JP3619115B2 - フライバック・コンバータにおける同期整流器のオンパルス幅の制御方法 - Google Patents

フライバック・コンバータにおける同期整流器のオンパルス幅の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、同期整流方式のスイッチング電源のうちで、特にフライバック・コンバータにおける制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術によるフライバック・コンバータの回路構成は図2に示す通りである。
インバータ・トランス104の1次側には、1次コイル106に直列接続したスイッチ素子103が設けてある。
また、2次側には1次コイル106の極性と異なる2次コイル107と補助コイル108が直列接続してあり、補助コイル108の一端に接続した抵抗101は同期整流器102のゲート端子に接続してある。同期整流器102のドレイン端子は2次コイル107と補助コイル108との接合点に接続してあり、ソース端子は2次コイル107に並列接続してある並列コンデンサ105の一端に接続してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した同期整流器としてMOS−FETが用いられており、このMOS−FET102を補助コイル108に設けた抵抗101を介して駆動させると、1次側が自由共振モードの時は2次側エネルギーが1次側に戻り、MOS−FETの発振が安定しなかったりして損失が大きくなる。また、MOS−FETのゲート回路における抵抗による抵抗損IRが生ずるので、駆動電力損も大きくなる。
【0004】
また、従来方式のフライバック・コンバータにおけるMOS−FETのオン期間は負荷変動により大きく変化するばかりでなく、入力電圧の変動でオン期間が大幅に変化する欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した従来技術による欠点を解消するためになされたものであって、インバータ・トランスの2次側に設けた補助コイルにMOS−FETの駆動を制御する充電回路と放電回路を設け、負荷の小さい時は充放電コンデンサの放電量は小さく、負荷が大きい時は放電量を大きくすることにより、負荷の変動に対応してMOS−FETのゲートパルス幅を追従させるようにした。
【0006】
さらに、並列コンデンサの放電電圧を一定にするように、補助コイルの両端に並列接続したダイオードとツエナーダイオードより成る直列回路を設け、入力電圧の変化に対してほぼ一定幅のゲートパルスを発生させるようにした。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係る同期整流方式のフライバック・コンバータの回路構成を示すブロック図である。
【0008】
図1において、インバータ・トランス4の1次側には1次コイル11に直列接続したスイッチ素子3が設けてある。
また、インバータ・トランス4の2次側には2次コイル12に直列接続した補助コイル13が設けてあって、2次側コイルの極性は1次側のコイルの極性と反対である。
補助コイル13の一端には第1のダイオード5と第1の抵抗6より成る直列回路が接続してあり、補助コイル13と2次コイル12との接合点と第1の抵抗6の他端との間には第2のダイオード14とツエナーダイオード15より成る直列回路が設けてあって、補助コイル13の両端に並列接続してある。
【0009】
また、第1の抵抗6の他端と第2のダイオード14との接合点に一端を接続した第2の抵抗16の他端は、補助コイル13の両端に並列接続するように形成してある並列コンデンサ7の一端とスイッチ素子1のベース端子に接続してあり、さらに、外部電源によって抵抗を介して並列コンデンサ7を充電する充電回路9が、並列コンデンサ7の一端とスイッチ素子1のゲート端子との間に接続してある。
スイッチ素子1のエミッタ端子は2次コイル12と補助コイル13との接合点とMOS−FET2のドレイン端子との間に接続してあり、さらに、コレクタ端子はバッファ・アンプ10を介してMOS−FET2のゲート端子に接続してある。なお、MOS−FET2のソース端子は、2次コイル12の両端に並列接続した並列コンデンサ8の一端に接続してあり、この並列コンデンサ8はMOS−FET2からの直流出力を平滑化させる。
【0010】
次に、この発明に係るフライバック・コンバータにおけるMOS−FETの動作特性を図3と図4に示す波形図を用いて説明する。
図3(a)は重負荷時における動作特性を示し、図3(b)は軽負荷時における動作特性を示す。
また、図4(a)は低入力電圧時における動作特性を示し、図4(b)は高入力電圧時における動作特性を示す。
【0011】
1次コイル11に直列接続してあるスイッチ素子3のスイッチングに伴って2次側コイルには電圧が誘起される。2次コイル12と補助コイル13の極性は1次コイル11と反対であるので、スイッチ素子3がオフの時に2次コイル12と補助コイル13には誘起電圧VNSとVNS′が発生し、これに伴って2次コイル電流INSが流れる。
重負荷時における誘起電圧VNSとVNS′は図3(a)の▲1▼と▲3▼に示す波形となり、2次コイル電流INSは図3(a)の▲2▼に示す波形となる。
1次側が自由共振モードの時、2次エネルギーが1次側に戻り、発振が安定しなかったり、損失が大となる。軽負荷時における誘起電圧波形VNSとVNS′は図3(b)の▲1▼と▲3▼に示すように振動成分を含んだ波形となり、2次コイル電流INSは図3(b)の▲2▼に示す波形となる。
【0012】
補助コイル13の誘起電圧波形VNS′と充電回路9からの電荷を並列コンデンサ7を介して入力するスイッチ素子1のベース〜エミッタ間電圧VBEは、図3(a)と(b)における▲4▼に示す波形となる。
スイッチ素子1のVBEがしきい値電圧よりも大きくなるとスイッチ素子1はオンとなり、しきい値電圧より小さい時はオフとなり、その動作は図3(a)と(b)における▲5▼に示す波形となる。
スイッチ素子1がオンとなるとバッファ・アンプ10の入力端子電圧が低下するので、MOS−FET2はオフとなる。
図3(a)と(b)における▲6▼はMOS−FET2からの出力電流IQ2を示し、▲7▼はボディ・ダイオード電流を示す。
【0013】
フライバック・コンバータにおける2次側の整流素子から負荷に電流を供給する期間はMOS−FET2のオンパルス幅に比例しており、1次側のスイッチ素子3に同期している。
MOS−FET2を駆動させるために補助コイル13を設けてVNS′波形を生成させ、1次側のスイッチ素子3がオンしている期間に並列コンデンサ7を放電させ、オフしている期間に充電させる。スイッチ素子1のVBEがしきい値を越えた時にスイッチ素子1をオンとさせ、これに伴ってMOS−FET2をオフさせる。
重負荷時におけるMOS−FET2からの出力電流IQ2は図3(a)の▲6▼に示すように大きく、軽負荷時におけるMOS−FET2からの出力電流は図3(b)の▲6▼に示すように小さい。
即ち、負荷変動に追従してMOS−FETのオンパルス幅を制御することができる。
【0014】
次に、入力電圧の変動に伴ってMOS−FETのオンパルス幅は大きく変化するが、補助コイル13の両端に並列に第2のダイオード14とツエナーダイオード15より成る直列回路を設けておくと、入力電圧はツエナー電圧によってクランプされるので並列コンデンサ7の放電電圧も一定になる。
即ち、1次側のスイッチ素子3がオンの時に補助コイル13に発生するマイナス電圧を第2のダイオード14とツエナーダイオード15によってクランプし、このクランプ電圧で第2の抵抗16を介して並列コンデンサ7を定電圧で放電させる。
【0015】
1次コイル11への入力電圧が変動した場合におけるMOS−FET2の動作特性は、図4(a)と(b)に示す通りである。
入力電圧が低い時の2次コイル12と補助コイル13への誘起電圧は、図4(a)の▲1▼と▲3▼に示す波形となり、入力電圧が高い時の波形は図4(b)の▲1▼と▲3▼に示す波形となる。
また、2次コイル電流INSは図4(a)と(b)における▲2▼に示すようになる。第2のダイオード14とツエナーダイオード15より成る直列回路への印加電圧VD2−ZD1と、並列コンデンサ7への印加電圧VC1は、図4(a)と(b)における▲4▼と▲5▼に示す波形となる。▲4▼において、(VD2+VZD1)はクランプ電圧を示す。
C1はスイッチ素子1のベース〜エミッタ間電圧VBEに等しいので、スイッチ素子1のしきい値電圧よりもVC1が高くなるとスイッチ素子1はオンとなり、MOS−FET2はオフとなる。
図4(a)と(b)における▲6▼,▲7▼は、スイッチ素子1のスイッチング動作とMOS−FET2から送出される電流波形を示しており、入力電圧の変動に対し、ほぼ一定のパルス幅を発生していることが判る。▲8▼はMOS−FET2のボディ・ダイオード電流波形を示す。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るフライバック・コンバータにおける同期整流器のオンパルス幅の制御方法によると、入力電圧の変動が発生した時もMOS−FETのドライブ期間を一定に制御でき、また負荷変動に対して効率よく同期整流の追従を行わせることができるので、整流損失を低減させた少ない部品点数で低消費電力化した制御方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るフライバック・コンバータにおける同期整流器の回路構成を示すブロック図。
【図2】従来技術によるフライバック・コンバータにおける同期整流器の回路構成を示すブロック図。
【図3】この発明に係る同期整流器の動作特性を示す波形図。
【図4】この発明に係る同期整流器の動作特性を示す波形図。
【符号の説明】
1 スイッチ素子
2 MOS−FET
3 1次側スイッチ素子
4 インバータ・トランス
5,14 ダイオード
6,16 抵抗
7,8 並列コンデンサ
9 充電回路
10 バッファ・アンプ
15 ツエナーダイオード

Claims (1)

  1. インバータ・トランスの2次側に設けた同期整流器を制御する駆動回路を、2次コイルと同一極性の補助コイルを2次コイルに直列接続して構成したフライバック・コンバータにおける同期整流器のオンパルス幅制御方法において、
    補助コイルの一端にカソード端子を接続した第1のダイオードと第1および第2の抵抗より成る直列回路を介して、補助コイルと2次コイルとの接合点に接続した並列コンデンサと、
    第1と第2の抵抗との中間接続点にカソード端子を接続した第2のダイオードと、補助コイルと2次コイルとの接合点にカソード端子を接続したツエナー・ダイオードとの直列回路を補助コイルの両端に並列接続して形成したクランプ回路と、
    補助コイルと2次コイルとの接合点に接続した同期整流器のドレイン端子に接続したエミッタ端子と、同期整流器のゲート端子に接続したバッファ・アンプの入力端に接続したコレクタ端子と、第2の抵抗と並列コンデンサの一端との接続点に接続したベース端子とを備えたスイッチ素子と、
    スイッチ素子のベース端子と並列コンデンサの一端との間に接続した外部電源を入力する充電回路と、
    によって同期整流器のオンパルス幅を制御する制御回路を構成し、
    並列コンデンサの充放電電圧をクランプ回路によってクランプすることにより、入力電圧の変化に対してほぼ一定のオンパルス幅を同期整流器から発生させると共に、
    負荷が小さい時は並列コンデンサからの放電量を小さくし、負荷が大きい時は放電量を大きくすることにより、負荷変動に対し同期整流器を追従させるようにオンパルス幅を制御することを特徴とするフライバック・コンバータにおける同期整流器のオンパルス幅の制御方法。
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