JP3763739B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触転写方式を採用している電子写真装置等の画像形成装置に関するもので、特に、コピア、レーザープリンタにおける像担持体に当接して使用される転写装置部分を中心とする画像形成装置に関するものである。
【0002】
電子写真法においては、従来、金属ワイヤーに高電圧を印加して、発生するコロナにより感光体(像担持体)を帯電させ、静電潜像を形成したり、トナー像を転写させたりしている。しかし、コロナチャージ方式ではコロナ発生時にオゾンやNOx等のコロナ生成物により感光体の表面を変質させるため、画像の白抜けや黒スジが生じる等の画像品質上の他、オフィス環境の点においても問題があった。そこで、オゾンやNOx等を発生させない方式として、導電性弾性体を感光体などに接触させて帯電及び転写させる方式が提案されている。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体上に形成されたトナー像を記録材に転移させるための手段として、像担持体に対向して付設された導電性弾性体に記録材の背面側より数百V〜3kV程度の電圧を印加して接触転写を行うプロセスがある。
これらの接触転写プロセスに導電性弾性体を用いる場合、特開平8−90678号公報に提案されているように導電性弾性体の抵抗値を1×102〜1×1010Ωとなるような半導電領域にすることにより、適切な接触転写を実現することが可能となるとしている。また、環境変化によって転写効率が低下するのを防止する手段は特開平2−300774号公報及び特開平4−190381号公報などに提案され、さらに記録材の種類に応じて転写電圧を制御する手段は特開平6−266243号公報に提案されている。
【0004】
しかし、前記のように導電性弾性体の抵抗値を1×102〜1×1010Ωの半導電領域にしても、抵抗を比較的低くする場合(1×104Ω以下)、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を越えてしまい、放電等が容易に生じ、供給電源操作が非常に困難となる場合がある。また、抵抗が一定以上高い場合(1×109Ω以上)、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を越えるような電荷量を供給することは困難となることがあり、転写電流不足のため良好な画像を得ることができない場合がある。また良好な画像を得ようとして十分な電荷量を供給すると、感光体等の当接部材の耐電圧特性が問題となるだけでなく、環境面からもエネルギーのロスは大きい。
また、記録材の抵抗値を検知して接触転写部材に流す転写電流値を制御しても、多種類の記録材には全て対応できず、記録材の種類に応じて転写電流を制御しても、接触転写部材に用いる導電性弾性体の抵抗値にも基因して、高転写効率だけでなく、高画質を維持することはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の課題及び要望に応えるためになされたものであり、高転写効率を有し、かつ高画質を維持することができると共に、多種類の記録材に俊敏且つ十分に対応することができる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、次の(1)乃至(7)構成を有するものである。
(1) 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が10℃及び30%以下であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦100Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【0007】
(2) 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が10℃及び30%を超えると共に30℃及び70%未満であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦120Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.3の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
(3) 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が30℃及び70%以上であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦140Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
【0008】
(4) 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材サイズの使用変更条件を含み、前記制御手段は、記録材のサイズに基づいて前記[It]を変更することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかの項に記載の画像形成装置。
【0009】
(5) 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材の種類の使用変更条件を含み、前記制御手段は、記録材の種類に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかの項に記載の画像形成装置。
【0010】
(6) 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材の両面転写における裏面転写条件を含み、前記制御手段は、裏面転写条件に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかの項に記載の画像形成装置。
【0011】
(7) 前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に、前記制御手段は、前記転写環境の条件に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかの項に記載の画像形成装置。
(8) 前記制御手段に前記転写環境の内の一番後に裏面転写環境を設定することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態について図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略図である。図2は図1に示された接触転写部材の拡大断面図である。図3は図1及び図2で示される接触転写部材(導電性弾性体)の異なる環境での電流供給に対する電圧値の変動を示す特性線図である。図4は図1の画像形成装置における制御手段での処理を示すチャート図である。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、図1及び図2に示すように、像担持体(感光体ドラム)11等に当接する接触転写部材(転写ローラ)23を有し、その接触転写部材23が導電性弾性体からなるものである。本発明に係る画像形成装置は、通常の形成装置と異なった適用形態、名称、総称等であって良く、その名称等には特に、拘束、限定されない。
前記画像形成装置において、被画像形成体に画像を記録する為に必要な像担持体(感光体等)への画像形成はカールソンプロセスや背面露光方式や、その他の種々の作像原理を使用することが可能であって特に限定されるものではない。本実施の形態ではカールソンプロセスによる画像形成装置9を例にとって説明する。その名称等に限定されない。
【0014】
図1に示すように、前記画像形成装置9は、コンピューターの出力装置として使用されるものであるが、これ以外にワードプロセッサやファクシミリの印字部、デジタル複写機の印字部としても使用可能である。画像形成装置9は、主に、画像を形成する画像形成部10と画像形成部10に記録材Pを供給する給紙装置30と定着装置17とから構成されている。画像形成部10は、アルミ素管に感光層を配置した像担持体(感光体ドラム)11と像担持体11の周囲にこの順序で配置される帯電装置12、露光装置(レーザーユニット)13、現像装置14、転写装置15、及び除電装置(除電ランプ)16とを備えている。
【0015】
前記帯電装置12は、像担持体11の表面に均一な電荷を付与するための帯電部材(帯電手段)18と、該帯電部材18に電位を供給するための帯電電源19とを備えている。
前記レーザーユニット13は、帯電された像担持体11の表面に画像データに応じてレーザーを照射し、像担持体11上に電荷パターンからなる静電潜像を形成する。
前記現像装置14は、レーザーユニット13の露光によって形成された静電潜像に対して現像剤であるトナーを供給してトナー像50を形成する現像部材(現像手段)21と、現像部材21に現像電圧を供給する現像電源22とを備えている。
前記転写装置15は、記録材Pを像担持体11に圧接して像担持体11に形成されたトナー像を記録材Pに転写する接触転写部材23と、転写時に接触転写部材23に一定の転写電流を供給する定電流供給手段24とを備えている。
【0016】
前記除電ランプ16は複数のLEDからなり、像担持体11の表面に光を照射して像担持体11の表面に残留した電荷を中和して除電する。
前記給紙装置30は記録材Pを収容するカセット31、カセット31から記録材Pを送り出すピックアップローラ32、供給された記録材Pをガイドする給紙ガイド33、給紙された記録材Pを所定の速度で搬送する一対のレジストローラ34からなる。
また、給紙装置30は、記録材Pが供給されたこと、及びサイズを検出する給紙センサー(図示せず)を備えている。
前記のピックアップローラ32、帯電部材18、現像部材21、接触転写部材23(共駆動時の場合)、及び像担持体11は図示しない駆動装置によって回転駆動される。これらの回転駆動は不図示のプロセスコントロールユニットによって所定のタイミングで適宜制御される。また、画像形成部10の記録材Pの出紙側には、記録材Pを装置外に排出する排紙ローラ41と排紙された記録材Pを保持する排紙トレイ42を配している。
【0017】
本発明において、前記転写装置15は、記録材Pを像担持体11に当接して像担持体11に形成されたトナー像を記録材Pに転写する接触転写部材23と、転写時に接触転写部材23に一定の転写電流を供給する定電流供給手段24とを備えている。後述するように、接触転写部材23は導電性弾性体からなり、定電流供給手段24は後述する制御手段によって制御されて接触転写部材23に一定の転写電流を供給している。
【0018】
上述した接触転写部材23は導電性弾性体からなり、本発明による一例であるローラ形状を有する導電性弾性体は、図2に示すような構造を有している。
即ち、基体1は鉄、アルミニウム、SUS、真鍮などで構成された、いわゆる「芯金」のほか、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる芯体及びその表面にメッキを施したもの、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂に導電性付与剤としての導電性カーボンブラック、金属粉末などを配合した導電性樹脂成形品で形成した芯体、またはこれらの組み合わせからなる芯体など、プラスチック、金属、セラミックから選ばれた任意の材料からなる基体1であり、その基体1に被覆された1層以上の弾性体2を有している。その弾性体2の内部を通電する手段として、弾性体2の内部に導電性充填剤3を混入し、電圧を印加した場合にはこの分散した導電性充填剤3間の通電により、導電性弾性体の通電を可能としている。また、形状は、基体1及び弾性体2が平板状の形状であるブレード形状、特に基体1を必要としないベルト形状など、ローラ形状に限らない。
【0019】
前記弾性体2としては、ニトリルブタジェンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴムなどの有極性エラストマーや、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、キシレン樹脂、およびこれらの共重合体や混合物などの無極性樹脂、クロロポリスチレン、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体およびスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、フツ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびこれらの共重合体や混合物などの有極性樹脂も可能である。環境変化に伴う体積抵抗率変動の抑制効果及び低硬度化から、エチレン−プロピレンジェン重合体(EPDM)、ブタジェンゴム、スチレン−ブタジェンゴム(SBR)、ハイスチレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、天然ゴム(NR)などの無極性エラストマーが最も好ましい。
【0020】
前記導電性充填剤3としては電子導電性充填剤が望ましく、例えば、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレンおよびポリエチレンイミンなどの導電性樹脂、カーボン、アルミニウム、ニッケルなどの導電性粒子をウレタン、ポリエステル、酢酸ビニル−ビニル共重合体およびポリメタクリル酸メチルなどの樹脂中に分散した導電性粒子分散樹脂、アルミニウム、ニッケル及びステンレスなどの金属紛未、酸化チタン、酸化スズ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの導電性無機粒子、またそれらのウイスカー及びマイカーに必要に応じて酸化スズ、酸化アンチモン、カーボン等で表面処理を行ったもの、またはカーボンブラック(チャンネルブラック、フアーネスブラック、アセチレンブラック)が挙げられ、これらの形状も球状、繊維状、板状、不定型などどのような形状でもよい。
導電性充填剤3としてこのような電子導電性充填剤を使用すると、電子導電性充填剤間の放電により導電するので、長時間、導電性弾性体2に電圧を印加しても履歴を残すことがなく使用することが可能となる。
【0021】
前記導電性充填剤以外の添加剤としては、他に加硫剤、加流促進剤、発泡剤、老化防止剤、補強剤、充填剤を必要に応じて配合することができる。
前記加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物の他、有機過酸化物なども使用可能である。有機含硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。また、有機過酸化物としては、べンゾイルペルオキシド等を挙げることができる。なお、これらのうち、加硫とともに発泡を行う場合に加硫速度と発泡速度のバランスが良くなる点から硫黄を用いるのが好ましい。
前記加硫促進剤としては、例えば、消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、以下に記す有機促進剤を使用することができる。有機促進剤としては、例えば、2−メルカプトべンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェン等のチアゾール系加硫促進剤や、N−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、プロピルアミン等の脂肪族第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の脂肪族第2アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、脂環式第1アミンと2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物、モリフォリン系化合物と2−メルカプトベンゾチアゾールとの酸化縮合物等のスルフェンアミド系加硫促進剤や、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジモノスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジモノスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)等のチウラム系加硫促進剤や、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジェチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ−N−ブチルカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを使用することができる。また、加硫促進助剤を配合することもでき、例えば、亜鉛華などの金属化合物やステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸を用いることができる。
【0022】
前記発泡剤としては、例えば、水、A.I.B.N.(アゾビスイソブチロニトリル)系、A.D.C.A.(アゾジカルボンアミド)系、D.P.T.(ジニトロソペンタメチレンテトラミン)系、T.S.H.(4−トルエンサルフオニルヒドラジド)系、O.B.S.H.(4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド)などの有機系発泡剤が用いられる。発泡剤の配合量は組成物のゴム成分100重量部に対して5〜11重量部程度とする。これは5重量部未満では発泡が不十分になり、11重量部よりも多くなると発泡剤が加硫を阻害して、加硫が不十分になるためである。組成物を発泡体とした場合、柔軟性が向上する。これを転写手段として使用したときに、像担持体と転写手段のニップが十分に確保でき、良好な画質を得ることができる。
【0023】
前記老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミン類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノールなどのフェノール類などが挙げられる。前記充填剤としては、例えば、シリカ、グレー、タルク、炭酸カルシウム、二塩基性亜リン酸塩(DLP)、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合するとゴム組成物の強度が向上する。
【0024】
また、本発明による導電性弾性体の製法であるが、まず、1種類または2種類以上を組み合わせた前記2種もしくは3種以上の化合物からなる電子導電性充填剤と前記発泡剤(目的の導電性弾性体が発泡層を有する場合)、過酸化物または白金触媒存在下でのハイドロジェンポリシロキサンや硫黄などの加硫剤を所望の割合で一様に分散させた未加硫・未発泡のゴム材料をオープンロール、バンバリーミキサー等の公知のゴム混練装置を用いて混練する。この時、必要に応じて加硫促進剤、軟化剤、可塑剤、補強剤、老化防止剤、帯電防止剤などの添加剤を適宜配合することもできる。前記未加硫・(未発泡)のゴム材料を、例えばプレス成形、押出成形、射出成形などの方法により形成する。次に加熱処理による加硫、硬化、(発泡)を行って、(未発泡)弾性体と基体1を一体化させ、金型の内周面に沿った形状を有する目的の弾性体2を得ることができる。基体1は弾性体2の硬度を高くせずに基体1でささえることができ、時間的なへたりなどによる圧力抜けを生じ耐久寿命が短くなることを防止することが可能となる。基体1には、その外周に耐熱温度が220℃の接着剤が塗布されている。この弾性体2の表面に作製させたスキン層を研磨及び研削する。これにより、弾性体2の硬度を低下させることが可能となるので、圧接部材との磨耗を防止することが可能となる.また、疲労によるスキン層のひび割れを事前に防止することが可能となる。以上の工程から基体1と弾性体2のみから構成される導電性弾性体を得る事が可能となる。
【0025】
本発明の画像形成装置においては、上述したように、前記接触転写部材23に転写電流を供給する定電流供給手段24における転写電流値[It]を変更する制御手段であって、前記接触転写部材に電流を徐々に上昇させて流した際の電圧値が急激に変化する屈曲点における屈曲点電流値[Ik]を求めると共に、転写環境に応じて該電流値[Ik]を基準として該転写電流値[It]を定める制御手段を具備する。
尚、制御手段は定電流供給手段24に内蔵されても良く、また別体として設けても良い。また制御手段は上記機能或いは機構を有するシステムであり、定電流供給手段24が上記制御を受ける限り、本発明の画像成形装置に含まれるものである。
【0026】
本発明の画像形成装置において、前記接触転写部材23と像担持体11との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値が急激に変化する屈曲点の特性が測定される(図3のA乃至C点を参照)。かかる特性データにおける屈曲点の電流値[Ik]は上述した制御手段に入力される。
前記接触転写部材23に電流を徐々に上昇させていくと、図3に示す如く電圧値が急激に変化する屈曲部分が存在することが分かる。このような変化電流値−電圧値の特性線の屈曲点は、導電性弾性体である接触転写部材23に含有される前記導電性充填剤間の通電において、最近接の導電性充填剤間だけでなく、周囲近傍の導電性充填剤間に通電するためのしきい値を越え、そして、供給電荷量過多による異常放電を両者間で起こさない程度で、且つ通電経路が最も多くなるポイントとなる。従って、前記屈曲点は接触転写部材23と像担持体11との変化電流値−電圧値の各特性線図中、これらの屈曲点を正確に示すことが難しい場合は、後述するように所定の電圧変化量以下で、その最小の電流値で示される、それに相当する電流値、電圧値を屈曲点とすることができる。
【0027】
また、この屈曲点の特性は、即ち、接触転写部材23と像担持体11との間の変化電流値−電圧値特性は図3に示すごとく転写或いは使用環境によって変わる。例えば、転写時の温度及び湿度の環境を以下の3段階(LL:10℃及び30%以下、NN:10℃及び30%を超え、且つ30℃及び70%未満、HH:30℃及び70%以上)に分類すると、それぞれ異なる変化電流値−電圧値特性線図が得られ、この結果、屈曲点(A,B,C)も種種変化することがわかる。
従って、前記制御手段は、転写環境に応じて該電流値[Ik]を測定して該転写電流値[It]を修正する。制御手段にはこのような屈曲点の測定データと共に、これに応じた転写電流値[It]の制御データが予め入力されている。
【0028】
前記制御手段への転写環境の温度及び湿度等の入力は、画像形成装置に設けた環境センサーによって自動入力するようにしても良く、また手動入力のマニュアル形式を採用しても良い。尚、前記発明の形態では、温度及び湿度の環境条件を3段階にして取り扱ったが、連続的なものとして取り扱うことができる。
このように環境条件が入力された前記制御手段では、接触転写部材23と像担持体11との屈曲点に応じた屈曲点電流値[Ik]が測定され、前記制御手段により制御される定電流供給手段24はこの屈曲点電流値[Ik]に基づく一定の転写電流値[It]を供給する。転写電流値[It]の決定に際しては、転写電流値[It]/屈曲点電流値[Ik]の関係割合([It]/[Ik])は、通常、その最適値が1となるが、後述の記録材の種類や大きさなどの転写環境によってその最適値は適宜修正される。
【0029】
このように構成される画像形成装置にあっては、転写電流値[It]を上述の屈曲点電流値[Ik]を基準として転写環境に応じて変更するので、即ち、温度及び湿度条件、記録材材質、記録材サイズ、その他の環境に応じて変更をするので、最適な転写電流値[It]の設定となり、画像形成装置は、接触転写部材23の転写電流過不足による画質劣化を生じることなく、良好な画像を得ることが可能となる。
【0030】
本発明では、上述のように、前記転写環境の一つが温度及び湿度の使用環境条件であり、該使用環境条件を複数の段階に分けて、前記制御手段を設定することで簡素化できる。
即ち、図3に示すごとく、複数の段階が3段階であり、10℃及び30%以下であるとき、前記接触転写部材の5μA当りの電圧変化量をΔVn(nは供給電流で、単位は5μAである。)とすると、ΔVn≦100Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準として前記転写電流値[It]は、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定され、好ましくは0.7〜1.3の範囲にあり、更に好ましくは、0.85〜1.15の範囲である。
【0031】
また、10℃及び30%を超えると共に30℃及び70%未満であるとき、前記接触転写部材の5μA当りの電圧変化量をΔVn(nは供給電流で、単位は5μAである。)とすると、ΔVn≦120Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準として前記転写電流値[It]は、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.3の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定され、好ましくは0.8〜1.2の範囲にあり、更に好ましくは、0.9〜1.1の範囲である。
【0032】
更に、30℃及び70%以上であるとき、前記接触転写部材の5μA当りの電圧変化量をΔVn(nは供給電流で、単位は5μAである。)とすると、ΔVn≦140Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準として前記転写電流値[It]は、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定され、好ましくは0.7〜1.3の範囲にあり、更に好ましくは、0.85〜1.15の範囲である。
【0033】
このように使用環境における温度及び湿度を3段階に分けることによって、それぞれの環境での屈曲点電流値[Ik]を容易に決定することができるため、これを基準として転写電流値[It]の算出、変更が簡略化することができる。前記の関係が成立する最大の電流値が示す屈曲点にて転写することにより、接触転写部材23中に含有される導電性充填剤間の通電のためのしきい値を越え、通電経路が多くなり、後述の表1で示されるように、像担持体上のトナー像を記録材上に転写するために十分な転写電流をそれぞれの条件に応じて確保することができ、転写効率が高く良好な画像を得る事が可能となる。
【0034】
尚、前記それぞれの環境下における転写電流値[It]の範囲未満における転写電流値を選択して画像形成を行なった場合、導電性弾性体に含有される最も近い導電性充填剤間でのみ通電するので、導電性弾性体表面で抵抗むらが生じ、これが転写後に記録材上のトナー像の濃度むら等を生じさせる。また、前記それぞれの環境下における転写電流値[It]の範囲を超える転写電流値を選択して画像形成を行なった場合、導電性弾性体の最も近い導電性充填剤だけでなく、近傍の導電性充填剤に通電することになるので、転写後に記録材上のトナー像のむらを生じることはないが、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じ良好な画像を得ることができない。
【0035】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段における転写環境の一つが記録材サイズの使用変更である。
前記転写条件の一つとして、記録材サイズに応じて転写電流値[It]を変更することは、接触転写部材23と像担持体11が直接接触する部分から転写電流が逃げてしまうが、記録材上の転写電流が不足することを防止することができる。即ち、屈曲点電流値[Ik]を基準とした転写電流値[It]との関係を記録材サイズと更に関係付けして変更することによって、あらゆるサイズの記録材においても良好な画像を得ることができる。
【0036】
特に、前記接触転写部材23の幅を基準とし、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のときの前記転写電流値[It]は、前記屈曲点電流値[Ik]を基準として、1.0〜1.7倍の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定され、好ましくは1.1〜1.5倍の範囲にあり、更に好ましくは、1.2〜1.4倍の範囲である。
具体的には、接触転写部材23の幅、即ち導電性弾性体の幅サイズと同等の記録材を基準として、その基準に対する記録材サイズの幅が70%以下のとき、後述の表2の結果から明らかなように、各記録サイズの転写電流値と屈曲点電流値[Ik]の割合(転写電流値/[Ik])は1.0〜1.7、特に1.1〜1.5の範囲とし、その範囲内での転写電流値[It]値のベストモードは1.3である。
上記ベストモードで選択される転写電流値で構成される画像形成装置にあっては、ニップ部よりも記録材幅が小さいことから、接触転写部材23と像担持体11とが直接接触している部分から転写電流が逃げるが、記録紙上の転写電流が不足することはなく、画像形成装置は、確実な画像を形成することができる。
尚、屈曲点電流値[Ik]は、転写動作に先立ち求めた値であるが、測定後に温度及び湿度の転写環境、又はその他の環境が変化し、屈曲点の変動が予測される場合、再度屈曲点電流値[Ik]を求め直し、その基準として環境に応じた転写電流値とする。
【0037】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段における転写環境の一つが記録材の種類の使用変更条件である。
前記制御手段は記録材種に応じて転写電流値[It]を変更することにより、記録材種の抵抗値が異なっても必要不可欠な転写電流を供給することが可能となる。該普通紙に換えてOHPを記録材したときの前記転写電流値[It]は、前記屈曲点電流値[Ik]を基準として、1.0〜1.9倍の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定され、好ましくは1.3〜1.8倍の範囲にあり、更に好ましくは、1.5〜1.7倍の範囲である。
記録材がOHPの時は、後述する表3の結果より、転写電流値と屈曲点電流値[Ik]との割合(転写電流値/[Ik])は1.0〜1.9、特に1.1〜1.8の範囲で、この範囲内でのベストモードである1.5の関係にある転写電流値[It]を供給することにより、普通紙に比べて抵抗値が高いOHPにおいても、必要十分な転写電流を供給することが可能となる。
尚、屈曲点電流値[Ik]は、転写動作に先立ち求めた値であるが、測定後に温度及び湿度の転写環境、又はその他の環境が変化し、屈曲点の変動が予測される場合、再度屈曲点電流値[Ik]を求め直し、その基準として環境に応じた転写電流値とする。
【0038】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段における転写環境の一つが記録材の両面転写における裏面転写であることが好ましい。
前記の制御手段は両面転写時の裏面転写電流を変更することにより、表面印刷時に記録材の抵抗値上昇が生じていたとしても、裏面転写時に必要不可欠な転写電流を供給することができる。
記録材の表面転写の基準電流値に対して裏面転写の転写電流値[It]は、0.7〜1.5倍、好ましくは0.85〜1.3倍の範囲内で選択されるように前記制御手段で設定される。
後述する表4に示すように、前記表面転写の転写電流値の基準である屈曲点電流値[Ik]に対して、裏面転写の転写電流値と該屈曲点電流値[Ik]との割合(転写電流値/[Ik])は0.7〜1.5、特に0.85〜1.3の範囲で、この範囲内でのベストモードである1.3の関係にある転写電流値[It]を供給することにより、表面に比べて抵抗値が高い裏面においても必要十分な転写電流を供給することができる。
【0039】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段には少なくとも、最初に前記転写環境を設定してなることが好ましい。
前記制御手段は少なくとも、転写環境に応じた転写電流値[It]の変更を最初に行うことにより、基準電流を元にして変更した電流を的確に接触転写部材に供給することができ、転写環境に応じた極めの細かい画像形成ができる。
【0040】
本発明の画像形成装置では、前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に前記制御手段に前記転写環境を設定してなることが好ましい。
このように、画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に転写環境に応じた転写電流値[It]の変更を行うことにより、上述の転写環境に応じた極めの細かい画像形成ができると共に、前記制御手段に転写環境を電源投入時或いはウォームアップ時に入力する事が簡単にできる。
【0041】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段に前記転写環境の内の一番後に裏面転写を設定することが好ましい。
前記制御手段は少なくとも、両面転写における裏面の転写電流値[It]の変更を最後に行うことにより、前記制御手段の処理手順を最小限とし、最適転写電流値を決定することができる。
【0042】
次に、本発明の好ましい形態での画像形成装置内における前記制御手段及び定電流供給手段24の使用を図4のチャート図に従って簡単に説明する。
先ず、画像形成装置の電源を投入すると、環境センサーが働き、温度及び湿度が検知される。検知された温度及び湿度は前記制御手段に入力される。前記制御手段ではその環境検知データに基いて3段階(場合によっては連続的に取り扱ってよい。)環境に分けた接触転写部材(導電性弾性体)23における変化電流値−電圧値特性からの屈曲点に応じた第1回目の転写電流値[It]を決定する。
【0043】
次に、画像形成装置での記録材のサイズが選択されたとき、その記録材のサイズデータが前記制御手段に入力される。前記制御手段ではその使用環境検知データに基いて前記屈曲点に応じた第1回目の転写電流値を更に変更して第2回目の転写電流値を決定する。
次に、画像形成装置での記録材の種類が選択されたとき、その記録材の種類データが前記制御手段に入力される。前記制御手段ではその使用環境検知データに基いて前記屈曲点に応じた第2回目の転写電流値を更に変更して第3回目の転写電流値を決定する。
そして、第3回目の転写電流値に基いて前記制御手段は定電流供給手段24の電流値を制御し、定電流供給手段24は最適な電流を接触転写部材23に付与し、記録材Pには正確な画像転写が行われる。
【0044】
次に、画像形成装置にて記録材に転写を行う場合、両面転写が選択されているか否かが判断され、両面転写でない場合は、前記制御手段は第3回目の転写電流値のままで定電流供給手段24を制御する。
一方、画像形成装置にて両面転写が選択されたと判断された場合は、表面転写においては通常の片面印刷と同一設定とし、表面と裏面の紙間にて、前記制御手段ではその使用環境検知データに基いて前記表面転写時の屈曲点電流値[Ik]を基準にして裏面転写電流値を決定する。
そして、決定した電流値に基いて前記制御手段は定電流供給手段24の電流を制御し、定電流供給装置24は最適な電流値を接触転写部材23に付与し、記録材Pには正確な裏面の画像転写が行われる。
【0045】
従って、前記のような導電性弾性体を接触転写部材23として、OPC等の像担持体に当接または圧接し、定電流供給手段24で接触転写部材23に電流を供給すると共に、その定電流供給手段に一体或いは別体として設けた制御手段でその転写電流値を制御する。このように接触転写部材23にあって電流値の制御を行うことは、供給電源のコストを低く抑えることが可能となる。
また、通常、導電性弾性体が無極性弾性体と電子導電性充填剤との基本構成材質から成るとき、その導電性弾性体には環境変化における抵抗値変動がほとんど生じない。しかし、OPC等の像担持体やトナーなどのインキ材、記録材などは転写環境(温度及び湿度環境、使用環境等)によっては抵抗値変化を生じる。そこで、本発明で示されるように、環境検知手段及び環境入力手段或いは制御装置に関するその他のシステムを画像形成装置に設け、その出力データによって、転写電流の制御を行い、転写電流値[It]を決定することにし、これにより、転写電流過不足による画質劣化を生じることがなく、良好な画像を得ることができる。尚、環境検知手段としては、環境センサーに限らず、その他さまざまな手法が用いられる。また、検知された屈曲点電流値[Ik]を基準に、記録材の種類やサイズによって変更再決定が可能なものである。
【0046】
【実施例】
本発明の画像形成装置を以下の実施例に基づいて詳しく説明する。
先ず、図1に示す画像形成装置9の接触転写部材23である前記導電性弾性体は、具体的には以下の方法で作製する。かかる作製方法は作業上及び性能上において特に好ましい。すなわち、所望のカーボンブラック等の電子導電性充填剤を適宜配合したEPDMゴム組成物の構成材料を混練機にて60〜120℃で、5〜30分間混練し、押出成形機にてチューブ状に成形し、その内径部に基体1を嵌入する。そして120〜200℃で5〜30分間加硫し、2次加硫を150〜180℃で1〜4時間行う。この時、加流と同時にアゾジカルボンアミドなどの発泡剤を入れ、平均気泡径が250μm以下で、且つアスカーC硬度が10〜70度の範囲内にある発泡弾性体を得ることができる。発泡体ではなくソリッドゴムを作製する場合は発泡剤を混入する必要はない。
【0047】
加硫終了後、取り出した導電性弾性体は、所望の径となるよう必要に応じて表面研磨を施す仕上げを行うことにより、スキン層を除去する。ローラ形状である場合は外径、真円性、円筒度を出し、ブレード及びベルト形状である場合は真直度、平面度を出す。このようにして得られた導電性弾性体を接触転写部材23とし図1に示す画像形成装置に組み込み、OPC等の像担持体11に当接または圧接し、定電流供給手段24を用い、定電流供給手段24を定電流制御することにより転写実験を行った。
【0048】
供給する転写電流値[It]の決定は、先ず、一般的な記録材において、環境センサーによって使用環境条件を検知し、その環境入力に応じて、3段階(LL:10℃及び30%以下、NN:10℃及び30%超え、かつ30℃及び70%未満、HH:30℃及び70%以上)に分類した。それぞれのLL、NN、HH環境に応じて、各環境での電流値を変化させ、そのときの電圧値についての測定結果を図3にプロットして示した。電流値を徐々に上昇させた際に流れる電圧が急激に変化する変化電流値−電圧値の特性線から屈曲点が検出される。その特性線図からの屈曲点での電流値を屈曲点電流値[Ik]とする。
【0049】
適正な抵抗を有する導電性弾性体では、NN環境において、電流値を5μAずつ増加させた時、電圧値の上昇幅が120Vを最初に示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の電流値を特性線での屈曲点及び屈曲点電流値[Ik]と定めることができた。
【0050】
尚、導電性弾性体の環境変化における抵抗値変動はほとんど生じないが、LL環境及びHH環境では、像担持体(OPC)11やトナーなどのインキ材、記録材などの抵抗値が変化するため、電圧値が異なった。
LL環境において、電流値を5μAずつ増加させた時、電圧値の上昇幅が100Vを最初に示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の電流値を特性線での屈曲点及び屈曲点電流値[Ik]と定めることができた。
また、HH環境において、電流値を5μAずつ増加させた時、電圧値の上昇幅が140Vを最初に示す領域が屈曲部分として認識された。このため、この領域における最小の電流値を特性線での屈曲点及び屈曲点電流値[Ik]と定めることができた。
【0051】
次に、各環境下での前記屈曲点電流値[Ik]を固定値1として、転写電流値の割合を0乃至2.3の範囲で変化させ、そのときの転写効率、濃度むら、トナー飛散、及び文字の中抜け等の画像評価を行なった。その結果を表1に示す。
尚、本実施例で使用した接触転写部材23では、各環境下での屈曲点電流値[Ik]は15μAを示し、これを屈曲点とした。また、各項目の評価基準は、○:良好、△:普通、×:不良である(表1乃至4に適用。)。
【0052】
【表1】
【0053】
前記屈曲点電流値[Ik]が1のとき、即ち、前記転写電流値と屈曲点電流値[Ik]が同じ場合には、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間の通電において、最近傍の導電性充填剤間だけでなく、周囲の導電性充填剤間に通電するためのしきい値を越え、供給電荷量過多による異常放電を起こさない程度で電流であって、通電経路が最も多くなる最適ポイントであることが分かる。
【0054】
前記NN環境において、屈曲点電流値[Ik]より低い転写電流値(転写電流値/屈曲点電流値[Ik]の割合が0.7未満のとき。)は導電性弾性体に含有される最も近い導電性充填剤間で通電し、導電性弾性体表面での抵抗むらが生じるので、画像形成では転写後に記録材上のトナー像の濃度むらとして生じさせた。また、屈曲点電流値[Ik]より高い転写電流値(転写電流値/屈曲点電流値[Ik]の割合が1.5を超えるとき。)は、導電性弾性体に含有される導電性充填剤間は最も近い導電性充填剤だけでなく、近傍の導電性充填剤に通電することになるので、転写後に記録材上のトナー像のむらを生じることはないが、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じ良好な画像を得る事はできなかった。これに対し、屈曲点電流値[Ik]を転写電流値として転写することにより、供給電荷量不足による記録材上のトナー像の濃度むらや、供給電荷量過多による異常放電やブレイクダウンを生じることなく、転写効率が高く良好な画像を得ることができた。
前記LL環境及びHH環境は、像担持体、トナーなどのインキ材、記録紙などの抵抗値変化により、電圧値がシフトしただけで画質の与える影響はNN環境における結果と略同様であった。
【0055】
次に、上記NN環境での上記屈曲点電流値[Ik]を基準として、A3〜A6の普通紙からなるそれぞれの記録材を用いて転写効率(%)を測定した。
即ち、導電性弾性体幅サイズと同等の記録材幅サイズ(A3横サイズ)の屈曲点電流値[Ik](15μA)を基準として、各サイズの記録材における転写電流値の割合を0.3乃至2.0の範囲で変化させ、そのときの転写効率の画像評価を行った。その結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
この結果、記録材サイズの幅が70%以下のとき、上記基準となる屈曲点電流値[Ik]に対して1.0〜1.7の割合で、特に1.1〜1.5の割合で転写電流値を変更することが好ましい。ベストモード割合は1.3であった。
通常、制御しない転写電源を用いていることから、記録材が接触転写部材である導電性弾性体の幅サイズよりも小さい場合、像担持体(OPC)11と直接接触している部分で転写電流が逃げてしまい、肝心の記録材の部分には必要十分な転写電流を供給することはできなかった。
このように記録材サイズの制御方法についての決定にあたり、記録材のサイズによって、転写電流値を変更することによって、あらゆるサイズの記録材においても良好な画像を得ることができる。
【0058】
次に、上記NN環境で、A3横サイズ環境の上記屈曲点電流値[Ik]に基いて、普通紙とOHPとからなるそれぞれの記録材を用いた。即ち、NN環境、A3横サイズ(導電性弾性体幅サイズ)、及び普通紙における屈曲点電流値[Ik]が基準となる。かかる基準に対して、接触転写部材に電流を供給する各記録材種別の転写電流値の割合を0.3乃至2.0の範囲で変化させ、そのときの転写効率の画像評価を行った。その結果を3に示した。
【0059】
【表3】
【0060】
この結果、記録材がOHPのとき、上記基準となる屈曲点電流値[Ik]に対して1.0〜1.9の割合で、特に1.3〜1.8の割合で転写電流値[It]を変更することによって、転写効率が92%以上の良好な画像が得られ、ベストモード割合は1.7であった。
尚、記録材種類の制御方法について詳しく調べると、画像形成装置に使用する記録材種類として、OHPのみ抵抗値が特に異なるので、普通紙と同様の転写電流値では必要不可欠な転写電流を供給することができなかった。
【0061】
次に、上記NN環境で、サイズ環境及び普通紙環境の上記屈曲点電流値[Ik]に基いて、普通紙の表面転写とその転写後の裏面転写とからなるそれぞれの記録材を用いた。この場合、NN環境、普通紙、及び表面転写における屈曲点電流値[Ik]が基準となる。そして、転写電流値の割合を0.3乃至2.0の範囲で変化させ、そのときの転写効率の画像評価を行った。(条件:記録紙がA4横サイズ普通紙両面転写の場合)。その結果を表4に示した。
【0062】
【表4】
【0063】
この結果、記録材が裏面転写のとき、上記基準となる屈曲点電流値[Ik]或いは第3回目の転写電流値に対して0.7〜1.5の割合で、特に0.85〜1.3の割合で転写電流値[It]を変更することによって、転写効率が90%以上の良好な画像が得られ、ベストモード割合は1.3であった。
このように、両面転写の制御方法について調べると、両面転写を行う場合、表面に比べて裏面は、トナー付着、ワックス付着及び定着時における記録材の水分蒸発などによる抵抗値の上昇が生じるため、表面と同様な転写電流では好ましくないことが分かった。
【0064】
上記測定結果から実施例の画像成形装置の制御手段に上記の各データを入力し、図4で示す処理が行われるように制御手段を設定する。
この結果、画像成形装置に電源を投入した際に環境センサーが働き、制御手段には各転写環境の条件が設定される。具体的には、画像形成装置の電源投入時またはウォームアップ時に使用環境を検知して定電流供給手段での転写電流値が所定の値に変更される。
このような装置で、低温、低湿或いは高温、高湿等LL環境やHH環境であっても、またはがきサイズの記録材であっても良好な転写画像が得られる。
また、図4に示すごとく、両面転写時の裏面のための転写電流の変更は最後に行うことにより、制御手段の使用を最小限に抑えることができる。
【0065】
尚、接触転写部材23の形状はローラ、ブレード、ベルトどれにおいても得られた結果は同じであり、その構成は発泡層を含有する弾性層であっても、ソリッドゴムであっても同様であった。よって、接触転写部材の形状によるこれまでのさまざまなメリットを追及することが可能となる。
【0066】
また、画像形成装置において、印加定電圧をステップごとに増加させ屈曲点を求める方式では、環境で大幅に特性が変化するので電圧増加では小刻みな電流増加しか得られず屈曲点を求めるのに多数のステップを必要とするが、本発明は定電流駆動方式であるため、ステップごとに増加し電流値が小さいときは電圧変化が大きくなり小ステップ数で速やかに屈曲点が求まり、即応性に富んだ制御が可能となるので新聞或いは用紙先頭等の即応性が要求される条件で特に効果を発揮するものである。
更に、定電圧方式を用いて新聞紙等を条件として屈曲点を求めた場合、定電圧制御では求めた電圧を記録紙の影響を考慮するために補正する必要があり不安定要因となるが、本発明の定電流方式では記録紙の有無に左右されず屈曲点が求まり得られた電流値を補正する必要がなく通紙状態での転写条件とすることが可能であるので、安定した転写が可能となり、高信頼性のある転写ができる。
【0067】
【発明の効果】
以上、説明した通り、本発明の画像形成装置は、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更する制御手段であって、前記接触転写部材に電流を徐々に上昇させて流した際の電圧値が急激に変化する屈曲点における電流値を求めると共に、転写環境に応じて該電流値を基準にして該転写電流値[It]を定める制御手段を具備するので、高い転写効率を有し、かつ高画質を維持することができると共に、多種類の記録材に俊敏且つ十分に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略図である。
【図2】図2は図1に示された接触転写部材の拡大断面図である。
【図3】図3は図1及び図2で示される接触転写部材(導電性弾性体)に供給する電流値に対する電圧値の変動を示す特性線図である。
【図4】図4は図1の画像形成装置における制御手段での処理を示すチャート図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 基体
2 ・・・ 弾性体
3 ・・・ 導電性充填剤
9 ・・・ 画像形成装置
10・・・ 画像形成部
11・・・ 像担持体(感光体)
13・・・ 露光装置
15・・・ 転写装置
16・・・ 除電装置
17・・・ 定着装置
23・・・ 接触転写部材
24・・・ 定電流供給手段
Claims (8)
- 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が10℃及び30%以下であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦100Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
- 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が10℃及び30%を超えると共に30℃及び70%未満であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦120Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.3の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
- 像担持体に当接させた接触転写部材を有し、前記像担持体と前記接触転写部材とで形成される転写ニップ部において記録材を挟持搬送させながら、前記像担持体上のトナー像を記録材上に転写する転写手段を具備する画像形成装置において、前記接触転写部材に転写電流を供給する定電流供給手段の転写電流値[It]を変更制御する制御手段であって、また転写環境の一つである使用環境条件が30℃及び70%以上であるとき、該転写部材と像担持体との間に電流を徐々に上昇させた際の電圧値Vの関係にあって前記転写部材への5μA単位当たりの供給電流量nに対する電圧変加量をΔVnとすると、該電圧変化量ΔVn≦140Vの関係が成立する最小の電流値で示される前記屈曲点での屈曲点電流値[Ik]を基準とし、該転写電流値[It]を、その割合([It]/[Ik])が0.7〜1.5の範囲内で選択されるように定める制御手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
- 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材サイズの使用変更条件を含み、前記制御手段は、記録材のサイズに基づいて前記[It]を変更することを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材の種類の使用変更条件を含み、前記制御手段は、記録材の種類に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする請求項1〜4の何れかの項に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段における転写環境の一つとして記録材の両面転写における裏面転写条件を含み、前記制御手段は、裏面転写条件に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする請求項1〜5の何れかの項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置の電源投入時及びウォームアップ時に、前記制御手段は、前記転写環境の条件に基づいて前記[It]を変更することを特徴とする請求項1〜6の何れかの項に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段に前記転写環境の内の一番後に裏面転写環境を設定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2000391068A JP3763739B2 (ja) | 2000-12-22 | 2000-12-22 | 画像形成装置 |
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