JP3613232B2 - 増幅回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、増幅回路に係り、特にCMOSを構成するNMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタについて製造プロセス毎に生じる素子特性に係るバラツキに起因して発生するDCオフセットを除去するとともにゲイン制御が可能である増幅回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MOSトランジスタを用いた増幅回路は、入力ダイナミックレンジおよび出力ダイナミックレンジが大きく、動作周波数範囲も広くて低電源電圧でも良好な動作特性を有するという多くの利点を備えている。図6は、MOSトランジスタを用いた従来の増幅回路の一例を示す回路図である。この増幅回路は、”A CMOS Transconductance−C Filter technique for Very High Frequencies”(IEEE Journal of Solid−State Circuit VOL−27,NO.2,Feb,1992)に記載されたNautaの電圧電流変換器(以下、V−I変換器と称する)である。この増幅回路は、CMOSインバータの有する高利得性、広周波数応答性を利用するように構成されているものである。
【0003】
図6において、101は電圧源、102は接地部、103,105,107,109,111,113はそれぞれCMOSインバータを成すPMOSトランジスタ、104,106,108,110,112,114はそれぞれCMOSを成すNMOSトランジスタ、115は差動入力を為すための一方の入力端子、116は差動入力を為すための他方の入力端子、117は差動出力を為すための一方の出力端子、118は差動出力を為すための他方の出力端子である。
【0004】
次に、動作について説明する。ここでは、電圧源101の電源電圧値をVddとして、入力ダイナミックレンジおよび出力ダイナミックレンジを最大とするように入力端子115,116にはそれぞれVdd/2のバイアス電圧を印加するとともに、入力端子115に+Vinおよび入力端子116に−Vinの差動信号を入力するものとする。また、出力端子117を流れる電流を矢印の向きにIo1、出力端子118を流れる電流を矢印の向きにIo2、PMOSトランジスタ111およびNMOSトランジスタ112から成るCMOSインバータから出力端子117側へ流れ込む電流を矢印の向きにIo1’、PMOSトランジスタ109およびNMOSトランジスタ110から成るCMOSインバータから出力端子118側へ流れ込む電流を矢印の向きにIo2’とする。
【0005】
また、NMOSトランジスタのドレイン電流係数をMn、閾値電圧をVtnとするとともに、PMOSトランジスタのドレイン電流係数をMp、閾値電圧をVtpとすると、電流Io1はNMOSトランジスタ104を流れるドレイン電流とPMOSトランジスタ103を流れるドレイン電流との差として式(1)に示すように与えられ、電流Io2はNMOSトランジスタ106を流れるドレイン電流とPMOSトランジスタ105を流れるドレイン電流との差として式(2)に示すように与えられる。したがって、出力電流Io1と出力電流Io2との差分電流Iodは式(3)に示すように与えられる。
【数1】
【0006】
上記のように入力に差動信号を用いて差動出力電流を取り出すことで電圧電流変換を実施することができる。然るに、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの素子特性は、通常各製造プロセス毎に生じる微妙な製造環境の差異に起因して大きくばらつくことが知られている(以降では、このような製造プロセス毎に生じるMOSトランジスタの素子特性のバラツキを製造バラツキと称するものとする)。このために、入力側のバイアス電圧をVdd/2としても出力側のバイアス電圧はVdd/2からずれてしまって所謂DCオフセットが生じることとなる。
【0007】
上記のNautaのV−I変換器では、DCオフセットを抑制するために、出力端子117,118側にCMOSインバータを4個接続し、出力電流から同相分の電流を減ずるように動作させる。ここで、CMOSインバータの出力電圧に係る同相分をVoc、差動分をVodとするとともに、PMOSトランジスタ107およびNMOSトランジスタ108から成るCMOSインバータに係る相互コンダクタンスをgm3、PMOSトランジスタ109およびNMOSトランジスタ110から成るCMOSインバータに係る相互コンダクタンスをgm4、PMOSトランジスタ111およびNMOSトランジスタ112から成るCMOSインバータに係る相互コンダクタンスをgm5、PMOSトランジスタ113およびNMOSトランジスタ114から成るCMOSインバータに係る相互コンダクタンスをgm6とすると、出力電流Io1’は式(4)に示すように与えられ、出力電流Io2’は式(5)に示すように与えられる。
【数2】
【0008】
各CMOSインバータ間の相互コンダクタンスgmのマッチングが取れているとすると、式(4)および式(5)においてそれぞれ差動分に係る係数(gm5−gm6)および係数(gm4−gm3)はゼロとなって第2項は無くなるから、同相分の電流のみがV−I変換器の出力側に流れ込み、これによりDCオフセットを補正している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
MOSトランジスタを用いた従来の増幅回路は上記のように構成されているので、4つのCMOSインバータを用いてDCオフセットが補正された出力側におけるバイアス電圧は必ずしも最適な電圧値に収斂するものではなく、また製造バラツキに起因してバイアス電圧が大きく変動するという課題があった。また、DCオフセットを低減できるもののゲインは回路素子の特性に基づいておおよそ変化することがなく、ゲイン制御を実施することができないという課題があった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、DCオフセットを除去するとともにゲイン制御が可能なMOSトランジスタを用いた増幅回路を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る増幅回路は、直列に接続される第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタから成るCMOSインバータと、第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタのいずれか一方のMOSトランジスタのソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、DCオフセットを除去するように他方のMOSトランジスタのソース電位を変化させる電圧シフト手段とを備えるようにしたものである。
【0012】
この発明に係る増幅回路は、電圧制御手段について、一方のMOSトランジスタのソースに接続される電圧制御用のMOSトランジスタと、電圧制御用のMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成されるようにしたものである。
【0013】
この発明に係る増幅回路は、電圧シフト手段について、他方のMOSトランジスタのソースに接続される電圧シフト用のMOSトランジスタと、DCオフセットを検出して電圧シフト用のMOSトランジスタのゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するDCオフセット検出手段とを有して構成されるようにしたものである。
【0014】
この発明に係る増幅回路は、DCオフセット検出手段について、上記の第1のPMOSトランジスタ、第1のNMOSトランジスタ、電圧制御用のMOSトランジスタおよび電圧シフト用のMOSトランジスタのそれぞれについて同一に形成されるMOSトランジスタを同じ順序で接続することで得られる対照用回路と、対照用回路内において第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタから成るCMOSインバータの入力部および出力部にそれぞれ反転入力部および非反転入力部が接続されるとともに出力部が電圧シフト用の2つのMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される演算増幅器とを有して構成され、対照用回路側の電圧制御用のMOSトランジスタのゲートにも上記可変電圧源を接続するようにしたものである。
【0015】
この発明に係る増幅回路は、出力端子と電圧源との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第1の負荷用MOSトランジスタと、前記出力端子と接地部との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第2の負荷用MOSトランジスタとを備えるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施の形態を説明する。なお、以下の説明においては、本願発明の実施の形態に記載された実施例を構成する各手段と、特許請求の範囲に記載された発明を構成する各手段との対応関係を明らかにするために、実施例の各手段にそれぞれ対応する特許請求の範囲に記載された発明の各手段を本願発明の実施の形態に係る説明文中において適宜かっこ書きにより示すものとする。
【0017】
実施の形態1.
図1は、DCオフセット除去機能を備えたCMOSインバータ回路の動作原理を説明するための図である。図1において、1は電圧源、2はCMOSを成すPMOSトランジスタ(第1のPMOSトランジスタ)、3はCMOSを成すNMOSトランジスタ(第1のNMOSトランジスタ)、4は接地部、5はNMOSトランジスタ3のソースと接地部4との間に介装されDCオフセットを除去するようにNMOSトランジスタ3のソース電位を上げる電圧源、6は入力端子、7は出力端子、8は負荷抵抗、9は交流信号解析を実施するうえで出力側において発生するバイアス電圧を付与するように仮想的に設定される電圧源である。ここで、電圧源1の電源電圧値をVdd、PMOSトランジスタ2のドレイン電流をIp、NMOSトランジスタ3のドレイン電流をIn、出力端子7へ流れる電流をIo、電圧源5の電圧値(以下、シフト電圧値と称する)をVs、入力バイアス電圧をVgとする。また、最も大きなダイナミックレンジを得るためのバイアス設定を実現するために、Vg=Vdd/2としてDCオフセットに係る評価を実施する。なお、図1に示されるCMOSインバータ回路は、PMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3のドレイン抵抗よりも低いインピーダンスを有する負荷抵抗8を接続することで、V−I変換器として動作する。
【0018】
上記条件下におけるPMOSトランジスタ2のドレイン電流IpおよびNMOSトランジスタ3のドレイン電流Inは、式(6)および式(7)により与えられる。これにより、PMOSトランジスタ2のドレイン電流IpとNMOSトランジスタ3のドレイン電流Inとの差として与えられる電流Ioは、式(8)に示すように与えられる。式(8)から明らかなように、シフト電圧値Vsを適宜調整することで、Io=0とすることができる。この際、出力電圧Voが入力電圧Vgに一致する。ここで、Io=0とすることができるシフト電圧値Vsは、以下の式(9)から算出される。
【数3】
【0019】
例えば、PMOSトランジスタ2のドレイン電流係数MpとNMOSトランジスタ3のドレイン電流係数Mnとが等しい場合には、Vs=Vtp−Vtnとなってシフト電圧値Vsが定まる。ところで、単一電源により動作する際にはVs≧0となるから、Vtp≧Vtnである場合についてのみ出力電圧に係るDCオフセットを除去することが可能となる。なお、Vtp<Vtnである場合については、電圧源5に代えて、PMOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間にPMOSトランジスタ2のソース電位を下げるための電圧シフト用の電圧源を介装することにより、DCオフセットを同様に除去することが可能となる。
【0020】
また、PMOSトランジスタ2の閾値電圧VtpとNMOSトランジスタ3の閾値電圧Vtnとが等しい場合には、Vtp=Vtn=Vtとして、上記の式(10)に基づいてシフト電圧値Vsを求めることができる。ところで、単一電源により動作する際にはVs≧0であるとともに、Vg−Vt>0であるから、Mp≦Mnである場合についてのみ出力電圧に係るDCオフセットを除去することが可能となる。なお、Mp>Mnである場合については、PMOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間にPMOSトランジスタ2のソース電位を下げるための電圧シフト用の電圧源を介装することにより、DCオフセットを同様に除去することが可能となる。
【0021】
また、CMOSインバータ回路の出力電流IoおよびゲインGaについては、以下のようにして求められる。式(8)においてIo=0とすることで、式(11)が得られる。式(11)を基にして、PMOSトランジスタ2の相互コンダクタンスGmpおよびNMOSトランジスタ3の相互コンダクタンスGmnは、それぞれ式(12)および式(13)に示すように与えられる。ここで、入力端子6においてバイアス電圧Vgに付加して与えられる交流信号電圧をVinとするとともに、出力端子7から取り出される交流出力電圧をVoutとすると、式(12)および式(13)から、出力電流Ioおよび交流出力電圧Voutは信号電圧Vinを用いて式(14)および式(15)に示すように与えられる。そして、ゲインGaは式(16)に示すように与えられる。このように、DCオフセットを除去することにより、CMOSインバータに固有の変換係数および負荷抵抗により定まるゲインを備えた増幅回路が構成される。なお、式(11)から式(16)については、Vg≠Vdd/2の場合にも適用可能な式として与えている。
【数4】
【0022】
次に、DCオフセットを除去するようにシフト電圧値を自動的に調整することが可能な増幅回路について説明する。図2は、DCオフセット除去機能を備えた増幅回路の構成の一例を示す回路図である。図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。11は入力端子6にバイアス電圧を付与するバイアス用電圧源、12は信号源、13はNMOSトランジスタ3のソースと接地部4との間に介装されるNMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)、14は電圧源11と同じバイアス電圧を付与するバイアス用電圧源(バイアス電圧付与手段)、15はPMOSトランジスタ2と同一に形成されるPMOSトランジスタ(第4のPMOSトランジスタ)、16はNMOSトランジスタ3と同一に形成されてドレインがPMOSトランジスタ15のドレインに接続されるNMOSトランジスタ(第3のNMOSトランジスタ)、17はNMOSトランジスタ13と同一に形成されてドレインがNMOSトランジスタ16のソースに接続されソースが接地部4に接続されるNMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)、18は非反転入力部がPMOSトランジスタ15のドレインとNMOSトランジスタ16のドレインとの接続部位に接続され、反転入力部がPMOSトランジスタ15のゲートとNMOSトランジスタ16のゲートとの接続部位に接続され、出力部がNMOSトランジスタ13のゲートおよびNMOSトランジスタ17のゲートに接続される演算増幅器、19は電源起動時等に生じるラッチアップ現象を防止する機能を有するNMOSトランジスタである。
【0023】
なお、バイアス用電圧源11,14については、例えば電圧源1の電源電圧を抵抗分割すること等の種々の方法を用いて実現することが可能である。また、上記の増幅回路は同一チップ内に形成されることで同一の製造プロセスを経るものであるから、PMOSトランジスタ2とPMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ13とNMOSトランジスタ17とについては、それぞれドレイン電流係数や閾値電圧等の素子特性が互いに等しいものとみなすことができる。また、NMOSトランジスタ19については、定常動作時にはドレイン−ソース間電圧が0となってOFF動作を為すから、DCオフセットに係る補正動作には何ら影響を与えるものではなく、以降ではその動作説明については省略する。
【0024】
次に、図2に示されたDCオフセット除去機能を備えた増幅回路の動作について説明する。ここで、PMOSトランジスタ15およびNMOSトランジスタ16から成るCMOSの出力部の電圧をVo、演算増幅器18の出力電圧をVnとする。出力電圧Voがバイアス電圧Vgより大きくなると、出力電圧Voとバイアス電圧Vgとの電圧差を増幅した電圧がNMOSトランジスタ17のゲートに印加される。NMOSトランジスタ17のゲート電圧が大きくなると、当該NMOSトランジスタのドレイン抵抗が小さくなって出力電圧Voは低下する。したがって、演算増幅器18から出力される電圧Vnは、出力電圧Voと入力電圧Vgとを等しくさせるような電圧値に収斂する。
【0025】
また、上述したように、PMOSトランジスタ15とPMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ16とNMOSトランジスタ3、NMOSトランジスタ17とNMOSトランジスタ13とについては、それぞれ素子特性が同一であるものとみなすことができるので、演算増幅器18の出力電圧VnをNMOSトランジスタ13のゲートに印加することで、PMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3から成るCMOSインバータに係る入力バイアス電圧がVgの際に出力バイアス電圧をVgとすることができて、DCオフセットを除去することが可能となる。すなわち、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ17、演算増幅器18およびバイアス用電圧源14等から成る回路により図2に示される増幅回路が生成されたチップについて発現するDCオフセット量を検出し、このDCオフセット量に応じて当該DCオフセットを除去するように調整された電圧Vnを電圧シフト用のNMOSトランジスタ13のゲートに印加することで、PMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3等から成るV−I変換型増幅回路のDCオフセットを除去することが可能となる。
【0026】
次に、図3はDCオフセット除去機能およびゲイン可変機能を備えたこの発明の実施の形態1による増幅回路の構成を示す回路図である。図3において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。21はPNOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)、22はPMOSトランジスタ21と同一に形成されてPMOSトランジスタ15のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ(第3のPMOSトランジスタ)、23はPMOSトランジスタ21のゲートおよびPMOSトランジスタ22のゲートに接続される可変電圧源である。
【0027】
上記の増幅回路は同一チップ内に形成されることで同一の製造プロセスを経るものであるから、PMOSトランジスタ21とPMOSトランジスタ22とについてもドレイン電流係数や閾値電圧等の素子特性は等しいものとみなすことができる。図3に示される増幅回路においては、PMOSトランジスタ21および電圧源23等から、PMOSトランジスタ2のソース電位を可変に制御する電圧制御手段が構成される。また、PMOSトランジスタ22、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16およびNMOSトランジスタ17から成る回路は、PMOSトランジスタ21、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ13から成る回路と同一に形成される参照用回路として与えられるものである。また、PMOSトランジスタ22、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ17、演算増幅器18およびバイアス用電圧源14等から、電圧制御手段によりPMOSトランジスタ2のソース電位を変化させた状態でPMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3から成るCMOSインバータにおいてバイアス電圧Vgについて発生するDCオフセットを検出するとともに、NMOSトランジスタ13のゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するDCオフセット検出手段が構成される。さらに、当該DCオフセット検出手段とNMOSトランジスタ13とから、DCオフセットを除去するようにNMOSトランジスタ3のソース電位を上げる電圧シフト手段が構成される。
【0028】
次に、図3に示された増幅回路の動作について説明する。ここで、電源電圧をVdd、可変電圧源23により付与される制御電圧をVc、PMOSトランジスタ2およびPMOSトランジスタ15のソース電位をVsp、バイアス用電圧源11およびバイアス用電圧源14により付与されるバイアス電圧をVg、演算増幅器18の出力電圧をVnとする。既に述べたように、PMOSトランジスタ22、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16およびNMOSトランジスタ17から成る回路は、PMOSトランジスタ21、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ13から成る回路と同一に形成された参照回路として与えられるものであり、PMOSトランジスタ21およびPMOSトランジスタ22のゲートには同じ制御電圧Vcが印加され、NMOSトランジスタ13およびNMOSトランジスタ17のゲートには同じ調整用電圧Vnが印加されているから、バイアス電圧Vgについては、対応関係にあるMOSトランジスタはそれぞれ同じ動作を為す。また、回路動作に係る以下の説明においては、理解を容易とするために、PMOSトランジスタ21とPMOSトランジスタ2との素子特性、並びにNMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ13との素子特性はそれぞれ互いに等しいものとして数値解析を実施する。なお、本願発明に係る増幅回路においては、PMOSトランジスタ21とPMOSトランジスタ2、並びにNMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ13とをそれぞれ同一に形成することを必須の要件とするものではない。そして、これらトランジスタを異なるように形成したとしても、以下の数値解析で特定される回路特性と同等の回路特性を得ることが勿論可能である。
【0029】
PMOSトランジスタ21の非飽和領域におけるドレイン電流とPMOSトランジスタ2の飽和領域におけるドレイン電流とが等しいことに基づいて式(17)が得られ、式(17)を整理することで式(18)が得られる。そして、式(18)をVspについて解くことで、Vspは式(19)に示すように与えられる。式(19)に示されるように、可変電圧源23の電圧Vcを適宜変化させることで、PMOSトランジスタ2およびPMOSトランジスタ15のソース電位Vspを制御することが可能となる。
【数5】
【0030】
また、図2に示される増幅回路について述べたように、DCオフセット検出手段により電圧VnをNMOSトランジスタ13のゲートに印加することにより、PMOSトランジスタ21、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ13等から成るV−I変換型増幅回路に係るDCオフセットを除去することができるから、図1に示される増幅回路の出力電流Ioについて得られた式(14)において、電源電圧VddをPMOSトランジスタ2のソース電位であるVspに置き換えれば式(20)に示すように上記V−I変換型増幅回路の出力電流Ioを求めることができる。また、V−I変換型増幅回路のゲインGaは、式(21)に示すように与えられる。式(21)から明らかなように、制御電圧Vcを適宜変化させることでV−I変換型増幅回路のゲインGaを制御することが可能となる。
【数6】
【0031】
以上のように、この実施の形態1によれば、PMOSトランジスタ2のソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、DCオフセットを除去するようにNMOSトランジスタ3のソース電位を上げる電圧シフト手段とを備えるように構成したので、PMOSトランジスタ2のソース電位を適宜変化させたうえでDCオフセットを除去するように電圧シフト手段を動作させることにより、結果的にV−I変換型増幅回路のゲインを制御することができるから、DCオフセットを除去するとともにゲイン制御が可能な増幅回路を得ることができるという効果を奏する。また、PMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3から成るCMOSインバータの出力部に補正用回路を付加する必要がなくなるので、寄生容量による周波数特性の劣化、ノイズ性能の劣化および消費電流の増大を抑制することができるという効果を奏する。
【0032】
また、電圧制御手段が、PMOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ21と、PMOSトランジスタ21のゲートに接続される可変電圧源23とを有して構成されるので、PMOSトランジスタ2のソース電位を簡単な構成で変化させることができて、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0033】
また、電圧シフト手段が、NMOSトランジスタ3のソースと接地部4との間に介装されるNMOSトランジスタ13と、DCオフセットを検出してNMOSトランジスタ13のゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するオフセット検出手段とを有して構成されるので、検出されたDCオフセット量に応じてNMOSトランジスタ3のソース電位を適切なレベルまで上げることができるから、DCオフセットを確実に除去することができて精度の高い増幅回路を得ることができるという効果を奏する。
【0034】
さらに、DCオフセット検出手段が、ゲートが可変電圧源23に接続されPMOSトランジスタ21と同一に形成されるPMOSトランジスタ22と、PMOSトランジスタ22に接続されPMOSトランジスタ2と同一に形成されるPMOSトランジスタ15と、PMOSトランジスタ15に接続されNMOSトランジスタ3と同一に形成されるNMOSトランジスタ16と、NMOSトランジスタ16に接続されNMOSトランジスタ13と同一に形成されるNMOSトランジスタ17と、PMOSトランジスタ15のゲートおよびNMOSトランジスタ16のゲートに直流バイアス電圧を印加する電圧源14と、PMOSトランジスタ15およびNMOSトランジスタ16から成るCMOSの入力部および出力部にそれぞれ反転入力部および非反転入力部が接続されるとともに出力部がNMOSトランジスタ13のゲートおよびNMOSトランジスタ17のゲートに接続される演算増幅器18とを有して構成されているので、DCオフセットを高精度で検出するDCオフセット検出手段を簡単な構成で実現することができ、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0035】
実施の形態2.
図4は、DCオフセット除去機能およびゲイン可変機能を備えたこの発明の実施の形態2による増幅回路の構成を示す回路図である。図4において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。31はPMOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)、32はNMOSトランジスタ3のソースと接地部4との間に介装されるNMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)、33はPMOSトランジスタ31と同一に形成されてPMOSトランジスタ15のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ(第3のPMOSトランジスタ)、34はNMOSトランジスタ32と同一に形成されてNMOSトランジスタ16のソースと接地部4との間に介装されるNMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)、35はNMOSトランジスタ32のゲートおよびNMOSトランジスタ34のゲートに接続される可変電圧源、36は非反転入力部がPMOSトランジスタ15のドレインとNMOSトランジスタ16のドレインとの接続部位に接続され、反転入力部がPMOSトランジスタ15のゲートとNMOSトランジスタ16のゲートとの接続部位に接続され、出力部がPMOSトランジスタ31のゲートおよびPMOSトランジスタ33のゲートに接続される演算増幅器である。
【0036】
上記の増幅回路は同一チップ内に形成されることで同一の製造プロセスを経るものであるから、PMOSトランジスタ31とPMOSトランジスタ33、PMOSトランジスタ2とPMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ32とNMOSトランジスタ34とについては、それぞれドレイン電流係数や閾値電圧等の素子特性は等しいものとみなすことができる。図4に示される増幅回路においては、NMOSトランジスタ32および電圧源35等から、NMOSトランジスタ3のソース電位を可変に制御する電圧制御手段が構成される。また、PMOSトランジスタ33、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16およびNMOSトランジスタ34から成る回路は、PMOSトランジスタ31、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ32から成る回路と同一に形成される参照用回路として与えられるものである。また、PMOSトランジスタ33、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16、NMOSトランジスタ34、演算増幅器36およびバイアス用電圧源14等から、電圧制御手段によりNMOSトランジスタ3のソース電位を変化させた状態でPMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3から成るCMOSインバータにおいてバイアス電圧Vgについて発生するDCオフセットを検出するとともに、PMOSトランジスタ31のゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するDCオフセット検出手段が構成される。さらに、DCオフセット検出手段とPMOSトランジスタ31とから、DCオフセットを除去するようにPMOSトランジスタ2のソース電位を下げる電圧シフト手段が構成される。
【0037】
次に、図4に示された増幅回路の動作について説明する。ここで、電源電圧をVdd、可変電圧源35により付与される制御電圧をVc、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ16のソース電位をVsn、バイアス用電圧源11およびバイアス用電圧源14により付与されるバイアス電圧をVg、演算増幅器36の出力電圧をVpとする。既に述べたように、PMOSトランジスタ33、PMOSトランジスタ15、NMOSトランジスタ16およびNMOSトランジスタ34から成る回路は、PMOSトランジスタ31、PMOSトランジスタ2、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ32から成る回路と同一に形成された参照回路として与えられるものであり、NMOSトランジスタ32およびNMOSトランジスタ34のゲートには同じ制御電圧Vcが印加され、PMOSトランジスタ31およびPMOSトランジスタ33のゲートには同じ調整用電圧Vpが印加されるから、バイアス電圧Vgについては、対応関係にあるMOSトランジスタはそれぞれ同じ動作を為す。また、回路動作に係る以下の説明においては、理解を容易にするために、PMOSトランジスタ31とPMOSトランジスタ2との素子特性、並びにNMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ32との素子特性はそれぞれ互いに等しいものとして数値解析を実施する。なお、本願発明に係る増幅回路においては、PMOSトランジスタ31とPMOSトランジスタ2、並びにNMOSトランジスタ3とNMOSトランジスタ32とをそれぞれ同一に形成することを必須の要件とするものではない。そして、これらトランジスタを異なるように形成したとしても、以下の数値解析で特定される回路特性と同等の回路特性を得ることが勿論可能である。
【0038】
NMOSトランジスタ32の非飽和領域におけるドレイン電流とNMOSトランジスタ3の飽和領域におけるドレイン電流とが等しいことに基づいて式(22)が得られ、式(22)を整理することで式(23)が得られる。そして、式(23)をVsnについて解くことで、Vsnは式(24)に示すように与えられる。式(24)から明らかなように、可変電圧源35の電圧Vcを適宜変化させることで、NMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ16のソース電位Vsnを制御することが可能となる。
【数7】
【0039】
また、図3に示される増幅回路においてV−I変換型増幅回路の出力電流IoおよびゲインGaを導いたのと同様の手順を経ることで、図4に示される増幅回路についても、式(25)および式(26)に示されるように出力電流IoおよびゲインGaを求めることができる。式(26)から明らかなように、制御電圧Vcを適宜変化させることでV−I変換型増幅回路のゲインGaを制御することが可能となる。
【数8】
【0040】
以上のように、この実施の形態2によれば、NMOSトランジスタ3のソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、DCオフセットを除去するようにPMOSトランジスタ2のソース電位を下げる電圧シフト手段とを備えるように構成したので、NMOSトランジスタ3のソース電位を適宜変化させたうえでDCオフセットを除去するように電圧シフト手段を動作させることにより、結果的にV−I変換型増幅回路のゲインを制御することができるから、DCオフセットを除去するとともにゲイン制御が可能な増幅回路を得ることができるという効果を奏する。また、PMOSトランジスタ2およびNMOSトランジスタ3から成るCMOSインバータの出力部に補正用回路を付加する必要がなくなるので、寄生容量による周波数特性の劣化、ノイズ性能の劣化および消費電流の増大を抑制することができるという効果を奏する。
【0041】
また、電圧制御手段が、NMOSトランジスタ3のソースと接地部4との間に介装されるNMOSトランジスタ32と、NMOSトランジスタ32のゲートに接続される可変電圧源35とを有して構成されるので、NMOSトランジスタ3のソース電位を簡単な構成により変化させることができて、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0042】
また、電圧シフト手段が、PMOSトランジスタ2のソースと電圧源1との間に介装されるPMOSトランジスタ31と、DCオフセットを検出してPMOSトランジスタ31のゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するオフセット検出手段とを有して構成されるので、検出されたDCオフセット量に応じてPMOSトランジスタ2のソース電位を適切なレベルまで下げることができるから、DCオフセットを確実に除去することができて精度の高い増幅回路を得ることができるという効果を奏する。
【0043】
さらに、DCオフセット検出手段が、PMOSトランジスタ31と同一に形成されるPMOSトランジスタ33と、PMOSトランジスタ33に接続されPMOSトランジスタ2と同一に形成されるPMOSトランジスタ15と、PMOSトランジスタ15に接続されNMOSトランジスタ3と同一に形成されるNMOSトランジスタ16と、NMOSトランジスタ16に接続されるとともにゲートが可変電圧源35に接続されNMOSトランジスタ32と同一に形成されるNMOSトランジスタ34と、PMOSトランジスタ15のゲートおよびNMOSトランジスタ16のゲートに直流バイアス電圧を印加する電圧源14と、PMOSトランジスタ15およびNMOSトランジスタ16から成るCMOSの入力部および出力部にそれぞれ反転入力部および非反転入力部が接続されるとともに出力部がPMOSトランジスタ31のゲートおよびPMOSトランジスタ33のゲートに接続される演算増幅器36とを有して構成されているので、DCオフセットを高精度で検出するDCオフセット検出手段を簡単な構成で実現することができ、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0044】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3による増幅回路は、電圧出力を取り出すために増幅回路の出力端子に接続される抵抗に代えて、負荷としてMOSトランジスタを出力端子に接続する点で実施の形態1および実施の形態2による増幅回路と差異を有する。図5は、この発明の実施の形態3による増幅回路の構成を示す回路図である。図5において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すのでその説明を省略する。41は電圧源1と出力端子7との間に介装されてドレインとゲートとが短絡されたNMOSトランジスタ(第1の負荷用MOSトランジスタ)、42は接地部4と出力端子7との間に介装されてドレインとゲートとが短絡されたNMOSトランジスタ(第2の負荷用MOSトランジスタ)である。なお、図4に示されるDCオフセット検出手段等については省略されている。
【0045】
次に、図5に示される増幅回路の動作について説明する。ここで、NMOSトランジスタ41,42に係るドレイン電流係数をMn’、相互コンダクタンスをGmn’とすると、NMOSトランジスタ41,42による負荷に係る抵抗値Rdは式(27)に示すように与えられる。そして、式(25)および式(27)に基づいて、図5に示される増幅回路のゲインGbは、式(28)に示すように与えられる。式(28)から明らかなように、増幅回路のゲインをNMOSトランジスタ3およびNMOSトランジスタ32のドレイン電流係数MnとNMOSトランジスタ41およびNMOSトランジスタ42のドレイン電流係数Mn’との比に基づいて設定することができる。すなわち、NMOSトランジスタ3,32のチャンネル長またはチャンネル幅に対するNMOSトランジスタ41,42のチャンネル長またはチャンネル幅の比を変化させることでゲインGbを適宜設定することが可能となる。
【数9】
【0046】
以上のように、この実施の形態3によれば、出力端子7と電圧源1との間に介装されドレインとゲートとが短絡されたNMOSトランジスタ41と、出力端子7と接地部4との間に介装されドレインとゲートとが短絡されたNMOSトランジスタ42とを備えるように構成したので、電圧出力を取り出すための負荷をMOSトランジスタを用いて付与することができるから、集積化を可能として回路規模を小さくすることができるという効果を奏する。また、増幅回路のゲインをMOSトランジスタのチャンネル長またはチャンネル幅等のサイズ比を基にして設定することが可能となるので、抵抗を用いて電圧出力を取り出す場合と比較して製造バラツキに起因してゲインについて発生する誤差を低減することができて、増幅回路の精度を高くすることができるという効果を奏する。なお、負荷用トランジスタとしてはPMOSトランジスタを用いてもよく、NMOSトランジスタと同様の効果を奏することが可能である。
【0047】
なお、上記の実施の形態1から実施の形態3により説明される増幅回路は、本願発明を限定するものではなく、例示することを意図して開示されているものである。本願発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載により定められるものであり、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の設計的変更が可能である。例えば、実施の形態3においては、図4に示される増幅回路の出力端子7に負荷用のMOSトランジスタを接続する構成としているが、図3に示される増幅回路の出力端子7に負荷用のMOSトランジスタを接続する構成とすることも勿論可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、直列に接続される第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタから成るCMOSインバータと、第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタのいずれか一方のMOSトランジスタのソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、DCオフセットを除去するように他方のMOSトランジスタのソース電位を変化させる電圧シフト手段とを備えるように構成したので、一方のMOSトランジスタのソース電位を適宜変化させたうえでDCオフセットを除去するように電圧シフト手段を動作させることにより、結果的に第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタから成るCMOSとして与えられる増幅回路のゲインを制御することができるから、DCオフセットを除去するとともにゲイン制御が可能な増幅回路を得ることができるという効果を奏する。
【0049】
この発明によれば、電圧制御手段について、一方のMOSトランジスタのソースに接続される電圧制御用のMOSトランジスタと、電圧制御用のMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成されるようにしたので、一方のMOSトランジスタのソース電位を簡単な構成で変化させることができて、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0050】
この発明によれば、電圧シフト手段について、他方のMOSトランジスタのソースに接続される電圧シフト用のMOSトランジスタと、DCオフセットを検出して電圧シフト用のMOSトランジスタのゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するオフセット検出手段とを有して構成されるようにしたので、検出されたDCオフセット量に応じて他方のMOSトランジスタのソース電位を適切なレベルまで変化させることができるから、DCオフセットを確実に除去することができて精度の高い増幅回路を得ることができるという効果を奏する。
【0051】
この発明によれば、DCオフセット検出手段について、上記の第1のPMOSトランジスタ、第1のNMOSトランジスタ、電圧制御用のMOSトランジスタおよび電圧シフト用のMOSトランジスタのそれぞれについて同一に形成されるMOSトランジスタを同じ順序で接続することで得られる対照用回路と、対照用回路側の第1のPMOSトランジスタおよび第1のNMOSトランジスタから成るCMOSの入力部および出力部にそれぞれ反転入力部および非反転入力部が接続されるとともに出力部が電圧シフト用の2つのMOSトランジスタのゲートにそれぞれ接続される演算増幅器とを有して構成されるようにするとともに、対照用回路側の電圧制御用のMOSトランジスタのゲートにも上記可変電圧源を接続するようにしたので、DCオフセットを高精度で検出するDCオフセット検出手段を簡単な構成で実現することができて、回路構成を簡略化することができるという効果を奏する。
【0052】
この発明によれば、出力端子と電圧源との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第1の負荷用MOSトランジスタと、出力端子と接地部との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第2の負荷用MOSトランジスタとを備えるように構成したので、電圧出力を取り出すための負荷をMOSトランジスタを用いて付与することができるから、集積化を可能として回路規模を小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】DCオフセット除去機能を備えたCMOSインバータ回路の動作原理を説明するための図である。
【図2】DCオフセット除去機能を備えた増幅回路の一例を示す回路図である。
【図3】この発明の実施の形態1による増幅回路の構成を示す回路図である。
【図4】この発明の実施の形態2による増幅回路の構成を示す回路図である。
【図5】この発明の実施の形態3による増幅回路の構成を示す回路図である。
【図6】MOSトランジスタを用いた従来の増幅回路の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 電圧源、2 PMOSトランジスタ(第1のPMOSトランジスタ)、3 NMOSトランジスタ(第1のNMOSトランジスタ)、4 接地部、5 電圧源、6 入力端子、7 出力端子、8 負荷抵抗、9 電圧源、11 バイアス用電圧源、12 信号源、13 NMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)、14 バイアス用電圧源(バイアス電圧付与手段)、15 PMOSトランジスタ(第4のPMOSトランジスタ)、16 NMOSトランジスタ(第3のNMOSトランジスタ)、17 NMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)、18,36 演算増幅器、19 NMOSトランジスタ、21PMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)、22 PMOSトランジスタ(第3のPMOSトランジスタ)、23,35 可変電圧源、31 PMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)、32 NMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)、33 PMOSトランジスタ(第3のPMOSトランジスタ)、34 NMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)、41 NMOSトランジスタ(第1の負荷用MOSトランジスタ)、42 NMOSトランジスタ(第2の負荷用MOSトランジスタ)
Claims (10)
- 第1のPMOSトランジスタと、該第1のPMOSトランジスタのドレインにドレインが接続される第1のNMOSトランジスタと、前記第1のPMOSトランジスタのゲートおよび前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続される入力端子と、前記第1のPMOSトランジスタのドレインと前記第1のNMOSトランジスタのドレインとの接続部位に接続される出力端子とを有して構成される増幅回路において、
前記第1のPMOSトランジスタのソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、
DCオフセットを除去するように前記第1のNMOSトランジスタのソース電位を上げる電圧シフト手段とを備えることを特徴とする増幅回路。 - 電圧制御手段が、第1のPMOSトランジスタのソースと電圧源との間に介装される第2のPMOSトランジスタと、該第2のPMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成されることを特徴とする請求項1記載の増幅回路。
- 電圧シフト手段が、第1のNMOSトランジスタのソースと接地部との間に介装される第2のNMOSトランジスタと、DCオフセットを検出して該第2のNMOSトランジスタのゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するオフセット検出手段とを有して構成されることを特徴とする請求項1記載の増幅回路。
- 電圧制御手段が、第1のPMOSトランジスタのソースと電圧源との間に介装される第2のPMOSトランジスタと、該第2のPMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成され、
DCオフセット検出手段が、ソースが電圧源に接続されるとともにゲートが前記可変電圧源に接続され前記第2のPMOSトランジスタと同一に形成される第3のPMOSトランジスタと、ソースが前記第3のPMOSトランジスタのドレインに接続され第1のPMOSトランジスタと同一に形成される第4のPMOSトランジスタと、ドレインが前記第4のPMOSトランジスタのドレインに接続され第1のNMOSトランジスタと同一に形成される第3のNMOSトランジスタと、ドレインが前記第3のNMOSトランジスタのソースに接続されるとともにソースが接地部に接続され第2のNMOSトランジスタと同一に形成される第4のNMOSトランジスタと、前記第4のPMOSトランジスタのゲートおよび前記第3のNMOSトランジスタのゲートに直流バイアス電圧を与えるバイアス電圧付与手段と、非反転入力部が前記第4のPMOSトランジスタのドレインと前記第3のNMOSトランジスタのドレインとの接続部位に接続され、反転入力部が前記第4のPMOSトランジスタのゲートと前記第3のNMOSトランジスタのゲートとの接続部位に接続され、出力部が前記第2のNMOSトランジスタのゲートおよび前記第4のNMOSトランジスタのゲートに接続される演算増幅器とを有して構成されることを特徴とする請求項3記載の増幅回路。 - 出力端子と電圧源との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第1の負荷用MOSトランジスタと、前記出力端子と接地部との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第2の負荷用MOSトランジスタとを備えることを特徴とする請求項1記載の増幅回路。
- 第1のPMOSトランジスタと、該第1のPMOSトランジスタのドレインにドレインが接続される第1のNMOSトランジスタと、前記第1のPMOSトランジスタのゲートおよび前記第1のNMOSトランジスタのゲートに接続される入力端子と、前記第1のPMOSトランジスタのドレインと前記第1のNMOSトランジスタのドレインとの接続部位に接続される出力端子とを有して構成される増幅回路において、
前記第1のNMOSトランジスタのソース電位を可変に制御する電圧制御手段と、
DCオフセットを除去するように前記第1のPMOSトランジスタのソース電位を下げる電圧シフト手段とを備えることを特徴とする増幅回路。 - 電圧制御手段が、第1のNMOSトランジスタのソースと接地部との間に介装される第2のNMOSトランジスタと、該第2のNMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成されることを特徴とする請求項6記載の増幅回路。
- 電圧シフト手段が、第1のPMOSトランジスタのソースと電圧源との間に介装される第2のPMOSトランジスタと、DCオフセットを検出して該第2のPMOSトランジスタのゲートに対してDCオフセットを除去するように調整された電圧を印加するオフセット検出手段とを有して構成されることを特徴とする請求項6記載の増幅回路。
- 電圧制御手段が、第1のNMOSトランジスタのソースと接地部との間に介装される第2のNMOSトランジスタと、該第2のNMOSトランジスタのゲートに接続される可変電圧源とを有して構成され、
DCオフセット検出手段が、ソースが電圧源に接続され第2のPMOSトランジスタと同一に形成される第3のPMOSトランジスタと、ソースが前記第3のPMOSトランジスタのドレインに接続され第1のPMOSトランジスタと同一に形成される第4のPMOSトランジスタと、ドレインが前記第4のPMOSトランジスタのドレインに接続され第1のNMOSトランジスタと同一に形成される第3のNMOSトランジスタと、ドレインが前記第3のNMOSトランジスタのソースに接続されソースが接地部に接続されゲートが前記可変電圧源に接続され前記第2のNMOSトランジスタと同一に形成される第4のNMOSトランジスタと、前記第4のPMOSトランジスタのゲートおよび前記第3のNMOSトランジスタのゲートに直流バイアス電圧を与えるバイアス電圧付与手段と、非反転入力部が前記第4のPMOSトランジスタのドレインと前記第3のNMOSトランジスタのドレインとの接続部位に接続され、反転入力部が前記第4のPMOSトランジスタのゲートと前記第3のNMOSトランジスタのゲートとの接続部位に接続され、出力部が前記第2のPMOSトランジスタのゲートおよび前記第3のPMOSトランジスタのゲートに接続される演算増幅器とを有して構成されることを特徴とする請求項8記載の増幅回路。 - 出力端子と電圧源との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第1の負荷用MOSトランジスタと、前記出力端子と接地部との間に介装されドレインとゲートとが短絡された第2の負荷用MOSトランジスタとを備えることを特徴とする請求項6記載の増幅回路。
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