JP3608883B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光記録媒体、特に有機色素を用いた記録層を有する光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在広く一般に普及しているコンパクトディスク(CD)やレーザーディスク(LD)のような再生専用型の光記録媒体は、通常スタンパーと呼ばれる原盤を基にして射出成形法によって情報を持つ基板を製造する。この方法では同じ情報を持つ媒体を安価にかつ大量に製造することが可能であるが、スタンパーが非常に高価なため少量の媒体を作製するには向いていない。また近年の情報化社会の進展にともない、磁気記録媒体よりも高密度記録が切望されてきた。そこで少量の媒体を作製するため、あるいは利用者が自由にデータを記録、保存を行うための光記録媒体が開発されてきている。
【0003】
光記録媒体には情報の記録及び再生が可能な追記型と、記録後データの消去が可能な書換型の二種類に分けられる。そのなかで記録層に有機色素を用いた追記型コンパクトディスクはCD−Rと呼ばれ、通常の再生専用CDと互換性を持つことから多くの人に利用されている。また、現在注目されている高密度記録媒体であるDVDでも記録可能な媒体の開発が進められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
通常用いられる作成の容易なシアニン等の極性の高い有機色素を用いた光記録媒体の場合、高温高湿度の状況下で劣化や凝集がおこり、エラーが増加する等問題が生じることが多い。また、極性が高いと湿度の影響を受け易く、媒体作成時に塗膜の欠陥やムラをおこしやすい。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、記録層に特定のキノノイド化合物を用いることによって本発明に至ったものである。
【0006】
すなわち、本発明は、
▲1▼ 透明基板上に設けられた記録層を有する光記録媒体において、該記録層が式(1)〔化2〕により表示されるキノノイド化合物を含有することを特徴とする光記録媒体、
【0007】
【化2】
(ここでR1 〜R10は水素、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、炭化水素基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、エステル基、スルホン酸エステル基、アミド基、スルホンアミド基、カルボニル基、シリル基およびシロキシ基からそれぞれ独立に選択され、XはO、S、SO、SO2 、Se、TeまたはN−R11(R11は、水素または炭素数1〜12の炭化水素基を表す。)を表示する。)
▲2▼ 式(1)〔化2〕のキノノイド化合物において、XがO、S、Se、Te、N−R11である▲1▼記載の光記録媒体、
▲3▼ 透明基板上に1層または2層以上の記録層、金属反射層、1層または2層以上の保護層を有する光記録媒体において、該記録層が▲1▼記載の式(1)のキノノイド化合物を含有する光記録媒体、
▲4▼ 透明基板上に少なくとも1層または2層以上の記録層を形成した後接着層を介して基板を接着した光記録媒体において、該記録層が▲1▼記載の式(1)のキノノイド化合物を含有する光記録媒体である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる化合物に含まれる複素環は基本的には置換基がなくてもよいが、溶解性や耐久性を向上させるために置換基をいれてもよい。特に溶解性や色素の凝集防止の観点からは置換基を2〜4個導入するのが望ましい。
【0009】
この化合物のR1 〜R10に導入する各種置換基の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン;水酸基、メルカプト基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基、メチル、エチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチニル、プロペニル、フェニル、ベンジル等の炭化水素基;メチルオキシ、エチルオキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェニルオキシ等のエーテル基;メチルチオキシ、エチルチオキシ、ブチルチオキシ、ヘキシルチオキシ、フェニルチオキシ等のチオエーテル基;アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ブチルアミノ、ジブチルアミノ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のアミノ基;メチルカルボキシ、エチルカルボキシ、ブチルカルボキシ、ベンゼンカルボキシ等のエステル基;メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等のスルホン酸エステル基;エチルアミノカルボキシ、フェニルアミノカルボキシ等のアミド基;エチルスルホンアミド、フェニルスルホンアミド、ベンジルスルホンアミド等のスルホンアミド基;アセチル、エチルカルボニル、ブチルカルボニル、フェニルカルボニル等のカルボニル基;トリメチルシリル、トリブチルシリル、トリフェニルシリル、トリメトキシシリル等のシリル基;シロキシ基、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、前記の置換基の一部に他の置換基がついたもの、例えばアルキル基にハロゲンが付いたハロゲン化アルキル基や水酸基がついた水酸化アルキル基なども含まれる。
これら置換基が2個以上の場合、置換基どうしが相互に連結していてもよい。
【0010】
これらの色素は一般に極性が低く耐水性がよいため、高湿下の塗布性や高温高湿下の耐久性が優れている。
【0011】
この化合物の複素環のXはO、S、SO、SO2 、Se、TeまたはN−R11のいずれでもよい。N−R11のR11は、水素または炭素数1〜12のアルキル基等の炭化水素基が望ましい。炭化水素基の一部に他の置換基を有していてもよく、例えば置換基を有するアルキル基などであってもよい。
【0012】
本発明における光記録媒体のうち、単板形のものは通常透明基板、記録層、金属反射層、保護層からなり、特性を向上させるために下地層やさらに保護層を積そうさせても良い。
【0013】
本発明において用いられる基板は、光によって記録再生を行うため透明ならばいかなる材質でも使用できる。例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アモルファスポリオレフィン等の高分子材料、ガラスなどの無機材料等を用いることができる。特に光の透過性が高く、かつ光学的異方性の小さいものが望ましいためポリカーボネート系樹脂がより好ましい。
【0014】
これらの基板表面には記録位置を表す案内溝やピット、一部再生専用の情報等のためのピットを有していても良い。これらの溝やピット等は射出成形や注型によって基板を作る際に付与するのが通常とられる方法であるが、レーザーカッティング法や2P法(Photo−Polymer法)により作製しても良い。
【0015】
本発明に用いられる記録層はレーザー光を照射することにより記録できる。この記録層は主に有機色素が使われる。用いられる色素としては、式(1)で表示される化合物を用いる。また、式(1)の色素に1つまたは2つ以上の色素を混合して使用してもよい。また、式(1)の色素または他の色素との混合物にさらに光吸収性物質以外のものを添加しても良い。
【0016】
この記録層に混合される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、アゾ系色素、インドアニリン系色素等である。このうち、高い耐久性、耐光性を持つフタロシアニン系が特に望ましい。色素を用いた記録層は単層でなく2層以上積層してもよい。このとき(1)に表示される色素を1層のみに用いてもよいし2層以上に加えてもよい。
【0017】
積層される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、アゾ系色素、インドアニリン系色素等である。
【0018】
前記の色素を含有する記録層は、通常スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜する事が可能である。塗布に際しては、色素やレジナスバインダーその他の記録層を形成する物質を、基板にダメージを与えない溶剤に溶かして用いる。なお、塗布後乾燥する。用いられる溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族や脂環式炭化水素系;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル系;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ等のアルコール系;1,2−ジクロロエタンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素等の極性溶剤を好ましく用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても良いし混合しても良い。また、記録層を積層する場合は、さきに塗布した層を侵さない溶媒を選択することが望ましい。
【0019】
記録層を形成する方法として、真空蒸着法を用いても良い。この方法は記録層物質が溶剤に溶けにくい場合や基板にダメージを与えない溶剤が選択できない場合に有効である。
記録層の膜厚としては、10nm〜300nm、望ましくは50nm〜200nmである。
【0020】
記録層と基板の間に記録層劣化防止等の目的で各種下地層を設けても良い。例えば、ポリスチレンやポリメタクリル酸メチル等の有機物、SiO2 等の無機物質からなる層を用いることが可能である。これらは単独で用いても良いし混合しても良い。また、2種類以上を積層して使用しても構わない。
【0021】
上記の記録層上にAu、Al、Pt、Ag、Ni等の金属やその合金を用いた反射層を設けてもよい。特に酸素や水分に安定な金を用いることが望ましい。反射層は蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって成膜される。反射層の膜厚は、10nm〜300nm、望ましは30nm〜150nmである。
この金属反射層と記録層の間に層間の密着力を向上させるため、または反射率を上げるため等の目的で中間層を設けても良い。
【0022】
上記の反射層上に保護層を設けてもよい。
例えばアクリレート系やメタクリレート系の一般的なラジカル反応で重合するもの、エポキシ系のように光でカチオン重合を行うもの等がある。これらの樹脂は単独で重合させても良いしモノマー、オリゴマーを混合させても良い。また、溶剤で希釈して塗布する事も可能である。その中でも作業性の点からUV硬化型が望ましい。保護層を形成する場合、スピンコート、ディップコート、バーコート、スクリーン印刷等の方法で行われるが、作業性の面からスピンコート法がとられる場合が多い。これらの膜厚は1μmから100μmの膜厚で使われるが、1〜20μmが望ましい。
【0023】
このように形成された保護層によって記録層や反射層を保護しているが、使用状況等によってさらに強い保護層が必要な場合がある。その際上記の保護層の上にUV硬化樹脂や熱硬化樹脂、含溶剤ポリマーのような有機物、SiO2 のような無機物を用いることができる。これらは単独で用いても良いし、混合しても良い。さらに他の層との密着性を向上させる等の目的で2種類以上の膜を重ねて使用しても良い。
【0024】
本発明の別の構造として記録層を基板と猛威値枚の基板を貼合わせたものを用いることができる。もう一枚の基板は基板そのものでもよいし基板に記録層、反射層等を付けたものを基板の記録層側を合わせるようにして貼付けてもよい。この時の接着方法としてはホットメルト法や紫外線硬化型接着剤を用いる方法、反応性接着剤を用いる方法、2液を混合して反応させて硬化する方法等が挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下本発明の実施例を示すが、本発明の実施態様はこれにより限定されるものではない。
ここでは代表的な化合物の2,6−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−2,4,6−トリヒドロシクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(10)の合成方法を記す。合成経路〔化3〕を参照しながら説明する。
【0026】
〔合成方法〕
▲1▼2−[3,5−ジ−t−ブチル−4−(トリメチルシロキシ)フェニル]−4−(エチレンジオキシ)−4H−シクロペンタ[2、1−b;3,4−b’]ジチオフェン(5)の合成
4−(エチレンジオキシ)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン(2)(500mg,2.116mmol)を乾燥エーテル(40ml)に溶解させた溶液中にアルゴン雰囲気下、0℃にてn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.69M濃度、1.25ml、2.116mmol)を添加し、0℃で1時間撹はんする。別の容器に塩化亜鉛(288.5mg、2.116mmol)を乾燥THF(40ml)中に溶解させた溶液を調製し、これを0℃に冷却した後、上記のリチウム化合物の溶液中に0℃で添加した。その後さらに0℃で1.5時間撹はんした後、室温に戻し、相当するジンククロライド(3)の溶液を生成させた。他方、別の容器にPdCl2 (PPh3 )2 (74.3mg,1.058mmol)を乾燥TFP(15ml)中に懸濁させた懸濁液を調製し、この中にジイソブチルアルミニウムアイドライド(DIBAH)のヘキサン溶液(0.93M濃度、0.228ml、0.211mmol)を室温で添加し、室温で15分間撹はんしてパラジウム(0)価触媒を調製した。このパラジウム触媒溶液中に、2、6−ジ−t−ブチル−4−ヨウド−1−(トリメチルシリルオキシ)ベンゼン(4)(855.5mg、2.116mmol)を乾燥TFP(15ml)に溶解した溶液を室温で加えた。得られた混合物を先に調製した4ー(エチレンジオキシ)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェンのジンククロライド(3)の溶液中に室温で添加し、さらに室温で1時間撹はんした。反応混合物を150mlの水中に注ぎ、エーテルを以て抽出し、エーテル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、残留物(1.32g)をシリカゲルクロマトにかけ、ベンゼンで溶出して精製して、化合物(5)を(711mg、65.5%)を得た。さらにこれをエタノールから再結晶することにより、純品の化合物(5)を黄色プリズム晶として得た。
融点:214.0−214.5℃、
Mass(EI) m/e 512(M+ 、100%)
HRMS(EI,70eV) m/e Found 512.1890.
Calcd for C28H36O3 SiS2 512.1875.
【0027】
▲2▼2,6−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−(トリメチルシロキシ)フェニル]−4−(エチレンジオキシ)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン(7)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(5)(500mg,0.975mmol)を乾燥エーテル(25ml)に溶解させた溶液中に0℃にてn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.63M濃度、577μl、0.975mmol)を添加し、0℃にて50分間撹はんしてリチオ化する。別の容器に塩化亜鉛(133mg、0.975mmol)を乾燥TFP(25ml)中に溶解させた溶液を調製し、これを0℃に冷却した後、上記のリチオ化物の溶液中に0℃で添加した。その後さらに0℃で40分間撹はんした後、室温に戻し、相当するジンククロライド(6)の溶液を生成させた。他方、別の容器にPdCl2 (PPh3 )2 (34.2mg、0.049mmol)を乾燥TFP(12.5ml)に懸濁させた懸濁液を調製し、この中にジイソブチルアルミニウムハイドライド(DIBAH)のヘキサン溶液(0.93M濃度、105μl、0.0975mmol)を室温にて添加し、室温にて15分間撹はんしてパラジウム(0)価触媒を調製した。このパラジウム触媒溶液中に、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヨウド−1−(トリメチルシリルオキシ)ベンゼン(4)(394.3mg、0.975mmol)を乾燥TFP(12.5ml)に溶解した溶液を室温にて加えた。得られた混合物を先に調製したジンククロライド(6)の溶液中に室温で添加し、さらに室温で1時間撹はんした。反応混合物を300mlの水中に注ぎ、エーテルを以て抽出し、エーテル層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥した。溶媒を留去し、残留物として赤茶色固体(902mg)を得た。これをシリカゲルクロマトにかけ、ベンゼンで溶出して得られた茶色の固体をざらにヘキサンで洗浄し、化合物(7)(363mg、47.1%)を得た。さらにエーテル、エタノールから再結晶して純品の(7)を黄色柱状晶として合成した。
融点:300℃以上
Mass(EI) m/e 788 (M+ 、100%)
HRMS(EI,70eV) m/e Found 788.3776.
Calcd for C45H64O4 Si2 S2 :789.3785.
【0028】
▲3▼2,6−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキヂフェニル]−4−(エチレンジオキシ)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン(8)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(7)(460mg、0.583mmol)を乾燥TFP(90ml)に溶解させた溶液中に0℃にてフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)のTFP溶液(1.0M濃度、1.17ml)を加え、2分間0℃にて撹はんした。反応混合物中に水(90ml)を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去すると黄緑色固体が得られた。これをシリカゲルクロマトにかけ、ジクロロメタンとn−ヘキサン2:1の混合溶媒で溶出し、精製すると(7)が緑色固体(373mg、99%)として得られた。これをエタノールより再結晶すると純品の(8)が黄緑色プリズム晶として得られた。
融点:300℃以上
HRMS(EI,70eV) m/e Found 644.2997.
Calcd for C39H48O4 S2 644.2994.
【0029】
▲4▼2,6−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシジフェニル]−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(9)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(8)(500mg、0.775mmol)を乾燥TFP(90ml)に溶解させた溶液中に室温にてconc.HCl(8ml)を加え、その後1時間室温にて撹はんした。反応混合物を飽和食塩水(150ml)中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し、有機層を繰り返して飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去すると青紫色固体(484mg)が得られた。これをシリカゲルクロマトにかけ、ジクロロメタンとn−ヘキサン2:1の混合溶媒で溶出し、精製すると(9)が青紫色固体(449mg、96%)として得られた。これをエーテル、エタノールから再結晶すると純品の(9)が得られた。
融点:300℃以上
HRMS(EI、70eV) m/e Found 644.
Calcd forC37H44O3 S2 600.2732.
【0030】
▲5▼2,6−ビス[3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン]−2,4,6−トリヒドロシクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン−4−オン(10)の合成
アルゴン雰囲気下、化合物(9)(215.5mg、0.359mmol)を乾燥ジクロロメタン(50ml)に溶解させた溶液中に室温にてPbO2 (858mg、97%純度、3.48mmol)を加え、さらに30分間室温にて撹はんした。反応混合物中より不溶性の酸化鉛をセライトを通してろ過して除きろ液より溶媒を留去して得られた残さをシリカゲルクロマトにかけ、ジクロロメタンとn−ヘキサン3:1の混合溶媒で溶出すると黄金色微針状晶のキノン(10)(197mg、92%)が得られた。
【0031】
融点:291−292℃
Mass(EI)m/e601(M+ +3、30.7%)、600(M+ +2、90.14%)、599(M+ +1、40.85%)、598(M+ 、100%)、584(17.05%)、583(24.72%)、567(40.11%)、566(43.66%)、423(23.7%)
HRMS(EI,70eV)m/e Found 598.2594.
Calcd for C37H42O3 S2 :598.2576.
電子スペクトル(in benzene)λmax.nm(logε)
812(3.58)、667(5.30)、612(4.82)、560sh(4.20)、491(3.88)、458(3.84)425(4.06)400(3.83)、360(3.93)、324(4.15).
CV(in CH2 Cl2 ):Ered =−0.44(2e)、−1.37(e)、EOX=+0.98(e)、1.52(e)V vs.SCE.
IR(KBr):2956、2917、2867、1714、1589、1482、1455、1357、1326、1259、1130、1087、1024、981、887、844、754、698cm−1.
1 HNMR(600MHz、in CDCl3 )δ1.34(18H,s)、1.35(18H,s)、7.16(2H,d,J=2.6Hz)、7.31(2H,d,J=2.6Hz)、7.50(2H,s).
【0032】
【化3】
【0033】
〔実施例1〕
式(10)〔化4〕の化合物0.5gをn−オクタン10mlに溶解し塗布溶液を調整した。この溶液をトラックピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深さ0.1μmのスパイラルグルーブのあるポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm、厚さ1.2mm)上に回転数1500rpmでスピンコートし記録層を平均150nm形成した。次にこの記録層上に金をスパッター法で60nmの厚さで成膜した。さらにこの反射層上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコート後、紫外線を照射して硬化させ3μmの保護層とした。
【0034】
【化4】
【0035】
〔実施例2〕
式(11)〔化5〕の3、5ジt−ブチル3’、5’ジメチルトリキノン0.2gとテトラt−ブチル銅フタロシアニン(東京化成(株)製)0.2gをn−オクタン10mlに溶解し塗布溶液を調整した。この溶液をトラックピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深さ0.1μmのスパイラルグルーブのあるポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm、厚さ1.2mm)上に回転数1500rpmでスピンコートし記録層を平均130nm形成した。次にこの記録層上に金をスパッター法で60nmの厚さで成膜した。さらにこの反射層上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコート後、紫外線を照射して硬化させ3μmの保護層とした。
【0036】
【化5】
【0037】
〔実施例3〕
テトラt−ブチル銅フタロシアニン(東京化成(株))0.5gをn−オクタン5mlに溶解した。この溶液をトラックピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深さ0.1μmのスパイラルグルーブのあるポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm、厚さ1.2mm)上に回転数1500rpmでスピンコートし記録層を形成した。次にこの記録層上に式(12)〔化6〕の3、5、3’、5’テトラメチルトリキノン0.5gをエチルセロソルブ10mlに溶解した溶液を塗布した。記録層2層の膜厚は、あわせて220nmであった。さらにその上に金をスパッター法で60nmの厚さで成膜した。さらにこの反射層上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコート後、紫外線を照射して硬化させ3μmの保護層とした。
【0038】
【化6】
【0039】
〔実施例4〕
トラックピッチ0.8μm、溝幅0.4μm、溝深さ0.1μmのスパイラルグルーブのあるポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm,厚さ0.6mm)に実施例1と同様に記録層、反射層を形成した。さらにこの反射層上に紫外線硬化型接着剤SD−301(大日本インキ化学工業(株)製)を滴下後、外径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を載せた後スピンコーターで均一に成膜した。紫外線を照射して40μmの接着層を硬化し、2枚の基板を貼合わせた構造の媒体を作成した。
【0040】
〔比較例1〕
シアニン色素(日本感光色素(株)製NK−76)0.5gをイソプロピリアルコール10mlに溶解し塗布溶液を調整した。この溶液をトラックピッチ1.6μm、溝幅0.6μm、溝深さ0.1μmのスパイラルグルーブのあるポリカーボネート製射出成形基板(外径120mm、厚さ1.2mm)上に回転数1500rpmでスピンコートし記録層を平均180nm形成した。次にこの記録層上に金をスパッター法で60nmの厚さで成膜した。さらにこの反射層上に紫外線硬化樹脂SD−17(大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコート後、紫外線を照射して硬化させ3μmの保護層とした。
【0041】
〔評価方法〕
▲1▼25℃80%RH下でシリンジを用いて基板上に色素を塗布した後、低倍率の顕微鏡で表面を観察した。
▲2▼保護層までつけた後680nmレーザー搭載記録装置でデータの書き込みを行った。信号が記録できたことをオシロスコープで確認した後、80℃85%RHで100時間放置した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によって、高温高湿度下で保存しても劣化しない媒体を得ることができる。
Claims (4)
- 式(1)〔化1〕のキノノイド化合物において、XがO、S、Se、Te、N−R11である請求項1記載の光記録媒体。
- 透明基板上に1層または2層以上の記録層、金属反射層、1層または2層以上の保護層を有する光記録媒体において、該記録層が請求項1記載の式(1)のキノノイド化合物を含有する光記録媒体。
- 透明基板上に少なくとも1層または2層以上の記録層を形成した後接着層を介して基板を接着した光記録媒体において、該記録層が請求項1記載の式(1)のキノノイド化合物を含有する光記録媒体。
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