JP4629450B2 - 帯電部材用被覆チューブの製造方法 - Google Patents

帯電部材用被覆チューブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、被帯電体に接触配置され、電圧を印加されることにより該被帯電体を帯電する帯電部材用の被覆チューブ製造方法に関する。
近年、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置に用いられる帯電手段として、接触帯電方式の帯電手段の採用が進められている。接触帯電は、被帯電体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって被帯電体を所定の極性及び電位に帯電させるものであり、電源の電圧を低くすることができる、オゾン等のコロナ生成物の発生を少なくすることができる、及び構造が簡単で低コスト化を図ることができる等の利点がある。
帯電部材に印加する電圧は直流のみを印加する方式(DC印加方式)の他に、直流電圧を接触帯電部材に印加したときの被帯電体の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する振動電界(時間と共に電圧値が周期的に変化する電界)を接触帯電部材と被帯電体との間に形成して被帯電体面を帯電処理する手法(AC印加方式)があり、この方がより均一な帯電をすることが可能である。
また、接触帯電装置は、被帯電体に接触させる帯電部材の形状や形態から、帯電部材をローラ状部材(帯電ローラ)としたローラ型帯電器、ブレード状部材(帯電ブレード)としたブレード型帯電器及びブラシ状部材(帯電ブラシ)としたブラシ型帯電器等に大別される(例えば、特許文献1、2参照)。
帯電ローラは回転自由に軸受支持されて被帯電体に所定の圧力で圧接され、被帯電体の移動に伴い回転する。
上記帯電ローラは通常、基体として中心に設けた芯金と、該芯金の外周にローラ状に設けた導電性の弾性層と、更にその外周に設けた表面層等を有する多層構造体である。
上記各層のうち、芯金(金属層)はローラの形状を維持するための剛体であると共に、給電電極としての役割を有している。
また、上記弾性層は通常、104〜109Ω・cmの体積固有抵抗を有すること、及び弾性変形することにより被帯電体との均一な接触を確保する機能が要求されるため、通常、導電性が付与されたゴム硬度(JIS A)70度以下の柔軟性を有する加硫ゴムが使用される。そして、従来の帯電ローラには、弾性層としてゴム発泡体(又はスポンジ状ゴム)を使用した発泡タイプとゴム発泡体を使用しないソリッドタイプがあった。また、上記表面層は被帯電体の帯電均一性を向上させ、被帯電体表面のピンホール等に起因するリークの発生を防止すると共に、トナー粒子や紙粉等の固着を防止する機能、更には弾性層の硬度を低下させるために用いられるオイルや可塑剤等の軟化剤のブリードを防止する機能等も有している。表面層の体積固有抵抗は通常、105〜1013Ω・cmであり、従来、導電性塗料を塗布すること、あるいはシームレスチューブを被覆すること等により形成されていた(例えば、特許文献3参照)。
シームレスチューブ製造装置は、押出しする機構により該シームレスチューブが押し出され、空冷機構、水冷サイジング機構、チューブ引き取り機構、チューブ切断機構の順序で該シームレスチューブを製造するが、該チューブ切断機構が回転歯のようなチューブと接触式の時、切断時の振動が水冷サイジング前のチューブに伝わりチューブが波打ってしまったり、また、チューブの送りが一瞬止められるためチューブ外径に微妙な差異が生じたりする(脈動が生じる)問題があった。
該チューブ切断機構がレーザーのような非接触式の時は、切断中もチューブが送られているためチューブの切断面が斜めになり、使用不可な部分が発生してしまうという無駄が生じた。
該チューブ引き取り機構をベルト型からローラ型に変更すると、引き取り精度が向上するということが分かっている(例えば、特許文献4参照)。しかし、ローラ型の引き取り機にするとチューブとの接点が減るため、振動はより伝わり易く、また、送りが止められた際のスリップも生じやすいという懸念点があった。
また、チューブが薄肉の場合、径が大きくなるほどその振動は伝わり易くなる傾向がある。
これら振動を抑えるために該水冷サイジング機構以降に、少なくとも1つの切断振動抑え装置を付けると振動は軽減されるが、強く抑えてしまうとチューブ送りを止めてしまい、完全に振動を遮断するには至っていなかった。
チューブ外径むらが大きいことは、厚みむらになっていることを示唆し、これを被覆すると該シームレスチューブの厚みむらがその下層の柔らかい発泡弾性体層の場合には緊縛度の差異となって抵抗むらを生じ、結果として画像むらとして認知される。
また、曲がって引き取られたシームレスチューブを被覆すると、ローラはその曲がりに応じて影響する。つまり、被覆後のローラ形状が該シームレスチューブの真直度の低さを呈することとなり、使用するプロセス条件下で画像むらとして認知されるレベルとなったため起こったものと考えられた。
特開昭56−91253号公報 特開昭64−24264号公報 特開平11−125952号公報 特開2003−71902号公報
本発明の目的は、被覆チューブ製造過程での切断機構によって発生する振動や切断部の無駄を抑え、チューブ送りを止めないで切断することにより、該シームレスチューブの真直度、外径むらにおける課題を解決した帯電部材用被覆チューブの製造方法を提供することである。
本発明に従って、上記課題は、重力方向に少なくともチューブを押出しする機構、空冷機構、水冷サイジング機構、チューブ引き取り機構およびチューブ切断機構有するシームレスチューブ製造装置を用いる、芯金外周上の弾性体に複数層のシームレスなチューブを被覆して帯電部材とする帯電部材用被覆チューブ製造方法において、
該チューブ切断機構が、該帯電部材用被覆チューブと直接接触する回転歯タイプであって、該チューブ引き取り機構と同調走行するものであり、
かつ、該帯電部材用被覆チューブの成形時の該チューブ引き取り速度が0.5〜20m/minである
ことを特徴とする帯電部材用被覆チューブ製造方法によって解決される。
本発明によれば、被覆チューブ製造過程での切断機構によって発生する振動や切断部の無駄を抑え、チューブ送りを止めないで切断することにより、該シームレスチューブの真直度、外径むらにおける課題を解決した帯電部材用被覆チューブが提供され、該帯電部材用被覆チューブは長手形状を真直に近く、外径むらを抑制した帯電部材とすることが可能となり、これを搭載した電子写真装置用カートリッジ及び電子写真装置は優れた特性を示す。
以下、本発明の実施の形態につき更に詳しく説明する。
図1は本発明にかかる帯電部材1’である帯電ローラの一例を示すもので、電子写真装置の帯電器として使用するものである。この帯電ローラは、ステンレススチール、めっき処理した鉄、黄銅及び導電性プラスチック等の良導電性材料からなる芯金1の外周に導電性の弾性材料からなる発泡弾性体層2を設け、更にこの発泡弾性体層2の外周にチューブ状の機能性複層膜3(以後、機能性複数層チューブ)を被覆したものである。図1の場合、機能性複数層チューブは発泡弾性層2から可塑剤などがブリードアウトすることを防止し、また、電極層あるいは帯電ローラの電気特性を支配する抵抗制御するための層である内部層3(i)と、感光体等の被帯電体に傷や汚染を与えないための表面層である外部層3(o)からなる。
本発明における芯金(金属層)としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、又はこれらを含む合金等の良導体が好適に用いられる。本発明に用いられる芯金の直径が4〜10mm程度であって、0.1〜1.5mm程度の厚さを有する金属管であっても、また棒状であってもよい。
上記発泡弾性体層2を構成する導電性を有する弾性材料としては、導電材を配合した発泡導電性ゴム組成物あるいは導電性ポリウレタンフォームを用いることができる。
この場合、発泡導電性ゴム組成物を構成するゴム成分としては、特に制限されるものではないが、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン等の発泡体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムの発泡体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムに導電材を配合したものの発泡体を好適に使用することができる。
これらゴム組成物に配合する導電材としては、カーボンブラック、黒鉛、金属及び導電性の各種金属酸化物(酸化錫及び酸化チタン等)等の導電性粉体や、カーボンファイバー及び金属酸化物の短繊維等の各種導電性繊維を用いることができる。その配合量は、全ゴム成分100質量部に対して好ましくは3〜100質量部、特に好ましくは5〜50質量部であり、これにより発泡弾性体層2の体積抵抗を101〜109Ω・cm程度に調整することが好ましい。なお、この発泡弾性体層2の形成は、公知の加硫成形法により行うことができ、その厚さは帯電ローラの用途等に応じて適宜設定されるが、通常1〜20mmが好ましい。
本発明においては、この発泡弾性体層2上に機能性複層膜(機能性複数層チューブ)3をチューブの形態で被覆する。
この場合、この機能性複数層チューブ3を構成する熱可塑性樹脂、エラストマーとしては、押し出し成形可能な熱可塑性樹脂、エラストマーであればいずれのものでもよく、具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンアクリル酸メチル共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びその他の共重合ナイロン等のポリアミド、水素添加スチレン系共重合体、エチレンブチル共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム及びポリノルボルネンゴム等の通常のゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)及びスチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)等の熱可塑性ゴムを使用することができ、特に制限されるものではない。
あるいは、上記の各樹脂や共重合体よりなるエラストマー及び変性体等のエラストマーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等の飽和ポリエステル;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)及びアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)等のスチレン系樹脂及びアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等がある。
該機能性複数層チューブに使用される樹脂、エラストマー及び共重合体等は前記したものであり、導電材等を適宜配合することにより、所望の特性を有するチューブ構成が得られる。
更に、上記ゴム、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂から選ばれた2種以上の重合体からなるポリマーアロイ又はポリマーブレンドも使用できる。
上記導電材としては、公知の素材が使用でき、例えば、カーボンブラック及びグラファイト等の炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム及び銅等の金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカ等を主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維等の導電性繊維;ステンレス繊維等の金属繊維;炭素ウィスカやチタン酸カリウムウィスカの表面を金属酸化物や炭素等により導電化処理した導電性チタン酸カリウムウィスカ等の導電性ウィスカ;及びポリアニリンやポリピロール等の導電性重合体微粒子等が挙げられる。
本発明に用いられる機能性複数層チューブは、上記各種重合体と、上記導電材及び必要ならばその他の添加剤からなる導電性重合体組成物を押し出し成形法で形成する。
更に、形成するチューブの各薄膜層の膜厚均一性、また導電材等の分散性がより均一であるものを得るために、本発明では図2に示されるような縦型のチューブ押し出し機を使用する。
本発明に用いられる機能性複数層チューブは単に成形するならば、押し出し成形法、射出成形法又はブロー成形法等によりチューブ状に成膜することにより得ることができる。また、例えばより優れた耐久性や耐環境性等を得ることを目的として、上記各種成形法により得られたシームレスチューブを更に架橋させて導電性架橋重合体とすることもできる。チューブ状に成膜された導電性重合体を架橋させる方法としては、重合体の種類に応じて硫黄、有機過酸化物及びアミン類等の架橋剤を予め添加しておき、高温下に架橋結合を生成させる化学的架橋法や、電子線やγ線等の放射線を照射することにより架橋させる放射線架橋法等が有効である。上記各種架橋法のうちでは電子線架橋法が架橋剤又はその分解生成物の移行による被帯電体の汚染の恐れがなく、更に、高温処理の必要がない点及び安全性の点で好ましい。
本発明に用いられる機能性複数層チューブの体積抵抗値は、104〜1010Ω・cmであることが好ましく、特には105〜109Ω・cmであることが好ましい。
また、本発明においては、適切に機能分離した極薄層のチューブが一体的に同時に形成されているので、各層を必要以上に厚い膜とすることもなく、全体構成の中で、発泡弾性体層の柔軟性を効果的に引き出すことが可能となっている。
本発明に用いられる機能性複数層チューブは種々の方法で成膜することができるが、前記のように押し出し法が好適である。即ち、予め重合体と導電材及び必要に応じて、架橋剤、安定剤及びその他の添加剤を混合したコンパウンドを製造し、該コンパウンドを押し出し機によりリング状スリットを有するダイスより押し出し、冷却することによって連続的にシームレスチューブを製造することができる(図2)。冷却の途中で又は冷却後再加熱して空気加圧等の手段を用いてチューブ径を拡大すれば熱収縮チューブが得られ、拡大処理をしなければ非熱収縮チューブが得られる。
本発明に用いられる機能性複数層チューブは、非熱収縮性と熱収縮性のいずれであってもよいが、実施例では非熱収縮性のものを採用している。
非熱収縮チューブである場合、発泡弾性体層と機能性複数層チューブの密着性を確保するためにはチューブ内径は、発泡弾性体層外径以下であることが必要である。圧縮空気を吹き込むことによりチューブ径を拡大させた状態で芯金を有する発泡弾性体層を挿入し、空気圧を解除すれば外嵌処理が完了する。
一方、熱収縮チューブの場合、チューブ内径は発泡弾性体層外径より大きいことが好ましく、芯金を有する発泡弾性体層を挿入した後、恒温槽の中で所定時間加熱する等の方法で発泡弾性体層に密着するようチューブを熱収縮させることにより外嵌処理が完了する。しかし、熱収縮チューブの場合、収縮後の膜厚が最終的な機能性複層膜の膜厚となるため、不測因子が入り易く、膜厚や分散剤の均一性が得難い。従って、これらの点を配慮して、例えばより分散条件を厳しくするとか、収縮前後の膜厚を反映した条件下での適用を行うことになる。
本発明は、重力方向にチューブを押出しする機構、空冷機構、水冷サイジング機構、チューブ引き取り機構、チューブ切断機構を有する、芯金外周上の弾性体に複数層のシームレスな小径薄肉チューブを被覆し帯電部材とする帯電部材用被覆チューブ製造装置において、チューブ引き取り機構と同調走行するチューブ切断機構を有する帯電部材用被覆チューブ製造装置を用いる。
次に、本発明に用いられる縦型押し出し装置を図2により説明する。成形に用いるダイス4には、空気導入用の中央通孔5の周囲に内外二重の環状の押し出し流路6、7が設けられており、成形に際しては内側流路6に第1押し出し機8から機能性複数層チューブを構成する内部層用ポリマーを、また外側流路7に第2押し出し機9から機能性複数層チューブを構成する外部層用ポリマーをそれぞれ加圧注入し、内部層3(i)と外部層3(o)を重ね合わせ一体化して押し出して得られた機能性複数層チューブ3の外周に設けた水冷リング10にて冷却し、これをチューブ引き取り装置21により送られ、所定長さに順次切断し、帯電ローラ用の機能性複数層チューブとして、次工程にて、芯金1を有する発泡弾性体層に被覆する。
ここで、本発明の技術の要点について、更に詳細に説明を行う。図2の押し出し装置における同調走行式切断機23は、本発明にて用いられる装置の一例を示している。同調の方法としては、例えば、引き取り機21の回転速度指令と同じ速度指令を受けた同調駆動モーターにより、切断機本体23を押し出し方向へ自走させなから、回転歯により切断する。切断後、待機位置にすばやく戻る。ここでの同調速度(引き取り速度)は、押し出し機の押し出し能力・チューブ径,膜厚等にもよるが、0.5m/min〜20m/min程度、好ましくは1m/min〜5m/min程度である。同調速度(引き取り速度)が遅いほど、送りを止めないという同調の効果は薄くなり、速いほど、走行の際の振動が大きくなってしまう。
また、図3(a)は切断機が回転歯のような接触タイプの時、チューブの送りが一瞬止められチューブ外径が一部大きくなり、チューブに外径の微妙な差異が生じる様子の模式図である。図3(b)は切断機がレーザーのような非接触タイプの時、切断中もチューブが送られ続けているために切断面が斜めになり、使用不可な部分が発生してしまう様子の模式図である。
また、図4(a)は切断機が回転歯のような接触タイプの時、チューブと少なくとも2点で接触するチューブチャック手段を装備していない場合と、図4(b)は装備している場合の切断時の振動の様子を示したものである。同調をすることで初めて、チューブの送りを止めることなく振動をしっかりと抑えることが可能となった。
本製造方法により得られたチューブ真直度及びチューブ外径ムラを求めたところ、真直度が1.5mm以下でかつ外径ムラが0.5%以下であった。
但し、チューブ外径むらの測定方法は、図5に示すようにチューブ径より若干小さめの径を持つステンレス棒にチューブを通し、該チューブ長手方向の5箇所の外径測定位置で、回転しながら周方向3箇所の外径平均値の最大値と最小値の差異Δの、全外径測定値の平均値Daとの100分率値(Δ/Da×100)を求めた。チューブの真直度の測定法は、図6に示すようにチューブの端部の直径Xaと、その端部の切断面と直行する最大チューブ曲がり幅Xbを測定した。チューブの真直度をΔXとすると、ΔX=Xb−Xaである。
チューブ外経むらが大きいことは、厚みむらになっていることを示唆し、これを被覆すると該シームレスチューブの厚みむらがその下層の柔らかい発泡弾性体層の場合には緊縛度の差異となって抵抗むらを生じ、結果として画像むらとして認知される。
また、曲がって引き取られたシームレスチューブを被覆すると、ローラはその曲がりに応じて影響する。つまり、被覆後のローラ形状が該シームレスチューブの真直度の低さを呈することとなり、使用するプロセス条件下で画像むらとして認知されるレベルとなったため起こったものと考えられた。
本製造方法により得られたチューブの真直度が1.5mm以下で、かつ外径ムラが0.5%以下のチューブを画像評価したところ、現在適用している構成より、格段に良いレベルのむらのない画像が得られた。
図7に本発明の帯電ローラを有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図7において、12は電子写真感光体であり、矢印方向に所定の周速度で回転駆動され、回転過程において、本発明にかかる帯電部材1’によりその周面に正又は負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)からの露光光13を受ける。こうして感光体12の周面に静電潜像が順次形成されていく。
形成された静電潜像は、次いで現像手段14によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体12と転写手段15との間に感光体12の回転と同期取りされて給紙された転写材16に、転写手段15により順次転写されていく。
像転写を受けた転写材16は、感光体面から分離されて定着手段17へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の感光体12の表面は、クリーニング手段18によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、繰り返し像形成に使用される。
本発明においては、上述の電子写真感光体12、帯電部材1’、現像手段14及びクリーニング手段18等の構成要素のうち複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成可能である。例えば、現像手段14及びクリーニング手段18を感光体12及び帯電部材1’と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール19等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ20とすることができる。
また、露光光13は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
より具体的には、実施例・比較例をもって以下に説明する。
「機能性複数層チューブの構成を抵抗調整層/導電性制御層とした場合」
抵抗調整層は材料そのものが適切な抵抗値を有する樹脂を用いてもよく、又はカーボンを混合して抵抗値を調整した樹脂でもよい。この例の各層材料を同時押し出しにより一体となった複層の機能性チューブを形成することができる。本発明においては、縦型押し出し装置を用いてチューブの形成を行う。
<芯金>
芯金は、鉄材を押し出し成形により、直径約5mmの棒材に押し出し、長さ260mmに切断後、これに化学メッキを厚さ約3μm施したものを用意した。
<発泡弾性体層の形成>
エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)に、加硫剤と発泡剤を配合し、混合したものを押し出し成形機により内径4.5mm、外径11.5mmのホース状に成形し、加硫缶内で発泡させた発泡弾性体層を長さ225mmに切り、その中心孔に、上記の直径5mm、長さ260mmの芯金を挿入した。
<機能性複数層チューブの形成>
機能性複数層チューブの外部層の材料として、水素添加スチレン系共重合樹脂(商品名:ダイナロン、JSR社製)100質量部(61.3質量%)、ポリエチレン(商品名:ペトロセン、東ソー社製)20質量部(12.3質量%)、カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)12質量部(7.4質量%)及び酸性カーボンブラック(商品名:Special Black 250、デグザ社製)20質量部(12.3質量%)、酸化マグネシウム(商品名:スターマグ、神島化学社製)10質量部(6.1質量%)、ステアリン酸カルシウム(キシダ化学社製)1質量部(0.6質量%)をV型ブレンダーで数分間混合した。これを更に加圧式ニーダーを用いて190℃で10分間溶融混練した。更に、冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押し出し機でペレット化した。
内部層の材料として、ポリウレタンエラストマー(商品名:クラミロン、クラレ社製)100質量部(76.3質量%)、カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC、ライオンアクゾ社製)20質量部(15.3質量%)、酸化マグネシウム(商品名:スターマグ、神島化学社製)10質量部(7.6質量%)及びステアリン酸カルシウム(キシダ化学社製)1質量部(0.8質量%)を、外部層の材料と同様の工程でペレット化した。
(実施例1)
縦型押し出し機(プラ技研社製の特注品、図2参照)を用いて、これら内部層・外部層の材料を1つのクロスヘッドで2重層となるように合流させ、ダイス4が温度155℃で適温の冷水10中に押し出し、更に冷却した後、チューブ引き取り装置にて引き取り速度2m/minで引き取った。図4(b)に示すようなチャック手段付きの回転歯による同調走行式の切断機で走行速度2m/minでチューブを切断した。このようにして、内径約12.0mmの機能性複数層チューブを得た。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で引き取り速度2m/minでチューブを引き取った後、図4(a)に示すようなチャック手段無しの回転歯による同調走行式の切断機で走行速度2m/minでチューブを切断した。このようにして、内径約12.0mmの機能性複数層チューブを得た。
(実施例3)
実施例1と同様の手順で引き取り速度0.5m/minチューブを引き取った後、図4(b)に示すようなチャック手段付きの回転歯による同調走行式の切断機で走行速度0.5m/minでチューブを切断した。このようにして、内径約12.0mmの機能性複数層チューブを得た。
(実施例4)
実施例1と同様の手順で引き取り速度7m/minチューブを引き取った後、図4(b)に示すようなチャック手段付きの回転歯による同調走行式の切断機で走行速度7m/minでチューブを切断した。このようにして、内径約12.0mmの機能性複数層チューブを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の手順でチューブを引き取った後、チャック手段無しの回転歯による固定式の切断機でチューブを切断した。このようにして、内径約12.0mmの機能性複数層チューブを得た。
得られた機能性複数層チューブの外径むらと真直度を測定した。
<帯電ローラの作製>
上記方法により得られた発泡弾性体層チューブに、チューブ被覆装置(不図示)により発泡弾性体層外周を嵌め込み、圧密着させた。
この帯電ローラをLBP(レーザービームプリンター;ヒューレットパッカード社製レーザージェット2−P)の一次帯電器に用いて画像形成を行った結果、機能性複数層チューブ3と発泡弾性体層2の間に隙間が発生することなく、機能性複数層チューブ3に皺が寄ることもなく、画像むら等のない良好な画像が得られた。
Figure 0004629450
このように、実施例1、2及び比較例1の帯電部材が組み込まれたプロセスカートリッジを用いた電子写真装置による評価も行っている。但し、本発明にかかる事例は、現在適用している構成より、格段に良いとして◎とし、現状の事例は、不適合とまではいかないので○としている。
本発明の帯電部材の一例の縦断正面図である。 本発明に用いる機能性複数層チューブの縦型押し出し機の一例の縦断正面図である。 本発明に用いる従来の固定式の切断機構の問題点を表した模式図である。 本発明の同調走行式切断機構に、ニップ手段がある場合とない場合の切断振動の模式図である。 本発明に用いるチューブの外径むらの測定方法の解説図である。 本発明に用いるチューブの真直度の測定方法の解説図である。 本発明の帯電ローラを有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成図である。
符号の説明
1 芯金(金属層)
1’ 帯電部材
2 発泡弾性体層
3 機能性複層チューブ
3(i) 内部層
3(o) 外部層
4 ダイス
5 中央通孔
6 押し出し流路
7 押し出し流路
8 第1押し出機
9 第2押し出機
10 水冷リング
11 電源
12 感光体
13 露光光
14 現像手段
15 転写手段
16 転写材
17 定着手段
18 クリーニング手段
19 レール
20 プロセスカートリッジ
21 引き取り機構
22 切断機構に付属するチャック手段
23 切断機構
24 ステンレス棒

Claims (1)

  1. 重力方向に少なくともチューブを押出しする機構、空冷機構、水冷サイジング機構、チューブ引き取り機構およびチューブ切断機構有するシームレスチューブ製造装置を用いる、芯金外周上の弾性体に複数層のシームレスなチューブを被覆して帯電部材とする帯電部材用被覆チューブ製造方法において、
    該チューブ切断機構が、該帯電部材用被覆チューブと直接接触する回転歯タイプであって、該チューブ引き取り機構と同調走行するものであり、
    かつ、該帯電部材用被覆チューブの成形時の該チューブ引き取り速度が0.5〜20m/minである
    ことを特徴とする帯電部材用被覆チューブ製造方法。
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