JP3617782B2 - 高嵩密度洗剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高嵩密度洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒状洗剤組成物は、消費者の利便性より、高嵩密度化や低使用量化が強く指向されている。しかし、高嵩密度洗剤組成物には該組成物を構成する洗剤粒子の溶解速度が低くなる傾向があることが知られている。また、環境・エネルギー問題や経済性への対応に基づく、洗濯水の低温化、運転時間の短縮化等の近年の洗濯機の傾向は、いずれも洗剤粒子の溶解速度の遅延の要因となり、ひいては洗剤組成物の洗浄能力が著しく低下する。
【0003】
一方、従来より洗剤粒子、漂白活性化剤含有粒子及び漂白剤を含有してなる漂白剤含有洗剤組成物が知られている。漂白剤含有洗剤組成物において、汚れに対する漂白剤の作用を十分発揮させるためには、予め汚れに対して界面活性剤等の作用が働いている方が有利である。しかし、従来の漂白剤含有洗剤組成物においては、通常、漂白活性化剤含有粒子と洗剤粒子はほぼ同時に溶解する。このような状態では、汚れに対する界面活性剤等の作用が不十分なままで漂白剤の作用が発現するため、漂白剤の作用を最大限に発揮させることができない。
【0004】
例えば、特表平9−512050号公報には漂白剤含有洗剤組成物が開示されている。ここでは、洗浄溶液へのペルオキシ酸漂白剤の放出を遅延させることにより洗剤組成物の洗浄力の向上を図ろうとしている。しかしながら、漂白作用の発現を遅延させるという思想は上記の最近の傾向に逆行するものであり、しかもかかる遅延により、漂白作用が充分に発揮される前に洗浄工程が終了したり、粒子の溶け残りが発生するという実用上の問題もある。このような現象は、特に低水温での洗浄において顕著に現れる。したがって、漂白剤含有洗剤組成物においても洗剤粒子の溶解速度の向上が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、漂白剤の作用を十分に発揮し得る程度に溶解性の高い高嵩密度洗剤粒子を含有してなる高嵩密度洗剤組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、界面活性剤を含有し、10℃における電気伝導度法による95%溶解時間が90秒以下であり、嵩密度が500g/L以上の高嵩密度洗剤粒子、該95%溶解時間が120〜480秒の漂白活性化剤含有粒子及び水溶液中で過酸化水素を放出する能力を有する粒子を含有してなり、
該高嵩密度洗剤粒子が水難溶性無機物20〜90重量%、水溶性ポリマー2〜30重量%、水溶性塩類5〜78重量%を含有する、該水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類が内部よりも表面近傍に偏在する構造を有するベース顆粒100重量部に対して界面活性剤5〜80重量部を担持させてなるものであり、
該漂白活性化剤含有粒子が漂白活性化剤1〜90重量%、バインダー物質0.5〜30重量%を含有してなり、その平均粒径が100〜2000μmである、高嵩密度洗剤組成物に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
1.高嵩密度洗剤組成物を構成する粒子
界面活性剤を含有する高嵩密度洗剤粒子の10℃における電気伝導度法による95%溶解時間は、洗浄能力の向上の観点から90秒以下、好ましくは80秒以下、より好ましくは60秒以下である。また、該洗剤粒子の嵩密度は500g/L以上、好ましくは500〜1000g/L、より好ましくは600〜1000g/L、特に好ましくは650〜850g/Lである。経済効率の観点から嵩密度は500g/L以上が好ましく、溶解性の観点から1000g/L以下が好ましい。
【0008】
漂白活性化剤含有粒子の10℃における電気伝導度法による95%溶解時間は120〜480秒、好ましくは150〜450秒、より好ましくは180〜420秒である。界面活性剤と漂白剤との相互作用を高める観点から該溶解時間は120秒以上が好ましく、洗浄時間の短縮の観点から該溶解時間は480秒以下が好ましい。
【0009】
本発明において、「10℃における電気伝導度法による95%溶解時間」は、次のように定義される。
内径105mmの円柱状の1Lビーカーに10℃の蒸留水1Lを入れ、電気伝導度計をセットする。全長35mm、直径7.5mmの円柱状攪拌子を用いて550rpmにて攪拌を行う。10℃の試料1gを水の渦中心に投入する。この時点を0秒として、10秒間隔で電気伝導度を測定する。継続して2分以上測定値が上昇しなくなった値を100%溶解値として95%溶解値を算出する。そしてその値に至るまでに要する時間を95%溶解時間とする。なお、攪拌子は科学共栄社製、型式SA−35等が好適例である。
【0010】
このような溶解性の高い高嵩密度洗剤粒子としては、例えば以下の態様の高嵩密度洗剤粒子が挙げられる。
高嵩密度洗剤粒子の一つの態様として、洗剤粒子のペースト化による溶解遅延の防止、及び洗剤粒子自身の溶解性の観点から平均粒径が150〜500μm、好ましくは180〜500μm、より好ましくは180〜300μm、且つ710μm以上の粒径の粒子及び125μm未満の粒径の粒子の割合がそれぞれ高嵩密度洗剤粒子全体の10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下の洗剤粒子が挙げられる。
【0011】
本態様の高嵩密度洗剤粒子の組成としては、界面活性剤が5〜80重量%、水難溶性無機物が10〜50重量%、水溶性ポリマーが1〜20重量%の組成が好ましい。界面活性剤の量が10〜60重量%がより好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。
【0012】
かかる洗剤粒子は、公知の方法、例えば、水難溶性無機物の一部を除いた主成分を連続ニーダーを用いて捏和・混合し、得られた捏和物と残部の水難溶性無機物とを粉砕機に投入して粉砕することにより得ることができる。そして、得られた洗剤粒子を篩い分けすることによって所定の平均粒径分布を有する洗剤粒子を得ることができる。なお、連続ニーダーとしては、例えば、栗本鉄工所製KRC2型、粉砕機としてはホソカワミクロン製DKASO6型等が好適例である。
【0013】
他の態様の高嵩密度洗剤粒子として、水難溶性無機物と、水溶性ポリマー及び水溶性塩類からなる群より選ばれる一種以上の水溶性成分とを含有してなるベース顆粒に界面活性剤が担持されてなる高嵩密度洗剤粒子が挙げられる。該洗剤粒子の平均粒径は、洗剤粒子のペースト化による溶解遅延の防止、及び洗剤粒子自身の溶解性の観点から150〜600μm、好ましくは150〜500μm、より好ましくは180〜400μmである。
【0014】
ベース顆粒の組成中、水難溶性無機物は好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%である。水溶性ポリマーは好ましくは2〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。水溶性塩類は好ましくは5〜78重量%、より好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%である。これらの範囲内であれば、スラリーを噴霧乾燥することにより得られるベース顆粒の構造は、水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類がベース顆粒の内部よりも表面近傍に多く偏在した構造となる。このような偏在性を示すベース顆粒は、水中で表面近傍の水溶性成分が速やかに溶解して、それにより洗剤粒子表面からの洗剤粒子の崩壊を促進するという溶解挙動を示す。そのために、かかるベース顆粒により高速溶解性が実現され、溶解性に優れた洗剤粒子を得ることができる。
【0015】
ベース顆粒の構造の偏在性の確認は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)や光音響分光法(PAS)を併用する方法(FT−IR/PAS)を用いて行うことができる。これは、APPLIED SPECTROSCOPY vol.47 、1311−1316(1993) に記載のとおり、ベース顆粒の表面から深さ方向における物質の分布状態を解析する方法であり、それにより偏在性を確認することができる。
【0016】
ベース顆粒に担持させる界面活性剤の量としては、洗浄力の点で、ベース顆粒100重量部に対して5〜80重量部が好ましく、5〜60重量部がより好ましく、10〜60重量部がさらに好ましく、20〜60重量部が特に好ましい。ベース顆粒に陰イオン界面活性剤を担持させることにより、上記の偏在性を維持しつつ多量の界面活性剤を配合することができる。
【0017】
かかる洗剤粒子の調製方法としては、まず、ベース顆粒を構成する成分を含有するスラリーを調製する。次いで、スラリーを噴霧乾燥に付してベース顆粒を得る。噴霧乾燥により、ベース顆粒を構成する成分のうちの水溶性成分が水分の蒸発に伴ってベース顆粒表面に移動する。そのために、ベース顆粒は偏在性を示すことになる。次いで、得られたベース顆粒と界面活性剤とを、回分式や連続式の公知の混合機に投入することによりベース顆粒に界面活性剤を担持させることができる。
【0018】
また、洗剤粒子の流動性及び非ケーキング性の観点から、本態様の高嵩密度洗剤粒子と表面被覆剤とを混合して、さらに表面改質を行っても良い。表面被覆剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、結晶性ケイ酸塩等のケイ酸化合物等が挙げられる。
【0019】
次に、洗剤粒子を構成する成分について述べる。
水難溶性無機物としては、一次粒子の平均粒径が0.1〜20μmのものが好ましい。具体的な物質としては、アルミノケイ酸塩等のケイ酸化合物、パーライト、ベントナイト等の粘土化合物等が挙げられる。中でも金属イオン封鎖能及び界面活性剤の吸油能の点で結晶性アルミノケイ酸塩が好ましい。
【0020】
水溶性ポリマーとしては、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類等が挙げられる。中でも金属イオン封鎖能、固体汚れ・粒子汚れの分散能及び再汚染防止能の点で、アクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩とポリアクリル酸塩等の分子量が数千〜10万のカルボン酸系ポリマーが好ましい。
【0021】
水溶性塩類としては、炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、塩酸塩、又はリン酸塩等の無機塩類や、クエン酸塩やフマル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。該水溶性塩類を配合することは、該水溶性塩類と水との反応で生じた水和熱、溶解熱により、洗剤粒子から発生する気泡を熱膨張させ、それにより粒子の崩壊性を促進できる点でより好ましい。
【0022】
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルコールのエトキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはそのアルキルエステル塩、又は脂肪酸塩が挙げられる。特に、アルキル鎖の炭素数が10〜18の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数が10〜20のα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩が好ましい。
【0023】
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールのエチレンオキシド(以下「EO」という)付加物、若しくはEO/プロピレンオキシド(以下「PO」という)付加物、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等が挙げられる。特に炭素数が10〜16のアルコールのEO1〜10モル付加物が皮脂汚れの除去、耐硬水性、生分解性の点、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩との相性の点で好ましい。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミノプロピルベタイン等が、陽イオン界面活性剤としては、モノ(又はジ)アルキル型第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0024】
洗剤粒子には、衣料用洗剤の分野で公知のビルダー、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、酵素、香料等を含有させることができる。酵素としては、プロテアーゼ、アミラーゼ、ペプチナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。特にプロテアーゼとセルラーゼとの組み合わせが好ましい。
また、高嵩密度洗剤粒子の水分量は、該洗剤粒子中20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
【0025】
本発明において規定される程度にまで溶解性の高い高嵩密度洗剤粒子は従来より知られておらず、当然のことながらかかる洗剤粒子を得る方法も知られていなかった。しかしながら、本明細書に記載のように、公知の方法により得られた洗剤粒子を所定の程度に篩い分けする方法や、特定の成分の存在するスラリーを噴霧乾燥する方法といった方法で溶解性の高い洗剤粒子を得ることができる。そのために、従来にはないアプローチから漂白剤の作用を十分に発揮させることができ、洗浄力の向上効果が奏される。
【0026】
漂白活性化剤含有粒子は漂白活性化剤を含んでなる粒子である。漂白活性化剤としては、例えば、式(1)
【0027】
【化1】
Figure 0003617782
【0028】
(式中、Rは炭素数1〜23の、好ましくは5〜23のアルキル基、Lは脱離基である。)で表される化合物が好ましいものとして挙げられる。さらに、式(2)で表される化合物
【0029】
【化2】
Figure 0003617782
【0030】
(式中、mは0〜5の数、X、Yは同一又は異なって、水素原子、−SO M又は−COOMをそれぞれ示す。ここでMは陽イオン又は水素原子である。Rは式(1)と同じである。)がより好ましい。特に、式(2)で表される化合物において、Rが−C1223、mが0、Xが−SO Na、Yが水素原子の化合物と、Rが−C1019、mが0、Xが−COOH、Yが水素原子の化合物が特に好ましい。
【0031】
その他の漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、グルコースペンタアセテート等が漂白効果の点から好適であり、また、特開昭59−22999号公報、特開昭63−258447号公報、特開平6−316799号公報記載の有機過酸前駆体、又は遷移金属を金属イオン封鎖剤で安定化させた金属触媒なども漂白活性化剤として用いることができる。
【0032】
漂白活性化剤含有粒子の平均粒径は100〜2000μmが好ましく、150〜1500μmがより好ましい。
漂白活性化剤含有粒子には漂白活性化剤以外の成分、例えば、界面活性剤、バインダー物質、有機酸、着色物質を含んでいても良い。
界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等が挙げられる。粒子中の含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、特に好ましくは1〜40重量%である。
界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルキル硫酸塩及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(平均EO付加モル数1〜10)等が好ましい。
【0033】
バインダー物質としては、平均分子量2千〜2万のポリエチレングリコール、平均分子量5千〜15万のポリアクリル酸系ポリマーや炭素数8〜20の脂肪酸が挙げられる。粒子中のバインダー物質の含有量は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
【0034】
有機酸としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸等が挙げられる。粒子中の有機酸の含有量は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
【0035】
着色物質としては、顔料、染料が挙げられる。粒子中の着色物質の含有量は、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.7重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%である。具体的には、ウルトラマリンブルー、シアニングリーン等である。
【0036】
漂白活性化剤含有粒子中の漂白活性化剤の含有量は1〜90重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは30〜90重量%である。漂白活性化効果の観点から1重量%以上が好ましく、分散・溶解性の観点から90重量%以下が好ましい。
漂白活性化剤含有粒子は公知の製法により調製することができる。
【0037】
水溶液中で過酸化水素を放出する能力を有する粒子としては、酸素系漂白剤に使用されている漂白剤成分からなる粒子、例えば、過炭酸、過ホウ酸、過燐酸等の過酸の塩からなる粒子が好ましい。取り分け、過炭酸塩粒子及び過ホウ酸塩粒子がより好ましく、過炭酸ナトリウム粒子がより好ましい。
【0038】
2.高嵩密度洗剤組成物
高嵩密度洗剤組成物における各粒子、各成分の含有量は次のとおりである。
高嵩密度洗剤粒子の含有量は、洗浄力及び経済性の観点から組成物の40〜98重量%が好ましく、70〜93重量%がより好ましい。
漂白活性化剤の含有量は、漂白力及び洗浄力の観点から組成物の0.1〜25重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%が特に好ましい。
水溶液中で過酸化水素を放出する能力を有する粒子の含有量は、漂白力及び洗浄力の観点から組成物の1〜50重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましい。さらに、漂白力及び経済性の観点から該粒子100重量部に対し、漂白活性化剤の量が0.1〜50重量部となる組成物の態様がより好ましく、1〜25重量部となる組成物の態様が特に好ましい。
【0039】
なお、粒子の嵩密度はJIS K 3362により規定された方法で測定する。粒子の平均粒径はメジアン径であり、JIS Z 8801の標準篩を用いて、試料を5分間振動させた後、ふるいの目開きのサイズによる重量分率から測定する。
【0040】
【実施例】
ベース顆粒の調製
攪拌翼を有した1m の混合槽に水516kgを加えた。水温が55℃に達した後に、50重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液12kg、40重量%のアクリル酸−マレイン酸コポリマー(ナトリウム塩)水溶液75kgを添加した。15分間攪拌後に、炭酸ナトリウム180kg、硫酸ナトリウム90kg、亜硫酸ナトリウム18kg、蛍光染料3kgを添加した。更に15分間攪拌後に、ゼオライト240kgを添加した。30分間攪拌してスラリーを得た(最終温度は60℃)。
【0041】
このスラリーを噴霧乾燥塔に供給し、塔頂より噴霧を行うことによりベース顆粒を調製した。ベース顆粒の組成は次のとおりである。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1重量%、アクリル酸−マレイン酸コポリマー(ナトリウム塩)5重量%、炭酸ナトリウム30重量%、硫酸ナトリウム15重量%、亜硫酸ナトリウム3重量%、蛍光染料0.5重量%、ゼオライト40重量%、水5.5重量%。
【0042】
また、該ベース顆粒をFT−IR/PASにより解析した結果、顆粒内側はゼオライトの比率が高いこと、水溶性ポリマー及び水溶性塩類は粒子表面近くに多く存在した被覆型の粒子構造を有していること、即ち該ベース顆粒は偏在性を有することが確認された。
【0043】
次いで、レディデミキサー(松坂技研(株)製、容量20L、ジャケット付)に上記ベース顆粒100重量部を投入し、主軸(150rpm)とチョッパー(4000rpm)の攪拌を開始した。そこに、炭素数12〜16、平均EO付加モル数6.0のポリオキシエチレンアルキルエーテル12重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム16重量部、ポリエチレングリコール(平均分子量8500)1重量部及び水2.5重量部を加熱混合して得られた70℃の混合液を3分間で投入し、その後5分間攪拌を行い、洗剤粒子を得た。さらに、結晶性シリケート8重量部と非晶質アルミノケイ酸塩5重量部とを投入し、表面被覆を行った。
【0044】
なお、結晶性シリケートは粉末SKS−6(ヘキストトクヤマ(株)製)を粉砕し平均粒径50μmとした。非晶質アルミノケイ酸塩は、Al =29.6重量%、SiO =52.4重量%、Na O=18.0重量%(1.0Na O・Al ・3.10SiO )の組成のものであって、そのCaイオン捕捉能は185CaCO mg/g、吸油能は285mL/100g、含有水分量は11.2重量%であった。
【0045】
次いで、目開き2000μmの篩を用いて洗剤粒子を分級した。洗剤粒子の物性を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003617782
【0047】
表1より、得られた洗剤粒子の溶解時間は公知の洗剤粒子に比べて極めて短いものであった。また、流動性などの品質が改善された。
【0048】
漂白活性化剤含有粒子の調製
原料成分5kgをハイスピードミキサー(深江工業(株)製、FS−GC−10型)に投入した。ジャケット温度80℃、主軸回転数200rpm、解砕羽根の回転数1500rpmで混合・昇温し、粉体の温度が70℃になった時点で混合物を抜き出した。次いで混合物を押し出し造粒機(不二パウダル(株)製、ペレッターダブルEXD−100型)に投入し、孔径500μmのスクリーンを通して押し出した。押し出し物を振動冷却器(不二パウダル(株)製、バイブロ/フロードライヤーVDF/600型)で冷却した後、整粒機(不二パウダル(株)製、ナイフカッターFL−200型)にて解砕した。解砕物を分級し、平均粒径550μmの漂白活性化剤含有粒子とした。この粒子の10℃における電気伝導度法による95%溶解時間は276秒であった。
【0049】
原料成分の配合組成は次のとおりである。ラウリル硫酸ナトリウム20重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム3重量%、ポリエチレングリコール(平均分子量6500)15重量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム60重量%、ウルトラマリンブルー0.2重量%、コハク酸1.8重量%。
【0050】
得られた洗剤粒子100重量部に、漂白活性化剤含有粒子3重量部、過炭酸ナトリウム10重量部、酵素0.5重量部、香料0.5重量部を混合して高嵩密度洗剤組成物を得た。酵素は、セルラーゼK(特開昭63−264699号公報記載のもの)とリポラーゼ100T(ノボ社製)とを3:1の重量比で混合したものを用いた。
【0051】
本発明品の高嵩密度洗剤組成物と、漂白活性化剤含有粒子を含有する市販の高嵩密度洗剤組成物について、洗浄力の試験を行った。市販の高嵩密度洗剤組成物(プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク製アリエール・ピュアクリーン、Lot.No. 8050AW、嵩密度786g/L、洗剤粒子の平均粒径430μm、125μm未満及び710μm以上の粒径の洗剤粒子は、洗剤粒子全体のそれぞれ10.5重量%、23.6重量%であった。また洗剤粒子及び漂白活性化剤含有粒子の10℃における電気伝導度法による95%溶解時間はそれぞれ204秒、294秒であった。)を用いた。
【0052】
また、洗浄力の試験は、特開平10−168485号公報の第14欄第6行以降に記載の方法に従って実施した(洗濯水の水温:10℃、洗浄時間:8分間)。その結果、本発明品は市販品よりも洗浄力に優っていることが分かった。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、洗剤粒子の溶解性が漂白活性化剤含有粒子よりも良好であることにより、低温洗浄条件又は短時間洗浄条件であっても洗浄力を十分発揮できる高嵩密度洗剤組成物が提供される。

Claims (5)

  1. 界面活性剤を含有し、10℃における電気伝導度法による95%溶解時間が90秒以下であり、嵩密度が500g/L以上の高嵩密度洗剤粒子、該95%溶解時間が120〜480秒の漂白活性化剤含有粒子及び水溶液中で過酸化水素を放出する能力を有する粒子を含有してなり、
    該高嵩密度洗剤粒子が水難溶性無機物20〜90重量%、水溶性ポリマー2〜30重量%、水溶性塩類5〜78重量%を含有する、該水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類が内部よりも表面近傍に偏在する構造を有するベース顆粒100重量部に対して界面活性剤5〜80重量部を担持させてなるものであり、
    該漂白活性化剤含有粒子が漂白活性化剤1〜90重量%、バインダー物質0.5〜30重量%を含有してなり、その平均粒径が100〜2000μmである、
    高嵩密度洗剤組成物。
  2. 高嵩密度洗剤粒子が、平均粒径150〜500μmであって、710μm以上の粒径の粒子及び125μm未満の粒径の粒子がそれぞれ高嵩密度洗剤粒子全体の10重量%以下である請求項1記載の洗剤組成物。
  3. 水溶性ポリマーがカルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉又は糖類である請求項1又は2記載の洗剤組成物。
  4. ベース顆粒が、該ベース顆粒を構成する成分を含有するスラリーを調製し、次いで、スラリーを噴霧乾燥に付して得られたものである請求項1〜3いずれか記載の洗剤組成物。
  5. 漂白活性化剤含有粒子が、界面活性剤50重量%以下、有機酸20重量%以下をさらに含有してなる請求項1〜4いずれか記載の洗剤組成物。
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