JP3622575B2 - 内燃機関のスロットル制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スロットル開度がアクセル操作量に応じた目標スロットル開度となるようにスロットルバルブを制御する内燃機関のスロットル制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などに搭載された内燃機関のスロットルバルブを電子制御することにより、運転者の要求ばかりでなく、内燃機関の運転状態に応じてスロットル開度を適切に制御するスロットル制御装置が知られている(特開平9−42032号公報)。このような、スロットル制御装置においては、運転者の要求に応じて内燃機関の出力トルクを次のように制御している。
【0003】
すなわち、運転者のアクセル操作量に基づき目標スロットル開度を算出し、この目標スロットル開度となるように、電動モータなどによりスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のスロットル開度制御は、運転者が自動車を加速したり減速したりする場合にはアクセル操作量の増減に応じてスロットル開度も増減するため運転性は問題なく得られる。しかし、加速あるいは減速操作が終了して、運転者が定常運転により安定した走行を開始しようとした場合に、直ちに走行状態が安定せず、頻繁にアクセル操作を繰り返す必要が生じ、運転性が悪化するという問題が存在する。
【0005】
例えば加速あるいは減速のためにアクセル操作量の大きな変化を行った直後では、アクセル操作量に対応して設定された目標スロットル開度に向かってスロットル開度が大きく変化しており、更に内燃機関自体も変化の途中にある。このため、所望の出力トルクに安定するように該当するアクセル操作位置に直ちにアクセルペダルを操作することは困難である。このため運転者は加減速操作後に頻繁にアクセルペダルの操作を繰り返さなくてはならず、運転性を十分良好なものとすることができない。
【0006】
前記従来技術(特開平9−42032号公報)では、運転者のアクセル操作量の変動が小さくなった場合には定常運転になったものと推定して、スロットル開度の制御ゲインを小さくしている。このことにより、安定した定常運転を実現しようとしている。しかし、運転者のアクセル操作の変動は、十分に自動車の走行状態が安定した後に小さくなるものである。加減速状態から定常運転状態へ移行しようとする時においては、まだアクセル操作量は大きく変動している。結局、アクセル操作量の安定を待たなくてはならず、運転性を向上させることはできない。
【0007】
本発明は、定常運転に入る際に頻繁にアクセル操作を繰り返すことを防止することで、内燃機関の運転性を向上させることができる内燃機関のスロットル制御装置の提供を目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、スロットル開度がアクセル操作量に応じた目標スロットル開度となるようにスロットルバルブを制御する内燃機関のスロットル制御装置であって、内燃機関により駆動される被駆動機構の走行状態を検出する被駆動機構走行状態検出手段と、前記被駆動機構走行状態検出手段にて検出される被駆動機構の走行状態を定常走行状態とするための定常要求トルクを算出する定常要求トルク算出手段と、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が小さくなったことを条件に、内燃機関の出力トルクが、前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとなるようにスロットルバルブを制御する定常走行状態スロットル制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
このように、定常走行状態スロットル制御手段は、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が小さくなったことを条件に、内燃機関の出力トルクが、定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとなるようにスロットルバルブを制御している。このため、アクセル操作が定常走行へ移行する操作であれば、その時に被駆動機構走行状態検出手段により検出されている内燃機関により駆動される被駆動機構の走行状態を定常走行状態としてスロットル開度を制御できる。
【0014】
したがって、運転者が定常走行へ移行する操作を行えば、その時の走行状態を定常走行状態として捉える。そしてスロットル開度をアクセル操作量によらずに、定常走行状態を維持するようにスロットル開度の制御が行われる。更に、このことによりスロットル開度がアクセル操作量に応じて急変することがなくなる。このため、走行状態は所望の定常走行状態に直ちに移行し、運転者はアクセル操作を繰り返さなくても良くなる。したがって運転性を良好にすることができる。
【0017】
求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、請求項記載の構成に対して、前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記アクセル操作量の変化を算出し、該操作量の変化が大きいことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行することを特徴とする。
【0018】
このように、定常走行へ移行する操作であると判定する条件として、更に、アクセル操作量の変化が大きいという条件を加えている。このことにより、請求項の作用効果に加えて、より的確に定常走行へ移行する操作が検出でき、より精密な制御が可能となる。
【0019】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、請求項または記載の構成に対して、前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行することを特徴とする。
【0020】
このように、定常走行へ移行する操作であると判定する条件として、更に、被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったという条件を加えている。このことにより、請求項またはの作用効果に加えて、より的確に定常走行へ移行する操作が検出でき、より精密な制御が可能となる。
【0021】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、請求項記載の構成に対して、前記定常走行状態スロットル制御手段は、内燃機関の出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が直前まで大きい状態であったことを、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったこととして判断することを特徴とする。
【0022】
このように、例えば、内燃機関の出力トルクと定常要求トルクとの乖離度が直前まで大きい状態であったことにより、被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったことを検知できる。
【0023】
このようにして、請求項の作用効果を生じさせることができる。
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、請求項1〜4のいずれか記載の構成に加えて、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が大きくなった場合に、前記被駆動機構の定常走行が終了したと判定して、スロットル開度をアクセル操作量に応じた目標スロットル開度とする制御に移行する非定常走行状態スロットル制御移行手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
このように、非定常走行状態スロットル制御移行手段は、要求出力トルクと定常要求トルクとの乖離度が大きくなった場合に、前記被駆動機構の定常走行が終了したと判定することができる。そして、このように定常走行が終了すれば、非定常走行状態スロットル制御移行手段はスロットル開度をアクセル操作量に応じた目標スロットル開度とする制御に移行している。
【0025】
このことにより、運転者は加速や減速のためのアクセル操作を行うことにより、定常走行から抜け出して応答性の高い被駆動機構の加速や減速を行うことができる。したがって、請求項1〜4のいずれかの作用効果に加えて、加減速操作においても運転性を良好に維持することができる。
【0026】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、請求項1〜のいずれか記載の構成に加えて、定常走行状態から非定常走行状態に移行する際には、定常要求トルクとなるように制御された目標スロットル開度からアクセル操作量に応じた目標スロットル開度へ徐々に移行させるスロットル開度徐変手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
定常走行から抜ける際には、定常要求トルクとなるように制御された目標スロットル開度からアクセル操作量に応じた目標スロットル開度へ徐々に移行させている。このため、請求項1〜の作用効果とともに、制御の切り替え時の出力トルク変動によるショックが抑制されて、一層運転性を良好に維持することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)4およびその制御系の概略構成を表すブロック図である。このエンジン4は自動車に搭載されて、被駆動機構としての自動車を走行駆動するものである。
【0029】
エンジン4のシリンダブロック6には燃焼室を含む第1気筒8、第2気筒10、第3気筒12および第4気筒14が形成されている。各気筒8〜14にはインテークマニホールド16、サージタンク18を介して吸気通路20が接続されている。この吸気通路20の上流側にはエアクリーナ22が設けられており、このエアクリーナ22を介して吸気通路20内に外気が導入される。
【0030】
インテークマニホールド16には、各気筒8〜14に対応してインジェクタ24,26,28,30がそれぞれ設けられている。これらのインジェクタ24〜30は通電制御により開閉駆動されて燃料を噴射する電磁弁であって、燃料タンク内の燃料が燃料ポンプ(図示略)から圧送されてくる。インジェクタ24〜30から噴射された燃料はインテークマニホールド16内の吸入空気と混合されて混合気となる。そしてこの混合気は、各気筒8〜14毎に設けられた吸気バルブ(図示略)が開弁することによって開かれた吸気ポート(図示略)から各気筒8〜14の燃焼室内へ導入される。空燃比フィードバック制御により、このインジェクタ24〜30による燃料噴射時間の長さが、空燃比フィードバック制御処理(図示略)により求められている空燃比フィードバック補正係数FAFや空燃比学習値KG等に基づいて調整される。
【0031】
吸気通路20には吸入空気量GAを調節するスロットルバルブ32がサージタンク18の上流側に位置して設けられている。このスロットルバルブ32は、吸気通路20に設けられたスロットルモータ34により開閉駆動されることにより、その開度、すなわちスロットル開度TAが調節される。スロットルバルブ32の近傍にはスロットルセンサ36が設けられている。このスロットルセンサ36はスロットル開度TAを検出し、そのスロットル開度TAに応じた信号を出力する。
【0032】
また、自動車の運転室内にはアクセルペダル38が設けられており、このアクセルペダル38の踏込量、すなわちアクセル操作量PDLAはアクセルセンサ40によって検出される。そして、後述する電子制御装置(以下、「ECU」と称する)50はアクセル操作量PDLA等に基づいて得られた目標スロットル開度に基づいてスロットルモータ34を制御することによりスロットル開度TAを運転状態に応じた開度に調節する。なお、スロットル開度TAは、後述するごとく、必要に応じてアクセル操作量PDLAに直接対応させずに定常走行(定常運転に相当する)を行うための出力トルクが実現するように調整される。
【0033】
吸気バルブのリフト量を決定している吸気カムが設けられている吸気カムシャフト(図示略)は、可変バルブタイミング装置(以下、VVTと称する)52により、クランクシャフト(図示略)に対して相対回転可能とされている。したがって、エンジン4の運転条件により、VVT52にて吸気バルブのバルブタイミングVTを変更することで、排気バルブとのバルブオーバラップ量を調整可能である。このバルブタイミングVTは、カム角センサ54が検出する吸気カムシャフトの回転位相θに基づいて求められる。
【0034】
各気筒8〜14にはエグゾーストマニホールド60を介して排気通路62が接続されている。この排気通路62には触媒コンバータ64およびマフラ66がそれぞれ設けられている。排気通路62を流れる排気はこれら触媒コンバータ64およびマフラ66を通過して外部に排出される。
【0035】
吸気通路20においては、エアクリーナ22とスロットルバルブ32との間にはエアフローメータ68が設けられている。このエアフローメータ68は各気筒8〜14の燃焼室に導入される吸入空気量GAを検出し、この吸入空気量GAに応じた信号を出力する。
【0036】
また、エンジン4のシリンダヘッド6aには各気筒8〜14に対応してそれぞれ点火プラグ70,72,74,76が設けられている。各点火プラグ70〜76は、イグニッションコイル70a,72a,74a,76aが付属することにより、ディストリビュータを用いないダイレクトイグニッションシステムとして構成されている。各イグニッションコイル70a〜76aは、点火時期において、ECU50内の点火駆動回路から供給される一次側電流の遮断に基づいて発生する高電圧を、直接点火プラグ70〜76に与えている。
【0037】
また、触媒コンバータ64より上流における排気通路62には、酸素センサ80が設けられている。この酸素センサ80は、排気の成分に現れる混合気の空燃比に応じた信号Voxを出力する。この信号Voxに基づいて空燃比フィードバック制御処理がなされ、空燃比フィードバック補正係数FAFや空燃比学習値KG等による燃料噴射量の増減処理により、混合気の空燃比が理論空燃比に調整される。
【0038】
なお、回転数センサ90は、エンジン4のクランクシャフトの回転に基づいてエンジン回転数NEに応じた数のパルス信号を出力し、気筒判別センサ92は気筒8〜14を判別するためにクランクシャフトの回転に基づいて規定クランク角毎に基準信号となるパルス信号を出力する。ECU50はこれら回転数センサ90および気筒判別センサ92からの出力信号に基づいて、エンジン回転数NEおよびクランク角の算出、更に気筒判別を行う。
【0039】
また、シリンダブロック6にはエンジン冷却水温を検出するための水温センサ94が設けられて、冷却水温THWに応じた信号を出力する。また図示していない変速機にはシフトポジションセンサ96が設けられて、シフト位置SHFTPに応じた信号を出力する。なお、この変速機はオートマチックトランスミッションでありECU50にてシフト位置が制御されている。
【0040】
また、変速機の出力軸には車速センサ97が設けられ、車速SPDに応じた信号を出力している。
次に本実施の形態1におけるスロットル制御装置・その他の機能を果たしている制御系の構成について図2のブロック図を参照して説明する。
【0041】
ECU50は、中央処理装置(CPU)50a、読み出し専用メモリ(ROM)50b、ランダムアクセスメモリ(RAM)50c、およびバックアップRAM50d等を備えている。このことによりECU50は、これら各部50a〜50dと、入力回路50eおよび出力回路50f等とを双方向バス50gにより接続してなる論理演算回路として構成されている。ROM50bには後述する目標スロットル開度算出制御処理等の各種制御プログラムやマップ等の各種データが予め記憶されている。RAM50cには各種制御処理におけるCPU50aの演算結果等が一時的に記憶される。
【0042】
また、入力回路50eはバッファ、波形整形回路およびA/D変換器等を含んだ入力インターフェースとして構成されており、前記スロットルセンサ36、アクセルセンサ40、カム角センサ54、エアフローメータ68、酸素センサ80、回転数センサ90、気筒判別センサ92、水温センサ94、シフトポジションセンサ96、車速センサ97、各イグニッションコイル70a〜76aの点火確認信号IGfのライン等がそれぞれ接続されている。各種センサ36,40,54,68,80,90,92,94,96,97等の出力信号はデジタル信号に変換されて入力回路50eから双方向バス50gを介してCPU50aに読み込まれる。
【0043】
一方、出力回路50fは各種駆動回路等を有しており、前記インジェクタ24〜30、スロットルモータ34、VVT52、イグニッションコイル70a〜76a等がそれぞれ接続されている。ECU50は各種センサ36,40,54,68,80,90,92,94,96,97等からの出力信号に基づいて演算処理を行い、インジェクタ24〜30、スロットルモータ34、VVT52、イグニッションコイル70a〜76a等を制御する。
【0044】
例えば、ECU50はエアフローメータ68により検出される吸入空気量GAに基づいてエンジン4の負荷を算出するとともに、その負荷とエンジン回転数NEとに応じて、インジェクタ24〜30による燃料噴射量や燃料噴射時期、VVT52によるバルブタイミングVTあるいはイグニッションコイル70a〜76aによる点火時期を制御している。そして酸素センサ80により検出される空燃比に基づいて、インジェクタ24〜30による燃料噴射量の増減補正を実行して、混合気の空燃比を精密に制御している。
【0045】
次に、本実施の形態1においてECU50により実行される目標スロットル開度算出制御処理およびこれに関連した処理について図3〜図5のフローチャートに基づいて説明する。なお各処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。本処理は、一定時間あるいは一定クランク角周期にて繰り返し実行される。
【0046】
目標スロットル開度算出制御処理が開始されると、アクセルセンサ40、回転数センサ90、シフトポジションセンサ96および車速センサ97等にてそれぞれ検出されたアクセル操作量PDLAi、エンジン回転数NE、シフト位置SHFTPおよび車速SPD等を読み込む。そして、これらの値PDLAi,NE,SHFTP,SPD等に基づいて、次式1に示すごとく、ROM50b内に記憶されているマップf1から仮スロットル開度tTAを求める(S100)。
【0047】
【数1】
tTA ← f1(PDLAi,NE,SHFTP,SPD,・・・)… [式1]
この仮スロットル開度tTAは運転者によるアクセル操作量PDLAiに応じたスロットル開度である。ここでPDLAに付された「i」は今回の制御周期において検出された値であることを表している。また、次式2にて用いている「i−1」は前回の制御周期にて検出された値を示す。またこれ以外のパラメータとして、例えば冷却水温THW等を加えても良い。
【0048】
次に、次式2に示すごとく、今回の制御周期にて検出されているアクセル操作量PDLAiから前回の制御周期にて検出されているアクセル操作量PDLAi−1を減算することにより、アクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAを求める(S110)。
【0049】
【数2】
DLPDLA ← PDLAi − PDLAi−1 … [式2]
次に、前記式1にて求めた仮スロットル開度tTA、エンジン回転数NE、シフト位置SHFTPおよび冷却水温THW等に基づいて、次式3に示すごとく、ROM50b内に記憶されているマップf2からドライバが要求する要求出力トルクTQPDLAを求める(S120)。
【0050】
【数3】
TQPDLA ← f2(tTA,NE,SHFTP,THW,・・・)… [式3]
次に、エアフローメータ68にて検出されている吸入空気量GA、エンジン回転数NE、シフト位置SHFTPおよび冷却水温THW等に基づいて、次式4に示すごとく、ROM50b内に記憶されているマップf3から現在の実出力トルクTQWHiを求める(S130)。
【0051】
【数4】
TQWHi ← f3(NE,GA,SHFTP,THW,・・・)… [式4]
次に、実出力トルクTQWHi、車速SPDおよび車速SPDの変化量ΔSPDに基づいて、次式5に示すごとく、ROM50b内に記憶されているマップf4から現在の道路勾配SLOPiを求める(S140)。なお、車速SPDは空気抵抗を考慮したパラメータである。
【0052】
【数5】
SLOPi ← f4(TQWHi,ΔSPD,SPD) … [式5]
次に、次式6に示すごとく、現在の道路勾配SLOPiおよび車速SPDに基づいて、現在の車速SPDを維持するための出力トルクを定常要求トルクTQR/Liとして、ROM50b内に記憶されているマップf5から求める(S150)。
【0053】
【数6】
TQR/Li ← f5(SLOPi,SPD) … [式6]
次に、このようにして求められた定常要求トルクTQR/Liを実現するために必要なスロットル開度を、定常要求スロットル開度TAR/Liとして求める(S160)。すなわち、次式7に示すごとく、定常要求トルクTQR/Li、エンジン回転数NE、シフト位置SHFTPおよびバルブタイミングVT等に基づいて、ROM50b内に記憶されているマップf6から現在の定常要求スロットル開度TAR/Liを求める。
【0054】
【数7】
Figure 0003622575
次に、図4に示すごとく、RAM50c内に設定されている定常要求フラグが「ON」か否かを判定する(S170)。この定常要求フラグは定常走行の要求が運転者からなされている状態を示すフラグである。
【0055】
運転者から定常走行の要求がないと判断している状態、すなわち定常要求フラグ=「OFF」であれば(S170で「NO」)、前回の制御周期で求められている実出力トルクTQWHi−1が次式8で表される条件を満足しているか否かを判定する(S180)。
【0056】
【数8】
Figure 0003622575
ここでK1は正の補正値であり、「TQR/Li−1」は前回の制御周期における定常要求トルクである。前記式8は、実出力トルクTQWHi−1が定常要求トルクTQR/Li−1とほぼ同等の状態にあるか否かにより、前回の制御周期において加速でも減速でも無かったか否かを判定するものである。
【0057】
前記式8を満足していなければ(S180で「NO」)、すなわち前回の制御周期において加速あるいは減速であった場合には、次にステップS110にて求めているアクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAの絶対値(|DLPDLA|)が判定値K2(>0)以上か否かを判定する(S190)。すなわち、運転者がアクセルペダル38を大きく変化させたか否かを判定する。
【0058】
ここで|DLPDLA|≧K2であった場合には(S190で「YES」)、定常要求トルクTQR/Liと要求出力トルクTQPDLAとの関係が次式9を満足するか否かを判定する(S200)。
【0059】
【数9】
|TQR/Li − TQPDLA| ≦ K3 … [式9]
ここで判定値K3(>0)は定常要求トルクTQR/Liと要求出力トルクTQPDLAとが十分に近い値であることを示すものであり、前記式9を満足すれば、定常要求トルクTQR/Liと要求出力トルクTQPDLAとは十分に近い値であると判定できる。
【0060】
前記式9が満足されると(S200で「YES」)、次に定常要求フラグを「ON」に設定する(S210)。すなわち、前記ステップS180,S190,S200の判定は、運転者により定常走行の要求がなされているか否かを判定するための処理である。
【0061】
こうして、運転者が定常走行の要求がなされていれば、今回の制御周期の目標スロットル開度ttTAiとしてステップS160にて求めた現在の定常要求スロットル開度TAR/Liが設定される(S220)。こうして、一旦、目標スロットル開度算出制御処理を終了し、燃料噴射処理などのメインルーチンの処理を実行する。
【0062】
次の制御周期では、定常要求フラグには「ON」が設定されているので(S170で「YES」)、ステップS200の処理にジャンプし、前記式9が満足されているか否かを判定する。
【0063】
要求出力トルクTQPDLAが定常要求トルクTQR/Liに十分に近い状態である限り(S200で「YES」)、定常要求フラグは「ON」の状態を継続する(S210)。このため、目標スロットル開度ttTAiとしてはステップS160にて求めた現在の運転状態における定常要求スロットル開度TAR/Liを用いることになる(S220)。
【0064】
また、定常要求フラグ=「OFF」であった時に(S170で「NO」)、前回の制御周期にて加速でもなく減速でもないことにより前記式8が満足されている場合には(S180で「YES」)、図5のステップS230の判定処理に移る。これは、アクセル操作量PDLAに大きい変化がなく|DLPDLA|<K2であった場合(S190で「NO」)も同じく、図5のステップS230の判定処理に移る。
【0065】
ステップS230では、定常要求フラグ=「OFF」であるか否かを判定する。ここでは、定常要求フラグ=「OFF」であるので(S230で「YES」)、運転者は定常走行の要求をしていないと判断し、今回の制御周期の目標スロットル開度ttTAiとしてステップS100にて求めた仮スロットル開度tTAを設定する(S240)。こうして、一旦、目標スロットル開度算出制御処理を終了し、燃料噴射処理などのメインルーチンの処理を実行する。
【0066】
また、定常要求フラグ=「ON」である状態にて、要求出力トルクTQPDLAが定常要求トルクTQR/Liから離れた場合(S200で「NO」)、すなわち運転者の加減速操作により定常走行の要求状態ではなくなった場合、図5のステップS230に移る。
【0067】
この場合のステップS230では、定常要求フラグ=「ON」であることから(S230で「NO」)、次に、なまし計算(重み付け平均値の計算)用の時定数NSMを求める(S250)。この時定数NSMは、アクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAに基づいて、次式10に示すごとく、ROM50b内に記憶されているマップf7から求める。
【0068】
【数10】
NSM ← f7(DLPDLA) … [式10]
次に、このようにして求めた時定数NSMを用いて、次式11に示すごとくのなまし計算により、前回の制御周期の目標スロットル開度ttTAi−1およびステップS100にて求めた仮スロットル開度tTAから、今回の制御周期の目標スロットル開度ttTAiを求める(S260)。
【0069】
【数11】
Figure 0003622575
そして、次に仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとの関係が次式12を満足する否かを判定する(S270)。
【0070】
【数12】
|ttTAi − tTA| ≦ K4 … [式12]
ここで判定値K4(>0)は仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとが十分に近い値であることを判断するものであり、前記式12を満足すれば、仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとは十分に近い値であると判定できる。
【0071】
未だ、仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとは十分に近い値になっていない場合(S270で「NO」)、このまま処理を一旦終了し、燃料噴射処理などのメインルーチンの処理を実行する。
【0072】
したがって、定常要求フラグ=「ON」であり(S170で「YES」)、運転者がアクセルペダル38の操作により加減速操作を行っている場合には(S200で「NO」)、前記式11(S260)により目標スロットル開度ttTAiは徐々に仮スロットル開度tTAに近づく。
【0073】
そして、前記式12が満足されると(S270で「YES」)、定常要求フラグ=「OFF」に設定され(S280)、処理を一旦終了し、燃料噴射処理などのメインルーチンの処理を実行する。
【0074】
ECU50では、上述のごとく設定される目標スロットル開度ttTAiに基づいて、スロットルセンサ36が検出するスロットル開度TAが目標スロットル開度ttTAiとなるようにスロットルモータ34を駆動する。
【0075】
上述した目標スロットル開度算出制御処理による制御の一例を図6および図7のタイミングチャートに示す。
ここで、定常走行状態から時刻t0で自動車を加速するために運転者がアクセルペダル38を踏み込んだものとする。この時、アクセル操作量PDLAが急速に大きくなることから、ステップS100にて求められる仮スロットル開度tTAも、図6(b)に示すごとく急速に上昇する。同時に車速SPDやエンジン回転数NEの上昇、吸入空気量GAの増加、そしてシフト位置SHFTPやバルブタイミングVTの変化などにより、ステップS130〜S160の処理にて求められる定常要求スロットル開度TAR/Lも図6(b)に示すごとく次第に変化、この場合上昇する。
【0076】
また、仮スロットル開度tTAの急激な上昇により、ステップS200にて前記式9が成立しなくなる(S200で「NO」)。そして時刻t0では、まだ定常要求フラグ=「ON」であるので(S230で「NO」)、ステップS250〜S270が実行される。この時、仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとが既に近い値になっていたとすると(S270で「YES」)、定常要求フラグは「OFF」に設定される(S280)。
【0077】
したがって、次の制御周期からは、ステップS230で「YES」と判定されて、目標スロットル開度ttTAiには仮スロットル開度tTAが設定される(S240)。このため、図6(c)に示すごとく、目標スロットル開度ttTAiはアクセル操作量PDLAに応じて急速に大きくなる。
【0078】
そして、運転者は時刻t1以降、踏み込み状態を維持したまま、車速SPDの上昇を続ける。
次に、車速SPDが所望の高さにほぼ到達する時刻t2にて、運転者は、これ以上の車速SPDの上昇を停止するために、アクセルペダル38を大きく戻す。この時刻t2では、前回の制御周期においては定常要求トルクTQR/Lと実出力トルクTQWHとの間は、実出力トルクTQWHの急激な上昇により乖離している(S180で「NO」)。そして時刻t2ではアクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAは図6(b)に示すごとく大きく変化している(S190で「YES」)。更に車速SPDを安定させるようにアクセル操作量PDLAを戻した結果、仮スロットル開度tTAに基づいて算出される要求出力トルクTQPDLAは、定常要求スロットル開度TAR/Lに近づく(S200で「YES」)。この結果、ステップS210が実行されて、定常要求フラグ=「ON」となる。
【0079】
したがって、図6(c)に示すごとく、時刻t2以前は目標スロットル開度ttTAには仮スロットル開度tTAが設定されて(S240)、アクセル操作量PDLAに応じたスロットル開度となっていた。しかし、時刻t2以降は、目標スロットル開度ttTAには定常要求スロットル開度TAR/Lが設定される(S220)。
【0080】
次に、図7に示すごとく、時刻t10にて運転者が自動車を減速するために、アクセルペダル38を戻す。この時、アクセル操作量PDLAが急速に小さくなることから、ステップS100にて求められる仮スロットル開度tTAも、図7(b)に示すごとく急速に下降する。同時に車速SPDやエンジン回転数NEの下降、吸入空気量GAの減少、そしてシフト位置SHFTPやバルブタイミングVTの変化などにより、ステップS130〜S160の処理にて求められる定常要求スロットル開度TAR/Lも図7(b)に示すごとく次第に下降する。
【0081】
また、仮スロットル開度tTAの急激な下降により、ステップS200にて前記式9が成立しなくなる(S200で「NO」)。そして時刻t10では、まだ定常要求フラグ=「ON」であるので(S270)、ステップS250〜S270が実行される。この時、仮スロットル開度tTAと目標スロットル開度ttTAiとは離れているので(S270で「NO」)、ステップS280は実行されない。すなわち、直ちに定常要求フラグが「OFF」に設定されることはない。
【0082】
このため、目標スロットル開度ttTAiは仮スロットル開度tTAに接近するまで前記式11により漸減され(S260)、しばらくは前記式12は満足されない(S270で「NO」)。このため定常要求フラグは「ON」の状態が維持される。
【0083】
そして、目標スロットル開度ttTAiが仮スロットル開度tTAに十分に接近して(時刻t11)、前記式12が満足されると(S270で「YES」)、定常要求フラグに「OFF」が設定される(S280)。
【0084】
したがって、次の制御周期からは、ステップS230で「YES」と判定されて、目標スロットル開度ttTAiには仮スロットル開度tTAが設定される(S240)。このため、図7(c)に示すごとく、時刻t11以降は目標スロットル開度ttTAiはアクセル操作量PDLAに対応することになる。
【0085】
そして、運転者は時刻t11以降、踏み戻し状態を維持したまま、車速SPDの下降を続ける。
次に、車速SPDが所望の状態にほぼ到達する時刻t12にて、運転者は、これ以上の車速SPDの下降を停止するために、アクセルペダル38を定常時より大きく踏み込む。この時刻t12では、前回の制御周期においては定常要求トルクTQR/Lと実出力トルクTQWHとの間は、実出力トルクTQWHの急激な下降により乖離している(S180で「NO」)。そして時刻t12ではアクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAは図7(b)に示すごとく大きく変化している(S190で「YES」)。更に車速SPDを安定させるようにアクセル操作量PDLAを大きくした結果、仮スロットル開度tTAに基づいて算出される要求出力トルクTQPDLAは、定常要求スロットル開度TAR/Lに近づく(S200で「YES」)。この結果、ステップS210が実行されて、定常要求フラグ=「ON」となる。
【0086】
したがって、図7(c)に示すごとく、時刻t12以前は目標スロットル開度ttTAには仮スロットル開度tTAが設定されて(S240)、アクセル操作量PDLAに応じたスロットル開度となっていた。しかし、時刻t12以降は、目標スロットル開度ttTAには定常要求スロットル開度TAR/Lが設定される(S220)。
【0087】
上述した実施の形態1の構成において、車速SPDと走行している道路勾配SLOPとが被駆動機構の走行状態に相当し、車速センサ97およびステップS140が被駆動機構走行状態検出手段としての機能を果たしている。
【0088】
また、ステップS150が定常要求トルク算出手段としての機能を果たし、ステップS110,S120,S130,S180,S190,S200が定常走行操作検出手段としての機能を果たし、ステップS160,S220が定常走行状態スロットル制御手段としての機能を果たしている。
【0089】
また、ステップS200は非定常走行状態スロットル制御移行手段としての機能を果たし、ステップS230〜S280がスロットル開度徐変手段としての機能を果たしている。
【0090】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ステップS180にて「NO」、ステップS190にて「YES」およびステップS200にて「YES」と判定された場合、エンジン4に対する操作が定常走行を要求する操作であることが判定できる。そして、この定常走行の要求が判定されると、アクセル操作量PDLAに応じて目標スロットル開度ttTAを設定(S240)する代わりに、定常走行状態を実現するために算出された定常要求トルクTQR/Lとなるように目標スロットル開度ttTAを設定(S220)している。
【0091】
このように、定常走行へ移行するように操作された場合には、目標スロットル開度ttTAはアクセル操作量PDLAに直接的に依存するのではなく、定常要求トルクTQR/Lとなるようにスロットル開度が制御される。したがって、運転者がアクセル操作を行って定常走行に移行しようとした場合に、定常走行への操作であると判定されると、目標スロットル開度ttTAはアクセル操作量PDLAから切り離されて、定常要求トルクTQR/Lを実現するスロットル開度に制御される。このことによりスロットル開度がアクセル操作量PDLAに応じて急変することがなくなる。
【0092】
このため、運転状態は所望の定常走行状態に直ちに移行するとともに、アクセル操作はそのままスロットル開度に反映されないので、運転者はアクセル操作を繰り返さなくても良くなる。すなわち、従来では図6に破線で例示したごとく、運転者はアクセル操作による車速の収束調整を長く行う必要があるが、本実施の形態1によれば、直ちに定常走行に必要な出力トルク(定常要求トルクTQR/L)に対応した目標スロットル開度ttTAに設定でき、車速も直ちに安定し、定常走行に入ることができる。しかも、運転者によるアクセルペダル38の操作は間接的にしか、目標スロットル開度ttTAには反映されない。したがってアクセル操作の繰り返しが防止されて、運転性を良好にすることができる。
【0093】
(ロ).特に、定常走行への操作要求があったことを、実出力トルクTQWHと定常要求トルクTQR/Lとの乖離度が直前まで大きい状態であったこと(S180で「NO」)、アクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAが大きいこと(S190で「YES」)、および要求出力トルクTQPDLAと定常要求トルクTQR/Lとの乖離度が小さくなったこと(S200で「YES」)にて捉えている。
【0094】
このように判定することにより、より的確に定常走行へ移行する操作が検出でき、より精密な制御が可能となる。
(ハ).また、要求出力トルクTQPDLAと定常要求トルクTQR/Lとの乖離度が大きくなった場合(S200で「NO」)に、定常走行が終了したと判定することができる。そして、このように定常走行が終了すれば、目標スロットル開度ttTAをアクセル操作量PDLAに応じて設定する状態に移行する(S240)。
【0095】
このことにより、運転者はアクセル操作により定常走行から抜け出して、応答性の高い自動車の加速や減速を行うことができる。したがって、加減速操作においても運転性を良好に維持することができる。
【0096】
(ニ).定常走行から抜ける際には、定常要求トルクTQR/Lとなるように定常要求スロットル開度TAR/Lが設定された目標スロットル開度ttTAからアクセル操作量PDLAに応じた目標スロットル開度ttTAへ徐々に移行させている(S230〜S280)。このため、制御の切り替え時における出力トルク変動によるショックが抑制されて、一層運転性を良好に維持することができる。
【0097】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態において、運転者が定常走行を要求していることを、前回の制御周期時に加速または減速状態にあること(S180で「NO」)、アクセル操作量PDLAの変化量DLPDLAが判定値K2以上であること(S190で「YES」)および要求出力トルクTQPDLAが定常要求トルクTQR/Liに近いこと(S200で「YES」)により判断していた。この3つの条件すべてを満足しなくても、例えば、ステップS180の判定は省略し、ステップS190とステップS200との組み合わせの判定でもよい。また、ステップS180とステップS200との組み合わせで定常走行要求を判定しても良いし、ステップS200のみの条件で定常走行要求を判定しても良い。
【0102】
【発明の効果】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置は、スロットル開度がアクセル操作量に応じた目標スロットル開度となるようにスロットルバルブを制御する内燃機関のスロットル制御装置であって、内燃機関により駆動される被駆動機構の走行状態を検出する被駆動機構走行状態検出手段と、前記被駆動機構走行状態検出手段にて検出される被駆動機構の走行状態を定常走行状態とするための定常要求トルクを算出する定常要求トルク算出手段と、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が小さくなったことを条件に、内燃機関の出力トルクが、前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとなるようにスロットルバルブを制御する定常走行状態スロットル制御手段とを備えたことを特徴とする。このように、定常走行状態スロットル制御手段は、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が小さくなったことを条件に、内燃機関の出力トルクが、定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとなるようにスロットルバルブを制御している。このため、アクセル操作が定常走行へ移行する操作であれば、その時に被駆動機構走行状態検出手段により検出されている内燃機関により駆動される被駆動機構の走行状態を定常走行状態としてスロットル開度を制御できる。したがって、運転者が定常走行へ移行する操作を行えば、その時の走行状態を定常走行状態として捉える。そしてスロットル開度をアクセル操作量によらずに、定常走行状態を維持するようにスロットル開度の制御が行われる。更に、このことによりスロットル開度がアクセル操作量に応じて急変することがなくなる。このため、走行状態は所望の定常走行状態に直ちに移行し、運転者はアクセル操作を繰り返さなくても良くなる。したがって運転性を良好にすることができる。
【0104】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置においては、請求項記載の構成に対して、前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記アクセル操作量の変化を算出し、該操作量の変化が大きいことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行する。このことにより、請求項の効果に加えて、より的確に定常走行へ移行する操作が検出でき、より精密な制御が可能となる。
【0105】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置においては、請求項または記載の構成に対して、前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行する。このことにより、請求項またはの効果に加えて、より的確に定常走行へ移行する操作が検出でき、より精密な制御が可能となる。
【0106】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置においては、請求項記載の構成に対して、前記走行状態スロットル制御手段は、内燃機関の出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が直前まで大きい状態であったことを、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったこととして判断する。このようにして、請求項の効果を生じさせることができる。
【0107】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置においては、請求項1〜4のいずれか記載の構成に加えて、前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が大きくなった場合に、前記被駆動機構の定常走行が終了したと判定して、スロットル開度をアクセル操作量に応じた目標スロットル開度とする制御に移行する非定常走行状態スロットル制御移行手段を備えたことを特徴とする。このように、非定常走行状態スロットル制御移行手段は、要求出力トルクと定常要求トルクとの乖離度が大きくなった場合に、前記被駆動機構の定常走行が終了したと判定することができる。そして、このように定常走行が終了すれば、非定常走行状態スロットル制御移行手段はスロットル開度をアクセル操作量に応じた目標スロットル開度とする制御に移行している。このことにより、運転者は加速や減速のためのアクセル操作を行うことにより、定常走行から抜け出して応答性の高い被駆動機構の加速や減速を行うことができる。したがって、請求項1〜4のいずれかの作用効果に加えて、加減速操作においても運転性を良好に維持することができる。
【0108】
請求項記載の内燃機関のスロットル制御装置においては、請求項1〜のいずれか記載の構成に加えて、定常走行状態から非定常走行状態に移行する際には、定常要求トルクとなるように制御された目標スロットル開度からアクセル操作量に応じた目標スロットル開度へ徐々に移行させるスロットル開度徐変手段を備えたことを特徴とする。定常走行から抜ける際には、定常要求トルクとなるように制御された目標スロットル開度からアクセル操作量に応じた目標スロットル開度へ徐々に移行させている。このため、請求項1〜の作用効果とともに、制御の切り替え時の出力トルク変動によるショックが抑制されて、一層運転性を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるガソリンエンジンおよびその制御系の概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1における制御系の構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1における目標スロットル開度算出制御処理のフローチャート。
【図4】実施の形態1における目標スロットル開度算出制御処理のフローチャート。
【図5】実施の形態1における目標スロットル開度算出制御処理のフローチャート。
【図6】実施の形態1における制御の一例を示すタイミングチャート。
【図7】実施の形態1における制御の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
4…エンジン、6…シリンダブロック、6a…シリンダヘッド、8,10,12,14…気筒、16…インテークマニホールド、18…サージタンク、20…吸気通路、22…エアクリーナ、24,26,28,30…インジェクタ、32…スロットルバルブ、34…スロットルモータ、36…スロットルセンサ、38…アクセルペダル、40…アクセルセンサ、50…電子制御装置(ECU)、50a…CPU、50b…ROM、50c…RAM、50d…バックアップRAM、50e…入力回路、50f…出力回路、50g…双方向バス、52…VVT、54…カム角センサ、60…エグゾーストマニホールド、62…排気通路、64…触媒コンバータ、66…マフラ、68…エアフローメータ、70,72,74,76…点火プラグ、70a,72a,74a,76a…イグニッションコイル、80…酸素センサ、90… 回転数センサ、92…気筒判別センサ、94…水温センサ、96…シフトポジションセンサ、97…車速センサ。

Claims (6)

  1. スロットル開度がアクセル操作量に応じた目標スロットル開度となるようにスロットルバルブを制御する内燃機関のスロットル制御装置であって、
    内燃機関により駆動される被駆動機構の走行状態を検出する被駆動機構走行状態検出手段と、
    前記被駆動機構走行状態検出手段にて検出される被駆動機構の走行状態を定常走行状態とするための定常要求トルクを算出する定常要求トルク算出手段と、
    前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が小さくなったことを条件に、内燃機関の出力トルクが、前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとなるようにスロットルバルブを制御する定常走行状態スロットル制御手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のスロットル制御装置。
  2. 前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記アクセル操作量の変化を算出し、該操作量の変化が大きいことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行することを特徴とする請求項1記載の内燃機関のスロットル制御装置。
  3. 前記定常走行状態スロットル制御手段は、前記条件に加えて、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったことを条件に前記スロットル制御にかかる制御を実行することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関のスロットル制御装置。
  4. 前記定常走行状態スロットル制御手段は、内燃機関の出力トルクと前記定常要求トルク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が直前まで大きい状態であったことを、前記被駆動機構が直前まで加速あるいは減速状態であったこととして判断することを特徴とする請求項3記載の内燃機関のスロットル制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の構成に加えて、
    前記アクセル操作量に基づいて算出された要求出力トルクと前記定常要求トル ク算出手段にて算出された定常要求トルクとの乖離度が大きくなった場合に、前記被駆動機構の定常走行が終了したと判定して、スロットル開度をアクセル操作量に応じた目標スロットル開度とする制御に移行する非定常走行状態スロットル制御移行手段を備えたことを特徴とする内燃機関のスロットル制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか記載の構成に加えて、
    定常走行状態から非定常走行状態に移行する際には、定常要求トルクとなるように制御された目標スロットル開度からアクセル操作量に応じた目標スロットル開度へ徐々に移行させるスロットル開度徐変手段を備えたことを特徴とする内燃機関のスロットル制御装置。
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