JP3619298B2 - 画像形成材料 - Google Patents

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)
  • Silver Salt Photography Or Processing Solution Therefor (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成材料に関する。
さらには、低湿時および/または高湿時のカーリング、高湿環境下での保存性の改良された画像形成材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体の一方の面に親水性コロイドを塗設する事によって製造される画像形成材料は、親水性コロイドの吸湿、乾燥による伸び縮みの結果、高湿および/または低湿時にカールしてしまうことが知られている。
このカーリングを改良する手段の一つとして、画像形成材料の裏面、すなわち塩基発生剤を含有する面と反対側の面にも親水性コロイドを含有する層を塗設する方法が知られている。
【0003】
一方いわゆる現像液を用いない画像形成システムにおいて、保存時のpHと画像形成時のpHとを区別する手段として、中性化合物2種の反応による塩基発生法が例えば米国特許第3260598号、同4740445号、特開昭62−129848号等に提案されている。この中性化合物2種の反応による塩基発生法は、画像形成時とそれ以前の保存時とを区別するのに極めて有効である。この方法に用いられる塩基発生剤の少なくとも一方は、現像時に速やかに塩基を発生させるために、水に対する溶解性が高く、かつ拡散性の高い薬品が使用されることが多い。
【0004】
この様な塩基発生剤を含有する面が、先述のカーリングを改良する目的で、裏面に水溶性コロイドを含有する層を塗設した裏面と接触する形態で、且つ高湿環境下で保存された場合、裏面のバインダーへ塩基発生剤が拡散するために、現像時に実質的に発生する塩基量が減少し、均一、またはムラ状に画像濃度低下を引き起こす事がある。
そこでカーリングを改良しながら、高湿環境下で保存しても画像濃度低下を引き起こさない裏面膜処方の開発が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低湿かつ/または高湿時のカーリングが少なく、かつ現像処理前に高湿環境下で表面と裏面が接触する形態で保存されても、得られる画像に濃度低下を引き起こさない画像形成材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、支持体の一方の面に塩基発生剤を含有する非感光性層を有する画像形成材料であって、支持体に対して、該塩基発生剤含有層を有する面と反対側の面に少なくとも1層の親水性コロイド層をバインダーとする非感光性親水性コロイド層を有し、且つ該非感光性親水性コロイド層より支持体から遠い位置に、疎水性ポリマーをバインダーとする疎水性ポリマー層と含フッ素界面活性剤を含有する表面層を有し、該塩基発生剤含有層の面と反対側の面の親水性コロイドの総量と、該塩基発生剤含有層の面の親水性コロイド層の総量の重量比が0.3以上であり、かつ該塩基発生剤含有層の面と反対側の面の含水量が、25℃の水に1分間浸漬した場合、親水性コロイド1g当たり1g以下であることを特徴とする画像形成材料によって達成された。また、より好ましくは該塩基発生剤含有層の面と反対側の面の含水量が、25℃の水に1分間浸漬した場合、親水性コロイド1g当たり0.2g以下である。また、好ましくは前記疎水性ポリマー層が前記含フッ素界面活性剤を含有する表面層と同一の層であるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下において、塩基発生剤含有層面を表面、支持体に対して表面と反対側の面を裏面と記し、裏面の非感光性親水性コロイド層を裏層と記す。
これらの裏面の膜形態は現像液によって現像を行う、いわゆるコンベンショナルな写真分野において、現像処理後の乾燥性が良好なハロゲン化銀写真感光材料、カールの改良されたハロゲン化銀写真感光材料、ピンホールの改良されたハロゲン化銀写真感光材料の提供方法として特願平4−36152号、特開平5−232625号、特開平7−199402号に開示されている。しかしコンベンショナルな写真系では感光材料中に塩基発生剤を含有する必要が無いために、同様の方法によって塩基発生剤の裏面への拡散が防止でき、この結果高湿保存後の画像の濃度低下または濃度むらを改良できるとは考えられなかった。
【0009】
本発明で言う画像形成材料とは感光材料と貼り合わせる事により、塩基の発生を行う材料、又は感光材料と貼り合わせる事により、塩基の発生を行い、さらに感光材料が生成もしくは放出する色素を固定する機能を有する材料、又は感光材料と貼り合わせる事により、塩基の発生を行い、さらに感光材料から拡散してくる銀イオンを金属銀に変換、固定化する機能を有する材料を言う。本発明では特に感光材料と貼り合わせる事により、塩基の発生を行い、さらに感光材料が生成もしくは放出する色素を固定する機能を有する材料に好ましく用いられるのでこの形態の画像形成材料について詳細に説明するが、本発明はこの形態の画像形成材料に限定されるものではない。
【0010】
本発明の裏層のバインダーとして用いられる親水性コロイドとしては、ゼラチンが最も好ましく用いられる。ゼラチンとしては、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体及び変成ゼラチン等当業界で一般に用いられているものは何れも用いることができる。これらのゼラチンのうち、最も好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンである。
【0011】
ゼラチン以外の親水性コロイドとしてコロイド状アルブミン、ガゼイン等の蛋白質、寒天、カラギナン、アルギン酸ナトリウム、澱粉等の糖類、およびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース化合物、ポリビニルアルコール、変成ポリビニールアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等の合成親水性化合物等を挙げることができる。合成親水性化合物の場合、他の成分を共重合やグラフト重合しても良いが、疎水性共重合成分が多すぎる場合、裏層の吸湿量、吸湿速度が小さくなり、カールの観点から不適当である。これらの親水性コロイドは単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。また異なる組成の親水性コロイド層を2層以上設置しても良い。
【0012】
本発明の裏層には、バインダー以外にマット剤、界面活性剤、染料、架橋剤、増粘剤、防腐剤、UV吸収剤、帯電防止剤等の写真用添加剤を添加しても良い。これらの添加剤については、例えばリサーチ・ディスクロージャー誌176巻17643項(1978年12月)に開示されている。
【0013】
本発明の裏層には更にポリマーラテックスを添加してもよい。本発明に用いられるポリマーラテックスは平均粒径が0.02μm〜0.2μmの水不溶性ポリマーの水分散物で、好ましい使用量はバインダー1に対し乾燥重量比で0.01〜1.0であり、特に好ましくは0.1〜0.8である。本発明に用いられるポリマーラテックスの好ましい例としてはアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、グリシジルエステルをモノマー単位として持ち、平均分子量が10万以上、特に好ましくは30万〜50万のポリマーであり、具体例は次式で示される。
【0014】
【化1】
Figure 0003619298
【0015】
本発明の裏層を塗設する方法については特に制限は無い。従来ハロゲン化銀写真感光材料の親水性コロイド層を塗設する公知の方法を用いることが出来る。例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは米国特許第2681294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法、又は米国特許第2761418号、同第3508947号、同第2761791号記載の多層同時塗布方法を用いることが出来る。
【0016】
本発明の裏層は1層であっても2層以上から成っていても良い。裏層が1層の場合、裏層の支持体から遠い位置にある隣接層として本発明の疎水性ポリマー層を設ける。又裏層が2層以上の場合、少なくとも支持体に隣接する1層の支持体側から遠い位置に本発明の疎水性ポリマー層を設ける。
【0017】
本発明の裏層の親水性コロイドの総量は、表面の親水性コロイドの総量の0.3倍以上(重量比)ある。裏層の親水性コロイド総量/表面の親水性コロイド総量比(重量比)の適正な値は、画像形成材料の親水性コロイド総量、支持体厚み等によって変化するが、この値が小さすぎてもまた大きすぎてもカール性能が不良となる。
【0018】
本発明の画像形成材料の裏面を25℃の水に1分間浸漬後の浸水コロイド1g当たりの含水量を1g以下とするための手段に特に制限は無い。一般的には架橋剤の添加量の調節、疎水性成分の添加、後述する疎水性ポリマー層を塗設してこの疎水性ポリマー層と支持体の間に存在する裏層の膨潤を防止する方法が考えられる。特に疎水性ポリマー層を塗設する本発明の方法が好ましい。
【0019】
つづいて本発明の疎水性ポリマー層(以降ポリマー層と表わす)について述べる。
ポリマー層は疎水性ポリマーをバインダーとする層である。
ポリマー層のバインダーの具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム等のゴム類、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、ポリエチレンフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、セルローストリアセテート等のセルロース樹脂、シリコーン樹脂などの水不溶性ポリマー又は、これらの誘導体を挙げることができる。
更にポリマー層のバインダーとして、1種類のモノマーから成るホモポリマーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでも良い。
特に好ましいバインダーとしては、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートとアクリル酸又はメタクリル酸のコポリマー(アクリル酸又はメタクリル酸は5モル%以下が好ましい)、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−ブタジエン−アクリル酸コポリマー(アクリル酸は5モル%以下が好ましい)、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン−メタクリル酸コポリマー(メタクリル酸は5モル%以下が好ましい)、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸コポリマー(アクリル酸は5モル%以下)、塩化ビニリデン−アクリロニトリル−メチルメタクリレート−エチルアクリレート−アクリル酸コポリマー(アクリル酸5モル%以下)、エチルアクリレート−グリシジルメタクリレート−アクリル酸コポリマー等である。
これらは1種類を単独で用いてもよいし2種以上を併用して用いてもよい。
【0020】
本発明のポリマー層には、必要に応じてマット剤、界面活性剤、染料、すべり剤、架橋剤、増粘剤、UV吸収剤、コロイダルシリカ等の無機微粒子などの写真用添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤についてもリサーチ・ディスクロージャー誌176巻17643項(1978年12月)の記載などを参考にすることができる。
【0021】
本発明のポリマー層は1層であっても2層以上であっても良い。本発明のポリマー層の厚みには特に制限はない。
しかしポリマー層の厚みが小さ過ぎる場合、ポリマー層の耐水性が不充分となり、バック層が処理液に膨潤する様になってしまい不適切である。逆にポリマー層の厚みが大き過ぎる場合、ポリマー層の水蒸気透過性が不充分となり、バック層の親水性コロイド層の吸脱湿が阻害されてカールが不良となってしまう。勿論ポリマー層の厚みは用いるバインダーの物性値にも依存する。従ってポリマー層厚みは、この両者を考慮して決定する必要がある。ポリマー層の好ましい厚みは、ポリマー層のバインダー種にもよるが、0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
なお本発明のポリマー層が2層以上から成る場合には、すべてのポリマー層の厚みの和を本発明のハロゲン化銀写真感光材料のポリマー層の厚みとする。
【0022】
本発明のポリマー層を塗設する方法に特に制限はない。
バック層を塗布乾燥した後に、バック層上にポリマー層を塗布しその後乾燥しても良いし、バック層とポリマー層を同時に塗布し、その後乾燥してもよい。
ポリマー層はポリマー層のバインダーの溶媒に溶解して溶剤系で塗布しても良いし、バインダーのポリマーの水分散物を用いて、水系で塗布してもよい。
【0023】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料のバック面の現像処理時水洗工程終了後の親水コロイド1gあたりの含水量を1g以下、好ましくは0.2g以下とする他の手段として、さらにバック層表面に非水溶性の含フッ素界面活性剤を塗布し、バック層表面を撥水的にして、現像処理工程でバック層が膨潤する事を防止する方法が用いられる。具体的には、バック層を塗布乾燥した後、この表面に酢エチ、メタノール等の溶媒に溶触した含フッ素界面活性剤を塗布し、ついで乾燥する方法が挙げられる。含フッ素界面活性剤の例として、たとえばC17SOK、C17SON(C)(CHCHO)H、C17SON(C)(CHCHO)CH等を挙げる事ができる。含フッ素界面活性剤の塗布量は1mg/mから100mg/m、好ましくは3mg/mから50mg/mが望ましい。
【0024】
本発明に於いては帯電防止の為に、少なくとも一方の面の表面抵抗率が25℃25%RHで1012Ω以下であることが好ましい。
本発明の画像形成材料の表面抵抗率を下げる手段に特に制限はないが、画像形成材料に導電性物質を含有する導電層を設ける方法が好ましい。
本発明の導電層に用いられる導電性物質としては、導電性金属酸化物或いは導電性高分子化合物などが用いられる。
本発明に用いられる導電性金属酸化物として好ましいのは結晶性の金属酸化物粒子であるが、酸素欠陥を含むもの及び用いられる金属酸化物に対してドナーを形成する異種原子を少量含むもの等は一般的に言って導電性が高いので特に好ましく、特に後者はハロゲン化銀乳剤にカブリを与えないので特に好ましい。金属酸化物の例としてはZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、V等、あるいはこれらの複合酸化物が良く、特にZnO、TiO及びSnOが好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、SnOに対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiOに対してはNb、Ta等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01mol %〜30mol %の範囲が好ましいが、0.1mol %〜10mol %であれば特に好ましい。
金属酸化物微粒子は導電性を有しており、その体積抵抗率は10Ω−cm以下、特に10Ω−cm以下であることが好ましい。
これらの酸化物については特開昭56−143431号、同56−120519号、同58−62647号などに記載されている。
更に又、特公昭59−6235号に記載のごとく、他の結晶性金属酸化物粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた導電性素材を使用してもよい。
利用できる粒子サイズは10μ以下が好ましいが、2μ以下であると分散後の安定性が良く使用し易い。また光散乱性をできるだけ小さくする為に、0.5μ以下の導電性粒子を利用すると透明感光材料を形成することが可能となり大変好ましい。
又、導電性材料が針状あるいは繊維状の場合はその長さは30μm以下で直径が2μ以下が好ましく、特に好ましいのは長さが25μm以下で直径0.5μ以下であり長さ/直径比が3以上である。
本発明に用いられる導電性高分子化合物としては、例えばポリビニルベンゼンスルホン酸塩類、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、米国特許第4,108,802号、同4,118,231号、同4,126,467号、同4,137,217号に記載の4級塩ポリマー類、米国特許第4,070,189号、OLS2,830,767号、特開昭61−296352号、同61−62033号等に記載のポリマーラテックス等が好ましい。
以下に本発明の導電性高分子化合物の具体例を示すが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0025】
【化2】
Figure 0003619298
【0026】
本発明の導電性金属酸化物又は導電性高分子化合物はバインダー中に分散又は溶解させて用いられる。
バインダーとしては、フィルム形成能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばゼラチン、カゼイン等の蛋白質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体等の糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸等の合成ポリマー等を挙げることができる。
本発明の導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物をより効果的に使用して導電層の抵抗を下げるために、導電層中における導電性物質の体積含有率は高い方が好ましいが、層としての強度を十分に持たせるために最低5%程度のバインダーが必要であるので、導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物の体積含有率は5〜95%の範囲が望ましい。
本発明の導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物の使用量は、写真感光材料一平方メートル当たり0.05〜20gが好ましく、特に0.1〜10gが好ましい。本発明の導電層の表面抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1012Ω以下で、好ましくは1011Ω以下が良い。これにより良好な帯電防止性が得られる。
本発明の導電性金属酸化物あるいは導電性高分子化合物を含有する導電層は、本発明においては、写真感光材料の構成層として少なくとも一層設ける。例えば、表面保護層、バック層、中間層、下塗層などのいずれでもよいが、必要に応じて2層以上設ける事もできる。
【0027】
本発明における塩基発生剤とは先述の中性化合物2種の組み合わせのうちの少なくとも1種をいう。すなわち一般式(1)または一般式(2)で示した化合物、または一般式(3)で示した水に難溶性の金属化合物をいう。
【0028】
【化3】
Figure 0003619298
【0029】
【化4】
Figure 0003619298
【0030】
【化5】
Figure 0003619298
【0031】
一般式(1)の化合物について説明する。
一般式(1)において、Eは−S−、−O−、または−NR−(Rは、水素原子、アルキル基、アリール基またはNとNに隣接する原子との二重結合を形成するための結合手を表す。)を表し、上記に示すようにCに隣接する。Cは炭素原子を示す。ZはCおよびEと共に複素環を形成するのに必要な原子群を表し、D以外の置換基を有しない。DはCの置換基を表し、−CO 、−SO 、または−SO を示す。Bkはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたは置換もしくは無置換のグアニジウムイオン、アミニジウムイオン、もしくは4級アンモニウムイオンを表す。
【0032】
上記の複素環としては、5もしくは6員環の複素環が好ましく、特に芳香族複素環が好ましい。好ましい複素環の例としては、ピリジン環、キノリン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0033】
一般式(1)で表される化合物でも、下記一般式(4)で表される化合物が特に好ましい。
【0034】
【化6】
Figure 0003619298
【0035】
上記一般式(4)において、Bkは一般式(1)におけるものと同義である。また、Dは一般式(1)におけるものと同義である。
一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を以下に挙げる。ただし、本発明の化合物は以下の例に限定されるものではない。
【0036】
101 ピコリン酸リチウム
102 ピコリン酸カリウム
103 ピコリン酸ナトリウム
104 ピコリン酸グアニジウム
105 ジピコリン酸カルシウム
112 2ピリジンスルホン酸カリウム
113 2ピリジンスルホン酸ナトリウム
114 2ピリジンスルホン酸グアニジウム
122 2フランカルボン酸カリウム
124 2フランカルボン酸グアニジウム
132 2チオフェンカルボン酸カリウム
134 2チオフェンカルボン酸グアニジウム
143 ピラジンカルボン酸ナトリウム
144 ピラジンカルボン酸グアニジウム
【0037】
一般式(2)の化合物について説明する。
一般式(2)において、E、Cは、一般式(1)と同じものを示す。ZはCおよびEと共に複素環を形成するのに必要な原子群を表し、置換基XおよびYを有する。Xは−CN、−CHNOHまたは一般式(1)でDBkで表した基を示す。Yは複素環上の置換基を表し、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはアミドキシム基を示す。nは1から4の整数を表す。ただし、Xが−CN、−CHNOHの場合、nは0から4の整数を示す。
【0038】
上記の複素環としては、5もしくは6員環の複素環が好ましく、特に芳香族複素環が好ましい。好ましい複素環の例としては、ピリジン環、キノリン環、ピラジン環、チオフェン環、フラン環などが挙げられる。
【0039】
一般式(2)で表される化合物でも、下記一般式(5)で表される化合物が特に好ましい。
【0040】
【化7】
Figure 0003619298
【0041】
上記一般式(5)において、Xは一般式(2)におけるものと同義である。Yは、ピリジン環の上の置換基を表し、nは一般式(2)におけるものと同義である。nが2以上のとき、Yは同一でも異なっていても良く、また互いに結合して環を形成してもよい。
Yの好ましい例としては、−CO Bk(例えば−COK、−CONa、−COH・HN=C(NH等)、−SO Bk(例えば−SOK、−SONa、−SOH・HN=C(NH等)、−SO Bk(例えば−SOK、−SONa等)、水素原子、ハロゲン原子(例えばCl、F、Br、I等)、シアノ基、ニトロ基、水酸基または置換もしくは非置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、カルボキシメチル等)、シクロアルキル基(例えばシクロヘキシル等)、アラルキル基(例えばベンジル等)、アリール基(例えばフェニル等)、アルケニル基(例えばビニル、アリル等)、アルキニル基(例えばエチニル等)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、複素環基(例えばピリジン等)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル等)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル等)、もしくはカルバモイル基(例えばフェニルカルバモイル、ジエチルカルバモイル等)が挙げられる。
また、Yが互いに結合して環を形成する場合の環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
Bkの好ましい例としては、Li、Na、K、Cs、N(CH、H=C(NH、H=C(N(CH、H=C(NHCH)NH
【0042】
【化8】
Figure 0003619298
【0043】
(CH等が挙げられる。
【0044】
一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を以下に挙げる。ただし、本発明の化合物は以下の例に限定されるものではない。
【0045】
203 2−カルボキシ−3−ヒドロキシピリジン ナトリウム塩
204 2−カルボキシ−3−ヒドロキシピリジン グアニジウム塩
211 2,3−ジカルボキシピリジン リチウム塩
212 2,3−ジカルボキシピリジン カリウム塩
213 2,3−ジカルボキシピリジン ナトリウム塩
214 2,3−ジカルボキシピリジン グアニジウム塩
223 2,4−ジカルボキシピリジン ナトリウム塩
224 2,4−ジカルボキシピリジン グアニジウム塩
231 2,5−ジカルボキシピリジン リチウム塩
232 2,5−ジカルボキシピリジン カリウム塩
233 2,5−ジカルボキシピリジン ナトリウム塩
234 2,5−ジカルボキシピリジン グアニジウム塩
243 2,6−ジカルボキシピリジン ナトリウム塩
252 3−エトキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
253 3−エトキシカルボニルピコリン酸 ナトリウム塩
254 3−エトキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
261 3−ブトキシカルボニルピコリン酸 リチウム塩
262 3−ブトキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
264 3−ブトキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
274 3−イソプロポキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
282 3−メトキシピコリン酸 カリウム塩
283 3−メトキシピコリン酸 ナトリウム塩
284 3−メトキシピコリン酸 グアニジウム塩
292 3−エトキシピコリン酸 カリウム塩
293 3−エトキシピコリン酸 ナトリウム塩
294 3−エトキシピコリン酸 グアニジウム塩
303 3−ジメチルアミノピコリン酸 ナトリウム塩
314 3−シアノピコリン酸、グアニジウム塩
【0046】
322 5−メトキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
323 5−メトキシカルボニルピコリン酸 ナトリウム塩
324 5−メトキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
332 5−エトキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
333 5−エトキシカルボニルピコリン酸 ナトリウム塩
334 5−エトキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
343 5−プロポキシカルボニルピコリン酸 ナトリウム塩
344 5−プロポキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
351 5−イソプロポキシカルボニルピコリン酸 リチウム塩
352 5−イソプロポキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
354 5−イソプロポキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
362 5−ブトキシカルボニルピコリン酸 カリウム塩
363 5−ブトキシカルボニルピコリン酸 ナトリウム塩
364 5−ブトキシカルボニルピコリン酸 グアニジウム塩
373 5−クロロピコリン酸 ナトリウム塩
382 5−ブロモピコリン酸 カリウム塩
392 5−エトキシピコリン酸 カリウム塩
393 5−エトキシピコリン酸 ナトリウム塩
394 5−エトキシピコリン酸 グアニジウム塩
401 5−エチルピコリン酸 リチウム塩
402 5−エチルピコリン酸 カリウム塩
403 5−エチルピコリン酸 ナトリウム塩
404 5−エチルピコリン酸 グアニジウム塩
413 5−プロピルピコリン酸 ナトリウム塩
414 5−プロピルピコリン酸 グアニジウム塩
421 5−イソプロピルピコリン酸 リチウム塩
422 5−イソプロピルピコリン酸 カリウム塩
431 5−ブチルピコリン酸 リチウム塩
【0047】
432 5−ブチルピコリン酸 カリウム塩
433 5−ブチルピコリン酸 ナトリウム塩
434 5−ブチルピコリン酸 グアニジウム塩
442 5−イソブチルピコリン酸 カリウム塩
444 5−イソブチルピコリン酸 グアニジウム塩
452 5−tブチルピコリン酸 カリウム塩
453 5−tブチルピコリン酸 ナトリウム塩
463 6−エチルピコリン酸 ナトリウム塩
464 6−エチルピコリン酸 グアニジウム塩
472 6−アミノピコリン酸 カリウム塩
474 6−アミノピコリン酸 グアニジウム塩
482 3,5−ジエチルピコリン酸 カリウム塩
483 3,5−ジエチルピコリン酸 ナトリウム塩
484 3,5−ジエチルピコリン酸 グアニジウム塩
493 2,4,6−トリカルボキシピリジン ナトリウム塩
【0048】
【化9】
Figure 0003619298
【0049】
一般式(3)の化合物について説明する。
一般式(3)においてMはアルカリ金属以外の金属を表し、Wは酸化物イオン、水酸化物イオン、炭酸イオン、珪酸イオン、ほう酸イオンまたはアルミン酸イオンを表す。pとmとはそれぞれMとWとのおのおのの原子値が均衡を保てるような整数を表す。なおMは結晶水を有していても良く、また複塩を形成していても良い。
【0050】
Mとして好ましい金属は、亜鉛、チタン、アルミニウム、珪素、カルシウム、コバルト、銅、ニッケルおよびマンガンである。特に好ましい金属としては、用いる一般式(1)および(2)の化合物との錯体が可視吸収を持たないものが挙げられる。特に好ましい金属としては亜鉛が挙げられる。
【0051】
一般式(1)及び一般式(2)の化合物の使用量は、各々、0.15〜150ミリモル/mであることが好ましく、より好ましくは0.75〜30ミリモル/mである。一般式(3)の化合物の使用量は、1〜150ミリモル/mであることが好ましく、より好ましくは5〜30ミリモル/mである。
【0052】
画像形成材料に含有される塩基発生剤が、水に対する溶解性が高く、かつ拡散性の高い薬品の場合、本発明の方法は特に有効である。前述の例では一般式(1)、一般式(2)の化合物がこれに該当する。
【0053】
本発明の画像形成材料は熱現像色素拡散転写方式の写真システムに色素固定要素(受像材料)として用いるのに特に適している。
【0054】
このシステムに用いる熱現像感光材料は、基本的には支持体上に感光性ハロゲン化銀、色素供与性化合物(後述するように還元剤が兼ねる場合がある)、バインダーを有するものであり、さらに必要に応じて有機金属塩酸化剤などを含有させることができる。
これらの成分は同一の層に添加することが多いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。例えば着色している色素供与性化合物はハロゲン化銀乳剤の下層に存在させると感度の低下を防げる。還元剤は熱現像感光材料に内蔵するのが好ましいが、例えば後述する色素固定要素から拡散させるなどの方法で、外部から供給するようにしてもよい。
【0055】
イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用いて色度図内の広範囲の色を得るためには、少なくとも3層のそれぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハロゲン化銀乳剤層を組み合わせて用いる。例えば特開昭59−180,550号、同64−13,546号、62−253,159号、欧州特許公開第479,167号などに記載の青感層、緑感層、赤感層の3層の組み合わせ、緑感層、赤感層、赤外感光層の組み合わせ、赤感層、赤外感光層(I)、赤外感光層(II)の組み合わせなどがある。各感光層は通常型のカラー感光材料で知られている種々の配列順序を採ることができる。また、これらの各感光層は特開平1−252,954号記載の様に必要に応じて2層以上に分割してもよい。
熱現像感光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間および最上層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性層を設けても良く、支持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設けることができる。具体的には、上記特許記載のような層構成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り層、特開平1−167,838号、特開昭61−20,943号記載のような固体顔料を有する中間層、特開平1−120,553号、同5−34,884号、同2−64,634号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同5,139,919号、特開平2−235,044号記載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−249,245号記載のような還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた層などを設けることができる。
支持体が、酸化チタンなどの白色顔料を含有したポリエチレンラミネート紙である場合にはバック層は、帯電防止機能をもち表面抵抗率が1012Ω・cm以下になる様設計することが好ましい。
【0056】
本発明に使用し得るハロゲン化銀は、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀のいずれでもよい。
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型乳剤であっても、内部潜像型乳剤であってもよい。内部潜像型乳剤は造核剤や光カブラセとを組合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表層が異なる相を持ったいわゆるコアシェル乳剤であってもよく、またエピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていても良い。ハロゲン化銀乳剤は単分散でも多分散でもよく、特開平1−167,743号、同4−223,463号記載のように単分散乳剤を混合し、階調を調節する方法が好ましく用いられる。粒子サイズは0.1〜2μm、特に0.2〜1.5μmが好ましい。ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、8面体、14面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、高アスペクト比の平板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面のような結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合系その他のいずれでもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、同4,628,021号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する) No.17,029(1978年)、同 No.17,643(1978年12月)22〜23頁、同 No.18,716(1979年11月)、648頁、同 No.307,105(1989年11月)863〜865頁、特開昭62−253,159号、同64−13,546号、特開平2−236,546号、同3−110,555号、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」,フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emalusion, Focal Press,1964)等に記載されている方法を用いて調整したハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用できる。
【0057】
感光性ハロゲン化銀乳剤を調整する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈降法を用いても良い。沈降法が好ましく用いられる。
【0058】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウムなどの重金属を含有させても良い。これらの化合物は、単独で用いても良いしまた2種以上組み合わせて用いてもよい。添加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化銀1モルあたり10−9〜10−3モル程度である。また含有させる時には、粒子に均一に入れてもよいし、また粒子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開平2−236,542号、同1−116,637号、特願平4−126,629号等に記載の乳剤が好ましく用いられる。
【0059】
感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンニモア、4置換チオエーテル化合物や特公昭47−11,386号記載の有機チオエーテル誘導体または特開昭53−144,319号に記載されている含硫黄化合物等を用いることができる。
【0060】
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテ社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」,フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al.,Making and Coating Photographic Emalusion, Focal Press, 1964) 等の記載を参照すれば良い。すなわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましく用いられる。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロール ダブルジェット法も用いることができる。
【0061】
また、粒子成長を早めるために、添加する銀塩およびハロゲン塩の添加濃度、添加量、添加速度を上昇させてもよい(特開昭55−142,329号、同55−158,124号、米国特許第3650757号等)。
さらに反応液の攪拌方法は、公知のいずれの攪拌方法でもよい。またハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度、pHは目的に応じてどのように設定してもよい。好ましいpH範囲は2.2〜7.0、より好ましくは2.5〜6.0である。
【0062】
感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感されたハロゲン化銀乳剤である。本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法などのカルコゲン増感法、金、白金、パラジウムなどを用いる貴金属増感法および還元増感法などを単独または組合わせて用いることができる(例えば特開平3−110,555号、特願平4−75,798号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62−253,159号)。また後掲するかぶり防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45,833号、特開昭62−40,446号記載の方法を用いることができる。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀の塗設量は、銀換算1mgないし10g/mの範囲である。
【0063】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に緑感性、赤感性、赤外感性の感色性を持たせるためには、感光性ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。
具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180,550号、同64−13,546号、特開平5−45,828号、同5−45,834号などに記載の増感色素が挙げられる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合わせを用いてもよく、増感色素の組合わせは特に、強色増感や分光感度の波長調節の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでもよい(例えば米国特許第3,615,641号、特開昭63−23,145号等に記載のもの)。
これらの増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時もしくはその前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。またこれらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの有機溶媒の溶液、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の1液で添加すればよい。添加量は一般にハロゲン化銀1モル当り10−8ないし10−2モル程度である。
【0064】
このような工程で使用される添加剤および本発明に使用できる公知の写真用添加剤は、前記のRD No.17,643、同 No.18,716および同 No.307,105に記載されており、その該当箇所を下記の表にまとめる。
Figure 0003619298
【0065】
色素固定要素表面や感光材料の構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前記のリサーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質、その他動物性の蛋白質(例えば、卵白、卵黄、ガゼイン、ホエイ蛋白等)またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。特に、ポリビニルアルコールあるいはビニルアルコールとカルボン酸基を持つビニルモノマーとの共重合体およびその末端がアルキル変性したものは、乳化物およびラテックス等の分散物の安定性を改良する目的で好ましく用いられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245,260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良く、組み合わせて用いることも好ましい。また、ゼラチンをいっさい用いないいわゆるゼラチンフリーでバインダーを構成することも可能である。
【0066】
微量の水を供給して熱現像を行うシステムを採用する場合、上記の高吸水性ポリマーを用いることにより、水の吸収を迅速に行うことが可能となる。また高吸水性ポリマー、ポリビニールアルコール類あるいは特願平5−181,413号等の記載のように多糖類を色素固定層やその保護層に使用すると、転写後に色素が色素固定要素から他のものに再転写するのを防止することができる。
本発明において、バインダーの塗布量は1m当たり20g以下が好ましく、特に10g以下、更には7g以下にするのが適当でる。
【0067】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,500,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾール類、脂肪酸その他の化合物がある。また米国特許第4,775,613号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.05〜10g/m、好ましくは0.1〜4g/mが適当である。
【0068】
本発明に用いる還元剤としては、熱現像感光材料の分野で知られているものを用いることができる。また、後述する還元性を有する色素供与性化合物も含まれる(この場合、その他の還元剤を併用することもできる)。また、それ自身は還元性を持たないが現像過程で求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレカーサーも用いることができる。
本発明に用いられる還元剤の例としては、米国特許第4,500,626号の第49〜50欄、同4,839,272号、同4,330,617号、同4,590,152号、同5,017,454号、同5,139,919号、特開昭60−140,335号の第(17)〜(18)頁、同57−40,245号、同56−138,736号、同59−178,458号、同59−53,831号、同59−182,449号、同59−182,450号、同60−119,555号、同60−128,436号、同60−128,439号、同60−198,540号、同60−181,742号、同61−259,253号、同62−244,044号、同62−131,253号、同62−131,256号、同64−13,546号の第(40)〜(57)頁、特開平1−120,553号、欧州特許第220,746A2号の第78〜96頁等に記載の還元剤や還元剤プレカーサーがある。
米国特許第3,039,869号に開示されているもののような種々の還元剤の組合せも用いることができる。
【0069】
耐拡散性の還元剤を使用する場合には、耐拡散性還元剤と現像可能なハロゲン化銀との間の電子移動を促進するために、必要に応じて電子伝達剤および/または電子伝達剤プレカーサーを組合せて用いることができる。特に好ましくは、前記米国特許第5,139,919号、欧州特許公開第418,743号記載のものが用いられる。また特開平2−230,143号、同2−235,044号記載のように安定に層中に導入する方法が好ましく用いられる。
電子伝達剤またはそのプレカーサーは、前記した還元剤またはそのプレカーサーの中から選ぶことができる。電子伝達剤またはそのプレカーサーはその移動性が耐拡散性の還元剤(電子供与体)より大きいことが望ましい。特に有用な電子伝達剤は1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はアミノフェノール類である。
電子伝達剤と組合せて用いる耐拡散性の還元剤(電子供与体)としては、前記した還元剤の中で感光材料の層中の実質的に移動しないものであればよく、好ましくはハイドロキノン類、スルホンアミドフェノール類、スルホンアミドナフトール類、特開昭53−110827号、米国特許第5,032,487号、同5,026,634号、同4,839,272号に電子供与体として記載されている化合物および後述する耐拡散性で還元性を有する色素供与性化合物等が挙げられる。
また特開平3−160,443号記載のような電子供与体プレカーサーも好ましく用いられる。
さらに中間層や保護層に混色防止、色再現改善など種々の目的で上記還元剤を用いることができる。具体的には、欧州特許公開第524,649号、同357,040号、特開平4−249,245号、同2−46,450号、特開昭63−186,240号記載の還元剤が好ましく用いられる。また特公平3−63,733号、特開平1−150,135号、同2−46,450号、同2−64,634号、同3−43,735号、欧州特許公開第451,833号記載のような現像抑制剤放出還元剤化合物も用いられる。
本発明に於いては還元剤の総添加量は銀1モルに対して0.01〜20モル、特に好ましくは0.1〜10モルである。
【0070】
本発明で使用しうる色素供与性化合物の例としてはまず、酸化カップリング反応によって色素を形成する化合物(カプラー)を挙げることができる。このカプラーは4当量カプラーでも、2当量カプラーでもよい。また、耐拡散性基を脱離基に持ち、酸化カップリング反応により拡散性色素を形成する2当量カプラーも好ましい。この耐拡散性基はポリマー鎖をなしていてもよい。カラー現像薬およびカプラーの具体例はT.H.James著“ The Theory of the Photographic Process ” 第4版291〜334頁および354〜361頁、RD−307,105号の871頁、特開昭58−123,533号、同58−149,046号、同58−149,047号、同59−111,148号、同59−124,399号、同59−174,835号、同59−231,539号、同59−231,540号、同60−2,950号、同60−2,951号、同60−14,242号、同60−23,474号、同60−66,249号等に詳しく記載されている。
【0071】
また、別の色素供与性化合物の例として、画像状に拡散性色素を放出乃至拡散する機能を持つ化合物を挙げることができる。この型の化合物は次の一般式〔LI〕で表わすことができる。
((Dye)m −Y)n −Z 〔LI〕
Dyeは色素基、一時的に短波化された色素基または色素前駆体基を表わし、Yは単なる結合又は連結基を表わし、Zは画像状に潜像を有する感光性銀塩に対応又は逆対応して((Dye)m −Y)n −Zで表わされる化合物の拡散性に差を生じさせるか、または、(Dye)m −Yを放出し、放出された(Dye)m −Yと((Dye)m −Y)n −Zとの間に拡散性において差を生じさせるような性質を有する基を表わし、mは1〜5の整数を表し、nは1または2を表わし、m、nが共に1でない時、複数のDyeは同一でも異なっていてもよい。
一般式〔LI〕で表わされる色素供与性化合物の具体例としては下記の▲1▼〜▲5▼の化合物を挙げることができる。尚、下記の▲1▼〜▲3▼はハロゲン化銀の現像に逆対応して拡散性の色素像(ポジ色素像)を形成するものであり、▲4▼と▲5▼はハロゲン化銀の現像に対応して拡散性の色素像(ネガ色素像)を形成するものである。
【0072】
▲1▼米国特許第3,134,764号、同3,362,819号、同3,597,200号、同3,544,545号、同3,482,972号、特公平3−68,387号等に記載されている、ハイドロキノン系現像薬と色素成分を連結した色素現像薬。この色素現像薬はアルカリ性の環境下で拡散性であるが、ハロゲン化銀と反応すると非拡散性になるものである。
▲2▼米国特許第4,503,137号等に記されている通り、アルカリ性の環境下で拡散性色素を放出するがハロゲン化銀と反応するとその能力を失う非拡散性の化合物も使用できる。その例としては、米国特許第3,980,479号等に記載された分子内求核置換反応により拡散性色素を放出する化合物、米国特許第4,199,354号等に記載されたイソオキサゾロン環の分子内巻き換え反応により拡散性色素を放出する化合物が挙げられる。
【0073】
▲3▼米国特許第4,559,290号、欧州特許第220,746A2号、米国特許第4,783,396号、公開技報87−6,199、特開昭64−13,546号、特開平6−301,181号等に記されている通り、現像によって酸化されずに残った還元剤と反応して拡散性色素を放出する非拡散性の化合物も使用できる。
その例としては、米国特許第4,139,389号、同4,139,379号、特開昭59−185,333号、同57−84,453号等に記載されている還元された後に分子内の求核置換反応により拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,232,107号、特開昭59−101,649号、同61−88,257号、RD24,025(1984年)等に記載された還元された後に分子内の電子移動反応により拡散性の色素を放出する化合物、西独特許第3,008,588A号、特開昭56−142,530号、米国特許第4,343,893号、同4,619,884号等に記載されている還元後に一重結合が開裂して拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,450,223号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出するニトロ化合物、米国特許第4,609,610号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出する化合物等が挙げられる。
【0074】
また、より好ましいものとして、欧州特許第220,746A2号、公開技報87−6,199、米国特許第4,783,396号、特開昭63−201,653号、同63−201,654号、同64−13,546号等に記載された一分子内にN−X結合(Xは酸素、硫黄または窒素原子を表す)と電子吸引性基を有する化合物、特開平1−26,842号に記載された一分子内にSO−X(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,344号に記載された一分子内にPO−X結合(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,341号に記載された一分子内にC−X′結合(X′はXと同義か又は−SO−を表す)と電子吸引性基を有する化合物が挙げられる。また、特開平1−161,237号、同1−161,342号に記載されている電子受容性基と共役するπ結合により還元後に一重結合が開裂し拡散性色素を放出する化合物も利用できる。
この中でも特に一分子内にN−X結合と電子吸引性基を有する化合物が好ましい。
【0075】
▲4▼拡散性色素を脱離基に持つカプラーであって還元剤の酸化体との反応により拡散性色素を放出する化合物(DDRカプラー)。具体的には、英国特許第1,330,524号、特公昭48−39,165号、米国特許第3,443,940号、同4,474,867号、同4,483,914号等に記載されたものがある。
▲5▼ハロゲン化銀または有機銀塩に対して還元性であり、相手を還元すると拡散性の色素を放出する化合物(DRR化合物)。この化合物は他の還元剤を用いなくてもよいので、還元剤の酸化分解物による画像の汚染という問題がなく好ましい。その代表例は、米国特許第3,928,312号、同4,053,312号、同4,055,428号、同4,336,322号、特開昭59−65,839号、同59−69,839号、同53−3,819号、同51−104,343号、RD17,465号、米国特許第3,725,062号、同3,728,113号、同3,443,939号、特開昭58−116,537号、同57−179,840号、特開平6−301,179号、同6−301,180号、米国特許第4,500,626号等に記載されている。なかでも米国特許第4,500,626号の第22欄〜第44欄に記載の化合物や同第4,639,408号第37〜39欄に記載の化合物が有用である。その他、上記に述べたカプラーや一般式〔LI〕以外の色素供与性化合物として、有機銀塩と色素を結合した色素銀化合物(リサーチ・ディスクロージャー誌1978年5月号、54〜58頁等)、熱現像銀色素漂白法に用いられるアゾ色素(米国特許第4,235,957号、リサーチ・ディスクロージャー誌、1976年4月号、30〜32頁等)、ロイコ色素(米国特許第3,985,565号、同4,022,617号等)、窒素原子および硫黄原子またはセレン原子を含む複素環を有する耐拡散性色素供与化合物(特開昭59−180,548号等)なども使用できる。
【0076】
色素供与性化合物、耐拡散性還元剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特開昭63−306,439号、同62−8,145号、同62−30,247号、特公平3−62,256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用いることができる。またこれら色素供与性化合物、耐拡散性還元剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
高沸点有機溶媒の量は用いられる色素供与性化合物1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して1cc以下、更には0.5cc以下、特に0.3cc以下が適当である。特公昭51−39,853号、特開昭51−59,943号に記載されている重合物による分散法も使用できる。
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、前記のリサーチ・ディスクロージャー記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。また、いわゆる高分子分散剤を用いることもできる。
また、特願平5−204,325号、同6−19,247号、西独公開特許第1,932,299A号記載の燐酸エステル型界面活性剤も使用できる。
本発明においては感光材料に現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましくは用いられる具体的化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。
【0077】
色素の拡散転写により画像を形成するシステムにおいて、本発明の感光材料の構成層には不要な色素や着色物を固定化または無色化し、得られる画像の白地を改良する目的で種々の化合物を添加することができる。
具体的には、欧州公開特許第353,741号、同461,416号、特開昭63−163,345号、同203,158号記載の化合物を用いることができる。
【0078】
本発明の感光材料の構成層には色分離性改良や高感化などの目的で、種々の顔料や染料を用いることができる。
具体的には前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物や、欧州公開特許第479,167号、同502,508号、特開平1−167,838号、同343,355号、同2−168,252号、特開昭61−20,943号、特願平5−149,713号等に記載の化合物を用いることができる。
【0079】
色素の拡散転写により画像を形成するシステムにおいては感光材料と共に色素固定要素が用いられる。色素固定要素は感光材料とは別々の支持体上に別個に塗設される形態であっても、感光材料と同一の支持体上に塗設される形態であってもよい。感光材料と色素固定要素相互の関係、支持体との関係、白色反射層との関係は米国特許第4,500,626号の第57欄に記載の関係が本願にも適用できる。
本発明に好ましく用いられる色素固定要素は媒染剤とバインダーを含む層を少なくとも1層有する。媒染剤は写真分野で公知のものを用いることができ、その具体例としては米国特許第4,500,626号第58〜59欄、特開昭61−88,256号第(32)〜(41)頁や特開平1−161,236号第(4)〜(7)頁に記載の媒染剤、特開昭62−244043号、同62−244036号等に記載のものを挙げることができる。また、米国特許第4,463,079号に記載されているような色素受容性の高分子化合物を用いてもよい。
本発明の色素固定要素に用いられるバインダーは、前記の親水性バインダーが好ましい。さらに欧州公開特許第443,529号記載のようなカラギナン類、デキストランのような多糖類を併用することが好ましい。
色素固定要素には必要に応じて保護層、剥離層、カール防止層などの補助層を設けることができる。特に保護層を設けるのは有用である。
【0080】
感光材料および色素固定要素の構成層には、可塑剤、スベリ剤、カール防止剤あるいは感光材料と色素固定要素の剥離性改良剤として高沸点有機溶媒を用いることができる。具体的には、前記リサーチ・ディスクロージャーや特開昭62−245,253号などに記載されたものがある。
更に、上記の目的のために、各種のシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイルからジメチルシロキサンに各種の有機基を導入した変性シリコーンオイルまでの総てのシリコーンオイル)を使用できる。その例としては、信越シリコーン(株)発行の「変性シリコーンオイル」技術資料P6−18Bに記載の各種変性シリコーンオイル、特にカルボキシ変性シリコーン(商品名X−22−3710)などが有効である。
また特開昭62−215,953号、同63−46,449号に記載のシリコーンオイルも有効である。
【0081】
感光材料や色素固定要素には退色防止剤を用いてもよい。退色防止剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、あるいはある種の金属錯体がある。
酸化防止剤としては、例えばクロマン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物がある。また、特開昭61−159,644号記載の化合物も有効である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物(米国特許第3,533,794号など)、4−チアゾリドン系化合物(米国特許第3,352,681号など)、ベンゾフェノン系化合物(特開昭46−2,784号など)、その他特開昭54−48,535号、同62−136,641号、同61−88,256号等に記載の化合物がある。また、特開昭62−260,152号記載の紫外線吸収性ポリマーも有効である。
金属錯体としては、米国特許第4,241,155号、同4,245,018号第3〜36欄、同第4,254,195号第3〜8欄、特開昭62−174,741号、同61−88,256号(27)〜(29)頁、同63−199,248号、特開平1−75,568号、同1−74,272号等に記載されている化合物がある。
【0082】
色素固定要素に転写された色素の退色を防止するための退色防止剤は予め色素固定要素に含有させておいてもよいし、感光材料などの外部から色素固定要素に供給するようにしてもよい。
また、同様の目的で特開平6−118,592号記載の如く、媒染層に2種以上のポリマーを共存させ、ミクロな色素の存在場の親水性/疎水性のバランス、極性のコントロールを行うことも有効である。相分離するポリマーの組合せとして、例えばゼラチンとデキストラン、PVAとゼラチン、ポリイミダゾールとポリアクリル酸類、PEGとゼラチン等が有効である。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体はこれら同士を組み合わせて使用してもよい。
感光材料や色素固定要素には蛍光増白剤を用いてもよい。特に色素固定要素に蛍光増白剤を内蔵させるか、感光材料などの外部から供給させるのが好ましい。その例としては、 K. Veenkataraman 編「 The Chemistry of Synthetic Dyes」第V巻第8章、特開昭61−143752号などに記載されている化合物を挙げることができる。より具体的には、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリドン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。
蛍光増白剤は退色防止剤や紫外線吸収剤と組み合わせて用いることができる。これらの褪色防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤の具体例は、特開昭62−215,272号(125)〜(137)頁、特開平1−161,236号(17)〜(43)頁に記載されている。
【0083】
感光材料や色素固定要素の構成層に用いる硬膜剤としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第4,678、739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116,655号、同62−245,261号、同61−18,942号、特開平4−218,044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルテヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234,157号などに記載の化合物)が挙げられる。
これらの硬膜剤は、塗布されたゼラチン1gあたり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また添加する層は、感光材料や色素固定要素の構成層のいずれの層でも良いし、2層以上に分割して添加しても良い。ゼラチンが無い場合は、硬膜剤の反応する高分子化合物1gあたり0.001〜1gが用いられる。
【0084】
感光材料や色素固定要素の構成層には、種々のカブリ防止剤または写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13,546号(7)〜(9)頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174,747号、同62−239,148号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−178,650号、RD17,643(1978年)(24)〜(25)頁等記載の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、銀1モルあたり5×10−6〜1×10−1モルが好ましく、さらに1×10−5〜1×10−2モルが好ましく用いられる。
【0085】
感光材料や色素固定要素の構成層には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進、分散物安定化等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は前記リサーチ・ディスクロージャー、特開昭62−173,463号、同62−183,457号等に記載されている。また、分散物安定化の目的では、オリゴマー型の高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
感光材料や色素固定要素の構成層には、スベリ性改良、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。
【0086】
感光材料や色素固定要素にはマット剤を用いることができる。マット剤としては二酸化ケイ素、ポリオレフィンまたはポリメタクリレートなどの特開昭61−88256号(29)頁記載の化合物の他に、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物が使用できる。
その他、感光材料および色素固定要素の構成層には、熱溶剤、消泡剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよい。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256号第(26)〜(32)頁、特開平3−11,338号、特公平2−51,496号等に記載されている。
【0087】
本発明において感光材料及び/又は色素固定要素には画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の促進、色素供与性物質からの色素の生成または色素の分解あるいは拡散性色素の放出等の反応の促進および、感光材料層から色素固定層への色素の移動の促進等の機能があり、物理化学的な機能からは塩基または塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンと相互作用を持つ化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合せ持つのが常である。これらの詳細については米国特許第4,678,739号第38〜40欄に記載されている。
塩基プレカーサーとしては、熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位またはベックマン転位によりアミン類を放出する化合物などがある。その具体例は米国特許第4,514,493号、同4,657,848号等に記載されている。
【0088】
少量の水の存在下に熱現像と色素の転写を同時に行うシステムにおいては、塩基及び/又は塩基プレカーサーは色素固定要素に含有させるのが感光材料の保存性を高める意味で好ましい。
本発明では前記のとおり、欧州特許公開210,660号、米国特許第4,740,445号に記載されている難溶性金属化合物(一般式(3)の化合物)およびこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という。一般式(1)又は(2)の化合物)の組合せを使用する。この難溶性金属化合物と錯形成化合物は、感光材料と色素固定要素に別々に添加する。
【0089】
本発明において感光材料及び/又は色素固定要素には、現像時の処理温度および処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。
ここでいう現像停止剤とは、適性現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起す親電子化合物、または含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体等が挙げられる。更に詳しくは特開昭62−253,159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0090】
本発明において感光材料や色素固定要素の支持体としては、処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)またはこれらのフィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させたもの、更にポリプロピレンなどから作られるフィルム法合成紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、コーティッドペーパー(特にキャストコート紙)、金属、布類、ガラス類、セラミック等が用いられる。
これらは、単独で用いることもできるし、ポリエチレン、PET、ポリエステル、ポリスチレン等の合成高分子で片面または両面をラミネートされた支持体を用いることもできる。
この他に、特開昭62−253,159号(29)〜(31)頁、特開平1−161,236号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848号、特開平2−22,651号、同3−56,955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。
これらの支持体の表面に親水性バインダーとアルミナゾルや酸化スズのような半導性金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤を塗布してもよい。
また、塗布液の濡れ性改善、塗布膜と支持体の密着改善の目的で、ゼラチン、PVA等のポリマーをこれらの支持体の表面に予め塗布することも好ましい。
【0091】
支持体の厚みはその使用目的に応じ様々であるが、40μm以上、400μm以下が通常用いられる。ただし、2つ以上の別々の支持体上に塗布された要素を用い画像を形成する方法の場合、最終的にその要素上の画像を用いない側の支持体は、前述の範囲よりも薄い支持体が好ましく用いられる。
【0092】
特に耐熱性の要求が厳しい場合、感光材料用の支持体として特開平6−41281号、同6−43581号、同6−51426号、同6−51437号、同6−51442号、特願平4−251845号、同4−231825号、同4−253545号、同4−258828号、同4−240122号、同4−221538号、同5−21625号、同5−15926号、同4−331928号、同5−199704号、同6−13455号、同6−14666号記載の支持体が好ましく用いることができる。
【0093】
感光材料に画像を露光し記録する方法としては、例えばカメラなどを用いて風景や人物などを直接撮影する方法、プリンターや引伸機などを用いてリバーサルフィルムやネガフィルムを通して露光する方法、複写機の露光装置などを用いて、原画をスリットなどを通して走査露光する方法、画像情報を電気信号を経由して発光ダイオード、各種レーザーなどを発光させ露光する方法、画像情報をCRT、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置に出力し、直接または光学系を介して露光する方法などがある。
【0094】
感光材料へ画像を記録する光源としては、上記のように、自然光、タングステンランプ、発光ダイオード、レーザー光源、CRT光源などの米国特許第4,500,626号第56欄、特開平2−53,378号、同2−54,672号記載の光源や露光方法を用いることができる。
また、最近進展が著しい青色光発光ダイオードを用い、緑色光発光ダイオード赤色光発光ダイオードと組み合わせた光源を用いることができる。特に、特願平6−40164号、同6−40012号、同6−42732号、同6−86919号、同6−86920号、同6−93421号、同6−94820号、同6−96628号、同6−149609号記載の露光装置を好ましく用いることができる。
【0095】
また、非線形光学材料とレーザー光等のコヒーレントな光源を組み合わせた波長変換素子を用いて画像露光することもできる。ここで非線形光学材料とは、レーザー光のような強い光電界をあたえたときに現れる分極と電界との間の非線形性を発現可能な材料であり、ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム(KDP)、沃素酸リチウム、BaBなどに代表される無機化合物や、尿素誘導体、ニトロアニリン誘導体、例えば3−メチル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)のようなニトロピリジン−N−オキシド誘導体、特開昭61−53462号、同62−210432号に記載の化合物が好ましく用いられる。波長変換素子の形態としては、単結晶光導波路型、ファイバー型等が知られておりそのいずれもが有用である。
また、前記の画像情報は、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等から得られる画像信号、日本テレビジョン信号規格(NTSC)に代表されるテレビ信号、原画をスキャナーなど多数の画素に分割して得た画像信号、CG、CADで代表されるコンピューターを用いて作成された画像信号を利用できる。
【0096】
本発明の感光材料および/または色素固定要素は、種々の用途に用いることができる。例えば、熱現像転写後の色素固定要素をポジ型またはネガ型のカラープリント材料として用いることができる。また黒色の色素供与物質やイエロー、マゼンタ、シアンの各色素供与物質を混合して用いる感光材料を使用することにより、白黒のポジ型またはネガ型のプリント材料やリス用感材の如き印刷用材料またはレントゲン写真用材料として使用できる。特に撮影材料からプリントする材料として用いる場合、特開平6−163450号、同4−338944号の如く情報記録能を持つ撮影材料を用いて、本発明の感光材料に露光し熱現像転写により本発明の色素固定要素にプリントを作製することが好ましい。このプリント方法として、特開平5−241251号、同5−19364号、同5−19363号記載の方法を用いることができる。
また、熱現像転写後の感光材料を適宜脱銀処理することにより、撮影材料として用いることができる。その場合、支持体として例えば、特開平4−124645号、同5−40321号、同6−35092号、特願平5−58221号、同5−106979号記載の磁性体層を有する支持体を用い、撮影情報などを記録することが好ましい。
本発明の感光材料および/または色素固定要素は、加熱現像および色素の拡散転写のための加熱手段として導電性の発熱体層を有する形態であっても良い。この場合の発熱要素には、特開昭61−145,544号等に記載のものを利用できる。
熱現像行程での加熱温度は、約50℃〜250℃であるが、特に約60℃〜180℃が有用である。色素の拡散転写行程は熱現像と同時に行っても良いし、熱現像行程終了後に行っても良い。後者の場合、転写行程での加熱温度は、熱現像行程における温度から室温の範囲で転写可能であるが、特に50℃以上で、熱現像行程の温度より約10℃低い温度までが好ましい。
【0097】
色素の移動は熱のみによっても生じるが、色素移動を促進するために溶媒を用いてもよい。また、米国特許第4,704,345号、同4,740,445号、特開昭61−238,056号等に記載されている、少量の溶媒(特に水)の存在下で加熱し現像と転写を同時または連続して行う方法も有用である。この方式においては、加熱温度は50℃以上で溶媒の沸点以下が好ましい、例えば溶媒が水の場合は50℃〜100℃が好ましい。
現像の促進および/または色素の拡散転写のために用いる溶媒の例としては、水、無機のアルカリ金属塩や有機の塩基を含む塩基性の水溶液(これらの塩基としては画像形成促進剤の項で記載したものが用いられる)、低沸点溶媒または低沸点溶媒と水もしくは前記塩基性水溶液との混合溶液が挙げられる。また界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯形成化合物、防黴剤、防菌剤を溶媒中に含ませてもよい。
これらの熱現像、拡散転写の行程で用いられる溶媒としては水が好ましく用いられるが、水としては一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウオーター等を用いることができる。また本発明の感光材料および受像要素を用いる熱現像装置においては水を使い切りで使用しても良いし、循環し繰り返し使用してもよい。後者の場合材料から溶出した成分を含む水を使用することになる。また特開昭63−144,354号、同63−144,355号、同62−38,460号、特開平3−210,555号等に記載の装置や水を用いても良い。
【0098】
これらの溶媒は感光材料、色素固定要素またはその両者に付与する方法を用いることができる。その使用量は全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量以下でよい。
この水を付与する方法としては、例えば特開昭62−253,159号(5)頁、特開昭63−85,544号等に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイクロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め感光材料もしくは色素固定要素またはその両者に内蔵させて用いることもできる。
付与する水の温度は前記特開昭63−85,544号等に記載のように30℃〜60℃であれば良い。
【0099】
また色素移動を促進するために、常温で固体であり高温では溶解する親水性熱溶剤を感光材料および/または色素固定要素に内蔵させる方式も採用できる。内蔵させる層は感光性ハロゲン化銀層、中間層、保護層、色素固定層いずれでも良いが、色素固定層および/またはその隣接層が好ましい。
親水性熱溶剤の例としては、尿素類、ピリジン類、アミド類、スルホンアミド類、イミド類、アルコール類、オキシム類その他の複素環類がある。
【0100】
現像および/または転写行程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
感光材料と色素固定要素を重ね合わせる方法は特開昭63−253,159号、特開昭61−147,244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0101】
本発明の写真要素の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75,247号、同59−177,547号、同59−181,353号、同60−18,951号、実開昭62−25,944号、特願平4−277,517号、同4−243,072号、同4−244,693号、同6−164421号、同6−164422号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。また市販の装置としては富士写真フイルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタット200、同ピクトロスタット300、同ピクトログラフィー3000、同ピクトログラフィー2000などが使用できる。
【0102】
【実施例】
以下実施例をもって本発明の説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1の構成のポリエチレンラミネート紙の高密度ポリエチレン側には何も塗布せず、低密度ポリエチレン側に表3、表4で示す構成の表面塗布を行い画像形成材料G101、M201を作成した。この2種の画像形成材料はアンチカール層を有しない、光沢面とマット面の受像材料である。さらに、表1の構成のポリエチレンラミネート紙の高密度ポリエチレン側に表2第1層で示される内容の層を単独で塗布し、低密度ポリエチレン側に表3、表4で示す構成の表面塗布を行い画像形成材料G102、M202を作成した。この2種の画像形成材料はそれぞれ標準的なアンチカール層を持つ光沢面とマット面の受像材料である。これら4種の受像材料は、小量の水と共に感光材料と貼り合わせることにより塩基を発生し、熱現像の結果感光材料から放出、拡散してくる色素を媒染することにより、固定する能力を有するものである。
【0103】
また表1の表面PE層、パルプ層、裏面PE層を、透明で110μの厚さを有するPETに変更し、片面には何も塗布せずに、もう片方の面に表5で示す構成の表面塗布を行った画像形成材料T301を作成した。この画像形成材料はアンチカール層を有しない透明な受像材料である。さらに、片面に表2第1層で示される構成の裏面塗布を行い、表5で示す構成の表面塗布を行った画像形成材料T302を作成した。この画像形成材料は標準的なアンチカール層を有する透明な受像材料である。この受像材料も小量の水と共に感光材料と貼り合わせることにより塩基を発生し、熱現像の結果感光材料から放出、拡散してくる色素を媒染することにより固定する能力を有するものである。
【0104】
これに対しG101、M201、T301の裏面を表2に示す構成に変更した受像材料G111、M211、T311を作成した。さらに、表2第2層の塗布量をG111、M211、T311の0.5倍、0.25倍にしたサンプル、G112、M212、T312、G113、M213、T313を作成した。これらの受像材料は、25℃の水に1分間浸漬した場合の裏面の含水量が裏面の親水性ポリマー1g当たり1g以下になるように調整された本発明の画像形成材料である。
【0105】
【表1】
Figure 0003619298
【0106】
【表2】
Figure 0003619298
【0107】
【表3】
Figure 0003619298
【0108】
【表4】
Figure 0003619298
【0109】
【表5】
Figure 0003619298
【0110】
【化10】
Figure 0003619298
【0111】
【化11】
Figure 0003619298
【0112】
【化12】
Figure 0003619298
【0113】
【化13】
Figure 0003619298
【0114】
【化14】
Figure 0003619298
【0115】
【化15】
Figure 0003619298
【0116】
【化16】
Figure 0003619298
【0117】
【化17】
Figure 0003619298
【0118】
【化18】
Figure 0003619298
【0119】
【化19】
Figure 0003619298
【0120】
【化20】
Figure 0003619298
【0121】
1.生接着後の濃度変化の測定
以上15種の画像形成材料のうちG101、G102、G111〜G113、およびM101、M102、M111〜M113の10種受像材料について、各2枚づづを30℃70%の環境下に2時間放置した後、表面の約半分が裏面と接触するように重ね合わせた。30℃70%を保ったまま3日間放置後、画像形成材料を引き剥がした。引き剥がした画像形成材料のうち、表面の約半分が裏面と接触していた方の画像形成材料を、富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタットドナーフィルムPS−DSの名称で発売されている熱現像感光材料と組み合わせ、同富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタット330の名称で発売されているカラーコピー機で未露光のまま水温40℃、現像温度80℃、現像時間17秒で熱現像処理を行った。
【0122】
同様に以上15種の画像形成材料のうちT101、T102、T111〜T113の5種受像材料について、各2枚づつを30℃70%の環境下に2時間放置した後、表面の約半分が裏面と接触するように重ね合わせた。30℃70%を保ったまま3日間放置後、画像形成材料を引き剥がした。引き剥がした画像形成材料のうち、表面の約半分が裏面と接触していた方の画像形成材料を、富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタットドナーフィルムPS−DHの名称で発売されている熱現像感光材料と組み合わせ、同富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタット330の名称で発売されているカラーコピー機で未露光のまま水温40℃、現像温度80℃、現像時間30秒で熱現像処理を行った。
【0123】
ピクトロスタット330より出力された15種の黒ベタ画像の裏面接触部分と、非接触部分の画像濃度をX−Rite310を用いて、G101、G102、G111〜G113、M201、M202、M211〜M213は反射でビジュアル濃度を、T301、T302、T311〜T313は透過でビジュアル濃度を測定した。この結果を表7に示す。
【0124】
2.カーリングの評価
G101、G102、G111〜G113、およびM101、M102、M111〜M113の10種受像材料を、富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタットドナーフィルムPS−DSの名称で発売されている熱現像感光材料と組み合わせ、同富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタット330の名称で発売されているカラーコピー機で未露光のまま水温40℃、現像温度80℃、現像時間17秒で熱現像処理を行った。この結果A4サイズの黒ベタ画像が得られた。
【0125】
T101、T102、T111〜T113の5種受像材料を、富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタットドナーフィルムPS−DHの名称で発売されている熱現像感光材料と組み合わせ、同富士写真フイルム株式会社よりピクトロスタット330の名称で発売されているカラーコピー機で未露光のまま水温40℃、現像温度80℃、現像時間30秒で熱現像処理を行った。この結果A4サイズの黒ベタ画像が得られた。
【0126】
ピクトロスタット330より出力された15種の黒ベタ画像を25℃20%の環境下において、画像面を上に向けて2時間放置し、4隅のカール高さの平均を求めた。この結果も表6に示す。
この結果より本発明の画像形成材料は比較の画像形成材料に比べ裏面接触部分の画像濃度の低下が軽減されていることが判る。
【0127】
3.25℃の水に1分間浸漬後の裏面含水量の測定
G101、G102、G111〜G113、M101、M102、M111〜M113、およびT301、T302、T311〜T313の15種受像材料の表面をアクチナーゼ0.2%水溶液によって剥離したサンプルを25℃の水に1分間浸漬し、プレスローラーで余剰水分を除去したのち試料の重量(W1)を測定した。次いでこのサンプルを5Torr、105℃の条件下で24時間絶乾した後再びサンプルの重量(W2)を測定した。W1、W2、試料面積(Sm)、裏面ゼラチン塗布量(Xg/m)より次式にて含水量を求めた。
含水量=(W1−W2)/(S×X)
この結果も表6に併せて示す。
【0128】
【表6】
Figure 0003619298
【0129】
【表7】
Figure 0003619298
【0130】
これらの結果より、25℃の水に1分間浸漬後の裏面の含水量が、裏面の親水性ポリマー1gあたり1g以下の本発明のサンプルは、カール性能が良好であり、かつ画像形成材料の表面と裏面が接触する形態で保存されても画像濃度の低下がほとんど見られないことが判る。

Claims (4)

  1. 支持体の一方の面に塩基発生剤を含有する非感光性の層を有する画像形成材料であって、支持体に対して、該塩基発生剤含有層面と反対側の面に少なくとも一層の親水性コロイドをバインダーとする非感光性親水性コロイド層を有し、且つ該非感光性親水性コロイド層より支持体から遠い位置に、疎水性ポリマーをバインダーとする疎水性ポリマー層と含フッ素界面活性剤を含有する表面層を有し、該塩基発生剤含有層面と反対側の面の親水性コロイドの総量と、該塩基発生剤含有面の親水性コロイドの総量の重量比が0.3以上であり、且つ該塩基発生剤含有層面と反対側の面の含水量が、25℃の水に1分間浸漬した場合、親水性コロイド1gあたり1g以下であることを特徴とする画像形成材料。
  2. 該塩基発生剤含有層面と反対側の面の含水量が、25℃の水に1分間浸漬した場合、親水性コロイド1gあたり0.2g以下であることを特徴とする請求項1の画像形成材料。
  3. 前記疎水性ポリマー層が前記含フッ素界面活性剤を含有する表面層と同一の層であることを特徴とする請求項1または2の画像形成材料。
  4. 熱現像色素拡散転写方式の写真システムに用いられる、請求項1、2または3の画像形成材料。
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