JP3620258B2 - 自動試料交換機能を備えた測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の試料を選択自在に装着してなるオートサンプルチェンジャと、該オートサンプルチェンジャの試料選択動作を制御する制御手段を内蔵する本体装置とから成る、自動試料交換機能を備えた測定装置に関する。本発明に係る測定装置は、例えば回転自在の円盤状部材の外周同心円上に複数の試料を配設したオートサンプルチェンジャを用いた分光測定装置等に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
複数の試料を連続的に測定したい場合、オートサンプルチェンジャやオートサンプラといった、複数の試料を自動的に選択又は切り替えて所定の測定位置に移送又は装填するための付属装置が利用されることが多い。このような付属装置を使用すれば、測定開始前に複数の全試料を準備しておくことにより、測定者が必ずしも測定に立ち会うことなく全試料に対する自動測定を終了することも可能である。特に、測定対象となる物質が比較的化学的に安定であって、しかも化学的な前処理が不要であるものである場合には、上記のような自動測定がより有効である。
【0003】
一般に、赤外分光測定の対象となる物質は上記条件を満たしていることが多く、オートサンプルチェンジャを用いた自動測定がよく行なわれる。図4は、一般的な従来のフーリエ変換赤外分光測定装置の概略構成図である。この赤外分光測定装置は、大別して、本体部10と該本体部10の試料室13内に着脱自在に設置されるオートサンプルチェンジャ20とから構成される。
【0004】
本体部10の光源11から発せられた赤外光は干渉計12に導入される。干渉計12はビームスプリッタ121、固定鏡122、移動鏡123等を含み、前後に摺動している移動鏡123からの反射光と固定鏡122からの反射光とをビームスプリッタ121にて同一進行方向に導くことにより、時間的に振幅が変動する干渉赤外光を得る。該干渉赤外光は試料室13に導入され、オートサンプルチェンジャ20中の1個の試料セル22に照射される。試料セル22内の気体、液体又は固体試料は、その成分に応じて特有の波長を有する光を吸収する。この試料セル22を透過した光は試料室13から出て検出器14にて検出される。このときの検出器14からの信号は時間軸に対する信号の強度であり、これをフーリエ変換することで周波数(光の波長)と信号強度の情報とを得ることができる。そこで、信号処理部15は検出器14からの信号をフーリエ変換して吸光スペクトルを作成し、必要に応じて該スペクトルを用いて吸光度や透過率のスペクトルを計算する。
【0005】
図5は上記オートサンプルチェンジャ20の一例を示す要部の外観斜視図である。図5に示すように、このオートサンプルチェンジャ20は円盤状の回転板21の外周同心円上に複数の試料セル22を備えており、該回転板21の軸はモータ23により直接的又は間接的に(例えば適当な減速機構等を介して)回転駆動される。測定対象の試料セル22を選択するべくモータ23を駆動するための制御信号MCは、コネクタ24a、24bを介して制御部30から与えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、オートサンプルチェンジャ20は例えば試料の大きさ等に合わせて試料セル数の相違するもの、一部に標準試料を装着したもの、等様々な種類のものが用意されており、測定目的や測定対象物等に応じて適当なオートサンプルチェンジャが選択されて試料室13内に設置される。例えば、試料セル数が相違する場合、隣接する試料セル22の離間角度θが相違するから、制御部30は、設置されたオートサンプルチェンジャの種別に応じて試料セル選択の際のモータ23の制御量を変える必要がある。
【0007】
そこで従来のこの種の装置では、測定者自らが操作部(例えばキーボード等)16により、設置したオートサンプルチェンジャに応じて、試料セルの配置(例えば離間角度θや試料セル数等)や標準試料の位置等を入力設定するようにしていた。このような入力設定の操作は複雑であって、測定者がその操作方法を記憶していることは殆どないから、測定者は取扱説明書等の文書を参照しながら操作を行なうのが一般的である。このような作業は大変煩わしいばかりでなく、参照すべき文書の管理が良好でないとこれを探すのに時間を要し、作業効率が悪いという問題がある。
【0008】
これに対し、制御部30にオートサンプルチェンジャの種別の識別機能をもたせたものも提案されている。すなわち、オートサンプルチェンジャ20に複数のピンを有する識別用コネクタを設けることとし、オートサンプルチェンジャの種別に応じて各ピンの接続状態(例えば開放又は接地)を予め取り決めておく。このオートサンプルチェンジャ20が試料室13内に設置され、制御部30に接続されているコネクタが上記識別用コネクタに嵌合されると、制御部30は該コネクタの各ピンの導通状態によりオートサンプルチェンジャ20の種別を判断することができる。
【0009】
しかしながら、このような方法では、識別用コネクタのピン数により判別可能なチェンジャの数が制約を受ける。また制御部30は、予め決められた複数のオートサンプルチェンジャのみを判別可能であるので、設計時点で想定されていない新規な構成のオートサンプルチェンジャには対応できず、極めて拡張性に乏しい。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、面倒な入力設定の操作を行なうことなく様々な種別のオートサンプルチェンジャを利用することができる、自動試料交換機能を備えた測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明は、複数の試料を搭載可能なオートサンプルチェンジャと、該オートサンプルチェンジャ中の任意の試料に対する測定を行なう測定手段を備えた測定装置本体とから成る、自動試料交換機能を備えた測定装置において、
前記オートサンプルチェンジャは、複数の試料のうちの任意の試料を選択するための駆動機構と、該駆動機構の動作を制御するための制御信号を受ける制御入力端子と、当該オートサンプルチェンジャの種別毎の制御情報を予め記憶しておく記憶手段と、該記憶手段中の記憶内容を読み出すための情報出力端子とを備える一方、
前記測定装置本体は、前記情報出力端子と接続可能な情報入力端子と、該情報入力端子を介して前記記憶手段から制御情報を読み出す読出手段と、読み出された制御情報を利用して前記駆動機構を制御するための制御信号を作成する制御手段と、該制御信号を送出するために前記制御入力端子と接続可能な制御出力端子と、
を備えることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
例えばオートサンプルチェンジャは、駆動手段であるモータにより回転駆動される円盤状部材の外周同心円上に複数の試料を配設した構成とし、測定装置本体の測定手段は、円盤状部材の所定の回転位置に来た試料を測定可能な構成とすることができる。このような構成では、上記制御情報は、例えば隣接する試料の離間角度又は所定の円周上の基準位置からの回転角度等による各試料の大きさや位置に関する情報、各試料の種別と該試料の位置との関係を示す情報等とすることができる。
【0013】
当該オートサンプルチェンジャが測定装置本体の所定部位に設置され、その制御入力端子及び情報出力端子が測定装置本体の制御出力端子及び情報入力端子とそれぞれ接続されると、読出手段は前記記憶手段から離間角度等の制御情報を読み出す。この制御情報によりオートサンプルチェンジャの試料選択動作を制御するための基本的なパラメータが得られるので、駆動制御手段は、複数の試料のうちの選択すべき試料に応じてそのパラメータを利用して制御量を求め、制御信号を送出する。オートサンプルチェンジャのモータは制御信号に応じて円盤状部材を回転させ、所望の試料が測定位置に来るようにする。また、上記円盤状部材の所定位置に既知の特性を有する試料が固定的に装着されている場合には、該試料の種別と位置との関係を示す制御情報を用いて、必要に応じて該試料を自動的に選択して測定位置に来るようにすることができる。
【0014】
従来のこの種の測定装置では上記制御情報に相当する情報を測定者自身の操作により入力設定する必要があったが、本発明に係る測定装置では、この制御情報がオートサンプルチェンジャ自体に内蔵されているため、所定の接続を行なうのみで正確な情報が測定装置本体側に設定される。
【0015】
【実施例】
以下、本発明に係る自動試料交換機能を備えた測定装置をフーリエ変換赤外分光測定装置に適用した実施例を図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施例による分光測定装置の構成図、図2は本実施例におけるオートサンプルチェンジャに内蔵されたROMに格納されている制御情報の内容を示す概念図、図3は本実施例における測定動作の手順を示すフローチャートである。
【0016】
図1に示すように、本実施例によるオートサンプルチェンジャ20には、図2に示すような制御情報が予め(例えば工場出荷時に)格納されているROM25が内蔵されており、該ROM25の読出制御信号RSとその出力信号ROとは、モータ23の駆動制御信号MCとともに一つのコネクタ26aに接続されている。モータ23はステッピングモータであって、機械的ストッパにより規制された回転位置を基準位置とし、駆動制御信号MCとして印加される駆動パルス信号の数に応じて該基準位置から所定角度だけロータが回転するようになっている。本実施例では、回転板21の軸がモータ23の回転軸に直結する、いわゆるダイレクトドライブ構造となっているが、適宜の減速機構を介して両者を連結する構造とすることもできる。なお、モータ23及びROM25の動作に必要な電源も、コネクタ26aを介して供給されるようになっている。
【0017】
上記制御信号は、そのオートサンプルチェンジャ20の構造に特有な情報であって、具体的には図2に示すように、試料番号とその試料番号を付された試料セル22の回転板21上での回転位置(これは基準位置からの回転角度で表わされる)、更には試料の種別(予め所定位置に固定的に装着された標準試料又は測定者により脱着される試料)から成る。
【0018】
分光測定装置本体部10の制御部30は、読出部31、駆動制御部32及びRAM33を含んでいる。読出部31は上記ROM25の読出制御信号RSを出力し、これに対応してROM25から出力される出力信号ROを順次読み込んでRAM33に一旦格納する。読出制御信号RSは、例えばROM25のアドレスを直接指定するための信号としてもよいし、或いは、ROM25側にカウンタ等から成るアドレス発生回路を内蔵しておき、このアドレス発生回路を動作させるためのリセット信号やクロック信号を読出制御信号RSとして与えるようにしてもよい。
【0019】
駆動制御部32は、モータ23のロータ(つまり回転板21)の回転角度と駆動パルス信号数との対応関係が予め記憶されたROMを内蔵している。そして後述の如く、RAM33に格納されたオートサンプルチェンジャ20に関する制御情報を利用し、所望の試料セル22が測定光の照射位置に来るように駆動制御信号MCを送出する。
【0020】
なお、制御部30及び信号処理部15は、例えば一般のパーソナルコンピュータに所定のソフトウエアを実行させることにより具現化することができ、その場合、操作部16はパーソナルコンピュータに付設されたキーボード、マウス等の入力手段、表示部17はCRT又は液晶によるディスプレイを利用することができる。
【0021】
図3のフローチャートに沿って、本実施例の分光測定装置による測定動作を説明する。まず、測定者はオートサンプルチェンジャ20の各試料セル22に測定対象の試料を装着する。勿論、必ずしも全ての試料セル22に試料を装着する必要はない。その後、このオートサンプルチェンジャ20を本体部10の試料室13内に設置し、両者のコネクタ26a、26bを接続する(ステップS1)。
【0022】
その後、測定者が操作部16にて、例えば装着完了のボタンを押す等の所定の指示操作を行なうと(ステップS2)、読出部31はコネクタ26a、26bを介してROM25に読出制御信号RSを送る。そして、これに対応してROM25から出力される図2に示したような制御情報を読み込んで、これをRAM33の所定領域に格納する(ステップS3)。また、制御部30は、この制御情報によりオートサンプルチェンジャ20内の試料セル22の総数を認識できるから、表示部17の画面上にその全試料番号を表示する(ステップS4)。
【0023】
測定者はこの表示を見て、測定したい試料番号を所望の測定順序をもって選択するとともに、測定方法(透過率又は吸光度モード等)や必要に応じてその他の測定条件を入力設定する(ステップS5)。このとき、各試料番号に対応して試料名等、適宜の情報を操作部16より入力設定できるようにしてもよい。
【0024】
全ての入力設定が終了したならば、測定者は測定開始の指示操作を行なう(ステップS6)。駆動制御部32は、この指示を受けて、測定順序の早いものから順に、選択された試料番号に対応する回転角度をRAM33から読み出し、回転角度と駆動パルス信号数との対応関係に基づき必要なパルス信号数を求め、その数の駆動パルス信号を駆動制御信号MCとして送出する(ステップS7)。モータ23はその駆動パルス信号に応じて微小角度ずつ回転し、所望の試料セル22が測定光照射位置に来たときにその回転は停止する。その後、分光測定が実行され、上記試料セル22を通過した光が検出器14に到達し、それに対する検出信号が信号処理部15に取り込まれる。これにより、信号処理部15では、測定者により指示された試料の吸光スペクトルが作成される(ステップS8)。
【0025】
1回の分光測定の終了後、制御部30では測定者により指示された試料の測定が全て終了したか否かが判定される(ステップS9)。指示された試料がまだ残っている場合には、ステップS7に戻り、駆動制御部32は、次の測定対象の試料番号に対応する回転角度をRAM33から読み出し、上述と同様の処理によりその試料セル22が測定光照射位置に来るようにモータ23へ駆動パルス信号を送る。このように測定者により指示された全ての試料の測定が終了する迄、処理を自動的に繰り返す。
【0026】
また、測定者が、一連の測定の最初、最後又は途中の適宜の時点で標準試料の測定を実行させるような指示を該測定開始前に行なうと、制御部30はROM25から読み出した制御情報により試料番号1が付された試料が標準試料であることを認識できるから、予め指示された時点において、試料番号1が測定されるようにモータ23の回転を制御する。
【0027】
この実施例の分光測定装置では、例えば、試料セル数の相違するオートサンプルチェンジャでは、図2において最下行の試料番号が相違するとともに各試料番号に対する回転角度が相違する。読出部31は一連の測定の開始毎にROM25の制御情報を読み出してRAM33の内容を書き直すので、測定者が入力設定することなく、設置されたオートサンプルチェンジャ20に対応する制御情報がRAM33に保持され、常に適切な測定が行なえる。
【0028】
また、上記実施例における標準試料とは、例えば標準白板等の吸光度や透過率等を計算する際の基準となる試料であるが、これ以外にも、例えば未知試料の吸光スペクトル等を評価又は判定する際の比較対象又は参照のために、適宜の特性を有する試料を用いることができる。
【0029】
また、例えば分光測定装置の検査用オートサンプルチェンジャでは、検査用の所定の特性を有するフィルム、ガラス、フィルタ、プリズム等を上記回転板21の試料セル22の代わりに装着した構成とすることができる。このようなオートサンプルチェンジャの各試料を自動的に測定するには、上記制御情報としてこのような試料の種類を含むようにしておくとよく、更には該試料に応じた測定条件も含むようにしておき、制御部30は該測定条件に応じて各部の設定が自動的に行なわれるようにするとよい。このように制御情報は、そのオートサンプルチェンジャが予め備える様々な事項に関する情報を含むものとすることができる。
【0030】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜変形や修正を行なえることは明らかである。
【0031】
具体的には、上記実施例のように回転機構により試料セルを選択する構成でなく、複数の試料バイアルを平面状に収納したラックをX−Y(更にZ軸)方向に移動し、所定位置からバイアルを取り出す又はバイアル中の試料のみを取り出すような構成のオートサンプルチェンジャにおいても、各バイアルの位置を(X、Y)座標上の数値としてROMに格納しておくことにより、上記実施例と同様の効果を奏する。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る自動試料交換機能を備えた測定装置によれば、オートサンプルチェンジャの設置時又は交換時に測定者がそのチェンジャを制御するための情報をわざわざ入力設定する必要がないので、測定者の手間が省け、測定効率も向上する。また、入力設定の間違いに起因する無駄な測定も防止できる。
【0033】
また、測定装置本体はオートサンプルチェンジャの制御情報を数値として取得することができるので、従来のこの種の装置のように対応可能なオートサンプルチェンジャが極めて限られるといった不都合がなくなり、オートサンプルチェンジャの種別を殆ど無限に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動試料交換機能を備えた測定装置の一実施例である分光測定装置の構成図。
【図2】本実施例における制御情報の内容を示す概念図。
【図3】本実施例における測定動作の手順を示すフローチャート。
【図4】従来の一般的な分光測定装置の構成図。
【図5】オートサンプルチェンジャの要部の構成を示す外観斜視図。
【符号の説明】
10…分光測定装置本体部
11…光源
12…干渉計
13…試料室
14…検出器
15…信号処理部
16…操作部
17…表示部
20…オートサンプルチェンジャ
21…回転板
22…試料セル
23…ステッピングモータ
25…ROM
26a、26b…コネクタ
30…制御部
31…読出部
32…駆動制御部
33…RAM
Claims (1)
- 複数の試料を搭載可能なオートサンプルチェンジャと、該オートサンプルチェンジャ中の任意の試料に対する測定を行なう測定手段を備えた測定装置本体とから成る、自動試料交換機能を備えた測定装置において、
前記オートサンプルチェンジャは、複数の試料のうちの任意の試料を選択するための駆動機構と、該駆動機構の動作を制御するための制御信号を受ける制御入力端子と、当該オートサンプルチェンジャの種別毎の制御情報を予め記憶しておく記憶手段と、該記憶手段中の記憶内容を読み出すための情報出力端子とを備える一方、
前記測定装置本体は、前記情報出力端子と接続可能な情報入力端子と、該情報入力端子を介して前記記憶手段から制御情報を読み出す読出手段と、読み出された制御情報を利用して前記駆動機構を制御するための制御信号を作成する制御手段と、該制御信号を送出するために前記制御入力端子と接続可能な制御出力端子と、
を備えることを特徴とする測定装置。
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