JP3620317B2 - 車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置 - Google Patents

車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載されて、例えばショックアブソーバの発生する減衰力を変更するためなどに用いられる超音波モータを駆動制御する電気制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば特開平4−217884号公報に示されているように、超音波モータをカメラに適用することは知られている。この場合、超音波モータは、駆動信号の付与に応じて振動する振動体と、振動体に圧接して振動体の振動に応じて変位する変位体とを備えていて、駆動回路が振動体に駆動信号を付与することにより振動体を振動させて変位体の変位により被駆動部材としてのレンズ枠を移動させるようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来装置においては、超音波モータの非駆動状態、すなわち振動体に対して変位体が一定の位置に保たれたままの状態が長時間継続したとき、振動体と変位体とが固着して変位体が変位不能となり、被駆動部材が駆動不能になることがあるという問題があった。
【0004】
【発明の概要】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、車両に搭載された超音波モータの変位体を確実に変位させて被駆動部材を駆動できる状態に保つようにした車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置を提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の構成上の特徴は、車両に搭載されて、駆動信号の付与に応じて振動する振動体と、振動体に圧接して振動体の振動に応じて変位する変位体とを備え、変位体の変位により被駆動部材を正転駆動および逆転駆動することが可能な超音波モータのための電気制御装置において、振動体に駆動信号を付与する駆動回路と、振動体と変位体との固着を解除するために駆動回路を制御して、被駆動部材を正転駆動する解除用正転駆動信号および被駆動部材を逆転駆動する解除用逆転駆動信号を振動体に付与する解除手段と、被駆動部材の駆動を検出する検出手段とを設け、解除手段を、イグニッションスイッチがオン操作されたとき、振動体に解除用正転駆動信号を付与し、解除用正転駆動信号が振動体に付与されても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用正転駆動信号の周波数を徐々に下げ、かつ解除用正転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用正転駆動信号の電圧を高くする第1解除手段と、第1解除手段が振動体に解除用正転駆動信号を付与したことにより被駆動部材が駆動されて、検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、振動体に解除用逆転駆動信号を付与し、解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用逆転駆動信号の周波数を徐々に下げ、解除用逆転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用逆転駆動信号の電圧を高くし、かつ振動体への解除用逆転駆動信号の付与により被駆動部材が駆動されて、検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、解除用正転駆動信号が振動体に付与される前の位置に被駆動部材が戻るまで振動体に解除用逆転駆動信号を付与する第2解除手段とで構成したことにある。
これによれば、イグニッションスイッチがオン操作されたとき、第1および第2解除手段による制御に応じて駆動回路が振動体に解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号を付与するため、イグニッションスイッチのオフ状態時に生じた振動体と変位体との固着が解除される。したがって、超音波モータを、その変位体を確実に変位させて被駆動部材を駆動できる状態に保つことができる。また、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても被駆動部材が駆動されないときには、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の周波数が下げられて駆動トルクが上昇するので、振動体と変位体との固着が解除され易くなる。また、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の周波数を下げても被駆動部材が駆動されないときには、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の電圧が高くされて駆動トルクが上昇するので、振動体と変位体との固着が解除され易くなる。さらに、第2解除手段により、被駆動部材は振動体に解除用正転駆動信号を付与する前の位置に戻される。
【0006】
また、本発明の第2の構成上の特徴は、前記駆動回路を備えた超音波モータのための電気制御装置において、超音波モータが継続して非駆動状態にある時間を計測する計時手段と、振動体と変位体との固着を解除するために駆動回路を制御して、被駆動部材を正転駆動する解除用正転駆動信号および被駆動部材を逆転駆動する解除用逆転駆動信号を振動体に付与する解除手段と、被駆動部材の駆動を検出する検出手段とを設け、解除手段を、計時手段が所定時間を計時したとき、振動体に解除用正転駆動信号を付与し、解除用正転駆動信号が振動体に付与されても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用正転駆動信号の周波数を徐々に下げ、かつ解除用正転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用正転駆動信号の電圧を高くする第1解除手段と、第1解除手段が振動体に解除用正転駆動信号を付与したことにより被駆動部材が駆動されて、検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、振動体に解除用逆転駆動信号を付与し、解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用逆転駆動信号の周波数を徐々に下げ、解除用逆転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、解除用逆転駆動信号の電圧を高くし、かつ振動体への解除用逆転駆動信号の付与により被駆動部材が駆動されて、検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、解除用正転駆動信号が振動体に付与される前の位置に被駆動部材が戻るまで振動体に解除用逆転駆動信号を付与する第2解除手段とで構成したことにある。
これによれば、超音波モータの非駆動状態が所定時間だけ継続したとき、第1および第2解除手段による制御に応じて駆動回路が振動体に解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号を付与するため、超音波モータが非駆動状態にあるとき発生した振動体と変位体との固着が解除される。したがって、超音波モータを、その変位体を確実に変位させて被駆動部材を駆動できる状態に保つことができる。また、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても被駆動部材が駆動されないときには、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の周波数が下げられて駆動トルクが上昇するので、振動体と変位体との固着が解除され易くなる。また、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の周波数を下げても被駆動部材が駆動されないときには、解除用正転駆動信号および解除用逆転駆動信号の電圧が高くされて駆動トルクが上昇するので、振動体と変位体との固着が解除され易くなる。さらに、第2解除手段により、被駆動部材は振動体に解除用正転駆動信号を付与する前の位置に戻される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は、本発明に係る電気制御装置を車両の減衰力可変ショックアブソーバに組み付けられた超音波モータに対して適用したものであり、図1は上記電気制御装置の全体を概略的に表したブロック図である。この電気制御装置が適用された減衰力可変ショックアブソーバSAは、図2に示すように、シリンダ10と、シリンダ10の内周面に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み付けられたピストン20と、ピストン20を下端部にて固定したピストンロッド30とを備えている。
【0010】
シリンダ10は、共に円筒状に形成されて同軸的に配置したアウタシリンダ11及びインナシリンダ12を備えている。アウタシリンダ11は、その下端にてブラケット13を介してばね下部材としてのロアアームに組み付けられるようになっている。インナシリンダ12は、その上端にて環状の支持プレート14を介してアウタシリンダ11の上端部外周面上に液密的に支持されているとともに、その下端にて環状の支持プレート15を介してアウタシリンダ11の下端部内周面上に支持されている。
【0011】
インナシリンダ12内は、ピストン20により上下室R1,R2に区画されている。上下室R1,R2はそれぞれ作動油で満たされており、下室R2はアウタシリンダ11とインナシリンダ12との間に形成された環状室R3にインナシリンダ12の下端にて連通している。環状室R3は気体を封入しており、ピストンロッド30の進退に伴う上下室R1,R2内における作動油の体積変化を吸収する。
【0012】
ピストン20は、図3に詳細に示すように、それぞれピストンロッド30の外周面上に固定されたカップ状部材21及び環状部材22により構成され、同ピストンロッド30の外周面上に油室R4を形成している。カップ状部材21及び環状部材22にはそれぞれ上下室R1,R2と油室R4とを連通させる油路21a,22aが設けられており、各油路21a,22aの一端には作動油の両方向への移動を許容する環状のリーフバルブ23,24がそれぞれ組み付けられている。
【0013】
ピストンロッド30は、円筒状かつ長尺状の本体部31、及び円筒状のスリーブ部32により構成されている。本体部31は、上端部をシリンダ10の上端面から進退可能に突出させて、上端にてばね上部材としての車体に組み付けられるようになっている。スリーブ部32は、上端部にて細径部32aを形成しているとともに同細径部32aの下方位置にて大径部32bを形成しており、同大径部32bの外周面上にて本体部31の下端部内周面上に液密的に固着されている。スリーブ部32は、下端部外周面上に螺着したナット33によってピストン20を中間部外周面上に固定するとともに、下端を下室R2内に開口させている。スリーブ部32の側壁には、下室R2を同スリーブ部32の内部を介してそれぞれ上室R1及び油室R4に連通させる油路32c,32dが形成されている。
【0014】
スリーブ部32内には、同スリーブ部32と共にバルブ機構を構成するスプール34(被駆動部材)が同軸的かつ軸線回りに回転可能に組み込まれている。スプール34は、下端を開口した円筒状に形成されて、スリーブ部32の各油路32c,32dに対向する位置にて側壁に絞り孔34a,34bをそれぞれ形成している。各絞り孔34a,34bは、スプール34のスリーブ部32に対する回転位置に応じて各油路32c,32dの開度を変更する。スプール34の下面であって同スプール34の軸線に対して対称の位置には、一対のピン34c,34cがそれぞれ下方に向けて突設されている。ピン34c,34cは、スプール34の回転時に同スプール34と一体的に回転し、スリーブ部32内にて径方向に延設されたバー32eとの当接によりスプール34の回転角を規制する。スプール34は、その上面に形成したシャフト部34fを介してピストンロッド30の本体部31内に収容された超音波モータ40に連結されている。
【0015】
超音波モータ40は、ピストンロッド30と同軸的に配設された円筒状のケーシング41を備えている。ケーシング41の外周面とピストンロッド30の本体部31の内周面との間には0.15mm以上の間隙Sが設けられており、ケーシング41の上端部外周面上には弾性部材により形成した環状のバンド42が巻かれている。ケーシング41の内周面には、図4にて詳細に示すように、段差41aを境に上部にて小径部41bが形成されているとともに下部にて大径部41cが形成されており、ケーシング41は同大径部41cの下端部にてピストンロッド30のスリーブ部32の細径部32a外周面上に固着されている。
【0016】
ケーシング41内には、同ケーシング41と同軸的なシャフト43が収容されている。シャフト43は上下両端部にてベアリング44,45によりケーシング41に対して軸線回りに回転可能に支持され、下端にてスプール34のシャフト部34fを回転不能に連結しているとともに、中間部にて同シャフト43と同軸的な円柱状の振動体50を貫通している。シャフト43の外周面上であって振動体50の上下位置には、変位体としてのロータ46,47が同シャフト43に回転不能に固定されている。ロータ46,47は、シャフト43を貫通させるとともにケーシング41、シャフト43及び振動体50と同軸的な環状に形成されてなり、皿ばね48,49によってそれぞれベアリング44,45に対し内側に向けて付勢されて、振動体50の上下端面にその内側端面を圧接させている。
【0017】
振動体50は、シャフト43を軸線回りに回転可能に挿通させた円管状のボルト51と、同ボルト51の軸方向中央部に配設された上下一対の円筒状の励振部52,53と、励振部52,53の各外側に配設された上下一対のカップ状の駆動部54,55とを備えている。
【0018】
励振部52,53は、例えばPZTなどの圧電素子と、周方向に並設された4枚の電極板とを軸方向に交互に積層して構成したものである。各層の各電極板には、ケーシング41の内周面上の溝41dに沿って導かれたハーネス56を介し駆動信号が付与される。この駆動信号は、互いに90度異なる2種類の位相(以下、A相及びB相と呼ぶ)の交流電気信号であり、各電極板に付与される交流電気信号の位相は、各電極板毎に、A相又はB相に予め定められている。励振部52,53は、上記駆動信号の付与に応じて、屈曲振動するとともに同屈曲の方向を軸線回りに回転させ、上下端面に周方向の進行波を発生する。
【0019】
駆動部54,55は、底板部にてシャフト43を軸線周りに回転可能に貫通させるとともに内周面上にてボルト51の上下端部外周面上にそれぞれ螺合して、各内側の端面上にて励振部52,53を挟持しており、前記励振部52,53の端面に発生した進行波によって励振されるものである。振動体50は、上記励振部52,53への駆動信号の付与に応じて、同振動体50全体で軸方向中央位置すなわち両励振部52,53の間を節として屈曲振動するとともに同屈曲の方向を軸線回りに回転させ、駆動部54,55の各外側端面にて摩擦により各ロータ46,47を互いに同一方向に回転させる。このとき、シャフト43が、各ロータ46,47及び皿ばね48,49と一体的に回転し、ピストンロッド30のスリーブ部32に対してスプール34を回転駆動する。なお、この回転の方向は、上記励振部52,53に付与される駆動信号において、A相とB相とでいずれの位相が進んでいるかによって定まるようになっている。ここで、A相がB相に対して遅れている場合の回転方向を正方向とし、A相がB相に対して進んでいる場合の回転方向を逆方向とする。
【0020】
両励振部52,53の間には、環状の平板57が配設されている。平板57は、図5にて詳細に示すように、ボルト51を貫通させるとともに両励振部52,53に挟持された中央部57aと外周端部57bとの間に複数の円弧状の貫通孔57cを形成しており、中央部57aの外周端部57bに対する若干の変位を許容するように、すなわち可撓に構成されている。なお、貫通孔57cの数量及び形状は後に詳述する必要に応じて適当に設定されるものであり、図5の(a),(b)はそれぞれ同貫通孔57cの数量及び形状の異なった採用例を示したものである。平板57の外周端部57bは、ケーシング41の内周面上の段差41aと、同内周面上の大径部41b内に嵌入された円筒状の内部ケーシング41eの上端とにより上下方向から挟持されている。
【0021】
また、ピストンロッド30内には、ロータリエンコーダ60も収容されている。ロータリエンコーダ60は、超音波モータ40のシャフト43の外周面上に固定されて周方向に並設された複数個の磁石61と、磁石61に対向してケーシング41の上面上に固定され周方向に並設された複数個のホール素子62とを備えており、シャフト43のピストンロッド30に対する回転に伴って、各ホール素子62毎に磁石61の接近を検出し同各検出を表すパルス信号をハーネス63を介して出力する。
【0022】
上記減衰力可変ショックアブソーバSAに適用された電気制御装置は、ハーネス56を介して超音波モータ40に接続されるとともにハーネス63を介してロータリエンコーダ60に接続された駆動回路70と、ハーネス63を介してロータリエンコーダ60に接続されたマイクロコンピュータ80とを備えている。駆動回路70は、ロータリエンコーダ60から入力されるパルス信号を利用しながら、超音波モータ40に対し前記A相及びB相の交流電気信号からなる駆動信号を付与するものである。マイクロコンピュータ80は、図6〜9のフローチャートに対応したプログラムを実行して、駆動回路70に対し制御信号を出力し超音波モータ40を駆動制御する。
【0023】
マイクロコンピュータ80には、イグニッションスイッチ81、ばね上加速度センサ82、相対速度センサ83、車速センサ84及び表示器85も接続されている。イグニッションスイッチ81は、図示しないキーにより操作されて、この車両のエンジンを始動させるためのスイッチである。ばね上加速度センサ82は、この車両のばね上部材(車体)の加速度を検出するものである。相対速度センサ83は、この車両のばね上部材のばね下部材(車輪)に対する相対速度を検出するものである。車速センサ84は、この車両の速度vを検出するものである。表示器85は、超音波モータ40の駆動不能状態を視覚的に報知するためのものである。また、マイクロコンピュータ80には、タイマ80aが内蔵されている。タイマ80aは、所定の短時間毎にタイマインタラプト信号を発生し、マイクロコンピュータ80に図9のタイマインタラプトプログラムを実行させるものである。
【0024】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を図6〜9のフローチャートに沿って説明する。イグニッションスイッチ81のオン操作に応じて、マイクロコンピュータ80は、図6のステップ100にてメインプログラムの実行を開始し、まず、ステップ102にて、図7に詳細に示す解除制御処理を実行する。
【0025】
上記解除制御処理は、超音波モータ40の振動体50と各ロータ46,47との固着を解除するための処理である。マイクロコンピュータ80は、ステップ200にてこの解除制御処理の実行を開始したとき、まず、ステップ202にて、駆動電圧V及び駆動周波数ωをそれぞれ初期駆動電圧V0及び初期駆動周波数ω0に設定するとともに、試行カウント値n、パルスカウント値m及びタイマカウント値TMをそれぞれ値“0”に設定する。駆動電圧V及び駆動周波数ωはそれぞれ超音波モータ40に付与する駆動信号の電圧及び周波数を表すものであり、初期駆動電圧V0及び初期駆動周波数ω0はそれぞれ同駆動信号の電圧及び周波数として適当な値に予め設定されたものである。試行カウント値nは、超音波モータ40の振動体50とロータ46,47との固着の解除を試みた回数を計測するためのものである。パルスカウント値mは、ロータリエンコーダ60からパルス信号が入力された回数を計測するためのものである。タイマカウント値TMは、超音波モータ40が継続して非駆動状態にある時間を計測するためのものである。
【0026】
上記ステップ202の各設定後、マイクロコンピュータ80は、ステップ204にて、超音波モータ40の正転駆動を開始する。具体的には、上記設定された駆動電圧V及び駆動周波数ωに基づき駆動回路70に制御信号を出力して、超音波モータ40に、A相の交流電気信号として信号V・sinωtを付与するとともに、B相の交流電気信号としてA相より90度だけ位相の進んだ信号V・cosωtを付与する。これにより、超音波モータ40の振動体50が振動し、通常は、同振動体50との摩擦により各ロータ46,47が正転する。
【0027】
上記正転駆動開始後、マイクロコンピュータ80は、ステップ206にて、ロータリエンコーダ60からのパルス信号の入力の有無を判定する。このとき、上述のように振動体50の振動に伴い各ロータ46,47が正常に回転していれば、同回転に伴いシャフト43が回転するため、ロータリエンコーダ60の各ホール素子62が磁石61の接近を検出し、同各検出を表すパルス信号がハーネス63を介してマイクロコンピュータ80に入力される。これにより、マイクロコンピュータ80は同ステップ206にて「YES」と判定し、プログラムをステップ208以降へ進める。
【0028】
ところで、超音波モータ40の振動体50及びロータ46,47は、互いに所定の摩擦力を得るために常時圧接しているため、超音波モータ40の非駆動状態、すなわち振動体50に対してロータ46,47が一定の回転位置に保たれたままの状態が長時間継続すると、振動体50とロータ46,47とが固着して、前記ステップ204にて付与された駆動信号ではロータ46,47が回転しないことがある。この場合、シャフト43が回転せずに、ロータリエンコーダ60からパルス信号が出力されることもないため、マイクロコンピュータ80は、ステップ206にて「NO」と判定して、プログラムをステップ210以降へ進める。
【0029】
この場合、マイクロコンピュータ80は、まず、ステップ210にて、駆動周波数ωをそれまでの値より補正周波数Δωだけ低い値に更新設定する。補正周波数Δωは、予め設定された微少な値である。そして、同設定後、ステップ212にて、上記更新設定された駆動周波数ωが予め設定された最小駆動周波数ωminより小さいか否かを判定する。このとき、駆動周波数ωが最小駆動周波数ωmin以上であれば、「NO」と判定してプログラムを再びステップ204へ進め、上記更新設定された駆動周波数ωに基づいて、超音波モータ40に駆動信号を付与する。
【0030】
上記ステップ204の再実行時においては、前回の同ステップ204の実行時と比較して、駆動周波数ωが低く設定されているため、超音波モータ40の駆動トルクは大きくなる。この駆動トルクの増加により、振動体50とロータ46,47との固着が解除されてロータ46,47が回転し始めれば、マイクロコンピュータ80はロータリエンコーダ60からのパルス信号に基づきステップ206にて「YES」と判定し、プログラムをステップ208以降へ進める。一方、上記固着が依然解除されなければ、ステップ206における「NO」との判定のもとに、プログラムは再びステップ210へ進められて、駆動周波数ωがさらに補正周波数Δωだけ低い値に更新設定される。このステップ210,212,204,206からなる処理の繰り返し実行により、マイクロコンピュータ80は、駆動周波数ωを徐々に低下させて駆動トルクを上昇させながら超音波モータ40に駆動信号を付与し続け、振動体50とロータ46,47との固着の解除を試みる。
【0031】
上記ステップ210,212,204,206の処理の繰り返し実行中、振動体50とロータ46.47との固着が解除されないまま駆動周波数ωが最小駆動周波数ωminより小さくなった場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ212における「YES」との判定のもとに、プログラムをステップ214以降へ進める。ステップ214は、試行カウント値nが値“1”であるか否かを判定する処理である。最初、試行カウント値nは前記ステップ202にて値“0”に設定されているため、マイクロコンピュータ80は、同ステップ214にて「NO」と判定し、プログラムをステップ216へ進める。ステップ216は、駆動電圧Vを最大駆動電圧Vmaxに更新設定するとともに、駆動周波数ωを再び初期駆動周波数ω0に設定し、試行カウント値nを値“1”に設定する処理である。最大駆動電圧Vmaxは、初期駆動電圧V0より大きい値に予め設定されたものである。
【0032】
上記各設定後、マイクロコンピュータ80は、プログラムを再びステップ204へ進め、上記更新設定された駆動電圧Vに基づいて、超音波モータ40に駆動信号を付与する。このステップ204の再実行時においては、前回の同ステップ204の実行時と比較して、駆動電圧Vが高く設定されているため、超音波モータ40の駆動トルクは大きくなる。この駆動トルクの増加により、振動体50とロータ46,47との固着が解除されてロータ46,47が回転し始めれば、マイクロコンピュータ80はロータリエンコーダ60からのパルス信号に基づきステップ206にて「YES」と判定し、プログラムをステップ208以降へ進める。一方、上記固着が依然解除されなければ、ステップ206における「NO」との判定のもとに、前述した駆動電圧Vとして初期駆動電圧V0が設定されていた場合と同様に、ステップ210,212,204,206からなる処理を繰り返し実行して、駆動周波数ωを徐々に低下させて駆動トルクを上昇させながら超音波モータ40に駆動信号を付与し続け、振動体50とロータ46,47との固着の解除を試みる。
【0033】
上記ステップ210,212,204,206の処理の繰り返し実行中、振動体50とロータ46.47との固着が解除されないまま駆動周波数ωが最小駆動周波数ωminより小さくなった場合、マイクロコンピュータ80は、前記同様に、ステップ214にて試行カウント値nが値“1”であるか否かを判定する。このとき、試行カウント値nは前記ステップ216にて値“1”に設定されているため、マイクロコンピュータ80は同ステップ214にて「YES」と判定しプログラムをステップ217以降へ進める。ステップ217においては、超音波モータ40の駆動を停止する。ステップ218においては、表示器85にて超音波モータ40が駆動不能状態であることを表示する。そして、これら各処理後、マイクロコンピュータ80はステップ220にてこのメインプログラムの実行を終了する。この場合、以降、超音波モータ40が駆動されることはない。
【0034】
一方、前述のように、振動体50とロータ46,47とが最初から固着していなかったか又は上記各処理中に同固着が解除されたかしてプログラムがステップ208以降へ進められた場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ208にてパルスカウント値mに値“1”を加算し、ステップ222にて同加算したパルスカウント値mが予め設定された所定値m0に達したか否かを判定する。そして、このとき同パルスカウント値mが所定値m0に達していなければ、「NO」との判定のもとにプログラムを再びステップ206へ進めてロータリエンコーダ60からのパルス信号の入力を待つ。このステップ206,208,222からなる処理の繰り返し実行により、各ロータ46,47及びシャフト43は、ロータリエンコーダ60がパルス信号を所定値m0回だけ出力するまで正転し続ける。
【0035】
上記ステップ206,208,222からなる処理の繰り返し実行中、ロータリエンコーダ60からパルス信号が入力された回数が所定値m0回に達すると、マイクロコンピュータ80はステップ222における「YES」との判定のもとにプログラムをステップ224以降へ進める。ステップ224においては、前記ステップ202と同様に、駆動電圧V及び駆動周波数ωをそれぞれ初期駆動電圧V0及び初期駆動周波数ω0に設定するとともに、試行カウント値n、パルスカウント値m及びタイマカウント値TMをそれぞれ値“0”に設定する。ステップ226においては、超音波モータ40の逆転駆動を開始する。具体的には、前記ステップ224にて設定された駆動電圧V及び駆動周波数ωに基づき駆動回路70に制御信号を出力して、超音波モータ40に、A相の交流電気信号として信号V・cosωtを付与するとともに、B相の交流電気信号としてA相より90度だけ位相の遅れた信号V・sinωtを付与する。これにより、超音波モータ40の振動体50が振動し、同振動体50との摩擦により各ロータ46,47が逆転する。
【0036】
上記逆転駆動開始後、マイクロコンピュータ80は、ステップ228〜232からなる処理を繰り返し実行する。このステップ228〜232の処理は、前記ステップ206,208,222の処理と同様に、ロータリエンコーダ60からパルス信号が入力される毎にパルスカウント値mに値“1”を加算しながら、同加算したパルスカウント値mが所定値m0に達するまで継続される循環処理である。これにより、各ロータ46,47及びシャフト43は、ロータリエンコーダ60がパルス信号を所定値m0回だけ出力するまで逆転し続ける。そして、上記循環処理中、ロータリエンコーダ60からパルス信号が入力された回数が所定値m0に達すると、マイクロコンピュータ80は、プログラムをステップ234へ進めて、超音波モータ40の駆動を停止する。これにより、各ロータ46,47及びシャフト43は、前記ステップ204にて正転駆動される前の元の回転位置に戻される。
【0037】
なお、上記超音波モータ40の逆転駆動時に各ロータ46,47が回転しなかった場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ228における「NO」との判定にもとづいて、前記超音波モータ40の正転駆動時におけるステップ210〜220の処理と同等のステップ236〜248の処理を実行する。すなわち、駆動周波数ωを徐々に低下させるとともに駆動電圧Vを段階的に上昇させて駆動トルクを上昇させながら、超音波モータ40に駆動信号を付与し続ける。これにより各ロータ46,47が回転を開始すれば、ステップ228における「YES」との判定のもとに、プログラムを前記ステップ230以降へ進める。一方、各ロータ46,47が依然回転しないままであれば、ステップ244にて超音波モータ40の駆動を停止し、ステップ246にて表示器85により超音波モータ40が駆動不能状態であることを表示し、ステップ248にてこのメインプログラムの実行を終了する。この場合も、以降、超音波モータ40が駆動されることはない。
【0038】
各ロータ46,47が正常に逆転して、同各ロータ46,47及びシャフト43が正転駆動前の元の回転位置に戻された場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ250にて駆動電圧Vを初期駆動電圧V0に設定した後、ステップ252にてこの解除制御処理を終了する。
【0039】
上記解除制御処理の実行後、マイクロコンピュータ80は、図6のステップ104にて、フラグFLGの値を“0”に設定する。フラグFLGは、値“1”にて、振動体50とロータ46,47とが固着している可能性が高く超音波モータ40に上記解除制御処理が必要であることを表し、値“0”にて、上記固着の可能性が低く超音波モータ40に上記解除制御処理の必要がないことを表すものである。同設定後、マイクロコンピュータ80は、フラグFLGが値“0”に設定されたままであることを条件に、ステップ106における「NO」との判定のもとに、ステップ106,108の循環処理を繰り返し実行し続ける。
【0040】
上記循環処理中、減衰力可変ショックアブソーバSAにおいては、ばね上部材がばね下部材に対して上下動すると、ピストン20及びピストンロッド30がシリンダ10に対して上下動する。この場合、ピストン20及びピストンロッド30が上側に変位するときは、上室R1内の作動油が、リーフバルブ23及び油路21aを介して油室R4内に流れ込み、同油室R4から、リーフバルブ24及び油路22aと、スリーブ部32の油路32d及びスプール34の絞り孔34bとを介して下室R2内に流れ込む。また、スリーブ部32の油路32c及びスプール34の絞り孔34aを介して下室R2内に流れ込む。一方、ピストン20及びピストンロッド30が下側に変位するときは、下室R2内の作動油が、油路22a及びリーフバルブ24と、スプール34の絞り孔34b及びスリーブ部32の油路32dとを介して油室R4内に流れ込み、同油室R4から油路21a及びリーフバルブ23を介して上室R1内に流れ込む。また、スプール34の絞り孔34a及びスリーブ部32の油路32cを介して上室R1内に流れ込む。これら各場合において、上記作動油の通過する各油路がそれぞれ同作動油の流れに対し抵抗として作用し、上記ピストン20及びピストンロッド30の上下動に対し減衰力が付与される。
【0041】
マイクロコンピュータ80は、上記循環処理中、ステップ108にて、図8に詳細に示す減衰力制御処理を繰り返し実行し続ける。この場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ300にて同減衰力制御処理の実行を開始する毎に、まず、ステップ302にて、ピストンロッド30のスリーブ部32に対するスプール34の目標回転位置を算出する。具体的には、予め定められた所定の算出方法に従って、ばね上加速度センサ82及び相対速度センサ83による検出に基づいて上記ピストン20及びピストンロッド30の上下動に対し付与すべき理想的な減衰力を算出し、同算出した減衰力に対応するスプール34の回転位置を上記目標回転位置として算出する。
【0042】
上記算出後、マイクロコンピュータ80は、ステップ304にて、ピストンロッド30のスリーブ32に対するスプール34の実際の回転位置が上記算出した目標回転位置と等しいか否かを判定する。なお、上記実際の回転位置は、ロータリエンコーダ60から入力されたパルス信号に基づいて算出したものである。このとき、上記実際の回転位置が目標回転位置と等しければ、マイクロコンピュータ80は同ステップ304にて「YES」と判定し、プログラムをステップ306へ進める。ステップ306は、超音波モータ40を非駆動状態に保つ処理である。同処理後、マイクロコンピュータ80はステップ312にてこの減衰力制御処理を一旦終了する。
【0043】
一方、上記実際の回転位置が目標回転位置と異なっていれば、マイクロコンピュータ80は、ステップ304における「NO」との判定のもとに、ステップ306にて回転位置制御処理を実行する。同処理において、マイクロコンピュータ80は、駆動回路70に制御信号を出力し、上記実際の回転位置が目標回転位置と等しくなるように、超音波モータ40に正転又は逆転駆動を開始させる。また、この場合、マイクロコンピュータ80は、ステップ310にてタイマカウント値TMを値“0”にリセットする。同リセット後、マイクロコンピュータ80は、ステップ312にてこの減衰力制御処理を一旦終了する。
【0044】
上記ステップ308にて開始された超音波モータ40の回転駆動により、上記実際の回転位置が上記算出した目標回転位置と等しくなると、マイクロコンピュータ80は、ステップ304における「YES」との判定のもとに、ステップ306にて上記回転駆動を停止させる。このステップ108の減衰力制御処理の繰り返し実行により、上記ステップ106,108の循環処理中、ピストンロッド30のスリーブ部32に対するスプール34の回転位置は、前記ステップ302にて算出される目標回転位置に随時保たれ続ける。これにより、スリーブ部32の各油路32c,32dの開度が制御されて、上記ピストン20及びピストンロッド30の上下動に対して付与される減衰力が制御される。
【0045】
ところで、マイクロコンピュータ80は、上記ステップ106,108の循環処理中、タイマ80aが所定の短時間を計時する毎に、図9に示すタイマインタラプトプログラムを割り込み実行している。マイクロコンピュータ80は、ステップ300にてこのタイマインタラプトプログラムの実行を開始する毎に、まず、ステップ402にて、フラグFLGが値“1”であるか否かを判定する。最初、フラグFLGは、前記ステップ104にて、振動体50とロータ46,47との固着の可能性が低く超音波モータ40に上記解除制御処理の必要がないことを表す値“0”に設定されているため、マイクロコンピュータ80は、同ステップ402における「NO」との判定のもとに、プログラムをステップ404以降へ進める。ステップ404においては、タイマカウント値TMに値“1”を加算する。ステップ406においては、同加算したタイマカウント値TMが予め設定された所定値T0以上であるか否かを判定する。このときタイマカウント値TMが所定値T0に達していなければ、マイクロコンピュータ80は同ステップ406における「NO」との判定のもとにステップ410にてこのタイマインタラプトプログラムの実行を一旦終了する。
【0046】
上記ステップ400〜406,410の処理の繰り返し実行により、タイマカウント値TMは、値“1”ずつ増加して時間を計測し続ける。この場合、タイマカウント値TMは、前記図8のステップ308の回転位置制御処理にて超音波モータ40が駆動される毎にステップ310にてリセットされるため、超音波モータ40が継続して非駆動状態にある時間を計測することになる。そして、この超音波モータ40の非駆動状態が長時間継続してタイマカウント値TMが所定値T0に達すると、マイクロコンピュータ80は、ステップ406にて「YES」と判定し、ステップ408にて、フラグFLGを、振動体50とロータ46,47との固着の可能性が高く超音波モータ40に上記解除制御処理の必要があることを表す値“1”に設定し、ステップ410にてこのタイマインタラプトの実行を一旦終了する。このフラグFLGの設定により、以後、マイクロコンピュータ80は、このタイマインタラプトプログラムを実行したとき、ステップ402における「YES」との判定のもとに、そのままステップ410にて同タイマインタラプトプログラムの実行を終了するようになる。
【0047】
一方、上記フラグFLGの設定により、マイクロコンピュータ80は、前記図6のメインプログラムにおけるステップ106,108の繰り返し実行中、ステップ106の判定処理を実行したとき、「YES」と判定してプログラムをステップ110へ進めるようになる。ステップ110は、車速センサ84により検出された車速vが値“0”であるか否か、すなわち、この車両が停止中であるか否かを判定する処理である。このとき、この車両が走行中であって車速vが値“0”でなければ、マイクロコンピュータ80は、同ステップ110における「NO」との判定のもとに、ステップ106〜110の循環処理を継続する。一方、この車両が停止中であって車速vが値“0”であれば、マイクロコンピュータ80は、同ステップ110における「YES」との判定のもとに、プログラムを再び前記ステップ102へ進めて解除制御処理を実行する。そして、同解除制御処理の実行後、前記同様に、ステップ104にてフラグFLGを値“0”に設定した上で、再びステップ106,108の循環処理を繰り返し実行する。
【0048】
上述のように、上記実施形態においては、イグニッションスイッチ81がオン操作されたとき、マイクロコンピュータ80が、図7のステップ204にて、駆動回路70に制御信号を出力することにより、超音波モータ40に対し、振動体50とロータ46,47との固着を解除するための駆動信号(解除用駆動信号)を付与する。これにより、イグニッションスイッチ81のオフ状態時に発生した振動体50とロータ46,47との固着が解除されるため、超音波モータ40が確実にロータ46,47を変位させてスプール34を駆動できる状態に保たれる。なお、上記解除用駆動信号による超音波モータ40の駆動時にはイグニッションスイッチ81のオン操作に伴いエンジンの始動音が発生しているため、上記駆動に伴う超音波モータ40の駆動音は、上記エンジンの始動音に紛れて、運転者に違和感を与えることがない。
【0049】
また、上記ステップ204における解除用駆動信号の付与は、タイマカウント値TMによる計時に基づいて、超音波モータ40の非駆動状態が所定値T0によって表される所定時間だけ継続した場合においても実行される。これにより、超音波モータ40が非駆動状態にあるとき発生した振動体50とロータ46,47との固着が解除されるため、超音波モータ40が確実にロータ46,47を変位させてスプール34を駆動できる状態に保たれる。
【0050】
また、上記ステップ204における解除用駆動信号の付与は、図6のステップ110の判定処理により、この車両が停止中であるときにのみ許容されるようになっている。これにより、上記解除用駆動信号の付与による超音波モータの駆動が車両の走行に影響することを回避するようになっている。
【0051】
また、上記ステップ204における解除用駆動信号の付与時に、振動体50とロータ46,47との固着が解除されずロータ46,47が回転しなかった場合、ステップ218の処理により、表示器85が超音波モータ40の駆動不能状態を表示する。これにより、振動体50とロータ46,47との解除不能な固着に対して迅速に対処することが可能となっている。
【0052】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る電気制御装置を車両の減衰力可変ショックアブソーバに組み付けられた超音波モータに対して適用したが、本発明は、車両の例えばブレーキやパワーウィンドウなどに組み付けられた超音波モータに対しても同様に適用できる。
【0053】
また、上記実施形態においては、超音波モータ40の駆動不能状態を報知する報知手段として同状態を視覚的に報知する表示器85を採用したが、この報知手段としては、超音波モータ40の駆動不能状態を聴覚的に報知する警報器を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置の全体ブロック図である。
【図2】図1の減衰力可変ショックアブソーバの全体縦断面図である。
【図3】図2のピストン及びピストンロッドの拡大縦断面図である。
【図4】図1,2の超音波モータの拡大縦断面図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ図4の平板の一採用例を示す平面図である。
【図6】図1のマイクロコンピュータにより実行されるメインプログラムを示すフローチャートである。
【図7】図6の解除制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図6の減衰力制御処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図1のマイクロコンピュータにより実行されるタイマインタラプトプログラムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…シリンダ、20…ピストン、30…ピストンロッド、40…超音波モータ、46,47…ロータ、50…振動体、60…ロータリエンコーダ、70…駆動回路、80…マイクロコンピュータ、80a…タイマ、81…イグニッションスイッチ、84…車速センサ、85…表示器、SA…減衰力可変ショックアブソーバ。

Claims (2)

  1. 車両に搭載されて、駆動信号の付与に応じて振動する振動体と、前記振動体に圧接して前記振動体の振動に応じて変位する変位体とを備え、前記変位体の変位により被駆動部材を正転駆動および逆転駆動することが可能な超音波モータのための電気制御装置において、
    前記振動体に前記駆動信号を付与する駆動回路と、
    前記振動体と前記変位体との固着を解除するために前記駆動回路を制御して、前記被駆動部材を正転駆動する解除用正転駆動信号および前記被駆動部材を逆転駆動する解除用逆転駆動信号を前記振動体に付与する解除手段と、
    前記被駆動部材の駆動を検出する検出手段とを設け、
    前記解除手段を、
    イグニッションスイッチがオン操作されたとき、前記振動体に解除用正転駆動信号を付与し、
    前記解除用正転駆動信号が振動体に付与されても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用正転駆動信号の周波数を徐々に下げ、かつ
    前記解除用正転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用正転駆動信号の電圧を高くする第1解除手段と、
    前記第1解除手段が振動体に解除用正転駆動信号を付与したことにより前記被駆動部材が駆動されて、前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、前記振動体に解除用逆転駆動信号を付与し、
    前記解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用逆転駆動信号の周波数を徐々に下げ、
    前記解除用逆転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用逆転駆動信号の電圧を高くし、かつ
    前記振動体への解除用逆転駆動信号の付与により前記被駆動部材が駆動されて、前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、解除用正転駆動信号が前記振動体に付与される前の位置に前記被駆動部材が戻るまで前記振動体に解除用逆転駆動信号を付与する第2解除手段とで構成したことを特徴とする車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置。
  2. 車両に搭載されて、駆動信号の付与に応じて振動する振動体と、前記振動体に圧接して前記振動体の振動に応じて変位する変位体とを備え、前記変位体の変位により被駆動部材を正転駆動および逆転駆動することが可能な超音波モータのための電気制御装置において、
    前記振動体に前記駆動信号を付与する駆動回路と、
    前記超音波モータが継続して非駆動状態にある時間を計測する計時手段と、
    前記振動体と前記変位体との固着を解除するために前記駆動回路を制御して、前記被駆動部材を正転駆動する解除用正転駆動信号および前記被駆動部材を逆転駆動する解除用逆転駆動信号を前記振動体に付与する解除手段と、
    前記被駆動部材の駆動を検出する検出手段とを設け、
    前記解除手段を、
    前記計時手段が所定時間を計時したとき、前記振動体に解除用正転駆動信号を付与し、
    前記解除用正転駆動信号が振動体に付与されても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用正転駆動信号の周波数を徐々に下げ、かつ
    前記解除用正転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用正転駆動信号の電圧を高くする第1解除手段と、
    前記第1解除手段が振動体に解除用正転駆動信号を付与したことにより前記被駆動部材が駆動されて、前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、前記振動体に解除用逆転駆動信号を付与し、
    前記解除用逆転駆動信号が振動体に付与されても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用逆転駆動信号の周波数を徐々に下げ、
    前記解除用逆転駆動信号の周波数が所定の最小駆動周波数より低くなっても前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されないとき、前記解除用逆転駆動信号の電圧を高くし、かつ
    前記振動体への解除用逆転駆動信号の付与により前記被駆動部材が駆動されて、前記検出手段によって被駆動部材の駆動が検出されたとき、解除用正転駆動信号が前記振動体に付与される前の位置に前記被駆動部材が戻るまで前記振動体に解除用逆転駆動信号を付与する第2解除手段とで構成したことを特徴とする車両に搭載された超音波モータのための電気制御装置。
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