JP3610438B2 - エーロゾル容器および該エーロゾル容器の使用法 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明はこの出願の各請求項に従うエーロゾル容器およびエーロゾル容器の用途に関する。
【０００２】
【従来の技術】
エーロゾルは今日薬学的に活性な物質の普通の投薬法である。多くのそれらエーロゾルは所定の（計量した）量で投与される。種々の理由（例えば、安定性）のために、ある種の薬学的に活性な物質は懸濁液の形態で提供される、即ち薬学的に活性な物質はエーロゾル容器内において、通常圧力下にて、液体中に小さな固体粒子がある形態で存在し、該液体はまた少なくとも噴射ガスよりなる。薬学的に活性な物質のこの種の配合は多くの物質、また特にはコルチコステロイドに適していることが証明されている。
【０００３】
所定量の薬学的に活性な物質を投与するために、普通のエーロゾル容器は計量チャンバを有する計量バルブを備えている。バルブの第１の位置において、計量チャンバは容器の内部に連通しており、そしてその位置で所定量の懸濁液が充満すようになっている。計量バルブの第２の位置において、計量チャンバ内に供用された量は液体／固体混合物が膨張するので、その後エーロゾルの形態において放出される。その方法において、エーロゾルは例えば経口的にもしくは鼻から使用者に投与されうる。
【０００４】
従来、使用された噴射ガスは幅広く知られたフルオロクロロハイドロカーボンであった。これらの塩素化噴射ガスは現在有害であることが知られている、なぜならそれらはオゾン層を破壊するからである。従ってそれらは廃棄されまたオゾン層に被害を与えない噴射ガスに代替されるべきである。いくつかの国においては、ごく最近、塩素化炭化水素よりなる噴射ガスは法律により廃止されている。
【０００５】
従っていわゆる代替噴射ガスが代替物として存在する、なぜならそれらはオゾン層を破壊しないからである（オゾン−涸渇−ポテンシャル）（ｏｚｏｎｅ−ｄｅｐｌｅｔｉｎｇ ｐｏｔｅｎｔｉａｌ＝０）。しかしながら、多くの薬学的に活性な物質は、懸濁液の形態において貯蔵された場合、その噴射ガスが使用されたとき、容器の内壁に付着する一方、塩素化炭化水素が使用された場合、付着は生じないかもしくは非常にわずかに生じる。容器の内壁上の付着は使用者に投与されるべき所望の量の薬学的に活性な物質が計量チャンバ内に存在しないという結果になる。容器の中に導入された薬学的に活性な物質の全量のうちのかなり多くの割合が容器の内壁上に付着（粘着）したままに残るので、さらに容器の中に貯蔵される薬学的に活性な物質の全量は投与することができないという結果になる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は薬学的に活性な物質をすでに適していると証明されている製剤の形態において供給でき、また同時にオゾン層を破壊しない代替噴射ガスを多量の薬学的に活性な物質が容器の内壁に付着することなく使用できる容器を提供することにある。特にはそれは有効ぜんそく鎮静剤（例えば、コルチコステロイド）に可能であり、もちろん注目すべきことは他の薬学的に活性な物質についても容器の内壁に薬学的に活性な物質の問題となる付着をおこさずに該容器内に貯蔵することが可能であることである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は内壁がプラスチック塗膜により被覆され、かつ噴射ガスがフルオロクロロハイドロカーボン非含有噴射ガス、好ましくは噴射ガスはフルオロハイドロカーボンのみを含み、そして適当ならば補助溶媒および／または表面活性剤をも含む噴射ガスである容器により達せられる。該装置により、一方ではけっしてもしくはけっして多量の活性な物質が容器の内壁に付着することはなく、またもう一方でオゾン層を損傷もしくは破壊しない。特には、プラスチック塗膜に使用される都合の良い材料は、例えば、幅広くテフロンとして知られている、ポリテトラフルオロエチレン、およびまたペルフルオロエチレンプロピレンである。
【０００８】
該容器の特別な態様において、容器壁の厚さは約０．１ｍｍないし約２ｍｍの範囲内にあり、また特には約０．４ｍｍである（使用される材料に依る。）であり、およびプラスチック塗膜の厚みは約１ｎｍないし約１ｍｍの範囲内にあり、また特には数１０ｎｍである。上述した壁の厚さはエーロゾル容器に慣用であり、だから本発明のエーロゾル容器は、全く、外見的にまた特に外観の特徴に関し、普通の容器と異なることはなく、したがってまた、たとえそれらはエーロゾルを、例えば普通のエーロゾル容器のアプリケーターに移送するのに使用されなければならなくても、それらの使用は問題を提起しない。
【０００９】
該エーロゾル容器の内部容積は約１ｍｌないし約１００ｍｌの範囲内であり、そして計量チャンバの容積は約５μｌないし約４００μｌの範囲内である。コルチコステロイドが薬学的に活性な物質として使用される場合、｛例えばコルチコステロイド（化学名、“９α−クロロ−６α−フルオロ−１１β，１７α−ジヒドロキシ−１６α−メチル−３−オキソ−アンドロスタ−１，４−ジエン−１７β−メトキシカルボニル−１７−プロピオネート”）｝、また他の薬学的に活性な物質、特には有効ぜんそく鎮静剤として使用される場合、｛例えば、ホルモテロール、その塩の形態におけるホルモテロールホルマレート（ＩＵＰＡＣ命名法の名によると“（±）２’−ヒドロキシ−５’−［（ＲＳ）−１−ヒドロキシ−２−［［（ＲＳ）−ｐ−メトキシ−α−メチルフェネチル］アミノ］エチル］ホルムアニリド・ホルマレート・ジヒドレート”である。）、またはホルモテロールおよび上記したコルチコステロイドの混合物｝において上記の容積は慣用である。
【００１０】
特に適した薬学的に活性な物質は“（１Ｒ，２Ｓ）−（３Ｅ，５Ｚ）−７−［１−（３−トリフルオロメチルフェニル）−１−ヒドロキシ−１０−（４−アセチル−３−ヒドロキシ−２−プロピルフェノキシ）−３，５−デカジエニ−２−イルチオ］−４−オキソ−４Ｈ−１−ベンゾピラン−２−カルボン酸”と呼ばれる物質であるかもしくは該物質のナトリウム塩である、なぜならこれらの物質は容器の内壁において特に少量の付着をおこすか、または付着をまったく起こさないからである。従って完全なエーロゾルは０．１％ないし２％の活性な物質とＨＦＡ噴射ガスを含む（適当ならば、補助溶媒および／もしくは界面活性剤がまた含まれる。）。
【００１１】
以下において、本発明は図面に関して詳細に説明される。１つの図面は本発明のエーロゾル容器の態様例の断面を概略的に表したものである。エーロゾル容器は使用状態にて図面に示されている。
【００１２】
エーロゾル容器は一般に照合符号１により表示される。容器１の内壁はプラッスチック塗膜３により被覆されている、その重要性はより詳細に後に取り扱われるであろう。エーロゾル容器１に据えつけられたものは計量バルブ２である。計量バルブ２はバルブ軸２１よりなり、それはバルブハウジング２５の中に案内されそしてバルブハウジング２５内におけるスプリングＦの力に抗して変位可能である。バルブハウジング２５の壁には容器１の内部１０にバルブハウジング２５の内部２７と連通するところの独立スロット２６が備えられている。計量バルブ２はまた計量チャンバ２０よりなり、それは明細書内において説明されている方法によりバルブ軸２１の助けによりバルブハウジング２５の壁におけるスロット２６を通して充満される。バルブハウジング２５の内部２７は計量チャンバ２０からシール２５０によりシールされている、計量チャンバ２０は順番に外側よりシール２５１によりシールされている。最後に、容器の内部１０全体は加えて外側から計量バルブ２により備えられたシール２８によりシールされている。
【００１３】
計量バルブ２のバルブ軸２１は２つの経路２９および経路２２を有する。経路２９はその内側の端部に水平腔を有し、図示されたバルブ軸２１の第１の位置において、バルブハウジング２５の内部２７に開かれそして従ってバルブハウジングの内部２７に設置され、そして従ってエーロゾル容器の内部１０は計量チャンバ２０と連通している。計量チャンバ２０の容積は投与されるべきエーロゾルの所望の量を決定する。どのようにチャンバが充満されるかは後に説明される。いかなる場合においても、バルブ軸２１の第１の位置において、エーロゾルは計量チャンバから外側にはもれない、それは計量チャンバ２０が外側からシール２５１によりシールされているからである。
【００１４】
バルブ軸２１の第２の位置において、スプリングＦは圧縮されそしてバルブ軸２１はバルブハウジング２５の内部２７と連通してはおらずまた経路２９を介して容器１の内部１０に連通していないバルブハウジング２５の内部２７の内部まで押しこまれる。しかしながら、バルブ軸２１の第２の位置において、計量チャンバ２０は使用者に経路２２の内側の端部の水平腔２３に連通している。計量チャンバ２０において付着したエーロゾルの量は水平腔２３および経路２２を通って膨張し、そして従って使用者に直接もしくは特別のアプリケーターの手段により塗布される。
【００１５】
バルブ軸２１が塗布の後に再び発射された場合、水平腔２３はシール２５１の部分を通り過ぎる、そして計量チャンバ２０は外側より再びシールされる。バルブ軸２１はその場所においてはまだ第１の最終位置には戻ってはいない、しかし水平腔２４はすでに容器１の内部１０と連通する、そのために気圧の差（容器内部の過剰の圧力、排出された計量チャンバ）より、懸濁液はすぐに容器の内部１０から計量チャンバ２０に流れ出しそして計量チャンバを充満させる。従って、バルブ軸２１が発射された場合、計量チャンバ２０はすぐに充満されそして従って次の投与が直ちに行われうる。
【００１６】
すでに導入部分において述べたように、種々の理由（例えば、安定性）により、多くの薬学的に活性な物質は懸濁液の形態、即ち固体粒子の形態における薬学的に活性な物質を含む液体の形態において圧力下容器内に供給される。液体はまた少なくとも１種の噴射ガスを含み、そのためにバルブ軸２１の第２の位置においても、計量チャンバ２０中に付着した計量された量が膨張し得るそして使用者に直接もしくは特別のアプリケーターの手段により前にすでに説明したように投与されうる。
【００１７】
噴射ガスは炭化フッ素（好ましくは、例えばテトラフルオロエタンもしくはヘプタフルオロプロパン）を含み、従ってオゾン層には有害ではないので、容器１の内壁はプラスチック塗膜３により被覆されている。プラスチック塗膜３は好ましくは、広くテフロンの名前でも知られているポリテトラフルオロエチレンであり、またはペルフルオロエチレンプロピレンであり、または層は特定のプラスチックをベースとして製造されそして施用される。該材料の使用により容器１の内壁上に薬学的に活性な物質の大きな付着を防げる。容器の壁と液体もしくは懸濁液の間の懸濁および電解の作用もまた除かれる。
【００１８】
幅広い製造方法が使用されてプラスチック塗膜３により容器１の内壁が被覆される。例えば、使用される被覆方法はプラズマ被覆法、含浸法／噴霧法、ＰＴＦＥ含有物による硬質陽極酸化、ＣＶＤ（ｃｈｅｍｉｃａｌ ｖａｐｏｕｒ ｄｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）、ＰＶＤ（ｐｈｙｓｉｃａｌ ｖａｐｏｕｒ ｄｅｐｏｓｉｔｉｏｎ）およびその目的に慣用である他の方法である。プラズマ被覆の使用が特に好ましい。
【００１９】
容器の壁は例えばアルミニウムより作られる。壁の厚さは、例えば約０．１ｍｍないし約２ｍｍの範囲内であり好ましくは約０．４ｍｍである。プラスチック塗膜の厚さは約１ｎｍないし約１ｍｍの範囲内でありまた好ましくは約数１０ｎｍないし数１０μｍの範囲内である。これらの壁の厚さは約１ｍｌないし約１００ｍｌの範囲内また好ましくは約５ｍｌないし約２０ｍｌの範囲内の全量を有する容器についての典型である。計量バルブ、即ち計量チャンバ２０の容積は、例えば約５μｌないし約４００μｌの範囲内および好ましくは約２５μｌないし約２００μｌの範囲内である。
【００２０】
投与される薬学的に活性な物質は、例えば有効ぜんそく鎮静剤もしくは製剤混合物、特にはコルチコステロイドもしくは抗炎症ステロイド群よりの製剤もしくは製剤混合物である。特にコルチコステロイドは、化学名、“９α−クロロ−６α−フルオロ−１１β，１７α−ジヒドロキシ−１６α−メチル−３−オキソ−アンドロスタ−１，４−ジエン−１７β−メトキシカルボニル−１７−プロピオネート”のコルチコステロイドである。しかしながら、同様に他の薬学的に活性な物質、特にはぜんそく鎮静剤、例えばβ−交感神経剤、ＬＴＤ_４ 拮抗薬、副交感神経遮断剤、クロモグリシン酸、もしくは肺、鼻もしくは喉を介して投与される他の薬学的に活性な物質の投与が、いくつかのタンパク質と一緒の場合に可能である。さらに前の方法によるホルモテロールの貯蔵および投与は、例えば、その塩の形態、ホルモテロールホルマレート（ＩＵＰＡＣ命名法の名が“（±）２’−ヒドロキシ−５’−［（ＲＳ）−１−ヒドロキシ−２−［［（ＲＳ）−ｐ−メトキシ−α−メチルフェネチル］アミノ］エチル］ホルムアニリド・ホルマレート・ジヒドレート”である。）、またはホルモテロールおよび上述したコルチコステロイドの混合物の形態において可能である。
【００２１】
特に適した薬学的に活性な物質は“（１Ｒ，２Ｓ）−（３Ｅ，５Ｚ）−７−［１−（３−トリフルオロメチルフェニル）−１−ヒドロキシ−１０−（４−アセチル−３−ヒドロキシ−２−プロピルフェノキシ）−３，５−デカジエニ−２−イルチオ］−４−オキソ−４Ｈ−１−ベンゾピラン−２−カルボン酸”と呼ばれる物質もしくは該物質のナトリウム塩である、なぜならこれらの物質は容器の内壁において特に少量の付着をおこすか、または付着をまったく起こさないからである。従って完全なエーロゾルは０．１％ないし２％の有効成分とＨＦＡ噴射ガスを含む（適当ならば、補助溶媒および／もしくは界面活性剤がまた含まれる。）。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のエーロゾル容器の断面の拡大図である。
【符号の説明】
１：エーロゾル容器
２：計量バルブ
３：プラスチック塗膜
１０：エーロゾル容器の内部
２０：計量チャンバ
２１：バルブ軸
２２：経路
２３：水平腔
２４：水平腔
２５：バルブハウジング
２６：独立スロット
２７：バルブハウジングの内部
２８：シール
２９：経路
２５０：シール
２５１：シール
Ｆ：スプリング

Claims (8)

1. 薬学的に活性な物質及びフルオロクロロハイドロカーボン非含有噴射ガスを含む懸濁液の形態で供給される薬学的に活性なエーロゾルを計量しかつ投与するためのエーロゾル容器であって、
   前記エーロゾル容器は、
   容器壁を含む、前記懸濁液を貯蔵するための容器であって、前記容器の内部を画定する前記容器壁の内側は、その上に懸濁液の形態の薬学的に活性な物質が付着することを抑制するプラスチック塗料で被覆されている容器、及び
   計量チャンバ及びバルブ軸を含む、前記懸濁液を投与及び放出するための計量バルブであって、前記バルブ軸は第１の位置から第２の位置に変位可能である計量バルブからなり、
   前記第１の位置において、前記バルブ軸は、前記容器の内部と前記計量チャンバとの間を連通させ、同時に、前記計量チャンバと前記エーロゾル容器の外側との間の連通を遮断することによって、前記計量チャンバを前記容器からの一回の投与量の前記懸濁液で充満させることができ、
   第２の位置において、前記バルブ軸は、前記容器の内部と前記計量チャンバとの間の連通を遮断し、同時に、前記計量チャンバと前記エーロゾル容器の外側との間を連通させることによって、前記計量チャンバ中の前記投与量の懸濁液を前記エーロゾル容器から放出することができるところの、
   エーロゾル容器。
2. 容器の内壁に使用されるプラスチック塗膜はポリテトラフルオロエチレンもしくはペルフルオロエチレンプロピレンからなるところの請求項１記載のエーロゾル容器。
3. 容器壁の厚さは約０．１ｍｍないし約２ｍｍの範囲内にあり、また特には約０．４ｍｍであり、およびプラスチック塗膜の厚みは約１ｎｍないし約１ｍｍの範囲内にあり、また特には数１０ｎｍであるところの請求項１もしくは２記載のエーロゾル容器。
4. 容器の内部の容積は約１ｍｌないし約１００ｍｌの範囲内であり、また計量チャンバの容積は約５μｌないし約４００μｌの範囲内であるところの請求項１ないし３のいずれか一項記載のエーロゾル容器。
5. 所定量の薬学的に活性な物質を懸濁液の形態で貯蔵および投与するためにエーロゾル容器を使用する方法であって、該懸濁液は、薬学的に活性な物質の他に、少なくとも１種のフルオロクロロハイドロカーボン非含有噴射ガス、好ましくはフルオロハイドロカーボンのみを含み、そして、適当ならば、補助溶媒および／または界面活性剤を含む噴射ガスを含むところの請求項１ないし４のいずれか一項記載のエーロゾル容器の使用方法。
6. 懸濁液中の薬学的に活性な物質はぜんそく鎮静剤もしくはその混合物であるところの請求項５記載の使用方法。
7. 懸濁液中の薬学的に活性な物質はホルモテロールもしくはコルチコステロイド、特には、９α−クロロ−６α−フルオロ−１１β，１７α−ジヒドロキシ−１６α−メチル−３−オキソ−アンドロスタ−１，４−ジエン−１７β−メトキシカルボニル−１７−プロピオネート、またはホルモテロールおよび上記コルチコステロイドの混合物であるところの請求項６記載の使用方法。
8. 薬学的に活性な物質は（１Ｒ，２Ｓ）−（３Ｅ，５Ｚ）−７−［１−（３−トリフルオロメチルフェニル）−１−ヒドロキシ−１０−（４−アセチル−３−ヒドロキシ−２−プロピルフェノキシ）−３，５−デカジエニ−２−イルチオ］−４−オキソ−４Ｈ−１−ベンゾピラン−２−カルボン酸であるところの請求項６記載の使用方法。

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