JP3619897B2 - 建築用パネル - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は建築、構築物の内壁材、外壁材、屋根材、天井材、床材、間仕切り材、あるいは防火戸等として使用でき、かつ、製造後に膨れ、反り等の変形がなく、しかも防火性、耐火性、機械強度に優れた建築用パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、薄板状の表面材と裏面材にてフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)からなる芯材をサンドイッチした建築用パネルは数多く発明、考案されて上市されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような芯材としてフェノールフォームを使用した建築用パネルでは、▲1▼一般的にフェノールフォームは接着性が弱く、フェノールフォームを芯材として使用した場合の表面材と裏面材と芯材との接着性に劣り、剥離が生じ易い。▲2▼万一の火災等で建築用パネルが高温化に曝せられた際には、表面材と裏面材と芯材との境界面が防火性、耐火性能の弱点部分となり易い。▲3▼一般に芯材を各種合成樹脂発泡体とした際には、建築用パネル自体の機械強度に劣り、しかも合成樹脂発泡体の経時変化により、建築用パネル表面に凹凸が生じたり、反ったりする不具合が生じることがある。▲4▼レゾール型フェノールフォームの硬化剤としては適当な濃度の強酸が水溶液として使用されるので、芯材の形成後に酸の残留成分が、表面材および裏面材と芯材との接着境面をおかし、接着強度が弱くなり、芯材と表面材および裏面材が剥離し易い。等の欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するために、表面材、裏面材と芯材との境界面に耐火シートを配設し、建築用パネル自体の機械強度を向上させ、さらに、耐火シートを無機系繊維の周囲に高温下で炭化層を形成する耐火コート材をコーティングしてメッシュ状に形成したものを採用することにより、メッシュ状の凹凸によるアンカー効果により表面材、裏面材と芯材との接着強度を向上させ、しかも、万一の火災によって、建築用パネルが高温下に曝せられた時には、耐火コート材が炭化層を形成して断熱層となり、芯材を熱から保護するので防火性、耐火性を向上し、また、耐火シートの外周部にアルカリ性物質からなる酸中和剤をコートしたので、フェノールフォームの酸性分を中和し、製造後の建築用パネルに悪影響を及ぼさない建築用パネルを提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて、本発明に係る建築用パネルAの一実施例について詳細に説明する。すなわち、建築用パネルAは断面図である図1(a)、および図1(a)におけるイ部分の拡大断面図である図1(b)に示すように、表面材1と裏面材2でフェノール樹脂を主原料とする発泡体からなる芯材3を、サンドイッチした建築用パネルAであり、表面材1もしくは裏面材2のどちらか一方以上(図では両方)の裏面(芯材3側の面)に接着剤4を介して、耐火シート5を配したものである。
【0006】
表面材1、裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー鋼板を含む)、あるいは塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、等の樹脂材、等の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形、焼成、等して各種任意形状に形成したもの、さらには、アルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布、等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものである。
【0007】
また、芯材3はフェノールを主原料とした発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出させ、加熱して反応発泡させて形成したものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることもできる。
【0008】
耐火シート5は図2(a)に示すように、中空部6を複数有するメッシュ状のシート物からなり、その材料構成は図2(b)の断面図に示すように耐火性能に優れるガラス繊維、セラミック繊維等の無機系繊維からなる基材7と、その外周を耐火コート材8とアルカリ性物質からなる酸中和剤9とで、順に被覆したものであり、接着剤4を介して表面材1、裏面材2に積層されるものである。
【0009】
また、耐火シート5はメッシュ状に形成するものであり、複数の中空部6によって形成される凹凸がアンカー効果を発揮し、芯材3との接着面積を拡大し、接着強度を大幅に向上すると共に、伸縮性に優れ扱い易いものである。
【0010】
さらに、基材7の外周を被覆している耐火コート材8としては、発泡用原料(防火薬剤反応触媒原料、炭素生成原料、不燃性ガス発生原料)、着色顔料、被膜形成樹脂、等を加えたものからなるものである。このうち、炭素生成原料類は炭水化物、多価アルコール類から選定されるものであり、これらは火炎と接触して炭化、発泡し、断熱層を形成するものである。また、炭素生成原料類は酸基を持ち、無機酸とエステルを生成するものであり、無機酸としてはリン酸からなるものである。これは、触媒類、防火剤の熱分解により生成するものである。
【0011】
従って、耐火シート5は建築用パネルAが万一火災等で高温下に曝された際に、表面材1、裏面材2と芯材3との間にて炭化層を形成し、断熱層を形成して芯材3を高温から保護する働きがあるものである。
【0012】
さらに、耐火コート材8の外周を被覆している酸中和剤9は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一種以上の塩基性の強い物質を主原料とするものであり、芯材3内に浸透、分散し易いように、紛状、塗料状、液状(ゲル状)に形成し、任意に接着剤(図示せず)等を用いて外周に固定したものである。
【0013】
また、酸中和剤9は、芯材3形成時に用いられた硬化剤の残留酸成分を中和し、表面材1および裏面材2と芯材3との接着境面を保護し、接着強度が弱くなったり、芯材3と表面材1および裏面材2が剥離し易くなってしまうのを防止するものである。
【0014】
なお、接着剤4の例としては、エラストマー型エポキシ樹脂、イソシアネート、例えばメチレンジイソシアネート(略称MDI)等のエマルジョンタイプ、ホットメルトタイプ、および、その変性イソシアネート、例えばウレタン変性、ビュレット変性イソシアネート、イソシアヌレート変性イソシアネート等の1種を用いるものである。
【0015】
また、建築用パネルAの全体形状の例としては図3に示すように、金属製長尺状の薄板からなる表面材1、裏面材2と幅方向の一端に形成した雄型連結部10、他端に形成した雌型連結部11、および化粧面12とから形成したものである。また、図では特に建築用パネルA同士の連結で生じる目地部に無機ボード13、無機系パッキング材14を介在して、さらに防火性、耐火性の向上を図った建築用パネルAとしたものである。
【0016】
【その他の実施例】
以上説明したのは、本発明に係る建築用パネルAの一実施例であり、図4、図5に示すような建築用パネルAとすることもできる。すなわち、図4(a)は耐火シート5を表面材1側にのみ積層した建築用パネルAの例、図4(b)は耐火シート5を裏面材2側にのみ積層した建築用パネルAの例である。
【0017】
また、図5(a)は耐火シート5を芯材3の途中に1層以上積層した建築用パネルAの例、図5(b)は接着剤4を耐火シート5が表面材1もしくは裏面材2と接する部分にのみ塗布し、量を軽減した例である。勿論、これらを各々組み合わせた建築用パネルAとすることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る建築用パネルよれば、表面材、裏面材と芯材との境界面に耐火シートを配設したので、▲1▼建築用パネル自体の機械強度を向上することができる。さらに、耐火シートを無機系繊維の周囲に高温下で炭化層を形成する耐火コート材をコーティングしてメッシュ状に形成したものを採用することにより、▲2▼メッシュ状の凹凸によるアンカー効果により表面材、裏面材と芯材との接着強度が向上する。▲3▼万一の火災よって、建築用パネルが高温下に曝せられた時には、耐火コート材が炭化層を形成し、断熱層となり、芯材を熱から保護するので防火性、耐火性を向上した建築用パネルとなる。▲4▼耐火シートの外周部にアルカリ性物質からなる酸中和剤をコートしたので、フェノールフォームの酸性分を中和し、製造後の建築用パネルに悪影響を及ぼさない建築用パネルとなる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築用パネルの代表例を示す拡大断面図である。
【図2】図1で用いられた耐火シートの例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る建築用パネルの全体形状の例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 建築用パネル
1 表面材
2 裏面材
3 芯材
4 接着剤
5 耐火シート
6 中空部
7 基材
8 耐火コート材
9 酸中和剤
10 雄型連結部
11 雌型連結部
12 化粧面
13 無機ボード
14 無機系パッキング材
Claims (1)
- 表面材と裏面材にてフェノール樹脂を主成分とする発泡体からなる芯材をサンドイッチした建築用パネルにおいて、少なくとも前記表面材もしくは裏面材のどちらか一方の芯材側面に接着剤を介して耐火シートを配設した建築用パネルであり、該耐火シートは無機系繊維よりなる基材の周囲に高温下で炭化層を形成する耐火コート材と、アルカリ性物質からなる酸中和剤とを順にコーティングしてメッシュ状のシートに形成したものを使用したことを特徴とする建築用パネル。
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JP19890195A JP3619897B2 (ja) | 1995-08-04 | 1995-08-04 | 建築用パネル |
Publications (2)
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JPH0941517A JPH0941517A (ja) | 1997-02-10 |
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ID=16398831
Family Applications (1)
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JP19890195A Expired - Fee Related JP3619897B2 (ja) | 1995-08-04 | 1995-08-04 | 建築用パネル |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3619897B2 (ja) |
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1995
- 1995-08-04 JP JP19890195A patent/JP3619897B2/ja not_active Expired - Fee Related
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