JP3620061B2 - セラミックヒータ素子、セラミックヒータ及びセラミックグロープラグ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はセラミックヒータに関するものであり、例えば、セラミックグロープラグ等に用いられるセラミックヒータに適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、セラミックグロープラグに用いられるセラミックヒータは、従来より種々提案されている。特に、グロープラグは、エンジンへの装着による制約から、その形状は細長い製品で、径方向の寸法制約がある。そのため、径方向の設計自由度を増加させる提案も多い。
【0003】
特開昭60−216126号公報の二線式セラミックグロープラグのセラミックヒータ素子は、絶縁性セラミック体内にタングステンフィラメントよりなる発熱体と、発熱体に一端を電気的に接続されたタングステンよりなる電極線を埋設したものである。そして、セラミックヒータ素子に嵌め合わされた端子金具部での短絡を防止するため、電極線の1本はセラミックヒータ素子の後端部にヒータ素子本体の外径より小径の段差をを設け、その段差の外周面に他端を裸出させ、電極線のもう1本は小径部に近接した大径部の外周面に他端を裸出させ、これら両裸出部に端子金具を嵌着させた構成である。また、セラミックヒータ素子は、直径が数mm程度で、その中に埋設する電極線はφ0.5mm程度であり、ヒータ素子表面での電極線の露出面積は非常に小さく、端子金具とは点接合しているのみであり、接合の信頼性を向上させるため、端子金具をキャップ形状にして、セラミックヒータ材料と端子金具の線膨張係数差による熱収縮差の締付け力で保持固定した点接合部を有する焼きばめ状態にある。しかし、使用時に温度が上昇すると熱収縮差による締付け力は低下してしまい、点接合部にはエンジンの振動等の力が直接作用するようになり、端子金具のセラミックヒータ素子からの剥離による断線が発生することがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点を鑑みたものであり、セラミックヒータ素子の外径部に径の異なる部分を形成することなく、端子金具を接合でき、またキャップ形状の端子金具を使用することなく接合の信頼性を向上させ、短絡に対しても有利な接合部の信頼性の高いセラミックヒータ素子、セラミックヒータ及びセラミックグロープラグを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1は、絶縁性セラミック体と、該絶縁性セラミック体に少なくとも一部が埋設され、しかも外部から供給される電力で発熱可能な発熱体と、該発熱体に一端を電気的に接続された電極線と、前記電極線の他端側に設けられた高融点金属からなる金属チップとから少なくとも構成され、前記金属チップの前記絶縁性セラミック体表面に露出する露出幅が、前記電極線の直径よりも大きいことを特徴とするセラミックヒータ素子を採用するものである。
【0007】
【作用】
上記の如く構成したことにより、セラミックヒータ素子表面への電極線を含めた金属の露出面積を大幅に増加することができ、接合の信頼性の高い大きなろう付け面積が得らるため、キャップ形状の端子金具を使用する必要がなく、端子金具として電力供給手段となる細い金属線をろう付けすることでセラミックヒータ素子が得られる。
【0008】
【発明の効果】
上記の如き作用により、セラミックヒータ素子の外径部に径の異なる部分を形成することなく、端子金具を接合でき、またキャップ形状の端子金具を使用することなく接合の信頼性を向上させ、短絡に対しても有利な接合部の信頼性の高いセラミックヒータ素子が得られる。これより、接合の信頼性の高いセラミックヒータ及びセラミックグロープラグを提供できる。
【0009】
【実施例】
以下、本発明を具体的実施例により説明する。
図1は、本発明のセラミックヒータ素子2の実施例を示す断面図であり、図2は、前記セラミックヒータ素子2のA−A断面図である。前記セラミックヒータ素子2は、略円形断面を有する棒状の絶縁性セラミック体12の先端内部に、略U字形状をなす発熱体となる導電性セラミック体11と、該導電性セラミック体11に電気的に結合されたタングステンよりなる一対の電極線13、14とが埋設され、さらに前記セラミックヒータ素子2の側面2aには前記電極線14の端部14aが露出しており、前記電極線14の前記端部14aの近傍には金属チップ16が埋め込まれ、一体に焼結され、また前記セラミックヒータ素子2の側面2bには前記電極線13の端部13aが露出しており、前記電極線13の前記端部13aの近傍には金属チップ15が埋め込まれ、一体に焼結されて構成されている。
【0010】
図3は、本発明の実施例であるセラミックヒータ1の断面図であり、即ち電力供給手段であるリード線51、52と、保持手段である金属の中空パイプ3とを、本発明の前記セラミックヒータ素子2に組付けた前記セラミックヒータ1の断面図である。図4は、前記セラミックヒータ1のB─B断面図である。前記電極線13の前記端部13aおよび、前記金属チップ15が露出する前記セラミックヒータ素子2の前記側面2bには、金属ワイヤよりなる前記リード線51がロウ付けされており、前記電極線14の前記端部14aおよび、前記金属チップ16が露出する前記セラミックヒータ2の前記側面2aには、金属ワイヤよりなる前記リード線52がロウ付けされている。又、前記セラミックヒータ素子2の前記側面2aと導電性セラミック体の間にはニッケルメッキ2cが施されており、前記セラミックヒータ素子2を保持するための金属の前記中空パイプ3によって、前記セラミックヒータ素子2が包含されるようにしてロウ付け固定、一体化されて構成されている。
【0011】
図5は、前記セラミックヒータ1を組付けたセラミックグロープラグの一実施例を示す断面図である。エンジンへの取り付けネジ4aを有する金属ハウジング4の一端が、前記中空パイプ3の外周に、ロウ付けによって接合されている。そして、中軸6は、端子ネジ部61aを介して図示しない電源と電気的に導通接続される金属棒61の外周に耐熱絶縁層62を介して金属パイプ63が固定されている。そして、前記リード線51の一端は、前記中軸6の前記金属棒61に溶接されており、また、前記リード線52の一端は、前記中軸6の前記金属パイプ63に溶接されている。尚、前記中軸6と前記ハウジング4の間は、ガラスシール7および絶縁ブッシュ8によって絶縁され、ナット9を締付けて前記絶縁ブッシュ8を固定されている。
【0012】
ここで、前記金属チップ15、16は、セラミック中に埋め込まれ、一体に焼結されるため、焼結時の温度で溶融しない材料を選定する必要がある。そして、このような条件を満足する材料としては、モリブデン、タングステン等、融点1800℃以上の金属およびその合金が必須となる。
以上、本発明の実施例を二線式グロープラグの例で示したが、上述のごとく、本発明のように電極線の端部のセラミックヒータ側面への露出部近傍に金属チップを埋設したことにより、非常に大きなロウ付けの接合面積を確保するとともに、リード線との接合部を非常に簡素な構造にすることができ、製造性が大幅に向上した。
【0013】
以上の実施例は、リード線との接合部を軸方向にずらした構成にしたが、図6に断面図を示した本発明の他の実施例のセラミックヒータ素子のように、略同一円周面上に、接合部となる2つの電極線の端部を構成すれば、セラミックヒータ素子長さを大幅に短くすることも可能である。
また、金属チップが脱落することの無いように、図7に記した本発明の他の実施例のセラミックヒータ素子の要部断面図に示すようにテーパー状および、図8に記した本発明の他の実施例のセラミックヒータ素子の要部断面図に示すように段付き等を工夫し、埋設部に露出部より大きな面積の部分を構成した金属チップとしてもよい。さらに、電極線の端部および、金属チップが露出するセラミックヒータ素子の側面には、必要に応じて、ニッケルメキ等の表面処理を施した後、リード線をロウ付けしてもよい。また、金属チップの外表面に凹凸を付したものでもよく、また多孔質体であっても有効である。
【0014】
本発明は、二線式セラミックグロープラグのセラミックヒータ素子に限定されるものでなく、他の実施例のセラミックグロープラグに適用可能な本発明のセラミックヒータの断面図を図9に示す。図は、一方の電極線14を保持手段である金属の中空パイプ31と接続し、図示しないハウジングを介してエンジンへ接地させ、もう一方の電極線13を電極線の端部13aでもってリード線511と接続し、図示しない中軸を介して電源に接続する方式のセラミックグロープラグに適用するタイプのセラミックヒータ素子の例である。この場合は、非常に大きなロウ付けの接合面積が確保出来ることにより、接合の信頼性の高いロウ付け部が得られる。
【0015】
又、本発明は、グロープラグに用いられるセラミックヒータのみに限定されるものでなく、ヒータを内蔵した酸素センサのヒータ等、いわゆるセラミックヒータ全般に適用することができることは言うまでもない。
さらに、以上の実施例は発熱体として、導電性セラミック体の例で示したが、発熱体として、高融点金属のフィラメント又は、印刷抵抗のヒータにも有効であることは言うまでもない。
【0016】
尚、焼結時のセラミック材料の焼結収縮で金属線と金属チップの電気的接続を確実に行うために、金属線と金属チップを予め接合したものを用いてもよい。さらに、略真っ直ぐな金属線に金属チップを接合して、前記金属線の接合されていない前記金属チップ部位が、セラミックヒータ素子の側面に露出するようにすれば、前記金属線を曲げ加工することが不要となり、生産性を向上できる。
【0017】
また、金属チップは、高融点のタングステン、モリブデン等が好ましいことを上述したが、これらの高融点金属は、熱膨張係数が小さい。しかし、一般に、リード線は、ニッケル合金線が使用され、またろう材は、Au−Cuろう、Agろう、Niろう、Cuろう等が使用され、ともにその熱膨張係数は、前記金属チップの熱膨張係数よりも大きい。従って、長時間に渡って高温、冷熱の繰り返しを受ける前記金属チップ及びろう付け部分には、熱膨張係数に基づく熱応力が、繰り返して作用する。その結果前記金属チップ、または前記ろう材にクラックが発生し、ろう付け部分の信頼性が損なわれることもある。そこで、前記金属チップ16と前記ろう材と前記リード線52との間の熱膨張係数差を低減するために、前記金属チップ16及び電極線の端部14aに、予め前記金属チップ16の熱膨張係数と前記リード線52の熱膨張係数及び前記ろう材の熱膨張係数の間の熱膨張係数を有する金属薄板17を接合し、その後、該金属薄板17の上に前記リード線52をろう付けした構成としてもよい(図10を参照)。このような構成とすることで、前記金属チップ16と前記ろう材と前記リード線との間の熱膨張係数差を低減することができ、熱応力を緩和できる。また、前記金属薄板17は、複数であってもよいのは言うまでもない。
【0018】
尚、上記実施例のセラミックグロープラグにおいては、保持手段を中空パイプとしてハウジングに結合したが、保持手段をハウジングとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子の断面図である。
【図2】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子のA−A断面図である。
【図3】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子を組付けた実施例であるセラミックヒータの実施例の断面図である。
【図4】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子を組付けた実施例であるセラミックヒータの実施例のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子を組付けた実施例であるセラミックヒータをセラミックグロープラグの断面図である。
【図6】本発明のセラミックヒータ素子のその他の実施例の断面図である。
【図7】本発明のセラミックヒータ素子のその他の実施例の断面図である。
【図8】本発明のセラミックヒータ素子のその他の実施例の断面図である。
【図9】本発明の実施例であるセラミックヒータ素子を組付けた実施例であるセラミックヒータを組付けたセラミックグロープラグの他の実施例の断面図である。
【図10】本発明のセラミックヒータのその他の実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 セラミックヒータ
2 セラミックヒータ素子
2a,2b セラミックヒータ素子の側面
2c ニッケルメッキ
3 中空パイプ
4 ハウジング
6 中軸
11 導電性セラミック体
12 絶縁性セラミック体
13 電極線
14 電極線
15 金属チップ
16 金属チップ
51 リード線
52 リード線
Claims (1)
- 絶縁性セラミック体と、該絶縁性セラミック体に少なくとも一部が埋設され、しかも外部から供給される電力で発熱可能な発熱体と、該発熱体に一端を電気的に接続された電極線と、前記電極線の他端側に設けられた高融点金属からなる金属チップとから少なくとも構成され、前記金属チップの前記絶縁性セラミック体表面に露出する露出幅が、前記電極線の直径よりも大きいことを特徴とするセラミックヒータ素子。
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JP04354894A JP3620061B2 (ja) | 1994-03-15 | 1994-03-15 | セラミックヒータ素子、セラミックヒータ及びセラミックグロープラグ |
Applications Claiming Priority (1)
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- 1994-03-15 JP JP04354894A patent/JP3620061B2/ja not_active Expired - Fee Related
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