JP3621850B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD等の光記録媒体の再生等を行う光ピックアップ装置に関し、さらに詳しくは、そのレーザー光源から出射されるレーザー光の強度中心を精度良くシステム光軸に一致させることのできる光ピックアップ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD等の光記録媒体に対する再生、記録を行うための光ピックアップ装置の光学系の一般的な構成は、図4(a)に示すように、レーザーダイオード1と、ここから出射されたレーザー光11を平行光化するコリメートレンズ2と、平行光化されたレーザー光を立ち上げる立ち上げミラー3と、このミラー3によって立ち上げられて開口絞り4を介して導かれたレーザー光を光ディスク6の記録面上に光スポットとして収束させる対物レンズ5とを有している。光ディスク6で反射されたレーザー戻り光は同一の経路を経て戻り、コリメートレンズ2とレーザーダイオード1の間に配置されている不図示のハーフミラー等によって不図示の光検出器に導かれ、そこに含まれている再生情報等が検出される。
【0003】
レーザーダイオード1から出射されるレーザー光の強度分布は、図5に示すように、概ねガウス分布となり、直交する方向において最大および最小の放射角θv、θhとなるような楕円形状11bをしている。一般には、開口絞り4によって、斜線で示すような中心分布光11aの部分が利用されている。
【0004】
ここで、図4(a)、(b)に示すように、レーザー光11の光量分布中心が、光学系を構成している対物レンズ等の光軸を通っているシステム光軸Lに一致している必要がある。一致していない場合、例えば、図4(C)、(d)に示すように、中心分布光11aの放射角度がシステム光軸からθずれた場合には、対物レンズ開口絞り4上での光量分布中心が△Xずれてしまう。この結果、光ディスク上に形成されている光スポットの歪み発生、プッシュプル法を採用している場合にはそのオフセットの発生、WobbleS/N比の劣化、レンズシフト特性のアンバランス等といった不具合が生ずる。
【0005】
レーザー光11の光量分布中心のずれは、図6に示すように、その光量分布の狭い方向(L3)へのずれが発生した場合の方が(図6(a))、光量分布の広い方向(L4)へのずれが発生した場合(図6(b))に比べて影響が大きい。
【0006】
このようなレーザー光の光量分布中心のシステム光軸に対するずれは、レーザーダイオードの部品精度、その組み付け誤差等に起因して発生する。このような光軸ずれを解消するために、従来においては、例えば、特許第2835778号公報に開示されているように、レーザーダイオードを、調整台を介して装置フレームに取り付け、調整台におけるレーザーダイオードの取り付け面のシステム光軸に対する角度を調整することにより、レーザー光の光量分布中心をシステム光軸に一致させる機構が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなずれ調整方法では、レーザーダイオードの調整台を別途必要とするので、その分、組み付けの手間も掛かり、コスト高にもなる。さらには、装置寸法が大きくなり、装置構成も複雑化してしまう。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、簡単な構成で、レーザー光の光量分布中心をシステム光軸に一致させることのできる光ピックアップ装置を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、レーザー光源から出射されたレーザー光を光記録媒体の記録面上に収束させ、当該記録面で反射したレーザー戻り光に基づき、記録情報の再生等を行う光ピックアップ装置において、前記レーザー光源が取り付けられている装置フレームは、前記レーザー光源を、システム光軸に対して直交する状態で交差している揺動中心線の回りに揺動可能に支持している支持部と、前記レーザー光源の前記揺動中心線を中心とする揺動以外の動きを拘束している拘束部とを有していることを特徴としている。
【0010】
上記構成に加えて、本発明では、前記拘束部は、前記レーザー光源のステムの円形外周面における前記揺動中心線の方向の両端部分のみが圧入されている一対の圧入用内周面を備えた構成となっている。また、前記支持部は、前記一対の圧入用内周面に対して圧入方向に隣接した位置において、前記ステムの円環状端面を支持している一対の凸面を備えた構成となっている。
【0011】
この構成の光ピックアップ装置においては、レーザー光源が装置フレームに形成した支持部によって揺動可能に支持されている。従って、レーザー光源を揺動させることにより、そこから出射されるレーザー光の光量分布中心をシステム光軸に一致するように調整し、調整後に接着剤等によって装置フレーム側に固定すればよい。
【0012】
レーザー光源の揺動方向は、当該レーザー光源のレーザー光放射分布が最も狭い方向と一致するように設定することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を適用した光ピックアップ装置の実施例を説明する。
【0014】
図1には、本例の光ピックアップ装置の光学系の概要を示してある。この図に示すように、光ピックアップ装置10の光学系は、レーザーダイオード1と、ここから出射されたレーザー光11の一部を反射するハーフミラー7と、反射されたレーザー光11を平行光化するコリメートレンズ2と、平行光化されたレーザー光を立ち上げる立ち上げミラー3と、このミラー3によって立ち上げられて開口絞り4を介して導かれたレーザー光を光ディスク6の記録面上に光スポットとして収束させる対物レンズ5とを有している。
【0015】
光ディスク6で反射されたレーザー戻り光は同一の経路を経て戻り、コリメートレンズ2とレーザーダイオード1の間に配置されているハーフミラー7によってセンサレンズ8を経由して光検出器9に導かれ、そこに含まれている再生情報等が検出される。
【0016】
レーザーダイオード1は、大径の円盤状のステム101と、このステム表面に同軸状態に取り付けられている円筒ケース102を有し、このケース内にレーザーダイオードチップ(図示せず)が収納されている。ここから出射されるレーザー光の強度分布は、前述した図5に示す通りであり、ガウス分布となり、その放射分布は直交する方向において最大および最小の放射角θv、θhとなるような楕円形状11bをしている。一般には、開口絞り4によって、図1(b)に示す円領域4が利用されている。
【0017】
本例においては、レーザーダイオード1を取り付けるための装置フレーム20には、図2に示す構成の取り付け部が形成されている。図2を参照して説明すると、この取り付け部21は、装置フレーム20の端面22に形成された浅い長方形の凹部23と、この凹部23の底面中央に形成された円形孔24とを備えている。
【0018】
長方形の凹部23における長辺側の内側面231、232には、その中央部分に、レーザーダイオード1のステム101の円形外周面103(図3参照)を圧入あるいは軽圧入可能な一対の圧入用内周面233、234が形成されている。また、これらの圧入用内周面233、234と、円形孔24の縁との間には、それぞれ、凸面241、242が形成されている。これら凸面241、242は凹部底面235よりも隆起しており、それら凸面の中心を結ぶ線分がレーザーダイオードの揺動中心線L1とされている。この揺動中心線L1は、システム光軸Lに対して直交する状態で交差している。
【0019】
上記の圧入用内周面233、234は、システム光軸を中心として60度程度の角度の円弧であり、これ以外の凹部内周面の部分は、レーザダイオード1から離れている。
【0020】
図3に示すように、このように構成した取り付け部21にレーザーダイオード1を圧入すると、レーザーダイオード1のステム101の円形外周面103が圧入用内周面233、234の間に圧入される。また、レーザーダイオードのステム101の円環状端面104が一対の凸面241、242に当たるまで当該レーザーダイオード1を圧入できる。
【0021】
この結果、レーザーダイオード1は、そのステムの円環状端面104が、一対の凸面241、242からなる支持部によって支持され、揺動中心線L1を中心として揺動可能な状態になる。これと同時に、一対の圧入用内周面233、234からなる拘束部によって、当該揺動以外の動きが拘束された状態とされる。
【0022】
レーザーダイオード1を取り付け部20に圧入した状態では、揺動中心線L1を中心として、レーザーダイオード1を揺動させることができる。ここで、本例では、図3に示すように、揺動方向を、レーザー光11の光量分布の最も狭い方向に一致するように設定してある。
【0023】
従って、本例においては、レーザーダイオード1を取り付け部20に圧入した後に揺動させると、そこから出射されるレーザー光11の光量分布中心11aを図1においてL3で示す光量分布の最も狭い方向に沿って左右に移動させることができる。よって、例えば、図6(a)に示すように、レーザー光11の光量分布中心11aがシステム光軸LからΔXずれている場合には、レーザーダイオード1を一方向に傾斜させることにより、当該光量分布中心11aをシステム光軸Lに一致させることができる。このようにレーザーダイオード1を調整した後は接着剤等を用いて調整後の状態でレーザーダイオード1を装置フレーム側に接着固定する。
【0024】
なお、上記の説明では、レーザーダイオードの揺動方向を、そこから出射されるレーザー光の光量分布が最も狭い方向に一致する方向となるようにしているが、それ以外の方向とすることも可能である。
【0025】
また、上記の例では凸面241、242を形成しているが、凸面は、凸平面であってもよいし、凸曲面であってもよい。さらには、凸円弧面とすることもできる。さらに、レーザーダイオードとしては、ホログラム素子、受光素子が一体化されたユニット構成のものであってもよい。
【0026】
さらにまた、本発明は上述した光学系とは異なる構成の光学系を備えた光ピックアップに対しても同様に適用できることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ピックアップ装置においては、レーザーダイオードを揺動可能に取り付け可能な取り付け部を装置フレームに形成してある。従って、従来のようなレーザーダイオード調整台のような別部材を用いることなく、レーザーダイオードから出射されるレーザー光の光量分布中心をシステム光軸に一致させる調整を行うことができる。
【0028】
また、本発明では、レーザー光源の揺動中心がその発光点に極めて近いので、レーザー光源を揺動させることにより光軸ずれを抑制できるという利点がある。
【0029】
さらに、本発明では、レーザー光源を揺動可能に支持する一対の凸面がレーザー光源の光軸方向の位置決め用の面としても機能するという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明を適用した光ピックアップ装置の光学系を示す概略構成図、および対物レンズ開口絞りと、レーザー光11の分布との関係を示す説明図である。
【図2】(a)〜(c)は、図1の光ピックアップ装置における装置フレームに形成したレーザーダイオードの取り付け部を示す部分平面図、および直交する面で切断した場合の部分断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、図2の取り付け部にレーザーダイオードを圧入した状態を示す平面図、および直交する面で切断した場合の部分断面図である。
【図4】(a)、(b)および(c)、(d)は、レーザー光の光量分布中心が光ピックアップ装置の光学系のシステム光軸に一致している状態およびずれている状態を示す説明図である。
【図5】レーザーダイオードから出射されたレーザー光の光量分布状態を示すための説明図である。
【図6】対物レンズの開口絞りと、レーザー光の光量分布中心との関係を示すための説明図である。
【符号の説明】
1 レーザーダイオード(レーザー光源)
101 ステム
103 ステムの円形外周面
104 ステムの円環状端面
2 コリメートレンズ
3 ミラー
4 開口絞り
5 対物レンズ
6 光記録媒体
7 ハーフミラー
8 センサレンズ
9 光検出器
11 レーザー光
11a 中心分布光
20 装置フレーム
21 取り付け部
23 凹部
24 円形孔
233、234 圧入用内周面
241、242 凸面
L システム光軸
L1 揺動中心線
Claims (2)
- レーザー光源から出射されたレーザー光を光記録媒体の記録面上に収束させ、当該記録面で反射したレーザー戻り光に基づき、記録情報の再生等を行う光ピックアップ装置において、
前記レーザー光源が取り付けられている装置フレームは、前記レーザー光源を、光ピックアップ装置光学系のシステム光軸に対して直交する状態で交差している揺動中心線の回りに揺動可能に支持している支持部と、前記レーザー光源の前記揺動中心線を中心とする揺動以外の動きを拘束している拘束部とを有しており、
前記拘束部は、前記レーザー光源のステムの円形外周面における前記揺動中心線の方向の両端部分のみが圧入されている一対の圧入用内周面を備えており、
前記支持部は、前記一対の圧入用内周面に対して圧入方向に隣接した位置において、前記ステムの円環状端面を支持している一対の凸面を備えていることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 請求項1において、前記レーザー光源の前記揺動方向は、当該レーザー光源のレーザー光放射分布が最も狭い方向とされていることを特徴とする光ピックアップ装置。
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