JP3619170B2 - 鉄骨建入直し調整治具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を接合するために用いられる鉄骨建入直し調整治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建設現場において、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を接合する時には、まず、クレーンによって上側の鉄骨柱を吊り上げて、下側の鉄骨柱の上方に配置した後、調整治具を用いて、これら下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱とを連結させた後、その下側の鉄骨柱の上端部と上側の鉄骨柱の下端部とを溶接または高力ボルトによって、接合するようにしている。
【0003】
このような調整治具としては、たとえば、特開平8−189201号公報に記載されるものが知られている。すなわち、特開平8−189201号公報に記載される調整治具は、エレクションピースの側面を遊動自在に挟持できるように構成されており、この挟持部分に、その先端がエレクションピースの側面に対接可能な水平位置調整ボルトが螺合されている。そして、この調整治具では、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を連結する時に、この水平位置調整ボルトを進退させてエレクションピースの側面を調整しながら押圧することにより、下側の鉄骨柱に対する上側の鉄骨柱の水平位置を調整するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際の現場作業では、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられる場合においては、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、水平方向の位置ずれが生じたりあるいは下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまう場合がある。
【0005】
そのような場合において、特開平8−189201号公報に記載される調整治具では、水平位置調整ボルトの進退によってエレクションピースを押圧するため、エレクションピースに対してあまり大きな押圧力を加えることができず、そのような変形応力に起因する位置ずれなどを調整することができないという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成によって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の位置調整を、たとえ横梁などが組み付けられる場合であっても、確実に行なうことのできる鉄骨建入直し調整治具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、エレクションピースが取り付けられている下側の鉄骨柱に、エレクションピースが取り付けられている上側の鉄骨柱を接合するために用いられる鉄骨建入直し調整治具であって、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な上側取付部と、前記下側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な下側取付部と、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースおよび前記下側の鉄骨柱のエレクションピースの少なくともいずれかを、流体の圧力により、その厚さ方向に押圧するための厚さ方向押圧手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によると、上側取付部を上側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けるとともに、下側取付部を下側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けて、厚さ方向押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースおよび下側の鉄骨柱のエレクションピースの少なくともいずれかを、その厚さ方向に調整しながら押圧すれば、下側の鉄骨柱に対する上側の鉄骨柱の目地合わせを、簡易かつ確実に行なうことができる。しかも、厚さ方向押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、目地の位置ずれが生じた場合であっても、その目地の位置ずれを、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記厚さ方向押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、厚さ方向押圧手段を簡易に装備することができるとともに、不要時には取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記厚さ方向押圧手段は、前記エレクションピースに対して、少なくともいずれか一方側に設けられ、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によると、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの上端部を、流体の圧力により、下端部に向けて押圧するための下方押圧手段を備えていることを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、上側取付部を上側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けるとともに、下側取付部を下側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けて、下方押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースの上端部を、下端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱を下側の鉄骨柱に対して密着させて連結することができ、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を良好な姿勢で接合することができる。しかも、下方押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまっても、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記下方押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、下方押圧手段を簡易に装備することができるとともに、不要時には取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記下方押圧手段は、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によると、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記下側取付部と前記上側取付部との間に設けられ、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの下端部を、流体の圧力により、上端部に向けて押圧するための上方押圧手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によると、上方押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースの下端部を、上端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱の下側の鉄骨柱に対する傾きを修正することができる。しかも、上方押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱の傾きが変化しても、その傾きの変化を、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の鉄骨建入直し調整治具の一実施形態としての調整治具を示す斜視図、図2は、その正面図、図3は、その左側面図、図8は、その使用状態における正断面図である。これら図1ないし図3および図8を参照して、調整治具を説明する。
【0022】
図1ないし図3において、この調整治具1は、治具本体としての本体ユニット2、右側押圧ユニット3、左側押圧ユニット4および上側押圧ユニット5を備えている。本体ユニット2は、本体フレーム6と、上方押圧手段としての第1ジャッキ装置7とを備えている。
【0023】
本体フレーム6は、互いに所定の間隔を隔てて対向する金属製の右側ベースプレート8および左側ベースプレート9とこれら右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の上端部を連結する上側ベースプレート10とが一体として形成される下方が開放される略逆U字板状のベースフレーム11と、右側ベースプレート8と左側ベースプレート9との間を前面側において連結する第1連結部12、第2連絡部13および第3連絡部14とを備えている。
【0024】
そして、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における上部が、後述する上側エレクションピース75に取付可能な上側取付部15とされ、また、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における下部が、後述する下側エレクションピース74に取付可能な下側取付部16とされている。
【0025】
また、右側ベースプレート8における上側取付部15には、図8に示すように、後述する固定ボルト61を螺着するための第1螺着孔17と、その第1螺着孔17の下方に形成され、後述する上側挿通ボルト30を螺着するための第2螺着孔18と、後述する右側ジャッキ装置36の押圧筒体47を挿通するための第1挿通孔19とが形成されている。
【0026】
また、右側ベースプレート8における下側取付部16には、後述する固定ボルト62を螺着するための第3螺着孔20と、その第3螺着孔20の下方に形成され、後述する下側挿通ボルト31を螺着するための第4螺着孔21とが形成されている。
【0027】
また、左側ベースプレート9における上側取付部15には、第1螺着孔17と対向し、後述する固定ボルト61を螺着するための第5螺着孔22と、その第5螺着孔22の下方に形成され、後述する上側挿通ボルト30を螺着するために第2螺着孔18と対向する第6螺着孔23と、第1挿通孔19と対向し、後述する左側ジャッキ装置64の押圧筒体47を挿通するための第2挿通孔24とが形成されている。
【0028】
また、左側ベースプレート9における下側取付部16には、第3螺着孔20と対向し、後述する固定ボルト62を螺着するために第7螺着孔25と、その第7螺着孔25の下方に形成され、後述する下側挿通ボルト31を螺着するために第4螺着孔21と対向する第8螺着孔26と、その第8螺着孔26の前方に形成され、後述する下側押圧ボルト32を螺着するための第9螺着孔27とが形成されている。
【0029】
また、上側ベースプレート10には、後述する上側ジャッキ装置66の押圧筒体47を挿通するための第3挿通孔28が形成されている。
【0030】
また、図1に示すように、第1連結部12は、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における上側取付部15、より具体的には、第1挿通孔19および第2挿通孔24が形成される部分において、略コ字状に前方に向かって突出するように形成されており、その前面部には、後述する上側押圧ボルト33を螺着するための第10螺着孔29が形成されている。
【0031】
また、第2連結部13および第3連結部14は、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における下側取付部16において、互いに所定の間隔を隔てて上下方向に平行する状態で、略コ字状に前方に向かって突出するように形成されている。
【0032】
そして、図8に示すように、右側ベースプレート8の第2螺着孔18および左側ベースプレート9の第6螺着孔23には、上側エレクションピース75の上側挿通孔76に挿通される上側挿通ボルト30が螺着されるとともに、右側ベースプレート8の第4螺着孔21および左側ベースプレート9の第8螺着孔26には、下側エレクションピース74の下側挿通孔77に挿通される下側挿通ボルト31が螺着される。
【0033】
また、左側ベースプレート9の第9螺着孔27には、下側エレクションピース74を水平方向であって下側の鉄骨柱72の周方向に押圧するための下側押圧ボルト32が螺着されるとともに、図1に示すように、第1連結部12の第10螺着孔29には、上側エレクションピース75を水平方向であって上側の鉄骨柱73の周方向に直交する方向に押圧するための上側押圧ボルト33が螺着される。
【0034】
また、下側ジャッキ装置7は、上側取付部15と下側取付部16との間に設けられ、次に述べる右側ジャッキ装置36と実質的に同一の構成とされている。ただし、下側ジャッキ装置7は、第2連結部13の上部に配置され、ベースフレーム11に螺着される略U字状のホルダ部材34を介して、ベースフレーム11に取り付けられており、また、後述する押圧筒体47に代えて、上側エレクションピース75の下端部を受けるために、円板状に形成される断面略コ字状の受け部材35が設けられている。
【0035】
なお、下側ジャッキ装置7は、このような取り付けによって、後述するように、その受け部材35が上側エレクションピース75の下端部に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0036】
右側押圧ユニット3は、厚さ方向押圧手段としての右側ジャッキ装置36と、その右側ジャッキ装置36をベースフレーム11に取り付けるための右側ホルダ部材37とを備えている。すなわち、右側ホルダ部材37は、図2および図8に示すように、略ハット板状をなし、2つの平板部38および39と、それら平板部38および39の間において略コ字状に形成される保持部40とが一体に形成されている。平板部38および39には、後述する固定ボルト61および62が挿通される端部挿通孔41および42がそれぞれ形成されるとともに、保持部40には、後述するジャッキ固定ボルト60が挿通される中央部挿通孔43が形成されている。
【0037】
また、右側ジャッキ装置36は、1つのユニットとして構成され、図4に示すように、ジャッキ本体44、操作部材としてのプランジャ部材45、ピストン部材46、押圧部材としての押圧筒体47およびばね48などを備えている。
【0038】
ジャッキ本体44は、略L字円筒形状をなし、プランジャ部材45が収容されるプランジャ筒部49と、そのプランジャ筒部49から側方に延び、ピストン部材46が収容されるピストン筒部50とが一体に形成されており、プランジャ筒部49内とピストン筒部50内とは、連通路51によって連通されている。また、このジャッキ本体44におけるピストン筒部50の底部は、中央部挿通孔43に対向し、後述するジャッキ固定ボルト60が当接されている。
【0039】
プランジャ部材45は、軸方向に沿ってねじ山が形成されるプランジャ軸52と、そのプランジャ軸52の一端に設けられるボルト頭部53と、その他端に設けられるプランジャ54とからなり、プランジャ54がシールされた状態でプランジャ筒部49内に挿入されるとともに、プランジャ軸52が、プランジャ筒部49の遊端部に設けられているシールナット55に螺進および螺退可能に螺着されている。
【0040】
また、ピストン部材46は、大径部56と小径軸部58とが一体に形成されており、大径部56がシールされるとともに、小径軸部58のまわりにばね48が配置された状態で、ピストン筒部50内に収容され、その状態において、ピストン筒部50の先端に、小径軸部58を進退自在に挿通する蓋57が設けられている。また、小径軸部58の先端部には、円筒状に形成される押圧筒体47がボルトを介して取り付けられている。
【0041】
そして、プランジャ筒部49内、ピストン筒部50内および連通路51内には、オイルが充填されており、後述するレンチ78(図7参照)によってボルト頭部53をプランジャ軸52の螺進方向に回動させれば、油圧により、ピストン部材46が移動して押圧筒体47が進出し、一方、レンチ78によってボルト頭部53をプランジャ軸52の螺退方向に回動させれば、ばね48の付勢力により、ピストン部材69が逆方向に移動して、押圧筒体47が退避される。そのため、この右側ジャッキ装置36では、ボルト頭部53を、レンチ78によって正逆方向に回転させることによって、押圧筒体47を進退させるように構成されている。
【0042】
そして、右側ホルダ部材37は、図2および図8に示すように、右側ジャッキ装置36を保持部40に受け入れた状態で、かつ、右側ベースプレート8の第1挿通孔19に、右側ジャッキ装置36の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、固定ボルト61および62が、端部挿通孔41および42を介して右側ベースプレート8の第1螺着孔17および第3螺着孔20にそれぞれ螺着されることにより、右側ベースプレート8に対して着脱自在に取り付けられている。そして、右側ジャッキ装置36は、保持部40に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト60が、中央部挿通孔43を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、右側ホルダ部材37に支持されている。なお、上側の平板部38と右側ベースプレート8とは、後述する上側ホルダ部材67を介して取り付けられるとともに、下側の平板部39と右側ベースプレート8とは、その上側ホルダ部材67の厚みに対応するカラー部材63を介して取り付けられている。
【0043】
なお、右側ジャッキ装置36は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の一方の面に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0044】
また、左側押圧ユニット4は、厚さ方向押圧手段としての左側ジャッキ装置64と、その左側ジャッキ装置64をベースフレーム11に取り付けるための左側ホルダ部材65とを備えている。左側ジャッキ装置64および左側ホルダ部材65は、右側ジャッキ装置36および右側ホルダ部材37と同一の構成とされており、右側押圧ユニット3と同様にして、左側ベースプレート9に取り付けられている。すなわち、左側ホルダ部材65は、左側ジャッキ装置64を保持部40に受け入れた状態で、かつ、左側ベースプレート9の第2挿通孔24に、左側ジャッキ装置64の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、固定ボルト61および62が、端部挿通孔41および42を介して左側ベースプレート9の第5螺着孔22および第7螺着孔25にそれぞれ螺着されることにより、左側ベースプレート9に着脱自在に取り付けられている。そして、左側ジャッキ装置64は、左側ホルダ部材65の保持部40に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト60が、中央部挿通孔43を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、左側ホルダ部材37に支持されている。なお、上側の平板部38と左側ベースプレート9とは、後述する上側ホルダ部材67を介して取り付けられるとともに、下側の平板部39と左側ベースプレート9とは、その上側ホルダ部材67の厚みに対応するカラー部材63を介して取り付けられている。
【0045】
なお、左側ジャッキ装置64は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の他方の面に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。これによって、これら右側ジャッキ装置36と左側ジャッキ装置64とは、後述するように、上側エレクションピース75を挟んでその両側にそれぞれ配置される。
【0046】
上側押圧ユニット5は、上側ジャッキ装置66と、その上側ジャッキ装置66をベースフレーム11に取り付けるための上側ホルダ部材67とを備えている。すなわち、上側ホルダ部材67は、下方が開放される略コ字板状をなし、その上部には、後述するジャッキ固定ボルト71が挿通される上部挿通孔68が形成されるとともに、その両下端部には、各固定ボルト61がそれぞれ挿通される下部挿通孔69および70がそれぞれ形成されている。なお、上側ホルダ部材67の両側部には、重量を軽減するための略矩形状の開口部79がそれぞれ形成されている。
【0047】
そして、上側ジャッキ装置66もまた、右側ジャッキ装置64と同一の構成とされており、上側ホルダ部材67によって、上側ベースプレート10に取り付けられている。すなわち、上側ホルダ部材67は、上側ジャッキ装置66を受け入れた状態で、かつ、上側ベースプレート10の第3挿通孔28に、上側ジャッキ装置66の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、一方の下端部を、右側ホルダ部材37の上側の平板部38と右側ベースプレート8との間に配置させるとともに、他方の下端部を左側ホルダ部材65の上側の平板部38と左側ベースプレート9との間に配置させて、下部挿通孔69および70に、右側ベースプレート8の第1螺着孔17および左側ベースプレート9の第5螺着孔22にそれぞれ螺着される各固定ボルト61が挿通されることにより、上側ベースプレート10に着脱自在に取り付けられている。そして、上側ジャッキ装置66は、上側ホルダ部材67に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト71が、上部挿通孔68を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、上側ホルダ部材67に支持されている。
【0048】
なお、上側ジャッキ装置66は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の上端部に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0049】
また、この調整治具1は、上側取付部15における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間は、下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間よりも幅広に形成されており、これによって、後述するように、下側エレクションピース74に対する下側取付部16の確実な取り付けを図るとともに、上側エレクションピース75に対する各押圧筒体47の水平方向の押圧による位置調整を容易にしている。
【0050】
また、この調整治具1では、下側取付部16における互いに対向する右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間が、その互いに対向する対向距離が下端縁部に向かって拡がるように形成されており、これによって、下側エレクションピース74を良好に誘い込むことができるようにしている。
【0051】
図5は、この調整治具を上側エレクションピースに連結した状態を示す正面図、図6は、この調整治具を上側エレクションピースおよび下側エレクションピースに連結した状態を示す正面図、図7は、調整治具の使用状態を示す斜視図である。
【0052】
次に、図5ないし図8を参照して、この調整治具1を用いて、下側の鉄骨柱72の上に、上側の鉄骨柱73を連結する方法について説明する。
【0053】
下側の鉄骨柱72は、既にその下端部が他の鉄骨柱に接合された状態にある鉄骨柱であって、たとえば、図6および図7に示すように、その断面形状が略4角形状をなし、その上端部および下端部において、外周面の各辺の中央部に、4つの略矩形板状の下側エレクションピース74が、この下側の鉄骨柱72の周方向に対する直交方向において、それぞれ溶接固定されている。また、各下側エレクションピース74の中央部には、図8に示すように、クレーンの吊り具(図示せず)を挿通するために用いられる下側挿通孔77が、厚さ方向を貫通するようにして、それぞれ形成されている。
【0054】
また、上側の鉄骨柱73は、これから、その下端部を下側の鉄骨柱72の上端部に接合しようとする鉄骨柱であって、たとえば、図6および図7に示すように、その断面形状が略4角形状をなし、その上端部および下端部において、外周面の各辺の中央部に、4つの略矩形板状の上側エレクションピース75が、この上側の鉄骨柱73の周方向に対する直交方向において、それぞれ溶接固定されている。また、各上側エレクションピース75の中央部には、図8に示すように、クレーンの吊り具(図示せず)を挿通するために用いられる上側挿通孔76が、厚さ方向を貫通するようにして、それぞれ形成されている。
【0055】
そして、この方法では、まず、上側の鉄骨柱73の下端部に設けられている4つの上側エレクションピース75のそれぞれに、4つの調整治具1をそれぞれ連結する。各調整治具1を各上側エレクションピース75に連結するには、図5に示すように、調整治具1の上側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に上側エレクションピース75を挿入して挟んだ後、図8が参照されるように、この上側エレクションピース75の上側挿通孔76と、右側ベースプレート8の第2螺着孔18および左側ベースプレート9の第6螺着孔23とを位置合わせして、上側挿通ボルト30を、上側挿通孔76に挿通するとともに、これら第2螺着孔18および第6螺着孔23に螺着させる。これによって、この調整治具1が、上側エレクションピース75に連結される。
【0056】
その後、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより(図7参照)、押圧筒体47を進退させて、上側エレクションピース75の両面を、適宜、その厚さ方向に押圧するとともに、上側ジャッキ装置66のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより(図7参照)、押圧筒体47を進退させて、上側エレクションピース75の上端部を、適宜、その下端部に向けて押圧し、さらには、上側押圧ボルト33を螺進および螺退させることによって、上側エレクションピース75の側端部を、適宜、その上側エレクションピース75の遊端側から基部側に向けて押圧することにより、上側の鉄骨柱73に対する調整治具1の連結姿勢を調整する。より具体的には、クレーンよって吊り上げられた状態において、この調整治具1の下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に、下側エレクションピース74が円滑に挿入されるように、調整治具1の連結姿勢を調整する。そうすれば、この調整治具1を下側の鉄骨柱72と連結する時に、効率的な作業を達成することができる。
【0057】
そして、このようにして、上側の鉄骨柱73に対する調整治具1の連結姿勢が調整された後に、この上側の鉄骨柱73をクレーンによって吊り上げて、下側の鉄骨柱72の上方において、各上側エレクションピース75と各下側エレクションピース74とが対向するように配置する。この上側の鉄骨柱73のクレーンによる吊り上げは、公知の方法で行なうことができ、たとえば、上側の鉄骨柱73の上端部に設けられる各上側エレクションピース75の上側挿通孔76に、吊り具を挿入して吊り上げればよい。
【0058】
そして、下側の鉄骨柱72の上端部に設けられている4つの下側エレクションピース74のそれぞれに、4つの調整治具1をそれぞれ連結する。各調整治具1を各下側エレクションピース74に連結するには、まず、図5および図6に示すように、クレーンによって上側の鉄骨柱73を徐々に下げ、調整治具1の下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に下側エレクションピース74を挿入して挟むようにする。
【0059】
この挿入においては、上記したように、この調整治具1が、予め右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に下側エレクションピース74を円滑に挿入し得る姿勢として調整されており、さらに、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の下端部の間が、その互いに対向する対向距離が下端縁部に向かって拡がるように形成されているので、下側エレクションピース74を良好に誘い込んで、下側取付部16において簡易かつ円滑に挟むことができる。そのため、従来では、この調整治具1を誘導するための作業者が4人程度必要とされていたが、この調整治具1を用いれば、2人程度でも良好な作業が可能であり、効率的な作業を達成することができる。
【0060】
次いで、図8に示すように、下側エレクションピース74の下側挿通孔77と、右側ベースプレート8の第4螺着孔21および左側ベースプレート9の第8螺着孔26とを位置合わせして、下側挿通ボルト31を、下側挿通孔77に挿通するとともに、これら第4螺着孔21および第8螺着孔26に螺着させる。これによって、この調整治具1が、下側エレクションピース74に連結される。
【0061】
次いで、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を水平方向において修正し、両者の目地合わせを行なう。上側の鉄骨柱73における水平方向の修正は、次のようにして行なうことができる。すなわち、図8に示すように、まず、左側ベースプレート9の第9螺着孔27に螺着される下側押圧ボルト32を螺進させて、下側エレクションピース74を、右側ベースプレート8に向けて押圧することにより、下側取付部16を下側エレクションピース74に固定する。
【0062】
次いで、図7に示すように、右側ジャッキ装置36のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を水平方向に進退させて、上側エレクションピース75の一方の面を、適宜、その厚さ方向に調整しながら押圧するとともに、左側ジャッキ装置64のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を水平方向に進退させて、上側エレクションピース75の他方の面を、適宜、その厚さ方向に調整しながら押圧することにより、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する水平方向における周方向の位置調整を行なう。すなわち、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64の各押圧筒体47によって上側エレクションピース75の両面を押圧すれば、上側の鉄骨柱73は、その押圧力が作用する方向に移動されるので、互いに反対側から対向する各押圧筒体47を適宜調整して進退させることによって、上側の鉄骨柱73を、その周方向における正逆方向に移動させることができ、これによって、水平方向における周方向の位置を微調整しながら簡易かつ確実に行なうことができる。
【0063】
また、このような、水平方向における周方向の位置調整とともに、上側押圧ボルト33を螺進および螺退させることによって、上側エレクションピース75の側端部を、適宜、その上側エレクションピース75の遊端側から基部側に向けて押圧することにより、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する水平方向における周方向と直交する方向の位置調整を行なう。すなわち、上側押圧ボルト33によって上側エレクションピース75を遊端側から基部側に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱73は、その押圧力が作用する方向に移動されるので、上側押圧ボルト33を適宜調整して締め付けることによって、上側の鉄骨柱73を、その周方向と直交する方向に移動させることができ、これによって、水平方向における周方向と直交する方向の位置調整を行なうことができる。
【0064】
このようにして、上側の鉄骨柱73における水平方向の修正を行なえば、上側の鉄骨柱73を、下側の鉄骨柱72に、その水平方向における周方向およびその直交方向での姿勢を修正して連結することができるので、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73を良好な姿勢で接合することができる。
【0065】
次いで、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を鉛直方向において修正する。上側の鉄骨柱73における鉛直方向の修正は、図7に示すように、下側ジャッキ装置7のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、受け部材35を昇降させて、上側エレクションピース75の下端部を、適宜、持ち上げ、または、持ち下げることにより、上側エレクションピース75を適正位置で支持することにより行なうことができる。このようにして、上側エレクションピース75を、適正位置で支持すれば、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する上下方向での傾きを微調整しながら修正することができるので、これによって、上側の鉄骨柱73の鉛直方向の姿勢を確実に修正して、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73をより一層良好な姿勢で接合することができる。
【0066】
さらに、このような水平方向および鉛直方向の位置調整とともに、上側ジャッキ装置66のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を上下方向に進退させて、上側エレクションピース75の上端部を、適宜、その下端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱73を下側の鉄骨柱72に対して押圧することができる。そのため、上側の鉄骨柱73を、下側の鉄骨柱72に対して密着させて連結することができ、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73を良好な姿勢で接合することができる。
【0067】
なお、上記の説明においては、上側エレクションピース75の水平方向の位置調整を行なった後、上側エレクションピース75の鉛直方向の位置調整を行なうようにしたが、その順序はいずれが先でもよく、上側エレクションピース75の鉛直方向の位置調整を行なった後、上側エレクションピース75の水平方向の位置調整を行なうようにしてもよく、さらには、これら水平方向の位置調整と鉛直方向の位置調整とを並行して行なってもよい。
【0068】
そして、このようにして、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を修正した後に、下側の鉄骨柱72の上端部と、上側の鉄骨柱73の下端部とを溶接または高力ボルトによって接合する。なお、この方法においては、各調整治具1によって、上側の鉄骨柱73と下側の鉄骨柱72とが連結されていれば、その後、適宜の時点において、クレーンの吊り具を、上側の鉄骨柱73の上端部に設けられる各上側エレクションピース75から取り外すようにすればよい。
【0069】
そして、この調整治具1では、このような下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢の修正作業、すなわち、水平方向および鉛直方向の位置調整作業において、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64、上側ジャッキ装置66および下側ジャッキ装置7の各プランジャ部材45が、図7に示すように、すべて、同一方向、すなわち、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置されているので、作業者は、それらのすべてのプランジャ部材45を、最も操作しやすい前方から、レンチ78によって操作することができるので、作業性の格段の向上を図ることができる。
【0070】
しかも、この調整治具1では、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64、上側ジャッキ装置66および下側ジャッキ装置7は、すべて油圧式のジャッキ装置であって、油圧によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、図9に示すように、下側の鉄骨柱72に接合された上側の鉄骨柱73に、横梁80などが組み付けられた場合において、その横梁80の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との間の接合部分81に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、目地の位置ずれが生じた場合には、その目地の位置ずれを、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64を用いて大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0071】
また、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73が浮き上がってしまっても、上側ジャッキ装置66を用いて、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0072】
また、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73の傾きが変化しても、その傾きの変化を、下側ジャッキ装置7を用いて、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0073】
したがって、この調整治具1を用いれば、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の接合の前後を問わず、大きな押圧力によって、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73を良好な姿勢に調整することができる。
【0074】
また、この調整治具1では、上側ジャッキ装置66は、上側ホルダ部材67によってベースフレーム11に着脱自在に装着されているので、この上側ジャッキ装置66を簡易に装備することができるとともに、不要時には、上側ホルダ部材67をベースフレーム11から取り外すことにより、たとえば、図10に示すように取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。なお、図10において、上側ベースプレート10の第3挿通孔28には、ねじ山が形成され、上側エレクションピース75の上端部を下端部に向けて押圧するための押圧ボルト82が螺着されるとともに、右側ホルダ部材37の平板部38と右側ベースプレート8との間、および、左側ホルダ部材65の平板部38と左側ベースプレート9との間には、カラー部材63が介在されている。
【0075】
また、図示しないが、この調整治具1では、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64も、右側ホルダ部材37および左側ホルダ部材65によってベースフレーム11に着脱自在に装着されているので、これらの右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64を簡易に装備することができるとともに、不要時には、たとえば、それらの両方または片方のみを取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0076】
なお、以上の説明においては、調整治具1に、当初から、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64および上側ジャッキ装置66を装備している態様として説明したが、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73を接合する時には、たとえば、押圧ボルトなどの他の押圧手段によって、水平方向および鉛直方向の位置調整を行ない、その後に、これら右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64および上側ジャッキ装置66の少なくともいずれかを、その目的および用途に応じて、適宜、装着(後付け)するようにしてもよい。
【0077】
また、以上の説明においては、下側の鉄骨柱72および上側の鉄骨柱73は、その断面形状が略4角形状をなし、その外周面の各辺の中央部に形成される各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75のそれぞれに、各調整治具1を連結するようにしたが、下側の鉄骨柱72および上側の鉄骨柱73の形状は、何ら限定されず、たとえば、断面多角形状、断面円形状などであってもよく、また、各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75の数も限定されず、さらには、各調整治具1を、各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75に必ず対応させて連結する必要もない。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、目地の位置ずれが生じた場合であっても、その目地の位置ずれを、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0079】
請求項2に記載の発明によれば、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0080】
請求項3に記載の発明によれば、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0081】
請求項4に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまっても、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0082】
請求項5に記載の発明によれば、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0083】
請求項6に記載の発明によれば、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0084】
請求項7に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱の傾きが変化しても、その傾きの変化を、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄骨建入直し調整治具の一実施形態としての調整治具を示す斜視図である。
【図2】図1に示す調整治具の正面図である。
【図3】図1に示す調整治具の左側面図である。
【図4】図1に示す調整治具の右側ジャッキ装置の平断面図である。
【図5】調整治具を上側エレクションピースに連結した状態を示す正面図である。
【図6】調整治具を上側エレクションピースおよび下側エレクションピースに連結した状態を示す正面図である。
【図7】調整治具の使用状態を示す斜視図である。
【図8】図1に示す調整治具の使用状態における正断面図である。
【図9】上側の鉄骨柱に横梁が組み付けられた状態を示す概略説明図である。
【図10】本発明の鉄骨建入直し調整治具の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 調整治具
7 下側ジャッキ装置
15 上側取付部
16 下側取付部
36 右側ジャッキ装置
45 プランジャ部材
47 押圧筒体
64 左側ジャッキ装置
66 上側ジャッキ装置
72 下側の鉄骨柱
73 上側の鉄骨柱
74 下側エレクションピース
75 上側エレクションピース
【発明の属する技術分野】
本発明は、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を接合するために用いられる鉄骨建入直し調整治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建設現場において、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を接合する時には、まず、クレーンによって上側の鉄骨柱を吊り上げて、下側の鉄骨柱の上方に配置した後、調整治具を用いて、これら下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱とを連結させた後、その下側の鉄骨柱の上端部と上側の鉄骨柱の下端部とを溶接または高力ボルトによって、接合するようにしている。
【0003】
このような調整治具としては、たとえば、特開平8−189201号公報に記載されるものが知られている。すなわち、特開平8−189201号公報に記載される調整治具は、エレクションピースの側面を遊動自在に挟持できるように構成されており、この挟持部分に、その先端がエレクションピースの側面に対接可能な水平位置調整ボルトが螺合されている。そして、この調整治具では、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を連結する時に、この水平位置調整ボルトを進退させてエレクションピースの側面を調整しながら押圧することにより、下側の鉄骨柱に対する上側の鉄骨柱の水平位置を調整するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際の現場作業では、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられる場合においては、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、水平方向の位置ずれが生じたりあるいは下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまう場合がある。
【0005】
そのような場合において、特開平8−189201号公報に記載される調整治具では、水平位置調整ボルトの進退によってエレクションピースを押圧するため、エレクションピースに対してあまり大きな押圧力を加えることができず、そのような変形応力に起因する位置ずれなどを調整することができないという不具合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成によって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の位置調整を、たとえ横梁などが組み付けられる場合であっても、確実に行なうことのできる鉄骨建入直し調整治具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、エレクションピースが取り付けられている下側の鉄骨柱に、エレクションピースが取り付けられている上側の鉄骨柱を接合するために用いられる鉄骨建入直し調整治具であって、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な上側取付部と、前記下側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な下側取付部と、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースおよび前記下側の鉄骨柱のエレクションピースの少なくともいずれかを、流体の圧力により、その厚さ方向に押圧するための厚さ方向押圧手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によると、上側取付部を上側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けるとともに、下側取付部を下側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けて、厚さ方向押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースおよび下側の鉄骨柱のエレクションピースの少なくともいずれかを、その厚さ方向に調整しながら押圧すれば、下側の鉄骨柱に対する上側の鉄骨柱の目地合わせを、簡易かつ確実に行なうことができる。しかも、厚さ方向押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、目地の位置ずれが生じた場合であっても、その目地の位置ずれを、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記厚さ方向押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によると、厚さ方向押圧手段を簡易に装備することができるとともに、不要時には取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記厚さ方向押圧手段は、前記エレクションピースに対して、少なくともいずれか一方側に設けられ、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によると、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの上端部を、流体の圧力により、下端部に向けて押圧するための下方押圧手段を備えていることを特徴としている。
【0014】
このような構成によると、上側取付部を上側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けるとともに、下側取付部を下側の鉄骨柱のエレクションピースに取り付けて、下方押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースの上端部を、下端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱を下側の鉄骨柱に対して密着させて連結することができ、下側の鉄骨柱に上側の鉄骨柱を良好な姿勢で接合することができる。しかも、下方押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまっても、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記下方押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、下方押圧手段を簡易に装備することができるとともに、不要時には取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記下方押圧手段は、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴としている。
【0018】
このような構成によると、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明において、前記下側取付部と前記上側取付部との間に設けられ、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの下端部を、流体の圧力により、上端部に向けて押圧するための上方押圧手段を備えていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によると、上方押圧手段によって、上側の鉄骨柱のエレクションピースの下端部を、上端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱の下側の鉄骨柱に対する傾きを修正することができる。しかも、上方押圧手段は、流体の圧力によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、下側の鉄骨柱に接合された上側の鉄骨柱に、横梁などが組み付けられた場合において、その横梁の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱の傾きが変化しても、その傾きの変化を、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の鉄骨建入直し調整治具の一実施形態としての調整治具を示す斜視図、図2は、その正面図、図3は、その左側面図、図8は、その使用状態における正断面図である。これら図1ないし図3および図8を参照して、調整治具を説明する。
【0022】
図1ないし図3において、この調整治具1は、治具本体としての本体ユニット2、右側押圧ユニット3、左側押圧ユニット4および上側押圧ユニット5を備えている。本体ユニット2は、本体フレーム6と、上方押圧手段としての第1ジャッキ装置7とを備えている。
【0023】
本体フレーム6は、互いに所定の間隔を隔てて対向する金属製の右側ベースプレート8および左側ベースプレート9とこれら右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の上端部を連結する上側ベースプレート10とが一体として形成される下方が開放される略逆U字板状のベースフレーム11と、右側ベースプレート8と左側ベースプレート9との間を前面側において連結する第1連結部12、第2連絡部13および第3連絡部14とを備えている。
【0024】
そして、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における上部が、後述する上側エレクションピース75に取付可能な上側取付部15とされ、また、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における下部が、後述する下側エレクションピース74に取付可能な下側取付部16とされている。
【0025】
また、右側ベースプレート8における上側取付部15には、図8に示すように、後述する固定ボルト61を螺着するための第1螺着孔17と、その第1螺着孔17の下方に形成され、後述する上側挿通ボルト30を螺着するための第2螺着孔18と、後述する右側ジャッキ装置36の押圧筒体47を挿通するための第1挿通孔19とが形成されている。
【0026】
また、右側ベースプレート8における下側取付部16には、後述する固定ボルト62を螺着するための第3螺着孔20と、その第3螺着孔20の下方に形成され、後述する下側挿通ボルト31を螺着するための第4螺着孔21とが形成されている。
【0027】
また、左側ベースプレート9における上側取付部15には、第1螺着孔17と対向し、後述する固定ボルト61を螺着するための第5螺着孔22と、その第5螺着孔22の下方に形成され、後述する上側挿通ボルト30を螺着するために第2螺着孔18と対向する第6螺着孔23と、第1挿通孔19と対向し、後述する左側ジャッキ装置64の押圧筒体47を挿通するための第2挿通孔24とが形成されている。
【0028】
また、左側ベースプレート9における下側取付部16には、第3螺着孔20と対向し、後述する固定ボルト62を螺着するために第7螺着孔25と、その第7螺着孔25の下方に形成され、後述する下側挿通ボルト31を螺着するために第4螺着孔21と対向する第8螺着孔26と、その第8螺着孔26の前方に形成され、後述する下側押圧ボルト32を螺着するための第9螺着孔27とが形成されている。
【0029】
また、上側ベースプレート10には、後述する上側ジャッキ装置66の押圧筒体47を挿通するための第3挿通孔28が形成されている。
【0030】
また、図1に示すように、第1連結部12は、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における上側取付部15、より具体的には、第1挿通孔19および第2挿通孔24が形成される部分において、略コ字状に前方に向かって突出するように形成されており、その前面部には、後述する上側押圧ボルト33を螺着するための第10螺着孔29が形成されている。
【0031】
また、第2連結部13および第3連結部14は、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9における下側取付部16において、互いに所定の間隔を隔てて上下方向に平行する状態で、略コ字状に前方に向かって突出するように形成されている。
【0032】
そして、図8に示すように、右側ベースプレート8の第2螺着孔18および左側ベースプレート9の第6螺着孔23には、上側エレクションピース75の上側挿通孔76に挿通される上側挿通ボルト30が螺着されるとともに、右側ベースプレート8の第4螺着孔21および左側ベースプレート9の第8螺着孔26には、下側エレクションピース74の下側挿通孔77に挿通される下側挿通ボルト31が螺着される。
【0033】
また、左側ベースプレート9の第9螺着孔27には、下側エレクションピース74を水平方向であって下側の鉄骨柱72の周方向に押圧するための下側押圧ボルト32が螺着されるとともに、図1に示すように、第1連結部12の第10螺着孔29には、上側エレクションピース75を水平方向であって上側の鉄骨柱73の周方向に直交する方向に押圧するための上側押圧ボルト33が螺着される。
【0034】
また、下側ジャッキ装置7は、上側取付部15と下側取付部16との間に設けられ、次に述べる右側ジャッキ装置36と実質的に同一の構成とされている。ただし、下側ジャッキ装置7は、第2連結部13の上部に配置され、ベースフレーム11に螺着される略U字状のホルダ部材34を介して、ベースフレーム11に取り付けられており、また、後述する押圧筒体47に代えて、上側エレクションピース75の下端部を受けるために、円板状に形成される断面略コ字状の受け部材35が設けられている。
【0035】
なお、下側ジャッキ装置7は、このような取り付けによって、後述するように、その受け部材35が上側エレクションピース75の下端部に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0036】
右側押圧ユニット3は、厚さ方向押圧手段としての右側ジャッキ装置36と、その右側ジャッキ装置36をベースフレーム11に取り付けるための右側ホルダ部材37とを備えている。すなわち、右側ホルダ部材37は、図2および図8に示すように、略ハット板状をなし、2つの平板部38および39と、それら平板部38および39の間において略コ字状に形成される保持部40とが一体に形成されている。平板部38および39には、後述する固定ボルト61および62が挿通される端部挿通孔41および42がそれぞれ形成されるとともに、保持部40には、後述するジャッキ固定ボルト60が挿通される中央部挿通孔43が形成されている。
【0037】
また、右側ジャッキ装置36は、1つのユニットとして構成され、図4に示すように、ジャッキ本体44、操作部材としてのプランジャ部材45、ピストン部材46、押圧部材としての押圧筒体47およびばね48などを備えている。
【0038】
ジャッキ本体44は、略L字円筒形状をなし、プランジャ部材45が収容されるプランジャ筒部49と、そのプランジャ筒部49から側方に延び、ピストン部材46が収容されるピストン筒部50とが一体に形成されており、プランジャ筒部49内とピストン筒部50内とは、連通路51によって連通されている。また、このジャッキ本体44におけるピストン筒部50の底部は、中央部挿通孔43に対向し、後述するジャッキ固定ボルト60が当接されている。
【0039】
プランジャ部材45は、軸方向に沿ってねじ山が形成されるプランジャ軸52と、そのプランジャ軸52の一端に設けられるボルト頭部53と、その他端に設けられるプランジャ54とからなり、プランジャ54がシールされた状態でプランジャ筒部49内に挿入されるとともに、プランジャ軸52が、プランジャ筒部49の遊端部に設けられているシールナット55に螺進および螺退可能に螺着されている。
【0040】
また、ピストン部材46は、大径部56と小径軸部58とが一体に形成されており、大径部56がシールされるとともに、小径軸部58のまわりにばね48が配置された状態で、ピストン筒部50内に収容され、その状態において、ピストン筒部50の先端に、小径軸部58を進退自在に挿通する蓋57が設けられている。また、小径軸部58の先端部には、円筒状に形成される押圧筒体47がボルトを介して取り付けられている。
【0041】
そして、プランジャ筒部49内、ピストン筒部50内および連通路51内には、オイルが充填されており、後述するレンチ78(図7参照)によってボルト頭部53をプランジャ軸52の螺進方向に回動させれば、油圧により、ピストン部材46が移動して押圧筒体47が進出し、一方、レンチ78によってボルト頭部53をプランジャ軸52の螺退方向に回動させれば、ばね48の付勢力により、ピストン部材69が逆方向に移動して、押圧筒体47が退避される。そのため、この右側ジャッキ装置36では、ボルト頭部53を、レンチ78によって正逆方向に回転させることによって、押圧筒体47を進退させるように構成されている。
【0042】
そして、右側ホルダ部材37は、図2および図8に示すように、右側ジャッキ装置36を保持部40に受け入れた状態で、かつ、右側ベースプレート8の第1挿通孔19に、右側ジャッキ装置36の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、固定ボルト61および62が、端部挿通孔41および42を介して右側ベースプレート8の第1螺着孔17および第3螺着孔20にそれぞれ螺着されることにより、右側ベースプレート8に対して着脱自在に取り付けられている。そして、右側ジャッキ装置36は、保持部40に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト60が、中央部挿通孔43を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、右側ホルダ部材37に支持されている。なお、上側の平板部38と右側ベースプレート8とは、後述する上側ホルダ部材67を介して取り付けられるとともに、下側の平板部39と右側ベースプレート8とは、その上側ホルダ部材67の厚みに対応するカラー部材63を介して取り付けられている。
【0043】
なお、右側ジャッキ装置36は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の一方の面に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0044】
また、左側押圧ユニット4は、厚さ方向押圧手段としての左側ジャッキ装置64と、その左側ジャッキ装置64をベースフレーム11に取り付けるための左側ホルダ部材65とを備えている。左側ジャッキ装置64および左側ホルダ部材65は、右側ジャッキ装置36および右側ホルダ部材37と同一の構成とされており、右側押圧ユニット3と同様にして、左側ベースプレート9に取り付けられている。すなわち、左側ホルダ部材65は、左側ジャッキ装置64を保持部40に受け入れた状態で、かつ、左側ベースプレート9の第2挿通孔24に、左側ジャッキ装置64の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、固定ボルト61および62が、端部挿通孔41および42を介して左側ベースプレート9の第5螺着孔22および第7螺着孔25にそれぞれ螺着されることにより、左側ベースプレート9に着脱自在に取り付けられている。そして、左側ジャッキ装置64は、左側ホルダ部材65の保持部40に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト60が、中央部挿通孔43を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、左側ホルダ部材37に支持されている。なお、上側の平板部38と左側ベースプレート9とは、後述する上側ホルダ部材67を介して取り付けられるとともに、下側の平板部39と左側ベースプレート9とは、その上側ホルダ部材67の厚みに対応するカラー部材63を介して取り付けられている。
【0045】
なお、左側ジャッキ装置64は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の他方の面に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。これによって、これら右側ジャッキ装置36と左側ジャッキ装置64とは、後述するように、上側エレクションピース75を挟んでその両側にそれぞれ配置される。
【0046】
上側押圧ユニット5は、上側ジャッキ装置66と、その上側ジャッキ装置66をベースフレーム11に取り付けるための上側ホルダ部材67とを備えている。すなわち、上側ホルダ部材67は、下方が開放される略コ字板状をなし、その上部には、後述するジャッキ固定ボルト71が挿通される上部挿通孔68が形成されるとともに、その両下端部には、各固定ボルト61がそれぞれ挿通される下部挿通孔69および70がそれぞれ形成されている。なお、上側ホルダ部材67の両側部には、重量を軽減するための略矩形状の開口部79がそれぞれ形成されている。
【0047】
そして、上側ジャッキ装置66もまた、右側ジャッキ装置64と同一の構成とされており、上側ホルダ部材67によって、上側ベースプレート10に取り付けられている。すなわち、上側ホルダ部材67は、上側ジャッキ装置66を受け入れた状態で、かつ、上側ベースプレート10の第3挿通孔28に、上側ジャッキ装置66の押圧筒体47を進退自在に挿通させた状態で、一方の下端部を、右側ホルダ部材37の上側の平板部38と右側ベースプレート8との間に配置させるとともに、他方の下端部を左側ホルダ部材65の上側の平板部38と左側ベースプレート9との間に配置させて、下部挿通孔69および70に、右側ベースプレート8の第1螺着孔17および左側ベースプレート9の第5螺着孔22にそれぞれ螺着される各固定ボルト61が挿通されることにより、上側ベースプレート10に着脱自在に取り付けられている。そして、上側ジャッキ装置66は、上側ホルダ部材67に受け入れられた状態で、ジャッキ固定ボルト71が、上部挿通孔68を介して、ジャッキ本体44に当接されることにより、上側ホルダ部材67に支持されている。
【0048】
なお、上側ジャッキ装置66は、このような取り付けによって、後述するように、その押圧筒体47が上側エレクションピース75の上端部に進退自在に対向するとともに、プランジャ部材45が、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置される。
【0049】
また、この調整治具1は、上側取付部15における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間は、下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間よりも幅広に形成されており、これによって、後述するように、下側エレクションピース74に対する下側取付部16の確実な取り付けを図るとともに、上側エレクションピース75に対する各押圧筒体47の水平方向の押圧による位置調整を容易にしている。
【0050】
また、この調整治具1では、下側取付部16における互いに対向する右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間が、その互いに対向する対向距離が下端縁部に向かって拡がるように形成されており、これによって、下側エレクションピース74を良好に誘い込むことができるようにしている。
【0051】
図5は、この調整治具を上側エレクションピースに連結した状態を示す正面図、図6は、この調整治具を上側エレクションピースおよび下側エレクションピースに連結した状態を示す正面図、図7は、調整治具の使用状態を示す斜視図である。
【0052】
次に、図5ないし図8を参照して、この調整治具1を用いて、下側の鉄骨柱72の上に、上側の鉄骨柱73を連結する方法について説明する。
【0053】
下側の鉄骨柱72は、既にその下端部が他の鉄骨柱に接合された状態にある鉄骨柱であって、たとえば、図6および図7に示すように、その断面形状が略4角形状をなし、その上端部および下端部において、外周面の各辺の中央部に、4つの略矩形板状の下側エレクションピース74が、この下側の鉄骨柱72の周方向に対する直交方向において、それぞれ溶接固定されている。また、各下側エレクションピース74の中央部には、図8に示すように、クレーンの吊り具(図示せず)を挿通するために用いられる下側挿通孔77が、厚さ方向を貫通するようにして、それぞれ形成されている。
【0054】
また、上側の鉄骨柱73は、これから、その下端部を下側の鉄骨柱72の上端部に接合しようとする鉄骨柱であって、たとえば、図6および図7に示すように、その断面形状が略4角形状をなし、その上端部および下端部において、外周面の各辺の中央部に、4つの略矩形板状の上側エレクションピース75が、この上側の鉄骨柱73の周方向に対する直交方向において、それぞれ溶接固定されている。また、各上側エレクションピース75の中央部には、図8に示すように、クレーンの吊り具(図示せず)を挿通するために用いられる上側挿通孔76が、厚さ方向を貫通するようにして、それぞれ形成されている。
【0055】
そして、この方法では、まず、上側の鉄骨柱73の下端部に設けられている4つの上側エレクションピース75のそれぞれに、4つの調整治具1をそれぞれ連結する。各調整治具1を各上側エレクションピース75に連結するには、図5に示すように、調整治具1の上側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に上側エレクションピース75を挿入して挟んだ後、図8が参照されるように、この上側エレクションピース75の上側挿通孔76と、右側ベースプレート8の第2螺着孔18および左側ベースプレート9の第6螺着孔23とを位置合わせして、上側挿通ボルト30を、上側挿通孔76に挿通するとともに、これら第2螺着孔18および第6螺着孔23に螺着させる。これによって、この調整治具1が、上側エレクションピース75に連結される。
【0056】
その後、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより(図7参照)、押圧筒体47を進退させて、上側エレクションピース75の両面を、適宜、その厚さ方向に押圧するとともに、上側ジャッキ装置66のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより(図7参照)、押圧筒体47を進退させて、上側エレクションピース75の上端部を、適宜、その下端部に向けて押圧し、さらには、上側押圧ボルト33を螺進および螺退させることによって、上側エレクションピース75の側端部を、適宜、その上側エレクションピース75の遊端側から基部側に向けて押圧することにより、上側の鉄骨柱73に対する調整治具1の連結姿勢を調整する。より具体的には、クレーンよって吊り上げられた状態において、この調整治具1の下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に、下側エレクションピース74が円滑に挿入されるように、調整治具1の連結姿勢を調整する。そうすれば、この調整治具1を下側の鉄骨柱72と連結する時に、効率的な作業を達成することができる。
【0057】
そして、このようにして、上側の鉄骨柱73に対する調整治具1の連結姿勢が調整された後に、この上側の鉄骨柱73をクレーンによって吊り上げて、下側の鉄骨柱72の上方において、各上側エレクションピース75と各下側エレクションピース74とが対向するように配置する。この上側の鉄骨柱73のクレーンによる吊り上げは、公知の方法で行なうことができ、たとえば、上側の鉄骨柱73の上端部に設けられる各上側エレクションピース75の上側挿通孔76に、吊り具を挿入して吊り上げればよい。
【0058】
そして、下側の鉄骨柱72の上端部に設けられている4つの下側エレクションピース74のそれぞれに、4つの調整治具1をそれぞれ連結する。各調整治具1を各下側エレクションピース74に連結するには、まず、図5および図6に示すように、クレーンによって上側の鉄骨柱73を徐々に下げ、調整治具1の下側取付部16における右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に下側エレクションピース74を挿入して挟むようにする。
【0059】
この挿入においては、上記したように、この調整治具1が、予め右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の間に下側エレクションピース74を円滑に挿入し得る姿勢として調整されており、さらに、右側ベースプレート8および左側ベースプレート9の下端部の間が、その互いに対向する対向距離が下端縁部に向かって拡がるように形成されているので、下側エレクションピース74を良好に誘い込んで、下側取付部16において簡易かつ円滑に挟むことができる。そのため、従来では、この調整治具1を誘導するための作業者が4人程度必要とされていたが、この調整治具1を用いれば、2人程度でも良好な作業が可能であり、効率的な作業を達成することができる。
【0060】
次いで、図8に示すように、下側エレクションピース74の下側挿通孔77と、右側ベースプレート8の第4螺着孔21および左側ベースプレート9の第8螺着孔26とを位置合わせして、下側挿通ボルト31を、下側挿通孔77に挿通するとともに、これら第4螺着孔21および第8螺着孔26に螺着させる。これによって、この調整治具1が、下側エレクションピース74に連結される。
【0061】
次いで、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を水平方向において修正し、両者の目地合わせを行なう。上側の鉄骨柱73における水平方向の修正は、次のようにして行なうことができる。すなわち、図8に示すように、まず、左側ベースプレート9の第9螺着孔27に螺着される下側押圧ボルト32を螺進させて、下側エレクションピース74を、右側ベースプレート8に向けて押圧することにより、下側取付部16を下側エレクションピース74に固定する。
【0062】
次いで、図7に示すように、右側ジャッキ装置36のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を水平方向に進退させて、上側エレクションピース75の一方の面を、適宜、その厚さ方向に調整しながら押圧するとともに、左側ジャッキ装置64のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を水平方向に進退させて、上側エレクションピース75の他方の面を、適宜、その厚さ方向に調整しながら押圧することにより、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する水平方向における周方向の位置調整を行なう。すなわち、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64の各押圧筒体47によって上側エレクションピース75の両面を押圧すれば、上側の鉄骨柱73は、その押圧力が作用する方向に移動されるので、互いに反対側から対向する各押圧筒体47を適宜調整して進退させることによって、上側の鉄骨柱73を、その周方向における正逆方向に移動させることができ、これによって、水平方向における周方向の位置を微調整しながら簡易かつ確実に行なうことができる。
【0063】
また、このような、水平方向における周方向の位置調整とともに、上側押圧ボルト33を螺進および螺退させることによって、上側エレクションピース75の側端部を、適宜、その上側エレクションピース75の遊端側から基部側に向けて押圧することにより、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する水平方向における周方向と直交する方向の位置調整を行なう。すなわち、上側押圧ボルト33によって上側エレクションピース75を遊端側から基部側に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱73は、その押圧力が作用する方向に移動されるので、上側押圧ボルト33を適宜調整して締め付けることによって、上側の鉄骨柱73を、その周方向と直交する方向に移動させることができ、これによって、水平方向における周方向と直交する方向の位置調整を行なうことができる。
【0064】
このようにして、上側の鉄骨柱73における水平方向の修正を行なえば、上側の鉄骨柱73を、下側の鉄骨柱72に、その水平方向における周方向およびその直交方向での姿勢を修正して連結することができるので、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73を良好な姿勢で接合することができる。
【0065】
次いで、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を鉛直方向において修正する。上側の鉄骨柱73における鉛直方向の修正は、図7に示すように、下側ジャッキ装置7のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、受け部材35を昇降させて、上側エレクションピース75の下端部を、適宜、持ち上げ、または、持ち下げることにより、上側エレクションピース75を適正位置で支持することにより行なうことができる。このようにして、上側エレクションピース75を、適正位置で支持すれば、上側の鉄骨柱73の下側の鉄骨柱72に対する上下方向での傾きを微調整しながら修正することができるので、これによって、上側の鉄骨柱73の鉛直方向の姿勢を確実に修正して、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73をより一層良好な姿勢で接合することができる。
【0066】
さらに、このような水平方向および鉛直方向の位置調整とともに、上側ジャッキ装置66のボルト頭部53をレンチ78で回動させることにより、押圧筒体47を上下方向に進退させて、上側エレクションピース75の上端部を、適宜、その下端部に向けて押圧すれば、上側の鉄骨柱73を下側の鉄骨柱72に対して押圧することができる。そのため、上側の鉄骨柱73を、下側の鉄骨柱72に対して密着させて連結することができ、下側の鉄骨柱72に上側の鉄骨柱73を良好な姿勢で接合することができる。
【0067】
なお、上記の説明においては、上側エレクションピース75の水平方向の位置調整を行なった後、上側エレクションピース75の鉛直方向の位置調整を行なうようにしたが、その順序はいずれが先でもよく、上側エレクションピース75の鉛直方向の位置調整を行なった後、上側エレクションピース75の水平方向の位置調整を行なうようにしてもよく、さらには、これら水平方向の位置調整と鉛直方向の位置調整とを並行して行なってもよい。
【0068】
そして、このようにして、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢を修正した後に、下側の鉄骨柱72の上端部と、上側の鉄骨柱73の下端部とを溶接または高力ボルトによって接合する。なお、この方法においては、各調整治具1によって、上側の鉄骨柱73と下側の鉄骨柱72とが連結されていれば、その後、適宜の時点において、クレーンの吊り具を、上側の鉄骨柱73の上端部に設けられる各上側エレクションピース75から取り外すようにすればよい。
【0069】
そして、この調整治具1では、このような下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の姿勢の修正作業、すなわち、水平方向および鉛直方向の位置調整作業において、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64、上側ジャッキ装置66および下側ジャッキ装置7の各プランジャ部材45が、図7に示すように、すべて、同一方向、すなわち、上側エレクションピース75が上側の鉄骨柱73に向かって延びる方向に沿って配置されているので、作業者は、それらのすべてのプランジャ部材45を、最も操作しやすい前方から、レンチ78によって操作することができるので、作業性の格段の向上を図ることができる。
【0070】
しかも、この調整治具1では、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64、上側ジャッキ装置66および下側ジャッキ装置7は、すべて油圧式のジャッキ装置であって、油圧によって、大きな押圧力で押圧することができるので、たとえば、図9に示すように、下側の鉄骨柱72に接合された上側の鉄骨柱73に、横梁80などが組み付けられた場合において、その横梁80の組み付け精度の誤差や、材料の残留応力、さらには、溶接時の引っ張り応力などによって、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との間の接合部分81に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、目地の位置ずれが生じた場合には、その目地の位置ずれを、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64を用いて大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0071】
また、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73が浮き上がってしまっても、上側ジャッキ装置66を用いて、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0072】
また、下側の鉄骨柱72と上側の鉄骨柱73との接合部分81において、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73の傾きが変化しても、その傾きの変化を、下側ジャッキ装置7を用いて、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0073】
したがって、この調整治具1を用いれば、下側の鉄骨柱72に対する上側の鉄骨柱73の接合の前後を問わず、大きな押圧力によって、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73を良好な姿勢に調整することができる。
【0074】
また、この調整治具1では、上側ジャッキ装置66は、上側ホルダ部材67によってベースフレーム11に着脱自在に装着されているので、この上側ジャッキ装置66を簡易に装備することができるとともに、不要時には、上側ホルダ部材67をベースフレーム11から取り外すことにより、たとえば、図10に示すように取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。なお、図10において、上側ベースプレート10の第3挿通孔28には、ねじ山が形成され、上側エレクションピース75の上端部を下端部に向けて押圧するための押圧ボルト82が螺着されるとともに、右側ホルダ部材37の平板部38と右側ベースプレート8との間、および、左側ホルダ部材65の平板部38と左側ベースプレート9との間には、カラー部材63が介在されている。
【0075】
また、図示しないが、この調整治具1では、右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64も、右側ホルダ部材37および左側ホルダ部材65によってベースフレーム11に着脱自在に装着されているので、これらの右側ジャッキ装置36および左側ジャッキ装置64を簡易に装備することができるとともに、不要時には、たとえば、それらの両方または片方のみを取り外すこともできるので、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0076】
なお、以上の説明においては、調整治具1に、当初から、右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64および上側ジャッキ装置66を装備している態様として説明したが、たとえば、下側の鉄骨柱72に対して上側の鉄骨柱73を接合する時には、たとえば、押圧ボルトなどの他の押圧手段によって、水平方向および鉛直方向の位置調整を行ない、その後に、これら右側ジャッキ装置36、左側ジャッキ装置64および上側ジャッキ装置66の少なくともいずれかを、その目的および用途に応じて、適宜、装着(後付け)するようにしてもよい。
【0077】
また、以上の説明においては、下側の鉄骨柱72および上側の鉄骨柱73は、その断面形状が略4角形状をなし、その外周面の各辺の中央部に形成される各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75のそれぞれに、各調整治具1を連結するようにしたが、下側の鉄骨柱72および上側の鉄骨柱73の形状は、何ら限定されず、たとえば、断面多角形状、断面円形状などであってもよく、また、各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75の数も限定されず、さらには、各調整治具1を、各下側エレクションピース74および各上側エレクションピース75に必ず対応させて連結する必要もない。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、目地の位置ずれが生じた場合であっても、その目地の位置ずれを、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【0079】
請求項2に記載の発明によれば、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0080】
請求項3に記載の発明によれば、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0081】
請求項4に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱が浮き上がってしまっても、再び大きな押圧力で押圧することにより、簡易かつ確実に密着させることができる。
【0082】
請求項5に記載の発明によれば、その目的および用途により、最適の態様で使用することができる。
【0083】
請求項6に記載の発明によれば、操作部材を、エレクションピースが延びる最も操作しやすい方向から操作して、押圧部材によってエレクションピースを押圧することができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0084】
請求項7に記載の発明によれば、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との間の接合部分に変形応力が作用して、下側の鉄骨柱と上側の鉄骨柱との接合部分において、下側の鉄骨柱に対して上側の鉄骨柱の傾きが変化しても、その傾きの変化を、大きな押圧力で、簡易かつ確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄骨建入直し調整治具の一実施形態としての調整治具を示す斜視図である。
【図2】図1に示す調整治具の正面図である。
【図3】図1に示す調整治具の左側面図である。
【図4】図1に示す調整治具の右側ジャッキ装置の平断面図である。
【図5】調整治具を上側エレクションピースに連結した状態を示す正面図である。
【図6】調整治具を上側エレクションピースおよび下側エレクションピースに連結した状態を示す正面図である。
【図7】調整治具の使用状態を示す斜視図である。
【図8】図1に示す調整治具の使用状態における正断面図である。
【図9】上側の鉄骨柱に横梁が組み付けられた状態を示す概略説明図である。
【図10】本発明の鉄骨建入直し調整治具の他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 調整治具
7 下側ジャッキ装置
15 上側取付部
16 下側取付部
36 右側ジャッキ装置
45 プランジャ部材
47 押圧筒体
64 左側ジャッキ装置
66 上側ジャッキ装置
72 下側の鉄骨柱
73 上側の鉄骨柱
74 下側エレクションピース
75 上側エレクションピース
Claims (7)
- エレクションピースが取り付けられている下側の鉄骨柱に、エレクションピースが取り付けられている上側の鉄骨柱を接合するために用いられる鉄骨建入直し調整治具であって、
前記上側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な上側取付部と、
前記下側の鉄骨柱のエレクションピースに取付可能な下側取付部と、
前記上側の鉄骨柱のエレクションピースおよび前記下側の鉄骨柱のエレクションピースの少なくともいずれかを、流体の圧力により、その厚さ方向に押圧するための厚さ方向押圧手段とを備えていることを特徴とする、鉄骨建入直し調整治具。 - 前記厚さ方向押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の鉄骨建入直し調整治具。
- 前記厚さ方向押圧手段は、前記エレクションピースに対して、少なくともいずれか一方側に設けられ、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、
前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の鉄骨建入直し調整治具。 - 前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの上端部を、流体の圧力により、下端部に向けて押圧するための下方押圧手段を備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄骨建入直し調整治具。
- 前記下方押圧手段は、ユニットとして形成され、前記鉄骨建入直し調整治具の治具本体に対して着脱自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の鉄骨建入直し調整治具。
- 前記下方押圧手段は、前記エレクションピースを押圧するための押圧部材と、前記押圧部材を作動させるための操作部材とを備えており、
前記操作部材は、前記エレクションピースが前記鉄骨柱に向かって延びる方向から、操作可能に構成されていることを特徴とする、請求項4または5に記載の鉄骨建入直し調整治具。 - 前記下側取付部と前記上側取付部との間に設けられ、前記上側の鉄骨柱のエレクションピースの下端部を、流体の圧力により、上端部に向けて押圧するための上方押圧手段を備えていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の鉄骨建入直し調整治具。
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