射攪拌による地盤改良工法。
  4. 請求項1に記載の地盤改良体造成装置を用いた中圧噴射攪拌による地盤改良工法であって、
    ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤に貫入する工程と、
    ロッドを回転させつつ地盤改良体造成装置を対象地盤から引き上げる工程と、
    を含んでおり、
    前記貫入工程及び/又は前記引上工程において、
    ほぼ層流又はほぼ遷移領域の噴流をなすように、第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射するとともに、
    ほぼ乱流の噴流をなすように、第2の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する、
    ことを特徴とする中圧噴射攪拌による地盤改良工法。
  5. 第1の噴射ノズルと第2の噴射ノズルから、ほぼ同じ圧力で前記地盤改良材を噴射する、ことを特徴とする請求項4に記載の中圧噴射攪拌による地盤改良工法。
  6. 前記第1の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する際に、
    前記第1の噴射ノズルからの噴流のレイノルズ数Reが、ほぼ2300又はこれより小さくなるように、あるいは、ほぼ2300~ほぼ4000の範囲に収まるように、前記地盤改良材を噴射
    前記第2の噴射ノズルからスラリー状の地盤改良材を中圧で噴射する際に、
    前記第2の噴射ノズルからの噴流のレイノルズ数Reが、ほぼ4000より大きくなるように、前記地盤改良材を噴射する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の中圧噴射攪拌による地盤改良工法。
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