JP6730807B2 - 電子写真用ローラおよびその製造方法、ならびに、電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる電子写真用ローラおよびその製造方法に関する。また、本発明は、電子写真画像形成装置に関する。
電子写真画像形成装置は、通常、像担持体、帯電部材、露光装置、現像部材、及び転写部材を具備している。像担持体は、例えば電子写真感光体である。帯電部材は、像担持体の表面を帯電する。露光装置は、像担持体の表面に画像情報に応じて変調された光を照射する。現像部材は、像担持体上に現像剤(トナー)によって現像して可視像(トナー像)を形成する。転写部材は、像担持体上の可視像を記録材に転写する。
電子写真画像形成装置においては、像担持体の表面から記録材表面にトナー像を転写させるための転写ローラの如き電子写真用ローラが用いられている。このような電子写真用ローラとして、導電性の軸芯体およびその外周面上に形成された、導電性発泡体を含む表面層を備えた電子写真用ローラがある。
特許文献1には、転写ローラの導電性ゴム層に、ゴム成分Aの海相中に、ゴム成分Bの島相が分散した海島構造を有し、島相の面積比率、および所定の形状の島相の全島相の面積に対する割合が特定の範囲にあるゴム組成物を用いることが開示されている。なお、ゴム成分Aはアクリロニトリルブタジエンゴムを主体とし、ゴム成分Bはエピクロルヒドリンゴムを主体とする。そして、このような転写ローラによれば、ゴム層の導電性が、ゴムのポリマー鎖自体が有する導電性に依っているため、転写ローラの表面へのイオン導電剤のブリードによって当接する他部材を汚染することが少ない、といった効果を奏することが開示されている。
特開2010−211020号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に開示されている転写ローラであっても、長期にわたって、像担持体と静止状態で接触していた場合、周囲の環境によっては、以下のような不都合が生じる場合があった。すなわち、転写ローラを構成しているゴムを含む層から、ゴムの低分子成分の如き成分がブリードアウトして、像担持体の如き他部材の表面に付着する場合である。
一方、近年の電子写真画像形成装置におけるプロセススピードが高速化された場合において、像担持体から、中間転写体や記録材に対するトナー像の高い転写効率を維持し、又は、より一層高めるためには、以下のことが必要であると本発明者らは認識している。すなわち、転写ローラの表面層の電気抵抗値をより一層低減させることである。
本発明は、高い導電性、すなわち、低い電気抵抗値を有すると共に、他の部材の汚染性がより一層低減された電子写真用ローラおよびその製造方法の提供に向けたものである。また、本発明は、高品位な電子写真画像の形成に資する電子写真画像形成装置を提供することに向けたものである。
本発明の一態様によれば、導電性の軸芯体と、導電性発泡体を含む表面層と、を有し、
該導電性発泡体は、アクリロニトリルブタジエンゴム、および、ヒドリンゴムを含む未加硫ゴム組成物の加硫物を含み、
該ヒドリンゴムは、エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含み、
該加硫物は、加硫されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相、および、加硫されたヒドリンゴムを含む島相を有するマトリックス・ドメイン構造を具備し、
該加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率が、該加硫物の総量に対して8.0質量%以上20.0質量%以下であり、かつ、
水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる該加硫物のスピン−スピン緩和時間T2が、750μs<T2<930μsである、電子写真用ローラが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、導電性の軸芯体と、導電性発泡体を含む表面層と、を有する電子写真用ローラの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)、または、下記工程(1)、(4)〜(6)を有し、
(1)アクリロニトリルブタジエンゴムと、
エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含むヒドリンゴムと、
硫黄と、
チウラム系加硫促進剤と、
発泡剤と、を含む未加硫ゴム組成物を用意する工程、
(2)軸芯体の周囲に該未加硫ゴム組成物の層を形成する工程、
(3)該未加硫ゴム組成物の層を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含む該導電性発泡体を含む該表面層を形成して、該電子写真用ローラを得る工程、
(4)チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を得る工程、
(5)該チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含むゴムチューブを得る工程、
(6)該ゴムチューブに軸芯体を圧入して該軸芯体の周囲に該導電性発泡体を含む該表面層を有する該電子写真用ローラを得る工程;
かつ、該未加硫ゴム組成物は、該工程(3)または該工程(5)によって、
加硫された該アクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相と、加硫された該ヒドリンゴムを含む島相と、を有するマトリックス・ドメイン構造を有し、
該加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率が8.0質量%以上、20.0質量%以下であり、かつ、
水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる該加硫物のスピン−スピン緩和時間T2が、750μsより長く、930μsよりも短い、加硫物を与えるものである、電子写真用ローラの製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、高い導電性を有し、かつ、他の部材の汚染性が低減された電子写真用ローラを得ることができる。
本発明の他の態様によれば、高い導電性を有し、かつ、他の部材の汚染性が低減された電子写真用ローラの製造方法を得ることができる。
また、本発明の他の態様によれば、高品位な電子写真画像の形成に資する電子写真画像形成装置を得ることができる。
本発明の一態様に係る転写ローラ全体の構成の一例を示す概略斜視図である。 NBRを海相としGECOを島相とするマトリックス・ドメイン構造の図である。 転写ローラと感光体とを接触させる冶具を示す概略図である。 連続気泡率を測定する装置を示す概略図である。 本発明に係る電子写真用ローラの製造に用いられる加硫装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明に係る電子写真画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明に係る電子写真用ローラの一態様は、導電性の軸芯体と、導電性発泡体を含む表面層とを有する。
導電性発泡体は、アクリロニトリルブタジエンゴム、および、ヒドリンゴムを含む未加硫ゴム組成物の加硫物を含むものである。
また、該ヒドリンゴムは、エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含むものである。
さらに、加硫物は、加硫されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相(以降、マトリックス、ともいう)、および、ヒドリンゴムを含む島相(以降、ドメイン、ともいう)を有する海島構造(以降、マトリックス・ドメイン構造、ともいう)を有する。
さらに、加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率は、該加硫物に対して8.0質量%以上20.0質量%以下である。
さらに、加硫物は、水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められるスピン−スピン緩和時間T2が、750μs<T2<930μsである。
図1は本発明の一実施形態にかかる転写ローラの構成の一例を示す斜視図であり、円柱状の軸芯体11と、その外周面を被覆している導電性発泡体を含む表面層12とを有する。
[軸芯体]
軸芯体は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鉄などの金属性のものが好ましい。また、耐腐食性、耐摩擦性を向上させるため、これらの金属にクロム、ニッケルなどのメッキ処理を施してもよい。軸芯体の形状は、中空状および中実状のいずれのものであってもよい。また、軸芯体の外径は、用いる電子写真画像形成装置との関連において適宜選択することができる。一例としては、例えば、直径、4mm〜10mmである。
[表面層]
表面層は、アクリロニトリルブタジエンゴム(以降、NBR、と記す場合がある)と、エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(以降、GECO、と記す場合がある)を含むヒドリンゴムと、を含む未加硫ゴム組成物の加硫物を含むものである。
図2に示すように、表面層中の導電性発泡体が含む加硫物は、架橋されたNBRを含むマトリックス21、および、架橋したGECOを含むドメイン22を有するマトリックス・ドメイン構造を有する。すなわち、ドメインが、連続相を構成しているマトリックス中に点在しているが如き構造を有する。
さらに、加硫物は、水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められるスピン−スピン緩和時間T2が、750μs<T2<930μsの範囲にある。なお、T2は、より好ましくは、800μs以上、900μs以下である。
加硫物は、製造過程で、加硫残渣や発泡残渣など様々な不純物をゴム中に不可避的に含んでいることがある。そして、かかる不純物の中でも、像担持体を汚染しやすい、極性を有する物質は、加硫物中の、より極性が高いGECOと親和性が高い。
また、GECOはNBRと比べて架橋点が少ないため、ゴムの分子運動性が高く不純物をゴム中に留めておくことが困難である。そこで、本態様においては、架橋GECOを含む相をドメインとし、その周囲を架橋点が相対的に多い架橋NBRを含むマトリクスで取り囲んでなるマトリクス・ドメイン構造とする。このようにして、架橋GECOを含む相中に不純物を取り込ませることで不純物の表面層の外表面へのブリードを抑制している。
(スピン−スピン緩和時間)
水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる加硫物のスピン−スピン緩和時間T2は、ゴムの分子運動性を示している。
分子運動性と架橋度とは、相関関係があり、T2の値が大きいほど架橋が弱く、小さいほど架橋が強い。
そして、加硫物のT2を、750マイクロ秒(μs)より大きく、930μsよりも小さくすることで、加硫物の柔軟性を維持しつつ、加硫物からの不純物のブリードアウトをより確実に抑制し得る。すなわち、加硫物のT2の値は、加硫物のマトリックスを構成している架橋NBRの架橋の程度を表す指標となる。そして、T2が上記範囲内にあることで、ドメイン中の不純物は、ドメインを取り囲んでいるマトリックスを通リ抜けることを困難にしている。そのため、ドメインからの不純物が、表面層の表面にブリードし難くなっているものと考えられる。本発明に係る加硫物におけるスピン−スピン緩和時間T2の調整方法については後述する。
[未加硫ゴム組成物]
(未加硫ゴム)
未加硫ゴム組成物は、未加硫のNBR、および、未加硫のGECOを含む未加硫のヒドリンゴムを含む。なお、NBRおよびGECOは、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
加硫物の相分離状態は、未加硫ゴム組成物中におけるNBRとヒドリンゴムとの含有率を調整することによって制御することができる。
架橋物中に、架橋したNBRを含むマトリックスと、架橋したヒドリンゴムを含むドメインとを有するマトリックス・ドメイン構造を形成させるためには、以下のことが一つの目安となる。すなわち、未加硫ゴム組成物中に含まれる未加硫のNBRと、未加硫のGECOとの混合比率(NBR/GECO;質量基準)で、1以上、特には、1.2以上、とすることである。
ただし、NBRおよびGECOの比重や粘度などによって、架橋物に上記マトリックス・ドメイン構造を形成させ得る混合比率の境界値は変動する。例えば、NBRとして「ニポールDN401LL」(商品名;日本ゼオン社製、ムーニー粘度:32、比重:0.94)を用い、GECOとして、「エピオン301」(商品名、(ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)、ムーニー粘度:60、比重:1.20)や「エピクロマーCG102」(商品名、ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製、ムーニー粘度:55、比重:1.24)や「Hydrin T3016S」(商品名;日本ゼオン社製、ムーニー粘度:60、比重:1.31)を用いる場合、NBR/GECOが、1.5であっても、加硫物中においては、架橋ヒドリンを含むマトリックスと、架橋NBRを含むドメインと、を有するマトリックス・ドメイン構造が形成されることがある。
そのため、上記のNBRとGECOを用いて、架橋ヒドリンゴムを含むドメインと、架橋NBRを含むマトリックスとを有するマトリックス・ドメイン構造を有する架橋物を安定して得る場合には、NBR/GECOを以下のようにすることが好ましい。すなわち、NBR/GECO=1.8以上、特には、2.1以上とすることが好ましい。なお、かかるNBRとGECOとの組み合わせにおけるNBR/GECOの上限としては、特に限定されるものではないが、上記マトリックス・ドメイン構造の安定的な形成の観点から、3.5以下、特には、2.8以下とすることが好ましい。
未架橋のNBRは特に限定されないが、アクリロニトリルの平均含有量が15質量%以上20質量%以下であるNBRがより好ましい。アクリロニトリルは導電性をもち、またポリマー分子鎖の運動性にも影響を与える。アクリロニトリル含有量が15質量%以上であれば、電気抵抗値が高くならない。また、20質量%以下であれば、加硫による架橋度を十分に得るための適正なブタジエンの含有量を確保できる。アクリロニトリルの平均含有量が上記範囲内であるNBRは両因子のバランスが良好である。
なお、前記した「ニポールDN401LL」の結合アクリロニトリル量の中心値は、18.0%である(カタログ値)。
(エチレンオキシドの含有率)
導電性発泡体の抵抗値は、導電性発泡体中の加硫物に含まれるエチレンオキシドの量に応じて変動する。
例えば、本発明に係る電子写真用ローラを、トナー像を像担持体表面から紙の如き記録材の表面に転写させるための転写ローラとして用いる場合においては、当該転写ローラの電気抵抗値は、以下のような範囲とすることが好ましい。すなわち、後述する測定方法によって得られるローラ抵抗値をR[Ω]としたときのLogRが、6.9以上7.7以下の範囲とすることが好ましい。
そしてこのような導電性を発現する電子写真用ローラを得るためには、加硫物中のエチレンオキシドの含有量は、加硫物の質量を基準として、8.0質量%以上20.0質量%以下とする。ここで、加硫物の質量とは、加硫物中のゴムの総質量と、硫黄の如き加硫剤と、カーボンブラックの如き充填剤の質量との和とする。加硫物の実体を構成しない加硫促進剤、加硫助剤および発泡剤の量は、エチレンオキシドの含有率の算出の際の加硫物の質量には含まないものとする。
そして、加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率を上記数値範囲内とすることによって、転写ローラのローラ抵抗を上記した数値範囲内に調整することができる。その結果として、像担持体からの記録材へのトナー像の転写率をより一層改善することが可能となる。また、ローラ抵抗が低すぎることによるトナーや像担持体への過剰な電荷の付与も抑制することができる。
ここで、アクリロニトリルブタジエンを含むマトリックス、および、ヒドリンゴムを含むドメインと、を有するマトリックス・ドメイン構造を維持し、かつローラ抵抗を上記した範囲内とするためには、以下のことが好ましい。すなわち、未加硫ゴム組成物中に含有させるヒドリンゴムとして、エチレンオキシドの比率が高いGECOを用いることが好ましい。具体的には、質量比率で30%以上、より好ましくは50%以上のエチレンオキシドを含むGECOを用いる。
(加硫剤・加硫促進剤)
加硫剤としては、例えば、硫黄が用いられる。
未加硫ゴム組成物中における硫黄の含有量としては、未加硫ゴム組成物中のゴム成分の総量に対して2.5質量%以上4.0質量%以下の範囲内とすることが好ましい。硫黄の量は、後述するが、本発明に係る架橋物のスピン−スピン緩和時間T2を左右する要素であるため、実際の使用量は、用いるゴムの種類および量に応じて適宜調整することが好ましい。なお、傾向としては、硫黄の量を2.5質量%以上とすることで、加硫物を十分に硬化させ得る。また、硫黄の量を4.0質量%以下とすることで、加硫物の架橋が高くなり過ぎることによる本発明に係るT2の範囲の逸脱、すなわち、硬度が高くなりすぎることを抑制し得る。
加硫促進剤としては、チウラム系、チアゾール系、グアニジン系、スルフェンアミド系、ジチオカルバミン酸塩系、チオウレア系などを挙げることができる。その中でもチウラム系の加硫促進剤はNBRやGECOの加硫に対して加硫促進剤としての効果が高いため特に有用である。チウラム系の加硫促進剤としてはテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD),テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD),テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD),テトラオクチルチウラムジスルフィド(TOT)などが挙げられ、加硫促進剤としての反応性の強さと環境安全性を考慮するとTETDがより好ましい。
未加硫ゴム組成物中における加硫促進剤の含有量としては、未加硫ゴム組成物中のゴム成分の総量に対して、チウラム系加硫促進剤は1.5質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。1.5質量%以上の場合、加硫促進剤としての十分な効果が得られる。また2.5質量%以下の場合、加硫を促進しすぎず、加硫と発泡のバランスをとることができる。そのため、後述する発泡剤を用いた場合においても、架橋物に対して所望の連続気泡率を与え得る。
(発泡剤)
未加硫ゴム組成物に含有される発泡剤は、アゾジカルボンアミドや炭酸水素ナトリウム、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(以降、「OBSH」とも記す)が挙げられる。中でも、電気抵抗値の経時変化性、セル径の均一性(電子写真用ローラを転写ローラとしたときは、該転写ローラの転写性)を考慮すると、OBSHが好ましい。
未加硫ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、発泡剤の総含有量を、2.0質量部以上2.5質量部以下とすることが好ましい。
また、発泡剤としてOBSHを用いる場合においては、
メジアン径(d50)が2μm以上5μm以下のOBSHの1.5質量部以上2.0質量部以下と、
メジアン径(d50)が12μm以上16μm以下のOBSHの0.5質量部以上1.0質量部以下と、を上記の総含有量の範囲内で混合して用いることが好ましい。なお、発泡剤のメジアン径の測定は、粒度分布測定装置(Multisizer3:ベックマン・コールター社製)により行うことができる。
上記したように、メジアン径(d50)の異なるOBSHを、特定の配合量で未加硫ゴム組成物中に含有させることにより、発泡のタイミングを変化させることができる。
メジアン径(d50)の小さなOBSHは、より低温で発泡を開始してセルを形成する。次いで、メジアン径(d50)の大きなOBSHが、遅れて発泡を開始し、先に発泡したセルとセルとの間で発泡し連通することにより、連続気泡率が向上する。
メジアン径(d50)の小さなOBSHについては、メジアン径(d50)が、2μm以上5μm以下のものが好ましい。メジアン径(d50)が2μm以上の場合、発泡開始温度が低くならず平均セル径の大径化を防止できるため、転写ローラとして所定の硬度を得ることができる。メジアン径(d50)が5μm以下の場合、メジアン径(d50)の大きなOBSHとの発泡開始温度の差が十分に確保でき、高い連続気泡率が確保できる。
また、メジアン径(d50)の大きなOBSHについては、メジアン径(d50)が、12μm以上16μm以下のものが好ましい。メジアン径(d50)が12μm以上の場合、メジアン径(d50)の小さなOBSHとの発泡開始温度の差が十分に確保でき、高い連続気泡率が確保できる。メジアン径(d50)が16μm以下の場合、発泡開始温度が高くなりすぎたりせず、セルが連通する前に加硫してしまうこともない。
また、未加硫ゴム組成物中におけるOBSHの含有量を、ゴム成分の総量に対して2.0質量%以上とすることで、加硫が進む前に発泡したセルが連通し、高い連続気泡率を有する加硫物を得られる。また、OBSHの反応において加硫促進剤であるチウラム系促進剤を分解する副反応があるが、OBSHの含有量を、ゴム成分の総量に対して2.5質量%以下とすることで、加硫の阻害を有効に抑制できる。
さらに、未加硫ゴム組成物中におけるOBSHの含有量を、ゴム成分の総量に対して2.0質量%以上2.5質量%以下の範囲内とした場合において、すなわち、ゴム成分100質量部に対して、2.0質量部以上、2.5質量部以下とした場合において、
メジアン径(d50)が12μm以上16μm以下のOBSHの配合量を0.5質量部以上1.0質量部以下とし、その一方で、メジアン径(d50)が2μm以上5μm以下のOBSHを1.5質量部未満とした場合、
未加硫ゴム組成物中の、発泡開始温度が低い発泡剤の粒子数が減少することによって、低温で発泡を開始する粒子の粒子間距離が離れる。その結果、連続気泡率が低下する傾向になる。
(連続気泡率)
連続気泡率は、加硫物の全体の気泡のうち、加硫物の表面まで連通している気泡の割合であり、以下の方法より求められる。
図4に示すように、電子写真用ローラ43全体を、100hPaの減圧条件下で水44に15分間浸漬し、吸水させる。耐圧容器42は減圧ポンプ41により減圧される。吸水前の電子写真用ローラの質量をW1、吸水後の転写ローラの質量をW2、軸芯体11の質量をWS、加硫物の体積(セル含む)をV1、水の比重(1g/cm)をTw、加硫物の材料比重をTmとした場合、下記の(数式1)により求められる。
(数式1) [(W2−W1)/Tw]/[V1−{(W1−WS)/Tm}]×100(%)
連続気泡率は70%以上であることが好ましい。連続気泡率が70%以上の場合、セット性の悪化が抑制される。これは、以下の理由による。長期にわたり外から力を加えて変形させた状態にあるとき、独立気泡中の空気はゴムを通して徐々に抜けていく。その後に力を除いたときに、連続気泡率が70%以上であればセルが連通しているため瞬時に形状を回復できる。
(その他添加剤)
未加硫ゴム組成物は、加硫助剤を含有させることができる。加硫助剤として、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸などが挙げられるが、ステアリン酸亜鉛とステアリン酸を含有させることが好ましい。酸化亜鉛を使用した場合、長期保管での抵抗安定性が劣る傾向があるため、ステアリン酸亜鉛であるほうが好ましい。また、ステアリン酸を添加すると、未加硫ゴム組成物の練り加工時にロールへの貼り付きが減少し、加工性に優れる。
また、その他、上記組成物に含まれる物質の機能を阻害しない範囲において、カーボンブラック、炭酸カルシウム、などを含有してもよい。
(スピン−スピン緩和時間T2の調整)
表面層中の加硫物のスピン−スピン緩和時間T2は、加硫物中のゴムの架橋の程度を表す指標であり、ゴムの架橋度を調整することでT2を調整することができる。
具体的には、未加硫ゴム組成物中の硫黄の量、加硫促進剤の種類および量、並びに未加硫のNBRおよびヒドリンゴムの量比によって架橋物のT2を変化させることができる。
例えば、硫黄、および、加硫促進剤は各々、未加硫ゴム組成物中の量を増やすことで加硫物のT2を短くする方向に調整できる。
また、未加硫ゴム組成物中におけるNBRに対するヒドリンゴムの比率を低くすることによって、加硫物中では、相対的に架橋度の高い架橋NBRの比率が高まる結果、T2を短くする方向に調整できる。ただし、未加硫ゴム組成物中におけるNBRとヒドリンゴムの量比は、先に述べたようにマトリックス・ドメイン構造に影響を与える点に留意すべきである。そのため、未加硫ゴム組成物中におけるNBRとヒドリンの量比は、以下のようにして調整することが好ましい。すなわち、架橋NBRを含むマトリックスと、架橋GECOを含むドメインとを有するマトリックス・ドメイン構造が形成されるような量比としたうえで、硫黄または硫黄および加硫促進剤の量を調整することでT2を調整することが好ましい。
より具体的には、例えば、NBRとして「Nipol DN401LL」を68質量部、GECOとして「EPION301」を22質量部、および「エピクロマーCG102」を10質量部用いた場合、すなわち、NBR/GECO=2.1とした場合において、硫黄を3.0質量部、加硫促進剤として、テトラチウラムジスルフィド(商品名:ノクセラーTET−G;大内新興化学社製)を2.0質量部とジベンゾチアジルジスルフィド(商品名:ノクセラーDM−P、大内新興化学社製)を1.5質量部、混合した未加硫ゴム組成物の架橋物は、T2が、861μsとなる。
一方、上記の未加硫ゴム組成物中の硫黄の量を2.0質量部とし、「ノクセラーTET−G」の量を1.5質量部とした場合、得られる加硫物は、T2が、971μsとなる。さらに、上記の未加硫ゴム組成物中の硫黄の量を6.0質量部とし、「ノクセラーTET−G」の量を3.0質量部とした場合、得られる加硫物は、ゴムの架橋度が高くなるため、T2が、706μsとなる。
さらに、上記の未加硫ゴム組成物中の「Nipol DN401LL」を50質量部、「EPION301」を0質量部、「エピクロマーCG102」を50質量部用いた場合、すなわち、NBR/GECO=1.0とした場合、加硫物中における、架橋度の低いヒドリンゴムの比率が増える結果、加硫物のT2は、1030μsとなる。
[電子写真用ローラの製造]
本発明に係る電子写真用ローラの製造方法として、下記工程(1)〜(3)、および、下記工程(1)、(4)〜(6)を有する方法が挙げられる。
(1)アクリロニトリルブタジエンゴムと、
エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含むヒドリンゴムと、
硫黄と、
チウラム系加硫促進剤と、を含む未加硫ゴム組成物を用意する工程、
(2)軸芯体の周囲に該未加硫ゴム組成物の層を形成する工程、
(3)該未加硫ゴム組成物の層を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含む該導電性発泡体を含む該表面層を形成して、該電子写真用ローラを得る工程、
(4)チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を得る工程、
(5)該チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含むゴムチューブを得る工程、
(6)該ゴムチューブに軸芯体を圧入して該軸芯体の周囲に該表面層を有する電子写真用ローラを得る工程。
そして、該未加硫ゴム組成物は、該工程(3)または、該工程(5)によって、
加硫された該アクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相と、加硫された該ヒドリンゴムを含む島相と、を含むマトリックス・ドメイン構造を有し、
該加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率が8.0質量%以上、20.0質量%以下であり、かつ、
水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる該加硫物のスピン−スピン緩和時間T2が、750μsより長く、930μsよりも短い、加硫物を与えるものである。
上記本発明にかかる電子写真用ローラの製造方法の一例を下記に挙げる。
まず、本発明に係る加硫物を与える 未加硫ゴム組成物を用意する。例えば、NBRおよびGECOの如き未加硫ゴム、および、硫黄、および必要に応じて加硫助剤の如き添加物を、各々所定の量、混練する。混練には、バンバリーミキサー、ニーダーの如き密閉式混練機を用いることができる。その後、更にオープンロールを使用して、発泡剤、必要に応じて、硫黄及び加硫促進剤の少なくとも一方を添加し混練する。そして、得られた混練物をリボン(シート)状に分出しして、リボン状の未加硫ゴム組成物を得る。これを、押出機に投入し、チューブ形状に押し出して、チューブ形状を有する該未加硫ゴム組成物を得る。次いで、該チューブ形状の未加硫ゴム組成物を加硫及び発泡させて、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含む発泡ゴムチューブを得る。
加硫及び発泡は、マイクロ波加硫装置、熱風加硫装置、電気炉、加硫缶などの公知の方法から適宜選択すればよい。
中でも、マイクロ波加硫装置を含む加硫装置は、均一な導電性発泡体を得られやすいため、好ましい。
次いで、ゴムチューブに軸芯体を圧入して軸芯体の周囲に導電性発泡体を含む表面層を有する電子写真用ローラを得る(ステップS6)。具体的には、得られた発泡ゴムチューブを、必要に応じて所望の寸法に切断した後、軸芯体11を圧入する。前記切断は、加硫及び発泡の前でも後でもよい。また、ゴムチューブと軸芯体11の固定方法は、軸芯体11に導電性の接着剤を塗布する方法や、ゴムチューブの内径より大きな外径を有する軸芯体11を圧入する方法があり、適宜選択すればよい。更に、軸芯体11を圧入後、必要に応じて両端部を所望の長さに切断してもよい。軸芯体11を圧入したゴムチューブを研磨機により研磨し、軸芯体11の外周に導電性発泡体を含む表面層12を有する転写ローラが作製される。
電子写真用ローラの製造方法としては、下記の方法も挙げられる。
まず、未加硫ゴム組成物を用意する(ステップS1)。
次に、軸芯体の周囲に未加硫ゴム組成物の層を形成する(ステップS2)。
そして、未加硫ゴム組成物の層を加硫させ、かつ、発泡させることによって、未加硫ゴム組成物の加硫物を含む導電性発泡体を含む表面層を形成して、電子写真用ローラ(例えば、転写ローラ)を得る(ステップS3)。
[電子写真画像形成装置]
図6は本発明に係る電子写真画像形成装置の一例の概略図である。この電子写真画像形成装置は電子写真式のレーザープリンタ(以下、「プリンタ」とも記す)である。
プリンタは、像担持体として、ドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)601を有している。感光ドラム601の例としては、例えば、有機感光ドラム(OPC)が挙げられる。
感光ドラム601は、ホストコンピュータやネットワーク上の端末機等の外部装置から出力されるプリント指令に応じて矢印方向(図6における時計回り方向)に所定の周速度(プロセススピード)にて回転される。そしてこの回転過程で感光ドラム601の外周面(表面)が帯電手段としての帯電ローラ602により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。
感光ドラム601の表面は、走査露光装置としてのレーザービームスキャナ603から出力される、外部装置からの画像情報に応じて変調制御(ON/OFF制御)されたレーザービームLBによって走査露光がなされる。これにより感光ドラム601の表面に目的の画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。この潜像に現像手段としての現像装置604でトナー(現像剤)TOを付着させトナー画像(現像像)として現像する。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
一方、給送ローラ608の回転により給送カセット609内に積載収納されている記録材Pが一枚ずつ繰り出されガイド610を有するシートパスを通ってレジストローラ611に搬送される。レジストローラ611は、この記録材Pを感光ドラム601表面と転写ローラ605の外周面(表面)との間の転写ニップ部に所定の制御タイミングにて給送する。この記録材Pは転写ニップ部で挟持搬送され、この搬送過程において転写ローラ605に接続された電源617によって転写ローラ605に印加される転写バイアスによって感光ドラム601の表面のトナー画像が順次に記録材Pに転写されていく。これによって記録材Pは未定着のトナー画像を担持する。ここで、転写ローラ605として、本発明に係る電子写真用ローラが用いられている。
未定着のトナー画像(未定着画像)を担持した記録材Pは感光ドラム601表面から順次に分離して転写ニップ部から排出され、搬送ガイド612を通じて定着装置(定着器)606のニップ部Nに導入される。そしてこの記録材Pがニップ部Nを通過することによってトナー画像は記録材Pの面上に加熱定着される。定着装置606を出た記録材Pは搬送ローラ613とガイド614と排出ローラ615とを有するシートパスを通って、排出トレイ616に排出される。
記録材Pが分離された後の感光ドラム601の表面はクリーニング手段としてのクリーニング装置607により転写残りトナー等の付着汚染物の除去処理を受けてクリーニングされ、感光ドラム601は繰り返して画像形成に供される。
次に本発明について実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
(未加硫ゴム組成物の調製)
<未加硫ゴム1>に対して、<充填剤1>および<加硫助剤1>を加えて、7リットル密閉式ニーダー(商品名:WDS7−30:日本スピンドル製造(株)(旧:(株)モリヤマ)社製)を使用して7分間、ロータ回転数30rpmで混練した。
<未加硫ゴム1>
・アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))
68質量部
・エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)
22質量部
・エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:ダイソー(株)新社名:(株)大阪ソーダ)
10質量部
<充填剤1>
・カーボンブラック(旭#35G:旭カーボン(株))45質量部
<加硫助剤1>
・ステアリン酸亜鉛(ステアリン酸亜鉛:日油(株))3.0質量部
・ステアリン酸(ステアリン酸つばき:日油(株)) 1.0質量部
混練後に、<発泡剤1>、<加硫剤1>および<加硫促進剤1>を添加し、12インチオープンロール(関西ロール(株))を使用して未加硫ゴム組成物の温度が80℃以下を維持するように冷却しながら15分間、混練・分散した。最後にリボン状に形状を整え取り出し、導電性発泡体形成用の未加硫ゴム組成物を調製した。
<加硫剤1>
・硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))3.0質量部
<加硫促進剤1>
・テトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))
2.0質量部
・ジベンゾチアジルジスルフィド(ノクセラーDM−P:大内新興化学(株))
1.5質量部
<発泡剤1>
・メジアン径が5.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000M:永和化成工業(株))
2.0質量部
・メジアン径が16.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000S:永和化成工業(株))
0.5質量部
(電子写真用ローラの作製)
図5に示す製造装置を用いて、前記リボン状の導電性発泡体用の未加硫ゴム組成物を押出機51(60mmベント式ゴム押出機、(株)三葉製作所製)により、チューブ状に押出した。
そして、3.0kWマイクロ波加硫装置52を含む加硫装置(ミクロ電子(株)製)によって加硫及び発泡させてゴムチューブを作製した。
マイクロ波加硫装置52は、周波数:2450±50MHz・出力:0.6kWとし、炉内温度は180℃に設定した。マイクロ波加硫装置52での加硫及び発泡後、炉内温度を200℃に設定した熱風加硫装置53にて、さらに加硫及び発泡させた。
加硫、及び発泡後のチューブ外径は約14.0mm、内径は約4.0mmであった。マイクロ波加硫装置内・熱風加硫装置内において、引取機54によりゴムチューブを2.0m/分の速度で搬送した。マイクロ波加硫装置52の長さは約4m、熱風加硫装置53の長さは約6m、引取機54の長さは約1mであった。つまり、マイクロ波加硫装置内を通過するために要する時間は約2分間、熱風加硫装置内を通過するために要する時間は約3分間、引取機内を通過するために要する時間は約30秒間であった。
加硫、及び発泡後、定尺切断機55を用いて、ゴムチューブを250mmの長さに切断し、ゴムチューブに外径5mmの軸芯体11を圧入後、両端部を切断しゴム長216mmのローラを得た。前記ローラの外周面を、回転速度1800rpm、送り速度800mm/分で、外径が12.5mmになるように研磨し、軸芯体の外周面を、導電性発泡体を含む表面層が被覆してなる電子写真用ローラを作製した。
[電子写真用ローラの物性]
(マトリックス・ドメイン構造の観察)
電子写真用ローラの表面層から、超薄切片用ナイフ(商品名:DiATOME ダイヤモンドナイフ、日新EM株式会社製)を用いて、縦3mm、横3mm、厚さ5.0μmの架橋物サンプルを切り出した。この架橋物サンプルを、アルミニウム製基材を用いたSEM用カーボン両面テープ(日新EM株式会社製)を用いて、走査型電子顕微鏡(商品名:Ultraplus;カールツァイス社製)の試料台に固定した。
そして加速電圧1kV、倍率5000倍にて当該架橋物サンプルの画像を撮影した。
得られた反射電子像を目視で、面積を持った閉領域、すなわち、ドメインの有無を観察した。
そして、当該反射電子像内に面積を持った閉領域が確認されたときは、当該閉領域に対応する架橋物サンプルの部分について、下記の装置を用いて、加速電圧6kV、作動距離8mmにて分析し、塩素原子の有無を確認した。
エネルギー分散型X線分析装置(商品名:Noran System 7、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)社製)
そして、当該閉領域に塩素原子の存在が確認できた場合には、当該閉領域が、架橋したヒドリンゴムを含むドメインであると判断し、本発明に係るマトリックス・ドメイン構造が形成されているものとした。
(スピン−スピン緩和時間)
導電性発泡体のスピン−スピン緩和時間:T2の測定には、パルスNMR装置(日本電子(株) 商品名:JNM−MU25A)を用いた。上記マトリックス・ドメイン構造の観察と同様にして表面層から架橋物サンプルを切り出し、その架橋物サンプルを測定用セルに詰めて、スピン−スピン緩和時間T2を測定した。なお、測定は、水素核を測定核とした、パルスNMRにより、ソリッドエコー法を用いて得られたエコー強度から求めた。測定条件は、測定周波数20MHz,パルス幅2.0μsec、パルス間隔8μsec、測定温度50℃、積算回数128回で行った。
(連続気泡率)
前記の(数式1)により連続気泡率を求めた。
(ローラ抵抗値)
前記製造方法によって得た、上記の物性観察に用いた電子写真用ローラとは別個体の電子写真用ローラを、外径30mmのステンレス製ドラムに圧着し、電子写真用ローラの軸芯体の両側にそれぞれ300gの荷重をかけ、かつ30rpmの速度で従動回転させた。この状態で、軸芯体とステンレス製ドラムとの間に2000Vの直流電圧を印加して、その間に流れる電流値を測定した。測定環境は、温度23℃・相対湿度55%で行った。測定した電流値より、オームの法則に従って抵抗値を算出した。なお、転写ローラとして好ましい抵抗値は、ローラ抵抗値をR[Ω]としたときのLogRが、6.9以上7.7以下の範囲とする。
[画像評価]
上記ローラ抵抗値の測定に供した電子写真用ローラを、電子写真方式のレーザプリンタ(商品名:Laser Jet P1606dn、HP社製)の転写ローラとして組み込んだ。このレーザプリンタを、温度23℃・相対湿度55%の環境下に24時間放置したのち、電子写真画像を出力した。画像としては、ブラックのベタ画像とし、5000枚連続出力した後の1枚目の画像について、目視で観察し、下記の基準に基づき、トナーの転写性および転写ムラを評価した。
(トナーの転写ムラ)
A:転写ムラは観察されない。
B:多少の転写ムラが観察される。
C:転写ムラが顕著。
(トナーの転写性)
A:転写性は良好。
B:転写性がやや劣る。
C:転写性が劣る。
電子写真用ローラのセット性および電子写真用ローラからの染み出し成分による感光体汚染性については、「Laser Jet P1606dn」に使用されるプロセスカートリッジ(商品名:Laser Jet CE278A、HP社製)から、感光ドラムを取り出し、電子写真用ローラと片側バネ圧500g重で抑えるように冶具(図3参照)で固定し、温度40℃、相対湿度95%の環境下に7日間置いた。なお、図3に示す治具は、バネ33が電子写真用ローラ32の両端に対応する位置に設けられ、該電子写真ローラ32を感光ドラム31に所定の圧力で押圧可能な構成となっている。その後、電子写真用ローラおよび感光ドラムをそれぞれ上記プロセスカートリッジに組み込んだ。このプロセスカートリッジを上記レーザプリンタに装填し、電子写真画像の形成を行った。画像は、シアンのベタ画像とし、1枚目の出力画像を目視で観察し、下記の基準で評価した。
(感光体汚染性)
A:画像に感光体周期のスジは観察されない。
B:画像に感光体周期のスジが軽微に観察される。
C:画像に感光体周期のスジが顕著に観察される。
(セット性)
A:画像に転写ローラ周期のスジは観察されない。
B:画像に転写ローラ周期のスジが軽微に観察される。
C:画像に転写ローラ周期のスジが顕著に観察される。
(総合評価)
AA:感光体汚染性、転写ムラ、転写性、セット性の全てA。
A:感光体汚染性、転写ムラ、転写性、セット性がいずれもCを含まない。(全てAは除く。)
B:感光体汚染性、転写ムラ、転写性、セット性の少なくとも一つにCを含む。
[実施例2]
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(「EPION301」、ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)22質量部、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(「HydrinT3106S」、日本ゼオン(株))10質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真用ローラを得た。
[実施例3]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(「ニポールDN401LL」、日本ゼオン(株))71質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)29質量部のみ
とした。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真用ローラを得た。
[実施例4]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を1.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電子写真用ローラを得た。
[実施例5]
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))2.5質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真用ローラを得た。
[実施例6]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を2.5質量部に変更し、
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))4.0質量部を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例6の電子写真用ローラを得た。
[実施例7]
ヒドリンゴムとして、エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)32質量部のみを使用し、
カーボンブラック(旭#35G:旭カーボン(株))を5質量部とした。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真用ローラを得た。
[実施例8]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))73質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)17質量部、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)10質量部
を使用し、
カーボンブラック(旭#35G:旭カーボン(株))を60質量部
とした。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例8の電子写真用ローラを得た。
[実施例9]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))64質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)36質量部のみ
を使用し、
カーボンブラック(旭#35G:旭カーボン(株))を10質量部
とした。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例9の電子写真用ローラを得た。
[実施例10]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))74質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)16質量部、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:ダイソー(株)(新社名:(株)大阪ソーダ)製)10質量部
を使用し、
カーボンブラック(旭#35G:旭カーボン(株))を55質量部とした。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例10の電子写真用ローラを得た。
[実施例11]
発泡剤として、
メジアン径が2.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000M:永和化成工業(株))2.0質量部、
メジアン径が16.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000S:永和化成工業(株))0.5質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例11の電子写真用ローラを得た。
[実施例12]
発泡剤として、
メジアン径が5.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000M:永和化成工業(株))2.0質量部、
メジアン径が12.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000S:永和化成工業(株))0.5質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例12の電子写真用ローラを得た。
[実施例13]
発泡剤として、
メジアン径が5.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000M:永和化成工業(株))1.5質量部、
メジアン径が16.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000S:永和化成工業(株))0.5質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例13の電子写真用ローラを得た。
[実施例14]
発泡剤として、メジアン径が5.0μmのOBSH(ネオセルボンN#1000M:永和化成工業(株))2.5質量部のみを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例14の電子写真用ローラを得た。
[実施例15]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を1.5質量部に変更し、
加硫剤として、硫黄(「サルファックスPMC」 鶴見化学(株))5.0質量部を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例15の電子写真用ローラを得た。
[実施例16]
加硫剤として硫黄(「サルファックスPMC 鶴見化学(株))2.25質量部を使用し、
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を2.5質量部に変更した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例16の電子写真用ローラを得た。
[実施例17]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を3.0質量部に変更した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例17の電子写真用ローラを得た。
[実施例18]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を1.25質量部に変更し、
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))4.0質量部を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、実施例18の電子写真用ローラを得た。
[実施例19]
押出機21より押し出された未加硫チューブを所定の長さに切断し、それを電気炉内(温度160℃、30分間)へ投入することで、加硫及び発泡させたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例19の電子写真用ローラを得た。
[比較例1]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))50質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:(株)大阪ソーダ)50質量部のみ
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真用ローラを得た。
[比較例2]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))60質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:(株)大阪ソーダ)40質量部のみ
を使用し、
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))4.0質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真用ローラを得た。
[比較例3]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を1.5質量部に変更し、
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))2.0質量部を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電子写真用ローラを得た。
[比較例4]
加硫促進剤のうちテトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET−G:大内新興化学(株))の量を3.0質量部に変更し、
加硫剤として、硫黄(サルファックスPMC 鶴見化学(株))6.0質量部を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、比較例4の電子写真用ローラを得た。
[比較例5]
未加硫ゴムとして、
アクリロニトリルブタジエンゴム(ニポールDN401LL:日本ゼオン(株))78質量部、
ヒドリンゴムとして、
エチレンオキサイドを56.7質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(EPION301:(株)大阪ソーダ)12質量部、
エチレンオキサイドを37.2質量%含有したエピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体(エピクロマーCG102:(株)大阪ソーダ)10質量部
を使用した。上記以外は、実施例1と同様にして、比較例5の電子写真用ローラを得た。
各実施例および比較例に係る未加硫ゴム組成物の組成、および、評価結果を下記表1〜表3に示す。
実施例及び比較例の結果から、本発明に係る電子写真用ローラは、優れた導電性を有しており、かつ、像担持体を汚染するような染み出しが低減されていることが確認できた。
11‥‥芯金(導電性軸体)
12‥‥導電性発泡体
21‥‥NBRの海相の拡大図
22‥‥GECOの島相の拡大図
31‥‥感光体
32‥‥転写ローラ
33‥‥バネ
41‥‥減圧ポンプ
42‥‥耐圧容器
43‥‥転写ローラ(測定対象)
44‥‥水
51‥‥押出機
52‥‥マイクロ波加硫装置(UHF)
53‥‥熱風加硫装置(HAV)
54‥‥引取機
55‥‥定尺切断機

Claims (13)

  1. 導電性の軸芯体と、導電性発泡体を含む表面層と、を有する電子写真用ローラであって、
    該導電性発泡体は、アクリロニトリルブタジエンゴム、および、ヒドリンゴムを含む未加硫ゴム組成物の加硫物を含み、
    該ヒドリンゴムは、エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含み、
    該加硫物は、加硫されたアクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相、および、加硫されたヒドリンゴムを含む島相を有するマトリックス・ドメイン構造を具備し、
    該加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率が、該加硫物の総量に対して8.0質量%以上20.0質量%以下であり、かつ、
    水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる該加硫物のスピン−スピン緩和時間T2が、750μs<T2<930μsである、ことを特徴とする電子写真用ローラ。
  2. 前記スピン−スピン緩和時間T2が800μs≦T2≦900μsである請求項1に記載の電子写真用ローラ。
  3. 前記電子写真用ローラの電気抵抗値をR[Ω]としたときに、LogRが、温度23℃、相対湿度55%の環境において、6.9以上7.7以下である請求項1または2に記載の電子写真用ローラ。
  4. 前記導電性発泡体の連続気泡率が70%以上である請求項1または2に記載の電子写真用ローラ。
  5. 前記電子写真ローラが、転写ローラである請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用ローラ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用ローラを具備していることを特徴とする電子写真装置。
  7. 前記電子写真用ローラを転写ローラとして具備している請求項に記載の電子写真画像形成装置。
  8. 導電性の軸芯体と、導電性発泡体を含む表面層と、を有する電子写真用ローラの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)、または、下記工程(1)、(4)〜(6)を有し、
    (1)アクリロニトリルブタジエンゴムと、
    エピクロルヒドリン/エチレンオキサイド/アリルグリシジルエーテル三元共重合体を含むヒドリンゴムと、
    硫黄と、
    チウラム系加硫促進剤と、
    発泡剤と、を含む未加硫ゴム組成物を用意する工程、
    (2)軸芯体の周囲に該未加硫ゴム組成物の層を形成する工程、
    (3)該未加硫ゴム組成物の層を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含む該導電性発泡体を含む該表面層を形成して、該電子写真用ローラを得る工程、
    (4)チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を得る工程、
    (5)該チューブ形状の該未加硫ゴム組成物を加硫させ、かつ、発泡させることによって、該未加硫ゴム組成物の加硫物を含むゴムチューブを得る工程、
    (6)該ゴムチューブに軸芯体を圧入して該軸芯体の周囲に該導電性発泡体を含む該表面層を有する該電子写真用ローラを得る工程;
    かつ、該未加硫ゴム組成物は、該工程(3)または該工程(5)によって、加硫された該アクリロニトリルブタジエンゴムを含む海相と、加硫された該ヒドリンゴムを含む島相と、を有するマトリックス・ドメイン構造を有し、
    該加硫物中におけるエチレンオキシドの含有率が8.0質量%以上、20.0質量%以下であり、かつ、
    水素核を測定核としたパルスNMR測定により求められる該加硫物のスピン−スピン緩和時間T2が、750μsより長く、930μsよりも短い、加硫物を与えるものであることを特徴とする電子写真用ローラの製造方法。
  9. 前記未加硫ゴム組成物は、
    前記硫黄を、前記未加硫ゴム組成物中のゴム成分の総量に対して2.5質量%以上4.0質量%以下、含み、
    該チウラム系加硫促進剤を、前記未加硫ゴム組成物中のゴム成分の総量に対して、1.5質量%以上2.5質量%以下、含む請求項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
  10. 前記未加硫ゴム組成物中の前記発泡剤の含有量が、前記未加硫ゴム組成物中のゴム成分の総量に対して、2.0質量%以上2.5質量%以下である請求項またはに記載の電子写真用ローラの製造方法。
  11. 前記発泡剤が、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを含み、
    メジアン径(d50)が2μm以上5μm以下のp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを、前記未加硫ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して1.5質量部以上2.0質量部以下、含み、かつ、
    メジアン径(d50)が12μm以上16μm以下のp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを、前記未加硫ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上1.0質量部以下、含む、
    請求項10のいずれか一項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
  12. 前記工程(3)または前記工程(5)が、マイクロ波加硫装置を用いて前記未加硫ゴム組成物の層を加硫及び発泡させる工程を含む請求項11のいずれか一項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
  13. 前記アクリロニトリルブタジエンゴムが、アクリロニトリルの平均含有量が15質量%以上、20質量%以下である請求項12のいずれか一項に記載の電子写真用ローラの製造方法。
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