JP3615502B2 - エンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構 - Google Patents

エンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構に係り、特に無線操縦により前進動作と後進動作相互間での滑らかな移行を実現するための機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンを搭載した玩具車両において、前進走行に加えて後進走行も可能とするためには、正転及び逆転の切り替え時にクラッチが瞬時に噛み合うことによる回転伝達機構に掛かる大きな負荷を解消する必要がある。
【0003】
これを解消するため特開平9−285649号では、クラッチ板の両側に互いに逆方向に回転する前進ギア及び後進ギアを配し、各ギアの前面に円周状の溝と、該溝に直交する方向に形成された係止部材嵌込穴と、係止部材嵌込穴に嵌め込まれた金属製の係止部材とを備える構造を提案している。しかしこのような構造ではブレーキ機能を設けることが困難であり、仮にブレーキ機能を設けたとしても前進ギア及び後進ギアの各々で作動する機構にする必要があるため、構造が極めて複雑になることが予想される。
【0004】
また前進走行に加えて後進走行も可能とする他の構造として、特公平5―70479号に開示されているように、エンジンの回転力を歯車を介して回転駆動軸に伝達する2つのクラッチ手段を備え、一方のクラッチ手段の回転円板をブレーキ部材によって抑えるとともに、他方のクラッチ手段の回転円板のブレーキ手段を開放することによって、回転駆動軸を正逆転できるようにしたものがある。しかしこのような方法では構造が複雑であるため、コスト高になりがちであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、比較的簡単な構造により、前進動作と後進動作相互間での滑らかな移行を実現するエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載のエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構は、玩具車両の動力伝達機構において、エンジンの回転駆動力を伝達可能な入力軸と、玩具車両の駆動輪に回転駆動力を伝達可能な出力軸と、前記入力軸に固定されている第1ギアと、前記入力軸に対してクラッチ機構を介して接続可能であり、前記クラッチ機構の接続解除時にはエンジンによる入力の回転方向には入力軸の自由回転を許容するが、その反対方向には入力軸との相対的な回転を許容しないワンウェイクラッチを介して入力軸に設けられる第2ギアと、前記第2ギアの回転を規制するブレーキ機構と、前記出力軸の周囲に設けられ、前記第1ギアと歯合している第3ギアと、前記出力軸の周囲に設けられ、前記第2ギアと歯合している第4ギアと、前記出力軸に固定されている第1ベベルギアと、前記出力軸に前記第1ベベルギアと対向して自由状態で設けられ、前記第3ギアに対して固定されている第2ベベルギアと、前記第1ベベルギアと第2ベベルギアの両方に歯合し、前記第4ギアに対して定位置に設けられる第3ベベルギアとを備え、前記第1ギア及び第3ギア間のギア比が前記第2ギア及び第4ギア間のギア比と同じであることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の前進モードでは、入力軸の回転に伴い、第1ギアが回転し第3ギアを回転駆動させる。また入力時の回転によりクラッチ機構が接続して第2ギアが回転し第4ギアを回転駆動させる。ここで第1ギア及び第3ギア間のギア比が第2ギア及び第4ギア間のギア比と同じであるため、第3ギアと第4ギアとが同期回転して車輪が前進方向に回転するように出力軸が駆動する。
【0008】
また後進モードではクラッチ機構を切り、ブレーキ機構のブレーキを作動させる。クラッチ機構が切られているため、第2ギア及びこれに歯合する第4ギアは駆動せず、第1ギアの回転により駆動した第3ギアが第1〜第3ベベルギアを介して出力軸を前進モードとは反対方向へ回転させて、車輪が後進方向に回転するようになる。
【0009】
更にブレーキモードでもクラッチ機構を切り、ブレーキ機構のブレーキを作動させる。車輪の回転は出力軸を回転させるが、第4ギアは固定状態であるため、第1〜第3ベベルギアを介して第3ギアを出力軸と逆方向に回転させる。これにより第1ギアを介して入力軸がワンウェイベアリングのロック作用方向に回転しようとするが、ブレーキ機構によって第2ギアの回転は規制されているため、出力軸即ち車輪のブレーキ作用として機能する。
【0010】
本発明ではこのようにベベルギアを採用することにより、比較的簡単な構造でエンジンを備えた玩具車両で後進を実現することができるとともに、ブレーキを効かすことも可能となる。
【0011】
また、本願請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記クラッチ機構は、使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードにするように操作したときに接続し、後進モードにするように操作したときに接続が解除されることを特徴とするものである。本発明によれば、スロットル・トリガーを各モードにおいて動作させるだけでクラッチ機構を接続したり、接続解除したりすることができる。
【0012】
また、本願請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記ブレーキ機構は、使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードにするように操作したときにはブレーキ動作が作動せず、後進モードにするように操作したときにはブレーキ動作が作動することを特徴とするものである。本発明によれば、スロットル・トリガーを各モードにおいて動作させるだけでブレーキ機構の作動と作動解除を行うことができる。
【0013】
また、本願請求項4に記載の発明は、請求項2〜3のいずれかにおいて、前記クラッチ機構は、クラッチハウジングと、クラッチハウジング内に収納されており外側へ移行したときに外周面がクラッチハウジングの内面と摩擦当接可能であり、前記入力軸の軸線方向に延びる爪を各々有する複数のクラッチシューと、前記入力軸に固定され、前記複数のクラッチシューの間に位置し、前記入力軸の回転によりカム作用により前記クラッチシューをクラッチハウジングの内面に摩擦当接させるように移動させるクラッチカムと、前記爪の数に応じて爪規制溝を有し、前記爪規制溝内に前記爪が受け入れられることを解除して前記クラッチシューが前記クラッチハウジングの内面と摩擦当接可能とする第1位置と、前記爪規制溝内に前記爪を受け入れて前記クラッチシューが前記クラッチハウジングの内面と摩擦当接するように移動することを規制する第2位置との間で移動可能なシフトリングとを備え、使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードになるように操作したときに前記シフトリングが前記第1位置に移行し、後進モードになるように操作したときに前記シフトリングが前記第2位置に移行することを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、スロットル・トリガーの操作だけにより、シフトリングが入力軸の軸線方向に移動してクラッチシューがクラッチハウジング内面へ摩擦当接する作用を規制したり、規制を解除したりすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構1及び該機構が遠心クラッチ4を介してエンジンEに接続している様子であり、この動力伝達機構1は、遠心クラッチ4及びその後の適宜のギア列を介してエンジンEの動力を伝達可能な入力軸3と、図示しない駆動輪に接続可能な出力軸5とを備えている。
【0016】
入力軸3の先端はハウジング7内部に設けられたベアリング9に回転可能に支持されている。入力軸3の途中には第1ギアに相当するピニオンギア8が固定され、ピニオンギア8に隣接してクラッチハウジング11が設けられている。クラッチハウジング11のピニオンギア8側には第2ギアに相当するギア13が形成されており、その内側には入力軸3との間にワンウェイベアリング15が設けられている。ワンウェイベアリング15は、ピニオンギア8側から見て入力軸3がクラッチハウジング11に対して相対的に時計回り方向に回転することは許容するが、反時計回り方向の回転は許容しない。
【0017】
クラッチハウジング11の内部には2つのクラッチシュー17が収納されており、またクラッチハウジング11を閉鎖するようにクラッチカム保持部材19が設けられている。クラッチカム保持部材19の中央にはクラッチカム21が保持されており、クラッチカム21はピン22と係合することにより入力軸3に固定されている。クラッチカム21は2つのクラッチシュー17間に位置しており、入力軸3が回転するとき、クラッチカム21のカム作用によりクラッチシュー17を外側へ付勢してクラッチハウジング11の内面に摩擦当接させることができる。
【0018】
クラッチハウジング11の外周面には6つの突起部23が形成されており、該突起部23と対応する位置に凹部を有するブレーキディスク25が、突起部23に係合するようにしてクラッチハウジング11の周囲に設けられている。ブレーキディスク25の一部はハウジング7に設けられる2枚のブレーキパッド27の間にあり、ブレーキパッド25の一方に隣接して設けられるカム機構(図示せず)を備えた回転軸29が回転することにより、ブレーキディスク25は2枚のブレーキパッド27により強く挟持されてブレーキ作用が発揮される。
【0019】
回転軸29には図示しない回転駆動機構が接続されており、使用者がスロットル・トリガーを後述するブレーキモード乃至後進モードになるように操作したときに無線により回転駆動機構が駆動して回転軸29を回転させ、上記ブレーキ作用が発揮されるようになっている。
【0020】
クラッチカム保持部材19には、円盤部31と、円盤部31の中央から入力軸3の延びる方向へ突出した突出部33とが形成されている。円盤部31には点対称の位置に2つの切り欠き35が形成されており、突出部33には放射状に4つの係止片37が形成されている。
【0021】
クラッチカム保持部材19に隣接する位置にはシフトリング39が設けられており、シフトリング39にはクラッチカム保持部材19における4つの係止片37に対応する位置に4つの溝41が放射状に形成されている。またシフトリング39には2つずつの溝41の間に爪規制溝43が形成されている。シフトリング39は、その4つの溝41がクラッチカム保持部材19における4つの係止片37に嵌まり込むことで、クラッチカム保持部材19に対して回転方向の動きを規制された状態で、入力軸3の延びる方向にスライド可能に係合している。
【0022】
一方上述した2つのクラッチシュー17には各々、クラッチハウジング11から入力軸方向へ突出するように爪45が形成されており、該爪45は円盤部31の切り欠き35を貫通してクラッチハウジング11のシフトリング39側へ延びている。シフトリング39における爪規制溝43は、該爪45の位置に整合して形成されている。
【0023】
シフトリング39の外周には外周溝47が形成されており、外周溝47には側方からスライドフォーク49が係合している。スライドフォーク49は入力軸3の軸線方向にスライド可能であり、スライドフォーク49がクラッチハウジング11に近づく側に移動したとき、爪45が爪規制溝43内に入ることで2つのクラッチシュー17が外側へ拡がるように移動することが規制され、一方スライドフォーク49がクラッチハウジング11から遠ざかる側に移動したとき、爪45が爪規制溝43から外れてクラッチシュー17がクラッチハウジング11の内面に係合することが可能となる。
【0024】
スライドフォーク49には鉤状係止部50が形成されており、鉤状係止部50は図示しないスライド駆動機構に接続されている。使用者がスロットル・トリガーを後述する前進モードになるように操作したとき、無線によりスライド駆動機構が駆動して鉤状係止部50、そしてスライドフォーク49をクラッチハウジング11から離れる方向へ移動させるため、クラッチシュー17がクラッチハウジング11の内面に係合することが可能となる。使用者がスロットル・トリガーを後進モードになるように操作したときには、スライドフォーク49がクラッチハウジング11側へ移行し、爪45が爪規制溝43内に入ることでクラッチが切れた状態となる。
【0025】
次に出力軸5側の構造について説明する。出力軸5には上記ピニオンギア8と歯合し第3ギアに相当するドライブスパー51が設けられ、ドライブスパー51に隣接した位置には、クラッチハウジング11におけるギア13と歯合し第4ギアに相当するリバースギアキャリア53が設けられている。ピニオンギア8とドライブスパー51とのギア比は、クラッチハウジング11のギア13とリバースギアキャリア53とのギア比に等しく設定されている。
【0026】
リバースギアキャリア53の内部には第1ベベルギア55が設けられ、これに対向して第2部ベベルギア57が設けられている。第2ベベルギア57はピン59によって出力軸5に対して固定されている。また第1ベベルギア55と第2ベベルギア57との間には、これら両者に歯合する3つの第3ベベルギア61が設けられている。
【0027】
本発明のエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構1は以上のような構成を備えるものであり、以下その作動について説明する。
<前進モード>
前進モードでは、遠心クラッチ4が接続状態にあり、またブレーキディスク25はブレーキパッド27により挟持されておらず、従ってブレーキは掛かっていない。また図5(b)に示すようにシフトリング39は爪45から離れる位置にあり、従ってクラッチカム21が回転したとき、クラッチシュー17はカム作用により外側へ移動可能な状態にある。
【0028】
このような状態で図6に示すようにスロットル・トリガー(図示せず)を前進F側(図6(a)参照)へ引くと、スロットル・トリガーの引き具合に応じてスロットルの開度が上がり、エンジン出力が高まる。
【0029】
エンジンの駆動により入力軸3が回転すると、入力軸3に固定されているピニオンギア8が回転し、これに伴いドライブスパー51が回転する。また入力軸3の回転によりクラッチカム21がカム作用によりクラッチシュー17を外側へ付勢するため、クラッチシュー17の外周面がクラッチハウジング11に摩擦当接し、入力軸3の回転駆動をクラッチハウジング11に伝える(図6の(f)参照)。そしてクラッチハウジング11のギア13に歯合するリバースギアキャリア53を回転させる。尚前進モードでは、ワンウェイベアリング15は、クラッチハウジング11を入力軸3に対して自由回転を許容するように作用している。
【0030】
ピニオンギア8とドライブスパー51とのギア比は、クラッチハウジング11のギア13とリバースギアキャリア53とのギア比と同じであるため、ドライブスパー51とリバースギアキャリア53とは同期して回転する。その結果、出力軸5を図1の矢印Aで示す方向に回転させることができ、これにより玩具車両のタイヤ(図示せず)を前進方向に駆動させることができる。
<後進モード>
後進モードでは、遠心クラッチ4が接続状態にあり、またブレーキディスク25がブレーキパッド27により挟持されることによりブレーキが掛けられる(図6(d)参照)。また図5(a)に示すようにシフトリング39は爪45側に移動し、シフトリング39の2つの切り欠き35内に爪45が入り込むことにより、クラッチシュー17は外側へ移動不可能な状態にある。
【0031】
このような状態でスロットル・トリガーを後進B側(図6(a)参照)へ移行させると、前進モード同様にピニオンギア8が回転し、これに伴いドライブスパー51が回転する。
【0032】
一方、クラッチシュー17は外側への移動ができないため、クラッチが切れた状態となり(図6(f)参照)、入力軸3の回転駆動はクラッチハウジング11には伝達されない。またブレーキディスク25にブレーキが掛けられていることで、ブレーキディスク25と係合しているクラッチハウジング11は固定状態にあるため、クラッチハウジング11のギア13と歯合しているリバースギアキャリア53も固定状態にある。従って入力軸3からの駆動力は専らドライブスパー51を介して出力軸5側へ伝達される。
【0033】
リバースギアキャリア53が固定された状態でドライブスパー51が回転すると、出力軸5に固定されている第2ベベルギア57の回転方向が第1ベベルギア55の回転方向とは逆方向になるため、出力軸5は図1の矢印Bで示す方向に回転するようになる(図6(c)においてミッション出力軸回転数が負側に位置することを参照)。これにより玩具車両のタイヤ(図示せず)を後進方向に駆動させることができる。
<ブレーキモード>
ブレーキモードは図6(a)に示すようにスロットル・トリガーがN(ニュートラル)の位置の後進側直後に位置するときのモードであり、前進モードと後進モードとの切り替え途中に存在する。スロットル・トリガーに負荷が掛かっていないときには、バネ作用によりスロットル・トリガーは自動的にNの位置に戻ろうとする傾向にあり、玩具車両の走行中にスロットル・トリガーがNの位置に移行すると自動的にブレーキモードとなる。ブレーキモードでは、遠心クラッチ4が切れた状態にあるため、エンジンEの駆動力は入力軸3には伝達されす、入力軸3は自由状態にある。
【0034】
図6(d)に示すように、スロットル・トリガーがニュートラルの位置から後進モード側に移行するに従って、ブレーキディスク25がブレーキパッド27により挟持される度合いが強くなりブレーキが掛けられた状態となり、またクラッチの圧着力も次第に減少する(図6(f)参照)。ブレーキモードではスロットル開度がゼロになり(図6(b)参照)、エンジンから入力軸3への駆動伝達が切られるので入力軸3は自由状態となる。またブレーキディスク25の回転が規制されているため、リバースギアキャリア53は回転できない状態にある。
【0035】
玩具車両が走行中にブレーキモードにあるとき、リバースギアキャリア53は回転できないため、例えば前進時に玩具車両のタイヤの回転により図1の矢印Aで示す方向に回転している出力軸5は、第2ベベルギア57、第3ベベルギア61、第1ベベルギア55を介してドライブスパー51を出力軸5の回転方向と逆方向に回転させる。
【0036】
ドライブスパー51はピニオンギア8を介して入力軸3を回転させようとするが、このときの入力軸3の回転方向は、ワンウェイベアリング15の作用により入力軸3に対してクラッチハウジング11が回転できない方向であるため、クラッチハウジング11も一緒に回転させようとする力が作用する。ところがブレーキディスク25の回転が規制されているため、クラッチハウジング11は回転することが規制されており、その結果出力軸5の回転、即ち車輪の回転を制動させることになる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の前進モードでは、入力軸の回転に伴い、第1ギアが回転し第3ギアを回転駆動させる。また入力時の回転によりクラッチ機構が接続して第2ギアが回転し第4ギアを回転駆動させる。ここで第1ギア及び第3ギア間のギア比が第2ギア及び第4ギア間のギア比と同じであるため、第3ギアと第4ギアとが同期回転して車輪が前進方向に回転するように出力軸が駆動する。
【0038】
また後進モードではクラッチ機構を切り、ブレーキ機構のブレーキを作動させる。クラッチ機構が切られているため、第2ギア及びこれに歯合する第4ギアは駆動せず、第1ギアの回転により駆動した第3ギアが第1〜第3ベベルギアを介して出力軸を車輪が後進方向に回転するように駆動させる。
【0039】
更にブレーキモードでもクラッチ機構を切り、ブレーキ機構のブレーキを作動させる。車輪の回転は出力軸を回転させるが、第4ギアは固定状態であるため、第1〜第3ベベルギアを介して第3ギアを出力軸と逆方向に回転させる。これにより第1ギアを介して入力軸がワンウェイベアリングのロック作用方向に回転しようとするが、ブレーキ機構によって第2ギアの回転は規制されているため、出力軸即ち車輪のブレーキ作用として機能する。
【0040】
本発明ではこのようにベベルギアを採用することにより、比較的簡単な構造でエンジンを備えた玩具車両で後進を実現することができるとともに、ブレーキを効かすことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構及び該機構が遠心クラッチを介してエンジンに接続している様子を示す側断面図である。
【図2】動力伝達機構をハウジングを除いた状態で示す斜視図である。
【図3】動力伝達機構のクラッチ機構及び第1〜第3ベベルギアを示す斜視図である。
【図4】入力軸に設けられる部材を示す分解斜視図である。
【図5】クラッチの切れた状態と圧着状態とを示す側断面図である。
【図6】スロットル・トリガーと、ブレーキの作動状態、クラッチの作動状態等との関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 玩具車両の動力伝達機構
3 入力軸
4 遠心クラッチ
5 出力軸
7 ハウジング
8 ピニオンギア
9 ベアリング
11 クラッチハウジング
13 ギア
15 ワンウェイベアリング
17 クラッチシュー
19 クラッチカム保持部材
21 クラッチカム
22 ピン
23 突起部
25 ブレーキディスク
27 ブレーキパッド
29 回転軸
31 円盤部
33 突出部
35 切り欠き
37 係止片
39 シフトリング
41 溝
43 爪規制溝
45 爪
47 外周溝
49 スライドフォーク
50 鉤状係止部
51 ドライブスパー
53 リバースギアキャリア
55 第1ベベルギア
57 第2ベベルギア
59 ピン
61 第3ベベルギア

Claims (4)

  1. 玩具車両の動力伝達機構において、
    エンジンの回転駆動力を伝達可能な入力軸と、
    玩具車両の駆動輪に回転駆動力を伝達可能な出力軸と、
    前記入力軸に固定されている第1ギアと、
    前記入力軸に対してクラッチ機構を介して接続可能であり、前記クラッチ機構の接続解除時にはエンジンによる入力の回転方向には入力軸の自由回転を許容するが、その反対方向には入力軸との相対的な回転を許容しないワンウェイクラッチを介して入力軸に設けられる第2ギアと、
    前記第2ギアの回転を規制するブレーキ機構と、
    前記出力軸の周囲に設けられ、前記第1ギアと歯合している第3ギアと、
    前記出力軸の周囲に設けられ、前記第2ギアと歯合している第4ギアと、
    前記出力軸に固定されている第2ベベルギアと、
    前記出力軸に前記第2ベベルギアと対向して自由状態で設けられ、前記第3ギアに対して固定されている第1ベベルギアと、
    前記第1ベベルギアと第2ベベルギアの両方に歯合し、前記第4ギアに対して定位置に設けられる第3ベベルギアと
    を備え、
    前記第1ギア及び第3ギア間のギア比が前記第2ギア及び第4ギア間のギア比と同じであることを特徴とするエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構。
  2. 請求項1において、前記クラッチ機構は、使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードにするように操作したときに接続し、後進モードにするように操作したときに接続が解除されることを特徴とするエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構。
  3. 請求項1または2において、前記ブレーキ機構は、使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードにするように操作したときにはブレーキ動作が作動せず、後進モードにするように操作したときにはブレーキ動作が作動することを特徴とするエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構。
  4. 請求項2〜3のいずれかにおいて、前記クラッチ機構は、
    クラッチハウジングと、
    クラッチハウジング内に収納されており外側へ移行したときに外周面がクラッチハウジングの内面と摩擦当接可能であり、前記入力軸の軸線方向に延びる爪を各々有する複数のクラッチシューと、
    前記入力軸に固定され、前記複数のクラッチシューの間に位置し、前記入力軸の回転によりカム作用により前記クラッチシューをクラッチハウジングの内面に摩擦当接させるように移動させるクラッチカムと、
    前記爪の数に応じて爪規制溝を有し、前記爪規制溝内に前記爪が受け入れられることを解除して前記クラッチシューが前記クラッチハウジングの内面と摩擦当接可能とする第1位置と、前記爪規制溝内に前記爪を受け入れて前記クラッチシューが前記クラッチハウジングの内面と摩擦当接するように移動することを規制する第2位置との間で移動可能なシフトリングとを備え、
    使用者が前記玩具車両の動作を行うためのスロットル・トリガーを前進モードになるように操作したときに前記シフトリングが前記第1位置に移行し、後進モードになるように操作したときに前記シフトリングが前記第2位置に移行することを特徴とするエンジンを備えた玩具車両の動力伝達機構。
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