JP3617829B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被帯電体に接触配置され、電圧を印加されることにより該被帯電体を帯電する帯電部材に関する。また、本発明は、かかる帯電部材を具備するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置に用いられる帯電手段として、接触帯電方式の帯電手段の採用が進められている。接触帯電は、被帯電体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって被帯電体を所定の極性及び電位に帯電させるものであり、電源の電圧を低くすることができる、オゾンなどのコロナ生成物の発生を少なくすることができる、構造が簡単で低コスト化を図ることができるなどの利点がある。
【0003】
帯電部材に印加する電圧は直流のみを印加する方式(DC印加方式)の他に、直流電圧を接触帯電部材に印加したときの被帯電体の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する振動電界(時間と共に電圧値が周期的に変化する電界)を接触帯電部材と被帯電体との間に形成して被帯電体面を帯電処理する手法(AC印加方式)があり、この方がより均一な帯電をすることが可能である。
【0004】
また、接触帯電装置は、被帯電体に接触させる帯電部材の形状や形態から、帯電部材をローラ状部材(帯電ローラ)としたローラ型帯電器(特開昭63−7380号公報及び特開昭56−91253号公報など)、ブレード状部材(帯電ブレード)としたブレード型帯電器(特開昭56−194349号公報など)及びブラシ状部材(帯電ブラシ)としたブラシ型帯電器(特開昭64−24264号公報など)などに大別される。
【0005】
帯電ローラは回転自由に軸受支持されて被帯電体に所定の圧力で圧接され、被帯電体の移動に伴い従動回転する。また、上記帯電ローラは通常、基体として中心に設けた芯金と、該芯金の外周にローラ状に設けた導電性の弾性層と、更にその外周に中間層及び表面層などを設けた多層構造体である。
【0006】
上記各層のうち、芯金(金属層)はローラの形状を維持するための剛体であると共に、給電電極としての役割を有している。
【0007】
また、上記弾性層には、1×102〜1×1010Ω・cmの体積固有抵抗を有すること、及び弾性変形することにより被帯電体との均一な接触を確保できることが要求されるため、通常、導電性が付与されたゴム硬度(JISA)70度以下の柔軟性を有する加硫ゴムが使用される。そして、従来の帯電ローラには、弾性層としてゴム発泡体(またはスポンジ状ゴム)を使用した発泡タイプとゴム発泡体を使用しないソリッドタイプがあった。前記AC印加方式では、振動電界の作用により帯電ローラと被帯電体の間に力が働き、被帯電体が振動して騒音が発生するという問題があったため、弾性層としてより低硬度なゴム発泡体を使用することが好ましいとされている。
【0008】
また、上記中間層は、弾性層の圧縮永久歪みを緩和する、及び弾性層の硬度を低下させるために用いられるオイルや可塑剤などの軟化剤のブリードを防止することにより表面層に用いる材質の自由度を高めるなどの機能を有している。中間層の表面抵抗率は通常1×105〜1×1012Ω/□であり、従来、導電性塗料を塗布すること、あるいはシームレスチューブを被覆することなどにより形成されていた。
【0009】
また、上記表面層は被帯電体の帯電均一性を向上させ、被帯電体表面のピンホールなどに起因するリークの発生を防止すると共に、トナー粒子や紙粉などの固着を防止する機能も有している。表面層の表面抵抗率は通常1×105〜1×1013Ω/□であり、中間層と同様、導電性塗料を塗布すること、あるいはシームレスチューブを被覆することなどにより形成されていた。
【0010】
弾性層の製造方法としては、未加硫未発泡の半導電性発泡性ゴム材料を押出し機によりチューブ状に押出した後、加硫炉などで加熱し加硫・発泡させて半導電性発泡ゴムチューブを作成し、さらに、ホットメルト接着剤を塗布した芯金をこの半導電性発泡ゴムチューブに挿入して、加熱することにより、芯金と半導電性発泡ゴムチューブを接着する方法が知られている。しかしながら、この方法は、工程数が多いため、製造コストが高くなるという問題点を有していた。
【0011】
これに対し、特開平10−221930号公報には、接着剤を塗布した芯金を押し出し機のクロスヘッドダイを通過させて、芯金2の外周上に未加硫未発泡の半導電性発泡性ゴム材料を配置後に、加硫缶・連続加硫炉などを用いることによって、ゴム材料の加硫、発泡と、芯金と半導電性発泡ゴムとの接着を同時に行うことにより、工程数を削減する方法が記載されている。
【0012】
しかしながら、この方法では、発泡倍率が高い半導電性発泡性ゴム組成物を用いると半導電性発泡性ゴムの発泡により、芯金から半導電性発泡ゴムが浮き上がりやすくなるため、発泡倍率を上げることができず、十分に低硬度な発泡ゴムを得られなかったり、浮き上がり部の影響で帯電ムラを引き起こすなどの問題を有していた。
【0013】
また、低硬度の発泡ゴムを得るための別の手法として、ゴム組成物中に多量の軟化剤を添加する方法も知られているが、単に多量の軟化剤を添加した場合には、混練り加工中にスリップを起こして混練り加工ができなかったり、スリップを起こさないように軟化剤を少量ずつ多量に添加した場合には、混練りに多大な時間がかかりコストアップにつながってしまうといった問題があった。
【0014】
一方、チューブの被覆方法としては、まず円筒状金型の内壁に中間層チューブの両端部を固定し、チューブと円筒状金型内壁との間を減圧してチューブを金型内壁に密着した状態にし、芯金外周に弾性層を形成した弾性ローラを加圧しながら挿入する方法が挙げられる。表面層チューブも同様にして被覆することができる。
【0015】
しかしながら、単一層のチューブを複数個用意して弾性層に一個づつ外嵌処理することにより、重ね合わせて形成した被覆層を帯電ローラを電子写真用として使用する場合、帯電ローラの両端部に荷重をかけ、被帯電体に所定の圧力で圧接し、帯電体の移動に伴い従動回転する際に、端部と中央部との圧接力の違いによるねじれ力が働き、重ね合わせたチューブ層間にズレが生じてチューブがよじれる結果、端部と中央部で画像濃度差を生じることがあった。この現象は、弾性層が軟らかければ軟らかいほど、また、両端部の圧接力が大きいほど生じやすくなる。
【0016】
このチューブのよじれを防ぐ方法としては、弾性層の外径に対するチューブ内径の差を大きくし、チューブの弾性層に対する締め付け力を大きくすることが挙げられるが、弊害として弾性層の見かけの硬度が固くなり帯電音が大きくなりやすかった。
【0017】
また、チューブの材質が熱可塑性の樹脂の場合や、弾性層の硬度が硬い場合には、チューブの伸びによって帯電ローラの外径が大きくなり、その結果、抵抗値が高くなり、被帯電体を十分に帯電させることができないことがあった。この現象も、弾性層が硬ければ硬いほど顕著に生じる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な弾性と芯金に対する接着性を有する弾性層を有し、かつ弾性層上の被覆層がよじれることもなく、非常に均一な帯電性を示す帯電部材を提供することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、かかる帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、導電性の芯金、該芯金外周上の半導電性発泡弾性層及び該半導電性発泡弾性層外周上の機能性複層膜を有する帯電部材において、
該半導電性発泡弾性層が、該芯金と未加硫未発泡の半導電性ゴム組成物を押し出し機のクロスヘッドダイを通過させて、該芯金外周上に配置したものを加硫発泡させたものであり、
該半導電性ゴム組成物が、ムーニー粘度が15〜30であり、かつ、該発泡圧が50%に達したときの加硫%が40%以下であり、該機能性複層膜が、単独でチューブとして形成し被覆することが困難な薄肉の層を含む複層チューブであり、該機能性複層膜が、複層肉厚で150μm〜800μmであり、且つ前記単独でチューブとして形成し被覆することが困難な薄肉の層が、100μm以下であることを特徴とする帯電部材である。
【0021】
また、本発明は、上記帯電部材を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
【0023】
図1は本発明の帯電部材(以下、帯電ローラともいう)1の一例を示すもので、電子写真装置の帯電器として使用するものである。この帯電ローラは、金属、合金及び導電性プラスチックなどの良導電性材料からなる芯金2の外周に弾性材料からなる半導電性発泡弾性層3を有し、この半導電性発泡弾性層3の外周にチューブ状の機能性複層膜4を有する。図1の場合、機能性複層膜4は内部層4bと外部層4aからなる。
【0024】
本発明における芯金(金属層)2としては、例えばアルミニウム、ステンレススチール、めっき処理した鉄、黄銅またはこれらを含む合金などの良導体が好適に用いられる。本発明に用いられる芯金2は、3〜10mmの直径を有していることが好ましく、0.1〜1.5mm程度の厚さを有する金属管であっても、また棒状であってもよい。
【0025】
上記半導電性発泡弾性層3は、導電性の芯金2と未加硫未発泡の半導電性ゴム組成物を押し出し機のクロスヘッドダイを通過させて、該芯金2の外周上に配置した後、加硫・発泡させることによって得ることができる。
【0026】
本発明においては、かかる半導電性ゴム組成物の粘度は、JIS K−6300に準拠した100℃のムーニー粘度(ML1+4)で15〜30である。ムーニー粘度が15よりも小さいと混練り時にロールに粘着するなど混練り加工性が著しく悪化し、30よりも大きいと発泡倍率を上げることが難しくなる上、押し出し加工時の芯金2とゴム組成物の密着が劣り、発泡加硫時に接着性が悪くなる。
【0027】
半導電性ゴム組成物の粘度は、ゴム成分や導電材、さらには軟化剤など、用いる材料の種類及び配合量に加え、これらを練るときの条件などに影響され得るが、本発明においては、ムーニー粘度が15〜30であれば、その達成手段は特に限定されるものではない。
【0028】
また、本発明において用いられる半導電性ゴム組成物は、140℃で測定したときの発泡速度と加硫速度の関係が、発泡圧の最大値を100%としたとき50%に達したときの加硫%(以下%Cure@TP50)が加硫%の最大値の40%以下である。即ち、加硫速度に対して発泡速度が優勢な関係にある。%Cure@TP50が40%よりも大きいと芯金2と発泡ゴムの接着性が悪化する。この原因については定かではないが、発泡ガス発生反応の初期段階(最終発泡ガス発生反応量の50%反応終了時まで)に加硫反応がある程度以上(最終加硫反応量の40%よりも多く)進行する発泡ゴム組成物を用いた場合、ローラの外側からの加熱によってローラ表面の加硫が進行した後に多量の発泡ガスが発生するため、過剰に発生した発泡ガスが表面から外に放出されずに芯金2とゴムの間に溜まり易くなるためと推測される。好ましくは、%Cure@TP50は20%以下に設定する。%Cure@TP50を20%以下に設定することで発泡倍率が高い材料においても芯金2と発泡ゴムとの充分な密着が得られる。
【0029】
発泡圧と加硫%の関係の例を表わすグラフを図2に示す。図中、5は発泡圧曲線を示し、6は加硫曲線(加硫の進行度合は、試験片に加わるトルクで表現される)を示す。7は発泡圧が50%の地点で、発泡圧が50%に達したときの加硫%、即ちCure@TP50)は8である。9は加硫%が40%の点を示す。
【0030】
なお、%Cure@TP50の調整は、加硫促進剤種や発泡剤種及び発泡助剤などによって適宜調整される。
【0031】
本発明に用いられる半導電性ゴム材料のゴム成分には、特に制限はないが、種々の加硫方法で硫黄加硫が可能なゴムが好ましい。具体的には、エチレンープロピレンージエン共重合ゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)などが好ましく、中でも、耐オゾン性に優れている、加硫速度の調整が容易であるという観点から、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)がより好ましい。
【0032】
また、加硫促進剤も、特に制限はなく、一般のゴム用加硫促進剤が使用可能である。
【0033】
発泡剤としては、スポンジゴム用の発泡剤が使用でき、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、炭酸水素ナトリウムなどが好ましく、中でも、加硫速度が速くなりにくいという観点からアゾジカルボンアミド(ADCA)がより好ましい。
【0034】
発泡助剤は、一般の発泡助剤が使用できる。
【0035】
これらゴム組成物に配合する導電材としては、カーボンブラック、黒鉛、金属及び導電性の各種金属酸化物(酸化錫及び酸化チタンなど)などの導電性粉体や、カーボンファイバー及び金属酸化物の短繊維などの各種導電性繊維を用いることができる。その配合量は、本発明の構成要素にあるカーボンブラックも含めて、全ゴム成分100質量部に対して好ましくは4〜100質量部、特に好ましくは5〜50質量部であり、これにより半導電性発泡弾性層3の体積抵抗を1×104〜1×109Ω・cm程度に調整することが好ましい。
【0036】
本発明においては、特に、半導電性ゴム組成物が、DBP吸油量300(ml/100g)以上の導電性カーボンブラックをゴム成分100質量部あたり4〜15質量部含み、かつ、該導電性カーボンブラック量の2倍以上の軟化剤を含有する半導電性ゴム組成物であることが好ましい。カーボンブラックにDBP吸油量300(ml/100g)以上と非常に高いカーボンブラックを用いることにより、混練りの初期段階において軟化剤を吸い込むため、多量の軟化剤を添加しても混練り中にスリップが生じにくくなる。また、上記カーボンブラックの添加量が、ゴム成分100質量部あたり、4質量部以下では、スリップ防止効果が得られにくく、15質量部を超えると、硬度が増大しやすくなる。本発明においては、DBP吸油量が400(ml/100g)以上であることがより好ましい。なお、本発明におけるDBP吸油量は、カーボンブラックにDBPを添加したときの100g当りのDBP吸油量であり、アブソープトメーターによって測定することができる。
【0037】
DBP吸油量300(ml/100g)以上のカーボンブラックとしては、多孔質なカーボンブラックが挙げられ、例えば、ケッチェンブラックEC及びケッチェンブラック600JDなどが挙げられる。また、軟化剤としては、一般のゴム用軟化剤が使用でき、中でもパラフィンオイルが好ましい。
【0038】
本発明においては、必要に応じて、半導電性ゴム組成物に、他の導電性付与剤、補強剤、充填剤、老化防止剤及び加硫促進剤などの通常のゴム用配合剤を適宜混合することができる。
【0039】
本発明においては、半導電性ゴム組成物の加硫発泡後に弾性層を3mmまで研磨した後のローラーの500g荷重時のアスカーC硬度が33度以下であることが好ましい。これより硬度が大きい場合には、帯電音が大きくなりやすい。また、被帯電体との当接時に弾性層が歪みやすくなるため、帯電ローラと被帯電体との当接隙間ができず均一な当接となり、その結果騒音のリップルも少なく、トナー汚れの不均一による画像ムラの生じにくい帯電ローラを得ることができる。
【0040】
なお、本発明においては、弾性層の厚みは帯電部材を実装する機種に応じて適宜調整することができるが、1〜20mmであることが好ましく、特には2〜20mmであることが好ましい。
【0041】
次に、本発明において用いられる機能性複層膜4について説明する。本発明における機能性複層膜4は予めシームレスチューブの形態に成膜された重合体であって、前記芯金2外周上の半導電性発泡弾性層3に被覆する。
【0042】
機能性複層膜4を構成する材料としては、押し出し成形可能なゴムまたは熱可塑性樹脂であればいずれのものでもよく、具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸メチル、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びその他の共重合ナイロンなどのポリアミド、スチレンエチレンブチル、エチレンブチル、ニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム及びポリノルボルネンゴムなどのゴム、及びスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)及びスチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)などの熱可塑性ゴムを使用することができるが、特に制限されるものではない。
【0043】
あるいは、上記の各樹脂や共重合体よりなるエラストマー及び変性体などのエラストマーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)などの飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)及びアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)などのスチレン系樹脂、及びアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂などの各樹脂及びこれらの共重合体からなる材料の組み合わせが好ましい。
【0044】
さらに、上記ゴム、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂から選ばれた2種以上の重合体からなるポリマーアロイまたはポリマーブレンドも使用できる。本発明の機能性複層膜4のチューブは上記各種重合体と、下記の導電材及び必要ならばその他の添加剤からなる導電性重合体組成物を押し出し成形法、射出成形法及びブロー成形法などによりチューブ状に成膜することにより得ることができる。上記各種成形法のうちでは押し出し成形法が特に好適である。さらには、形成するチューブの各薄膜層の膜厚均一性、また導電材などの分散性がより均一であるものを得るために、縦型のチューブ押し出し機を使用することが好ましい。
【0045】
なお、上記導電材としては、公知の素材が使用でき、例えば、カーボンブラック及びグラファイトなどの炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム及び銅などの金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカなどを主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維などの導電性繊維;ステンレス繊維などの金属繊維;炭素ウィスカやチタン酸カリウムウィスカの表面を金属酸化物や炭素などにより導電化処理した導電性チタン酸カリウムウィスカなどの導電性ウィスカ;及びポリアニリン及びポリピロールなどの導電性重合体微粒子などが挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる機能性複層膜4のチューブは単に上記各種成形法により形成しただけでも使用できるが、例えばより優れた耐久性や耐環境性などを得ることを目的として、上記各種成形法により得られたシームレスチューブを更に架橋させて導電性架橋重合体とすることもできる。チューブ状に成膜された導電性重合体を架橋させる方法としては、重合体の種類に応じて硫黄、有機過酸化物及びアミン類などの架橋剤を予め添加しておき、高温下に架橋結合を生成させる化学的架橋法や、電子線やγ線などの放射線を照射することにより架橋させる放射線架橋法などが有効である。上記各種架橋法のうちでは電子線架橋法が架橋剤またはその分解生成物の移行による被帯電体の汚染の恐れがなく、更に、高温処理の必要がない点及び安全性の点で好ましい。
【0047】
本発明に用いられる機能性複層膜4の表面抵抗率は、1×105〜1×1011Ω/□であることが好ましく、特に1×106〜1×109Ω/□であることが好ましい。
【0048】
また、本発明における機能性複層膜4は、適切に機能分離した薄層のチューブが一体的に同時に形成された複層膜であるので、各層を必要以上に厚い膜とする必要がないので、半導電性発泡弾性層3の柔軟性を効果的に引き出すことが可能となっている。機能性複層膜4の好ましい厚さは、複層肉厚で150μm〜800μmであり、さらには200μm〜600μmである。
【0049】
次に、本発明に用いる押し出し装置を図3を用いて説明する。成形に用いるダイス10には、空気導入用の中央通孔11の周囲に内外二重の環状の押し出し流路が設けられており、成形に際しては、内側流路に第1押し出し機12から機能性複層膜4を構成する内部層4b用エラストマー13を、また外側流路に第2押し出し機14から機能性複層膜4を構成する外部層4a用エラストマー15をそれぞれ加圧注入し、内部層4bと外部層4aを重ね合わせ一体化して押し出して得られた機能性複層膜4のチューブ17を、その外周に設けた水冷リング16にて冷却し、これをチューブ送り装置18により引っ張り、所定の長さに順次切断し、帯電ローラ用の機能性複層膜4として、次工程にて、芯金2を有する半導電性発泡弾性層3に被覆する。
【0050】
このように、本発明においては、単層での肉厚が100μm以下といった単独でチューブとして被覆することが困難な薄肉でも、複層の肉厚では150μm以上、好ましくは200μm以上として得ることができるので、単独のチューブとして取り扱うことが可能である。例えば、外層部4a/内層部4bの肉厚が、75μm/75μm、75μm/125μmというように単独でチューブとして被覆することが困難な薄肉の層同士を複層化することによって単独のチューブとして取り扱うことができる。また無論、外層部4a/内層部4bの肉厚が100μm/400μm、100μm/200μm、50μm/350μm、20μm/350μmというように一方に単独でチューブとして被覆することが困難な薄肉の層を含む機能性複層膜も被覆することができる。
【0051】
なお、薄肉層をより薄く形成する為には、押出し成形時における、引き取りを大きくし、押出し口での膜厚をさらに薄くする手段も効果的である。また、延伸後、エージングを適正に行うことで、薄肉化のための延伸によるストレスを緩和できる。
【0052】
本発明においては、例えば外部層4aに耐圧性を持たせるべく1×106〜1×1012Ω/□、好ましくは1×107〜1×109Ω/□の表面抵抗の樹脂層を配置し、内部層4bに1×104〜1×1010Ω/□、好ましくは1×108〜1×1010Ω/□の樹脂層を配置することができ、帯電ローラの如き、ローラの表面電位のコントロールが必要なローラには理想的な機能性複層膜となる。
【0053】
また、複数のチューブを形成して、これを重ね合せて一体とする工程が必要な場合、各層の材料が同種の樹脂であっても、異種の樹脂であっても、界面空間を有するために、各層間の接着性が不十分となり易い。その結果、チューブの弾性層に対する締め付け力を強くしないと、帯電ローラーとして使用中にチューブ間にズレが生じ、画像不良の原因となる。ところが、上述のように、締め付け力が強いと弾性層の見かけの硬度が固くなり帯電音が悪くなるという弊害も現れる。
【0054】
これに対し、本発明においては異種の樹脂を用いても、同時複層押し出し過程で高圧溶融状態で接触し、複層となって外に押し出しされ、その状態で固定されるので、帯電部材として十分な密着性が得られるため、チューブの弾性層に対する締め付け力も弱くすることが可能である。
【0055】
本発明により得られた機能性複層膜4のチューブの内径は特に制限されるものではなく、これを用いるローラの外径によって決定されるが、直径7〜20mm、好ましくは10〜20mmの小径チューブを使用するのが一般的である。
【0056】
本発明により得られた機能性複層膜4のチューブを用いて帯電ローラや現像ローラを製造する場合には、予め芯金2の外周に半導電性発泡弾性層3を被覆したローラの外周に、機能性複層膜4のチューブを嵌め込めばよい。
【0057】
この嵌め込みにおいて、機能性複層膜4のチューブの内径は半導電性発泡弾性層3の外径よりもやや小さめであることが、ローラに皺などを生じないことから好ましく、例えば、製品としてのローラの外径が12.0mmで、機能性複層膜4のチューブの肉厚が内外層を併せて0.4mmの場合、芯金2を有する半導電性発泡弾性層3の外径を11.3mmにして、機能性複層膜4のチューブの内径を11.1mm程度にすることが好ましい。
【0058】
また、機能性複層膜4のチューブの嵌め込みの際に、必要に応じてその内面または半導電性発泡弾性層3の外周にプライマー処理して接着してもよいが、この処理を行わないで圧着により固着することも可能である。
【0059】
本発明に用いられる電子写真感光体、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニン手段は、特に限定されるものではない。
【0060】
図4に本発明の導電性部材を一次帯電手段として有するプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の構成を例に示す。
【0061】
図4において、19は電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体19は、回転過程において、一次帯電手段としての本発明の帯電部材1によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの露光光20を受ける。こうして電子写真感光体19の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0062】
形成された静電潜像は、次いで現像手段21によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から電子写真感光体19と転写手段22との間に電子写真感光体19の回転と同期取りされて給紙された転写材23に、転写手段22により順次転写されていく。
【0063】
転写を受けた転写材23は、電子写真感光体面から分離されて定着手段24へ導入されて定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0064】
転写後の電子写真感光体19の表面は、クリーニング手段25によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、繰り返し像形成に使用される。
【0065】
本発明においては、電子写真感光体及び帯電部材を一体に支持し、レール26などの手段を用いて電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジ27とすることもできる。かかるプロセスカートリッジは、さらに現像手段及び/またはクリーニング手段を有していてもよい。
【0066】
【実施例】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
【0067】
(芯金)
芯金2は、鉄材を押し出し成形により、直径約6mmの棒材に押し出し、長さ260mmに切断後、これにニッケルメッキを厚さ約3μm施したものとした。さらに、該芯金2表面に、ホットメルト接着剤を塗布した。
【0068】
主原料であるEPDM(商品名エスプレン505、住友化学工業株式会社製)を100質量部、導電性カーボンブラック(商品名ケッチェンブラック600JD、ライオンアクゾ社製)を12質量部、パラフィンオイル(商品名ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産社製)を75質量部、酸化亜鉛2種をそれぞれ5質量部、ステアリン酸を1質量部、脱水剤として酸化カルシウム(商品名ベスタBS、井上石灰工業社製)を5質量部、加硫促進剤として2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)2質量部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZDBC)1質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)2質量部、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TDEC)2質量部、加硫剤として硫黄2質量部、発泡剤としてp,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)6.5質量部及びアゾジカルボンアミド(ADCA)5.5質量部を混練りして半導電性発泡弾性層3用の半導電性発泡性ゴム組成物を得た。
【0069】
得られた組成物についてJIS K−6300に準拠して100℃にてムーニー粘度(ML1+4)を測定したところ、21であった。また、発泡圧測定機能付き加硫試験機MDR−200P(アルファテクノロジーズ社製)を用いて140℃にて%Cure@TP50を測定したところ、35%であった。次に、この半導電性発泡性ゴム組成物と接着剤を塗布した上記芯金2を同時にクロスヘッドダイ押し出し機により芯金2の外周上に未加硫・未発泡の半導電性ゴム層を形成した。
【0070】
次に、これを200℃の連続熱風炉に投入して加硫発泡を行い、弾性層端部を切断除去して軸方向の長さを225mmとし、ゴムローラ用研削機(トラバース研磨機、水口製作所製)にて弾性層の厚みを3mmまで研削して硬度測定を行った後、外径11.3mmの半導電性発泡弾性層を得た。500g荷重時のアスカーC硬度は28度であった。
【0071】
(機能性複層膜4のチューブ形成)
機能性複層膜4の外部層4aの材料として、スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体エラストマー(商品名ダイナロン、日本合成ゴム社製)100質量部、低密度ポリエチレン50質量部及びカーボンブラック(商品名ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)14質量部をV型ブレンダーで数分間混合した。これをさらに加圧式ニーダーを用いて190℃で10分間溶融混練し、冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押し出し機でペレット化した。
【0072】
内部層4bの材料として、ポリウレタンエラストマー(商品名クラミロン、クラレ社製)100質量部、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)17質量部、酸化マグネシウム10質量部及びステアリン酸カルシウム1質量部を、外部層4aの材料と同様の工程でペレット化した。
【0073】
これらのペレットを縦型押し出し機(プラ技研社製の特注品、図3参照)を用いて、一つのクロスヘッドで2重層となるように合流させ、適温の熱水(40〜90℃)中に押し出し、冷却後、引き取った。このようにして、内径約11.1mmの機能性複層膜4のチューブを得た。
【0074】
半導電性発泡弾性層3への被覆に使用しないチューブの一部をサンプリングし、切り開いて内部層4b(裏面側)と外部層4a(表面側)の表面抵抗率を高抵抗率計(ハイレスタIP、ダイアインスツルメンツ社製)にて測定したところ、内部層4bの表面抵抗率は2.0×108Ω/□であり、外部層4aの表面抵抗率は5.0×108Ω/□であった。また、その断面をビデオマイクロスコープにて観察し、内部層4bと外部層4aの厚みを観察したところ、内部層4bの厚みは400μm、外部層4aの厚みは100μmであった。
【0075】
次に、上記機能性複層膜4のチューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により半導電性発泡弾性層3の外周に嵌め込み、圧密着させて帯電ローラを得た。帯電ローラの外径は、12.15mmであった。
【0076】
この帯電ローラをレーザービームプリンター(商品名LBP−1660、キヤノン製)の一次帯電器(帯電ローラの被帯電体への両端当接での当接バネ圧は片側各500g)に用いて画像形成を行った結果、機能性複層膜4と半導電性発泡弾性層3の間に隙間が発生することなく、機能性複層膜4に皺が寄ることもなく、画像ムラや線状、点状の異常部もない良好な画像が得られた。
【0077】
さらに、画像形成中の騒音を評価するために、騒音計(商品名NL−05、RION社製)を用いて電子写真感光体の母線方向の中心線から20cmの距離でA特性補正音厚レベルを測定したところ、帯電ローラ1回転周期の帯電音の変化量は1dB以内であった。
【0078】
また、この帯電ローラを3ヶ月間放置後に外形を測定したところ、外径12.15mmと変わらず、良好な画像が得られた。
【0079】
[比較例1]
実施例1と同様の外径11.3mm、アスカーC硬度28度の半導電性発泡弾性層3を作製した。
【0080】
外部層4aの材料として、スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体エラストマー、商品名ダイナロン、日本合成ゴム社製)100質量部、低密度ポリエチレン50質量部及びカーボンブラック(商品名ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)14質量部をV型ブレンダーで数分間混合した。これをさら加圧式ニーダーを用いて190℃で10分間溶融混練し、冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押し出し機でペレット化した。
【0081】
このペレットを縦型押し出し機(プラ技研社製の特注品)を用いて、単層用のクロスヘッドで外部層のみを適温の熱水(40〜90℃)中に押し出し、さらに冷却し引き取った。このようにして、内径11.8mm、膜厚200μm、表面抵抗率8.0×107Ω/□の表面層チューブ(外部層用単層チューブ)を得た。
【0082】
内部層4bの材料として、ポリウレタンエラストマー(商品名クラミロン、クラレ社製)100質量部、カーボンブラック(ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)17質量部、酸化マグネシウム10質量部及びステアリン酸カルシウム1質量部を、外部層4aの材料と同様の工程でペレット化した。
【0083】
このペレットを表面層と同様に縦型押し出し機(プラ技研社製の特注品、図3参照)を用いて、単層用のクロスヘッドで内部層のみを適温の熱水(40〜90℃)中に押し出し、さらに冷却し引き取った。このようにして、内径11.1mm、膜厚400μm、表面抵抗率3.0×108Ω/□の中間層チューブ(内部層用単層チューブ)を得た。
【0084】
次に、中間層チューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により半導電性発泡弾性層3の外周に嵌め込み、圧密着させて外径11.95mmのローラとし、さらに表面層チューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により中間層の上に重ねて嵌め込み帯電ローラを得た。帯電ローラの外径は12.35mmであった。
【0085】
この帯電ローラを実施例1と同様にして連続100枚の画像形成を行った結果、両端部に画像濃度カブリが見られた。帯電ローラを取り出して観察したところ表面層と中間層の間で表面層の両端部が中央部に比べ約3mm程ずれが生じ、ネジレ状態になっていた。ただし帯電ローラを3ヶ月間放置後に外形を測定したところ、外径12.35mmと変化は見られなかった。
【0086】
[比較例2]
比較例1と同様の外径11.3mm、アスカーC硬度28度の半導電性発泡弾性層3を作製した。
【0087】
また、比較例1と同様にして、内径11.3mm、膜厚200μm、表面抵抗率8.0×107Ω/□の表面層チューブ(外部層用単層チューブ)及び内径11.1mm、膜厚400μm、表面抵抗率3.0×108Ω/□の中間層チューブ(内部層用単層チューブ)を得た。
【0088】
次に、中間層チューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により半導電性発泡弾性層3の外周に嵌め込み、圧密着させて外径11.95mmのローラとし、さらに表面層チューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により中間層の上に重ねて嵌め込み帯電ローラを得た。帯電ローラの外径は12.20mmであった。
【0089】
この帯電ローラを実施例1と同様にして評価した結果、表面層と中間層のずれは無く、画像ムラや線状、点状の異常部もない良好な画像が得られた。
【0090】
ただしこの帯電ローラを3ヶ月間放置後に外形を測定したところ、外径12.30mmで0.1mm増大しており表面層の表面抵抗率も7.0×1012Ω/□に高抵抗化しており、被帯電体への帯電不足のため画像全体にカブリを生じた。
【0091】
[実施例2]
実施例1と同様の外径11.3mm、アスカーC硬度28度の半導電性発泡弾性層3を作成した。
【0092】
また、実施例1と同様にして、内径11.1mmの機能性複層膜4のチューブを得た。内部層の表面抵抗率は5.0×108Ω/□で、厚みは200μmであり、外部層の表面抵抗率は1.0×1010Ω/□で、厚みは25μmであった。
【0093】
次に、上記機能性複層膜4のチューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により半導電性発泡弾性層3の外周に嵌め込み、圧密着させて外径11.60mmの帯電ローラを得た。
【0094】
この帯電ローラを実施例1と同様にして評価した結果、機能性複層膜4と半導電性発泡弾性層3の間に隙間が発生することなく、機能性複層膜4に皺が寄ることもなく、画像ムラや線状、点状の異常部もない良好な画像が得られた。3ヶ月間放置後の外形も11.60mmと変わらず、良好な画像が得られた。
【0095】
さらにこの帯電ローラを、被帯電体(電子写真感光体)に針で0.5mmのピンホールを開けた状態で画像形成を行った結果、ハーフトーン画像で0.5mmの黒点画像以外の画像欠陥は見られなかった。
【0096】
同様の評価を実施例1及び比較例2の帯電ローラについて行ったところ実施例1の帯電ローラではハーフトーン画像で0.5mmの黒点画像以外の画像欠陥は見られなかったが、比較例2の帯電ローラでは黒点が約0.6mmに広がっており、母線方向に横黒スジ画像も見られた。
【0097】
[比較例3]
実施例1の弾性層配合のうち、ダイアナプロセスオイルPW−380の使用量を45質量部に変更した以外は実施例1と同様にして半導電性発泡弾性層3用の半導電性発泡性ゴム組成物を得た。
【0098】
得られた組成物の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4)は35で、%Cure@TP50は36%であった。
【0099】
この半導電性発泡性ゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして芯金2の外周上に外径11.3mm、アスカーC硬度39度の半導電性発泡弾性層3を作成した。
【0100】
また、実施例1と同様にして、内径11.1mmの機能性複層膜4のチューブを得た。内部層の表面抵抗率は2.0×108Ω/□で、厚みは400μmであり、外部層の表面抵抗率は5.0×108Ω/□で、厚みは100μmであった。
【0101】
次に、上記機能性複層膜4のチューブを230mm長さに切断したものを、チューブ被覆装置(不図示)により半導電性発泡弾性層3の外周に嵌め込み、圧密着させて外径12.20mmの帯電ローラを得た。
【0102】
この帯電ローラを実施例1と同様にして評価したところ、3000枚を超えたところからハーフトーン画像において画像中央部にかぶりが見られた。また、被帯電体と帯電ローラの当接状態を測定したところ、中央部で約30μm程浮いていた。
【0103】
また、実施例1と同様にして騒音を評価したところ、帯電ローラ一回転周期の帯電音の変化量は4dBであった。
【0104】
【発明の効果】
本発明による低硬度な弾性層に機能性複層膜を被覆した帯電ローラは、チューブがよじれにくいため、チューブの弾性層に対する締め付け力を小さくすることが可能である。その結果、弾性層の見かけの硬度が固くなることもなく、本発明に用いられる弾性層のメリットを非常に効果的に導き出すことができる。さらに、チューブが伸びにくいため、帯電ローラ外径が大きくなることも少なく、抵抗値の変化も少ない帯電ローラを得ることが可能である。このように、本願発明においては、弾性層と弾性層上の被覆層の構成が相乗的に作用し、極めて優れた帯電均一性を得ることができた。また、かかる帯電部材を具備するプロセスカートリッジ及び電子写真装置が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電部材の一例の概略構成図である。
【図2】本発明に用いる半導電性ゴム組成物の加硫曲線と発泡圧曲線の一例を示す図である。
【図3】本発明に用いる押し出し機の一例の概略構成図である。
【図4】本発明の帯電部材を有するプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略図である。
Claims (6)
- 導電性の芯金、該芯金外周上の半導電性発泡弾性層及び該半導電性発泡弾性層外周上の機能性複層膜を有する帯電部材において、
該半導電性発泡弾性層が、該芯金と未加硫未発泡の半導電性ゴム組成物を押し出し機のクロスヘッドダイを通過させて、該芯金外周上に配置したものを加硫発泡させたものであり、
該半導電性ゴム組成物が、ムーニー粘度が15〜30であり、かつ、該発泡圧が50%に達したときの加硫%が40%以下であり、該機能性複層膜が、単独でチューブとして形成し被覆することが困難な薄肉の層を含む複層チューブであり、該機能性複層膜が、複層肉厚で150μm〜800μmであり、且つ前記単独でチューブとして形成し被覆することが困難な薄肉の層が、100μm以下であることを特徴とする帯電部材。 - 半導電性ゴム組成物が、DBP吸油量300(ml/100g)以上の導電性カーボンブラックをゴム成分100質量部あたり4〜15質量部含み、かつ、該導電性カーボンブラック量の2倍以上の軟化剤を含有する請求項1記載の帯電部材。
- 半導電性ゴム組成物が、ゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムを含有する請求項1または2に記載の帯電部材。
- 機能性複層膜が、複層肉厚で200μm〜600μmである請求項1に記載の帯電部材。
- 電子写真感光体及び該電子写真感光体に接触配置された帯電部材を有するプロセスカートリッジにおいて、
該電子写真感光体及び該帯電部材は一体に支持され、電子写真装置本体に着脱自在であり、
該帯電部材が、請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 電子写真感光体、該電子写真感光体に接触配置された帯電部材、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置において、
該帯電部材が、請求項1に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
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