JP3620686B2 - コイル内面保加熱方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延設備においてコイル内面を保温加熱するコイル内面の保加熱方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粗圧延後に仕上圧延を行なう熱間圧延設備では、粗圧延機で30〜50mm厚さのバーまで圧延し、次いで仕上圧延機で更に数mm厚さのストリップまで圧延する。この場合、粗圧延完了後、仕上圧延が完了するまでの時間が長いため、バーの後端が先端に比較して低温になり、均一な仕上げ加工が困難になるという問題点があった。
【0003】
そこで、図5に示すように、クレイドルロール2でコイル1に巻取り、クレイドルロール2でコイル1を巻戻す巻取り巻戻し装置を用いて、粗圧延後のバーをコイルに巻取り、それを巻戻しながら仕上圧延を行なう方法が提案されている(特公昭51−26317号)。この方法により、バー全体の冷却を防止し、粗圧延における後端から仕上圧延するので、バーの先後端の温度差をほぼ同一にすることができる。
【0004】
しかし、この場合でも、幅方向中央部に比較して、コイル端部は冷えやすく、そのため幅方向の温度の均一化が困難な問題があった。そこで、この問題を解決するために、コイルの端面を加熱する方法が特開平7−51726号に開示され、また、本出願人による特願平1−332417号には火炎でコイル端面を加熱し、電気ヒータでマンドレルを加熱してコイル内面を加熱する方法が開示されている。
【0005】
図6は、特開平7−51726号で提案されているコイル加熱装置を示す模式図であり、クレードルロール22上のコイル21の両端面を複数のバーナーを備えた加熱装置23で加熱している。なお加熱装置23は、位置調整装置24により、コイル幅に応じて最適な距離に移動できるようになっている。
【0006】
図7は、特願平1−332417号で提案されているコイル端面及びコイル内面を加熱する装置を示す模式図である。コイル31の端面はバーナー33aを備えた端面加熱装置33により保温加熱され、コイル31の内面は、電気ヒータ35で加熱されるマンドレル34の輻射熱により保温加熱される。なお端面加熱装置33は、図示しない装置によって、コイル31の幅に応じて幅方向に移動できるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特開平7−51726号(6図)のコイル端面加熱装置を用いることにより、コイル端部の温度低下を防止でき、鋼板の幅方向の温度分布をほぼ均一にすることができる。しかし、かかるコイル端面加熱装置を用いても、熱放散の最も大きいコイル内面の保温加熱(以下保加熱とする)はできず、そのためコイル内面の温度が極端に低下し、バー尾端部の組成が変質し、また圧延荷重が増大するという問題点があった。
【0008】
一方、特願平1−332417号(図7)では、コイル内面はマンドレル34に取付けられた電気ヒータ35により保温加熱されるが、コイル外径が変化すると、クレードルロールに対するコイル内径の位置が変化し、この中に挿入されるマンドレル34の位置も変化させなければならない。このため電気ヒータ34に電力を供給するケーブルもマンドレル34の移動に対応して移動できるような柔軟な構造にする必要があり、このような部分は寿命が短く頻繁に交換しなければならない。また、電気による加熱はガスなどの燃料を用いる場合に比べコストがかかり経済性が悪い。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、ガスなどの燃料を使用して経済性がよく、コイル内面の位置変化に対応して移動する必要のないコイル内面保加熱方法及び装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、熱間圧延材をクレードルロール上でコイルに巻取り巻戻す巻取り巻戻し装置用のコイル内面の保加熱方法であって、コイル外径の変化に応じて変化するコイル内面位置の移動経路に沿って、コイル端面と対向する位置にコイル内面を加熱するバーナーを複数個設け、コイルの外径を計測し、この外径よりコイル内面の位置を演算し、この位置に対応したバーナーを燃焼させる。
【0011】
コイル端面との対向する固定位置で、コイル内面位置の移動経路に沿って、コイル内面を加熱するバーナーが複数個設けられており、コイル外径の計測値からコイル内面の移動位置を演算し、移動しているコイル内面に近いバーナーを燃焼させる。これによりコイル内面加熱装置はコイルの内面の移動に応じて移動する必要がないので、移動による装置の寿命短縮はなく、さらに、バーナーで加熱するので、電気と比べ経済的である。
【0012】
請求項2の発明では、熱間圧延材をクレードルロール上でコイルに巻取り巻戻す巻取り巻戻し装置用のコイル内面の保加熱装置であって、コイル外径の変化に応じて変化するコイル内面位置の移動経路に沿って、コイル端面と対向する位置に設けられた支持体に設置された複数個のコイル内面を加熱するバーナーと、コイルの外径を計測するコイル外形計測手段と、このコイル外径よりクレードルロール上のコイル内面の位置を演算し、この位置に対応したバーナーを燃焼させるバーナー制御手段と、を備える。
【0013】
コイル端面に対向する位置に設けられた支持体には、コイル内面の移動経路に沿って複数個のコイル内面を加熱するバーナーが設けられている。バーナー制御手段は、コイルの外径が決まればクレードルロール上を回転するコイルの内面の位置は幾何学的に決まるので、コイル外径計測手段で計測したコイル外径に基づき、コイル内面の位置を演算し、この位置に対応したバーナーを燃焼させてコイル内面を保温加熱する。これによりコイル内面加熱装置はコイルの内面の移動に応じて移動する必要がないので、移動による装置の寿命短縮はなく、バーナーで加熱するので、電気と比べ経済的である。
【0014】
請求項3の発明では、前記コイル外径計測手段は、コイルの巻戻し巻取り長さに応じて回転する計測ロールと、この計測ロールの回転数に応じたパルス数を発生するパルス発生器と、このパルス数と初期コイル外径から現在のコイル外径を演算するコイル外径演算手段と、を備える。
【0015】
初期のコイル外径と、コイルの巻戻しまたは巻取り長さが判れば、現在のコイル外径は計算できる。コイルの巻戻しまたは巻取り長さは、計測ロールの回転数に対応したパルス発生器のパルス数から計測できるので、この計測値からコイル外径を算出できる。
【0016】
請求項4の発明によれば、前記コイル外径計測手段は、クレードルロールの上方に設けられクレードルロール上のコイルの外面の所定位置を計測する超音波センサと、この計測値からコイル外径を演算するコイル外径演算手段と、を備える。
【0017】
クレードルロール上に乗っているコイルの外径は、クレードルロールの上方に設けた超音波センサにより、コイル外面の所定位置、例えば超音波センサの直下のコイル外面位置を計測すると、この計測位置はコイル外径と対応しており、この計測位置からコイル外径を算出できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は第1実施形態の構成を示す。粗圧延機で圧延されたバーはクレードルロール2上でコイル1に巻取られ、このコイル1はクレードルロール2上で回転しながら巻戻されて仕上圧延機に送られる。この巻戻されるバーを計測ロール5で挟み、バーの巻戻し長さを回転数で取出し、この回転数をパルス発生器6でパルス数として取り出す。コイル端面に対向した位置で、コイル1の内面位置がコイル外径の減少につれて降下してくる経路に沿って、コイル内面を保加熱する5個のバーナーp1〜p5が配置されている。バーナー制御部7は、パルス発生器6からのパルス数と、予め入力された巻戻し長さ計測開始時のコイル外径(初期コイル外径)Doから、現在のコイル外径を算出する。このコイル外径が得られれば、クレードルロール2上のロール内面の位置は幾何学的に決まるので、この内面の位置に近いバーナーpnを2個づづ点火して保加熱する。
【0019】
図3はコイルと、加熱装置と、コイル内面に挿入されるマンドレルとの関係を示し、図4は図3のA−A矢視図でコイル外径の変化に応じたコイル内面の位置の変化を示す。コイル1の両端面に対向して端面加熱装置3が設けられている。この端面加熱装置3には図3、図4に示すように切り欠け部9が設けられ、コイル外径の変化に応じて移動するコイル内面にマンドレル4が挿入できるようになっている。このコイル内面の移動経路に沿って、切り欠け部9の周囲に5個のバーナーp1〜p5が配置されている。このバーナーpn(n=1〜5)は図3に示すように、火炎10をコイル内面に吹き付けてコイル内面を加熱する。なお、端面加熱装置3は、図示しない装置により、コイル幅の変化に応じてコイル幅方向へ移動可能である。
【0020】
図4において、コイル1は2個のクレードルロール2上で回転しながら巻戻し、または巻取りされる。支持ロール11はコイル1の倒れを防止し、コイル外径の変化に応じて破線で示すように移動して支持する。コイル外径D1のコイル内径はd1であり、コイル外径D2のコイル内径はd2、コイル外径D3のコイル内径はd3である。なおd1〜d3は同じ大きさで変化しない。コイル外径が変化するに従い、コイル内径d1〜d3で表されるコイル内面のクレードルロール2からの位置は変化し、コイル外径が決まればコイル内面の位置は幾何学的に決定される。なお、a−b−cはコイル内面に挿入されるマンドレル4の軌跡を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1はコイル外径に応じて点火するバーナーpnの一例を示す。コイル外径が2000mmから1800mmを越える範囲ではバーナーp1とp2が点火する。1800mmから1600mmを越える範囲では引き続きバーナーp1とp2が点火する。1600mmから1400mmを越える範囲も引き続きバーナーp1とp2が点火する。1400mmから1200mmを越える範囲になるとバーナーp3とp4が点火する。1200mmから1000mmを越える範囲では引き続きバーナーp3とp4が点火する。1000mmおよび1000mm未満の範囲ではバーナーp4とp5が点火する。なお、点火しないバーナーpnは全て加熱動作を停止している。このようにコイル外径に応じてバーナーを2個づつ段階的に切換てゆく。
【0023】
次に第2実施形態を説明する。図2は第2実施形態の構成を示す。本実施形態は、コイル外径を計測するのに、第1実施形態が計測ロール5とパルス発生器6を用いるのに対して、超音波センサ8を用いる点が相違し、他は同一である。超音波センサ8は超音波をコイル1に発信し、その反射波が帰ってくる時間から、超音波センサ8とコイル1の反射位置との距離を計測する。超音波センサ8は、図2、図4に示すように、コイル外形のほぼ一番高い位置の直上になるように配置している。この一番高い位置はコイル外径の変化により変化するので、平均的位置とする。バーナー制御部7は、コイル外面の計測位置から超音波センサ8までの距離とコイル外径との関係を表すテーブルを記憶しており、計測距離を入力するとこのテーブルからコイル外径を読み出し、このコイル外径に応じたコイル内面の位置を算出して、現在のコイル内面に近い2個のバーナーpnを点火して、コイル内面を保加熱する。なお、音波の伝達速度は温度により変化するので距離算出の際は温度補正を行なう。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、コイル内面の温度低下を防止でき、コイル内面を加熱するバーナーをコイル幅が一定であれば移動しない端面加熱装置などの準固定部分に装備することにより、構造が簡素化され、コスト、保守性が向上する。また高温雰囲気での可動部分がないので高温対策が容易となる。さらに、加熱源にガスなどの燃料を使用するので、経済性がよく、バーナーからの高温燃焼ガスをコイル内面の保加熱に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態の構成図である。
【図3】コイル内面加熱方法を説明する図である。
【図4】コイル外径の変化とコイル内面の移動を説明する図である。
【図5】巻取り巻戻し装置を用いる圧延方法を説明する図である。
【図6】従来のコイル端面加熱方法を示す図である。
【図7】従来のコイル端面とコイル内面を加熱する方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 コイル
2 クレードルロール
3 端面加熱装置
4 マンドレル
5 計測ロール
6 パルス発生器
7 バーナー制御部
8 超音波センサ
9 切り欠き部
10 火炎
11 支持ロール
Claims (4)
- 熱間圧延材をクレードルロール上でコイルに巻取り巻戻す巻取り巻戻し装置用のコイル内面の保加熱方法であって、
コイル外径の変化に応じて変化するコイル内面位置の移動経路に沿って、コイル端面と対向する位置にコイル内面を加熱するバーナーを複数個設け、
コイルの外径を計測し、この外径よりコイル内面の位置を演算し、この位置に対応したバーナーを燃焼させることを特徴とするコイル内面保加熱方法。 - 熱間圧延材をクレードルロール上でコイルに巻取り巻戻す巻取り巻戻し装置用のコイル内面の保加熱装置であって、
コイル外径の変化に応じて変化するコイル内面位置の移動経路に沿って、コイル端面と対向する位置に設けられた支持体に設置された複数個のコイル内面を加熱するバーナーと、
コイルの外径を計測するコイル外形計測手段と、
このコイル外径よりコイル内面の位置を演算し、この位置に対応したバーナーを燃焼させるバーナー制御手段と、を備えたことを特徴とするコイル内面保加熱装置。 - 前記コイル外径計測手段は、コイルの巻戻し巻取り長さに応じて回転する計測ロールと、この計測ロールの回転数に応じたパルス数を発生するパルス発生器と、このパルス数と初期コイル外径から現在のコイル外径を演算するコイル外径演算手段と、を備えることを特徴とする請求項2記載のコイル内面保加熱装置。
- 前記コイル外径計測手段は、クレードルロールの上方に設けられコイルの外面の所定位置を計測する超音波センサと、この計測値からコイル外径を演算するコイル外径演算手段と、を備えることを特徴とする請求項2記載のコイル内面保加熱装置。
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1997
- 1997-05-21 JP JP13063797A patent/JP3620686B2/ja not_active Expired - Fee Related
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