JP3664280B2 - 耐火パネル - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は建築、構築物の内壁材、外壁材、屋根材、天井材、床材、間仕切り材、あるいは防火戸、等として使用でき、かつ、製造後に膨れ、反り等の変形がなく、しかも防火性、耐火性、機械強度に優れた耐火パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、薄板状の表面材と裏面材にてフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)からなる芯材をサンドイッチした耐火パネルは数多く発明、考案されて上市されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような芯材としてフェノールフォームを使用した耐火パネルでは、▲1▼一般的にフェノールフォームの自己接着性が弱く、表面材、裏面材と芯材との接着性に劣り、剥離が生じ易いものであった。▲2▼また、芯材を各種合成樹脂発泡体とした際には、耐火パネル自体の機械強度に劣り、しかも合成樹脂発泡体の経時変化により、耐火パネル表面に凹凸が生じたり、反ったりする不具合が生じることがある場合もあった。▲3▼さらに、芯材の形成時に反応ガスが発生して芯材内に残留したり、フェノールフォーム中に、反応の際の縮合水が重量の数10パーセント位が保持され、製品の養生期間、あるいは耐火パネルの施工後に、外気温等の変化により、水分が水蒸気化し、逃げ道が無いために、耐火パネルの表面材もしくは裏面材と芯材間に残留し、耐火パネルの表面材裏面や裏面材裏面にガス膨れが発生したり、反ったりする等、経時的に耐火パネルに悪影響をおよぼす不具合を生じることもあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するために、表面材の裏面に接着剤を介して無機ボードを形成し、無機ボードと裏面材にてプラスチックフォームをサンドイッチし、両端に雄雌型連結部を形成した長尺状の耐火パネルにおいて、少なくとも前記無機ボードとプラスチックフォーム間には、波状の凹凸を形成することにより木口から木口に亘って連通するように空間を形成した通気性アンカー部材を形成することにより、耐火パネル自体の機械強度を向上させると共に、芯材との接着強度を向上させ、通気性アンカー部材の空間から、芯材内の反応ガスや水蒸気を耐火パネル外部に放出し、製造後の耐火パネルに反りや膨れ等の悪影響をおよぼさない耐火パネルを提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて、本発明に係る耐火パネルの一実施例について詳細に説明する。すなわち、耐火パネルAは図1、図2(図1のa−a部分拡大断面図)、図3、図4、および図5に示すように、表面材1と裏面材2間に芯材3を一体に形成したものであり、表面材1の裏面に接着剤4を介して無機ボード5を形成し、無機ボード5と裏面材2で例えば耐火性のあるフェノール樹脂を主原料とする合成樹脂発泡体からなるプラスチックフォーム15をサンドイッチした耐火パネルAであり、少なくとも無機ボード5の裏面側(芯材3側の面)に接着剤6を介して凹凸8と空間9を形成した通気性アンカー部材7を形成したものである。
【0006】
耐火パネルAの全体形状の例としては図1に示すように、長尺状の金属製薄板からなる表面材1、裏面材2と幅方向の一端に形成した雄型連結部10、他端に形成した雌型連結部11、および化粧面12とから形成したものである。また、耐火パネルA同士の連結で生じる目地部には無機パッキング材13、防水パッキング材14を介在し、さらに防火性、耐火性、防水性の向上を図った耐火パネルAである。また、図3において、αは躯体、βは固定具、Bは目地カバー、Cは敷目板、DはEPDM等のパッキング材、Eは防水性、耐火性のあるコーキング材、Fはロックウール等の耐火材、Gは耐火敷目板である。
【0007】
表面材1と裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したもの、さらには、裏面材2としてアルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物、あるいはこれらの複合材からなるものである。
【0008】
また、芯材3は接着剤4、無機ボード5、接着剤6、通気性アンカー部材7とプラスチックフォーム15とからなる構成であり、プラスチックフォーム15は主に断熱材、耐火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。
【0009】
さらに詳説すると、プラスチックフォーム15はポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノール樹脂の原液(フェノールレジン)と、難燃材、発泡剤、熱発泡炭化層形成剤、中和剤、硬化剤、可塑剤等の組成物を混合し、表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、各種難燃材としては軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)等である。
【0010】
耐火性のあるプラスチックフォーム15としてはレゾール型のフェノールフォームに、発泡剤、水酸化アルミニウム(Al(OH)3 )、ポリリン酸アンモニウム、グラファイト、硬化剤、等を混入し、発泡、硬化させ、仕上がり密度で50〜300Kg/m3 位に形成したものである。
【0011】
接着剤4と接着剤6の例としては、エラストマー型エポキシ樹脂、イソシアネート、例えばメチレンジイソシアネート(略称MDI)等のエマルジョンタイプ、ホットメルトタイプ、および、その変性イソシアネート、例えばウレタン変性、ビュレット変性イソシアネート、イソシアヌレート変性イソシアネート等の1種を用いるものであり、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、EVA樹脂等の合成樹脂系の接着剤、ゴム系接着剤、油性系接着剤、等よりなるものである。
【0012】
無機ボード5は、連結部の防火性の強化、機械強度の向上、表面材1の剥離防止、等のため用いるもので、JIS−A−1304の耐火構造試験の耐火構造1時間試験に合格するためのものであり、例えばケイ酸カルシウム板、炭酸カルシウム板、石膏ボード、パーライトセメント板、ロックウール板、スレート板、ALC板、PC板、その他の無機質軽量体、無機質軽量発泡体、あるいはこれらの複合板の1種以上、もしくは超高密度樹脂(高密度のフェノールフォーム等)を耐火パネルAの表面材1の裏面に接着剤4を介して一体に介在させるものである。
【0013】
通気性アンカー部材7は図6(a)〜(c)に示すようなものであり、無機ボード5の裏面に接着剤6を介して接着され、無機ボード5と芯材3間の接着強度を向上するためのものである。また、通気性アンカー部材7には空間9を形成するための凹凸8を形成するものであり、この凹凸8により形成された空間9、図3に示す目地部、図5に示す連結部とがつながっており、芯材3内の余剰ガス成分(塩素、二酸化炭素、塩化メチレン、ホルムアルデヒド、水蒸気、水素、等)、あるいは反応時の縮合水等のガスを外部に放出し、製造後の耐火パネルAの表面、裏面には内部ガスによる膨れ、反り等の変形がなく、しかも強度、耐火性能に優れた耐火パネルAとなる。
【0014】
さらに詳説すると、通気性アンカー部材7は気体等は通過するが液体は通過しないものを使用するものであり、例えば長繊維、短繊維等をシート状に形成し、シート状、ネット状、繊維状、植毛状、塊状、カール状、等に任意密度で形成するものであり、植毛する際は、10〜200μの長さで、太さが約5〜200μ位の繊維を使用するものである。なお、図6(a)〜(c)において、(a)図はシート状、(b)図は繊維(パイル)を植毛した通気性アンカー部材7、(c)図は不織布により形成した通気性アンカー部材7である。
【0015】
このように通気性アンカー部材7を繊維により形成することにより、通気性アンカー部材7は表面材1と芯材3間の接着強度を強化し、特に芯材3がフェノールフォームのように脆く接着強度の弱いものを使用する場合に、表面材1(裏面材2)と芯材3間の剥離を防止するものである。勿論、両面に植毛したものを通気性アンカー部材7として使用することもできる。
【0016】
さらに、不織布を使用した通気性アンカー部材7としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ボロン繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ロックウール繊維、等の1種からなる通気性を有するシート状物である。
【0017】
無機パッキング材13は、例えばロックウールフェルト、セラミックウール等よりなり、JIS−A−1304の耐火構造試験の耐火構造1時間試験時に連結部間に間隙が形成されるのを防止して火炎の浸入を遮断し、主に耐火材、気密材等の機能として有用なものである。
【0018】
防水パッキング材14は、例えば定型で弾性のあるパッキング材としては、例えばポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。
【0019】
さらに、この構成の耐火パネルAの防火性を確認するため、図1に示すような耐火パネルAに対してJIS−A−1304の耐火構造試験の耐火構造1時間試験を実施したところ合格する性能を得た。なお、この際の仕様は表面材1と裏面材2が0.5mm厚のカラー鋼板、プラスチックフォーム15はフェノールフォーム(密度160Kg/m3 位)、無機ボード5はケイ酸カルシウム板、通気性アンカー部材7としてはロックウール繊維で、耐火パネルAの総厚さは50mmであった。また連結部にはロックウールフェルトよりなる無機パッキング材13を連続で形成したものである。
【0020】
【その他の実施例】
以上説明したのは、本発明に係る耐火パネルの一実施例であり、図7〜図10に示すような耐火パネルAとすることもできる。すなわち、図7(a)〜(f)、および図8(a)〜(f)は通気性アンカー部材7のその他の実施例を示す一部拡大図である。
【0021】
また、図9(a)〜(e)、図10(a)〜(e)は耐火パネルAの断面のその他の実施例を示すものである。
【0022】
なお、図9、図10においては接着剤4、接着剤6は省略して示してある。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る耐火パネルによれば、▲1▼プラスチックフォームとしてフェノールフォームを使用しても、プラスチックフォームとの接着は通気性部材としたために、接着強度が大幅に向上し、製造後に表面材が剥離することがない。▲2▼通気性アンカー部材の凹凸の空間を木口から木口に亘って連通するように一定ピッチで複数本形成したために、目地部から芯材内の反応ガスや水蒸気を耐火パネルの外部に確実に放出でき、製造後の耐火パネルの反りや膨れ等を防止できる。▲3▼JIS−A−1301(建築物の木造部分の防火試験方法)、JIS−A−1302(建築物の不燃構造部分の防火試験方法)、JIS−A−1304(建築構造部分の耐火試験方法)の試験に合格できる耐火性能を有する。▲4▼無機ボードの形成により耐火性、機械強度が大幅に向上する。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐火パネルの代表例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る耐火パネルの代表例を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明に係る耐火パネルの目地部を示す断面図である。
【図4】本発明に係る耐火パネルの代表例を示す部分拡大断面図である。
【図5】本発明に係る耐火パネルの連結部の代表例を示す部分拡大断面図である。
【図6】本発明に係る耐火パネルに使用する通気性アンカー部材の例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る耐火パネルに使用する通気性アンカー部材のその他の例を示す一部拡大図である。
【図8】本発明に係る耐火パネルに使用する通気性アンカー部材のその他の例を示す一部拡大図である。
【図9】本発明に係る耐火パネルのその他の例を示す断面図である。
【図10】本発明に係る耐火パネルのその他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
α 躯体
β 固定具
A 耐火パネル
B 目地カバー
C 敷目板
D パッキング材
E コーキング材
F 耐火材
G 耐火敷目板
1 表面材
2 裏面材
3 芯材
4 接着剤
5 無機ボード
6 接着剤
7 通気性アンカー部材
8 凹凸
9 空間
10 雄型連結部
11 雌型連結部
12 化粧面
13 無機パッキング材
14 防水パッキング材
15 プラスチックフォーム
Claims (1)
- 表面材の裏面に接着剤を介して無機ボードを形成し、無機ボードと裏面材にてプラスチックフォームをサンドイッチし、両端に雄雌型連結部を形成した長尺状の耐火パネルにおいて、少なくとも前記無機ボードとプラスチックフォーム間には、波状の凹凸を形成することにより木口から木口に亘って連通するように空間を形成した通気性アンカー部材を形成したことを特徴とする耐火パネル。
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