JP3618125B2 - 洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、匂いや色が経日的に安定な洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、脂肪酸石鹸は洗浄剤組成物として広く使用されている。しかしながら、脂肪酸石鹸は長期にわたって貯蔵又は保管すると酸化により劣化し、変質したり変色したり悪臭が生じたりするようになる。このような脂肪酸の酸化は、CuやFe等の金属イオンが存在すると、それが触媒となって加速度的に進行する。
【0003】
そこで、これを防止するために、金属を封鎖するキレート剤や、酸化防止剤を脂肪酸石鹸に配合することが行われている。この場合、キレート剤は、一般に、単独で用いると脂肪酸石鹸の安定化効果不十分であるため、2種以上を組み合わせて用いられることが多い。例えば、EDTA又はそのアルカリ金属塩と、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩とを組み合わせて脂肪酸石鹸に配合することが提案されている(特開昭57−3899号公報、特開昭58−117297号公報)。また、脂肪酸石鹸に、EDTA又はそのアルカリ金属塩と、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩と、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンとの3成分を配合することも提案されている(特開平1−190799号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、脂肪酸石鹸は脂肪酸のナトリウム塩から構成されているのでそれ自体のpHが高く、そのため、従来のキレート剤の組み合わせでは十分に金属イオンを封鎖することができず、脂肪酸石鹸を満足に安定化させることができない。また、キレート剤の他にジブチルヒドロキシトルエンを配合させた場合には、配合量によっては黄色く着色するという問題が生じ、満足な結果が得られない。
【0005】
本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、脂肪酸石鹸を素地とした安定性の高い洗浄剤組成物を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために種々のキレート剤や酸化防止剤を組み合わせ、脂肪酸石鹸の安定化効果の検討を重ねた結果、ジエチレントリアミン5酢酸又はそのアルカリ金属塩と1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩とを組み合わせて使用することにより脂肪酸石鹸の安定性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の成分(A)、(B)及び(C):
(A)脂肪酸石鹸 60〜95重量%、
(B)ジエチレントリアミン5酢酸又はそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%、
(C)1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%
を含有する固形の洗浄剤組成物であって、さらに、次の成分(D1 )及び(D2 ):
(D1 )グルコン酸もしくはそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%、
(D2 )ジブチルヒドロキシトルエン 0.01〜1重量%
を含有する洗浄剤組成物を提供する。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物において(A)成分の脂肪酸石鹸としては、種々の脂肪酸石鹸を使用することができるが、脂肪酸石鹸を構成する脂肪酸が炭素数8〜22のものであることが好ましい。また、脂肪酸は、直鎖、分岐、あるいは飽和、不飽和を問わず使用することができ、単独で使用してもよく、複数種を併せて使用してもよい。例えば、牛脂、羊油等の動物油脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、綿実油等の植物油脂などを常法により高圧分解して得た脂肪酸混合物や、これらを分離精製して得られるラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸及びイソステアリン酸等の単独又は複数種を使用することができる。
【0012】
また、脂肪酸の対イオンとしては、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニウム、炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するアルカノールアミン等をあげることができる。
【0013】
脂肪酸石鹸の配合量は、当該脂肪酸石鹸の種類等に応じて適宜定めることができるが、通常、60〜95重量%、特に70〜90重量%とすることが好ましい。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物において(B)成分のジエチレントリアミン5酢酸(以下、DTPAという)は、次の構造式(1)で表される。
【0015】
【化1】
このDTPAのアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を好ましい例としてあげることができる。
【0016】
本発明において、DTPA又はそのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、その配合量は、不飽和脂肪酸含量等に応じて適宜定めることができ、例えば、0.01〜5重量%、特に、0.1〜2重量%とすることが好ましい。この範囲とすることにより脂肪酸石鹸を十分に安定化することができる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物において(C)成分の1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(以下、HEDPという)は、次の構造式(2)で表される。
【0018】
【化2】
このHEDPのアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を好ましい例としてあげることができる。
【0019】
本発明において、HEDP又はそのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、その配合量は、不飽和脂肪酸含量等に応じて適宜定めることができ、例えば、0.01〜5重量%、特に、0.1〜2重量%とすることが好ましい。この範囲とすることにより、脂肪酸石鹸を十分に安定化させることができる。
【0020】
本発明の固形の洗浄剤組成物には、以上の(A)、(B)及び(C)の各成分に加えて、脂肪酸石鹸をより安定化させるために、さらに(D1 )成分としてグルコン酸もしくはそのアルカリ金属塩と(D2 )成分としてジブチルヒドロキシトルエンの双方を含有させる。
【0021】
この(D1 )成分のグルコン酸は、次の構造式(3)で表される。
【0022】
【化3】
このグルコン酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等を好ましい例としてあげることができる。
【0023】
グルコン酸又はそのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、その配合量は、不飽和脂肪酸含量等に応じて適宜定めることができ、例えば、0.01〜5重量%、特に0.1〜2重量%とすることが好ましい。この範囲とすることにより色の安定性をより高めることができる。
【0025】
また、前記(D2)成分のジブチルヒドロキシトルエンは、次の構造式(4)で表される。
【0026】
【化4】
ジブチルヒドロキシトルエンの配合量は、不飽和脂肪酸含量等に応じて適宜定めることができる。例えば、0.01〜3重量%、特に、0.1〜1重量%とすることが好ましい。この範囲とすることにより、匂いの安定性をより高めることができる。
【0027】
本発明の洗浄剤組成物には、さらに上記各成分の他に、必要に応じて、通常の皮膚洗浄剤の配合成分、例えば、プロピレングリコール、グリセリン等の保湿剤、高級アルコール、エステル、シリコーン等の油剤、香料、色素、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤等を含有させることができる。
【0028】
本発明の固形の洗浄剤組成物は常法により製造することができる。例えば、まず、牛脂、羊油等の動物油脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、綿実油等の植物油脂などの単独又は複数種を水酸化ナトリウムでケン化するか、あるいはこれらの油脂を分解して得られる脂肪酸の単独又は複数種を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等で中和することにより石鹸素地を製造する。次に、この石鹸素地に(B)成分、(C)成分、(D1 )成分及び(D2 )成分を添加し、混合、混練、押し出し、型打ちを行えばよい。
【0030】
このようにして得られる洗浄剤組成物は、皮膚の清浄等の用途に好ましく使用することができる。
【0031】
【作用】
本発明の洗浄剤組成物は脂肪酸石鹸を基剤としているが、その脂肪酸石鹸を安定化させるキレート剤として、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)又はそのアルカリ金属塩、及び1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)又はそのアルカリ金属塩を含有するので、脂肪酸石鹸の酸化が抑制される。したがって、本発明の洗浄剤組成物は長期にわたって貯蔵又は保管しても、その変質や変色が防止されたものとなる。また、洗浄剤組成物からの悪臭の発生も防止される。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、実施例1〜4の固形洗浄剤組成物は、成分(A)〜(C)を含有するが、グルコン酸及びジブチルヒドロキシトルエンの双方を同時に含有していない参考例の固形洗浄剤組成物である。
【0033】
実施例1〜5、比較例1〜5
表1に示す各成分の固形洗浄剤組成物を常法により製造した。また、次の評価基準にしがたって、色安定性と匂い安定性を評価した。この結果を表1に示す。
【0034】
[色安定性評価基準]
各固形洗浄剤組成物を2群に分け、一方を50℃の恒温槽内に20日保存し、他方を対照として冷暗所に保存し、保存後の双方の色を目視観察した。そして50℃に保存した群の色を対照に比して次の4段階に評価した。
【0035】
◎:対照と全く差がない場合
○:対照とほとんど差がない場合
△:対照より少し変色している場合
×:対照より相当に変色している場合
[匂い安定性評価基準]
各固形洗浄剤組成物を2群に分け、一方を50℃の恒温槽内に20日保存し、他方を対照として冷暗所に保存し、保存後の双方の匂いを嗅いだ。そして50℃に保存した群の匂いを対照に比して次の4段階に評価した。
【0036】
◎:対照と全く差がない場合
○:対照とほとんど差がない場合
△:対照より少し劣化している場合
×:対照より相当に劣化している場合
【0037】
【表1】
表1から、DTPAとHEDPの双方を配合した実施例の洗浄剤組成物は、それらのいずれか一方のみを配合した比較例の洗浄剤組成物(比較例1、3)に比して安定性が向上しており、さらにグルコン酸又はジブチルヒドロキシトルエンも配合した実施例(実施例3、4、5)においては、安定性が一層向上していることがわかる。また、実施例の洗浄剤組成物は、従来より脂肪酸石鹸の安定化剤として使用されているEDTAとHEDPとを配合した比較例2の洗浄剤組成物に比しても安定性が向上していることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、脂肪酸石鹸を基剤とし、かつ長期にわたって貯蔵又は保管しても、変質したり変色したり悪臭が生じたりすることが防止された洗浄剤組成物を得ることが可能となる。
Claims (1)
- 以下の成分(A)、(B)及び(C):
(A)脂肪酸石鹸 60〜95重量%、
(B)ジエチレントリアミン5酢酸又はそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%、
(C)1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸又はそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%
を含有する固形の洗浄剤組成物であって、さらに、次の成分(D1 )及び(D2 ):
(D1 )グルコン酸もしくはそのアルカリ金属塩 0.1〜2重量%、
(D2 )ジブチルヒドロキシトルエン 0.01〜1重量%
を含有する洗浄剤組成物。
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- 1994-10-07 JP JP27071494A patent/JP3618125B2/ja not_active Expired - Fee Related
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- 1995-07-14 CN CN 95106486 patent/CN1122825A/zh active Pending
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