JP3646744B2 - 建築用パネル - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は建築、構築物の内壁材、外壁材、屋根材、天井材、床材、間仕切り材、あるいは防火戸等として使用でき、かつ、製造後に膨れ、反り等の変形がなく、しかも防火性、耐火性、機械強度に優れた建築用パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、薄板状の表面材と裏面材にて合成樹脂発泡体からなる芯材をサンドイッチした建築用パネルは数多く発明、考案されて上市されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような芯材として合成樹脂発泡体を使用した建築用パネルでは、一般的に防火性、耐火性に劣り、万一の火災等で建築用パネルが高温化に曝せられた際には、芯材や特に表面材、裏面材と芯材との境界面が防火性、耐火性能の弱点部分となり易いものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するために、芯材内に難燃骨材を核とし、この核の周囲をレゾール型フェノール樹脂にて被覆したフェノール粒を混在した建築用パネルとし、さらに、少なくとも表面材の裏面に塗料からなる塗膜層を形成し、塗膜層に高温下で発泡して断熱層を形成する炭素微小片を混在させたので、芯材が熱により肉痩せした欠損部分を発泡して充填すると共に、表面材、裏面材と芯材との境界面の耐火性能、防火性能を向上させた建築用パネルを提案するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて、本発明に係る建築用パネルAの一実施例について詳細に説明する。すなわち、建築用パネルAは断面図である図1(a)および、図1(a)のイ部分の拡大図である図1(b)に示すように、表面材1と裏面材2とで合成樹脂発泡体を主原料とする芯材3をサンドイッチして芯材3の持つ自己接着性により一体に形成した建築用パネルAであり、芯材3中にフェノール粒4を混在させ、かつ、少なくとも表面材1と芯材3の間には塗膜層7を形成したものである。
【0006】
表面材1、裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したもの、さらには、アルミニウム蒸着紙、アスベスト紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものである。
【0007】
また、芯材3は建築用パネルAの嵩上材、断熱材、防火材、後記するフェノール粒4のバインダーとして機能するものであり、合成樹脂原料を主原料とし、これに硬化剤、発泡剤、難燃材等を混入し、加熱、キュア、養生して形成した合成樹脂発泡体からなるものである。合成樹脂発泡体の例としては、フェノールフォーム、ポリウレタンフォーム、イソシアヌレートフォーム等からなるものである。
【0008】
さらに、芯材3の中には、フェノール粒4を任意割合混入するものである。このフェノール粒4は図2にその断面を示すように、略球状であり、難燃骨材となる核5の外周をレゾール型フェノール樹脂6で被覆したものである。
【0009】
核5として、は例えばパーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム、熱膨張性グラファイト等の一種以上を使用するものであり、芯材3に防火性、耐火性能を付加するものである。なお、図2では核5としてフェノール樹脂と相性の良い水酸化アルミニウム粉を使用したものである。
【0010】
外周のレゾール型フェノール樹脂6は、未硬化(未反応型)のレゾール型フェノール、もしくは完全硬化型(反応終了型)のレゾール型フェノール固形物であり、発泡させたもの、発泡させないもの等どちらでも使用できるものである。レゾール型フェノール樹脂6は上記した核5と同様に主に、芯材3に防火性、耐火性能を付加するものである。
【0011】
また、フェノール粒4の大きさとしては、直径約50〜1000μm(好ましくは、50μm、100μm、300μm、500μm、800μmのいずれか)の微小粒であり、略同一粒径に揃えたり、または粒径の大小が異なるフェノール粒4を混在するものである。芯材3への混在割合は、芯材3の合成樹脂分を100重量部とすると30〜500重量部を添加するものである。なお、フェノール粒4の核5成分の含有量としては8〜80%位のものである。
【0012】
フェノール粒4は真球に近く2次凝集物が少ないため流動性が良く、芯材3に均一に分布するのに有用なものであると共に、外周をレゾール型フェノール樹脂6にてコーティングしているため、芯材3の原料となる合成樹脂原料と良くなじみ、混合し易く、樹脂の粘性を上げることなく多量に防火材となるフェノール粒4を混合することができるので容易に耐火性能、防火性能を向上することができるものである。
【0013】
また、芯材3をフェノールフォームとした際にはフェノール粒4の嵩体積によって、芯材3となるレゾール型フェノール樹脂6の反応をある程度減らし、発生するガスを減少させると共に、乾燥状態のフェノール粒4が、反応ガスや水蒸気をセル内に吸収し閉じこめ、建築用パネルAの表面材1、裏面材2にガス膨れが発生したり、反ったりする悪影響を防止しするものである。さらに、芯材3としてポリウレタンフォームやイソシアヌレートフォームを使用した際には、フェノール粒4を形成するレゾール型フェノール樹脂6と核5となる難燃骨材が防火性能、耐火性能を向上すると共に、機械強度に優れた建築用パネルAとなるものである。
【0014】
塗膜層7は少なくとも建築用パネルAの表面材1の裏面側、すなわち、芯材3との境界部分に形成するものであり、あらかじめ、表面材1の裏面に塗料を塗布し、乾燥硬化させたものである。
【0015】
塗膜層7を形成する塗料は合成樹脂分としてフッ素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、メラミンアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フラン樹脂、ビニル樹脂、尿素樹脂、マイレン酸樹脂、スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、オイルフリーポリエステル、スチレン化アルキッド樹脂、アルミニウムペイント、チリメンエナメル、ビニル共重合体、ポリビニルブチラル、エチルセルロース等を用い、これに各種顔料、溶剤を加えた常温硬化型、加温硬化型、加熱硬化型、紫外線硬化型、もしくは釉薬等の一般的なものであり、主に、後記する炭素微小片8のバインダー、芯材3との接着性の強化材、表面材1の保護材として機能するものである。
【0016】
また、塗膜層7には図1に示すように任意割合で炭素微小片8を混合するものである。炭素微小片8は例えばグラファイト、カーボンブラック等からなり、高温下で発泡して断熱層を形成するものである。すなわち炭素微小片8は炭水化物、多価アルコール類から選定される炭素生成原料類(発泡用原料)に着色顔料、被膜形成樹脂等を加えたものからなるものである。炭素生成原料類は火炎と接触して炭化、発泡し、断熱層を形成するものである。また、炭素生成原料類は酸基を持ち、無機酸とエステルを生成するものであり、無機酸としてはリン酸からなるものである。これは、触媒類、防火剤の熱分解により生成するものである。
【0017】
さらに、炭素微小片8は万一の火災の際に、熱により燃焼して肉痩せした芯材3の欠損部分を発泡して充填するので、合成樹脂発泡体からなる芯材3と併用すると格別に防火性、耐火性を向上させるものである。なお、炭素微小片8は鱗片状で平らなものを、表面材1と平行に配列させて混入すると、熱が横方向に拡散され、芯材3内部に到達するのを防ぐのに有効なものである。
【0018】
また、建築用パネルAの全体形状の例としては図3に示すように、金属製長尺状の薄板からなる表面材1、裏面材2と幅方向の一端に形成した雄型連結部9、他端に形成した雌型連結部10、および化粧面11とから形成したものである。また、図では特に建築用パネルA同士の連結で生じる目地部に無機ボード12、無機系パッキング材13を介在して、さらに防火性、耐火性の向上を図り、耐火1時間試験に合格する建築用パネルAとしたものである。
【0019】
【その他の実施例】
以上説明したのは、本発明に係る建築用パネルAの一実施例であり、図4〜図8に示すような建築用パネルAとすることもできる。すなわち、図4(a)は裏面材2の裏面にも塗膜層7を形成した建築用パネルAの例、図4(b)はフェノール粒4を芯材3の中央部分に凝集させた建築用パネルAの例、図4(c)はフェノール粒4の層を芯材3の中に2層以上複数形成した建築用パネルAの例である。
【0020】
図5〜図8は建築用パネルAの全体形状の例を示す断面図であり、図5(a)〜(c)、図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)は表面材1として金属薄板を、裏面材2としてアルミニウム蒸着紙を用いた金属サイディングの例を示すものである。また、図8(a)〜(c)は表面材1および裏面材2として金属薄板を用いた大型金属パネルであり、耐火1時間構造試験に合格する建築用パネルAの例である。勿論、図5〜図8においてはフェノール粒4、塗膜層7は省略して示してある。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る建築用パネルよれば、従来の欠点を解決し、芯材内に難燃骨材を核とし、この核の周囲をレゾール型フェノール樹脂にて被覆したフェノール粒を混在した建築用パネルとしたので、▲1▼芯材の嵩上材として機能するので芯材形成時の反応量を減らし、発生するガスを減少させると共に、乾燥状態のフェノール粒が、反応ガスや水蒸気をセル内に吸収し閉じこめ、建築用パネル表面材、裏面材にガス膨れが発生したり、反ったりする悪影響を防止することができる。▲2▼フェノール粒は真球に近く2次凝集物が少ないため流動性が良く、芯材に均一に分布するのに有用なものであると共に、外周をレゾール型フェノール樹脂にてコーティングしているため、芯材の原料となる合成樹脂原料と良くなじみ、混合し易く、樹脂の粘性を上げることなく多量に防火材となるフェノール粒を混合することができるので容易に耐火性能、防火性能を向上し、機械強度に優れた建築用パネルとすることができる。
【0022】
また、表面材の裏面に塗料からなる塗膜層を形成し、塗膜層に高温下で発泡して断熱層を形成する炭素微小片を混在させたので、▲3▼表面材を芯材から発生する酸成分から保護すると共に、表面材、裏面材と芯材との境界面の耐火性能、防火性能が向上する。▲4▼炭素微小片は万一の火災の際に、熱により燃焼して肉痩せした芯材の欠損部分を発泡して充填するので、合成樹脂発泡体からなる芯材と併用すると格別に防火性、耐火性を向上させることができる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築用パネルの代表例を示す説明図である。
【図2】図1で用いられたフェノール粒の例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る建築用パネルの全体形状の例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る建築用パネルのその他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 建築用パネル
1 表面材
2 裏面材
3 芯材
4 フェノール粒
5 核
6 レゾール型フェノール樹脂
7 塗膜層
8 炭素微小片
9 雄型連結部
10 雌型連結部
11 化粧面
12 無機ボード
13 無機系パッキング材
Claims (1)
- 表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体を主成分とする芯材をサンドイッチした建築用パネルにおいて、少なくとも表面材の裏面に塗料からなる塗膜層を形成し、該塗膜層に高温下で発泡して断熱層を形成する炭素微小片を混在させると共に、芯材内に難燃骨材を核とし、該核の周囲をレゾール型フェノール樹脂にて被覆したフェノール粒を混在したことを特徴とする建築用パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26457695A JP3646744B2 (ja) | 1995-10-13 | 1995-10-13 | 建築用パネル |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26457695A JP3646744B2 (ja) | 1995-10-13 | 1995-10-13 | 建築用パネル |
Publications (2)
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JPH09111915A JPH09111915A (ja) | 1997-04-28 |
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Family
ID=17405211
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26457695A Expired - Fee Related JP3646744B2 (ja) | 1995-10-13 | 1995-10-13 | 建築用パネル |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3646744B2 (ja) |
-
1995
- 1995-10-13 JP JP26457695A patent/JP3646744B2/ja not_active Expired - Fee Related
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