JP3612281B2 - 伸縮門扉 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜架材をピン結合して扉体を伸縮自在とした伸縮門扉に関するもので、さらに詳しくは路面に走行レールを敷設する必要のない所謂キャスタータイプの伸縮門扉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、路面にレールを敷設しないキャスタータイプの伸縮門扉として、扉体の中間部に位置する縦桟に上下動可能な落し棒を設け、扉体を伸長させた状態において、落し棒の下端を路面に穿設した孔に嵌合したものが知られている。
【0003】
このような伸縮門扉は、落し棒を孔に嵌合することにより、伸長した伸縮門扉の扉体が強風に煽られても、伸縮門扉が移動軌跡から外れることが無いようにしたものである。
【0004】
しかしながら、落し棒を孔に嵌合する操作は手動によって行われており、しかも落し棒は通常低い位置に設けられているため、屈んだ姿勢で上下操作を行うことを余儀なくされ、伸縮門扉の開閉操作が煩わしいものであった。
また、操作者が落し棒を孔から引き出すのを忘れて伸縮門扉の開閉操作を行った場合には、伸縮門扉を破損させる虞があった。
【0005】
実公昭59−12393号、同59−12396号公報等には、伸縮門扉の開閉動作に伴って、扉体下部に設けた車輪を上下動させ、伸縮門扉の伸長状態において車輪を路面に設けた凹部に嵌合させたものが提案されている。
【0006】
このような伸縮門扉によれば、伸縮門扉の開閉動作に伴って車輪が自動的に昇降し、下降した車輪は路面に設けた凹部に嵌入して扉体が移動軌跡から外れるのを規制することができ、手動操作により落し棒を昇降する必要は無くなるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実公昭59−12393号、同59−12396号公報等で提案された伸縮門扉は、車輪を上下動させるための当鈑などの金具が露呈し、外観の著しい悪化を招くものであった。また、当鈑が外部に露出しているので、悪戯その他の外的要因によって当鈑が変形したり、埃等の付着によって車輪の円滑な上下動作が期待できないばかりか故障の原因となるものであった。さらに、路面には車輪が嵌入する凹部を設ける必要があるため、伸縮門扉の施工作業が煩雑になると共に、凹部に塵・砂等が堆積すると、車輪が十分な深さまで凹部に嵌入することができず、凹部から車輪が容易に抜け出るなど伸縮門扉の移動規制が行えなくなる等の不具合を有するものであった。
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決し、キャスタータイプの門扉において、伸長させた状態の扉体を安定して保持するとともに伸縮門扉の開閉操作を円滑に行え、かつ、外観を良好なものとした伸縮門扉を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の伸縮門扉は、相反する方向に傾斜させて相互回動自在に連結された斜架材と、斜架材の外側に設けられた対状の縦桟とを有し、斜架材は縦桟に定着したピン軸に連結されるとともに、縦桟に上下動自在に設けられた摺動ピン軸に連結されている伸縮門扉において、少なくとも一つの縦桟の内部に上下動自在に設けられたスライド杆と、スライド杆の下端に設けられた車輪と、スライド杆に設けられた上部係合片と、スライド杆の上部係合片の下方に設けられた下部係合片とを有し、前記摺動ピン軸の端部が上部係合片と下部係合片との間に配置され、摺動ピン軸が下部係合片を押圧することにより、車輪を路面に圧接させることを特徴として構成されている。
【0010】
本発明の伸縮門扉においては、伸縮門扉を伸長させる際、摺動ピン軸の下降によりスライド杆ひいては車輪を下降させ、車輪を路面に圧接させる。したがって、車輪と路面との摩擦により車輪の動きが規制され、伸縮門扉が移動軌跡上から外れるのを防止する。また、伸縮門扉を収縮させる際、摺動ピン軸の上昇により、スライド杆ひいては車輪を上昇させ、車輪を路面から離間し、車輪を引きずることなく伸縮門扉を回転収納することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の伸縮門扉においては、少なくとも一つの縦桟の内部に上下動自在に設けられたスライド杆と、スライド杆の下端に設けられた車輪とが設けられている。スライド杆は、少なくとも一つ設けられておればよいが、伸縮門扉の幅に応じて複数設けることができる。また、スライド杆は、対状の縦桟のどちらか一方に設けられておればよいが、車輪が安定するので両方に設けることが好ましい。
【0012】
車輪は、路面に圧接されて伸縮門扉を移動軌跡上から外れるのを防止するもので、その数は特に限定されないが、1個より2個設けた方が安定性が良好であるので好ましい。また、伸縮門扉を接地する路面は、通常水切り勾配が設けられて傾斜しているので、路面の傾斜に対応できるように、車輪の傾斜を調整できる傾斜角調整手段を設けることが好ましい。
【0013】
前記スライド杆には、上部係合片と下部係合片とが設けられており、これらの上部係合片と下部係合片との間に摺動ピン軸の端部が配置されている。すなわち、摺動ピン軸の上昇により上部係合片を上方へ押し上げるとともに、摺動ピン軸の下降により下部係合片を下方へ押し下げるものである。したがって、上部係合片と下部係合片との間隔は、摺動ピン軸の上下方向の移動長さより短い範囲で、路面への圧接力及び路面からのクリアランスを考慮して適宜設定される。
【0014】
この上部係合片と下部係合片との間隔、上部係合片の高さ及び下部係合片の高さを任意に設定できるように、上部係合片及び下部係合片のスライド杆上の位置を変更できる位置調整手段を設けることが好ましい。
【0015】
本発明による伸縮門扉の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1は伸縮門扉を伸長させた状態の正面図、図2は伸縮門扉を伸長させた状態の平面図、図3は伸縮門扉の側面図、図4はスライド杆を設けた縦桟の移動方向から見た縦断面図、図5はスライド杆の係合片部分の拡大断面図、図6は縦桟の上方から見た横断面図、図7は車輪部分の移動方向から見た図、図8は車輪部分の上方から見た図、図9は車輪部分の移動方向と直角方向から見た図、図10〜12はスライド杆及び車輪の動作を示す図、図13〜15は車輪の動作を示す図、図16は車輪を傾斜させた状態を示す図である。
【0017】
図1〜3において、1は伸縮門扉、2は路面に固定された吊元支柱、3は吊元支柱2と所定間隔を隔てて路面に固定された戸当り支柱である。そして、伸縮門扉1は水平方向に回動し得るよう吊元支柱2に取り付けられ、戸当り支柱3まで伸長できるようになっている。
【0018】
伸縮門扉1は、扉体10と、この扉体10の両側端に設けられた吊元框11及び戸当り框12とで構成されており、この吊元框11が吊元支柱2に固定されている。また、吊元框11の下端には車輪13が設けられるとともに、戸当り框12の下端にも車輪14が設けられている。
【0019】
扉体10は、相反する方向に傾斜した斜架材20と、斜架材20の交差部の両外側に配置された一対の縦桟30とを有し、斜架材20と縦桟30とは、中央の交差部(図中、上及び下から3番目の交差部)aにおいて、ピン軸(図示せず)により回動自在に連結され、すなわち斜架材20がピン軸を中心に回動できるようになっている。また、斜架材20の上から2番目の交差部bには、図4〜6に示すように、内側にガイド溝31が形成されており、このガイド溝31に摺動ピン軸40の両端部が嵌入して上下動自在に設けられ、さらに、この摺動ピン軸40には斜架材20が回動自在に軸支されている。したがって、伸縮門扉1を伸長又は収縮した際、摺動ピン軸40がガイド溝31に沿って上下動できるようになっている。さらに、斜架材20の両端の交差部c、dもピン軸(図示せず)により回動自在に連結され、連結された斜架材20間のなす角度を変更できるようになっている。また、縦桟30は、所定間隔毎に下端において車輪50が設けられている。
【0020】
また、伸縮門扉1を略3等分した個所に位置する縦桟30a、30bには、図4〜6に示すように、その内部に上下動自在にスライド杆60が設けられている。このスライド杆60は、上部材と下部材の2つの部材を螺子で連結して構成されており、螺子の位置を変更することにより長さを調整できるようになっている。スライド杆60の上部には、内側に突出した上部係合片61が設けられるとともに、上部係合片61の下方に下部係合片62が設けられており、これら上部係合片61と下部係合片62との間に、前記摺動ピン軸40が入り込んでいる。すなわち、摺動ピン軸40の昇降により、図中実線で示すように、摺動ピン軸40が上部係合片61に係合してスライド杆60を押し上げたり、また、図中破線で示すように、摺動ピン軸40が下部係合片62に係合してスライド杆60を押し下げたりできるようになっている。
【0021】
下部係合片62は位置調整手段により上下位置を変更可能な状態でスライド杆60に設けられている。すなわち、下部係合片62は、長孔63を介して螺子64でスライド杆60に固着されている。これにより摺動ピン軸40で下部係合片62を下方に押した際、後述する車輪が路面に接地状態から下降する長さを調整できるようになっている。この長さとしては、車輪の材質、路面の仕上状態等によって異なるが、一般に、5mm程度とするのが好ましい。
【0022】
対状のスライド杆60の下部は、図7に示すように、コ字状のブラケット65により連結されており、このブラケット65にはSBR(Styrene Butadiene Rubber:スチレンブタジエンラバー)で形成された2個の車輪66が設けられている。
【0023】
この車輪66は、ブラケット65に螺子69で固定されたアーム67に取り付けられており、また、ブラケット65には、傾斜角調整手段としての4本の螺子68がアーム67の4隅に対応して設けられており、螺子68をブラケット65からアーム67側へ向けて突出させることにより、車輪66の傾斜を調整できるようになっている。これにより、伸縮門扉1を設置した個所の傾斜に対応し、車輪66の接地面積を十分に取ることができる。
【0024】
すなわち、図16に示すように、一方の螺子68を下方に突出させ、アーム67を傾斜させた状態で螺子69を用いて固定することにより、車輪66は斜めに配置され、傾斜した路面に車輪66の全面を接地させることができる。
【0025】
次に、以上のような伸縮門扉1において、車輪66により扉体10が移動軌跡からずれるのを防止する動作を説明する。
【0026】
まず、伸縮門扉1が収縮した状態にあるとする。この時、斜架材20は略直立した状態となっており、図10に示すように、摺動ピン軸40はガイド溝31の最上端に位置し、この摺動ピン軸40により上部係合片61が押し上げられている。したがって、図13に示すように、車輪66も最上端に位置し、路面から離れた状態になっている。
【0027】
次に、この状態から伸縮門扉1を伸長させていくと、斜架材20が次第に傾斜して行き、それに伴って摺動ピン軸40がガイド溝31を下降して行く。したがって、上部係合片61が摺動ピン軸40に載置された状態で下降していくので、スライド杆60も自重により下降し、図14に示すように、車輪66は最上点と最下点の中間に位置することになる。そして、さらに伸縮門扉1を伸長させると、ピン軸40の下降に伴って車輪66が路面に接地し、その後、さらに伸長させると、図11に示すように、車輪66は自重のみで路面に接した状態を維持し、また、摺動ピン軸40は上部係合片61から下方に離れた状態となる。
【0028】
こうして伸縮門扉1の伸長を続け、完全に伸縮門扉1が伸長した状態となると、図12及び図15に示すように、摺動ピン軸40は下部係合片62に当接した後、さらに下部係合片62を押圧するので、車輪66は下方に付勢され、路面に圧接した状態となる。したがって、車輪66と路面との圧接により、風圧等で扉体10が移動軌跡と直角方向に付勢されても、扉体10が移動軌跡から外れるのを抑えることができる。
【0029】
この状態から、再度伸縮門扉1を収縮させた場合は、上述した動作を逆に繰り返し、元の状態に復帰することになる。
【0030】
図17は伸縮門扉に用いる車輪の他の例を示すものであり、この図に示す車輪90は1個で構成されている。その他の構成は、前記実施形態と同様である。
【0031】
前記実施形態においては、スライド杆60を対状として対向する縦桟30にそれぞれ設けたが、一方の縦桟30にのみスライド杆60を設け、当該スライド杆60の下端に車輪66を設けてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明は、移動軌跡からずれるのを防止する車輪を、縦桟内を上下動自在に設けられたスライド杆の下端に設け、このスライド杆を縦桟に沿って上下動するピン軸で押し下げ又は押し上げるようにしたので、伸縮門扉の開閉動作に伴って円滑に上下動させることができる。また、ピン軸がスライド杆を下方へ押圧することにより、車輪を路面に圧接させるので、伸縮門扉が移動軌跡から外れるのを防止することができる。
さらに、スライド杆を縦桟の内部に設けたので、車輪を上下動させる機構が外部に露出せず、伸縮門扉の外観を良好なものとすると共に、埃等による動作不良を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による伸縮門扉の一実施形態を伸長させた状態の正面図。
【図2】本発明による伸縮門扉の一実施形態を伸長させた状態の平面図。
【図3】本発明による伸縮門扉の一実施形態の側面図。
【図4】本発明による伸縮門扉の一実施形態のスライド杆を設けた縦桟の移動方向から見た縦断面図。
【図5】本発明による伸縮門扉の一実施形態のスライド杆の係合片部分の拡大断面図。
【図6】本発明による伸縮門扉の一実施形態の縦桟の上方から見た横断面図。
【図7】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪部分の移動方向から見た図。
【図8】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪部分の上方から見た図。
【図9】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪部分の移動方向と直角方向から見た図。
【図10】本発明による伸縮門扉の一実施形態のスライド杆及び車輪の動作を示す図。
【図11】本発明による伸縮門扉の一実施形態のスライド杆及び車輪の動作を示す図。
【図12】本発明による伸縮門扉の一実施形態のスライド杆及び車輪の動作を示す図。
【図13】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪の動作を示す図。
【図14】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪の動作を示す図。
【図15】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪の動作を示す図。
【図16】本発明による伸縮門扉の一実施形態の車輪を傾斜させた状態を示す図。
【図17】本発明による伸縮門扉の他の実施形態の車輪部分の移動方向から見た図。
【符号の説明】
1…伸縮門扉
2…吊元支柱
3…戸当り支柱
10…扉体
11…吊元框
12…戸当り框
20…斜架材
30…縦桟
31…ガイド溝
40…摺動ピン軸
60…スライド杆
61…上部係合片
62…下部係合片
63…長孔
64…螺子
68…傾斜調整用螺子

Claims (4)

  1. 相反する方向に傾斜させて相互回動自在に連結された斜架材と、斜架材の外側に設けられた対状の縦桟とを有し、斜架材は縦桟に定着したピン軸に連結されるとともに、縦桟に上下動自在に設けられた摺動ピン軸に連結されている伸縮門扉において、少なくとも一つの縦桟の内部に上下動自在に設けられたスライド杆と、スライド杆の下端に設けられた車輪と、スライド杆に設けられた上部係合片と、スライド杆の上部係合片の下方に設けられた下部係合片とを有し、前記摺動ピン軸の端部が上部係合片と下部係合片との間に配置され、摺動ピン軸が下部係合片を押圧することにより、車輪を路面に圧接させることを特徴とする伸縮門扉。
  2. 前記車輪が2個で構成されている請求項1記載の伸縮門扉。
  3. 前記車輪の傾斜を調整できる傾斜角調整手段が設けられている請求項1又は2記載の伸縮門扉。
  4. 前記下部係合片のスライド杆における上下方向の位置を調整できる位置調整手段が設けられている請求項1、2又は3記載の伸縮門扉。
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