JP3621773B2 - トラネキサム酸誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚美白効果および肌荒れ防止、改善効果を有する新規なトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド誘導体またはこれらの化合物を有効成分として含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮膚のしみなどの発生機序については一部不明な点もあるが、一般には、ホルモンの異常や日光からの紫外線の刺激が原因となってメラニン色素が形成され、これが皮膚内に異常沈着するものと考えられている。この様なしみやあざの治療法にはメラニンの生成を抑制する物質、例えば、ビタミンCを大量に投与する方法、グルタチオン等を注射する方法あるいはコウジ酸、システイン等を軟膏、クリ−ム、ロ−ションなどの形態にして、局所に塗布するなどの方法がとられている。また、欧米ではハイドロキノン製剤が医薬品として用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの化合物はハイドロキノンを除いてはその効果の発現がきわめて緩慢であるため、美白効果が十分でない。一方、ハイドロキノンは効果は一応認められているが、感作性があるため一般には使用が制限されている。
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、安全性が高く、かつ一剤において優れた美白効果および肌荒れ防止、改善効果を併せ持つ皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために発明者らが鋭意研究を重ねた結果、トラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその塩がハイドロキノン以上に美白効果を発揮すること、さらに、肌荒れ防止、改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち本発明にかかるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体は、下記一般式化2で表されることを特徴とする。
(化2)
Figure 0003621773
(上記一般式化2中、nは1〜18の整数を意味する。)
【0006】
また、本発明は、トラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその薬理学的に許容される塩を一種または二種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明にかかるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体を表す前記一般式化2において、nは1〜18の整数を示す。該アミド体またはその薬理学的に許容される塩について、具体的に物質名を例示すれば、N−ヒドロキシメチル−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−ヒドロキシメチル−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(2′−ヒドロキシエチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(2′−ヒドロキシエチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(4′−ヒドロキシブチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(4′−ヒドロキシブチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(5′−ヒドロキシペンチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(5′−ヒドロキシペンチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(7′−ヒドロキシヘプチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(7′−ヒドロキシヘプチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(8′−ヒドロキシオクチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(8′−ヒドロキシオクチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(9′−ヒドロキシノニル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(9′−ヒドロキシノニル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(10′−ヒドロキシデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(10′−ヒドロキシデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(11′−ヒドロキシウンデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(11′−ヒドロキシウンデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(12′−ヒドロキシドデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(12′−ヒドロキシドデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(13′−ヒドロキシトリデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(13′−ヒドロキシトリデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(14′−ヒドロキシテトラデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(14′−ヒドロキシテトラデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(15′−ヒドロキシペンタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(15′−ヒドロキシペンタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(16′−ヒドロキシヘキサデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(16′−ヒドロキシヘキサデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(17′−ヒドロキシヘプタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(17′−ヒドロキシヘプタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(18′−ヒドロキシオクタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド、N−(18′−ヒドロキシオクタデシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩等を挙げることができる。
【0008】
本発明にかかる皮膚外用剤の主成分として好適な前記化2で示されるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその薬理学的に許容される塩は、優れた美白効果および肌荒れ防止、改善効果を有し、しかも、安全性が高い。なお、特開平6−72843及び特開平7−138219には、前記化2で示される化合物の類似化合物が記載されているが、構造的に見ると、本発明の化合物は前記化2で示されるようにアミン部の炭素数1〜18のアルキル基の末端に水酸基を有することを特徴とするものであり、このような化合物は上記には示されておらず、故に化2で示されるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその薬理学的に許容される塩は、従来開示されたことのない新規な化合物である。
【0009】
本発明で提供される前記化2で示される化合物の製造方法としては、例えば、次の方法により合成することができる。
【0010】
すなわち、トラネキサム酸またはその反応性誘導体に直鎖アミノアルコールを反応させることによりトラネキサム酸の直鎖アミノアルコールアミドが製造される。トラネキサム酸の反応性誘導体としては酸クロライド、酸ブロマイドのような酸ハライド、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシイミドエステルのような活性エステル、混合酸無水物等が好ましい。反応は反応に関与しない溶媒、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゼン、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒中で、1〜8時間、室温〜溶媒の沸点で反応させるのが好ましい。トラネキサム酸をそのまま反応させる場合にはジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を共存させるのが好ましい。また、トラネキサム酸のアミノ基を適当な保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル基等によって保護しておき、アミド化後に該保護基を接触還元等により脱離してもよい。
なお、上記の各反応において用いられている原料化合物は、商業上入手可能であるか、あるいは公知の方法を用いて容易に合成することができる。
【0011】
本発明にかかる前記化2で示される化合物は、必要に応じて酸付加塩とすることができる。酸付加塩としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸塩、あるいは酢酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸塩、あるいはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の無機塩あるいはモノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ルアミン等の有機塩が挙げられる。これらの塩は通常の方法により容易に製造することができる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤は、このようにして得られたトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその塩を少なくとも1種以上含有し、その配合量は皮膚外用剤全量中0.001 〜20重量%、好ましくは0.01〜7重量%である。0.001 重量%未満では皮膚美白効果および肌荒れ防止、改善効果に乏しく、20重量%を越えて配合しても効果の増加は望めない。
【0013】
本発明の皮膚外用剤には上記した必須構成成分の他に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH調製剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができる。これらの成分はそれぞれ一種を用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0014】
【実施例】
以下、本発明にかかるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体のいくつかを例として本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。先ず、本発明にかかるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその塩の製造方法を示すが、これに先立って、原料化合物の製造方法を、参考例1、2に示す。
【0015】
参考例1 トラネキサム酸のアミノ基保護体の合成
トラネキサム酸 (6.3g,40mmole) の10%水酸化ナトリウム水溶液(16ml) にベンジルオキシカルボニルクロライド (8.2g,48mmole) 、10%水酸化ナトリウム水溶液 (20ml) を氷冷攪拌下、順次滴下した。氷冷下1時間攪拌後、塩酸を加え反応系内を酸性にした後、結晶をろ取した。ベンゼン−石油エ−テルより再結晶し、トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸 (10.7g,収率92%)を得た。
融点 114〜116 ℃
【0016】
参考例2 トラネキサム酸保護体の反応性誘導体の合成
トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(29.2g,100mmole) とN−ヒドロキシスクシイミド(11.8g,100mmole) をジメチルホルムアミド(50ml)に溶解し、氷冷攪拌下、ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.0g,115mmole)を加え、さらに5℃にて2時間攪拌した。不溶物をろ去、ろ液を減圧濃縮し、残査をイソプロピルアルコ−ルより結晶化し、トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシスクシイミドエステル(32.4g,収率83%)を得た。
融点 129〜132 ℃
以下に、本発明化合物の製造例を示す。
【0017】
製造例1 N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩
(1) トラネキサム酸と3−アミノ−1−プロパノールのアミド体の保護体
トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸N−ヒドロキシスクシイミドエステル(7.77g,20.0mmole)を1,2−ジメトキシエタン(100ml)に溶解し、室温攪拌下、3−アミノ−1−プロパノール(4.54g,60.4mmole)を徐々に滴下した。室温にて1時間攪拌後、反応液を減圧濃縮、残査をクロロホルム−水にて分配した。クロロホルム層を減圧濃縮、残査をエーテルより結晶化し、N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド(4.51g,収率64%)を得た。
融点 159〜161 ℃
【0018】
(2) トラネキサム酸と3−アミノ−1−プロパノールのアミド体
N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド(4.30g,12.3mmole)をエタノール(100ml)に溶解し、10%パラジウム炭素(400mg)を加え、室温、常圧にて接触還元を行った。理論量の水素が吸収された後、触媒をろ去、反応液を減圧濃縮し、残査を得た。これを希塩酸にて処理、エーテルより結晶化し、N−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩を白色結晶(2.81g ,収率 90 %)として得た。
得られたN−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩の分析値は次の通りであった。
【0019】
融点 195〜197 ℃ (分解)
H−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ0.83〜1.00(m,2H,シクロヘキサン環)
δ1.20〜1.38(m,2H,シクロヘキサン環)
δ1.43〜1.60(m,3H,シクロヘキサン環,−NHCH CHOH)
δ1.60〜1.85(m,4H,シクロヘキサン環)
δ1.95〜2.10(m,1H,シクロヘキサン環)
δ2.61(bs,2H,−C NH Cl
δ3.06(dd,2H,J=12.7 & 6.8 Hz ,−NHC CHCHOH)
δ3.39(t,2H,J=6.4 ,−NHCHCH OH)
δ4.35(bs,1H,−OH)
δ7.67(d,1H,J=4.9 Hz,−NCHCHCHOH)
δ8.03(bs,3H,−N Cl
13C−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ28.3(シクロヘキサン環C−3,C−5)
δ28.9(シクロヘキサン環C−2,C−6)
δ32.3,δ34.8,δ35.4(シクロヘキサン環C−1,シクロヘキサン環C−4,−NHCH CHOH)
δ43.5(−NHCHCHOH)
δ44.2(−NH Cl
δ58.3(−NHCHCH OH)
δ174.7(アミドC=O)
元素分析値 C1122・HClとして
計算値(%) C:52.69 ,H:9.24 ,N:11.17 ,Cl:14.14
実測値(%) C:52.72 ,H:9.01 ,N:11.44 ,Cl:14.32
【0020】
製造例2 N−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩
(1) トラネキサム酸と6−アミノ−1−ヘキサノールのアミド体の保護体
製造例1の(1)の方法に準じて、N−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−ベンジルオキシカルボニルアミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミドを得た。
融点 131〜133 ℃
【0021】
(2) トラネキサム酸と6−アミノ−1−ヘキサノールのアミド体
製造例1の(2)の方法に準じて、N−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩を合成した。
得られたN−(6′−ヒドロキシヘキシル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩の分析値は次の通りであった。
【0022】
融点 171〜174 ℃
H−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ0.87〜1.00(m,2H,シクロヘキサン環)
δ1.20〜1.45(m,10H,シクロヘキサン環,−NHCH CHOH)
δ1.48〜1.63(m,1H,シクロヘキサン環)
δ1.67〜1.87(m,4H,シクロヘキサン環)
δ2.00〜2.10(m,1H,シクロヘキサン環)
δ2.58〜2.66(m,2H,−C NH Cl
δ2.94〜3.03(m,2H,−NHC CHCHCHCHCHOH)
δ3.33〜3.40(m,2H,−NHCHCHCHCHCH OH)
δ3.85(bs,1H,−OH)
δ7.67(t,1H,J=5.4 Hz,−NCHCHCHCHCHCHOH)
δ8.09(bs,3H,−N Cl
13C−NMR(DMSO−d,TMS,ppm)
δ28.3(シクロヘキサン環C−3,C−5)
δ29.0(シクロヘキサン環C−2,C−6)
δ25.0,δ26.1,δ29.0,δ32.3,δ34.8,
δ38.1(シクロヘキサン環C−1,シクロヘキサン環C−4,−NHCHCH CHOH)
δ43.5(−NHCHCHCHCHCHOH)
δ44.2(−NH Cl
δ60.5(−NHCHCH OH)
δ174.5(アミドC=O)
元素分析値 C1428・HClとして
計算値(%) C:57.42 ,H:9.98 ,N:9.57,Cl:12.11
実測値(%) C:57.62 ,H:9.81 ,N:9.66,Cl:12.33
【0023】
次に、皮膚外用剤の配合例について詳述する。これに先立ち、本発明の効果試験方法および評価方法について説明する。尚、配合量はすべて重量%である。
【0024】
[化粧水の製造]
まず、表1に示す処方にて、本発明のトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド誘導体を配合した化粧水と、対照例としてハイドロキノンを配合した化粧水及び薬剤無添加の化粧水を得た。製造方法は、アルコール相A、水相Bを調製後可溶化して化粧水を得た。
【0025】
【表1】
配合例1〜3,対照例1,2の処方
Figure 0003621773
【0026】
試験例1 美白効果試験
夏期の太陽光に4時間(1日2時間で2日間)晒された被験者50名の上腕内側部皮膚を対象として、太陽光に晒された日の5日後より各化粧水を朝夕1回ずつ8週間塗布した。パネルを1群10名に分けて、5群とし試験を行った。
(評価方法)
使用後の淡色化効果を下記の判定基準に基づいて判定した。
(判定基準)
◎・・・色素沈着がほとんど目立たなくなった(著効)
○・・・色素沈着が非常にうすくなった(有効)
△・・・色素沈着がうすくなった(やや有効)
×・・・変化なし(無効)
結果を、表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003621773
【0028】
表2に示したように、配合例1〜3の化粧水を塗布した場合には、80%以上のパネラーで過剰のメラニン色素の沈着を有効に防ぎ、色黒になることを予防した。
これに対し、対照例2の化粧水を塗布した場合は薬剤無添加の化粧水(対照例1)よりは効果があるものの、メラニン色素の沈着を有効に防いだパネラーは50%程度にすぎなかった。
【0029】
試験例2 肌荒れ防止、改善効果試験〔1〕
肌荒れの症状で悩む被験者各50名で実施した。配合例1〜3および対照例1( 薬剤無配合) の化粧水を朝と夜の2回、洗顔後、顔面に塗布し、2週間後肌状態を目視で判定した。
(評価方法)
使用後の肌荒れ改善効果を下記の判定基準に基づいて判定した。
(判定基準)
◎・・・肌荒れの症状が消失した(著効)
○・・・肌荒れの症状が弱くなった(有効)
△・・・肌荒れの症状がやや弱くなった(やや有効)
×・・・症状に変化なし(無効)
結果を、表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 0003621773
【0031】
表3より明らかな様に、配合例1〜3の化粧水を塗布した場合には約75%以上のパネラーでが肌荒れに対して優れた改善効果を示した。
【0032】
試験例3 肌荒れ防止、改善効果試験〔2〕
配合例1〜3および対照例1( 薬剤無配合) の化粧水を用いて人体パネルで肌荒れ改善効果試験を行った。即ち、女性健常人の顔面の皮膚表面形態をミリスン樹脂によるレプリカ法を用いて肌のレプリカを取り、顕微鏡(17倍)にて観察し、皮紋の状態及び角層の剥離状態から表4に示す基準に基づいて肌荒れ評価1,2と判断されたもの(肌荒れパネル)各20名を用いて実施した。配合例1〜3および対照例1の化粧水を顔面左右半々に1日2回、2週間、塗布した。2週間後、再び上述のレプリカ法にて肌の状態を観察し、表4の判定基準に基づいて評価した。
【0033】
【表4】
Figure 0003621773
【0034】
結果を、表5に示す。
【表5】
Figure 0003621773
【0035】
表5から明らかな様に、本発明の化合物を配合した皮膚外用剤は肌荒れに対して優れた改善効果を示した。
【0036】
Figure 0003621773
(製法)イオン交換水にプロピレングリコールと苛性カリを加え溶解し加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を徐々に加え、全部加え終わってからしばらくその温度に保ち反応をおこさせる。その後ホモミキサーで均一に乳化し、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0037】
Figure 0003621773
(製法)イオン交換水にプロピレングリコールを加え溶解し加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0038】
Figure 0003621773
(製法)イオン交換水にプロピレングリコールを加え溶解し加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0039】
配合例7 乳液
Figure 0003621773
(製法)少量のイオン交換水にカルボキシビニルポリマーを溶解する(A相)。残りのイオン交換水にポリエチレングリコール1500とトリエタノールアミンを加え加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、A相を加えホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0040】
Figure 0003621773
(製法)油相部を70℃にて溶解する。水相部を70℃にて溶解し、水相部に油相部を混合し、乳化機で乳化後熱交換機で30℃まで冷却する。
【0041】
Figure 0003621773
(製法)イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、一方95%エタノールにN−(3′−ヒドロキシプロピル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、N−(2′−ヒドロキシエチル)−トランス−4−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボンアミド塩酸塩、ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、水相に添加する。ついで、その他の成分を加えた後、苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ増粘する。
【0042】
Figure 0003621773
(製法)
A相、C相をそれぞれ均一に溶解し、C相にA相を加えて可溶化する。ついで、B相を加えた後充填を行う。
【0043】
Figure 0003621773
(製法)A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化する。ついで、これをC相に加えた後充填を行う。
【0044】
本発明で得られた皮膚外用剤はいずれも配合例1〜3で行った美白効果テストおよび肌荒れ防止、改善効果テストにおいて効果が認められた。
【0045】
【発明の効果】
本発明に係るトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその塩は皮膚美白効果および肌荒れ防止、改善効果に優れた新規な化合物である。また、本発明の化合物を含有した皮膚外用剤は皮膚美白効果と肌荒れ防止、改善効果を併せ持った新規な皮膚外用剤である。

Claims (2)

  1. 下記一般式化1で表されるトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその薬理学的に許容される塩。
    (化1)
    Figure 0003621773
    (上記一般式化1中、nは1〜18の整数を意味する。)
  2. 請求項1記載のトラネキサム酸と直鎖アミノアルコールとのアミド体またはその薬理学的に許容される塩を一種または二種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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