JP2001221224A - 画像形成装置に用いられるゴムローラ - Google Patents

画像形成装置に用いられるゴムローラ

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JP2001221224A
JP2001221224A JP2000027949A JP2000027949A JP2001221224A JP 2001221224 A JP2001221224 A JP 2001221224A JP 2000027949 A JP2000027949 A JP 2000027949A JP 2000027949 A JP2000027949 A JP 2000027949A JP 2001221224 A JP2001221224 A JP 2001221224A
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Japan
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coating layer
rubber roller
roller
rubber
conductive filler
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Application number
JP2000027949A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Doshoda
洋 道正田
Tomohiro Oikawa
智博 及川
Yukikazu Kamei
幸和 亀井
Hideki Onishi
英樹 大西
Shiro Wakahara
史郎 若原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 様々な環境変化に対する体積固有抵抗の変動
を0.5桁以内とした上、電気抵抗の位置ばらつきを約
0.8桁以内とし、トナー離型性、耐摩耗性、耐久性等
に優れ、さらに環境問題の面からリサイクルが容易な導
電性弾性部材からなり、電子写真プロセスにおける転写
ローラ等として好適なゴムローラ、および該ローラを使
用した画像形成装置を提供すること。 【解決手段】 基体と、この基体を被覆し、無極性ゴム
および抵抗調整のための導電性充填剤を主原料として生
成された発泡弾性体からなる第1被覆層と、さらにその
外表面を被覆し、有極性樹脂および抵抗調整のための導
電性充填剤を主原料とする第2被覆層とを有することを
特徴とするゴムローラ並びにこのゴムローラを用いた画
像形成装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真装置等に
用いられるローラ全般に関するものであり、特に、例え
ば、コピア、レーザープリンター等の画像処理装置にお
いて像担持体に当接して使用される導電性の転写用ロー
ラとして好適なゴムローラ、およびこのゴムローラを用
いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法においては、従来より、金属
ワイヤーに高電圧を印加し、発生するコロナにより感光
体を帯電させたり、転写させたりしている。しかし、こ
のコロナチャージ方式では、コロナ発生時にオゾンやN
Ox等のコロナ生成物が生じ、これが感光体の表面を変
質させるため、画像白抜けや黒スジが生じる等の画像品
質上の問題の他、オフィス環境の点においても問題があ
った。そこで、オゾンやNOx等を発生させない方式と
して、ゴムローラを感光体などに接触させて帯電及び転
写させる方式が提案されている。
【0003】電子写真方式の画像形成装置においては、
像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転移させる
ための手段として、像担持体に対向して付設された転写
ローラに転写材の背面側より数百V〜2kV程度の電圧
を印加して接触転写やを行うプロセスがある。これに用
いられる、転写ローラに要求される特性と最大の問題点
は、転写ローラの導電性ゴム基材内の体積固有抵抗の部
分的な抵抗ばらつきが少ないこと、および数万ロットレ
ベルで量産した際のロット毎での抵抗ばらつきが少ない
ことが挙げられる。通常、設定値が108Ω・cmであ
るとすると、使用する装置の条件にもよるが、前記ばら
つきとしては、0.8桁以内に抑えられている。これ
は、抵抗ばらつきが大きいと転写むら等の画像劣化や環
境条件によっては、転写不良が生じるため、ばらつき量
は小さければ小さい程良いが、ばらつき量を厳しく設定
すると転写ローラの歩留まり等に大きく影響してくる。
このばらつきに関しては、特にエチレン−プロピレン−
ジエン共重合ゴム(EPDM)等の無極性ゴムに抵抗調
整剤としてカーボンブラックや、金属酸化物等を充填さ
せたものの場合、その分散状態により部分的に抵抗ばら
つきが発生しやすい。また、この108Ω・cm付近の
中抵抗領域において、加硫ゴム中に添加する導電剤の量
の変化に対し、抵抗固有抵抗及びローラのゴム硬度の変
動が大きくなり、抵抗および硬度の調整が非常に困難で
ある。そのため、従来の発泡弾性ローラにおいては、電
気特性、転写性、耐圧縮性において満足できる特性が得
られていない。
【0004】さらに、ローラ全般に対する課題として、
トナー離型性、耐摩耗性および耐久性に優れ、かつ、環
境問題の面からリサイクルを容易にすることが求められ
ている。像担持体上に残った残トナーは、転写ローラに
転移して長期間の使用により汚染を引き起こし、転写不
良、裏汚れ、ローラの体積抵抗の上昇といった問題が生
じる。従って、この転写ローラに転移した残トナーをク
リーニングする必要があるが、その場合、転写ローラ表
面をブレード、ファーブラシ等でクリーニングする方法
や、所定の電圧を印加することにより、像担持体上にト
ナーを戻してやる方法等が考案されている。また、ロー
ラを構成する発泡弾性体は有機高分子化合物であり、原
料に戻してリサイクルすることが困難であるのが現状で
ある。
【0005】このように、転写ローラには多くの性能が
要求されるが、現状の転写ローラは多くの不具合を有し
ている。現在、商品化されている転写ローラとしては、
大きく分けると、ポリウレタン発泡体に導電性付与剤と
してイオン導電性充填剤を充填させたタイプと、エチレ
ン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)やシリ
コーンゴム発泡体に導電付与剤としてカーボンや金属酸
化物を充填させたタイプがあるが、いずれも十分な性能
が得られているとは言えない。
【0006】特に、従来の転写ローラ、すなわちウレタ
ンゴムにイオン導電性充填剤を充填したものや、EPD
Mやシリコーンゴムにカーボンブラック、金属酸化物を
充填したものでは、一長一短があるため、転写ローラに
印加するバイアスを電気的に制御したり、複雑な制御を
行うことにより問題を解決してきた。
【0007】近年、上記の問題を解決する手段として、
転写ローラの材質面に特徴を持たせた特許出願が数多く
出願されてきている。例えば、特開平5−332352
号公報記載の技術は、導電性材料として、エポキシ変性
シリコン樹脂中に、チャンネルブラックとファーネスブ
ラックの2種類からなる電子導電性付与剤を混合・分散
させた後、加熱して反応硬化させ、乾燥して半導電性ロ
ーラを得るもので、得られた半導電性ローラは、電気抵
抗の位置ばらつきが少なく安定した電気特性を示すこと
を特徴とされている。
【0008】また、上記以外にも、フッ素系樹脂、ナイ
ロン樹脂、シリコン樹脂等の材質の表層部を設けたもの
(特開平8−16003号公報)、アセチレンブラック
を添加した導電性フッ素樹脂からなる下層とカーボンブ
ラックを添加した導電性フッ素樹脂からなる表層との2
層構造としたもの(特開平9−138561号公報)、
最外層としてフッ素変性アクリレート系樹脂を用いたも
の(特開平10−90972号公報)、導電エチレンプ
ロピレンスポンジ層とその外周面にフッ素系フィルム抵
抗層を設けたもの(特開平8−63007号公報)、有
極性ゴムよりなる第1被覆層と可撓性の合成樹脂よりな
る第2被覆層を設けたもの(特開平9−134069号
公報)などが提案されている。
【0009】上記の特開平5−332352号公報に記
載の技術において、半導電性ローラは、2種類の電子導
電性付与剤を混合・分散させることによって電気抵抗の
位置ばらつきを制御している。しかしながら、チャンネ
ルブラックとファーネスブラックは製造方法が異なる
上、その特性もチャンネルブラックは表面に酸化物を有
することにより、低いpH値を示し、抵抗値も高いもの
が多いが、ファーネスブラックは一般的なカーボンブラ
ックであり、その比表面積や吸油性などの特性により導
電性能や凝集性が異なっている。よって、物性が全く事
なる2種類の電子導電性付与剤を混合・分散させること
は製造技術上非常に困難である上、電気抵抗の位置ばら
つきを約0.8以内に抑えることが十分に達成できてい
ない。このような半導電性ローラを帯電、現像および転
写ローラとして使用した場合、黒べた部の濃度むらやト
ナー飛散、文字の中抜けなどの画質不良が生じる。この
電気抵抗の位置ばらつきを抑制する手段として、ウレタ
ンゴムなどの有極性ゴムにイオン導電性充填剤を充填し
たローラなどが提案されているが(特開平10−221
980号公報)、これらのローラは逆に環境変化による
体積抵抗率変動が大きいという欠点がある。
【0010】なお、前記体積固有抵抗の設定値は、転写
効率、転写によるトナー飛散等を考慮すると、108Ω
・cm程度が好ましく、この値に対して、環境変化に対
する抵抗率変動が0.5桁以内であれば、実使用におい
て良好であることが確認できている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した従
来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、様々な環
境変化に対する体積固有抵抗の変動を0.5桁以内とし
た上、電気抵抗の位置ばらつきを約0.8桁以内とし、
トナー離型性、耐摩耗性、耐久性等に優れ、さらに環境
問題の面からリサイクルが容易な導電性弾性部材からな
り、電子写真プロセスにおける転写ローラ等として好適
なゴムローラ、および該ローラを使用した画像形成装置
を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
の結果、基体を、無極性ゴムと導電性充填剤を原料とす
る発泡弾性体で被覆し、さらにその外表面を有極性樹脂
と導電性充填剤とを原料とする樹脂で被覆することによ
り、上記課題を解決したゴムローラが得られることを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は以下の(1)〜(1
4)に存する。 (1) 基体と、この基体を被覆し、無極性ゴムおよび
抵抗調整のための導電性充填剤を主原料として生成され
た発泡弾性体からなる第1被覆層と、さらにその外表面
を被覆し、有極性樹脂および抵抗調整のための導電性充
填剤を主原料とする第2被覆層とを有することを特徴と
するゴムローラ。 (2) 前記第1被覆層を形成する発泡弾性体中に含有
される導電性充填剤が、電子導電性充填剤を含有するも
のである上記(1)記載のゴムローラ。 (3) 電子導電性充填剤の平均粒径が、5μm以下で
あることを特徴とする上記(1)記載のゴムローラ。 (4) 前記第2被覆層に含有される導電性充填剤が、
イオン導電性充填剤を含有するものである上記(1)記
載のゴムローラ。 (5) 前記第1被覆層を形成する発泡弾性体のアスカ
ーC硬度が、10゜〜70゜であることを特徴とする上
記(1)記載のゴムローラ。 (6) 前記第2被覆層の有極性樹脂が、可撓性の合成
樹脂からなることを特徴とする上記(1)記載のゴムロ
ーラ。 (7) 前記第2被覆層を形成する有極性樹脂の厚さ
が、30μm〜250μmであることを特徴とする上記
(1)記載のゴムローラ。 (8) 前記第2被覆層を形成する有極性樹脂の伸び率
が、10〜500%であることを特徴とする上記(1)
記載のゴムローラ。 (9) 前記第2被覆層の体積固有抵抗率ρ1と前記第
1被覆層を形成する発泡弾性体の体積固有抵抗率ρ2の
関係が、下式により表されることを特徴とする上記
(1)記載のゴムローラ。ρ1>ρ2 (10) 前記第1被覆層と前記第2被覆層とを接着す
る手段として、接着剤を用いないことを特徴とする上記
(1)記載のゴムローラ。 (11) 前記第1被覆層を形成する無極性ゴムの基質
が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPD
M)であることを特徴とする上記(1)記載のゴムロー
ラ。 (12) 前記第1被覆層と前記第2被覆層で形成され
たローラの体積固有抵抗率が106〜109Ω・cmの範
囲であることを特徴とする上記(1)記載のゴムロー
ラ。 (13) 前記第2被覆層を形成する可撓性の合成樹脂
の基質が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)であ
ることを特徴とする上記(6)記載のゴムローラ。 (14) 上記(1)ないし(13)の何れかに記載の
ゴムローラを、少なくとも、像担持体表面を接触帯電さ
せる帯電手段、上記像担持体表面に形成される静電潜像
にトナーを供給して顕像化する現像手段、及び上記像担
持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写
手段から選ばれる1つ以上の手段に用いたことを特徴と
する画像形成装置。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のゴムローラを使用する装
置としては、特に限定はないが、例えば、電子写真方式
等を採用する画像形成装置に用いることが好ましい。本
発明ゴムローラは、画像形成装置において、例えば、像
担持体表面を接触帯電させる帯電手段として用いられる
帯電ローラ、上記像担持体表面に形成される静電潜像に
トナーを供給して顕像化する現像手段として用いられる
現像ローラ、上記像担持体上に形成されたトナー像を記
録媒体に転写する転写手段において用いられる転写ロー
ラとして特に好適に利用されるほか、例えば、給紙ロー
ラ、定着ローラ、搬送ローラ、レジストローラ、排紙ロ
ーラ等として利用できる。
【0015】本発明のゴムローラを、図面により説明す
ると、図1および図2に示すような構造のものが例示さ
れる。図1は、本発明ゴムローラの一実施態様を模式的
に示す断面図であり、図2は、本発明ゴムローラの一実
施態様を示す斜視図である。図1中、基体1は、例え
ば、鉄、アルミニウム、SUS等のステンレス、真鍮な
どの金属で構成された、いわゆる「芯金」のほか、例え
ば、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる
芯体及びその表面にメッキを施したもの、熱可塑性樹脂
および/または熱硬化性樹脂に導電性付与剤としての導
電性カーボンブラック、金属粉末などを配合した導電性
樹脂成形品で形成した芯体、またはこれらの組み合わせ
からなる芯体など、プラスチック、金属、セラミック等
の任意の材料から選ばれる。
【0016】基体1を被覆する第1被覆層2は、無極性
ゴム4および導電性充填剤5を主原料とする発泡弾性体
からなり、その外表面部(像担持体と接触する部分)に
は、有極性樹脂6と抵抗調整のための導電性充填剤7を
主原料とした第2被覆層3を有する。第1被覆層の発泡
弾性体においては、無極性ゴム4に電子導電性充填剤5
を配合することにより、また、第2被覆層3において
は、有極性樹脂6にイオン導電性充填剤7を配合するこ
とにより、中抵抗化および抵抗値の調整が図られる。
【0017】第1被覆層に用いる無極性ゴム4として
は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム
(EPDM)、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)、ハイスチレンゴム、イソプレンゴム、
ブチルゴム、シリコンゴム、天然ゴム(NR)などが挙
げられる。
【0018】上記導電性充填剤5としては、例えば、4
級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビ
ニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレ
ン、ポリエチレンイミンなどの導電性樹脂、カーボン、
アルミニウム、ニッケルなどの導電性粒子をウレタン、
ポリエステル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ
メタクリル酸メチルなどの樹脂中に分散した導電性粒子
分散樹脂、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの
金属粉末、酸化チタン、酸化スズ、硫酸バリウム、酸化
アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシ
ウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの導電
性無機粒子、またはそれらのウィスカーもしくはマイカ
ーに必要に応じて酸化スズ、酸化アンチモン、カーボン
等で表面処理を行なったもの、カーボンブラック(例;
チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレン
ブラック)等が挙げられる。これら導電性充填剤の形状
は、例えば、球状、繊維状、板状、不定形など、どのよ
うな形状でもよい。本発明では、第2被覆層における導
電性充填剤として、特に、電子導電性充填剤(例;カー
ボンブラック等)を使用すると、電子導電性充填剤間の
放電により導電するので、長時間、無極性ゴムに電圧を
印加しても履歴を残すことなく使用可能となるため好ま
しい。
【0019】また、本発明では、電子導電性充填剤の平
均粒子径を好ましくは5μm以下、特に好ましくは1〜
5μmとすることにより、イオン導電性充填剤を使用し
た場合と同等の分散状態を実現することができ、電気抵
抗の位置ばらつきを生じないゴムローラを得ることが可
能となる。ここで、電子導電性充填剤の平均粒子径の調
整は、例えばボールミルを用いて微小粉砕することによ
り行われる。
【0020】本発明では、第1被覆層を形成する発泡弾
性体のアスカーC硬度を10゜〜70゜程度とすること
が好ましく、特に20〜60とすることがより好まし
い。アスカーC硬度を10゜〜70゜程度とすることに
より、転写ローラを感光体と対向して当接した際に形成
されるニップ幅が十分に確保でき、安定した画質が得ら
れ、安定した転写材の搬送が可能となる。なお、アスカ
ーC硬度は、アスカーC硬度計タイプC1L(高分子計
器株式会社)を用いて測定した。
【0021】第1被覆層の発泡弾性体への添加剤として
は、前記導電性充填剤以外に、例えば、加硫剤、加硫促
進剤、発泡剤、老化防止剤、補強剤、充填剤を必要に応
じて配合することができる。
【0022】上記加硫剤としては、例えば硫黄、有機含
硫黄化合物の他、有機過酸化物なども使用可能である。
有機含硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウ
ラムジスルフィド等を挙げることができ、また、有機過
酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド等を挙げるこ
とができる。なお、これらの中でも、加硫とともに発泡
を行う場合に、加硫速度と発泡速度のバランスが良くな
る点から硫黄を用いることが好ましい。
【0023】上記加硫促進剤としては、例えば、消石
灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無
機促進剤や、以下に記す有機促進剤を使用することがで
きる。有機促進剤としては、例えば、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ゾールスルフェン等のチアゾール系加硫促進剤、n−ブ
チルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン
等の脂肪族第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾー
ルとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジ
ン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプト
ベンゾチアゾールとの酸化縮合物や脂環式第1アミンと
2−メルカプトペンゾチアゾールとの酸化縮合物、モリ
フォリン系化合物と2−メルカプトベンゾチアゾールと
の酸化縮合物等のスルフェンアミド系加硫促進剤、テト
ラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラ
メチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチ
ルチウラムジモノスルフィド(TETD)、テトラブチ
ルチウラムジモノスルフィド(TBTD)、ジペンタメ
チレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウ
ラム系加硫促進剤、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛
(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(Z
nEDC)、ジ−n−ブチルカルバミン酸亜鉛(ZnB
DC)等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを使
用することができる。また、加硫促進助剤として、例え
ば、亜鉛華などの金属化合物やステアリン酸、オレイン
酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸を配合することができる。
【0024】上記発泡剤としては、例えば、水、A.I.
B.N.(アゾビスイソブチロニトリル)系、A.D.C.
A.(アゾジカルボンアミド)系、D.P.T.(ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミン)系、T.S.H.(p−ト
ルエンサルフォニルヒドラジド)、O.B.S.H.(4,
4‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド)な
どの有機系発泡剤が用いられる。発泡剤の配合量は、組
成物のゴム成分100重量部に対して5〜11重量部程
度が好ましい。これは、発泡剤の配合量が5重量部未満
では発泡が不十分になることがあり、11重量部よりも
多くなると発泡剤が加硫を阻害して、加硫が不十分にな
ることがあるためである。組成物を発泡体とすることに
より、柔軟性が向上するので、これを転写ローラとして
使用したとき、感光体と転写ローラのニップが十分に確
保でき、良好な画質を得ることができる。
【0025】上記老化防止剤としては、例えば、2−メ
ルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フ
ェニル−α−ナフチルアミン,N,N’−ジ−β−ナフ
チル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−
イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン
類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン
化フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。
【0026】上記充填剤としては、例えば、シリカ、ク
レー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基亜リン酸塩(D
LP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を
挙げることができる。充填剤を配合することにより、発
泡弾性体組成物の強度が向上するので好ましい。
【0027】前記第2被覆層3は、有極性樹脂6と抵抗
調整のための導電性充填剤7とを主原料とするものであ
る。有極性樹脂6としては、例えば、クロロポリスチレ
ン、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体(例;スチレン−アク
リル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共
重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル
酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エス
テル共重合体(例;スチレン−メタクリル酸メチル共重
合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレ
ン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α
−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン
系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体
または共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹
脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共
重合体、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフッ化ビニリ
デン樹脂(PVDF)およびこれらの共重合体や混合物
などが挙げられる。
【0028】本発明では、以下の理由から、第2被覆層
として特に可撓性の合成樹脂を用いることが好ましい。
すなわち、第1被覆層に化学的に安定であり、混入物と
化学反応を起こしたり、組成変化を生じることがなく、
安定した発泡倍率制御が可能で導電性充填剤との親和性
が高い無極性ゴム(例;EPDM)を用いることによ
り、感光体との摩擦付加が大きくなる、トナー離型性が
悪くなる、ローラ表面の残トナーのクリーニングが困難
になる、非常に摩耗しやすい等の傾向をもつが、第2被
覆層として可撓性の合成樹脂を用いることにより、上記
のような弊害を防止できる。また、ローラの再利用時
に、第2被覆層である可撓性の合成樹脂を剥がし、新し
い可撓性の合成樹脂を被覆することにより、第1被覆層
をそのまま再利用することが可能となり、環境にやさし
く、リサイクルが容易になる。このように、第1被覆層
を可撓性の合成樹脂の第2被覆層で被覆することによ
り、耐オゾン性に優れ、かつ高強度で、クリーニング性
にも優れ、リサイクルが容易な転写ローラ等のゴムロー
ラを得ることができるのである。好適な可撓性合成樹脂
としては、例えば、PVDFやフッ素樹脂等が挙げられ
る。
【0029】第2被覆層における導電性充填剤7として
は、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、
過塩素酸カルシウム等の無機塩、ラウリルトリメチルア
ンモニウムクローライド、ステアリルトリメチルアンモ
ニウムクローライド、オクタデシルトリメチルアンモニ
ウムクローライド、ドデシルトリメチルアンモニウムク
ローライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロ
ーライド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエト
サルフェート、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過
塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブ
チルアンモニウム、ホウフッ化テトラエチルアンモニウ
ム、塩化テトラブチルアンモニウムなどの第四級アンモ
ニウム塩、アルキルスルホン酸塩、リン酸エステル塩、
過塩素酸塩などが挙げられる。導電性充填剤7として、
特に塩化テトラブチルアンモニウム等に代表されるイオ
ン導電性充填剤を使用すると、イオン導電性充填剤と第
2被覆層を構成する高分子の極性基を通電する結果、有
極性樹脂への印加電圧に対する体積抵抗率変動の抑制、
および有極性樹脂の電気抵抗の位置ばらつきの抑制が可
能となるので好ましい。
【0030】本発明のゴムローラにおける第2被覆層の
厚さは、成形時のしわや転写時の異常放電等によるピン
ホールを防ぎ、ローラの適切な硬度及び体積固有抵抗、
耐摩耗強度を保持する観点から、30〜250μm程度
が好ましく、50〜230μmであればより好ましい。
【0031】また、第2被覆層を形成する有極性樹脂の
伸び率を10〜500%とすることが好ましく、特に2
0〜400であればより好ましい。伸び率が10%より
小さい場合には、第1被覆層が低硬度の場合に第2被覆
層のひび割れが生ずることがあり、伸び率が500%を
越える場合には、研磨性が悪化し所望の表面粗さが得ら
れない、電気抵抗の位置ばらつきが大きくなってしまう
などの欠点を生ずることがあるが、上記範囲内ではかか
る欠点を生ずることがない。
【0032】本発明では、ローラ表層及びローラ長手方
向への電荷移動速度を適正化し、転写ローラとして使用
した場合に記録紙のサイズがローラ幅より小さくなって
も転写電流が逃げることなく良好な画質が得られること
から、第2被覆層の体積固有抵抗率ρ1と第1被覆層を
形成する発泡弾性体の体積固有抵抗率ρ2の関係を、ρ
1>ρ2とすることが好ましい。また、本発明ゴムロー
ラを転写ローラとする場合には、第1被覆層と第2被覆
層で形成されたローラの体積固有抵抗率を106〜109
Ω・cmとすることにより、転写材を選ばず、全環境に
渡って良好な転写性能が得られるので好ましい。
【0033】本発明のゴムローラの製法であるが、まず
第1被覆層は、上記導電性充填剤の1種または2種以上
と、上記発泡剤、および過酸化物または白金触媒存在下
でハイドロジェンポリシロキサン、硫黄などの加硫剤を
所望の割合で一様に分散させた未加硫・未発泡のゴム材
料を、オープンロール、バンバリーミキサー等の公知の
ゴム混練装置を用いて混練する。この時、必要に応じて
加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、老化防止剤、帯
電防止剤などの添加物を適宜配合することもできる。上
記未加硫・未発泡のゴム材料を、例えばプレス成形、押
出成形、射出成形などの方法により成形する。次に、加
熱処理による加硫・発泡・硬化を行って、未発泡弾性体
と基体を一体化させることによって、金型の内周面に沿
った形状を有する目的の発泡弾性体を得ることができ
る。この際、基体には、その外周に、例えば耐熱温度が
220℃程度の接着剤を塗布しておくことができる。ま
た、上記発泡弾性体の表面に作製されたスキン層を研磨
及び研削することが好ましい。これにより、発泡弾性体
の硬度を低下させることが可能となり、圧接部材との摩
耗を防止することが可能となるほか、疲労によるスキン
層のひび割れを事前に防止することも可能となる。
【0034】上記のようにして得られた発泡弾性体の表
面に、例えば、有極性樹脂に導電性充填剤をドープする
ことにより抵抗率を調整した可撓性合成樹脂等からなる
第2被覆層を熱収縮により設ける。この第2被覆層の被
覆法は、熱収縮に限らず、例えば、第2被覆層を真空板
により拡大膨張させ、その内部に第1被覆層を挿入する
ことにより被覆してもかまわず、その他様々な手法を用
いることができる。この際、第1被覆層と第2被覆層の
間に接着剤を用いることもできるが、接着剤としては、
リサイクルの際に第2被覆層を容易に剥がすことがで
き、ゴムローラ表面に染み出すことが無く、ゴムローラ
全体の体積抵抗率に悪影響を及ぼさないものが好まし
い。本発明では、接着剤を用いずに第1被覆層と第2被
覆層を接着することがより好ましい。
【0035】本発明ゴムローラは、具体的には以下に例
示する方法で作製することが、作業上およびローラの性
能上好ましい。すなわち、前記第1被覆層は、ゴム組成
部の構成材料を混練機にて60〜120℃で、5〜30
分間混練し、押し出し成形機にてチューブ状に成型し、
その内径部に基体を嵌入する。そして120〜200℃
で5〜30分間加硫し、2次加硫を150〜180℃で
1〜4時間行う。この時、加硫と同時に前述したアゾジ
カルボンアミドなどの発泡剤を装入することにより、平
均気泡径が250μm以下で、且つアスカーC硬度が2
0〜60℃の範囲内にある発泡弾性体を得ることができ
る。加硫終了後、取り出したローラは、所望の径となる
よう必要に応じて表面研磨を施す仕上げを行うことによ
り、スキン層を除去し、外径、真円性、円筒度を出すこ
とが可能となる。
【0036】次に、有極性樹脂からなるチューブ(例え
ば、ポリフッ化ビニリデン樹脂チューブ)を第1被覆層
に熱収縮密着させた後、熱融着させ、第2被覆層を形成
する。ここで用いられる有極性樹脂チューブは、第4ア
ンモニウム塩等のイオン導電性充填剤を配合することに
より、好ましくは104〜1012Ω・cmの体積抵抗率
となるように調整したもので、熱収縮性がなくてもよい
が、好ましくは熱収縮性のものが用いられる。この際、
接着剤は使用しなくてもよい。このように弾性ロール体
に被着した可撓性合成樹脂チューブを、加熱により発泡
ゴム弾性層に対して融着させるが、その際の加熱はでき
るだけ均一であることが望ましく、空気循環式の加熱炉
を用いて除々に昇温することが好ましい。そしてその熱
処理の温度範囲は、100〜170℃の範囲であること
が好ましい。100℃より低いときは密着が十分でな
く、また170℃より高過ぎるときは、弾性層の表面平
滑度や硬度がばらつくなどの欠点が現れるので望ましく
ない。
【0037】本発明の実施の一形態である画像形成装置
について、図面により説明する。図3は本発明の画像形
成装置の概略断面図である。この画像形成装置は、コン
ピューターの出力装置として使用されるものであるが、
これ以外にワードプロセッサやFAXの印字部、デジタ
ル複写機の印字部等としても使用可能である。本発明の
画像形成装置において、被画像形成体に画像を記録する
為に必要な像担持体への画像形成方法は、カールソンプ
ロセスや背面露光方法の他、種々の作像原理を使用可能
であり、特に限定されるものではない。本実施の形態
は、カールソンプロセスによる画像形成装置の例であ
る。
【0038】上記画像形成装置は、主に、画像を形成す
る画像形成部10と、画像形成部10に用紙Pを供給す
る給紙装置30とから構成されている。上記画像形成部
10は、アルミ素管に感光層を配置した像担持体として
の感光体ドラム11と、感光体11の周囲にこの順序で
配置される帯電装置12、露光装置(レーザーユニッ
ト)13、現像装置14、転写装置15及び除電装置
(除電ランプ)16、並びに定着装置17を備えてい
る。上記帯電装置12は、感光体ドラム11の表面に均
一な電荷を付与するための帯電ローラ(帯電手段)18
と、該帯電ローラ18に電位を供給するための帯電電源
19とを備えている。上記レーザーユニット13は、帯
電された感光体ドラム11の表面に画像データに応じて
レーザーを照射し、該感光体ドラム11上に電荷パター
ンからなる静電潜像を形成する。上記現像装置14は、
上記レーザーユニット13の露光によって形成された上
記静電潜像に対して、現像剤であるトナー50を供給し
てトナー像を形成する現像ローラ(現像手段)21と、
該現像ローラ21に現像電圧を供給する現像電源22と
を備えている。
【0039】上記転写装置15は、用紙Pを感光体ドラ
ム11に圧接して感光体ドラム11に形成されたトナー
像を用紙Pに転写する転写ローラ(転写手段)23と、
転写時に該転写ローラ23に転写電圧を供給する転写電
源24とを備えている。除電ランプ16は複数のLED
からなり、感光体ドラム11の表面に光を照射して感光
体ドラム11の表面に残留した電荷を中和して除電す
る。上記給紙装置30は用紙Pを収容するカセット3
1、該カセット31から用紙Pを送り出すピックアップ
ローラ32、供給された用紙Pをガイドする給紙ガイド
33、給紙された用紙Pを所定の速度で搬送する一対の
レジストローラ34からなる。また、給紙装置30は、
用紙Pが供給されたことを検出する給紙センサ(図示せ
ず)を備えている。
【0040】上記のピックアップローラ32、帯電ロー
ラ18、現像ローラ21、転写ローラ23及び感光体ド
ラム11は図示しない駆動装置によって回転駆動され
る。これらの回転駆動は不図示のプロセスコントロール
ユニットによって所定のタイミングで適宜制御される。
また、画像形成部10の用紙Pの出紙側には、用紙Pを
装置外に排紙する排紙ローラ41と、排紙された用紙P
を保持する排紙トレイ42を配置している。上記構造の
画像形成装置において、本発明に係るゴムローラは、例
えば、帯電ローラ18、現像ローラ21、転写ローラ2
3等として好適に使用することができる。
【0041】
【実施例】次に、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。 実施例 本発明によるゴムローラを、転写ローラとして図3に示
す画像形成装置に組み込み、以下の(1)〜(8)の実
験を行った。ここで、転写ローラの基体の材質としては
鉄を用い、第1被覆層の無極性ゴムとしてはEPDM、
導電性充填剤としてはカーボンブラック、第2被覆層の
有極性樹脂としては、PVDF、導電性充填剤としては
塩化テトラブチルアンモニウムを使用した。また、以下
の表1〜7における◎、〇、△、×の記号は、それぞれ
各特性が、◎は極めて良好、〇は良好、△普通、×は不
良であることを示す。
【0042】(1)第2被覆層の厚さおよび伸び率の検
討:第2被覆層である有極性樹脂の厚さについて、10
〜300μmの範囲で、導電性弾性体硬度および耐摩耗
性について検討を行った。その結果を表1に示す。
【表1】 表1から明らかなように、有極性樹脂の厚さが30〜2
50μmの範囲では、成型時のしわの発生がなく、充分
な対摩耗性を得ることができ、帯電、転写時の異常放電
等によるピンホールが発生やゴムローラの硬度が上昇し
て所望の硬度を得られないなどの不都合がなく、良好な
結果が得られた。
【0043】また、第2被覆層である有極性樹脂の伸び
率について、10〜500%の範囲で被覆弾性体のひび
われ、円筒度、平面度について検討を行った。その結果
を表2に示す。
【表2】 表2から明らかなように、伸び率が10〜500%の範
囲では、対向部材との圧接時に第2被覆層のひび割れが
生じたり、研磨性が悪くなり、所望の表面粗さ(円筒
度)が得られないなどの不都合がなく、良好な結果が得
られた。
【0044】(2)導電性充填剤の平均粒径の検討:導
電性充填剤の平均粒径とゴムローラの電気的特性との関
係について検討を行った。その結果を表3に示す。
【表3】 表3から明らかなように、平均粒径が1〜5μmの範囲
で抵抗値の最も高い部分と最も低い部分の比が、1.2
倍を下回ることが判明した。よって、帯電、現像および
転写手段に使用する場合は、導電性充填剤の平均粒径を
1〜5μmにすることで、電気抵抗むらにより引き起こ
される画像濃度むらを生じることがないゴムローラを得
ることができた。
【0045】(3)アスカーC硬度の検討:ゴムローラ
の全体アスカーC硬度5〜80°について、C−set
の発生、磨耗劣化、ニップ幅等に関し、検討を行った。
その結果を表4に示す。
【表4】 表4から明らかなように、アスカーC硬度が10°〜7
0°の範囲では、十分な復元力を有し、C−setを生
じることがなく、感光体などの対向部材の摩耗劣化も生
じることがなく良好な結果が得られた。従って、転写手
段として使用する場合に十分なニップ幅を得ることがで
きた。
【0046】(4)体積抵抗率測定:ローラを感光体に
片側500gfの力で圧接しながら、印加電圧1000
Vを印加して、普通紙を通紙し、この時の転写電流値を
測定した。次に感光体をアルミ素管に交換して、測定し
た転写電流値で1分間定電流制御を行い1分後の電流値
を測定した。得られた転写電流値と電圧値を基に体積固
有抵抗率を計算した。その結果を表5に示す。
【表5】 転写手段として使用した際、体積抵抗率が1×106
1×109Ω・cmの範囲では、転写電流の過不足やパ
ッシェン放電のための転写効率の低下、トナー飛散、文
字中抜け等の画像劣化を生じることなく、良好な画像が
得られた。また、印加電圧を制御せずに定電圧制御した
場合、転写ローラに必要不可欠な転写電流を得るための
体積抵抗率の変動幅は、表6に示すように0.5桁以内
であることが判明した。
【表6】
【0047】(5)体積抵抗率変動:上記検討内容を踏
まえて、本発明のゴムローラの環境変化に伴う体積抵抗
率変動の検討を行った。測定は各環境(LL:温度5℃
・湿度20%、NN:温度20℃、湿度50%、HH:
温度35℃・湿度80%)において行った。得られた結
果を図4に記す。比較のため、第1被覆層を同材質とし
て、第2被覆層を有するもの(本発明ゴムローラ)と有
しないもの(比較ゴムローラ)をそれぞれ測定して、そ
の違いを検証した。図4では、LL〜HHの環境変動
で、第2被覆層を有する全体体積抵抗率が1×108Ω
・cm(NN値)の本発明転写ローラでは、0.4桁変
動しているのに対し、全体体積抵抗率が9×107Ω・
cm(NN値)の第2被覆層無しの転写ローラでは0.
2桁の変動であり、本発明ゴムローラは比較ゴムローラ
より、環境変化による体積抵抗率変動幅が若干大きくな
っているが、画質上問題がない変動幅であった。
【0048】(6)抵抗位置ばらつき:外径φ18、長
さ245mmの転写ローラを用いて、10mm幅の銅テ
ープを等間隔に周方向で90度毎に4点、長手方向で8
点、合計32点設置し、印加電圧1000Vで測定を行
った。得られた結果を図5に示す。図5から明らかなよ
うに、抵抗値の最も高い部分は抵抗値の最も低い部分の
1.2倍であった。これを第2被覆層の有無で比較する
と、第2被覆層無しでは約6.8倍であったのに対し、
第2被覆層ありでは1.2倍と位置ばらつきを低減でき
た。
【0049】(7)リサイクル性:劣化した転写ローラ
の第2被覆層を剥がし、同じ第1被覆層上に再度第2被
覆層を設けることによりリサイクルした転写ローラも、
新規の転写ローラと同等の性能を実現できることが確認
された。これにより、このような高分子発泡弾性体ロー
ラのリサイクルを容易にし、環境にやさしく製造コスト
をダウンさせることも可能となる。さらに、第2被覆層
無しのローラの表面にはトナーが目詰まりしてクリーニ
ングが困難であったが、第2被覆層有りのローラはトナ
ーの離型性が良くクリーニングは容易にできた。
【0050】(8)画質性能:さらに、LL、NN、H
H環境下にて、グレースケール、黒ベタ、白ベタ画像を
印刷したところ、図6および図7に示すように、第2被
覆層を有する本発明ローラはそれぞれ良好な画像(トナ
ーの転写効率が良くトナー飛散や濃度むらが発生しな
い)が得られたのに対し(図6)、第2被覆層無しの比
較ローラにおいては、LLにおいて、転写効率が低下し
所望の濃度が得られなかった(図7)。また、表7に示
すように、第2被覆層を有する本発明ローラについて
は、第2被覆層の体積抵抗率を第1被覆層の体積抵抗率
よりも高く設定することにより(ρ1>ρ2)、記録紙
のサイズがローラ幅よりも小さくなっても転写電流が逃
げることなく特に良好な画質を得ることができた。
【表7】
【0051】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、ゴムローラ
が、基体と、この基体を被覆する、無極性ゴムと抵抗調
整のための導電性充填剤を主原料として混合し、生成さ
れた発泡弾性体からなる第1被覆層と、さらにその上に
有極性樹脂に抵抗調整のための導電性充填剤とを主原料
とした第2被覆層を設けることにより、環境変化に対す
る体積固有抵抗の変動を0.5桁以内とした上、無極性
ゴムの欠点である電気抵抗の位置ばらつきを抑制するこ
とが可能となる。
【0052】請求項2に記載の発明では、第1被覆層を
形成する発泡弾性体中に含有される導電性充填剤とし
て、少なくとも電子導電性充填剤を用いることにより、
第1被覆層の基材であるゴムの極性の有無を選ぶ事なく
(予想外の化学変化を生じることなく)、導電性を容易
に付与することができ、基本的に環境変化による低効率
変動を生じさせないことが可能となる。
【0053】請求項3に記載の発明では、電子導電性充
填剤の平均粒径を5μm以下とすることにより、イオン
導電性充填剤を使用した場合と同等の分散状態を実現す
ることができるので、電気抵抗の位置ばらつきを生じな
いゴムローラを得ることが可能となる。
【0054】請求項4に記載の発明では、第2被覆層に
含有される導電性充填剤として、少なくともイオン導電
性充填剤を用いることにより、第2被覆層の基材である
ゴムの極性基にイオン導電性充填剤を静電的に結合させ
ることができるので、導電性充填剤を均一に分散するこ
とができ、場所的な抵抗率変動を抑制することが可能と
なる。
【0055】請求項5に記載の発明では、第1被覆層を
形成する発泡弾性体のアスカーC硬度を10゜〜70゜
とすることにより、転写ローラを感光体と対向して当接
した際に形成されるニップ幅が十分に確保でき、安定し
た画質が得られ、安定した転写材の搬送が可能となる。
【0056】請求項6に記載の発明では、第2被覆層に
可撓性の合成樹脂を使用するため、耐オゾン性に優れ、
ローラの強度を上昇させるだけでなく、トナーの離型性
を良くし、クリーニング性を向上させることができる。
また、ローラ表面のセルへのトナーの侵入を防止するこ
とにより、ローラの体積抵抗率の上昇を防止することが
可能となる。また、容易に可撓性合成樹脂を剥がすこと
ができるため、第1被覆層をそのまま再利用することが
可能となり、環境にやさしく、コストダウンにもなる。
【0057】請求項7に記載の発明では、第2被覆層を
形成する有極性樹脂の厚さを30μm〜250μmとす
ることにより、成形時のしわや転写時の異常放電等によ
るピンホールを防ぐことができるとともに、ローラの適
切な硬度、体積固有抵抗および耐摩耗強度を保持するこ
とが可能となった。
【0058】請求項8に記載の発明では、第2被覆層を
形成する有極性樹脂の伸び率を10〜500%とするこ
とにより、第1被覆層が低硬度の場合に生ずることがあ
る第2被覆層のひび割れや、研磨性が悪化し所望の表面
粗さが得られない、電気抵抗の位置ばらつきが大きくな
ってしまう等の欠点をなくすことができる。
【0059】請求項9に記載の発明では、第2被覆層の
体積固有抵抗率ρ1と前記第2被覆層を形成する発泡弾
性体の体積固有抵抗率ρ2の関係を、ρ1>ρ2とする
ことにより、ローラ表層及びローラ長手方向への電荷移
動速度を適正化でき、転写ローラとして使用した場合、
記録紙のサイズがローラ幅より小さくなっても転写電流
が逃げることなく、良好な画質を得ることが可能となっ
た。
【0060】請求項10に記載の発明では、第1被覆層
と第2被覆層とを、接着剤を用いずに接着することによ
り、リサイクルの際に第2被覆層を容易に剥がすことが
でき、第1被覆層をそのまま再利用することが可能とな
り、環境にやさしく、コストダウンになる。また、接着
剤がゴムローラ表面に染み出すことがなく、ゴムローラ
全体の体積抵抗率に及ぼす悪影響を防止することが可能
となる。
【0061】請求項11に記載の発明では、第1被覆層
を形成する基質として、無極性ゴムのEPDMを用いる
ことにより、導電性充填剤との親和性が高いので、導電
性充填剤を極力均一に分散することができ、耐オゾン性
に優れ、化学的に安定であり、他の混入物と化学反応を
起こしたり、組成変化を生じることもなく、安定した発
泡倍率制御が可能な弾性ゴムを実現することが可能とな
る。
【0062】請求項12に記載の発明では、第1被覆層
と第2被覆層で形成されたローラの体積固有抵抗率を1
6〜109Ω・cmとすることにより、転写ローラとし
て使用した場合、転写材を選ばず、全環境に渡って良好
な転写性能を得る事が可能となる。
【0063】請求項13に記載の発明では、第2被覆層
を形成する可撓性の合成樹脂の基質をPVDFとするこ
とにより、導電性充填剤を均一に分散させることがで
き、電気抵抗の位置ばらつきを生じないことから、第1
被覆層の場所的な体積抵抗率変動を抑制することが可能
となる。また、耐オゾン性に優れ、ローラの強度を上昇
させるだけでなく、トナーの離型性を良くしクリーニン
グ性を向上させ、ローラ表面のセルへのトナーの侵入を
防止することにより、ローラの体積抵抗率の上昇を防止
することが可能となる。さらに、容易に可撓性合成樹脂
を剥がすことができるため、第1被覆層をそのまま再利
用することが可能となり、環境にやさしく、コストダウ
ンにもなる。
【0064】請求項14に記載の発明では、ゴムローラ
を帯電、現像及び転写手段として使用することにより、
環境変化によるローラの体積抵抗率変動が少ないので、
印加電圧等を変化させる高価な電源は必要無く、装置の
コストダウンにつながる。さらに、耐オゾン性に優れ、
ローラの強度を上昇させるだけでなく、トナーの離型性
を良くし、クリーニング性を向上させ、ローラ表面のト
ナーの侵入を防止することにより、ローラの体積抵抗率
の上昇を防止することが可能となる。よって、品質的に
優れた画像を得ることが可能となる。また、容易に可撓
性合成樹脂を剥がすことができるため、第1被覆層をそ
のまま再利用することが可能となり、環境にやさしく、
コストダウンにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるゴムローラの概略構
成を示す断面図。
【図2】本発明ゴムローラの一実施形態の概略構成を示
す斜視図。
【図3】本発明ゴムローラの適用例である画像形成装置
の概略構成を示す断面図。
【図4】本発明および比較転写ローラの各環境における
体積固有抵抗値の変動を示すグラフ図。
【図5】本発明および比較転写ローラの電気抵抗の位置
ばらつきを示すグラフ図。
【図6】本発明転写ローラによる転写効率、文字抜け、
トナー飛散の変化を示すグラフ図。
【図7】比較転写ローラによる転写効率、文字抜け、ト
ナー飛散の変化を示すグラフ図。
【符号の説明】
1:基体 2:第1被覆層 3:第2被覆層 4:無極性ゴム 5:導電性充填剤 6:有極性樹脂 7:導電性充填剤 10:画像形成部 11:感光体ドラム 18:帯電ローラ 21:現像ローラ 23:転写ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀井 幸和 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 大西 英樹 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 若原 史郎 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H032 AA05 3J103 AA02 AA14 AA33 AA51 BA31 BA41 FA02 FA06 FA07 FA09 FA12 FA18 GA02 GA66 GA74 HA03 HA12 HA18 HA20 HA22 HA32 HA33 HA36 HA37 HA41 HA43 HA45 HA46 HA51 HA53

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体と、この基体を被覆し、無極性ゴム
    および抵抗調整のための導電性充填剤を主原料として生
    成された発泡弾性体からなる第1被覆層と、さらにその
    外表面を被覆し、有極性樹脂および抵抗調整のための導
    電性充填剤を主原料とする第2被覆層とを有することを
    特徴とするゴムローラ。
  2. 【請求項2】 前記第1被覆層を形成する発泡弾性体中
    に含有される導電性充填剤が、電子導電性充填剤を含有
    するものである請求項1記載のゴムローラ。
  3. 【請求項3】 電子導電性充填剤の平均粒径が、5μm
    以下であることを特徴とする請求項1記載のゴムロー
    ラ。
  4. 【請求項4】 前記第2被覆層に含有される導電性充填
    剤が、イオン導電性充填剤を含有するものである請求項
    1記載のゴムローラ。
  5. 【請求項5】 前記第1被覆層を形成する発泡弾性体の
    アスカーC硬度が、10゜〜70゜であることを特徴と
    する請求項1記載のゴムローラ。
  6. 【請求項6】 前記第2被覆層の有極性樹脂が、可撓性
    の合成樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のゴ
    ムローラ。
  7. 【請求項7】 前記第2被覆層を形成する有極性樹脂の
    厚さが、30μm〜250μmであることを特徴とする
    請求項1記載のゴムローラ。
  8. 【請求項8】 前記第2被覆層を形成する有極性樹脂の
    伸び率が、10〜500%であることを特徴とする請求
    項1記載のゴムローラ。
  9. 【請求項9】 前記第2被覆層の体積固有抵抗率ρ1と
    前記第1被覆層を形成する発泡弾性体の体積固有抵抗率
    ρ2の関係が、下式により表されることを特徴とする請
    求項1記載のゴムローラ。 ρ1>ρ2
  10. 【請求項10】 前記第1被覆層と前記第2被覆層とを
    接着する手段として、接着剤を用いないことを特徴とす
    る請求項1記載のゴムローラ。
  11. 【請求項11】 前記第1被覆層を形成する無極性ゴム
    の基質が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム
    (EPDM)であることを特徴とする請求項1記載のゴ
    ムローラ。
  12. 【請求項12】 前記第1被覆層と前記第2被覆層で形
    成されたローラの体積固有抵抗率が106〜109Ω・c
    mの範囲であることを特徴とする請求項1記載のゴムロ
    ーラ。
  13. 【請求項13】 前記第2被覆層を形成する可撓性の合
    成樹脂の基質が、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVD
    F)であることを特徴とする請求項6記載のゴムロー
    ラ。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13の何れかに記載の
    ゴムローラを、少なくとも、像担持体表面を接触帯電さ
    せる帯電手段、上記像担持体表面に形成される静電潜像
    にトナーを供給して顕像化する現像手段、及び上記像担
    持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写
    手段から選ばれる1つ以上の手段に用いたことを特徴と
    する画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518665A (ja) * 2005-12-01 2009-05-07 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. 画像形成装置用の帯電部材
JP2013037079A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Fuji Xerox Co Ltd 転写ロールおよび画像形成装置
JP2015165290A (ja) * 2014-02-05 2015-09-17 富士ゼロックス株式会社 転写部材および画像形成装置

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