JP3614546B2 - 半導体集積回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体集積回路に関し、MOSトランジスタ回路を持つ半導体集積回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでの、MOSトランジスタ回路は、電源電圧が3.0〜5.0V程度、しきい値電圧が0.7V程度のものが用いられてきた。しかしながら、近年における、高速化や低消費電力化の要求を満たすために、これまでの電源電圧・しきい値を変更する必要が生じてきた。例えば、電池から電源を供給される携帯機器用の半導体集積回路は、低消費電力で動作させることが必須であり、そのためには電源の低電圧化が最も効果的である。ところが、同じしきい値電圧を持つトランジスタ回路を、電源電圧を下げて動作させると、スピードが遅くなる。そこで、トランジスタのしきい値も下げる必要が生じてきた。
【0003】
トランジスタのしきい値は、プロセス時のばらつきによって、目標値からずれてしまうことが多い。例えば、目標値が0.7Vであったとしても、実際にできあがった回路のトランジスタのしきい値は、前後0.1V程度、つまり、0.6〜0.8V程度にばらついている。ここで、低電源電圧に対応して目標しきい値も0.1Vに下げたと仮定する。同じプロセスを用いると、できあがり回路のトランジスタのしきい値のばらつきは、前後0.1V程度であるので、0.0〜0.2Vになる。
【0004】
トランジスタのしきい値が0.0Vの時は、リーク電流が大きく、回路全体の消費電力が大きくなってしまう。一方、トランジスタのしきい値が、0.2Vの時は、トランジスタ導通時の電流が小さくなるため、回路の動作スピードが遅くなる。しきい値の目標値が0.7Vの時は、前後0.1V程度変化しても無視できたことが、目標値を0.1Vにすると大きな問題となる。
【0005】
上記のようなプロセスによるしきい値のばらつきを補正する手段として、回路のウェル電位を検出して、ウェルに接続されたチャージポンプ回路を制御する方法(例えば、日経マイクロデバイス,“寄生効果を徹底的に対策して高性能化のトレンドを堅持”1995年7月)がある。
【0006】
一方、しきい値電圧が目標値どおりに設定されたとしても、低消費電力化をさらに進めるためには、回路が動作しない時(待機時)だけリーク電流を減少させる必要が生じている。このように、待機時にリーク電流を減少させる手段として、回路のウェル電位と2種類の外部電源との間にスイッチを設けて切り換る方法(例えば、日経マイクロデバイス,“寄生効果を徹底的に対策して高性能化のトレンドを堅持”1995年7月)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の2つの方法は、しきい値のばらつき補正と待機時リーク電流の低減の、それぞれに対して有効であるが、トランジスタのウェル電位を異なる手段で制御しているため、同時に施すことができない。
【0008】
待機時リーク電流を減少させる手段として、しきい値が異なるトランジスタを同一回路に設けて、待機時に高いしきい値のトランジスタで電源から切り離す方法がある。しかし、前述のしきい値のばらつき補正回路と組み合わせると、回路規模が大きくなってしまうことに加えて、プロセス工程を増加しなければならないという問題点があった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、しきい値のばらつきを補正すると共に、待機時のリーク電流の低減を行う半導体集積回路に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、図1に示す如く、半導体基板上のウェルに形成された複数のトランジスタを含む内部回路16と、
上記トランジスタのしきい値を検出するしきい値検出回路10と、
上記しきい値検出回路の出力信号を供給される複数のインバータを有し、上記複数のインバータの入力しきい値を異ならしめてなり、上記しきい値検出回路で検出されたしきい値に応じてスイッチ切換え用の制御信号を発生する制御信号発生回路12と、
上記制御信号によってスイッチングして、異なる電圧の複数の電源の上記ウェルへの接続/切断を行うスイッチ回路14とを有する。
【0011】
このように、アナログ信号であるしきい値検出回路の出力を次段の論理回路に必要なディジタル信号に容易に変換でき、検出したしきい値に応じてスイッチ回路を制御しウェルと電源との接続/切断を行うため、ウェル電位を所望の値に制御して所望のしきい値を得ることができ、しきい値のばらつきを補正することができる。
請求項2に記載の発明では、前記制御信号発生回路は、外部より供給されるモード選択信号で待機モードを指示されたとき、前記ウェルに所定の電源を接続させるよう前記スイッチ回路を制御する制御信号を発生する。
【0012】
このため、待機モードではウェル電位を所定の電源の電位まで上昇させることにより、しきい値を上昇させることができ、待機時のリーク電流を低減できる。
請求項3に記載の発明では、前記しきい値検出回路は、しきい値検出の基準となる基準電圧を可変する基準電圧可変回路を有することを特徴とする。
【0013】
このように、基準電位を可変することによりしきい値を可変してトランジスタの動作スピードを可変することができる。
請求項4に記載の発明では、前記ウェルは、PチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルである。このため、PチャネルMOSトランジスタのしきい値のばらつきを補正できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、前記ウェルは、NチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルである。このため、NチャネルMOSトランジスタのしきい値のばらつきを補正できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図2,図3夫々は本発明回路の第1実施例のブロック図,回路図を示す。図2において、しきい値検出回路10Aは内部回路16のPチャネルMOSトランジスタのウェル電位Vnwell を供給され、このトランジスタのしきい値に対応した電圧値S1を出力する。制御信号発生回路12Aは端子18より待機/動作の切換えを指示するモード選択信号S0と、上記の電圧値S1とを供給され、2値の制御信号C1,C2を出力する。スイッチ回路14Aは2つのスイッチSW1,SW2から構成されており、それぞれ制御信号C1,C2によってオン/オフ制御されて、それぞれオン時に電源VB1,VB2をPチャネルトランジスタのウェルに接続してウェル電位Vnwell を所定の値に設定する。
【0016】
また、しきい値検出回路10Bは内部回路16のNチャネルMOSトランジスタのウェル電位Vpwell を供給され、このトランジスタのしきい値に対応した電圧値S2を出力する。制御信号発生回路12Bは端子18より待機/動作の切換えを指示するモード選択信号S0と、上記の電圧値S2とを供給され、2値の制御信号C3,C4を出力する。スイッチ回路14Bは2つのスイッチSW3,SW4から構成されており、それぞれ制御信号C3,C4によってオン/オフ制御されて、それぞれオン時に電源VB3,VB4をNチャネルトランジスタのウェルに接続してウェル電位Vpwell を所定の値に設定する。
【0017】
図3において、しきい値検出回路10A,10BはPチャネルMOSトランジスタm1,m2,m3,m4,m5,m13と、NチャネルMOSトランジスタm6,m14より構成されている。トランジスタm1〜m4は電源VB3,VB2間に縦型接続されており、夫々の導通抵抗により上記電源VB3,VB2間電圧を分圧して基準電位R1,R2を発生する。なお、電源VB1,VB2,VB3,VB4はVB1>VB3>VB2>VB4の関係にあり、例えばVB1=2.5V,VB2=0V、VB3=1V,VB4=−1.5Vである。
【0018】
トランジスタm5,m6はリーク電流検出を行うもので、常時オンで定抵抗として働くトランジスタm6に対してサイズの大きなトランジスタm5のゲートに基準電位R1(例えば0.75V)が供給されている。トランジスタm5はウェル電位Vnwell が大なるほどしきい値が大となり、そのドレイン・ソース間電流が減少し、ドレインの電位S1が低下する。
【0019】
トランジスタm13,m14はリーク電流検出を行うもので、常時オンで定抵抗として働くトランジスタm13に対してサイズの大きなトランジスタm14のゲートに基準電位R2(例えば0.25V)が供給されている。トランジスタm14はウェル電位Vpwell が負側に大なるほどしきい値が大となり、そのドレイン・ソース間電流が減少し、ドレインの電位S2が上昇する。
【0020】
制御信号発生回路12AのPチャネルMOSトランジスタm7とNチャネルMOSトランジスタm8はインバータを構成し、トランジスタm7の方がサイズが大とされている。また、PチャネルMOSトランジスタm9とNチャネルMOSトランジスタm10はインバータを構成し、トランジスタm10の方がサイズが大とされている。これにより、トランジスタm7,m8によるインバータのしきい値はトランジスタm9,m10によるインバータのしきい値より高く設定されており、この2つのインバータはトランジスタm5のドレイン電位S1を供給されて1V又は0Vの2値の制御電位S11,S12夫々を出力する。この制御電位S11,S12夫々はレベル変換回路LCp20,21に供給される。
【0021】
レベル変換回路LCp20,21は図4に示す回路構成であり、PチャネルMOSトランジスタm30,m34と、NチャネルMOSトランジスタm31,m32,m35とより構成されている。また、端子18にはモード選択信号S0が供給され、端子30には制御電位S11又はS12が供給される。端子31,32,33夫々には電源VB1,VB2,VB4が供給されている。
【0022】
待機時にはS0=0となり、トランジスタm30がオン、トランジスタm31がオフとなるため、トランジスタm34,m35が構成するインバータの入力は1となり、トランジスタm35がオンして端子34より電源VB2(0V)が出力される。また、動作時にはS0=1となりトランジスタm30が弱くオン、トランジスタm31がオンとなる。端子30の制御電位S11又はS12が1のときはトランジスタm32がオンしてインバータの入力は0となり、トランジスタm34がオンして端子34より電源VB1(2.5V)が出力される。制御電位S11又はS12が0のときはトランジスタm32がオフしてインバータの入力は1となり、トランジスタm35がオンして端子34より電源VB2(0V)が出力される。
【0023】
図3に示すレベル変換回路LCp20,21夫々が端子34より出力する制御信号C1,C2は、スイッチ回路14AのスイッチSW1,SW2夫々に対応するPチャネルMOSトランジスタm11,NチャネルMOSトランジスタm12夫々のゲートに供給される。トランジスタm11は制御信号C1の電圧がVB1のときオフとなり、VB2のときオンとなって端子24より電源VB1を出力する。トランジスタm12は制御信号C2の電圧がVB1のときオンとなって端子24より電源VB2を出力し、VB2のときオフとなる。
【0024】
制御信号発生回路12BのPチャネルMOSトランジスタm15とNチャネルMOSトランジスタm16はインバータを構成し、トランジスタm15の方がサイズが大とされている。また、PチャネルMOSトランジスタm17とNチャネルMOSトランジスタm18はインバータを構成し、トランジスタm18の方がサイズが大とされている。これにより、トランジスタm15,m16によるインバータのしきい値はトランジスタm17,m18によるインバータのしきい値より高く設定されており、この2つのインバータはトランジスタm13のドレイン電位S2を供給されて1V又は0Vの2値の制御電位S13,S14夫々を出力する。この制御電位S13,S14夫々はレベル変換回路LCn22,23に供給される。
【0025】
レベル変換回路LCn22,23は図5に示す回路構成であり、PチャネルMOSトランジスタm36,m37,m39と、NチャネルMOSトランジスタm38,m40とより構成されている。また、端子36にはインバータ42で反転されたモード選択信号*S0が供給され、端子37には制御電位S13又はS14が供給される。端子38,39,40夫々には電源VB1,VB3,VB4が供給されている。
【0026】
待機時には*S0=1となり、トランジスタm37がオフ、トランジスタm38がオンとなるため、トランジスタm39,m40が構成するインバータの入力は0(VB4)となり、トランジスタm39がオンして端子41より電源VB3(1V)が出力される。また、動作時には*S0=0となりトランジスタm37がオン、トランジスタm38が弱くオンする。端子37の制御電位S13又はS14が0のときはトランジスタm36がオンしてインバータの入力は1(VB3)となり、トランジスタm40がオンして端子41より電源VB4(−1.5V)が出力される。制御電位S13又はS14が1のときはトランジスタm36がオフしてインバータの入力は0となり、トランジスタm39がオンして端子41より電源VB3(1V)が出力される。
【0027】
図3に示すレベル変換回路LCn22,23夫々が端子41より出力する制御信号C3,C4は、スイッチ回路14BのスイッチSW3,SW4夫々に対応するPチャネルMOSトランジスタm19,NチャネルMOSトランジスタm20夫々のゲートに供給される。トランジスタm19は制御信号C3の電圧がVB3のときオフとなり、VB4のときオンとなって端子26より電源VB3を出力する。トランジスタm20は制御信号C2の電圧がVB3のときオンとなって端子26より電源VB4を出力し、VB4のときオフとなる。
【0028】
次に、内部回路16のPチャネル型トランジスタのしきい値(以下単に「内部回路のしきい値」と呼ぶ)を決めるウェル電位Vnwell の制御動作について、図6を用いて説明する。
始めに、時刻T1までの待機時における動作を説明する。待機時、つまり図6(A)に示すモード選択信号S0=0の時は、制御電位S11,S12に関係なく、図6(F),(G)に示す制御電圧C1,C2は0となる。したがって、トランジスタm11はオン,トランジスタm12はオフとなる。これにより、ウェル電位Vnwell は図6(H)に示す如くVB1の電位まで上昇し、内部回路のしきい値は図7の実線Iに示す如く高くなる。
【0029】
次に、時刻T1以降の、動作時の説明をする。時刻T1ではモード選択信号S0=1となり、制御回路の出力C1,C2は、図6(D),(E)に示す制御電位S11,S12に依存するようになる。S11,S12は次のように決まる。しきい値検出回路10A,10Bのトランジスタm5のウェルは、ウェル電位Vnwell と同電位であり、内部回路16のしきい値と同じしきい値を持つ。したがって、時刻T1で、しきい値は高く、図6(B)に示す基準電位R1を供給されているトランジスタm5を流れる電流は小さい。トランジスタm6は定抵抗と見なされるので、電位S1は電源VB2の電位に近い。よって、トランジスタm7〜m10からなる2つのインバータによって、制御電位S11,S12はともに電源VB3電位になる。すると、制御電圧C1,C2は電源VB1電位となり、トランジスタm11はオフ,トランジスタm12はオンとなる。したがって、ウェル電位Vnwell は低下しはじめる。つまり、内部回路16のしきい値は低くなる。ウェル電位Vnwell が低下すると、トランジスタm5を流れる電流が増加して、電位S1が上昇する。ここで、内部回路のしきい値が図7に実線IIで示す目標値になったとき、トランジスタm9,m10からなるインバータの出力が反転する。つまり、制御電位S12が0電位になるように設定されている。すると、目標値に達した時刻T2では、制御電位S12が0になり、制御電圧C2も0に変化する。これにより、トランジスタm12はオフとなり、ウェル電位Vnwell は一定値に保たれる。つまり、内部回路16のしきい値は目標値で落ちつく。
【0030】
次に、時刻T3で、雑音等によりウェル電位Vnwell が高くなったとする。すると、電位S1が減少するため、制御電位S12がVB3電位となり、制御電圧C2がVB1電位になり、トランジスタm12がオンとなって、ウェル電位Vnwell を減少させる。そして、しきい値が目標値に回復すると、再びトランジスタm12がオフとなり、目標値を維持するようになる。
【0031】
さらに、トランジスタm7,m8からなるインバータは、内部回路16のしきい値が目標値より低い場合に、制御電位S11に0電位を出すように設定されている。すると、時刻T4で、ウェル電位Vnwell が低くなった時は、制御電位S11が0となり、制御電圧C1が0となることにより、トランジスタm11がオンとなる。したがって、ウェル電位Vnwell が高くなる。そして、目標値に回復した時、トランジスタm11がオフとなり、目標値を維持するようになる。
【0032】
上記説明では、ウェル電位Vnwell を用いた内部回路16のPチャネルMOSトランジスタのしきい値の制御についてのみ述べたが、同様にウェル電位Vnwell によって内部回路16のNチャネルMOSトランジスタのしきい値が制御される。また、上記実施例では、制御信号として、C1,C2の2種類を用いたが、3種類以上を使用して、3種類以上の電源スイッチを制御することも可能である。
【0033】
このようにして、プロセスによるしきい値のばらつきや、動作中の雑音等によるしきい値の変動を、自己補正することができ、かつ、動作時と待機時でしきい値を変えることにより、回路の消費電力を削減することができる。
図8はしきい値検出回路10A,10Bの他の実施例の回路図を示す。同図中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図8において、トランジスタm2とソース及びドレインを共通接続されたPチャネルMOSトランジスタms2が設けられ、トランジスタms2のゲートには端子45より制御信号SPAが供給されている。また端子46にはモード選択信号S0が入来し、PチャネルMOSトランジスタmp3のゲート及びNチャネルMOSトランジスタmn3のゲートに供給される。トランジスタmp3のソースは電源VB3に接続され、トランジスタmn3のソースはトランジスタm3のドレインに接続され、トランジスタmp3,mn3のドレインは互いに接続されている。上記のトランジスタm1〜m4,ms2,mp3,mn3によって基準電位可変回路が構成されている。
【0034】
この回路はトランジスタm1〜m4を4段直列接続した基準電位発生回路のうち一つのトランジスタm2について、ゲート電位を外部から変えられるようにしている。ここで、制御信号SPAがVB2(=0)と同電位で、モード選択信号S0がVB3(=1)と同電位であった場合、トランジスタms2,mp3はオフで、トランジスタmn3はオンとなる。したがって、トランジスタm3のゲートはR2と同電位となり、電位R1,R2にはトランジスタm1〜m4で分圧された電圧が得られる。この状態からS0がVB2(=0)と同じ電位になったとすると、トランジスタmp3がオンとなり、トランジスタmn3がオフとなるので、トランジスタm3のゲートはVB3と同電位となり、トランジスタm3はオフとなる。この結果、トランジスタm1〜m4の回路には電流が流れなくなる。これは、内部回路が待機状態の時に、本回路の消費電流をも減少させる効果がある。
【0035】
また、S0がVB3と同電位でSPAをVB3と同電位にすると、トランジスタms2がオンとなり、それまであったトランジスタm2での電圧降下がなくなるため、R1の電位は下がり、R2の電位は上がる。これにより、トランジスタm5を流れる電流は大きくなり、S1の電位は上昇する。図6から分かるように、S1の電位が上昇すると、ウェル電位Vnwell も上昇する。したがって、Pチャネルトランジスタのしきい値は高くなる。同様にウェル電位Vpwell が下降するために、Nチャネルトランジスタのしきい値も高くなる。これにより、内部回路の動作スピードを下げて、消費電流を小さくすることができる。
【0036】
更に、しきい値検出回路は図9に示す如く、トランジスタm1〜m4の代りに直列接続した抵抗r1〜r5を電源VB3,VB2間に接続して基準電位R1,R2を得る構成であっても良い。抵抗r2,r3夫々と並列に設けたヒューズf1,f2を溶断することにより、分圧比を変化させて基準電位R1,R2を設定することができる。
【0037】
図10は本発明回路の第2実施例のブロック図を示す。この実施例では内部回路16を複数のブロック16〜16nに分割し、ブロック毎に独立してトランジスタのしきい値を制御する。ブロック16のPチャネルMOSトランジスタのしきい値は、しきい値検出回路10Aと制御信号発生回路12Aとスイッチ回路14Aとによって制御され、同様にブロック16nのしきい値は、しきい値検出回路10Anと制御信号発生回路12Anとスイッチ回路14Anとによって制御される。
【0038】
しきい値検出回路10A,10Anは制御信号SPA1〜SPAn及びモード選択信号S01〜S0nが供給される図9に示す構成である。なお、図10ではブロック16〜16nのPチャネルMOSトランジスタのしきい値を制御する回路のみを示しているがnチャネルMOSトランジスタのしきい値を制御する回路についても図2と同様に設けることは勿論である。
【0039】
このようにブロック毎に独立して動作/待機のモード切り換え、及び動作スピードの切り換えを行うことができるので、きめ細やかな電力制御が可能となる。図11は本発明回路の第3実施例の回路図を示す。この実施例は、内部回路のnチャネル型トランジスタが、ウェル構造ではなく、基板の導電型を利用する構造であるときの、システムの回路図を示している。ここでは、スイッチ回路の出力は、一方は内部回路のnウェルであるが、もう一方は基板となる。図3の場合とは異なり、制御システム内の全てのNチャネルMOSトランジスタのソースおよびドレイン(n型)は、基板(p型)とpn接合を形成している。このため、ソースおよびドレインの電位よりも、基板電位をpnの接合のしきい値(典型的には0.7V)以上高くすることはできない。例えば、図3の回路をそのまま利用したと仮定すると、動作時にトランジスタm20のソース電位がVB4であるのに対して、基板電位がVB4以上VB3以下の電位であることになる。待機時のリーク電流を効果的に削減するためには、上記電位の差を0.7V以上にしなければならない。この場合、先に述べたpn接合の順方向のバイアスが高くなり、スイッチとして動作しなくなる。このため、図11の回路ではスイッチSW4としてPチャネルMOSトランジスタm50を用いている。
【0040】
図11においては、制御電位S11,S12はナンド回路50,51夫々に供給されてモード選択信号S0とナンド演算される。ナンド回路50出力はインバータ52で反転されてレベル変換回路53に供給され、ここでレベル変換された信号が制御電圧C1としてトランジスタm11のゲートに供給される。ナンド回路51出力はインバータ54で反転されて制御電圧C2としてトランジスタm12のゲートに供給される。また、制御電位S13,S14はインバータ55,56夫々で反転されてナンド回路57,58に供給され、ここでモード選択信号S0とナンド演算される。ナンド回路57出力は制御電圧C3としてトランジスタm19のゲートに供給される。ナンド回路58出力はレベル変換回路59でレベル変換され、反転した制御信号*C4としてトランジスタm50のゲートに供給される。
【0041】
レベル変換回路53は図12に示す如くPチャネルMOSトランジスタm30,m34,m51と、NチャネルMOSトランジスタm32と、ダイオード61,62とより構成されている。ダイオード61,62はトランジスタm32のソース・ドレイン間電圧を下げるため設けられている。PチャネルMOSトランジスタm51がnチャネルMOSトランジスタでは動作しなくなるという前述の理由でPチャネルMOSトランジスタm51が用いられており、トランジスタm30,m51は負荷として動作する。
【0042】
ここで、端子30の入力電圧がVB2のときはトランジスタm32はオフ,トランジスタm34はオフとなり端子34より電源VB2の電圧が出力される。入力電圧がVB3のときはトランジスタm32,m34がオンとなり、端子34より電源VB1の電圧が出力される。
【0043】
レベル変換回路59はPチャネルMOSトランジスタm39,m52より構成されている。トランジスタm52はNチャネルMOSトランジスタでは動作しなくなるという前述の理由で用いられており、負荷として動作する。ここで端子37の入力電圧がVB3のときはトランジスタm39がオフとなり端子41より電源VB4の電圧が出力される。入力電圧がVB2のときはトランジスタm39がオンとなり端子41より電源VB3の電圧が出力される。
【0044】
なお、図11のトランジスタm12,m19夫々の前段にレベル変換回路を設けていないのは、レベル変換回路における消費電流を低減するためであり、トランジスタm12,m19の駆動能力は多少低下するものの動作には何ら問題ない。この回路の基本動作は図3と同一であるため、その説明を省略する。
【0045】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1に記載の発明は、半導体基板上のウェルに形成された複数のトランジスタを含む内部回路と、
上記トランジスタのしきい値を検出するしきい値検出回路と、
上記しきい値検出回路の出力信号を供給される複数のインバータを有し、上記複数のインバータの入力しきい値を異ならしめてなり、上記しきい値検出回路で検出されたしきい値に応じてスイッチ切換え用の制御信号を発生する制御信号発生回路と、
上記制御信号によってスイッチングして、異なる電圧の複数の電源の上記ウェルへの接続/切断を行うスイッチ回路とを有する。
【0046】
このように、アナログ信号であるしきい値検出回路の出力を次段の論理回路に必要なディジタル信号に容易に変換でき、検出したしきい値に応じてスイッチ回路を制御しウェルと電源との接続/切断を行うため、ウェル電位を所望の値に制御して所望のしきい値を得ることができ、しきい値のばらつきを補正することができる。
請求項2に記載の発明では、前記制御信号発生回路は、外部より供給されるモード選択信号で待機モードを指示されたとき、前記ウェルに所定の電源を接続させるよう前記スイッチ回路を制御する制御信号を発生する。
【0047】
このため、待機モードではウェル電位を所定の電源の電位まで上昇させることにより、しきい値を上昇させることができ、待機時のリーク電流を低減できる。
請求項3に記載の発明では、前記しきい値検出回路は、しきい値検出の基準となる基準電圧を可変する基準電圧可変回路を有することを特徴とする。このように、基準電位を可変することによりしきい値を可変してトランジスタの動作スピードを可変することができる。
【0048】
請求項4に記載の発明では、前記ウェルは、PチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルである。このため、PチャネルMOSトランジスタのしきい値のばらつきを補正できる。
請求項5に記載の発明では、前記ウェルは、NチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルである。このため、NチャネルMOSトランジスタのしきい値のばらつきを補正できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明回路のブロック図である。
【図3】本発明回路の回路図である。
【図4】レベル変換回路の回路図である。
【図5】レベル変換回路の回路図である。
【図6】本発明の動作説明用の信号波形図である。
【図7】本発明の動作説明用の特性図である。
【図8】しきい値検出回路の回路図である。
【図9】しきい値検出回路の回路図である。
【図10】本発明回路のブロック図である。
【図11】本発明回路の回路図である。
【図12】レベル変換回路の回路図である。
【図13】レベル変換回路の回路図である。
【符号の説明】
10,10A,10B しきい値検出回路
12,12A,12B 制御信号発生回路
14,14A,14B スイッチ回路
16 内部回路

Claims (5)

  1. 半導体基板上のウェルに形成された複数のトランジスタを含む内部回路と、
    上記トランジスタのしきい値を検出するしきい値検出回路と、
    上記しきい値検出回路の出力信号を供給される複数のインバータを有し、上記複数のインバータの入力しきい値を異ならしめてなり、上記しきい値検出回路で検出されたしきい値に応じてスイッチ切換え用の制御信号を発生する制御信号発生回路と、
    上記制御信号によってスイッチングして、異なる電圧の複数の電源の上記ウェルへの接続/切断を行うスイッチ回路とを有することを特徴とする半導体集積回路。
  2. 前記制御信号発生回路は、外部より供給されるモード選択信号で待機モードを指示されたとき、前記ウェルに所定の電源を接続させるよう前記スイッチ回路を制御する制御信号を発生することを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
  3. 前記しきい値検出回路は、しきい値検出の基準となる基準電圧を可変する基準電圧可変回路を有することを特徴とする請求項1又は2記載の半導体集積回路。
  4. 前記ウェルは、PチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルであることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
  5. 前記ウェルは、NチャネルMOSトランジスタが形成されるウェルであることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
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