JP3685700B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触転写方式を採用している電子写真装置等の画像形成方法に関するもので、特に、コピア、レーザープリンタにおける像担持体に当接して使用される転写装置部分を中心とする画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、従来、金属ワイヤーに高電圧を印加して、発生するコロナにより感光体を帯電させたり、転写させたりしている。しかし、このコロナチャージ方式ではコロナ発生時にオゾンやNOx等のコロナ生成物により感光体の表面を変質させるため、画像白抜けや黒スジが生じる等の画像品質上の他、オフィス環境の点においても問題があった。そこで、オゾンやNOx等を発生させない方式として、導電性弾性体を感光体などに接触させて帯電及び転写させる方式が提案されている。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体上に形成されたトナー像を記録材に転移させるための手段として、像担持体に対向して付設された導電性弾性体に記録材の背面側より数百V〜3kV程度の電圧を印加して接触転写を行うプロセスがある。
これら接触転写の接触転写部材として導電性弾性体を用いる場合、特開平8−90678号公報に提案されているように導電性弾性体の抵抗値を1×102〜1×1010Ωとなるような半導電領域にすることにより、適切な接触転写を実現することが可能となるとしている。また、環境変化によって転写効率が低下するのを防止する手段として、特開平2−300774号公報及び特開平4−190381号公報など、さらに記録材種類に応じて転写電圧を制御する手段として、特開平6−266243号公報に提案されている。
【0004】
しかし、前記のように導電性弾性体の抵抗値を1×102〜1×1010Ωの半導電領域にしても、適切な接触転写を実現するために必要な転写電流を得るためには、比較的抵抗が低い場合(1×1040Ω以下)、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を容易に越えてしまい、放電等が容易に生じ、供給電源操作が非常に困難になる。また、比較的抵抗が高い場合(1×109Ω以上)、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を越えるような電荷量を供給することは困難となり、明らかに転写電流不足のため良好な画像を得ることはできない。良好な画像を得るために十分な電荷量を供給すると、当接部材の耐電圧特性が問題となるだけでなく、環境面からもエネルギーのロスは大きい。
また、記録材の抵抗値を検知して接触転写部材に印加する転写電圧値を制御しても、多種類の記録材には全て対応できず、記録材種類に応じて転写電圧を制御しても、接触転写部材に用いる導電性弾性体の抵抗値にも基因して、高い転写効率だけでなく、高画質を維持することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の課題及び要望に応えるためになされたものであり、高い転写効率を有し、かつ高画質を維持することができると共に、多種類の記録材に十分に対応することができる画像形成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、次の構成を有するものである。
(1)像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[Vt]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、温度及び湿度が10℃及び30%以下である転写環境条件で、前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧5.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.9〜1.1の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【0007】
(2)像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[Vt]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、前記温度及び湿度が10℃及び30%を上回ると共に30℃及び70%未満である転写環境条件で、前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧4.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.9〜1.1の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【0008】
(3)像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[Vt]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、前記温度及び湿度が30℃及び70%以上である転写環境条件における前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧3.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.8〜1.2の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
【0009】
(4)前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材サイズの使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる上記(1)〜(3)に記載の画像形成方法。
(5)前記接触転写部材幅を基準とし、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のとき、前記記録材サイズの使用変更条件の付加する割合が1.0〜1.4( [ V t] / [ V k] )の範囲内である上記(4)記載の画像形成方法。
【0010】
(6)前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材の種類の使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる上記(1)〜(3)に記載の画像形成方法。
(7)前記記録材は普通紙を基準とすると共に、該普通紙に換えてオーバーヘッド用シートを記録材したとき、前記記録材料の使用変更条件の付加する割合が1.2〜1.5( [ V t] / [ V k] )の範囲内である上記(6)記載の画像形成方法。
【0011】
(8)前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材の両面転写における裏面転写の使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる上記(1)〜(3)の何れかの項に記載の画像形成方法。
(9)前記記録材の表面転写の転写電圧を基準とし、その基準に対して裏面転写の使用変更条件の付加する割合が1.2〜1.5( [ V t] / [ V k] )の範囲内である上記(8)記載の画像形成方法。
(10)前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に前記制御特性変更手段に前記転写環境を設定してなることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかの項に記載の画像形成方法。
(11)前記制御特性変更手段には前記転写環境の内の一番後に裏面転写を設定することを特徴とする上記(8)に記載の画像形成方法。
【0012】
本発明によれば、前記定電圧手段は前記定電圧制御を行う電圧値を転写環境に応じて変更することにより、即ち、使用環境等の転写環境による前記屈曲点特性の変更を制御特性変更手段で制御するので、前記定電圧手段は最適な転写電圧値[Vt]を決定し転写を行うことが可能となり、転写電流過不足による画質劣化を生じることなく、良好な画像を得ることが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略図である。図2は図1に示された接触転写部材の拡大断面図である。図3は図1及び図2で示される接触転写部材(導電性弾性体)での印加電圧に対する電流値の変動を示す特性線図である。図4は図1の画像形成装置における制御特性変更手段での処理を示すチャート図である。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体、例えば、感光体等に当接する接触転写部材を有し、その接触転写部材が導電性弾性体からなるものであれば、通常の形成装置と異なった適用形体、名称、総称等であって良く、その名称等に限定されない。
前記画像形成装置において、被画像形成体に画像を記録する為に必要な像担持体(感光体等)への画像形成はカールソンプロセスや背面露光方式や、その他の種々の作像原理を使用することが可能であって特に限定されるものではない。本実施の形態ではカールソンプロセスによる画像形成装置を例にとって説明する。
【0015】
図1は画像形成装置の概略断面図である。前記画像形成装置は、コンピューターの出力装置として使用されるものであるが、これ以外にワードプロセッサやファクシミリの印字部、デジタル複写機の印字部としても使用可能である。画像形成装置9は、主に、画像を形成する画像形成部10と画像形成部10に用紙Pを供給する給紙装置30と定着装置17とから構成されている。画像形成部10は、アルミ素管に感光層を配置した像担持体としての感光体ドラム11と感光体ドラム11の周囲にこの順序で配置される帯電装置12、露光装置(レーザーユニット)13、現像装置14、転写装置15、及び除電装置(除電ランプ)16とを備えている。
【0016】
前記帯電装置12は、感光体ドラム11の表面に均一な電荷を付与するための帯電部材(帯電手段)18と、該帯電部材18に電位を供給するための帯電電源19とを備えている。
前記レーザーユニット13は、帯電された感光体ドラム11の表面に画像データに応じてレーザーを照射し、感光体ドラム11上に電荷パターンからなる静電潜像を形成する。
前記現像装置14は、レーザーユニット13の露光によって形成された静電潜像に対して現像剤であるトナー50を供給してトナー像を形成する現像部材(現像手段)21と、現像部材21に現像電圧を供給する現像電源22とを備えている。
【0017】
前記転写装置15は、用紙Pを感光体ドラム11に圧接して感光体ドラム11に形成されたトナー像を用紙Pに転写する接触転写部材23と、転写時に接触転写部材23に一定の転写電圧を供給する定電圧手段24(転写電源)とを備えている。後述するように、接触転写部材23は導電性弾性体からなり、定電圧手段24は図示しない制御特性変更手段によって制御されて接触転写部材23に一定の転写電圧を印加している。
そして、前記定電圧手段24は、感光体11と接触転写部材23の間に電圧を徐々に印加した際の電流値が急激に変化する屈曲点に基づいて制御されて接触転写部材23に一定の転写電圧を供給している。また、その制御特性変更手段は、後述する転写環境に応じて前記屈曲点の特性を変更し、かつ定電圧手段24における転写電圧値[Vt]を変更制御している。
【0018】
前記除電ランプ16は複数のLEDからなり、感光体ドラム11の表面に光を照射して感光体ドラム11の表面に残留した電荷を中和して除電する。
前記給紙装置30は用紙Pを収容するカセット31、カセット31から用紙Pを送り出すピックアップローラ32、供給された用紙Pをガイドする給紙ガイド33、給紙された用紙Pを所定の速度で搬送する一対のレジストローラ34からなる。
また、給紙装置30は、用紙Pが供給されたことを検出する給紙センサー(図示せず)を備えている。
前記のピックアップローラ32、帯電部材18、現像部材21、接触転写部材23、及び感光体ドラム11は図示しない駆動装置によって回転駆動される。これらの回転駆動は不図示のプロセスコントロールユニットによって所定のタイミングで適宜制御される。また、画像形成部10の用紙Pの出紙側には、用紙Pを装置外に排出する排紙ローラ41と排紙された用紙Pを保持する排紙トレイ42を配している。
【0019】
上述した接触転写部材23は導電性弾性体からなり、本発明による一例であるローラ形状を有する導電性弾性体は、図2に示すような構造を有している。
即ち、基体1は鉄、アルミニウム、SUS、真鍮などで構成された、いわゆる「芯金」のほか、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる芯体及びその表面にメッキを施したもの、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂に導電性付与剤としての導電性カーボンブラック、金属粉末などを配合した導電性樹脂成形品で形成した芯体、またはこれらの組み合わせからなる芯体など、プラスチック、金属、セラミックから選ばれた任意の材料からなる基体1であり、その基体1に被覆された1層以上の弾性体2を有している。その弾性体2の内部を通電する手段として、弾性体2の内部に導電性充填剤3を混入し、電圧を印加した場合にはこの分散した導電性充填剤3間の通電により、導電性弾性体の通電を可能としている。これらの導電性或いは通電性はその画像形成装置の用途、目的によって異なる。従って、電圧の印加特性も適宜に異ならせることができる。
【0020】
また、形状は、基体1及び弾性体2が平板状の形状であるブレード形状、特に基体1を必要としないベルト形状など、ローラ形状に限らない。
前記弾性体2としては、ニトリルブタジェンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴムなどの有極性エラストマーや、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、およびこれらの共重合体や混合物などの無極性樹脂、クロロポリスチレン、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単量合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、フツ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、リビニルブチラール樹脂およびこれらの共重合体や混合物などの有極性樹脂も可能である。環境変化に伴う体積抵抗率変動の抑制効果及び低硬度化から、エチレン−プロピレンジェン重合体(EPDM)、ブタジェンゴム、スチレン−ブタジェンゴム(SBR)、ハイスチレンゴム、イソプレンゴム、プチルゴム、シリコンゴム、天然ゴム(NR)などの無極性エラストマーが最も好ましい。
【0021】
前記導電性充填剤3としては電子導電性充填剤が好ましく、例えば、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレンおよびポリエチレンイミンなどの導電性樹脂、カーボン、アルミニウム、ニッケルなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−ビニル共重合体およびポリメタクリル酸メチルなどの樹脂中に分散した導電性粒子分散樹脂、アルミニウム、ニッケル及びステンレスなどの金属紛未、酸化チタン、酸化スズ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの導電性無機粒子、またそれらのウイスカー及びマイカーに必要に応じて酸化スズ、酸化アンチモン、カーボン等で表面処理を行ったもの、またはカーボンブラック(チャンネルブラック、フアーネスブラック、アセチレンブラック)が挙げられ、これらの形状も球状、繊維状、板状、不定型などどのような形状でもよい。
導電性充填剤3としてこのような電子導電性充填剤を使用すると、電子導電性充填剤間の放電により導電するので、長時間、弾性体2に電圧を印加しても履歴を残すことがなく使用することが可能となる。
【0022】
前記導電性充填剤以外の添加剤としては、他に加硫剤、加流促進剤、発泡剤、老化防止剤、補強剤、充填剤を必要に応じて配合することができる。
前記加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物の他、有機過酸化物なども使用可能である。有機含硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。また、有機過酸化物としては、べンゾイルペルオキシド等を挙げることができる。なお、これらのうち、加硫とともに発泡を行う場合に加硫速度と発泡速度のバランスが良くなる点から硫黄を用いるのが好ましい。前記加硫促進剤としては、例えば、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、以下に記す有機促進剤を使用することができる。有機促進剤としては、例えば、2−メルカプトべンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェン等のチアゾール系加硫促進剤や、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、脂環式第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、モリフォリン系化合物と2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物等のスルフェンアミド系加硫促進剤や、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジモノスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジモノスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系加硫促進剤や、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジェチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ−n−ブチルカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを使用することができる。また、加硫促進助剤を配合することもでき、例えば、亜鉛華などの金属化合物やステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸を用いることができる。
【0023】
前記発泡剤としては、例えば、水、A.I.B.N.(アゾビスイソブチロニトリル)系、A.D.C.A.(アゾジカルボンアミド)系、D.P.T.(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)系、T.S.H.(P−トルエンサルフオニルヒドラジド)系、O.B.S.H.(4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド)などの有機系発泡剤が用いられる。発泡剤の配合量は組成物のゴム成分100重量部に対して5〜11重量部程度とする。これは5重量部未満では発泡が不十分になり、11重量部よりも多くなると発泡剤が加硫を阻害して、加硫が不十分になるためである。組成物を発泡体とした場合、柔軟性が向上する。これを転写手段として使用したときに、感光体と転写手段のニップが十分に確保でき、良好な画質を得ることができる。
【0024】
前記老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン,N,N′−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−P−フェニレンジアミンなどのアミン類、ジ−tert−ブチル−P−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。前記充填剤としては、例えば、シリカ、グレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合するとゴム組成物の強度が向上する。
【0025】
また、本発明による導電性弾性体の製法であるが、まず、1種類または2種類以上を組み合わせた前記2種もしくは3種以上の化合物からなる電子導電性充填剤と前記発泡剤(目的の導電性弾性体が発泡層を有する場合)、過酸化物または白金触媒存在下でのハイドロジェンポリシロキサンや硫黄などの加硫剤を所望の割合で一様に分散させた未加硫・未発泡のゴム材料をオープンロール、バンパリーミキサー等の公知のゴム混練装置を用いて混練する。この時、必要に応じて加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、老化防止剤、帯電防止剤などの添加剤を適宜配合することもできる。前記未加硫・(未発泡)のゴム材料を、例えばプレス成形、押出成形、射出成形などの方法により形成する。次に加熱処理による加硫、硬化、(発泡)を行って、(未発泡)弾性体と基体1を一体化させ、金型の内周面に沿った形状を有する目的の弾性体2を得ることができる。基体1は弾性体2の硬度を高くせずとも基体1でささえることができ、時間的なへたりなどによる圧力抜けを生じ耐久寿命が短くなることを防止することが可能となる。基体1には、その外周に耐熱温度が220℃の接着剤が塗布されている。この弾性体2の表面に作製させたスキン層を研磨及び研削する。これにより、弾性体2の硬度を低下させることが可能となるので、圧接部材との磨耗を防止することが可能となる.また、疲労によるスキン層のひび割れを事前に防止することが可能となる。以上の工程から基体1と弾性体2のみから構成される導電性弾性体を得る事が可能となる。
【0026】
本発明の画像形成装置においては、前記接触転写部材23と感光体11との間に電圧を徐々に印加した際の電流値が急激に変化する屈曲点の特性が測定される。かかる特性データは上述した制御特性変更手段に予め入力される。制御特性変更手段は定電圧手段24に内蔵されても良く、また別体として設けても良い。
図3に示すように、前記接触転写部材23に電圧を徐々に大きく印加していくと、電流値が急激に変化する屈曲部分が存在することが分かる。このような印加電圧−電流の特性線から、導電性弾性体である接触転写部材23に含有される前記導電性充填剤間の通電において、最近接の導電性充填剤間だけでなく、周囲近傍の導電性充填剤間に通電するためのしきい値を越え、そして、供給電荷量過多による異常放電を両者間で起こさない程度で、通電経路が多くなるポイントが屈曲点と言える。従って、前記屈曲点は接触転写部材23と感光体11との印加電圧−電流の各特性線図中、これらの屈曲点を正確に示すことが難しい場合は、後述するように所定の電流変化量以上で、その最小の印加電圧値で示される、それに相当する電圧値、電流値を屈曲点とすることができる。
【0027】
また、この屈曲点の特性は、即ち、接触転写部材23と感光体11との間の電圧−電流特性は図3に示すごとく転写或いは使用環境によって変わる。例えば、転写時の温度及び湿度の環境を以下の3段階(LL:10℃及び30%以下、NN:10℃及び30%を上回り30℃及び70%未満、HH:30℃及び70%以上)に分類すると、それぞれ異なる電圧−電流特性線図が得られ、この結果、屈曲点(A,B,C)も種種変化することがわかる。
前記制御特性変更手段にはこのような屈曲点の算出データと共に、これに応じた屈曲点電圧及び転写電圧の制御データも予め入力されることが好ましい。
【0028】
前記制御特性変更手段への転写環境の温度及び温度等の入力は、画像形成装置に設けた環境センサーによって自動入力するようにしても良く、また手動入力のマニュアル形式を採用しても良い。尚、前記発明の形態では、温度及び湿度の環境条件を3段階にして取り扱ったが、連続的なものとしても取り扱うことができる。
このように環境条件が入力された前記制御特性変更手段では、接触転写部材23と感光体11との屈曲点に応じた転写電圧が決定され、前記制御特性変更手段により制御される定電圧手段24はこの屈曲点に基づく一定の転写電圧値[Vt]で両者間に印加する。転写電圧の決定に際しては、転写電圧値/屈曲点電圧値のその割合([Vt]/[Vk])は、通常、その最適値が1となるが、屈曲点の選択精度関係及び後述の記録材の種類や大きさなどの転写環境によってその最適値は異なってくる。
【0029】
前記定電圧手段24は前記定電圧制御を行う電圧値を転写環境に応じて変更することにより、即ち、環境等による前記屈曲点特性の変更を制御特性変更手段で制御するので、定電圧手段24は最適な転写電圧値を決定し、接触転写部材23が転写を行うことが可能となり、転写電流過不足による画質劣化を生じることなく、良好な画像を得ることが可能となる。
【0030】
本発明では、上述のように、前記転写環境が温度及び湿度であり、該使用環境を複数の段階に分けて、前記制御特性変更手段を設定することが好ましい。
即ち、図3に示すごとく、複数の段階が3段階であり、10℃及び30%以下であるとき、前記接触転写部材への印加電圧100V当りの電流変化量をΔIn(nは印加電圧で、単位は100V)とすると、ΔIn≧5.0(μA)の関係が成立する最小の印加電圧値で定義される前記屈曲点での屈曲点電圧値[Vk]に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が0.9〜1.1の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが好ましい。
また、10℃及び30%を上回ると共に30℃及び70%未満)であるとき、前記接触転写都材への印加電圧100V当りの電流変化量をΔIn(nは印加電圧で、単位は100V)とすると、ΔIn≧4.0(μA)の関係が成立する最小の印加電圧値で定義される前記屈曲点での屈曲点電圧値[Vk]に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が0.9〜1.1の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが好ましい。
更に、30℃及び70%以上であるとき、前記接触転写部材への印加電圧100V当りの電流変化量をΔIn(nは印加電圧で、単位は100V)とすると、ΔIn≧3.0(μA)の関係が成立する最小の印加電圧値で定義される前記屈曲点での屈曲点電圧値[Vk]に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が0.8〜1.2の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが好ましい。
【0031】
このように使用環境における温度及び湿度を3段階に分けることによって、それぞれの環境でのその検知が容易に定まり、かつ屈曲点の屈曲点電圧値[Vk]を定数値としてそれぞれに固定的に算出することができるため、これに応じた転写電圧値[Vt]の算出、変更が簡略化することができる。前記の関係が成立する最小の印加電圧が示す屈曲点にて転写することにより、接触転写部材23中に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を越え、通電経路が多くなり、後述の表1で示されるように、感光体上のトナー像を記録材上に転写するために十分な転写電流をそれぞれの条件に応じて確保することができ、転写効率が高く良好な画像を得る事が可能となる。
尚、前記範囲を下回る転写電圧値[Vt]の選択では導電性弾性体に含有される最も近い導電性充填剤間で通電するので、導電性弾性体表面での抵抗むらが転写後に記録材上のトナー像の濃度むら等を生じさせる。また、前記範囲を上回る転写電圧値[Vt]の選択では導電性弾性体の最も近い導電性充填剤だけでなく、近傍の導電性充填剤に通電することになるので、転写後に記録材上のトナー像のむらを生じることはないが、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じ良好な画像を得られない。
【0032】
本発明の画像形成装置では、前記制御特性変更手段における転写環境の一つが記録材サイズの使用変更であることが好ましい。
前記転写条件の一つとして、記録材サイズに応じて転写電圧を変更することは、接触転写部材23と感光体11が直接接触する部分から転写電流が逃げてしまうが、記録材上の転写電流が不足することを防止することができる。記録材のサイズによって、屈曲点での電圧値と転写電圧値との関係を記録材サイズと更に関係付けして変更することによってあらゆるサイズの記録材においても良好な画像を得ることができる。
【0033】
特に、前記接触転写部材23の幅を基準とし、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のとき、前記屈曲点での電圧値[Vk]又は前記制御特性変更手段で変更した変更転写電圧値に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が1.0〜1.4の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが好ましい。
具体的には、後述の表2の結果から明らかなように、接触転写部材23の幅、即ち導電性弾性体の幅サイズと同等の記録材を基準として、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のとき、転写電圧値/屈曲点電圧値の割合([Vt]/[Vk])は1.0〜1.4の範囲とし、ベストモードが1.3である。尚、予め、温度及び湿度の転写環境により転写電圧値が変更されていれば、その変更転写電圧値が上記割合の分母となる。
【0034】
本発明の画像形成装置では、前記制御特性変更手段における転写環境の一つが記録材の種類の使用変更条件であることが好ましい。
前記制御特性変更手段は記録材種に応じて転写電圧値を変更することにより、記録材種の抵抗値が異なっても必要不可欠な転写電流を供給することが可能となる。
特に、前記記録材は普通紙を基準とすると共に、該普通紙に換えてOHPを記録材したとき、前記屈曲点での屈曲電圧値[Vk]又は前記制御特性変更手段で変更した変更転写電圧値に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が1.2〜1.5の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが好ましい。
前記記録材を普通紙の転写電圧を基準とし、その基準に対して記録材が0HPの時は、後述する表3の結果より、転写電圧値と屈曲点電圧値との間に1.2〜1.5の関係で、特にベストモードである1.4の関係で転写電圧を印加することにより、普通紙に比べて抵抗値が高い0HPにおいても必要十分な転写電流を供給することが可能となる。尚、予め、温度及び湿度の転写環境或いは記録材のサイズ等の使用環境により転写電圧値が変更されていれば、その変更転写電圧値が上記割合の分母となる。
【0035】
本発明の画像形成装置では、前記制御特性変更手段における転写環境の一つが記録材の両面転写における裏面転写であることが好ましい。
前記の制御特性変更手段は両面転写時の裏面転写電圧を変更することにより、表面転写時に記録材の抵抗値上昇が生じていたとしても、必要不可欠な転写電流を供給することができる。
特に、前記記録材の表面転写の転写電圧を基準とし、その基準に対して裏面転写は、前記屈曲点での電圧値[Vk]又は前記制御特性変更手段で変更した変更転写電圧値に対して前記転写電圧値[Vt]は、その割合([Vt]/[Vk])が1.2〜1.5の範囲内で選択されるように前記制御特性変更手段で設定されることが望ましい。
表面転写の転写電圧を基準とし、その基準に対して裏面転写の時は、後述する表4の結果より、転写電圧値と屈曲点電圧値との間に1.2〜1.5の関係で、特にベストモードである1.4の関係で転写電圧を印加することにより、表面に比べて抵抗値が高い裏面においても必要十分な転写電流を供給することができる。尚、予め、温度及び湿度の転写環境或いは記録材のサイズ及び種類等の使用環境により転写電圧値が変更されていれば、その変更転写電圧値が上記割合の分母となる。
【0036】
本発明の画像形成装置では、前記制御特性変更手段には少なくとも、最初に前記転写環境を設定してなることが好ましい。
前記制御特性変更手段は少なくとも、転写環境に応じた転写電圧値の変更を最初に行うことにより、転写電圧変更前の基準電圧を元にして変更した電圧が的確に接触転写部材に印加することができ、転写環境に応じた極めの細かい画像形成ができる。
【0037】
本発明の画像形成装置では、前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に前記制御特性変更手段に前記転写環境を設定してなることが好ましい。
このように、画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に転写環境に応じた電圧値の変更を行うにより、上述の転写環境に応じた極めの細かい画像形成ができると共に、前記制御特性変更手段に転写環境を電源投入時或いはウォームアップ時に入力する事が簡単にできる。
【0038】
本発明の画像形成装置では、前記制御特性変更手段に前記転写環境の内の一番後に裏面転写を設定することが好ましい。
前記制御特性変更手段は少なくとも、両面転写における裏面の電圧値の変更を最後に行うことにより、前記制御特性変更手段の処理手順を最小限とし、最適転写電圧を決定することができる。
【0039】
次に、本発明の好ましい形態での画像形成装置内における前記制御特性変更手段及び定電圧手段の使用を図4のチャート図に従って簡単に説明する。
先ず、画像形成装置の電源を投入すると、環境センサーが働き、温度及び湿度が検知される。検知された温度及び湿度は前記制御特性変更手段に入力される。前記制御特性変更手段ではその環境検知データに基いて3段階(場合によっては連続的に取り扱ってよい。)環境に分けた接触転写部材(導電性弾性体)23における印加電圧−電流特性からの屈曲点に応じた第1回目の転写電圧値を決定する。尚、後述の他の転写環境を必要としない場合は、この第1回目の転写電圧値が定電圧手段における電圧値を決定することとなる。
【0040】
次に、画像形成装置での記録材のサイズが選択されたとき、その記録材のサイズデータが前記制御特性変更手段に入力される。前記制御特性変更手段ではその使用環境検知データに基いて前記屈曲点に応じた第1回目の転写電圧値を更に変更して第2回目の転写電圧値を決定する。
次に、画像形成装置での記録材の種類が選択されたとき、その記録材の種類データが前記制御特性変更手段に入力される。前記制御特性変更手段ではその使用環境検知データに基いて前記屈曲点に応じた第2回目の転写電圧値を更に変更して第3回目の転写電圧値を決定する。
そして、第3回目の転写電圧値に基いて前記制御特性変更手段は前記定電圧手段24の電圧を制御し、定電圧手段24は最適な電圧を接触転写部材23に付与し、記録材Pには正確な画像転写が行われる。
【0041】
次に、画像形成装置にて記録材に転写を行う場合、両面転写が選択されているか否かが判断され、両面転写でない場合は、前記制御特性変更手段は第3回目の転写電圧値のままで定電圧手段24を制御する。
一方、画像形成装置にて両面転写が選択されたと判断された場合は、前記制御特性変更手段ではその使用環境検知データに基いて前記屈曲点に応じた第3回目の転写電圧値を更に変更して第4回目の転写電圧値を決定する。
そして、第4回目の転写電圧値に基いて前記制御特性変更手段は前記定電圧手段24の電圧を制御し、定電圧手段24は最適な電圧を接触転写部材23に付与し、記録材Pには正確な裏面の画像転写が行われる。
【0042】
従って、前記のような導電性弾性体を接触転写部材23として、OPC等の像担持体に当接または圧接し、供給電源として定電圧装置を用い、印加電圧を、その装置に一体或いは別体として設けた制御特性変更手段で定電圧制御することにより転写する。このような定電圧制御を行うことは、供給電源のコストを低く抑えることが可能となる。
また、通常、導電性弾性体が無極性弾性体と電子導電性充填剤との基本構成材質から成るとき、その導電性弾性体には環境変化における抵抗値変動がほとんど生じない。しかし、OPC等の像担持体やトナーなどのインキ材、記録材などは転写環境(温度及び湿度環境、使用環境等)によって抵抗値変化を生じる。そこで、本発明の実施の形態で示されるように、環境検知手段或いは環境入力手段を画像形成装置に設け、その出力データによって、定電圧制御を行う転写電圧値を決定することにし、これにより、転写電流過不足による画質劣化を生じることがなく、良好な画像を得ることができる。尚、環境検知手段としては、環境センサーに限らず、その他さまざまな手法が用いられる。また、その決定された電圧値を基準に、記録材の種類やサイズによって変更再決定が可能なものである。
【0043】
【実施例】
本発明の画像形成装置を以下の実施例に基づいて詳しく説明する。
先ず、図1に示す画像形成装置9の接触転写部材23である前記導電性弾性体は、具体的には以下の方法で作製するのが作業上及び性能上好ましい。すなわち、所望のカーボンブラック等の電子導電性充填剤を適宜配合したEPDMゴム組成部の構成材料を混線機にて60〜120℃で、5〜30分間混練し、押出成形機にてチューブ状に成形し、その内径部に基体1を嵌入する。そして120〜200℃で5〜30分間加硫し、2次加硫を150〜180℃で1〜4時間行う。この時、加流と同時に前述したアゾジカルボンアミドなどの発泡剤を入れ、平均気泡径が250μm以下で、且つアスカーC硬度が10〜70度の範囲内にある発泡弾性体を得ることができる。発泡体ではなくソリッドゴムを作製する場合は発泡剤を混入する必要はない。
【0044】
加硫終了後、取り出した導電性弾性体は、所望の径となるよう必要に応じて表面研磨を施す仕上げを行うことにより、スキン層を除去し、ローラ形状である場合は外径、真円性、円筒度を、ブレード及びベルト形状である場合は真直度、平面度を出す。このようにして得られた導電性弾性体を接触転写部材23とし図1に示す画像形成装置に組み込み、OPC等の感光体11に当接または圧接し、供給電源として定電圧装置を用い、印加電圧を定電圧制御することにより転写実験を行った。
印加する定電圧値の決定は、先ず、一般的な記録材において、環境センサーによって使用環境条件を検知し、その出力に応じて、3段階(LL:10℃及び30%以下、NN:10℃及び30%上回りかつ30℃及び70%未満、HH:30℃及び70%以上)に分類した。それぞれのLL、NN、HH環境に応じて、印加電圧を徐々に大きくした際に流れる電荷量が急激に変化する電圧−電流の特性線から屈曲点を検出する。各環境での印加電圧の固定値(0.2〜2.4kV)を変化させ、その特性線図から屈曲点での電圧を屈曲電圧値とする。
そこで、まず印加電圧を徐々に大きくした際に流れる電荷量について測定して、その結果を図3に示す。印加電圧を徐々に大きくしていくと、電流値が急激に変化する屈曲点が存在することが分かる。これは導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電において、最近傍の導電性充填剤間だけでなく、周囲の導電性充填剤間に通電するためのしきい値を越え、供給電荷量過多による異常放電を起こさない程度で、通電経路が多くなるポイントである。
【0045】
適正な抵抗を有する導電性弾性体では、NN環境において、印加電圧を増加させて100V当たり、電流値の上昇幅が4.0μA以上を示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の印加電圧値を特性線での屈曲点及び屈曲点電圧と定めることができる。
この屈曲点を示す印加電圧値(屈曲点電圧値)より低い印加電圧(印加電圧値/屈曲点電圧値の割合が0.7のとき。)は導電性弾性体に含有される最も近い導電性充填剤間で通電するので、導電性弾性体表面での抵抗むらが転写後に記録材上のトナー像の濃度むらとして生じさせた。また、屈曲点を示す印加電圧値(屈曲点電圧値)より高い印加電圧(印加電圧値/屈曲点電圧値の割合が1.3のとき。)は、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間は最も近い導電性充填剤だけでなく、近傍の導電性充填剤に通電することになるので、転写後に記録材上のトナー像のむらを生じることはないが、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じ良好な画像を得る事はできなかった。
これに対し、屈曲点を示す印加電圧値にて転写することにより、供給電荷量不足による記録材上のトナー像の濃度むらや、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じることなく、転写効率が高く良好な画像を得ることができた。
LL環境やHH環境は、NN環境と同条件にての転写では転写効率及び画質が十分ではなかった。
【0046】
そのため、LL環境において、印加電圧を増加させて100V当たり、電流値の上昇幅が5.0μA以上を示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の印加電圧値を特性線での屈曲点及び屈曲点電圧と定めることができる。
また、HH環境において、印加電圧を増加させて100V当たり、電流値の上昇幅が3.0μA以上を示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の印加電圧値を特性線での屈曲点及び屈曲点電圧と定めることができる。
LL環境及びHH環境とも、感光体(OPC)11やトナーなどのインキ材、記録材などの抵抗値が変化するが、上記のように印加電圧をシフトしただけで画質の与える影響はNN環境における結果とほとんど同様であった。その結果を表1に示す。
尚、NN環境での屈曲点電圧が1.4kV、LL環境での屈曲点電圧が1.6kV、HH環境での屈曲点電圧が1.2kVであった。本実施例では第1回目の転写電圧値をそれぞれの屈曲点電圧値とした。
また、各項目の評価基準は、○:良好、△:普通、×:不良である。
【0047】
【表1】
【0048】
次に、上記NN環境での上記屈曲点電圧又は第1回目の転写電圧値に基いて、A3〜A6の普通紙からなるそれぞれの記録材を用いた。これにより、導電性弾性体幅サイズと同等の記録材幅サイズの電圧値が基準となる。そして、かかる基準から異なる割合で接触転写部材に印加したときの各サイズの記録材における転写効率を測定した。その結果を表2に示した(条件:屈曲点電圧値が1.4kVの場合)。
【0049】
【表2】
【0050】
この結果、記録材サイズの幅が70%以下のとき、上記基準となる第1回目の転写電圧値に対して1.0〜1.4の割合で印加電圧を変更することが好ましい。ベストモード割合は1.3であった。
通常、制御しない定電圧手段を用いていることから、記録材が接触転写部材である導電性弾性体の幅サイズよりも小さい場合、感光体(OPC)11と直接接触している部分で転写電流が逃げてしまい、肝心の記録材の部分には必要十分な転写電流を供給することはできなかった。
このように記録材サイズの制御方法について決定にあたり、記録材のサイズによって、印加電圧を変化させることによって、あらゆるサイズの記録材においても良好な画像を得ることができる。
【0051】
次に、上記NN環境で、A3横サイズ環境の上記屈曲点電圧又は第2回目の転写電圧値に基いて、普通紙とOHPとからなるそれぞれの記録材を用いた。この場合、NN環境、A3横サイズ(導電性弾性体幅サイズ)、及び普通紙における屈曲点電圧値が基準となる。そして、かかる基準から異なる割合で接触転写部材に印加したときの各記録材別の転写効率を測定した。その結果を3に示した。
【0052】
【表3】
【0053】
この結果、記録材がOHPのとき、上記基準となる第2回目の転写電圧値に対して1.2〜1.5の割合で印加電圧を変更することが好ましい。ベストモード割合は1.3であった。
このように、記録材種類の制御方法について調べると、画像形成装置に使用する記録材種類として、OHPのみ抵抗値が特に異なるので、普通紙と同様の印加電圧では必要不可欠な転写電流を供給することができなかった。このため、OHPの場合は、印加電圧を普通紙の1.2〜1.5の割合ですることによって転写効率が90%以上で良好な画像を得ることができた。
【0054】
次に、上記NN環境で、A3横サイズ環境及び普通紙環境の上記屈曲点電圧又は第3回目の転写電圧値に基いて、普通紙の表面転写とその転写後の裏面転写とからなるそれぞれの記録材を用いた。この場合、NN環境、普通紙、及び表面転写における屈曲点電圧値が基準となる。そして、かかる基準から異なる割合で接触転写部材に印加したときの各記録材の表裏別の転写効率を測定した。その結果を表4に示した(条件:記録紙がA4横サイズ普通紙両面転写の場合)。
【0055】
【表4】
【0056】
この結果、記録材が裏面転写のとき、上記基準となる屈曲点電圧値或いは第3回目の転写電圧値に対して1.2〜1.5の割合で印加電圧を変更することが好ましい。ベストモード割合は1.3であった。
このように、記録材種類の制御方法について調べると、両面転写を行う場合、表面に比べて裏面は、トナー付着、ワックス付着及び定着時における記録材の水分蒸発などによる抵抗値の上昇が生じるため、表面と同様な印加電圧では必要不可欠な転写電流を供給することができないことがわかった。このため、裏面転写の場合は、印加電圧を普通紙の1.2〜1.5の割合ですることによって転写効率が90%以上で良好な画像を得ることができた。
【0057】
上記測定結果から実施例の画像成形装置の制御特性変更手段に上記の各データを入力し、図4で示す処理が行われるように制御特性変更手段を設定する。
この結果、画像成形装置に電源を投入した際に環境センサーが働き、制御特性変更手段には各転写環境の条件が設定される。具体的には、画像形成装置の電源投入時またはウォームアップ時に使用環境を検知して定電圧手段での転写電圧値が所定の値に変更される。
このような装置で、低温、低湿或いは高温、高湿等LL環境やHH環境であっても、またはがきサイズの記録材であっても良好な転写画像が得られる。
また、図4に示すごとく、両面転写時の裏面のための印加電圧変更は最後に行うことにより、制御特性変更手段の使用を最小限に抑えることができる。
【0058】
尚、接触転写部材23の形状はローラ、ブレード、ベルトどれにおいても得られた結果は同じであり、その構成は発泡層を含有する弾性層であっても、ソリッドゴムであっても同様であった。よって、接触転写部材の形状によるこれまでのさまざまなメリットを追及することができ、ローラの場合は記録材の安定した搬送と、装置の小型化、ブレードの場合はトナー飛散などの画質向上と、構成のシンプルさ、ベルトの場合はカラーにおいてタンデム方式を利用できスピードアップと、記録材の安定した搬送などが可能となる。また定電圧電源を用いたことによって、コストダウンが可能となった。
【0059】
【発明の効果】
以上、説明した通り、本発明の画像形成方法は、前記像担持体と接触転写部材の間に電圧を徐々に印加した際の電流値が急激に変化する屈曲点に応じた転写電圧を前記接触転写部材に供給する定電圧手段と、転写環境に応じて前記屈曲点の特性を変更して該定電圧手段における転写電圧値[Vt]を変更制御する制御特性変更手段とを具備するので、高い転写効率を有し、かつ高画質を維持することができると共に、多種類の記録材に十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略図である。
【図2】図2は図1に示された接触転写部材の拡大断面図である。
【図3】図3は図1及び図2で示される接触転写部材(導電性弾性体)での印加電圧に対する電流値の変動を示す特性線図である。
【図4】図4は図1の画像形成装置における制御特性変更手段での処理を示すチャート図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 基体
2 ・・・ 弾性体
3 ・・・ 導電性充填剤
9 ・・・ 画像形成装置
10・・・ 画像形成部
11・・・ 感光体
13・・・ 露光装置
15・・・ 転写装置
16・・・ 除電装置
17・・・ 定着装置
23・・・ 接触転写部材
24・・・ 定電圧手段
Claims (11)
- 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[Vt]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、
温度及び湿度が10℃及び30%以下である転写環境条件で、前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧5.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.9〜1.1の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[V t ]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、
前記温度及び湿度が10℃及び30%を上回ると共に30℃及び70%未満である転写環境条件で、前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧4.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.9〜1.1の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。 - 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する画像形成装置に、前記像担持体と接触転写部材の間に転写電圧を供給する定電圧手段と、該定電圧手段における転写電圧値[V t ]を変更制御する制御特性変更手段とを具備させ、
前記温度及び湿度が30℃及び70%以上である転写環境条件における前記転写部材と像担持体との間に電圧を徐々に印加した際の電流との関係で、印加電圧100V当たりの電流変化量をΔInとし、ΔIn≧3.0 ( μA ) の関係が成立する最小の印加電圧を屈曲点電圧値[Vk]として定め、前記制御特性変更手段により前記温度及び湿度の転写環境条件に応じて設定されている[Vt]/[Vk]の割合0.8〜1.2の範囲内で、前記転写電圧値[Vt]を変更制御して画像形成することを特徴とする画像形成方法。 - 前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材サイズの使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる請求項1〜3の何れかの項に記載の画像形成方法。
- 前記接触転写部材幅を基準とし、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のとき、前記記録材サイズの使用変更条件の付加する割合が1.0〜1.4( [ V t] / [ V k] )の範囲内である請求項4記載の画像形成方法。
- 前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材の種類の使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる請求項1〜3の何れかの項に記載の画像形成方法。
- 前記記録材は普通紙を基準とすると共に、該普通紙に換えてオーバーヘッド用シートを記録材したとき、前記記録材料の使用変更条件の付加する割合が1.2〜1.5( [ V t] / [ V k] )の範囲内である請求項6記載の画像形成方法。
- 前記温度及び湿度の転写環境条件で設定された前記転写電圧値[Vt]に、転写環境の一つである記録材の両面転写における裏面転写の使用変更条件に応じて設定される割合を付加して該転写電圧値[Vt]を設定してなる請求項1〜3の何れかの項に記載の画像形成方法。
- 前記記録材の表面転写の転写電圧を基準とし、その基準に対して裏面転写の使用変更条件の付加する割合が1.2〜1.5([Vt]/[Vk])の範囲内である請求項8記載の画像形成方法。
- 前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に前記制御特性変更手段に前記転写環境を設定してなることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の画像形成方法。
- 前記制御特性変更手段には前記転写環境の内の一番後に裏面転写を設定することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
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