JP3641914B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関し、特に、内燃機関の運転状態を決定する吸入空気量、燃料噴射量、及び点火時期等の制御量を、目標機関トルクに応じて決定するようにした内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気化器式のガソリン機関に代わる電子制御燃料噴射式の内燃機関の制御装置においても、必要な空燃比(A/F)を得るためには、アクセルペダルと機械的に連結、連動するスロットル弁によって吸入空気量を制御し、この空気量に見合った燃料量が決められていた(特公平7−33781号公報の発明の背景欄参照)。そして、内燃機関の制御装置はスロットル弁開度によって決まる吸入空気量をエアフローメータやカルマンセンサ等の計測装置によって計測し、計測した吸入空気量に見合った燃料噴射量、点火時期等の最終制御量を算出して出力するのが一般的である(内燃機関の燃料噴射量および点火時期制御方法については、例えば、特公平7−94813号公報に開示がある)。
【0003】
また、近年の電子制御燃料噴射式の内燃機関を搭載した車両には、標準装備品の他に、変速パターンを運転者の好みで変更できる電子制御自動変速機、車両を定速で走行させるクルーズコントロール装置、駆動輪の空転を防止するトラクションコントロール装置や、VSC(Vehicle Stability Control) 等のオプション装置が搭載されることが多く、これらのオプション装置から、即ち、内燃機関以外の装置からの機関トルクの調整要求が起こることがあり、このトルク調整要求により、例えば、点火時期の遅角量が調整されている。これらのオプション装置を備えた内燃機関の中で、トラクションコントロール装置を備えた内燃機関ではスロットル弁を電気的に制御する例もあるが、この制御はあくまでも吸入空気量を調整するだけのものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような電子制御燃料噴射式の内燃機関における従来の制御装置には、以下のような課題があった。
(1) 空気量計測後に燃料噴射量の計算を行って噴射を実行するため、加減速運転時には吸入空気量に対して燃料の過不足が発生する傾向にある。その対策として予測手法により必要燃料量を推定して補正制御がなされるが、常に最適な状態に内燃機関を制御することは難しい。
【0005】
(2) 希薄空燃比機関(リーンバーン機関)等のように、目標空燃比が広い範囲に設定制御されているものにおいては、運転者のアクセルペダル操作量により決まる吸入空気量に対して、燃料噴射量を増減して空燃比設定するため、機関トルクは空燃比設定値と共に変化する。即ち、アクセル操作量が一定でも駆動力 (トルク) が変化してしまい、ドライバビリティが悪化する。
【0006】
(3) 電子制御式自動変速機ではその変速ショックの軽減のために、変速実行時にエンジン制御コンピュータに点火時期の遅角を指令して機関トルクを下げる制御が実施される。ところが、この場合には点火時期の遅角により燃焼悪化させてトルクが下げられるので、機関の運転状態から見れば効率の悪い状態である。
(4) トラクションコントロール装置を搭載したものにあっては、トラクション制御時に機関トルクを下げるために、点火時期の遅角とサブスロットル弁の開度制御が実施されている。サブスロットル弁の開度制御は、駆動輪にスリップが発生した時に路面の摩擦係数に応じた適正なトルクとなるように機関への吸入空気量を絞るものである。しかしながら、(2) に示したように、空燃比設定値により機関トルクは変化するので、トラクション制御性能がばらつく要因となる。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、電子制御燃料噴射式の内燃機関における従来の吸入空気量先行制御、燃料量追従制御方式の課題を解消し、運転者のアクセルベダルの操作量に基づいてまず目標機関トルク(以後単に目標トルクという)を決定し、この目標トルクになるように吸入空気量、燃料噴射量、及び点火時期を後から定めることにより、機関の応答性、空燃比制御性を向上させることが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、車両に備えられて内燃機関の運転状態に影響を与えるオプション装置からのトルク調整要求があった場合でも、このトルク調整要求を目標トルクに加味して目標トルクを補正し、機関の応答性、空燃比制御性が損なわれない内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明の特徴は、以下に第1から第3の発明として示される。
第1の発明の構成上の特徴は、機関の運転状態パラメータの検出手段を備え、運転者からの機関の運転要求に対して運転状態パラメータを加味して機関を要求運転状態に制御する電子制御燃料噴射式の内燃機関の制御装置であって、アクセルペダルの操作量を入力するアクセルペダル操作量の入力手段と、アクセルペダル操作量の入力値を基にして、内燃機関が発生すべきトルク量を算出する目標トルク量算出手段と、算出した目標トルク量と機関回転数に基づいて目標空燃比を算出する手段と、算出した目標トルク量と目標空燃比とに基づいて目標燃料噴射量を算出する手段と、算出した目標燃料噴射量と目標空燃比とに基づいて目標空気量を算出する手段と、算出した目標空気量と機関回転数に基づいて目標点火時期を算出する手段とを設け、算出された目標燃料噴射量、目標空気量、目標点火時期を内燃機関の制御量として出力させた内燃機関の制御装置において、アクセルペダルの操作量がゼロのアイドル制御状態においては、目標アイドル回転数と実回転数との偏差に基づいて目標トルク量を算出し、内燃機関の制御量を決定するようにしたことにある。させたことにある。
【0010】
第2の発明の構成上の特徴は、第1の発明において、目標トルク量を、目標アイドル回転数と実回転数との偏差を無くすように増減されるアイドル回転数制御トルクによって決定されるようにしたことにある。
【0011】
第3の発明の構成上の特徴は、第1の発明又は第2の発明において、機関の主装備品に加えて設けられ、作動時に機関のトルク調整を必要とする補助装備品と、この補助装備品からの機関トルク調整要求があった場合には、目標トルク量算出手段からの目標トルク量を、この要求トルク調整量を加味して補正する目標トルク量の補正手段とを更に備えることにある。
【0012】
第1の発明では、内燃機関が運転者のアクセルペダルの操作量に応じて決定される目標トルク量と機関回転数に応じて目標空燃比が算出され、この目標トルク量と目標空燃比に基づいて目標燃料噴射量が算出され、算出された目標燃料噴射量と目標空燃比に基づいて目標空気量が算出され、この目標空気量と機関回転数に基づいて目標点火時期が算出され、これらの制御量によって内燃機関が制御されるので、内燃機関の応答性、空燃比制御性が向上すると共に、アクセル開度が0の時のアイドル制御状態の時の目標トルク量に基づいて内燃機関が制御されるので、アイドル状態が安定する。
【0013】
第2の発明では、目標トルク量が目標アイドル回転数と実回転数との偏差を無くすように増減されるアイドル回転数制御トルクによって決定されるので、アイドル状態が安定する。
第3の発明では、補助装備品からの機関トルク調整要求があった場合には、目標トルク量算出手段からの目標トルク量が補正されるので、補助装備品の有無、動作状態に係わらず、機関の応答性、空燃比制御性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を用いて本発明の実施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の実施例を説明する前に、本発明が適用される電子制御燃料噴射式の内燃機関の概略構成、及び、この電子制御燃料噴射式の内燃機関における従来の制御について図1及び図2を用いて説明する。
【0015】
図1には本発明の一実施例の制御装置を備えた電子制御燃料噴射式の多気筒内燃機関1が概略的に示されている。図1において、内燃機関1の吸気通路2には図示しないエアクリーナの下流側にスロットル弁3が設けられており、このスロットル弁3の前後の吸気通路2には、スロットル弁3の閉弁時のアイドル回転数を調整するためのアイドルスピードコントロール(以後ISCと記す)通路20が、スロットル弁3をバイパスして設けられている。そして、このISC通路20の途中には、ISC通路20を流れる吸気量を調整するためのISC制御弁21が設けられている。
【0016】
スロットル弁3の軸の一端にはこのスロットル弁3を駆動するアクチュエータ4が設けられており、他端にはスロットル弁3の開度を検出するスロットル開度センサ5が設けられている。即ち、この実施例のスロットル弁3はアクチュエータ4によって開閉駆動される電子制御スロットル弁である。
スロットル弁3の下流側の吸気通路2にはサージタンク6があり、このサージタンク6内には吸気の圧力を検出する圧力センサ7と、吸気の温度を検出する吸気温センサ18が設けられている。内燃機関1への吸気量は、この圧力センサ7の検出値から算出され、吸気温センサ18の検出値によって補正される。
【0017】
また、サージタンク6の下流側には、各気筒毎に燃料供給系から加圧燃料を吸気ポートへ供給するための燃料噴射弁8が設けられている。スロットル開度センサ5の出力、圧力センサ7の出力、及び、吸気温センサ18の出力は、マイクロコンピュータを内蔵したECU(エンジン・コントロール・ユニット)10に入力される。
【0018】
燃料噴射弁8から噴射された燃料は吸気と混合され、吸気弁22の開弁時に燃焼室23内に入り、ピストン24に圧縮された状態で点火プラグ25によって点火されて燃焼し、燃焼後の排気ガスは排気弁26の開弁時にピストン24によって排気通路12に排出される。点火プラグ25は電流の断続装置であるイグナイタ16と昇圧装置である点火コイル17によってスパークし、点火プラグ25の点火時期はECU10からのイグナイタ16への信号によって決まる。
【0019】
一方、内燃機関1のシリンダブロックの冷却水通路9には、冷却水の温度を検出するための水温センサ11が設けられている。水温センサ11は冷却水の温度に応じたアナログ電圧の電気信号を発生する。排気通路12には、排気ガス中の3つの有害成分HC,CO,NOxを同時に浄化する三元触媒コンバータ(図示せず)が設けられており、この触媒コンバータの上流側の排気通路12には、空燃比センサの一種であるO2 センサ13が設けられている。O2 センサ13は排気ガス中の酸素成分濃度に応じて電気信号を発生する。これら水温センサ11及びO2 センサ13の出力はECU10に入力される。
【0020】
更に、このECU10には、アクセルペダル14に取り付けられたアクセル踏込量センサ15からのアクセル踏込量を示すアクセル開度信号や、ディストリビュータに取付けられたクランク角センサ19からの基準クランク角度Gや所定角度毎の信号CAが入力される。機関回転数Neは、所定角度毎の信号CAの間隔(時間)を計測することにより得られる。
【0021】
以上のような構成において、図示しないキースイッチがオンされると、ECU10が通電されてプログラムが起動し、各センサからの出力が取り込まれ、スロットル弁3を開閉するアクチュエータ4や燃料噴射弁8、或いはその他のアクチュエータの制御が開始される。ECU10には、各種センサからのアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器が含まれ、各種センサからの入力ディジタル信号や各アクチュエータを駆動する信号が出入りする入出力インタフェース101、演算処理を行うCPU102、ROM103やRAM104等のメモリや、クロック105等が設けられており、これらはバス106で相互に接続されている。ECU10の構成については公知であるので、これ以上の説明を省略する。
【0022】
ここで、図1のように構成された電子制御燃料噴射式の内燃機関において、従来、燃料噴射弁(インジェクタ)8、イグナイタ16、およびISC制御弁21がどのように制御されていたかについて図2により説明する。但し、従来の電子制御燃料噴射式の内燃機関では、スロットル弁3は機械的にアクセルペダル14に接続されており、運転者のアクセルペダル14の踏込量に追従して開閉制御され、スロットル弁3を開閉駆動するアクチュエータ(電子制御スロットル弁)4は採用されていないものとする。
【0023】
従来技術では、アクセルペダルに機械的に連結されたスロットル弁を運転者が操作することで吸入空気量が決定されていた。そして、内燃機関の制御装置であるECU10には、吸気管圧力センサ7によって検出された吸気管圧力と、スロットル開度センサ5によって検出されたスロットル開度と、クランク角センサ19によって検出された機関回転数、及び吸気温センサ等の各種センサスイッチからの信号が入力され、これらの信号から吸気量の検出と予測が行われていた。そして、検出した吸気量と機関の運転条件、例えば冷却水温等に応じて各種の制御量(燃料増減量等)が計算され、必要燃料量(燃料噴射時間)はインジェクタ8に出力され、要求点火時期はイグナイタ16に出力され、ISC制御量はISC制御弁21に出力されていた。
【0024】
リーンバーン機関の場合には、A/F=25程度のリーン空燃比から理論空燃比、或いは出力空燃比であるA/F=13まで制御され、燃料噴射量は前述の空気量と空燃比から計算されて決定されていた。また、点火時期(点火進角)は機関回転数と吸気管圧力等によって決定され、アイドリング条件では、所定回転数となるようにISC制御弁21の通過空気量が制御されていた。
【0025】
このような従来の内燃機関の制御装置においては、運転者によって操作されるアクセルペダルの踏込量に応じた吸気量と設定空燃比によって機関の発生トルクが決まる。そして、このようなシステムに電子制御式自動変速機(ECT)やトラクションコントロール(TRC)装置等が組み合わされた場合は、ECTの変速時のショックの低減を目的とした点火遅角による一時的なトルク低減や、TRC装置のように駆動輪の空転を抑制する目的で吸気量を減少させることのよる一時的なトルクの低減が行われていた。
【0026】
この結果、前述のように、(1) 機関の加減速運転時に吸気量に対して燃料の過不足が発生する、(2) リーンバーン機関等のように目標空燃比が広い範囲に設定制御されているものでは、アクセル操作量が一定でもトルクが変化してドライバビリティが悪化する、(3) ECTの搭載車両では、ECT変速時の変速ショックの軽減のための点火時期の遅角指令により、燃焼悪化して効率が悪化する、(4) TRC装置の搭載車両では、トラクション制御時のトルク低減のための点火時期の遅角とサブスロットル弁の開度制御で駆動輪空転時のトルクを決めているが、空燃比設定値によるトルク変化のためにトラクション制御性能がばらつく、という問題点があった。
【0027】
これに対して、本発明の内燃機関の制御装置では、図3に示すようにして、電子制御スロットル4、インジェクタ8、イグナイタ16、及びISC制御弁21を制御している。即ち、本発明においては、運転者が操作するアクセルペダルの踏込量がアクセル踏込量センサ15によって電気信号として取り出され、これが内燃機関の制御装置であるECU10に入力されてまず、目標トルクが算出される。
【0028】
また、クランク角センサ19によって検出されるアイドリング回転数を目標回転数に制御する際に、この目標トルクを調整パラメータとすることで、目標トルク以降の制御演算が一元化される。つまり、本発明では、目標トルクとなるように各種制御量が、機関回転数Ne、スロットル開度センサ5からのスロットル開度、各種センサやスイッチからの信号によって計算される。そして、算出された制御量に応じて、電子制御スロットル弁4に出力される必要吸気量(目標スロットル弁開度)、インジェクタ8に出力される必要燃料量(燃料噴射時間)、イグナイタ16に出力される要求点火時期16、およびISC制御弁21に出力されるISC弁開度が算出される。なお、電子制御スロットル弁4の制御誤差を補正するために、圧力センサ7によって検出された吸気管圧力情報PがECU10に入力される。
【0029】
ここで、以上のように構成された本発明の内燃機関の制御装置における制御例を図4、図5のフローチャートを用いて説明する。
図4は本発明の内燃機関の制御装置における第1の実施例の制御手順の一例を示すフローチャートである。この制御手順は、所定時間毎、或いは、所定クランク角度CA毎に実行される。
【0030】
ステップ401ではアクセル踏込量センサ15によって検出されたアクセル開度データが読み込まれる。アクセル開度データはECU10内に設けられたA/D変換器(図1には図示せず)により、A/D変換された後に取り込まれる。続くステップ402では、アクセルペダル14の操作量(以後アクセル開度と記す)が0か否かが判定される。
【0031】
ステップ402においてアクセル開度が0でない時はステップ403に進み、アクセル開度に基づいて基本トルクTrqbが、例えば図10に示すテーブルから算出される。図10(a)はアクセル操作量と目標トルク量の関係を示すものであり、予め設定されてマップの形でROM103に記憶されている。マップ上にないデータは補間処理により読み出される。ただし、機関回転数に応じて実現可能な最低トルク値と最大トルク値が変化するため、図10(b)に示す上下限値テーブルの値によって目標トルク値が制限される。この基本トルクTrqbは、アクセル開度の他、エンジン回転数、或いは、車速等の情報に関連して決定しても良い。
【0032】
一方、ステップ402においてアクセル開度が0の場合はステップ404に進み、基本トルクTrqbが0Nmとされてステップ405に進む。ステップ405ではアイドル回転数制御トルクTrqiが算出される。アクセル開度が0の場合は、車速も0であるアイドリング状態の場合と、降坂走行等のような減速運転状態の場合がある。そこで、ステップ405におけるアイドル回転数制御トルクTrqiの算出は、図5に示すフローチャートに示すように、アイドル制御状態と減速状態の2つの場合に分けて行われる。
【0033】
従って、ステップ405に進んできた場合には、ステップ501において、現在の機関回転数Neの値が、目標アイドル回転数+400rpm以上か否かが判定され、Ne≧(目標アイドル回転数+400rpm)の場合は減速状態と判定され、そうでない場合にはアイドル制御状態と判定される。アイドル制御状態と判定された場合にはステップ502に進み、目標アイドル回転数となるように、アイドル回転数制御トルクTrqiがフィードバック制御によって増減される。即ち、アイドル回転数制御トルクTrqiは、目標アイドル回転数と実回転数との偏差量を無くすように増減される。
【0034】
なお、このときのアイドル回転数制御トルクTrqiは、内燃機関に空気調和装置(エアコンディショナ)が設けられている場合には、この空気調和装置が動作状態の時に内燃機関に対して与える負荷を考慮した負荷トルク量に基づいて算出される。
ステップ502においてアイドル回転数制御トルクTrqiが算出されると、ステップ503においてこの値はアイドル回転数制御トルクの記憶値TrqimとしてECU10のRAM104に格納される。
【0035】
一方、ステップ501において機関が減速状態と判定された時にはステップ504に進み、ステップ503で記憶された最新のアイドル回転数制御トルクの記憶値Trqimがアイドル回転数制御トルクTrqiとして算出される。
図4に示すステップ403において基本トルクTrqbが算出された後、或いは、ステップ405においてアイドル回転数制御トルクTrqiが算出された後はステップ406に進む。
【0036】
ステップ406では基本トルクTrqbにアイドル回転数制御トルクTrqiが加算されて目標トルクTrqが算出される。続くステップ407では、目標トルクTrqから要求燃料量Gfが算出される。要求燃料量Gfは予め目標トルクと機関回転数および目標空燃比などに関連したデータをマップの形でROM103に記憶しておき、このマップを利用して算出することができる。この時に空燃比情報を関連付ける理由は、リーン空燃比運転時にはポンピング損失の減少等により、少ない燃料で同等のトルクを発生させることができるためである(このリーン空燃比運転時には約8%前後燃料が少なくて済む)。
【0037】
ステップ407で要求燃料量Gfが算出された後は、ステップ408に進んで目標トルクTrqと機関回転数等の運転条件に応じて目標空燃比A/Fが決定される。そして、次のステップ409では、目標空燃比A/Fと前述の要求燃料量Gfを乗算することにより、要求吸気量Gaが求められる。
続くステップでは再度アクセル開度が0か否かが判定され、アクセル開度が0でない時はステップ411に進み、要求吸気量Gaに応じて電子制御スロットル弁の開度が、ROM103に予め記憶されたマップから求められる。このマップは、機関回転数と要求吸気量に関連したデータを予め求めてマップの形にしたものである。一方、アクセル開度が0の時はステップ412に進み、要求吸気量Gaに対してISC制御弁開度が予め記憶された特性マップから算出される。
【0038】
ステップ411又は412が終了するとステップ413に進み、要求燃料量Gfからインジェクタ8への出力となる燃料噴射時間が算出される。この燃料噴射時間は、要求燃料量Gf(g/sec)からインジェクタの流量特性、機関回転数、及び、燃料比重等を考慮して算出される。
そして、続くステップ414では、要求吸気量Gaと機関回転数Neとから点火時期が算出される。この点火時期も要求吸気量Gaと機関回転数のマップを予め作成してROM103に記憶させておき、必要時に読み出すことによって点火時期を求めることができる。最後のステップ415では、算出された各種制御量に基づいて各アクチュエータ駆動処理が実行される。
【0039】
以上説明した実施例では、図6に示すように、アクセルペダル開度に応じて算出された基本トルクTrqbとアイドル回転数制御トルクTrqiの和から目標トルクTrqが目標トルク算出部10Aにおいて算出されていた。一方、内燃機関を搭載した車両にECT(電子制御式自動変速機)27やTRC(トラクションコントロール)装置28が設けられている場合には、ECT制御コンピュータからのトルク低減要求、要求トルク値、及び、TRC制御コンピュータからのトルク低減要求、要求トルク値が、ECU10の目標トルク算出部10Aに入力される。
【0040】
このような場合には、図4で説明したフローチャートのステップ406において、目標トルクTrqがECT27やTRC28からのトルク低減要求を考慮して算出される。この場合のステップ406における目標トルクTrqの算出手順を、本発明の第2の実施例として図7を用いて説明する。
ECT27やTRC装置28が車両に搭載されている場合には、ステップ406における目標トルクTrqを算出する際に、先ず、ステップ701が実行され、TRC装置28からのトルク低減要求があるか否かが判定される。そして、TRC装置28からのトルク低減要求がない場合にはステップ702に進み、ECT27からのトルク低減要求があるか否かが判定される。
【0041】
TRC装置28とECT27からのトルク低減要求がない場合は、ステップ703に進み、通常の基本トルクTrqbとアイドル回転数制御トルクTrqiに基づいて目標トルクTrqが算出される。
一方、ステップ701において、TRC装置28からのトルク低減要求がある場合にはステップ704に進み、車両制御上で優先度の高いTRC装置28からのトルク低減要求に基づき、目標トルクTrqにTRC要求トルクTrqtがそのまま代入される。また、ステップ702において、ECT27からのトルク低減要求がある場合にはステップ705に進み、車両制御上で優先度の高いECT27からのトルク低減要求に基づき、目標トルクTrqにECT要求トルクTrqeがそのまま代入される。
【0042】
以上により、本発明の内燃機関の制御装置では、他のシステムからのトルク低減要求発生時には、その要求トルクとなるように目標トルクTrqが変更され、機関が最適な状態で制御される。
次に、リーンバーン機関における空燃比切り換え時の本発明の内燃機関の制御装置の動作を図8(a) により説明する。ここでは運転者のアクセルペダルの操作により、時刻t1からアクセル開度が0から増加し、時刻t3においてアクセル開度が最大となり、その後アクセル開度が減少して時刻t5で0に戻った場合について説明する。
【0043】
なお、この例のリーンバーン機関では、アクセル開度を基に算出された目標トルクから、例えば、第1の設定トルクT1以下ではリーン空燃比に制御され、この第1の設定トルクT1より僅かに高い側に設定された第2の設定トルクT2以上では、理論空燃比に制御されるようになっているものとする。
時刻t1からアクセル開度が大きくなって目標トルクが上昇すると、第2の設定トルクT2までは空燃比はリーン空燃比に制御される。そして、目標トルクが第2の設定トルクT2以上となる時刻t2になると、空燃比はリーン空燃比から理論空燃比に切り換えられ、その後理論空燃比が維持される。一方、時刻t3を過ぎてアクセル開度が閉じ側に操作され、目標トルクが低下する場合には、時刻t4において目標トルクが第1の設定トルクT1以下になった時点で、空燃比が理論空燃比からリーン空燃比に切り換えられる。
【0044】
リーンバーン機関におけるこのような空燃比の切り換え制御は、主にリーン空燃比運転状態において出力可能な最大トルク以上に要求された場合に、理論空燃比へ切り換えることにより、要求されたトルクを理論空燃比によって発生することを目的に行われる。
この場合の要求燃料量は目標トルク、目標空燃比、機関回転数等に応じて決定されるが、ほぼ目標トルクに比例して変化し、時刻t1から時刻t3まで増大し、時刻t3から時刻t5まで減少する。一方、要求吸気量は要求燃料量に目標空燃比を乗算して求められる。リーン空燃比制御時は、要求吸気量は時刻t1から目標空燃比がリーン空燃比から理論空燃比に切り換わる時刻t2までは増えるが、時刻t2において理論空燃比に切り換わった途端に、理論空燃比に応じたスロットル開度まで減らされ、吸気量が空燃比の差分だけ急激に減る。この後、要求吸気量は時刻t3までは増え続け、時刻t3から時刻t4までは目標トルクの減少に伴って減少する。
【0045】
このように、時刻t2と時刻4において要求吸気量が急変するのは、リーン空燃比制御時は理論空燃比制御時に対して要求吸気量は空燃比の差分だけ増加した値となっているからである。従って、空燃比切り換え時点では要求吸気量は急変化する動作となる。
実際に発生されるトルクは、ほぼ要求燃料量に比例する傾向である。従って、要求燃料量が目標トルクにほぼ比例することから、本発明のリーンバーン機関の制御装置では、空燃比制御状態がリーン状態、理論空燃比状態に関わらず、運転者のアクセル操作量に比例したトルクが発生されることが分かる。従って、本発明の内燃機関の制御装置を搭載したリーンバーン機関では、運転者のアクセル操作量に応じてトルクが発生するので、ドライバビリティが向上する。
【0046】
これに対して、図8(a) と同様のアクセル操作が行われた時の、リーンバーン機関における従来の内燃機関の制御装置の動作を図8(b) により説明する。ここでも目標トルクが第1の設定トルクT1以下ではリーン空燃比に制御され、第2の設定トルクT2(>第1の設定トルクT1)以上では、理論空燃比に制御されるようになっているものとする。
【0047】
従って、従来の制御においても、時刻t1から目標トルクが第2の設定トルクT2を越える時刻t2までは空燃比はリーン空燃比に制御される。そして、時刻t2を過ぎると空燃比はリーン空燃比から理論空燃比に切り換えられ、以後は目標トルクが第1の設定トルクT1を以下となる時刻t4までは理論空燃比に保持される。この後、時刻t4において目標トルクが第1の設定トルクT1以下になった時点で、空燃比が理論空燃比からリーン空燃比に切り換えられ、以後目標トルクが第2の設定トルクT2を越えない限りリーン空燃比が保持される。
【0048】
従来の制御は前述のように吸入空気量先行であるので、アクセル開度が変化すると、それに応じてスロットル開度も変化し、要求吸気量は時刻t1から時刻t3まで上昇し、時刻t3から時刻t5まで減少する。
従来の制御では、要求燃料量は目標空燃比、エンジン回転数等に応じて決定されるので、時刻t1から時刻t2まではリーン空燃比の下で吸気量の増大に伴って増大する。時刻t2において目標空燃比がリーン空燃比から理論空燃比に変化すると、空燃比の差分だけ急増し、以後は時刻t4までは理論空燃比の下で吸気量の増減に追従して増減する。そして、時刻t4において目標空燃比が理論空燃比からリーン空燃比に変化すると、空燃比の差分だけ急減し、以後はリーン空燃比の下で吸気量の増減に追従して増減する。
【0049】
このように、時刻t2と時刻4において要求燃料量が急変するのは、理論空燃比制御時はリーン空燃比制御時に対して要求燃料量が空燃比の差分だけ増加した値となっているからである。従って、従来の制御では、空燃比切り換え時点において要求燃料量が急変化する動作となる。
実際に発生されるトルクは、前述のようにほぼ要求燃料量に比例する傾向にある。従って、従来のリーンバーン機関の制御装置では、空燃比制御状態が、リーン空燃比状態から理論空燃比状態に切り換わった時点で発生トルクが急増し、理論空燃比状態からリーン空燃比状態に切り換わった時点で発生トルクが急減することになる。従って、従来の内燃機関の制御装置を搭載したリーンバーン機関では、運転者のアクセル操作による加速中、或いは減速中の空燃比切換時点でトルクが急変するので、トルクショックが感じられ、ドライバビリティが悪い。
【0050】
以上説明した制御例は、リーンバーン機関に他のシステムからのトルク調整要求がない場合のものであるが、リーンバーン機関に図6で説明したECT27やTRC装置28が備えられている場合には、目標トルクがこれらのシステムからのトルク調整要求によって変化する。このような、リーンバーン機関に他のシステムからのトルク調整要求がある場合における本発明の内燃機関の制御装置の動作を空燃比切り換えと共に図9により説明する。なお、説明を簡単にするために、ここでは他のシステムとしてTRC装置28のみがリーンバーン機関に備えられているものとし、運転者のアクセルペダルの操作により、時刻taからアクセル開度が0から増加し、時刻teにおいてアクセル開度が最大となり、その後アクセル開度が一定に保持されるような運転状態の中で、TRC装置28からのトルク低減要求があった場合の動作例について説明する。
【0051】
また、この例のリーンバーン機関でも、アクセル開度を基に算出された目標トルクから、例えば、第1の設定トルクT1以下ではリーン空燃比に制御され、この第1の設定トルクT1より僅かに高い側に設定された第2の設定トルクT2以上では、理論空燃比に制御されるようになっているものとする。
時刻taからアクセル開度が大きくなって目標トルクが上昇すると、第2の設定トルクT2までは空燃比はリーン空燃比に制御される。そして、目標トルクが第2の設定トルクT2以上となる時刻tbになると、目標空燃比はリーン空燃比から理論空燃比に切り換えられる。
【0052】
一方、時刻tbを過ぎた時刻tcにおいて、アクセル開度から算出された目標トルクに対して、車両の駆動輪に空転が発生したとする。この時にはTRC制御コンピュータからのトルク低減要求と要求トルク値がECU10に入力される。TRC要求トルクは、駆動輪の空転検出時にトルク低下要求を発生し空燃比率が所定設定値になるように制御されるため、車速上昇と共に要求トルクは上昇する傾向にある。
【0053】
図9の例では、駆動輪の空転発生前の時刻tbにおいて目標トルクが第2の設定トルクT2を越えて空燃比切り換え条件が成立している。この場合には、理論空燃比に切り換え制御された直後に、TRC制御コンピュータからのトルク低減要求に応じて目標トルクが減少する。そして、時刻tdにおいて目標トルクが第1の設定トルクT1になると、再度リーン空燃比への切り換え条件が成立するので、目標空燃比は理論空燃比からリーン空燃比に切り換えられる。
【0054】
この後の時刻teにおいて、TRC制御コンピュータからのトルク低減要求により空燃比率が所定設定値になると、車速上昇と共にTRC要求トルクは上昇する。そして、その後の時刻tfにおいてTRC要求トルクが第2の設定トルクになると、目標空燃比がリーン空燃比から理論空燃比に切り換えられる。この後もTRC要求トルクは増大を続け、時刻tgになった時点でTRC要求トルクが基本トルクに一致する。
【0055】
この場合の要求燃料量はほぼ目標トルクに比例して変化し、時刻taから時刻tcまで増大し、時刻tcから時刻teまで減少した後、時刻teから時刻tgまで再び増大する。
一方、要求吸気量は要求燃料量に目標空燃比を乗算して求められるので、要求燃料量の変化と目標空燃比の変化に合わせて変化する。よって、要求吸気量は時刻taから時刻tbまでは要求燃料量の変化に伴って増えるが、時刻tbにおける目標空燃比の変化により空燃比の差分だけ急激に減る。時刻tbから時刻tdの間は、要求吸気量は要求燃料量の変化に伴って増大した後に減少し、時刻tdにおける目標空燃比の切り換わりにより空燃比の差分だけ急激に増え、時刻tdから時刻tfまでは要求燃料量の変化に伴って減少した後に増大する。そして、時刻tfにおける目標空燃比の切り換わりで空燃比の差分だけ急激に減り、時刻tf以後は要求燃料量の変化に伴って変化する。
【0056】
実際に発生されるトルクはほぼ要求燃料量に比例し、要求燃料量は目標トルクにほぼ比例することから、本発明のリーンバーン機関の制御装置では、空燃比制御状態がリーン状態、理論空燃比状態に関わらず、運転者のアクセル操作量に比例したトルクにTRC装置からのトルク調整要求が加わったトルクが発生されることが分かる。従って、本発明の内燃機関の制御装置を搭載したリーンバーン機関では、目標空燃比の変化に関係なく発生トルクを連続的に制御することが可能であるため、TRC装置の制御性に悪影響を及ぼすことなくリーンバーン機関を最良の状態で運転することができる。
【0057】
これに対して、TRC制御装置を備えたリーンバーン機関を、吸入空気量先行制御、燃料量追従制御方式の従来の内燃機関の制御装置で制御した場合は、目標トルクの変化に追従して要求吸気量が変化する。そして、要求燃料量は時刻tbと時刻tfにおける目標空燃比のリーン空燃比から理論空燃比への切換時点で空燃比の差分だけ増大し、時刻tdにおける目標空燃比の理論空燃比からリーン空燃比への切換時点で空燃比の差分だけ減少する。
【0058】
この結果、ほぼ要求燃料量に比例する実際に発生されるトルクは、目標空燃比の切換時点で変化する要求燃料量に追従して急増、或いは急減する。よって、従来の制御装置では、目標空燃比の制御状態がリーン状態と理論空燃比状態との間で切り換わった時に急激なトルク変化が起こることになる。従って、従来の内燃機関の制御装置を搭載したリーンバーン機関では、目標空燃比が変化する毎に発生トルクが変化するので、TRC装置の制御性に悪影響が及び、リーンバーン機関を最良の状態で運転することができない。
【0059】
以上説明した実施例が本発明の基本的な実施例であるが、目標空燃比の他に内燃機関制御の可変制御要素に対応して目標トルクに対する各種制御量演算が内燃機関の制御装置にて実行されるものとする。
また、可変要素としては、前述のECT27やTRC装置28の他にも、例えば、吸気流制御装置(SCV装置,VVT装置,可変吸気装置等)や、過給装置(T/C,S/C)等がある。また、他の制御システムとしては、クルーズコントロール、VSC等の制御システムがある。
【0060】
なお、以上の実施例では、リーンバーン機関を説明したが、本発明の内燃機関の制御装置が適用される機関は、特にリーンバーン機関に限定されるものではない。
以上説明したように、本発明の内燃機関の制御装置では、内燃機関が発生すべき目標トルクをパラメータとして動作するため、内燃機関の制御装置の相違点、例えば、全域理論空燃比制御の機関とリーンバーン機関の差に関係なく、その機関特性の最良点で制御することができ、出力される機関トルクは運転者のアクセル操作量に比例したものが常に得られる。
【0061】
また、他の制御システムとの間でも要求トルクをパラメータに総合的なトルク制御が可能である。これは同一車両に複数のエンジンが組み合わされるような場合には特に有効である。
TRC装置等は車両特性からその制御目標量が決まり、ECTはトランスミッション特性からその制御目標量が決まる。従来はこれら複数の組み合わせのそれぞれについて、スロットル開度調整量や点火時期の遅角量の制御量を実験的に設定、確認が多大な時間を費やしてマッチングされていた。しかしながら、本発明によれば、1種類の組み合わせにおいて要求制御量を求めておけば良く、異なる機種の機関が組み合わされてもTRC装置やECTなどの内燃機関以外のシステム制御量に影響しない。
【0062】
このことから、本発明の内燃機関の制御装置によれば、より複雑化する内燃機関、車両総合制御等の大規模な車両制御系を構築する際に、各システム毎に独立したシステムの開発が可能となり、また、各システムの制御精度が保証されることになる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内燃機関の制御装置によれば、以下のような効果がある。
第1の発明では、内燃機関が運転者のアクセルペダルの操作量に応じて決定される目標トルク量に応じて制御されるので、機関の応答性、空燃比制御性が向上する。
【0064】
第2の発明では、目標トルク量が予め設定されたテーブルに基づいて算出されるので、算出時間が速く、正確な目標トルク量が得られる。
第3の発明では、目標トルク量から目標空燃比が算出されるので、機関の応答性、空燃比制御性が向上する。
第4の発明では、補助装備品からの機関トルク調整要求があった場合には、目標トルク量算出手段からの目標トルク量が補正されるので、補助装備品の有無、動作状態に係わらず、機関の応答性、空燃比制御性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の制御装置を備えた電子制御燃料噴射式の内燃機関の一実施例の全体構成を示す構成図である。
【図2】従来の内燃機関の制御装置の動作を示すブロック図である。
【図3】本発明の内燃機関の制御装置の動作を示すブロック図である。
【図4】本発明の内燃機関の制御装置における第1の実施例の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップ405の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図6】図3の他システムからのトルク調整要求の一例を示すブロック図である。
【図7】図6に示す他システムからのトルク調整要求がある時の図4のステップ406の手順の詳細を示すフローチャートである。
【図8】 (a) は図4に示した本発明の制御手順によるアクセル開度変化に対する発生トルクの推移を示すタイムチャート、(b) は(a) と同様のアクセル開度変化にたいする従来の制御による発生トルクの推移を示すタイムチャートである。
【図9】図6に示すトラクションコントロール装置からトルクの調整要求があった場合の、本発明のアクセル開度の変化に対する発生トルクの推移を、従来の内燃機関の制御装置における発生トルクの推移と比較して示すタイムチャートである。
【図10】(a)は目標トルクを算出するためのアクセル操作量と目標トルク量の関係を示すテーブル、(b)は機関回転数に対する目標トルク量の上下限値を設定したテーブルである。
【符号の説明】
1…内燃機関
2…吸気通路
3…スロットル弁
4…アクチュエータ
5…スロットル開度センサ
7…圧力センサ
8…燃料噴射弁
10…ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
11…水温センサ
12…排気通路
13…O2 センサ
14…アクセルペダル
15…アクセル踏込量センサ
16…イグナイタ
17…点火コイル
18…吸気温センサ
19…クランク角センサ
20…ISC通路
21…ISC制御弁
Claims (3)
- 機関の運転状態パラメータの検出手段を備え、運転者からの機関の運転要求に対して前記運転状態パラメータを加味して機関を要求運転状態に制御する電子制御燃料噴射式の内燃機関の制御装置であって、
アクセルペダルの操作量を入力するアクセルペダル操作量の入力手段と、アクセルペダル操作量の入力値を基にして、内燃機関が発生すべきトルク量を算出する目標トルク量算出手段と、算出した前記目標トルク量と機関回転数に基づいて目標空燃比を算出する手段と、算出した前記目標トルク量と前記目標空燃比とに基づいて目標燃料噴射量を算出する手段と、算出した前記目標燃料噴射量と前記目標空燃比とに基づいて目標空気量を算出する手段と、算出した前記目標空気量と機関回転数に基づいて目標点火時期を算出する手段と、前記算出された目標燃料噴射量、目標空気量、目標点火時期を内燃機関の制御量として出力する内燃機関の制御装置において、
アクセルペダルの操作量がゼロのアイドル制御状態においては、目標アイドル回転数と実回転数との偏差に基づいて前記目標トルク量を算出し、前記内燃機関の制御量を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の制御装置であって、前記目標トルク量は、前記目標アイドル回転数と実回転数との偏差を無くすように増減されるアイドル回転数制御トルクによって決定される内燃機関の制御装置。
- 請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置であって、
機関の主装備品に加えて設けられ、作動時に機関のトルク調整を必要とする補助装備品と、
この補助装備品からの機関トルク調整要求があった場合には、前記目標トルク量算出手段からの目標トルク量を、この要求トルク調整量を加味して補正する目標トルク量の補正手段と、を更に備える内燃機関の制御装置。
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