JP3614311B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族系エポキシ樹脂等の分子中の芳香環を含む合成樹脂を主成分とする難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
難燃性樹脂組成物は、例えば電気・電子機器部品、建材、自動車部品、日用品等の製品に多く使われている。これらの樹脂組成物には一般的に、有機ハロゲン化合物、又はこれと三酸化アンチモンとを添加することにより難燃性が付与されている。
【0003】
しかし、これらの難燃性樹脂組成物は燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生するという欠点があった。
【0004】
これに対して、有害ガスを発生しないシリコーン樹脂を添加することで難燃性が付与されることが知られている。
【0005】
特開昭54−36365号公報には三官能性シロキサン単位を80重量%以上含有するシリコーン樹脂を添加する難燃性樹脂組成物が記載されている。しかし、有機樹脂については芳香族ポリカーボネート樹脂や芳香族系エポキシ樹脂については何ら示唆されておらず、また有機樹脂との溶融加工性を重視して、実質的に架橋性官能基をほとんど含有しない、室温以上の軟化温度を示す比較的高分子量なシリコーン樹脂を使用しているため、難燃化効果が小さく、シリコーン樹脂を有機樹脂100重量部に対して10〜300重量部添加する必要があり、有機樹脂の特性を損なってしまうという問題があった。
【0006】
特開昭58−500780号、特開平4−226159号、特開平7−33971号公報には単官能性シロキサン単位と四官能性シロキサン単位からなるシリコーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成物が、特開平6−128434号公報にはビニル基を持つシロキサン単位を含有するシリコーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、いずれの組成物においても十分な難燃効果を得るためにはシリコーン樹脂の添加量を多くしたり、水酸化アルミニウム等の無機充填材やハロゲン及びリン化合物を併用することが必要である。
【0007】
このように、シリコーン樹脂を添加する場合、添加量を多くしないと十分な難燃効果が得られないが、添加量を多くすると樹脂組成物の成形性や機械的強度等の諸物性が大幅に低下してしまうという課題があり、より難燃効果の大きいシリコーン樹脂添加剤、又はシリコーン樹脂と併用して効果を向上させられる添加剤の開発が検討されてきた。
【0008】
特開平8−176425号公報にはエポキシ基を含有するオルガノポリシロキサンと有機スルホン酸のアルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が、特開平8−176427号公報にはフェノール性水酸基含有オルガノポリシロキサンで変性したポリカーボネート樹脂と有機アルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が記載されている。また、特開平9−169914号公報には石油系重質油類又はピッチ類をシリコーン化合物と併用して難燃効果を向上させた組成物が記載されている。しかし、特殊な有機官能基を持ったシリコーン樹脂は高価であったり、製造工程が複雑化したりすることによるコストアップに見合うほどの十分な難燃化効果は得られず、更なる改善が望まれている。
【0009】
また、ポリカーボネート樹脂の耐熱酸化性の改良を目的に、比較的低コストで導入可能なアルコキシ官能基を持つシリコーン樹脂を添加すると効果的であることが知られている。特開昭54−102352号公報には下記に示すアルコキシ基を含有するシリコーン樹脂を添加する熱可塑性樹脂組成物が記載されている。アルコキシ基含有率が大きいシロキサンほどネットワークを形成するため耐熱酸化性が優れているが、前者はフェニル基を含有しないため難燃性が不十分であり、後者の含フェニル基低分子量オルガノシロキサンを添加した場合も、溶融加工時や燃焼時の熱で気化することによる有効成分の減少が激しく、難燃化効果は不十分であった。
【0010】
【化1】
Figure 0003614311
【0011】
特開平6−306265号公報には、芳香族ポリカーボネートと、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩と、アルコキシ基及びフェニル基に更にビニル基を導入した有機シロキサン樹脂を含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されているが、実際に使用している有機シロキサン樹脂は有機置換基中のフェニル基の含有率は低く、難燃性は不十分であった。また、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を配合しないと難燃性を達成することが困難であるとされている。
【0012】
従って、本発明の第一の目的は、上記のような特殊な架橋性有機官能基を持っていないオルガノシロキサンを添加して、火災発生時や焼却処分時に有害ガスを発生しない、安全で環境負荷の少ない難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の第二の目的は、アルコキシ基を官能基とした安価なオルガノシロキサンの中から、特定の構造を持つものを選択することで、少量の添加でも十分な難燃効果が得られる低コストの難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0014】
本発明の第三の目的は、特定の構造のアルコキシ基含有オルガノシロキサンを使用して、樹脂組成物の成形性、成形品の外観や光学的透明度及び機械的強度等の諸物性の低下がほとんどない難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、芳香族ポリカーボネート樹脂や芳香族系エポキシ樹脂等の分子中に芳香環を含む合成樹脂に、下記平均組成式(1)
1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4-m-n-p-q)/2 …(1)
(式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基、R3は炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、0.5≦m≦2.0、0≦n≦0.9、0.42≦p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)
で表され、下記式(2)
4 −SiX 3 …(2)
(但し、R 4 はR 1 又はR 2 と同様の基を表し、Xは−OH,−OR 3 又はシロキサン残基であり、1個のSi原子に結合している3個のXのうち少なくとも1個はシロキサン残基である。該シロキサン残基は、Xの1個がシロキサン残基である場合はO 1/2 、2個の場合はO 2/2 、3個の場合はO 3/2 で表され、これら酸素原子は他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成する。)
で示される単位が50モル%以上含有されているフェニル基及びアルコキシ基を含有するオルガノシロキサンを少量添加することにより、難燃性、ドリップ防止性が付与され、また光学的透明性を確保することも可能であり、しかもハロゲン、リン、アンチモン等を含有しなくとも高い難燃性が得られるので、燃焼時に有害なガスを発生させないことも可能であり、更に上記オルガノシロキサンは少量の添加で難燃効果が得られるため、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族系エポキシ樹脂等の芳香環を含む合成樹脂本来の性能を低下させないものであることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0016】
従って、本発明は、
(a)ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、芳香族系エポキシ樹脂、及び芳香族系ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる分子中に芳香環を含む合成樹脂 100重量部
(b)上記平均組成式(1)で示され、上記式(2)で示される単位を50モル%以上含有するオルガノシロキサン 0.1〜10重量部
を含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物
を提供する。
【0017】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明で使用される(a)成分の分子中に芳香環を含む合成樹脂は、フェノール、スチレン、フタル酸などの芳香族化合物を原料として製造される樹脂であり、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、芳香族系エポキシ樹脂、芳香族系ポリエステル樹脂などが使用される。中でも芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族系エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
【0018】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとホスゲン又は炭酸ジエステルの反応により製造されるものを用いることができる。2価フェノールとしては、ビスフェノール類が好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。また、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの一部又は全部を他の2価フェノール化合物で置換してもよい。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン以外の2価フェノール化合物は、例えば、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどの化合物である。これらの2価フェノールのホモポリマー又は2種以上のコポリマー、あるいはこれらのブレンド品であってもよい。
【0019】
芳香族系エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、各種硬化剤により硬化可能な合成樹脂であり、従来から知られている種々のエポキシ樹脂を使用することができる。例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。特に、溶融粘度の低いビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂が好ましく、必要により他のエポキシ樹脂を併用することが好ましい。
【0020】
(b)成分のオルガノシロキサンは、下記平均組成式(1)
Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2 …(1)
(式中、Rはフェニル基、Rは炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基、Rは炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、0.5≦m≦2.0、0≦n≦0.9、0.42≦p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)
で示されるものである。
【0021】
ここで、Rは炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基であり、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などのアルケニル基が挙げられる。特にメチル基が立体障害緩和の点からも工業的にも好ましい。
【0022】
また、Rは好ましくは炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、炭素数5以上のアルキル基はアルコキシ基としての反応性が低く、難燃化効果が期待できない。オルガノシロキサンに含有されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましく用いられる。
【0023】
(b)成分のフェニル基及びアルコキシ基含有オルガノシロキサンは、必要に応じて含有することができるアルケニル基以外の架橋性有機官能基を持っていないにも拘らず、組成物全体の10重量%以下の少量添加で難燃性を付与できる。この組成物を燃焼させた場合、アルコキシ基の酸化分解架橋によりオルガノシロキサンと芳香環を含む合成樹脂が結合して燃焼部周辺に固定化され、更に、オルガノシロキサンに高含有率で含まれるフェニル基は、芳香環を含む合成樹脂との間で、各々が持つ芳香環相互のカップリングにより不燃性のSi−Cセラミック層を容易に形成し、高い難燃効果を発現すると考えられる。
【0024】
この難燃化機構が有効に働くために必要なアルコキシ基含有率は、上記平均組成式(1)中のp、即ちSi原子1モルに対するアルコキシ基のモル数は0.42〜2.5である。0.42未満では架橋性が低すぎて燃焼部周辺に固定化され難く、2.5部を超えると低分子量なオルガノシロキサンしか得られず、燃焼時に固定化される前に熱で気化することによる損失率が高くなるため、いずれの場合も難燃化効果が低下してしまう。好ましいアルコキシ基含有率はSi原子1モルに対し0.45〜2.3モルである。
【0025】
一方、オルガノシロキサンに含まれるシラノール基は反応性が低く、難燃性にほとんど寄与することはないが、保存安定性や芳香環を含む合成樹脂と溶融加工する時の安定性の点から、上記式(1)におけるqの値で0.35以下、好ましくは0.30以下がよい。
【0026】
上述の難燃化機構が有効に働くために必要なもう一つの要素であるRのフェニル基含有率については、式(1)のm、即ちSi原子1モルに対するフェニル基のモル数で0.5〜2.0である。0.5未満であるとフェニル基が少なすぎて難燃化効果が得られない。2.0を超えるとフェニル基含有率は十分に高いが、嵩高いフェニル基が1つのSi原子上に密集した構造を多く含むため、立体障害が大きく、オルガノシロキサン分子の空間的自由度が低下し、芳香環相互のカップリングによる難燃化機構が作用するのに必要な芳香環同士の重なりが困難になり、難燃化効果を低下させる。より好ましいmの値は0.6〜1.8であり、更に好ましくは0.8〜1.8の範囲を満たすのがよい。
【0027】
Si−C結合でSi原子に結合する置換基はフェニル基以外の置換基Rを含んでもよい。この置換基は難燃化効果と直接関係がないため含有量が大きくなれば逆効果となるが、適量含有させることで、嵩高いフェニル基含有率の高いオルガノシロキサン分子の立体障害を緩和して空間的な自由度を向上させ、フェニル基同士の重なりを容易にして難燃化効果を高める方向に働く場合もある。この効果を期待できるRの含有率は、上記式(1)中のnの値で0.9以下、好ましくは0〜0.8である。好ましくは式(1)中のm+nに対するnの比率n/(m+n)で0〜0.3の範囲であり、0.3を超えては相対的なフェニル基含有率が低下して難燃化効果が十分に得られなくなる。
【0028】
また、難燃性樹脂組成物から得られる成形品の光学的透明性の点では、オルガノシロキサンのフェニル基含有率が高いほど芳香環を含む合成樹脂への分散相溶性が良好で、透明性が向上する。これら難燃化と透明性維持の効果を両立させられる好ましい上記式(1)中のフェニル基含有率mは0.6〜1.5、フェニル基以外の置換基含有率n/(m+n)は0〜0.2である。
【0029】
なお、m+n+p+qは0.92〜2.8であり、m+n+p+qが0.92より小さいとオルガノポリシロキサンの重合度(分子量)が大きすぎて難燃性が不十分となり、2.8より大きくてもオルガノポリシロキサンの重合度(分子量)が小さすぎて難燃性が不十分となる。
【0030】
本発明の(b)成分のオルガノシロキサンは、下記式(2)
−SiX …(2)
(但し、RはR又はRと同様の基を表し、Xは−OH,−OR又はシロキサン残基であり、1個のSi原子に結合している3個のXのうち少なくとも1個はシロキサン残基である。該シロキサン残基は、Xの1個がシロキサン残基である場合はO1/2、2個の場合はO2/2、3個の場合はO3/2で表され、これら酸素原子は他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成する。)
で示される単位を50モル%以上含有していることが好ましい。
【0031】
この三官能性シロキサン単位は、三次元的な架橋構造を形成してオルガノシロキサンの分子構造を強固にすることで樹脂的性質を付与し、(a)成分の芳香環を含む合成樹脂への分散性、加工性を向上させる。また、単官能性や二官能性シロキサン単位を多く含む直線的な分子構造のオルガノシロキサンは、燃焼時に起きるシロキサン結合の熱による再配列で揮発性低分子量シロキサンを形成して系外へ逃げやすいのに対し、架橋反応性の高い三官能性シロキサン単位を多く含むオルガノシロキサンは、更に高分子量化して系内に止まり難燃化に寄与する。三官能性シロキサン単位が50モル%未満ではこれらの効果が小さくなることがあり、より好ましくは上記三官能性シロキサン単位を60モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含むオルガノシロキサンで高い難燃化効果が実現される。
【0032】
上記式(2)中のRはR又はRと同じであり、アルキル基、アルケニル基、アリール基であり、ハロゲン以外の置換基を持っていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基などのアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基などのアルケニル基、フェニル基などのアリール基が挙げられる。特にフェニル基、メチル基が工業的に好ましい。
【0033】
式(2)中のXは−OH、−OR又はシロキサン残基を表し、1つのSi原子に結合している3つのXのうち少なくとも1つはシロキサン結合(シロキサン残基)を含んでいなければならない。ここで、シロキサン残基とは≡Si−O−結合において、酸素原子が他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成するものをいう。具体的には、Xの1つがシロキサン残基の場合、これはO1/2で表され、Xの2つがシロキサン残基の場合はO2/2、Xの3つがシロキサン残基の場合はO3/2で表され、これら酸素原子は他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成する。上記式(2)の単位を具体的に示すと下記の通りである。
【0034】
【化2】
Figure 0003614311
(Rは上記の通りであり、X’はOH又はORを示す。)
【0035】
好ましい式(2)の三官能性シロキサン単位は、
SiO3/2
Si(OCH)O2/2
Si(OH)O2/2
Si(OCH1/2
CHSiO3/2
CHSi(OCH)O2/2
CHSi(OH)O2/2
CHSi(OCH1/2
が挙げられる。ここでO1/2、O2/2、O3/2は上述したように他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成するシロキサン残基を示している。
【0036】
(b)成分のオルガノシロキサン中には、上記三官能性シロキサン単位以外の構成単位として、物性に影響を与えない範囲で以下のシロキサン単位を含有してもよい。
SiXで表される二官能性シロキサン単位
SiO1/2で表される単官能性シロキサン単位
SiXで表される四官能性シロキサン単位
【0037】
各式中のR、R、R、R、Rは、式(2)中のRと同じ有機基であり、1つの式中の有機基は同じでも異なっていてもよい。また、各式中のXは式(2)中のXと同じである。
【0038】
好ましい単官能性シロキサン単位の例としては、
(CHSiO1/2
(CHSiO1/2
が挙げられ、二官能性シロキサン単位の例としては、
(CSiO2/2
(CSi(OCH)O1/2
(CSi(OH)O1/2
(CH)CSiO2/2
(CH)CSi(OCH)O1/2
(CH)CSi(OH)O1/2
(CHSiO2/2
が挙げられる。
【0039】
四官能性シロキサン単位の例としては、
SiO4/2
Si(OCH)O3/2
Si(OH)O3/2
Si(OCH2/2
Si(OH)2/2
Si(OCH1/2
が挙げられる。
【0040】
特に、四官能性シロキサン単位は、三次元的な架橋構造を形成してオルガノシロキサン分子構造を強固にすることや、高い架橋反応性が高分子量化を促して系内に止まり、難燃化に寄与することから、三官能性シロキサン単位と同様な難燃化効果を発揮する。また、ポリシロキサン中に四官能性シロキサン単位を含ませることは、無機化合物的な性質を付与するため、難燃化効果の点では更に好ましいが、含有率が多くなると(a)成分の分子中に芳香環を含む合成樹脂との分散性、相溶性を低下させ、成形物の外観、透明性、強度を低下させてしまうため、含有率を上げすぎないように注意が必要である。四官能性シロキサン単位の望ましい含有率は50モル%以下である。
【0041】
(b)成分のオルガノシロキサンの平均重合度は2.5〜20量体であることが好ましい。重合度は難燃化効果を決める重要な因子であり、この重合度範囲のオルガノシロキサンは溶融混合時によく分散するが、成形品の状態では表面に比較的高い濃度で存在しており、燃焼時における熱で溶融して移動し、燃焼部周辺に集まることもできる。また、この動きやすさはフェニル基の重なりを容易にすることでも難燃化効果を向上させる。しかし、平均重合度が2.5未満の低分子量オルガノシロキサンでは、溶融混合時や燃焼時における熱による気化でシロキサン成分の損失率が高くなってしまうため、難燃化効果が低下してしまい、20を超えると燃焼時の動きやすさがなくなり難燃化効果が低下し、また溶融混合時に反応性の高いアルコキシ基やシラノール基が縮合して不溶性高分子量物を形成し、芳香環を含む合成樹脂への均一な混合分散性が悪くなることもある。好ましくは平均重合度で2.5〜15量体であり、更に望ましくは重量平均分子量で410以上2000未満の範囲をも満たすことがよい。
【0042】
このようなオルガノシロキサンは公知の方法で製造できる。例えば、上記のシロキサン単位を形成し得るオルガノクロロシランに、すべてのクロル基と反応するのに過剰のアルコールと水を反応させてアルコキシ基含有オルガノシランを形成し、減圧ストリップ等の方法で未反応アルコールや水及び反応副生物である塩化水素を除去して目的物を得る。目標のアルコキシ基含有率や平均分子量のものを調製するには、反応させるアルコールと水の量を調整して行う。水は目標の平均分子量が達成される理論量とし、アルコールは目標のアルコキシ基量を達成する理論量より過剰にすれば目標の構造に近いオルガノシロキサンが得られる。
【0043】
上記のシロキサン単位を形成し得るアルコキシシランが入手できれば、目標の平均分子量が達成できる理論量の水を加えて部分加水分解縮合反応させる方法も可能である。この場合は、反応を促進する触媒として、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが望ましい。副生したアルコールは常圧蒸留や減圧ストリップにより除去して目的物を得る。より保存安定性を高める必要がある場合は、添加した反応触媒を中和等の方法により除去してもよい。いずれの方法においても、ゲルの発生や分子量分布の広がりを抑制する目的で有機溶剤を配合することも可能である。
【0044】
本発明の難燃性樹脂組成物へ配合する(b)成分のオルガノシロキサンの量は、(a)成分の合成樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜8重量部である。0.1重量部未満では難燃性を十分に付与することができず、10重量部を超えると成形品の外観や強度に悪影響を与える。これらのオルガノシロキサンは、いずれも燃焼時には有害なガスを発生させることがない。
【0045】
本発明の難燃性樹脂組成物にジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルカンスルホン酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩を添加すると難燃性が向上する場合がある。これらの化合物は、芳香環相互のカップリングによる不燃性Si−Cセラミック層の形成を促す炭化促進剤として作用し、従来公知のものはすべて本発明の組成物に適用できる。添加する場合は、(a)成分の芳香環を含む合成樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部が適当である。0.001重量部未満では添加した効果が期待できず、5重量部を超えると成形品の外観や強度に悪影響を与える場合がある。具体的には、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレン−2・6−ジスルホン酸二ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0046】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、補強剤として無機充填材を配合することができる。例えば溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。これら無機充填材の平均粒径や形状は特に限定されないが、成形性及び流動性の面から平均粒径が5〜40μmの球状の溶融シリカが特に好ましい。配合する場合は、(a)成分の芳香環を含む合成樹脂100重量部に対して400〜1200重量部が適当である。400重量部未満では補強効果があまり期待できず、1200重量部を超えると成形性に悪影響を与えるおそれがある。なお、合成樹脂と無機充填材との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合することが好ましい。このようなカップリング剤の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシランが挙げられる。ここで、表面処理に用いるカップリング剤配合量及び表面処理方法については特に限定されるものではない。
【0047】
本発明の難燃性樹脂組成物には、更に必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、分散剤、滑剤、増粘剤、フッ素樹脂などのドリップ防止剤、低応力剤、ワックス類、着色剤等の通常配合されるものを配合することができる。
【0048】
これらの各成分は、それぞれ計量混合され、従来のゴムやプラスチックのための装置と方法が利用できる。即ち、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合撹拌機を用いて各成分を十分混合分散させた後、バンバリロール、押出機等の溶融混練機で混練し、目的物を得ることができる。
【0049】
成形方法としては、例えば射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法が挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下、調製例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記調製例で得られたオルガノシロキサンの構造は、29Si−NMR、H−NMR、重合度はGPC測定データよりポリスチレン標準試料で作成した検量線を用いて換算した。また、下記例でPhはフェニル基、Viはビニル基を示す。
【0051】
〔調製例1〕
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン211g(1モル)とトルエン143gを仕込み、オイルバスで内温40℃にまで加熱した。滴下ロートにメタノール64g(2モル)を仕込み、フラスコ内へ撹拌しながら1時間で滴下し、アルコキシ化反応中に発生する塩化水素ガスを系外へ除去しながら反応を進めた。滴下終了後、更に内温40℃で撹拌を1時間続けて熟成した。次に、滴下ロートに水12g(0.7モル)を仕込み、フラスコ内へ撹拌しながら1時間で滴下し、加水分解縮合反応中に発生する塩化水素ガスを系外へ除去しながら反応を進めた。滴下終了後、更に内温40℃で撹拌を1時間続けて熟成し、引き続き減圧蒸留によりトルエン、過剰分のメタノール、未反応の水、塩化水素を除去して、液体のメトキシ基含有オルガノシロキサン151gを得た。
【0052】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=1.0、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=1.5でR=メチル基、q=0.2、三官能性シロキサン単位を100モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度3(重量平均分子量は500)であった。
Ph1.0Si(OCH1.5(OH)0.21.3/2
【0053】
〔調製例2〕
調製例1において、1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン159g(0.75モル)とメチルトリクロロシラン37g(0.25モル)とトルエン143gを仕込み、滴下ロートにメタノール48g(1.5モル)を仕込んでアルコキシ化し、引き続き滴下ロートに水18g(1モル)を仕込んで加水分解縮合反応させた以外は同様に調製し、液体のメトキシ基含有オルガノシロキサン120gを得た。
【0054】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.75、n=0.25、n/(m+n)=0.25で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は75モル%がフェニル基、25モル%がメチル基であり、p=1.0でR=メチル基、q=0.17、三官能性シロキサン単位を100モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度14(重量平均分子量は1900)であった。
Ph0.75(CH0.25Si(OCH1.0(OH)0.171.83/2
【0055】
〔調製例3〕
調製例1において、1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン159g(0.75モル)とビニルトリクロロシラン37g(0.25モル)とトルエン143gを仕込み、滴下ロートにメタノール48g(1.5モル)を仕込んでアルコキシ化し、引き続き滴下ロートに水17g(0.9モル)を仕込んで加水分解縮合反応させた以外は同様に調製し、液体のメトキシ基含有オルガノシロキサン120gを得た。
【0056】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.75、n=0.25、n/(m+n)=0.25で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は75モル%がフェニル基、25モル%がビニル基であり、p=1.0でR=メチル基、q=0.17、三官能性シロキサン単位を100モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度10(重量平均分子量は1500)であった。
Ph0.75Vi0.25Si(OCH1.0(OH)0.171.83/2
【0057】
〔調製例4〕
調製例1において、1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン180g(0.85モル)とジメチルジクロロシラン19g(0.15モル)とトルエン143gを仕込み、滴下ロートにメタノール48g(1.5モル)を仕込んでアルコキシ化し、引き続き滴下ロートに水18g(1モル)を仕込んで加水分解縮合反応させた以外は同様に調製し、液体のメトキシ基含有オルガノシロキサン130gを得た。
【0058】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.85、n=0.3、n/(m+n)=0.26で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は74モル%がフェニル基、26モル%がメチル基であり、p=0.9でR=メチル基、q=0.16、三官能性シロキサン単位を85モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度9(重量平均分子量は1300)であった。
Ph0.85(CH0.3Si(OCH0.9(OH)0.161.79/2
【0059】
〔調製例5〕
調製例1において、1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン148g(0.6モル)とジフェニルジクロロシラン101g(0.4モル)を仕込み、滴下ロートにメタノール32g(1.0モル)を仕込んでアルコキシ化し、引き続き滴下ロートに水20g(1.1モル)を仕込んで加水分解縮合反応させた以外は同様に調製し、液体のオルガノシロキサン116gを得た。
【0060】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=1.4、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=0.6でR=メチル基、q=0.16、三官能性シロキサン単位を60モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度10(重量平均分子量は1700)であった。
Ph1.4Si(OCH0.6(OH)0.161.84/2
【0061】
〔調製例6〕
撹拌装置、冷却装置、温度計を取り付けた1Lフラスコにフェニルトリエトキシシラン132g(0.55モル)とテトラエトキシシラン94g(0.45モル)とエタノール64gを仕込み、オイルバスで内温40℃にまで加熱した。滴下ロートに30%の塩酸水9g(水0.35モル)を仕込み、フラスコ内へ撹拌しながら1時間で滴下しながら、反応を進めた。滴下終了後、更に内温67℃で撹拌を1時間続けて熟成し、引き続き常圧蒸留によりエタノール、未反応の水を留去しながら100℃まで昇温した後、減圧蒸留により塩化水素を除去して、液体のエトキシ基含有オルガノシロキサン170gを得た。
【0062】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.55、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=2.2でR=エチル基、q=0.05、三官能性シロキサン単位を55モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度2.5(重量平均分子量は470)であった。
Ph0.55Si(OC2.2(OH)0.051.2/2
【0063】
〔調製例7〕
調製例6において、1Lフラスコにフェニルトリメトキシシラン85g(0.4モル)とテトラメトキシシラン91g(0.6モル)とメタノール64gを仕込み、滴下ロートに30%の塩酸水16g(水0.6モル)を仕込んだ以外は同様に調製し、メトキシ基含有オルガノシロキサン125gを得た。
【0064】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.4、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=2.6でR=メチル基、q=0.1、三官能性シロキサン単位を40モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度2(重量平均分子量は300)であった。
Ph0.4Si(OCH2.6(OH)0.10.9/2
【0065】
〔調製例8〕
調製例1において、1Lフラスコにジフェニルジクロロシラン177g(0.7モル)とトリフェニルクロロシラン88g(0.3モル)を仕込み、滴下ロートにメタノール32g(1モル)を仕込んでアルキル化し、次いで水9g(0.5モル)を仕込んで加水分解縮合させた以外は同様にして、メトキシ基含有オルガノシロキサン211gを得た。
【0066】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=2.3、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=0.7でR=メチル基、q=0.1、三官能性シロキサン単位を0モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度2(重量平均分子量は470)であった。
Ph2.3Si(OCH0.7(OH)0.10.9/2
【0067】
〔調製例9〕
調製例6において、1Lフラスコにフェニルトリメトキシシラン198g(1モル)とメタノール64gを仕込み、滴下ロートに13%の塩酸水31g(水1.5モル)を仕込んだ以外は同様に調製し、メトキシ基含有オルガノシロキサン115gを得た。
【0068】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=1.0、n=0、n/(m+n)=0で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%がフェニル基であり、p=0.1でR=メチル基、q=0.3、三官能性シロキサン単位を100モル%含み、外観は無色透明固体で、平均重合度25(重量平均分子量は3300)であった。
Ph1.0Si(OCH0.1(OH)0.32.6/2
【0069】
〔調製例10〕
調製例1において、1Lフラスコにフェニルトリクロロシラン95g(0.45モル)とジメチルジクロロシラン71g(0.55モル)を仕込み、滴下ロートにメタノール48g(1.0モル)を仕込んでアルコキシ化し、引き続き滴下ロートに水18g(1モル)を仕込んで加水分解縮合反応させた以外は同様に調製し、液体のオルガノシロキサン100gを得た。
【0070】
得られたオルガノシロキサンを平均組成式R Si(OR(OH)(4−m−n−p−q)/2で表すと、下記式の通り、m=0.45、n=1.1、n/(m+n)=0.7で、Si原子上のSi−C結合で結合した有機置換基は29モル%がフェニル基、71モル%がメチル基であり、p=0.5でR=メチル基、q=0.2、三官能性シロキサン単位を45モル%含み、外観は無色透明液体で、平均重合度10(重量平均分子量は1100)であった。
Ph0.45(CH1.1Si(OCH0.5(OH)0.21.75/2
【0071】
〔実施例1〜8,比較例1〜7〕
表1の配合で、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対してオルガノシロキサンを1重量部、芳香族系エポキシ樹脂100重量部に対してオルガノシロキサンを10重量部添加し、自動乳鉢で予備混合した後、単軸の押出機で溶融混練(混練温度:280℃)を行った。なお、比較例5においては、KR−219(信越化学工業製;平均組成式(1)において、m=0.75、n=1.0(ビニル基とメチル基の混合)のシリコーン樹脂)を使用した。
【0072】
実施例4〜7及び比較例1,5では、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウムを0.5重量部添加した。
【0073】
ポリカーボネート樹脂は住友ダウ製カリバー200−20(粘度平均分子量約2万)を、エポキシ樹脂は油化シェル製YX4000HK(エポキシ当量190)にフェノール樹脂硬化剤として三井東圧化学製XL−225−3L(フェノール当量168)を同重量部で使用した。
【0074】
難燃性の評価はアンダーライターズ・ラボラトリーズ・INCの定めている規格(UL94:機器部品用プラスチック材料の燃焼性試験の規格)に準拠し、1/16インチ厚の板を成形して使用した。
【0075】
光学的透明性は可視吸光光度計を用いた。試験片は厚さ10mmの成形板を用い、厚さ方向の光路長10mm当たりの可視光透過率を測定し、オルガノシロキサンを添加していない試験片に対する各試験片の透過率の比により評価した。
【0076】
結果を表1に示す。透過率の比が70%以上のものを○、70%未満のものを×とした。
【0077】
【表1】
Figure 0003614311
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、分子中に芳香環を含む合成樹脂に特定構造のオルガノシロキサンを含有させることにより、燃焼時に有害ガスを発生せずに樹脂の難燃化が達成され、成形品の光学的透明性も維持できる。

Claims (4)

  1. (a)ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、芳香族系エポキシ樹脂、及び芳香族系ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる分子中に芳香環を含む合成樹脂 100重量部
    (b)下記平均組成式(1)
    1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4-m-n-p-q)/2 …(1)
    (式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6のフェニル基を除く1価炭化水素基、R3は炭素数1〜4の1価炭化水素基を示し、0.5≦m≦2.0、0≦n≦0.9、0.42≦p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)
    で表され、下記式(2)
    4 −SiX 3 …(2)
    (但し、R 4 はR 1 又はR 2 と同様の基を表し、Xは−OH,−OR 3 又はシロキサン残基であり、1個のSi原子に結合している3個のXのうち少なくとも1個はシロキサン残基である。該シロキサン残基は、Xの1個がシロキサン残基である場合はO 1/2 、2個の場合はO 2/2 、3個の場合はO 3/2 で表され、これら酸素原子は他のSi原子と結合してシロキサン結合を形成する。)
    で示される単位が50モル%以上含有されているフェニル基及びアルコキシ基含有オルガノシロキサン 0.1〜10重量部
    を含有してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. (b)成分のオルガノシロキサンの重量平均分子量が410以上2000未満である請求項1記載の組成物。
  3. 上記式(1)において、n/(m+n)が0≦n/(m+n)≦0.3である請求項1又は2記載の組成物。
  4. 上記式(1)において、R2がメチル基である請求項1乃至のいずれか1項記載の組成物。
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