JP5297698B2 - 一次転写ローラ - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真複写装置、プリンター及び静電記録装置等の画像形成装置において使用される転写ローラに関する。より詳しくは、電子写真プロセスや静電記録プロセス等の作像手段により、像担持体に形成・担持させたトナー像を、紙等の記録媒体や転写材に転写させる一次転写ローラに関するものである。
静電式複写機、レーザープリンター、ファクシミリなどの種々の電子写真装置には、各種導電性ゴム部品を使用した導電性ローラ等が使用されている。このようなロール状の部材は、一般的に、SUSまたは鉄などからなる円柱状の芯金と、この芯金の外周面上に設けられた導電層とから構成されている。また、この導電層は、カーボンまたはイオン導電剤等によりその抵抗値が1×105〜1×1010Ωに制御されている。近年、この導電層には、カラー化・高画質化・高速化のレーザープリンターに対応するために、抵抗値のばらつきや印加電圧による抵抗値の変動が小さく、安定した抵抗値が得られるゴムが使用されている。このゴムとしては、エピクロロヒドリン系ゴムを挙げることができる。
ここで、導電性ローラが転写ローラである場合も、上記と同様のことが言える。しかし、転写ローラはトナーを均一に効率よく転写させる特性を有し、かつ電子写真感光体や転写ベルトに接触させたときのニップ幅を充分に確保する必要がある。このため、転写ローラには、他の導電性ローラよりも更に低硬度であることが求められるようになっており、低硬度とするための様々な検討がなされている。
この転写ローラを低硬度にする手段としては、弾性層として発泡体を用いる方法を挙げることができる。ここで、この発泡体の硬度は通常、発泡体を構成するセルの大きさに依存しており、低硬度の発泡体はセル径が大きく、高硬度の発泡体はセル径が小さくなっている。
特開2006−259131号公報(特許文献1)には、セル径と硬度を両立させ、かつ転写効率の変化が少ないローラが開示されている。また、特開2006−235519号公報(特許文献2)には低硬度・低抵抗なローラが開示されている。
特開2006−259131号公報 特開2006−235519号公報
従来から、プリンター又は複写機等の電子写真装置に用いる転写ローラには確実にニップ幅を得るためにセル径の大きい低硬度な発泡体が用いられている。しかし、セル径が大きいと確実なニップ幅は得られても、トナーの転写抜けが発生する場合があった。この場合、転写効率を向上させるために、転写ローラに印加する電圧を大きくして電子写真感光体上のトナー像を強制的に転写させる方法をとることができる。しかし、このように転写ローラへの印加電圧を高くしすぎると、一度、転写させたトナー像が電子写真感光体に再転写してしまい、良好な画像が得られない場合があった。
また、特許文献1のローラはショアE硬度が20〜50と硬度の範囲が広く、硬度が30以上のローラはかなり高い硬度となってしまい、良好なニップ幅を得ることができなかった。また、この特許文献1のローラは抵抗値(LogR)が8.0程度と高く、転写効率を上げるためにはローラに印加する電圧を大きくする必要があった。この結果、電子写真感光体上へのトナー像の再転写が起こることとなっていた。更に、このローラについては、優れた転写効率が得られるセル径、ニップ幅等については詳細な検討が行なわれていなかった。
特許文献2のローラは、発泡状態や転写性についての十分な検討がなされておらず、硬度及び発泡状態と転写性との関係についての検討が不十分であった。
以上のように、従来の転写ローラでは、硬度や接触状態と、転写性との関係の検討が不明確であり、トナーを均一に転写できるローラについては未だ十分に検討されていなかった。また、従来の転写ローラでは、硬度、転写効率及び低抵抗値をすべて満足させることは困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、低硬度・低抵抗であり、転写ベルトへの接触性に優れ、かつ電子写真プロセスに使用した場合にトナーの再転写や転写抜けなどの画像不良を低減できる一次転写ローラを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態は、
芯金と、前記芯金の外周面上に発泡ゴム弾性層と、を有する一次転写ローラであって、
前記発泡ゴム弾性層は、ゴム成分としてエピクロロヒドリン系ゴム及びアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、前記ゴム成分100質量%中60質量%を超えるエピクロロヒドリン系ゴムを含有し、アスカーC硬度が10°以上25°以下であり、
前記一次転写ローラの隙間量は10μm以下であることを特徴とする一次転写ローラに関する。
低硬度・低抵抗で転写ベルトへの接触性に優れ、かつ電子写真プロセスに使用した場合に、トナーの再転写や転写抜けなどの画像不良を低減することが可能な一次転写ローラを提供することができる。
本発明の一次転写ローラは、芯金と、芯金の外周面上に発泡ゴム弾性層と、を有する。この発泡ゴム弾性層は、ゴム成分100質量%中60質量%を超えるエピクロロヒドリン系ゴムを含有し、そのアスカーC硬度は10°以上25°以下となっている。また、一次転写ローラの隙間量は10μm以下となっている。
なお、「一次転写ローラの隙間量」は、下記のようにして測定することができる。
(測定方法)
(1)図3に示すように、一次転写ローラを、φ30mm以上100mm以下のSUSドラムへ、端部荷重F=1.47(N)以下(一次転写ローラの両端部へ負荷される総荷重2F=2.94(N)以下)で当接させる。
(2)次に、SUSドラムを、一次転写ローラが1秒間に1回転以下で回転できるような速度で回転させる。このようにSUSドラムと一次転写ローラを回転させながら、一次転写ローラとSUSドラムの当接部に対して、背面より光源からの光を照射する。
(3)一次転写ローラとSUSドラムの当接部からの透過光をCCDカメラで検知し、長さ方向10分割、円周方向36分割の、計360の領域に分けて、各領域の隙間量を測定する。そして、計360個測定した隙間量のうち、最大値を「一次転写ローラの隙間量」とする。
図1は、本発明の一次転写ローラの一例を表わす図である。この一次転写ローラ6は、芯金61の外周面上に発泡ゴム弾性層62を有する。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
発泡ゴム弾性層は、ゴム成分100質量%中60質量%を超えるエピクロロヒドリン系ゴムを含有する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「エピクロロヒドリン系ゴム」とは、下記式(I)で表わされるように、主鎖がエーテル結合からなる重合体を表わす。
Figure 0005297698
(上記式(I)中のXは、水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表わす。)
上記Xは好ましくは、CH2Cl、H、又はCH2−O−CH2−CH=CH2であるのが良い。
また、エピクロロヒドリン系ゴムは、1種の単量体の重合体であっても、2種以上の単量体の重合体であっても良い。ここで、エピクロロヒドリン系ゴムの含量が、発泡ゴム弾性層においてゴム成分100質量%中60質量%以下であると、発泡ゴムの加硫速度の調整を行なうのと、発泡ゴム弾性層の抵抗値を下げるのが困難となる。すなわち、発泡ゴム弾性層中にエピクロロヒドリン系ゴムを多く含有させると加硫速度が速くなり、少ないと逆に遅くなる。このため、エピクロロヒドリン系ゴムの含量が60質量%以下の場合、エピクロロヒドリン系ゴムの加硫速度が遅くなると共に、加硫後の発泡ゴム弾性層は海島構造を有し、その分布にバラツキが生じてしまう。この結果、エピクロロヒドリン系ゴムの加硫速度が場所によって不均一に変化して、加硫速度の調整が困難、抵抗値・硬度が不均一となり、発泡ゴム弾性層の製造が困難となる。また、エピクロロヒドリン系ゴムが発泡ゴム弾性層においてゴム成分100質量%中40質量%未満となると、発泡ゴム弾性層を低抵抗値(1×107Ω以下)にするのが困難となる。この結果、発泡ゴム弾性層中にイオン導電剤や導電性カーボンを使用する必要があり、これらの導電剤による染み出しの問題や周ムラの問題が発生してしまう。
また、発泡ゴム弾性層のアスカーC硬度は、10°以上25°以下となっている。アスカーC硬度が10°未満の場合、発泡ゴム弾性層は発泡倍率を大きくして作成されるため、セル径が大きく連続気泡割合が多くなる。このため、圧縮永久歪性が悪化したり、導電性が低下して発泡ゴム弾性層の抵抗値が高くなってしまう。また、発泡ゴム弾性層中の空隙容積が大きいため応力を負荷された場合の発泡ゴム弾性層の圧縮量も大きくなり、圧縮によって電気抵抗値が大きく変わることとなってしまう。この結果、転写ローラとしての使用が困難となる。また、転写抜け等が発生して良好な画像が得られなくなる。一方、アスカーC硬度が25°を超えると十分なニップ幅を確保することができず、トナーの転写効率が低下してしまう。ここで、転写効率をあげるために一次転写ローラに印加する電圧を大きくすると、転写ベルトから電子写真感光体へのトナー像の再転写が起こってしまい、一次転写ローラの劣化を促進させてしまう。以上より、発泡ゴム弾性層のアスカーC硬度は10°以上25°以下とする必要がある。なお、アスカーC硬度は、13°以上23°以下がより好ましい。
一次転写ローラの隙間量は10μm以下であることが必要である。この隙間量が、10μmを超えるとトナーの転写抜けが発生する。このように一次転写ローラの隙間量が10μm以下であることは、転写効率を決定する上で非常に重要となる。すなわち、上記のようにアスカーC硬度を25°以下とすることにより、良好なニップ幅を得ることができるが、たとえ良好なニップ幅を得た場合であってもトナー像を記録紙に均一に転写できない可能性がある。すなわち、発泡ゴム弾性層を低硬度とし、良好なニップ幅を設けることによりトナー像の転写性をある程度、向上させることが可能となる。しかし、転写性にはこれ以外にも、転写ローラの表面状態や、転写ローラと転写ベルトとの微視的な接触状態等が大きく影響する。このため、たとえ一次転写ローラと転写ベルト間に良好なニップ幅が得られたとしても、発泡ゴム弾性層のセル径が大きかったり、連続気泡割合が多いことにより転写ローラの表面に凹凸があると、トナー像の転写抜けが発生する。ここで、「一次転写ローラの隙間量」とは、上記(測定方法)に記載の通り、一定の荷重を負荷して、一次転写ローラを所定のローラに当接させた際の、当接部分の微視的な隙間量を表わすものである。このため、一次転写ローラの隙間量を10μm以下とすることにより、一次転写ローラを良好な当接状態で転写ベルトに当接させることができ、優れた転写性を有することができる。この結果、この一次転写ローラを備えた画像形成装置では、優れた画像特性を有する画像を得ることができる。なお、この一次転写ローラの隙間量は、8μm以下が好ましい。また、上記(測定方法)により測定した360個の隙間量のデータのうち、隙間量の値が5μm以上の領域が、全体の5%以内であることが好ましい。
ここで、エピクロロヒドリン系ゴムは、下記(1)及び(2)の共重合体の少なくとも一方であることが好ましい。
(1)エピクロロヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体、
(2)プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体。
すなわち、エピクロロヒドリン系ゴムは上記(1)の共重合体、上記(2)の共重合体、又は上記(1)と(2)の共重合体の混合物であることが好ましい。これらのエピクロロヒドリン系ゴムとして、これらの共重合体を用いることによって、一次転写ローラは発泡ゴム弾性層を介して転写ベルトと良好なニップ幅を保つことができ、優れた転写性を有することができる。
なお、上記(1)のエピクロロヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体中のエチレンオキサイド含量は40モル%以上のものが好ましく、48モル%以上のものがより好ましい。また、エチレンオキサイド含量は、80モル%以下であることが好ましく、75モル%以下であることがより好ましい。上記(1)のエピクロロヒドリン系ゴムとしては、エチレンオキサイド含量が40モル%以上の単独のエピクロロヒドリン系ゴムでも良い。また、エチレンオキサイド含量が異なる複数の共重合体のエピクロロヒドリン系ゴムを混合しても良い。エチレンオキサイド含量を大きくすることによって、エピクロロヒドリン系ゴムの電気抵抗値を低くすることができる。このため、エチレンオキサイド含量を40モル%以上とすることにより、発泡ゴム弾性層を所望の電気抵抗値とすることができる。また、エチレンオキサイド含量を80モル%以下とすることにより、エチレンオキサイドが結晶化しにくくなり、環境依存性を低くすることができる。
上記(2)のプロピレンオキサイド(B)/エチレンオキサイド(A)/アリルグリシジルエーテル(C)の共重合体は、共重合比率が、A+B≦90モル%であり、且つB+C≦20モル%を満たすものが好ましい。AとBとの和であるA+Bを90モル%以下とすることにより、結晶性を低下させて良好な電気伝導性を達成させ、体積固有抵抗値を低下させることができる。また、A+Bを90モル%以下とすることにより、アリルグリシジルエーテル(C)含量を10モル%以上とすることができる。このため、アリルグリシジルエーテル(C)に由来する架橋サイトを十分に設けて、架橋による3次元構造を形成しやすくすることができる。この結果、一次転写ローラの表面へのブリードの発生を防止して、電子写真感光体の汚染を防止することができる。また、BとCとの和であるB+Cを20モル%以下とすることにより、電気伝導に寄与する構成単位であるエチレンオキサイド(A)を相対的に多くすることができる。この結果、発泡ゴム弾性層の体積固有抵抗値を低い値とすることができる。
一次転写ローラは、抵抗値をR[Ω]としたときのLogR(23.0℃、55%RH環境下)が、5.6以上7.0以下であることが好ましい。LogRが5.6以上であることにより、発泡ゴム弾性層中に、導電性カーボンブラックや液状のイオン導電剤を含有させる必要がなくなる。この結果、発泡ゴム弾性層の硬度の上昇を防止することができる。また、発泡ゴム弾性層の周方向の電気特性(周ムラ)が悪化して転写ムラが発生することを防止することができる。一方、LogRが7.0以下であるとトナー像を均一に転写させるために転写ローラに高い電圧を印加する必要がなくなる。この結果、転写ベルトから電子写真感光体へのトナー像の再転写を防止して、優れた画像を得ることができる。また、印加電圧を低く設定できるため、一次転写ローラの劣化や転写ローラ抵抗値の上昇を防止して、優れた転写効率を達成することができる。なお、LogR(23.0℃、55%RH環境下)は、5.6以上6.6以下がより好ましい。
発泡ゴム弾性層は、更にアクリロニトリルブタジエンゴムを含有することが好ましい。このようにアクリロニトリルブタジエンゴムを含有することにより、LogRを容易に5.6以上6.6以下に調整しやすくなる。また、アクリロニトリルブタジエンゴムは、エピクロロヒドリン系ゴムに比べて加硫速度が速いため、アクリロニトリルブタジエンゴムのブレンド比を変えることによって加硫速度及び転写ローラの硬度を容易に制御できる。
アクリロニトリルブタジエンゴムは、アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリル含量が10質量%以上20質量%以下のものが好ましく、10質量%以上18質量%以下のものがより好ましい。アクリロニトリル含量を20質量%以下とすることにより、発泡ゴム弾性層の環境依存性を小さくすることができる。また、アクリロニトリル含量を10質量%以上とすることにより、アクリロニトリルブタジエンゴムの抵抗値を低いものとすることができる。
本発明の一次転写ローラは、隙間量が10μm以下となっているが、このように隙間量を10μm以下とするための一つの方法としては、成形、加硫後の弾性層を研磨する方法を挙げることができる。また、より処理時間が短く低コストで隙間量を10μm以下とするためには、発泡ゴム弾性層の構成材料の加硫速度と発泡剤の量を調整することにより隙間量10μm以下とするのが好ましい。加硫速度は、125℃ムーニスコーチのt5が3分以上8分以下が好ましく、4分以上7分以下がより好ましい。また、発泡剤としてはp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)を使用し、発泡ゴム弾性層中に4質量部以下を含有させることが好ましい。
また、発泡ゴム弾性層中には、必要に応じて一般のゴムに使用されるその他の成分を含有させても良い。例えば、発泡ゴム弾性層中には必要に応じて、硫黄や有機含硫黄化合物等の加硫剤、各種加硫促進剤、各種滑剤やサブ等の加工助剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛やステアリン酸等の加硫助剤を配合することができる。また、これ以外にも、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、カーボンブラックなどの各種充填剤を配合することが可能である。
本発明の一次転写ローラは例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、オープンロール又は密閉式混練機等を用いて、未加硫の発泡ゴム弾性層材料を混練りする。次に、押出機により、未加硫の発泡ゴム弾性層材料をチューブ状に押出した後、加硫缶やUHFと連続加硫炉で加熱・発泡させて、チューブ状の導電性弾性層を作製する。この後、必要に応じて、この導電性弾性層を二次加硫させる。なお、導電性弾性層は二次加硫させてもさせなくても良いが、架橋密度を増加させてブリードを抑制する効果があるため、二次加硫を行なうことが好ましい。次に、この導電性弾性層の中空部分に、芯金を挿入して、所定の外径になるまで研磨することにより、発泡ゴム弾性層を備えた一次転写ローラを得ることができる。
図2に、本発明の一次転写ローラを用いた画像形成装置の一例を表わす。この画像形成装置は、画像形成に必要な現像剤の数に対応した数の電子写真感光体1を具備しており、フルカラープリントが可能なカラー用画像形成装置である。
この画像形成装置は、4つの画像形成部41〜44があり、各画像形成部はそれぞれ同じ構造を有する。すなわち、画像形成部41〜44は、電子写真感光体1、帯電ローラ2、画像情報書込みビーム3、現像装置4、電子写真感光体1上の各色トナー像を中間転写ベルト5に転写するための一次転写ローラ6からなる。さらに、電子写真感光体1上の各色トナー像を転写した後に電子写真感光体1に残留するトナーを除去するために、電子写真感光体1に当接するクリーニング部材7が設けられている。なお、必要に応じて、電子写真感光体1の帯電を除くために除電部材(図示していない)が設けられている場合もある。図2において、各画像形成部41〜44に共通する構造には、簡便のため、同一の符号を付してある。
また、本画像形成装置は、トナー(現像剤)として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)を使用する。なお、必要な場合は、さらに繊細な色構成とするために画像形成部の数を増やして、トナーの種類を増すことも可能である。さらに、本画像形成装置では、電子写真感光体1、帯電ローラ2、現像装置4及びクリーニング部材7を一体として組み合わせ、プロセスカートリッジとすることも可能である。また、これらの中から一部だけを適宜、組合せてカートリッジとすることも可能である。
また、本画像形成装置は、中間転写ベルト5を使用しており、該中間転写ベルト5は電子写真感光体1と一次転写ローラ6間のニップを通るようになっており、これらの具材に挟持されている。この中間転写ベルト5はさらに、駆動ローラ8、テンションローラ9及び従動ローラ10に掛け回されたエンドレスベルトとなっている。
また、帯電ローラ2、一次転写ローラ6及び二次転写ローラ11には、それぞれ電荷を調整するための帯電ローラ用電源2a、1次転写ローラ用電源6a及び二次転写ローラ用電源11aが設けられている。なお、本画像形成装置では、帯電ローラ2、一次転写ローラ6及び二次転写ローラ11は何れも導電性ローラ形式のものを示した。しかし、帯電部材及び二次転写部材は、導電性ローラに電荷を印加するタイプのものに限定されるわけではなく、放電形式のものであっても良い。
本画像形成装置の現像装置4には、電子写真感光体1に対峙して現像ローラ(「現像スリーブ」ともいう)が設けられている。また、この現像ローラには、現像ローラ上に担持されずに戻ってきたトナーを掻き取ると共に、新しいトナーを現像ローラへ供給するトナー供給ローラが当接されている。現像ローラには、トナーを均一に帯電させて現像ローラ上へのトナーの担持量を均一にするための現像ブレードが当接されている。更に、現像装置4内には、トナーを均一に混合して装置内でのトナーの帯電性を均一に保つための撹拌翼(図示していない)が設けられている。このトナーとしては、非磁性一成分トナーを用いることができる。なお、現像ローラ、現像ブレード等の仕様はトナーの種類によって異なるものとすることができ、現像ローラから電子写真感光体上へトナーを担持させるために現像ローラに印加する電圧も、トナーの種類に応じて最適の値を選択することができる。
以下に、このカラー用画像形成装置による画像形成過程について説明する。
なお、各画像形成部41〜44における画像形成過程は、現像剤の種類が異なる以外は基本的に同じであるため、以下では、一つの画像形成部における画像形成過程を説明する。まず、矢印の方向に所定の速度で回転している電子写真感光体1を、帯電ローラ2によって帯電させる。なお、この帯電ローラ2による帯電方法は直流電圧の印加のみでもよいし、直流電圧に交番電圧を重畳して印加しても良い。このようにして帯電された電子写真感光体1は回転しつつ、画像情報書込みビーム3の照射位置で、各トナーの色に応じて形成された画像情報が付与された画像情報書込みビームを照射される。この結果、電子写真感光体1の表面には、画像情報に応じた静電潜像が形成される。次いで、電子写真感光体1の回転に伴い、この静電潜像は現像装置4の位置に来た際、現像装置4からカラートナーが供給されて、電子写真感光体1の表面上でトナー像(可視画像)となる。
この電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、電子写真感光体1の外周面が一次転写ローラ6の位置に来たときに、電子写真感光体1の表面から中間転写ベルト5の表面に転写される。次に、トナー像を転写後の電子写真感光体1はさらに回転してクリーニング部材7の位置に来たときに、クリーニング部材7により、その表面上に残るトナーやごみくずが除去される。この後、必要により除電された後、次の画像形成に供される。
以上のようにして、各画像形成部41〜44の電子写真感光体1は、プロセススピードにあわせて回転し、中間転写ベルト5上には順次、各画像形成部41〜44の電子写真感光体1からトナー像が転写される。そしれ、これらのトナー像は中間転写ベルト5の搬送に伴って重ね合わされて最終的にカラートナー像が形成される。この後、全ての画像形成部41〜44からカラートナー像を担持された中間転写ベルト5は矢印方向に移動する。
更に、テンションローラ9に対峙するように二次転写ローラ11が設けられ、このテンションローラ9と二次転写ローラ11間のニップ内を、中間転写ベルト5が挟持されて搬送されるようになっている。一方、給紙部(図示していない)からは転写材Pの送りローラ対14及びガイド15を介して、中間転写ベルト5と同期するように転写材Pが供給される。そして、テンションローラ9と二次転写ローラ11間のニップを、中間転写ベルト5と転写材Pが同時に通過する。この中間転写ベルト5と転写材Pが該ニップを通過する際に転写材Pは加圧され、中間転写ベルト5上のフルカラートナー像は転写材Pに転写される。この転写後、中間転写ベルト5上に残留したトナー及びごみくずがクリーニング装置12で除去された後、中間転写ベルト5は再び画像形成部41〜44内を通過する。そして、この画像形成部41〜44内を通過時に、中間転写ベルト5上には上記のようにして再度、トナー像が重ね合わされる。
また、一括してカラートナー像を転写され、該カラートナー像を担持した転写材Pは、二次転写ローラ7とテンションローラ9のニップを通過後、中間転写ベルト5から離れて定着装置13に送られる。そして、この転写材Pは、定着装置13を構成するローラ間を通過する際に加熱、加圧されて、転写材P上のカラートナー像は、転写材Pにカラー画像として定着される。この後、転写材Pは、カラー用画像形成装置本体から画像形成物(コピー)として取り出される。
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例及び比較例で使用したゴム材料は、以下の通りである。
・アクリロニトリルブタジエンゴム
[結合アクリロニトリル量18質量%、商品名:NipolDN401LL、日本ゼオン(株)社製]]
・エピクロルヒドリン系ゴム(以下の2種類の材料の混合物)
[エチレンオキサイド含量73モル%、商品名:EPION 301、ダイソー(株)社製]
[プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル共重合体、共重合体のモル比率=87:1:12、商品名:ゼオスパン8010、日本ゼオン(株)社製]
・加硫剤
[硫黄(S)、商品名:サルファックスPMC、鶴見化学工業(株)社製
・加硫促進剤(以下の2種類)
[ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業(株)社製]]
[テトラエチルチウラムジスルフィド(TET);商品名 ノクセラーTET 大内新興化学工業(株)社製]
・加硫促進助剤
[酸化亜鉛、商品名:亜鉛華2種、ハクスイテック(株)社製]
・助剤
[ステアリン酸、商品名:ルナックS20、花王株式会社製]
・充填剤
[カーボンブラック、商品名:旭#15、旭カーボン株式会社製]
・発泡剤
[p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、商品名:ネオセルボンN#1000S、永和化成(株)社製]。
実施例及び比較例で一次転写ローラを製造する際には、まず、上記材料をオープンロール又は密閉式混練機等を用いて混練りして未加硫の発泡ゴム弾性層材料を得た。次に、この未加硫の発泡ゴム弾性層材料を、押出機を用いてチューブ状に押出し、導電性弾性層を得た。この後、UHFと連続加硫炉により導電性弾性層の加硫と発泡を行い、チューブ状の導電性発泡ゴム弾性層を作製した。この後、φ6mmの芯金を発泡ゴム弾性層の中空部分に挿入して、ローラ状の成形体を得た。次に、この成形体を、外径がφ14mmとなるように研磨して最終的に一次転写ローラを作製した。
なお、上記一次転写ローラにおいて、一次転写ローラの抵抗値は、エピクロロヒドリン系ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムのブレンド比を変えることにより調節した。また、発泡ゴム弾性層のアスカーC硬度と、一次転写ローラの隙間量については、発泡ゴム弾性層材料の加硫速度、発泡剤の量及び加硫条件によって調整した。
各実施例、比較例の発泡ゴム弾性層材料の組成を下記表1及び2に示す。
Figure 0005297698
Figure 0005297698
なお、上記表1及び2中の各実施例及び比較例の原料組成を表わす数字の単位は「質量部」である。また、上記のようにして作製した一次転写ローラの各物性値を以下のようにして測定した。
(一次転写ローラの抵抗値)
一次転写ローラの芯金に対して、一方の端部につき4.9Nの荷重が、両端部に負荷されるようにして、外径30mmのアルミニウム製のドラムに圧着させた。次に、一次転写ローラを30rpmで回転させた状態で、芯金とアルミドラムとの間に50Vの電圧を印加して(内部抵抗1kΩ)、23℃/55%RH(N/N)環境下で電圧値を測定した。そして、オームの法則により、一次転写ローラの抵抗値を算出した。
(一次転写ローラのアスカーC硬度)
一次転写ローラの発泡ゴム弾性層の外周面に対して、アスカーC硬度計を500gの荷重でゆっくり押し当てた後、5秒後の数値を測定した(測定方法は、JIS K 6253に準じた)。
(一次転写ローラの隙間量)
(1)図3に示すように、一次転写ローラを、φ30mm以上100mm以下のSUSドラムへ、端部荷重F=1.47(N)以下(一次転写ローラへ負荷される総荷重2F=2.94(N)以下)で当接させる。
(2)次に、SUSドラムを、一次転写ローラが1秒間に1回転以下で回転できるような速度で回転させる。このようにSUSドラムと一次転写ローラを回転させながら、一次転写ローラとSUSドラムの当接部に、背面より光源から光を照射する。
(3)一次転写ローラとSUSドラムの当接部からの透過光をCCDカメラで検知し、長さ方向10分割、円周方向36分割で、計360の領域に分けて、各領域の隙間量を測定する。そして、計360個、測定した隙間量のうち、最大値を「一次転写ローラの隙間量」とする。
(画像評価)
φ14mm、長さ226mmに成形、研磨した一次転写ローラを、カラーレーザープリンター(カラーレーザージェット4700dn、ヒューレット・パッカード社製)内にセットした。次に、L/L環境下(15.0℃/10%RH)で、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの何れか単色のベタ画像を印刷し、色ムラ・色抜けがないものを「○」、色ムラ・色抜けがあるものを「×」として評価した。
各実施例及び比較例における上記物性値の評価結果を表3及び4に示す。
Figure 0005297698
Figure 0005297698
上記のように、実施例1〜6では、発泡ゴム弾性層中のエピクロロヒドリン系ゴムの含量がゴム成分100質量%中60質量%を超え、アスカーC硬度が10°以上25°以下であり、一次転写ローラの隙間量を10μm以下とした。また、表1の結果より、実施例1〜6の「画像評価」は何れも「○」であり、優れた転写性が得られていることが分かる。
これに対して、比較例1ではアスカーC硬度が25°を超えで、LogRが5.6未満となっている。このため、画像評価試験では、転写ベルトから電子写真感光体へのトナーの再転写が起こり、色ムラや転写抜けが発生して、「画像評価」が「×」となった。
比較例2では、アスカーC硬度が10°未満であるため、発泡ゴム弾性層はセル径が大きな高発泡の層となっており、ローラ表面に凹凸が発生していた。このため、画像評価試験においてベタ画像を印刷すると、セル跡のような画像(表面凹凸の跡)が印刷され、色ムラや転写抜けが発生した。この結果、「画像評価」は「×」となった。
比較例3では、アスカーC硬度が25°を超えるため、色ムラや転写抜けが発生した。この結果、「画像評価」は「×」となった。
比較例4では、一次転写ローラの隙間量が10μmを超える転写ローラであるため、転写性が悪く電子写真感光体上から転写ベルト上へ良好にトナー像を転写することができなかった。この結果、ベタ画像を印刷するとセル跡のような画像(表面凹凸の跡)が印刷され、色ムラや転写抜けが発生して、「画像評価」は「×」となった。
また、比較例5では、エピクロロヒドリン系ゴムの含量が60質量部であるため、LogRが7.0を超えてしまい、転写性が悪く、トナーを良好に転写できず色ムラや転写抜けが発生した。この結果、「画像評価」は「×」となった。
以上、説明したように、発泡ゴム弾性層においてゴム成分100質量%中、60質量%を超えるエピクロロヒドリン系ゴムを含有し、アスカーC硬度を10°以上25°以下とし、隙間量を10μm以下とする。これにより、本発明の課題が達成されたことが分かる。
本発明の一次転写ゴムローラの一例を表わす斜視図である。 本発明の一次転写ゴムローラを備えたカラー用画像形成装置の一例を説明するための模式図である。 一次転写ローラの隙間量の測定方法を説明するための図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 帯電ローラ
2a 帯電ローラ用電源
3 書き込みビーム
4 現像装置
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラ
6a 一次転写ローラ用電源
7 クリーニング部材
8 駆動ローラ
9 テンションローラ
10 従動ローラ
11 二次転写ローラ
11a 二次転写ローラ用電源
41〜44 画像形成部
61 導電性芯材
62 導電性弾性体層
P 転写材

Claims (3)

  1. 芯金と、前記芯金の外周面上に発泡ゴム弾性層と、を有する一次転写ローラであって、
    前記発泡ゴム弾性層は、ゴム成分としてエピクロロヒドリン系ゴム及びアクリロニトリルブタジエンゴムを含有し、前記ゴム成分100質量%中60質量%を超えるエピクロロヒドリン系ゴムを含有し、アスカーC硬度が10°以上25°以下であり、
    前記一次転写ローラの隙間量は10μm以下であることを特徴とする一次転写ローラ。
  2. 前記エピクロロヒドリン系ゴムは、下記(1)及び(2)の共重合体の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の一次転写ローラ。
    (1)エピクロロヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体、
    (2)プロピレンオキサイド/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテルの三元共重合体。
  3. 前記一次転写ローラは、抵抗値をR[Ω](23.0℃、55%RH環境下)としたときのLogRが、5.6以上7.0以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の一次転写ローラ。
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