JP3620073B2 - チアジアゾールアゾ系化合物、感熱転写記録用色素及び感熱転写記録用シート - Google Patents

チアジアゾールアゾ系化合物、感熱転写記録用色素及び感熱転写記録用シート Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規なチアジアゾールアゾ系化合物、に関するものであり、また特に色素転写型感熱転写記録に使用される感熱転写記録用色素及びそれを用いた感熱転写記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
色素転写型感熱転写記録は、ベースフィルム上に熱移行性の色素を含む色材層を有する感熱転写シートと、色素受容層を表面に有する受像シートを重ね合わせ、感熱転写シートを加熱することにより感熱転写シート中の色素を受像シートに転写することにより記録を行う記録方法である。本記録方法は加熱エネルギーの大きさにより色素の転写量を制御し、階調表現ができるため、ビデオプリンターなどフルカラー画像記録用に応用されている。
【0003】
そして、該色素転写型感熱転写記録においては、転写シート及び転写シート用のインキ組成物に用いられる色素が転写記録のスピード、記録物の画質、保存安定性などに大きな影響を与えるので非常に重要であり、このような色素としては以下のような条件を満たすことが必要である。
▲1▼熱記録ヘッドの作動条件で容易に昇華及び/または熱拡散すること。
▲2▼熱記録ヘッドの作動条件で熱分解しないこと。
▲3▼色再現上、好ましい色相を有すること。
▲4▼分子吸光係数が大きいこと。
▲5▼熱、光、湿気、薬品などに対して安定であること。
▲6▼合成が容易なこと。
▲7▼インク化適性が優れていること。
▲8▼安全性上問題のないこと。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は新規なチアジアゾールアゾ系化合物を提供せんとするものである。また、本発明は、色素転写型感熱転写記録用の色素として優れた性能を有する新規な上記の特性の優れた性能を有するチアジアゾールアゾ系化合物、及びこの色素を色材層中に含有する感熱転写記録用シートを提供せんとするものである。
それを使用した感熱転写シートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記請求項1に記載された一般式(I)で示されるチアジアゾールアゾ系化合物、該化合物からなる感熱転写記録用色素及び基材上に結着剤と該チアジアゾールアゾ系色素を含む色材層を有することよりなる感熱転写記録用シートをその要旨とする。
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に関わる前記一般式(I)で示されるチアジアゾールアゾ系化合物は2ーアミノー5ーメルカプトチアジアゾールを通常の方法に従って、メルカプト基(−SH)をアルキル化することにより得られる下記一般式(II)
【0007】
【化2】
Figure 0003620073
【0008】
(式中Rは前記一般式(I)と同じ意味を表す)
で示される2ーアミノー5ーアルキルチオチアジアゾール系化合物を通常の方法に従ってジアゾ化し、下記一般式(III)
【0009】
【化3】
Figure 0003620073
【0010】
(式中、Rは前記一般式(I)と同じ意味を表す)
で示されるフェノール類をカップリングして、下記一般式(IV)
【0011】
【化4】
Figure 0003620073
【0012】
(式中R及びRは前記一般式(I)と同じ意味を表す)
で示されるアゾ化合物が得られる。このものは、前記一般式(I)において、Rが水素原子であるチアジアゾールアゾ系化合物である。
また、更にこのものを例えば下記一般式(V)で示されるアルキル化剤で処理することにより、該Rが置換もしくは非置換のアルキル基であるチアジアゾールアゾ系化合物を合成することができる。
【0013】
【化5】
ーZ (V)
(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す)
上記一般式(V)で示されるアルキル化剤を用いるアルキル化は、水または有機溶媒中、脱酸剤の存在下に上記一般式(IV)の化合物と上記一般式(V)の化合物を加熱することにより行われる。有機溶媒としてはN,Nージメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが特に有利である。脱酸剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。反応温度は通常50〜100℃が適当である。
【0014】
本発明に関わる前記一般式(I)で示される化合物について具体的に説明する。 一般式(I)において、R及びRにおける非置換のアルキル基としては、通常C〜C12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基で、具体的にはメチル基、エチル基、nープロピル基、iープロピル基、nーブチル基、iーブチル基、nーヘキシル基、nーオクチル基、2ーエチルヘキシル基、nーデシル基、nードデシル基などが挙げられる。また、R及びRにおける置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アシルオキシ基などで置換されたC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。尚、Rにおける置換アルキル基としては、ビニル基で置換されたC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基も挙げられ、この場合のRの例としては、アリル基等が挙げられる。
【0015】
における非置換のアルキル基としては、通常C〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基で、具体的にはメチル基、エチル基、nープロピル基、iープロピル基、nーブチル基、iーブチル基、nーヘキシル基などが挙げられる。また、置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリールオキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アシルオキシ基などで置換されたC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0016】
また、Rにおける非置換のアルコキシ基としては、C〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状の非置換のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、nープロポキシ基、nーブトキシ基、iーブトキシ基、nーヘキシルオキシ基などが挙げられる。また、置換アルコキシ基としては、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アリルオキシ基、アラルキルオキシ基などで置換されたC〜Cの置換もしくは非置換のアルコキシ基が挙げられる。
【0017】
また、Rにおけるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、Rにおけるアシルアミノ基としてはアセチルアミノ基等のC〜Cのアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。
上記において、アルコキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、2ーメトキシエチル基、2ーエトキシエチル基、2−nープロポキシエチル基、2−nーブトキシエチル基、2ーiーブトキシエチル基、1ーメチルー2ーメトキシエチル基、1ーメチルー2ーエトキシエチル基、3ーメトキシブチル基、3ーエトキシブチル基、1ーエチルー2ーメトキシエチル基等が挙げられる。
【0018】
また、アラルキルオキシ基で置換されたアルキル基の具体例としては、ベンジルオキシメチル基、2ーベンジルオキシエチル基、1ーメチルー2ーベンジルオキシエチル基、1ーエチルー2ーベンジルオキシエチル基などが挙げられる。
また、アリルオキシ基で置換されたアルキル基としては、アリルオキシメチル基、2ーアリルオキシエチル基、1ーメチルー2ーアリルオキシエチル基、1ーエチルー2ーアリルオキシエチル基などが挙げられる。また、アリールオキシ基で置換されたアルキル基としては、フェノキシメチル基、2ーフェノキシエチル基等が挙げられる。
【0019】
また、アルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基としては、メトキシメトキシメチル基、(2’ーメトキシエトキシ)メチル基、2ー(2’ーメトキシエトキシ)エチル基、2ー(2’ーエトキシエトキシ)エチル基、4ー(2’ーメトキシエトキシ)ブチル基などがあげられる。
また、シアノ基で置換されたアルキル基としては、シアノメチル基、2ーシアノエチル基などが挙げられる。
【0020】
また、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2ーヒドロキシエチル基、3ーヒドロキシプロピル基、1ーメチルー2ーヒドロキシエチル基などが挙げられる。
また、ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、クロロメチル基、2ークロロエチル基、2ーブロモエチル基などが挙げられる。
【0021】
また、アルコキシカルボニル基もしくはアリルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基としては、メトキシカルボニルメチル基、2ーメトキシカルボニルエチル基、2ーエトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、2ーアリルオキシカルボニルエチル基、nーブトキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
【0022】
また、アシルオキシ基で置換されたアルキル基としては、アセトキシメチル基2ーアセトキシエチル基、ベンゾイルオキシメチル基、2ーベンゾイルオキシエチル基、3ーアセトキシプロピル基などが挙げられる。
また、アリール基で置換されたアルキル基としては、ベンジル基、p−クロロベンジル基、2ーフェニルエチル基などが挙げられる。
【0023】
上記において、アルコキシ基で置換されたアルコキシ基としては、メトキシメトキシ基、2ーメトキシエトキシ基、2ーエトキシエトキシ基、2−nープロポキシエトキシ基、2−nーブトキシエトキシ基、2ーiーブトキシエトキシ基、1ーメチルー2ーメトキシエトキシ基、1ーメチルー2ーエトキシエトキシ基、3ーメトキシブトキシ基、3ーエトキシブトキシ基等が挙げられる。
【0024】
また、アラルキルオキシ基で置換されたアルコキシ基としては、ベンジルオキシメトキシ基、2ーベンジルオキシエトキシ基、1ーメチルー2ーベンジルオキシエトキシ基、1ーエチルー2ーベンジルオキシエトキシ基などが挙げられる。
また、アリルオキシ基で置換されたアルコキシ基としては、アリルオキシメトキシ基、2ーアリルオキシエトキシ基、1ーメチルー2ーアリルオキシエトキシ基などが挙げられる。
【0025】
また、アリールオキシ基で置換されたアルコキシ基としては、フェノキシメトキシ基、2ーフェノキシエトキシ基などが挙げられる。
また、シアノ基で置換されたアルコキシ基としては、シアノメトキシ基、2ーシアノエトキシ基などが挙げられる。
また、ヒドロキシ基で置換されたアルコキシ基としては、ヒドロキシメトキシ基、2ーヒドロキシエトキシ基、3ーヒドロキシプロポキシ基、1ーメチルー2ーヒドロキシエトキシ基などが挙げられる。
【0026】
また、ハロゲン原子で置換されたアルコキシ基としては、クロロメトキシ基、2ークロロエトキシ基、2ーブロモエトキシ基、などが挙げられる。
また、アルコキシカルボニル基もしくはアリルオキシカルボニル基で置換されたアルコキシ基としては、メトキシカルボニルメトキシ基、2ーメトキシカルボニルエトキシ基、2ーエトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、アリルオキシカルボニルメトキシ基、アリルオキシカルボニルエトキシ基、nーブトキシカルボニルメトキシ基などが挙げられる。
【0027】
また、アシルオキシ基で置換されたアルコキシ基としては、アセトキシメトキシ基、2ーアセトキシエトキシ基、ベンゾイルオキシメトキシ基、2ーベンゾイルオキシエトキシ基、3ーアセトキシプロポキシ基などが挙げられる。
また、アリール基で置換されたアルコキシ基としては、ベンジルオキシ基、p−クロロベンジルオキシ基、2ーフェニルエトキシ基などが挙げられる。
【0028】
で表される基がC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、2ー(C〜Cアルコキシ)エチル基、ベンジル基、2ーフェニルチル基であると特に好適である。
で表される基が水素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基、エトキシ基、アセチルアミノ基、塩素原子であると特に好適である。
【0029】
で表される基がC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、2ーシアノエチル基、2ークロロエチル基、ベンジル基、2ー(C〜Cアルコキシ)エチル基、アリル基、2ー(C〜Cアルコキシカルボニル)エチル基、2ーアセチルオキシエチル基、2ー(C〜Cアルコキシカルボニルオキシ)エチル基であると特に好ましい。
【0030】
本発明の感熱転写用の色素は、一般式(I)において、R、R、Rが、全て上記の好ましい基から選ばれるものを組み合わせたものが勿論好ましいが、必ずしも全てを好ましい置換基から選んだ場合がより好ましいという訳ではない。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例のいくつかを第1表に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003620073
【0032】
【表2】
Figure 0003620073
【0033】
【表3】
Figure 0003620073
【0034】
【表4】
Figure 0003620073
【0035】
本発明の感熱転写シートは、色材層に前記一般式(I)で示される化合物を1種又は2種以上含有するものである。又、前記一般式(I)で示される化合物の他、他の構造の色素を併用してもよい。
本発明の感熱転写シートに上記の化合物を用いて色材層を形成する場合、その方法は特に限定されず、通常、色素を結着剤とともに媒体中に溶解あるいは微粒子状に分散させることによりインクを調製し、該インクを基材としてのベースフィルムに塗布、乾燥することにより実施することができる。
【0036】
インクの調製のための結着剤としては、セルロース系、アクリル酸系、澱粉系、エポキシ系などの水溶性樹脂及びアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリエステル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノキシ樹脂などの有機溶剤に可溶性の樹脂をあげることができる。
【0037】
尚、結着剤と色素の使用比(重量)は、1:2〜2:1の範囲が適当である。
インク調製のための媒体としては水の他に、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどの塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの有機溶剤をあげることができ、これらの溶剤を単独あるいは混合して使用することができる。
【0038】
上記のインク中には上記の成分の他に必要に応じて有機、無機の非昇華性微粒子、分散剤、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、粘度調製剤などを添加することができる。
転写シート作成のためのインクを塗布するベースフィルムとしては、コンデンサー紙、グラシン紙のような薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックのフィルムが適しているが、それらの厚さとしては3〜50μmの範囲を挙げることができる。
【0039】
上記のベースフィルムのうちポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐溶剤性、経済性などを考慮すると特に有利である。しかし、場合によってはポリエチレンテレフタレートフィルムは必ずしも耐熱性が充分でなく、サーマルヘッドの走行性が不十分であるので色材層の反対面に潤滑剤、滑性の高い耐熱性微粒子、界面活性剤、結着剤などを含む耐熱性樹脂の層を設けることにより、サーマルヘッドの走行性を改良したものを用いることができる。上記のうち、潤滑剤としては、アミノ変性シリコーン化合物やカルボキシ変性シリコーン化合物等が挙げられ、耐熱滑性微粒子としては、シリカ等の微粒子が挙げられる。結着剤としては、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0040】
インクをベースフィルムに塗布する方法としては、グラビアコーター、リバースロールコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターなどを使用して実施することができ、該インクの塗布は、色材層の厚さが乾燥後0.1〜5μmの範囲となるように行えば良い。
更に、本発明の感熱転写シートは加熱手段としてサーマルヘッドのみならず赤外線、レーザー光なども利用することができる。又、ベースフィルムそのものに電気を流すことによって発熱する通電発熱フィルムを用いて、通電型染料転写シートとして用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、かかる実施例は本発明を限定するものではない。
実施例1
a)第1表のNo.8の化合物の合成
2ーアミノー5ーメルカプトチアジアゾール13.3g(0.1モル)をN,Nージメチルホルムアミド30ml中に仕込み、炭酸ナトリウム11.7g(0.11モル)を添加し、n−ブチルブロミド15.0g(0.11モル)を滴下し、40〜45℃で3時間攪拌した。反応終了後、水32mlを加え、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し、白色結晶を17.1g得た。
【0042】
上で得られた白色結晶17.0g(0.09モル)を濃硫酸ー酢酸混合溶媒100ml中に仕込み、0〜5℃でニトロシル硫酸溶液(0.09モル)を滴下し、同温度で2時間攪拌してジアゾ化を行った。m−ヒドロキシアセトアニリド14.9g(0.11モル)を水75ml、水酸化ナトリム3.9g、炭酸ナトリウム7.8gの混合液に溶解し、この中に上で得たジアゾ液を水酸化ナトリウム水溶液でPH8.5〜9.5に調整しながら0〜5℃で滴下し、同温度で2時間攪拌した。反応終了後、水2250mlを加え、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し、赤色結晶を18.8g得た。
【0043】
この赤色結晶17.5g(0.05モル)をNーメチルピロリドン150ml中に仕込み、室温で炭酸ナトリウム7.2gを添加し、n−ブチルブロミド10.2gを滴下し、70〜80℃で4時間攪拌した。反応終了後水1000mlを加え、析出した結晶を濾過、水洗、乾燥し、得られた結晶をメチルアルコール100mlで懸濁洗浄することにより精製を行い、黄色結晶を8.8g得た。
【0044】
このもののマススペクトルは親イオンピークが407であり、第1表のNo.8の構造式の分子量と一致した。また、アセトン中の吸収極大波長は461nmであり、融点は109.5℃であった。
b)インクの調製
【0045】
【表5】
Figure 0003620073
上記組成の混合物をペイントコンディショナーで10分間処理し、インクの調製を行った。
【0046】
c)感熱転写シートの作成
上記のインクをワイヤバーを用いて背面が耐熱滑性処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(6μm厚)上に塗布、乾燥し(乾燥膜厚約1μm)、感熱転写シートを得た。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性処理は、ポリエチレンテレフタレートフィルムに、アクリル樹脂(商品名:BR−80;三菱レイヨン株式会社製品)10重量部、アミノ変性シリコーンオイル(商品名:KF393;信越化学工業株式会社製品)1重量部、トルエン89重量部からなる液を塗布、乾燥(乾燥膜厚約1μm)することにより行った。
【0047】
d)受像体の作製
ポリビニルフェニルアセタール樹脂70重量部、塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール共重合樹脂(商品名:エスレックA;積水化学工業株式会社製品)30重量部、シリコーンワニス(商品名:TSR−160;固形分濃度60%;東芝シリコーン株式会社製品)30重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物(商品名:マイテックNY−710A;固形分濃度75%;三菱化学株式会社製品)15重量部、アミノ変性シリコーン(製品名:KFー393;信越化学工業株式会社製品)2.5重量部、メチルエチルケトン600重量部、トルエン600重量部からなる液を合成紙(製品名:ユポFPG150;王子油化株式会社製品)にワイヤーバーで塗布、乾燥し(乾燥膜厚約5μm)、更にオーブン中で80℃で30分間処理することにより作製した。
【0048】
e)転写記録
上記の感熱転写シートのインク塗布面を受像体と重ね、サーマルヘッドを用いて下記条件で記録し、第2表に示す色調の色濃度の優れた記録物を得た。
尚、通電時間によって、記録物Aと記録物Bをそれぞれ得た。
【0049】
【表6】
Figure 0003620073
色濃度はマクベス社製デンシトメーターTRー927型を用いて測定した。
実施例2
a)第1表のNo.2の化合物の合成
実施例1において、n−ブチルブロミド15.0gの代わりにi−ブチルブロミド15.0gを用い、m−ヒドロキシアセトアニリド14.9gの代わりにフェノール10.3gを用い、n−ブチルブロミド10.2gの代わりにヨウ化エタン11.9gを用い、実施例1と同様の方法により、黄色結晶7.9gを得た。
【0050】
このもののマススペクトルは親イオンピークが322であり、第1表のNo.2の構造式の分子量と一致した。また、アセトン中の吸収極大波長は403nmであり、融点は113.0℃であった。
b)インクの調製、転写シートの作製、受像体の作製及び転写記録、耐光性試験
実施例1において前記第1表No.8の化合物の代わりにNo.2の化合物を用い、実施例1と同様の方法によりインクの調製、転写シートの作製、受像体の作製及び転写記録、耐光性試験を行い、後記第2表に示す結果を得た。
実施例3〜10
実施例1において前記第1表No.8の化合物の代わりに後記第2表に示した化合物を用い、実施例1と同様の方法により化合物の合成、インクの調製、転写シートの作製、受像体の作製及び転写記録、耐光性試験を行い後記第2表に示す結果を得た。
【0051】
【表7】
Figure 0003620073
【0052】
実施例11
実施例1で用いたインクの代わりに下記方法で調製したインクを用いて、実施例1と同様の方法により、転写シートを作製、受像体の作製及び転写記録、耐光性試験を行った結果、鮮明なイエローで均一な色濃度の記録を得ることができた。
【0053】
【表8】
Figure 0003620073
【0054】
【発明の効果】
本発明のチアジアゾールアゾ系化合物は、新規な化合物であって、これを感熱転写記録用色素に用いた場合、熱応答性が良好なので、低エネルギーで高い濃度の鮮明な黄色の記録物を得る事できる。従って、この化合物を色材層に含有する感熱転写記録用シートは、色素転写型感熱転写記録において、非常に有用である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で示されるチアジアゾールアゾ系化合物。
    Figure 0003620073
    (式中、R1 1 〜C 12 の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、2−(C 1 〜C 4 アルコキシ)エチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルオキシエチル基、2−ベンジルオキシエチル基、2−シアノエチル基、2−クロロエチル基、2−メトキシエトキシエチル基、2−(C 1 〜C 2 アルコキシカルボニル)エチル基、メトキシメトキシメチル基、又はベンジル基を表し、R2は水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非
    置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、又はヒドロキシ基を表し、R3
    水素原子、C 1 〜C 8 の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、2−シアノエチル基、2−クロロエチル基、ベンジル基、2−(C 1 〜C 4 アルコキシ)エチル基、アリル基、2−(C 1 〜C 4 アルコキシカルボニル)エチル基、2−アセチルオキシエチル基、又は2−(C 1 〜C 4 アルコキシカルボニルオキシ)エチル基を表す。但し、R 1 がエチル基であり、R 3 が2−メトキシエチル基であるものを除く。)
  2. 一般式(I)において、R1で表される基がC1〜C8の直鎖状もしくは分
    岐鎖状のアルキル基、2−(C1〜C4アルコキシ)エチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基から選ばれる基である請求項1に記載のチアジアゾールアゾ系化合物。
  3. 一般式(I)において、R2で表される基が水素原子、メチル基、メトキ
    シ基、エチル基、エトキシ基、アセチルアミノ基、塩素原子から選ばれる基である請求項1又はに記載のチアジアゾールアゾ系化合物。
  4. 一般式(I)において、R1 で表される基がC1 〜C4 のアルキル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基から選ばれる基であり、R2 で表される基が水素原子、メチル基、メトキシ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、塩素原子から選ばれる基であり、R3 で表される基が水素原子又はC2 〜C4 アルキル基である請求項1に記載のチアジアゾールアゾ系化合物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のチアジアゾールアゾ系化合物か
    らなる感熱転写記録用色素。
  6. 基材上に請求項1ないし4のいずれか1項に記載のチアジアゾールアゾ系化合物及び結着剤を含む色材層を有する感熱転写記録用シート。
  7. 色材層の乾燥厚さが0.1〜5μmである請求項6に記載の感熱転写記録用シート。
  8. 基材上でかつ色材層の反対面に、潤滑剤及び/又は滑性の高い耐熱性微粒子を含む耐熱性樹脂の層を設けてなる請求項6又は7に記載の感熱転写記録用シート。
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