JP3608482B2 - 物体認識装置、記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波に基づいて車両前方の物体を認識する技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、例えば光波,ミリ波などの送信波を照射し、その反射波を検出することによって、車両前方の物体を認識する物体認識装置が考えられている。この種の装置としては、例えば、先行車両などの障害物を検出して警報を発生する装置や、先行車両と所定の車間距離を保持するように車速を制御する装置などに適用され、それらの制御対象としての先行車両などの物体認識に利用されている。
【0003】
自車前方に存在する車両を認識する場合には、前方車両の後端に左右対称に取り付けられたリフレクタからの反射波を検出して認識することが望ましいが、リフレクタ以外のボデー反射などによって測距位置が不安定になってしまう。特に、全長が長いトラックなどの場合に、荷台の後にある車両後端部(仮にA部と称す)と荷台の前にある運転席部分の後部(仮にB部と称す)とでは数m以上の間隔がある。その場合、A部においてリフレクタからの反射波だけでなくB部からの反射波も検出すると、例えばそれらによる測距位置の平均位置は、実際の車両後端よりも自車からはやや離れた位置となってしまい、測距精度が悪くなってしまう。また、これらA,B部は常に両方が検知されるというわけでもないので、例えばA部のみ検出している状態からB部のみ検出する状態になったり、逆にB部のみ検出する状態からA部のみ検出する状態となると、測距位置の変化が大きくなり異常な相対加速度を算出してしまう可能性がある。このような相対加速度に基づく車間制御などは適切なものでなくなってしまう。
【0004】
また、同一車両内の異なる部分からの反射波ではなく、車両以外の物体からの反射波も考える必要がある。例えば雨天時などで路面上に水たまりができている場合、前方車両によって水しぶきが生じた場合や、排気が黒煙状であった場合には、前方車両の後端付近にそれらが生じるため、誤って前方車両の一部からの反射波として扱ってしまうことが考えられる。この場合には、それらによる測距位置の平均位置は、実際の車両後端よりも自車からはやや近い位置となってしまい、やはり測距精度が悪くなってしまう。
【0005】
これらの問題の原因は、車両後端に存在するリフレクタ以外の部分からの反射波も含めて物体位置を認識してしまうため、本来の物体(前方車両)の状態を正確に把握できないことにある。
そこで、本発明は、前方の車両を適切に認識できる技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の物体認識装置は、車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号の内、認識対象としている所定の物体によって通常に反射された場合には生じるであろう信号強度に基づいて設定すると共に、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定したしきい値未満のものは削除し、残った受信信号に基づいて物体を認識すること を特徴とする。
【0007】
このように「認識対象物体によって通常に反射された場合には生じるであろう信号強度に基づいて設定すると共に、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定したしきい値未満のものは削除」するため、例えば認識対象物体として前方の車両を想定した場合は、反射強度が相対的に小さい路側物や上述した水しぶきあるいは黒煙などに対応する受信信号を好適に削除でき、安定した認識が可能となる。また、理想的には前方車両の後端にあるリフレクタによって反射された受信信号のみに基づいて認識できればよいが、リフレクタのように相対的に反射強度が大きいものとボデー構造体のように相対的に反射強度が小さいものの両方において反射した場合であっても、リフレクタによって通常に反射された場合にの信号強度に基づいてしきい値を設定することで、リフレクタ以外の部分で反射した受信信号を適切に削除できる。したがって、前方車両を適切に認識でき、その認識した物体に基づいて行う車間制御なども安定する。
【0008】
請求項1の場合は認識手段にて対処したが、請求項2に示すようにレーダ手段において削除しておいてもよい。つまり、レーダ手段が反射波を受信して物体を検出する際、反射波による受信信号の内、認識対象物体によって通常に反射された場合には生じるであろう信号強度に基づいて設定すると共に、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定したしきい値未満のものは削除し、検出結果とするのである。認識手段がこの検出結果に基づいて車両前方の物体を認識すれば、やはり同様の効果が得られる。
請求項1又は2における「受信信号を削除するためのしきい値」は、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定されるが、その所定範囲内とは、例えば認識対象物体が車両であるならば、車両が取り得る最大幅を基準に設定すればよい。例えば車両が取り得る最大幅が2.5mであるならば、認識物体の車幅方向長さが3m以内に収まるまでしきい値を変更して受信信号を削除する、といったことである。車長方向長さの場合も同様の考え方である。但し、近距離のものは一般的に実際の大きさよりも大きく認識してしまいがちなので、所定範囲についても固定ではなく、請求項3に示すように、物体を認識した距離に応じて調整することが考えられる。
【0009】
ところで、自車から近距離に認識対象物体(例えば車両)が存在する場合に通常と同じしきい値であると、実際の認識対象物体(例えば車両)サイズよりも大きな物体として認識してしまう可能性がある。そのため請求項4に示すように、対象物体までの距離に応じてしきい値を変更(具体的には近い場合には相対的に大きく)することで、物体を実際のサイズに近い状態で認識できるようになる。
【0011】
また、受信信号の強度については、請求項5に示すようにして得ることもできる。つまり、反射波による受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差(つまりパルス幅)が、その信号強度が大きくなるにつれて長くなる特性をレーダ手段が有している場合を前提とし、パルス幅に基づき、前記特性を参照して信号強度を推定するのである。これは主に、受信信号が飽和した場合の対処を考慮したものである。つまり、受信信号が飽和しなければ実際の信号強度を見ればよいのであるが、飽和している場合には推定する必要がある。その際、受信信号を増幅するアンプに例えばバイポーラトランジスタを用いていれば、少数キャリヤ蓄積効果により、飽和した場合であっても、信号強度が大きくなるにつれて受信信号パルスの立ち下がりを遅れさせることができる。その特性から、受信信号のパルス幅と信号強度との間には所定の相関関係を得ることができるため、パルス幅に基づき相関関係を参照すれば、信号強度を得ることができる。なお、飽和した場合には信号強度に関係なく一定のパルス幅を出力してしまうようなアンプも存在するが、そのような場合には適用できない。
【0012】
一方、請求項6に示すように、雨天であるか否かを推定する雨天推定手段による推定結果に応じて、しきい値を変更してもよい。雨天の場合には、水しぶきが発生したり、レーダ手段における送信波の照射部分に水滴の付着したりして、晴天の場合に比べて物体の状態を正確に認識しづらくなる。また、水しぶきなどの誤認識対象も増えるため、そのような状況ではしきい値をよりシビアに設定することで、より適切な認識ができる。なお、雨天の推定としては請求項7に示すようにワイパ作動時に雨天であると推定するのが簡便である。なお、ワイパを動作させるための操作レバーなどをドライバが手動で操作する場合には、ワイパスイッチなど、ワイパの動作状態を直接把握してもよいが、例えば雨滴センサからの検出結果に基づいてワイパの動作状況を間接的に把握してもよい。この場合は、雨滴センサからの検出結果に基づいてワイパが自動的に動作する構成であるため、雨滴センサからの検出結果からワイパの動作状況を把握することができるからである。
【0013】
ところで、しきい値に基づいて受信信号を削除する処理は、所定の有効距離以内で物体を認識した場合に限り実行することが考えられる(請求項8参照)。これは、受信信号を削除してしまうと結果的に物体認識ができなくなるため、そのような処理を制限的に行うための工夫である。その際、雨天推定手段による推定結果に応じて有効距離を変更することが考えられる(請求項9参照)。具体的には雨天であれば有効距離を通常よりも長くする。これは、雨天の場合には一般的に認識精度が低下し誤認識が発生し易くなるため、通常よりも遠距離においても受信信号を削除する処理を適用した方が好ましいと考えられるからである。
【0014】
また、このように受信信号を削除してしまうことで物体認識ができなくなり、結果的に認識対象物体としての先行車を見失ってしまうことも考えられる。この不都合を解消するためには、例えば、しきい値に基づく受信信号の削除の実行中に有効距離以内で先行車を見失った場合には、しきい値に基づく受信信号の削除を一時的に中止することが考えられる(請求項10参照)。この意図は次の通りである。一般的には、車両の反射波による受信信号強度は非車両のそれよりも大きくなるが、例えばリフレクタが汚れていたりする場合には、非車両の反射波による受信信号強度と同じあるいはそれ以下しか持たない車両も存在し得る。そのような受信信号強度が低い先行車を有効距離以内で見失った場合、レーダ手段の検出範囲外に移動していったのではなく、しきい値に基づく受信信号の削除を実行したため、検出範囲内に居るにもかかわらず見失ってしまう可能性がある。そこで、先行車を有効距離以内で見失った場合には、しきい値に基づく受信信号の削除を一時的に中止する。
【0015】
そして、一時的に中止した削除処理を再開する場合には、例えば請求項11に示す(1)〜(3)のいずれかの条件を満たす場合に再開することが考えられる。有効距離以内で見失った場合の対処であるから、(1)のように見失った先行車が有効距離より遠くに存在すれば、削除処理を再開しても構わない。また、(2)のように先行車の対象が変わったり、(3)のように先行車が存在しなくなったことが確認できれば、見失ったことによる不都合は生じないので、やはり削除処理を再開しても構わない。
【0016】
なお、請求項12に示すように、物体認識装置の認識手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明が適用された車両制御装置1について、図面と共に説明する。この車両制御装置は、自動車に搭載され、警報すべき領域に障害物が所定の状況で存在する場合に警報を出力したり、前車(先行車両)に合わせて車速を制御したりする装置である。
【0018】
図1は、そのシステムブロック図である。車両制御装置は認識・車間制御ECU3を中心に構成されている。認識・車間制御ECU3はマイクロコンピュータを主な構成として入出力インターフェース(I/O)および各種の駆動回路や検出回路を備えている。これらのハード構成は一般的なものであるので詳細な説明は省略する。
【0019】
認識・車間制御ECU3は、レーザレーダセンサ5、車速センサ7、ブレーキスイッチ9、スロットル開度センサ11から各々所定の検出データを入力しており、警報音発生器13、距離表示器15、センサ異常表示器17、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に所定の駆動信号を出力している。また認識・車間制御ECU3には、警報音量を設定する警報音量設定器24、警報判定処理における感度を設定する警報感度設定器25、クルーズコントロールスイッチ26、図示しないステアリングホイールの操作量を検出するステアリングセンサ27、ヨーレートセンサ28及びワイパスイッチ30が接続されている。また認識・車間制御ECU3は、電源スイッチ29を備え、その「オン」により、所定の処理を開始する。
【0020】
ここで、レーザレーダセンサ5は、図2に示すように、発光部、受光部及びレーザレーダCPU70などを主要部として次のように構成されている。発光部は、パルス状のレーザ光を、発光レンズ71及びスキャナ72を介して放射する半導体レーザダイオード(以下、単にレーザダイオードと記載)75を備えている。そして、レーザダイオード75は、レーザダイオード駆動回路76を介してレーザレーダCPU70に接続され、レーザレーダCPU70からの駆動信号によりレーザ光を放射(発光)する。また、スキャナ72にはミラー73が鉛直軸を中心に揺動可能に設けられ、レーザレーダCPU70からの駆動信号がモータ駆動部74を介して入力されると、このミラー73は図示しないモータの駆動力により揺動する。すると、レーザ光は車両前方の測定エリアの中心方向を中心にし、車幅方向の所定角度の範囲でレーザ光を不連続に掃引照射(スキャン)して出力される。本実施形態でのスキャンエリアは、0.15deg×105点(±約7.8deg)であり、このエリア内を順次走査する。具体的には、左方向から右方向へスキャンし、水平ビーム番号を0〜104とした105本の送信レーザ光ビームを0.15°おきに照射する。水平ビーム番号0が−7.8degに相当し、水平ビーム番号104が+7.8degに相当する。なお、このレーザ光はガラス板77を通して照射されるため、例えば降雨時などにこのガラス板77に水滴が付着することで、レーザ光が散乱される可能性がある。
【0021】
一方、受光部は、図示しない物体に反射されたレーザ光を受光レンズ81を介して受光し、その強度に対応する電圧を出力する受光素子83とを備えている。そして、この受光素子83の出力電圧は、アンプ85に入力される。アンプ85は入力電圧を増幅してコンパレータ87に出力する。コンパレータ87はアンプ85の出力電圧を基準電圧と比較し、出力電圧>基準電圧となったとき所定の受光信号を時間計測回路89へ出力する。
【0022】
時間計測回路89には、レーザレーダCPU70からレーザダイオード駆動回路76へ出力される駆動信号も入力され、上記駆動信号をスタートパルスPA、上記受光信号をストップパルスPBとし、2つのパルスPA,PB間の位相差(すなわち入力時間差)を2進デジタル信号に符号化する。また、ストップパルスPBのパルス幅も時間として計測する。そして、それらの値を2進デジタル信号に符号化してレーザレーダCPU70へ出力する。レーザレーダCPU70は、時間計測回路89から入力された2つのパルスPA,PB間の入力時間差及びストップパルスPBのパルス幅(受信信号強度に相当)を含む測距データを、認識・車間制御ECU3へ出力する。
【0023】
なお、本実施形態のアンプ85はバイポーラトランジスタを用いて構成されており、次のような特性を持っている。つまり、受光信号の強度が小さい場合には図2(b)に示すように飽和しないが、受光信号の強度が大きくなると図2(c)に示すようにアンプ出力が飽和してしまう(飽和電圧Vsat )。但し、二点鎖線で示すように、少数キャリヤ蓄積効果により、受光信号強度が大きければ大きいほど信号パルスの立ち下がりが遅れる特性を持っている。また、アンプ出力である信号パルスが所定のしきい値電圧よりも大きくなっている時間を示すパルス幅は、受光信号強度と相関関係があり、受光信号強度の対数に略比例している。そのため、たとえ図2(c)のようにアンプ出力が飽和して受光信号強度が直接得られなくても、パルス幅を基にし、上述の相関関係を参照すれば、受光信号強度を推定することができる。
【0024】
認識・車間制御ECU3は、このように構成されていることにより、レーザレーダセンサ5からの測距データを基にして物体を認識し、その認識物体から得た先行車の状況に合わせて、ブレーキ駆動器19、スロットル駆動器21および自動変速機制御器23に駆動信号を出力することにより車速を制御する、いわゆる車間制御を実施している。また、認識物体が所定の警報領域に所定時間存在した場合等に警報する警報判定処理も同時に実施している。この場合の物体としては、自車の前方を走行する前車やまたは停止している前車あるいは路側にあるガードレールや支柱物体等が該当する。
【0025】
続いて認識・車間制御ECU3の内部構成について制御ブロックとして説明する。レーザレーダセンサ5から出力された測距データは物体認識ブロック43に送られる。
物体認識ブロック43では、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては、レーザレーダ中心を原点(0,0)とし、車幅方向をX軸、車両前方方向をZ軸とするXZ直交座標に変換する。そして、この直交座標に変換し計測データに基づいて、物体の中心位置(X,Z)、大きさ(W,D)を求めると共に、中心位置(X,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とする前車等の障害物の相対速度(Vx,Vz)を求める。さらに物体認識ブロック43では、車速センサ7の検出値に基づいて車速演算ブロック47から出力される車速(自車速)Vと上記求められた相対速度(Vx,Vz)とから物体が停止物体であるか移動物体であるかの認識種別が求められ、この認識種別と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。なお、物体の大きさを示す(W,D)は、それぞれ(横幅,奥行き)である。このようなデータを持つ物体のモデルを「物標モデル」と呼ぶこととする。
【0026】
この物体認識ブロック43にて求めたデータが異常な範囲の値がどうかがセンサ異常検出ブロック44にて検出され、異常な範囲の値である場合には、センサ異常表示器17にその旨の表示がなされる。
また、ステアリングセンサ27からの信号に基づいて操舵角演算ブロック49にて操舵角が求められ、ヨーレートセンサ28からの信号に基づいてヨーレート演算ブロック51にてヨーレートが演算される。
【0027】
カーブ半径(曲率半径)算出ブロック57では、車速演算ブロック47からの車速と操舵角演算ブロック49からの操舵角とヨーレート演算ブロック51からのヨーレートとに基づいて、カーブ半径(曲率半径)Rを算出する。先行車判定ブロック53では、このカーブ半径Rおよび物体認識ブロック43にて求められた認識種別、中心位置座標(X,Z)、物体の大きさ(W,D)及び相対速度(Vx,Vz)に基づいて先行車を選択し、その先行車に対する距離Zおよび相対速度Vzを求める。
【0028】
そして、車間制御部及び警報判定部ブロック55が、この先行車との距離Z、相対速度Vz、クルーズコントロールスイッチ26の設定状態およびブレーキスイッチ9の踏み込み状態、スロットル開度センサ11からの開度および警報感度設定器25による感度設定値に基づいて、警報判定ならば警報するか否かを判定し、クルーズ判定ならば車速制御の内容を決定する。その結果を、警報が必要ならば、警報発生信号を警報音発生器13に出力する。また、クルーズ判定ならば、自動変速機制御器23、ブレーキ駆動器19およびスロットル駆動器21に制御信号を出力して、必要な制御を実施する。そして、これらの制御実行時には、距離表示器15に対して必要な表示信号を出力して、状況をドライバーに告知している。
【0029】
このような車間制御や警報判定に際しては、その前提となる物体認識が適切に行われていることが重要である。そこで、上述した物体認識ブロック43において実行される物体認識にかかる動作について、説明する。
図3は物体認識の全体を示すメインフローチャートであり、最初のステップであるS10では、レーザレーダセンサ5から1スキャン分の測距データの読み込みを行う。レーザレーダセンサ5でのスキャン周期は100msecとし、100msec毎にデータを取り込むこととする。
【0030】
続くS20では、測距データに基づき、信号強度の弱いデータを削除する。この処理を図4〜6のフローチャートなどを参照して説明する。
図4の最初のステップであるS21では、受光信号強度及び有効距離判定を行う。この処理を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0031】
図5の最初のステップであるS211では、ワイパスイッチ30がオンされているか否かを判断し、オフの場合には(S211:NO)、所定の距離X(m)以下に幅大又は奥行き大の物標が存在するか否かを判断する(S212)。なお、本実施形態では、図3のフローチャートにも示すように、S20でデータ削除した後にセグメント化(S30)及び物標化(S40)を実行しているため、S20でのデータ削除処理中で実行する図5の処理の時点では、今回の制御周期における物標データは作成されていない。そこで、前回の制御周期にて作成された物標データに基づいて、S212の判断を行うこととする。
【0032】
そして、距離X(m)以内の領域に幅大又は奥行き大の物標が存在しない場合は(S212:NO)、有効距離をデフォルト値であるX(m)にし、受光信号強度としての削除パルス幅をデフォルト値であるW(nsec)とする(S213)。この削除パルス幅のデフォルト値Wは、車両によって通常に反射された場合に生じるであろう信号強度に基づいて設定したしきい値である。
【0033】
ここで、「幅大」の物標とは通常の車両が取り得る最大幅を基準にして設定したしきい値以上の幅を持つ物標のことをいい、例えば日本の場合、トラックの最大幅はおそよ2.5mであるため、例えば3m以上の横幅Wを持つ場合を「幅大」とする。なお、この3mという数値は、一具体例であり、認識対象が取り得る最大値が変われば、それに応じて設定すればよい。「奥行き大」も同様の考え方であり、通常の車両が取り得る最大車長を基準にして設定したしきい値以上の長さとなることをいう。
【0034】
また、S212における所定の距離Xとは、有効距離のデフォルト値である。この有効距離について説明する。図4に示すように、有効距離未満(S24:NO)であり且つ受光信号強度がしきい値未満(S25:NO)の物標データを削除する(S26)ようにしている。つまり、物標までの距離がその距離未満であることがデータ削除条件となっている。ところで、例えば図5のS213で設定された削除パルス幅Wは、車両によって通常に反射された場合に生じるであろう信号強度に基づいて設定したしきい値であるが、物体までの距離に関係なくデータ削除を許可してしまうと、ノイズ的なデータを削除できるというメリットが得られる代わりに、認識したい車両のデータまでも削除してしまう可能性がある。つまり、削除パルス幅Wは、車両によって通常に反射された場合に生じるであろう信号強度に基づいて設定したしきい値であるが、リフレクタが汚れているなどして、「通常」より低反射状態となることも考えられる。このような車両のデータを削除してしまう可能性を含んでいるのである。そのため、自車から相対的に近距離において検出した物体についてのみデータ削除を許可する。このような観点から、有効距離のデフォルト値であるXは、例えば車両のボデー反射が誤認識を生じさせる程度の信号強度を持つ最遠距離に基づいて設定する。つまり、車両認識のために得たいリフレクタ以外のボデー等の反射による誤認識回避をすることが目的であるため、そのような問題が生じないような遠い位置においてまでデータ削除する実質的意味がなく、逆に上述のようなデメリットも招来してしまう可能性があるからである。
【0035】
なお、このように「自車から相対的に近距離」の領域に制限したのは、物体の反射波による信号強度は物体までの距離の4乗に反比例するため、自車から相対的に遠い距離に存在する場合は車両と非車両との信号強度の区別が相対的に付き易く、逆に自車から相対的に近い距離に存在する場合は車両と非車両との信号強度の区別が相対的に付きにくいからである。
【0036】
また、距離X(m)以内の領域に幅大又は奥行き大の物標が存在する場合は(S212:YES)、有効距離はデフォルト値であるX(m)のままであるが、削除パルス幅については、デフォルト値であるW(nsec)に所定値βを加算する(S214)。上述したように、例えば3m以上の横幅Wを持つ場合を「幅大」とすると、このような物標は、車両であると考えられるが、車両が通常取り得る幅よりも大きいため、実際の車両の認識のためには不要なデータも含まれていると考えられる。これは、レーザレーダセンサ5によって得たデータに基づいて物体を認識する場合、相対的に近距離の物体は一般的に実際の大きさよりも大きく認識してしまいがちであることに起因する。そのため、削除パルス幅を大きくする。なお、S214にてβを加算して大きくした削除パルス幅にてデータ削除した結果、次回の処理においても同様にS212にて肯定判断される場合もある。したがって、S212にて否定判断されるまで制御周期毎にβを加算していくこととなり、S212にて否定判断されるとデフォルト値Wに戻ることとなる。
【0037】
一方、ワイパスイッチ30がオンされている場合には(S211:YES)、幅大又は奥行き大の物標が存在するか否かを判断する(S215)。なお、この場合にはS212のような「所定の距離X(m)以内の領域」という制限は付けていない。この理由を説明する。ワイパスイッチ30がオンされているため、現在降雨状態であることが想定されるが、降雨状態においては、水しぶきが発生したり、レーザレーダセンサ5のガラス板77に水滴が付着することで、レーザ光が散乱される可能性があり、晴天の場合に比べて物体の状態を正確に認識しづらくなる。つまり、所定の距離X(m)よりも遠い領域であってもレーザ光の散乱等で「幅大又は奥行き大の物標が存在する」可能性が高くなるため、距離の制限を外したのである。
【0038】
そして、幅大又は奥行き大の物標が存在しない場合は(S215:NO)、S213と同じように、有効距離及び削除パルス幅をそれぞれデフォルト値であるX(m)及びW(nsec)とする(S216)。それに対して、幅大又は奥行き大の物標が存在する場合は(S215:YES)、削除パルス幅を大きくすると共に有効距離についても長くする(S217)。具体的には、有効距離はX+dとする。このX+dは、S215で存在が確認された物標までの距離を基にして決めたものであり、S215で存在が確認された物標がデータ削除の対象となり得るような有効距離にする意図である。また、削除パルス幅については、デフォルト値であるW(nsec)に所定値αを加算する。この削除パルス幅の変更については、S214の場合と同様である。つまり、例えば3m以上の横幅Wを持つ場合を「幅大」とするならば、横幅が3m以上のデータ部分が削除できるようになるまで削除パルス幅を大きくすることとなる。なお、削除パルス幅に加算する値としてS214ではβ、S217ではαとしたが、これは同じ値であっても構わない。
【0039】
このようにして、ワイパスイッチ30のオン・オフや幅大又は奥行き大の物標の存在の有無などに応じて、適宜有効距離及び削除パルス幅を設定し、図4のS22へ移行する。
S22では、先行車ロスト判定を行う。上述したように、有効距離未満(S24:NO)であり且つ受光信号強度がしきい値未満(S25:NO)の物標データを削除する(S26)ようにしているが、これは、ロストフラグ=0(S23:NO)であることが前提条件である。つまり、先行車を見失ったか否かやその見失った状況あるいはその後の状況などに応じてロストフラグを0,1のいずれかに設定し、ロストフラグ=1(S23:YES)の場合は、無条件にデータ削除を中止し、ロストフラグ=0(S23:NO)の場合に限って、有効距離や受光信号強度による条件判定を許可するようにした。この先行車ロスト判定処理を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
図6の最初のステップであるS221では、前回処理において得た判定結果であるロストフラグ=1か否かを判断し、ロストフラグ=1の場合には(S211:NO)、先行車を見失ったか否かを判定する(S222)。ここで「先行車を見失った」とは、前回検出時の相対速度から推定した今回の先行車の位置が検出範囲内にあると予想されたにもかかわらず、検出されたなかった状態を指す。今回の先行車の推定位置が検出範囲外であれば、元々今回は検出されないことが予想されていたのであるから、ここでいう「見失った」とは言わない。つまり、本来検出できるはずのものが検出されない異常な状態の場合のみが「見失った」状態である。
【0041】
S222で肯定判断された場合には、S228へ移行してロストフラグ=0とする。上述したように、図4の処理においてロストフラグ=0(S23:NO)の場合に限って、有効距離や受光信号強度による条件判定が許可されるが、図6のS221にて否定判断、つまり前回処理にてロストフラグ=0であったということはデータ削除がなされた可能性があるということである。そして、その状態でも先行車を見失っていなければ(S222:YES)、今回もデータ削除を許可してもよいと考えられるため、ロストフラグ=0とする(S228)。
【0042】
一方、S222で否定判断された場合には、先行車を見失ったということであり、その場合はS223へ移行して、その先行車を見失った距離が有効距離よりも大きいか否かを判断する。そして、先行車を見失った距離が有効距離以下の場合は(S223:NO)、ロストフラグ=1とし(S224)、先行車を見失った距離が有効距離よりも大きい場合は(S223:YES)、ロストフラグ=0とする(S228)。つまり、検出されていた時の相対速度から先行車の次回の推定位置が得られるが、この推定位置までの距離が有効距離以内であり、且つ先行車を見失った場合は、前回処理においてデータ削除(図4のS26)をしたことが原因で先行車を見失った可能性があるため、今回はデータ削除しないようにロストフラグ=1とする(S224)。一方、有効距離よりも遠くで先行車を見失った場合には、データ削除が原因ではないと考えられるため、ロストフラグ=0として(S228)、データ削除は許可する。
【0043】
ここまでは、前回処理において得たロストフラグ=0の場合(S211:NO)、つまりデータ削除がなされた可能性があるという前提における処理であったが、続いて、前回処理において得たロストフラグ=1の場合(S211:YES)、つまりデータ削除がなされていないという前提における処理について説明する。ロストフラグ=1の場合は(S211:YES)、先行車がいるか否かを判定する(S225)。そして、先行車がいる場合には(S225:NO)、前回の先行車番号と今回の先行車番号とが異なっているか否かを判定する(S226)。そして、先行車番号が同じ場合には(S226:NO)、先行車の距離が有効距離よりも大きいか否かを判定し(S227)、先行車の距離が有効距離以下であれば(S227:NO)、S224へ移行してロストフラグ=1のままにしておく。
【0044】
このようにする意図を説明する。S223にて否定判断されてロストフラグ=1とする(S224)場合は、上述したように、有効距離以内で先行車を見失ったのが前回処理においてデータ削除したことが原因である可能性があるため、データ削除しないようにする工夫である。そして、S225及びS226にてそれぞれ否定判断された場合というのは、前回データ削除したためにロストした先行車と、今回データ削除しなかったため存在する先行車とが同一である可能性がある。そして、その先行車の距離が有効距離以下である場合は(S227:NO)、この状態でデータ削除を再開してしまうと、再度同じように先行車を見失ってしまう可能性があるため、データ削除しないようにロストフラグ=1とするのである。
【0045】
逆に言えば、前回と今回の先行車が同じであっても、先行車までの距離が有効距離よりも大きい場合には(S227:YES)、データ削除を再開してもよいと考えられるので、ロストフラグ=0とする(S228)。また、前回と今回の先行車が異なる場合(S226:YES)や、先行車自体がいない場合(S225:YES)は、同様にデータ削除を再開してもよいと考えられるので、ロストフラグ=0とする(S228)。
【0046】
このような先行車ロスト判定が終了すると、図4のS23へ移行する。S23以降の処理については上述したが簡単に繰り返しておくと、ロストフラグが0であり(S23:NO)、且つ有効距離未満であり(S24:NO)、且つ受光信号強度がしきい値未満である(S25:NO)場合に限って、データ削除をし(S26)、それ以外の場合はデータ削除せずに本処理を終了する。本処理終了後は図3のS30へ移行する。
【0047】
S30では、データのセグメント化を行う。上述したように、測距データとして得た距離データとスキャン角度θについては極座標系からXZ直交座標系に変換し、その変換後のデータをグルーピングしてセグメントを形成する。この様子を図7に示す。本実施形態では、点認識されたデータ同士のX軸方向の距離△Xが0.2m以下、Z軸方向の距離△Zが2m以下という2条件を共に満たす場合に、その点集合を一体化してセグメントデータを求める。このセグメントデータは、一体化された点集合を含むような大きさに設定された、X軸及びZ軸に平行な2辺を持つ長方形の領域であり、中心座標(X,Z)と大きさを示すための2辺のデータ(W,D)をデータ内容とする。
【0048】
続くS40では、認識対象の個々の車両などを物標化する物標化処理を行う。物標とは、一まとまりのセグメントに対して作成される物体のモデルである。こ物標化の内容は物体認識ブロック43についての説明の際に行ったが簡単に繰り返しておくと、S30で得たセグメントデータに基づいて、物体の中心位置(X,Z)、大きさ(W,D)を求めると共に、中心位置(X,Z)の時間的変化に基づいて、自車位置を基準とする前車等の障害物の相対速度(Vx,Vz)を求める。さらに物体が停止物体であるか移動物体であるかの認識種別が求められ、この認識種別と物体の中心位置とに基づいて自車両の走行に影響する物体が選択され、その距離が距離表示器15により表示される。なお、物体の大きさを示す(W,D)は、それぞれ(横幅,奥行き)である。このようなデータを持つ物標モデルが図1に示す物体認識ブロック43から先行車判定ブロック53へ出力される。
【0049】
本実施形態においては、レーザレーダセンサ5がレーダ手段に相当し、認識・車間制御ECU3の物体認識ブロック43が認識手段に相当する。また、図3〜6に示す処理が認識手段としての処理の実行に相当する。そして、ワイパスイッチ30からの検出結果に基づいて行う図5のS211が雨天推定手段としての処理の実行に相当する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置1では、物体認識処理において、レーザレーダセンサ5にて検知した物体の測距データに対し、車両によって通常に反射された場合には生じるであろう受光信号強度に基づいて設定したしきい値未満のものは削除し(図4のS25,S26参照)、残った受光信号に基づいて物体を認識する(図3のS40参照)。理想的には車両の後端にあるリフレクタによって反射された受光信号のみに基づいて認識できればよいが、図8(a)に示すように、リフレクタのような相対的に反射強度が大きいものとボデー構造体のような相対的に反射強度が小さいものの両方において反射することが考えられる。この状態で全ての受光信号に基づいて物体を認識した場合、対象物Aの幅Aw、奥行きAd及び対象物までの距離Azは図8(b)の左側に示すようになる。つまり、自車から見て近い方に受光強度の大きなデータが集まり、遠い方に受光強度の小さなデータが集まっている。一方、所定のしきい値未満のデータは削除することで相対的に信号強度の大きなデータのみを抽出し、その抽出データに基づいて物体を認識した場合、対象物Aの幅Aw、奥行きAd及び対象物までの距離Azは図8(b)の右側に示すようになる。これらからも判るように、全ての受光信号に基づいて物体を認識すると、対象物Aの幅Awや奥行きAdを実際よりも大きく認識してしまったり、対象物までの距離Azを実際よりも長く認識してしまうこととなる。これに対して、相対的に信号強度の大きなデータのみを抽出することによって、対象物Aの幅Awや奥行きAdあるいは対象物までの距離Azをより実際に近い値として把握することができる。このように前方車両を適切に認識でき、その認識した物体に基づいて行う車間制御なども安定する。
【0051】
また、ボデー構造体だけでなく、例えば反射強度が相対的に小さい路側物や前方車両の巻き上げた水しぶきあるいは前方車両の排出した黒煙などに対応する受光信号も好適に削除でき、安定した認識が可能となる。
なお、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
【0052】
(1)例えば、上記実施形態では認識・車間制御ECU3内の物体認識ブロック43にてデータ削除を実行したが、レーザレーダセンサ5においてデータ削除してもよい。つまり、レーザレーダセンサ5において受光信号を予め所定のしきい値に基づいて削除し、残った受光信号によって得られる測距データを物体認識ブロック43に出力するようにしてもよい。図2を参照して説明したように、コンパレータ87はアンプ85の出力電圧を基準電圧と比較し、出力電圧>基準電圧となったとき所定の受光信号を時間計測回路89へ出力する。したがって、この基準電圧(しきい値電圧Vth)を変化させることによって、相対的に信号強度の小さな受光信号を削除することができる。
【0053】
(2)上記実施形態では、物体認識ブロック43において、レーザレーダセンサ5から得た距離データとスキャン角度θを極座標系からXZ直交座標系に変換していたが、レーザレーダセンサ5において直交座標系に変換してから物体認識ブロック43に出力するようにしてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態ではワイパスイッチ30がオンされていることで雨天(降雨)状態であることを推定したが、それ以外でも、例えば雨滴を検出するセンサを用い、その検出結果に基づいて推定してもよい。
(4)上記実施形態では、図3のフローチャートにも示すように、S20でデータ削除した後にセグメント化(S30)及び物標化(S40)を実行しているため、S20でのデータ削除処理中で実行する図5の処理の時点では、今回の制御周期における物標データは作成されていない。そのため、図5に示した受光信号強度及び有効距離判定や図6に示した先行車ロスト判定においては、前回の制御周期にて作成された物標データや先行車に関するデータに基づいて処理を行った。これに対して、図9に示すように、測距データの読込(S110)の後に、その読み込んだ測距データを基にした仮セグメント化(S113)及び仮物標化(S115)を行った後、データ削除処理を行い(S120)、その後、再度セグメント化(S130)及び物標化(S140)を実行するようにしてもよい。上記実施例では処理負荷を考慮して前回値を用いることにしたが、処理負荷を特段問題視しないのであれば、データ削除前に、データ削除のためだけに今回値を予め作成しておいてより適切なデータ削除を行い、そのデータ削除後に再度正式なセグメント化・物標化を行うことも好ましいと考えられる。
【0055】
(5)上記実施形態では「レーダ手段」としてレーザ光を用いたレーザレーダセンサ55を採用したが、ミリ波等の電波や超音波等を用いるものであってもよい。また、スキャン方式にこだわる必要はなく、距離以外に方位を測定できる方式であればよい。そして、例えばミリ波でFMCWレーダ又はドップラーレーダなどを用いた場合には、反射波(受信波)から先行車までの距離情報と先行車の相対速度情報が一度に得られるため、レーザ光を用いた場合のように、距離情報に基づいて相対速度を算出するという過程は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】レーザレーダセンサに関する説明図である。
【図3】物体認識に係る処理を示すフローチャートである。
【図4】図3の処理中で実行される信号強度の弱いデータを削除する処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の処理中で実行される受光信号強度及び有効距離判定処理を示すフローチャートである。
【図6】図4の処理中で実行される先行車ロスト判定処理を示すフローチャートである。
【図7】測距データのセグメント化の内容を示す説明図である。
【図8】(a)は複雑形状車両において複数の反射が生じる状況を示す説明図、(b)は受光信号強度の大きなデータを抽出することによる効果の説明図である。
【図9】別実施形態の場合の物体認識に係る処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…車両制御装置、3…認識・車間制御ECU、5…レーザレーダセンサ、7…車速センサ、9…ブレーキスイッチ、11…スロットル開度センサ、13…警報音発生器、15…距離表示器、17…センサ異常表示器、19…ブレーキ駆動器、21…スロットル駆動器、23…自動変速機制御器、24…警報音量設定器、25…警報感度設定器、26…クルーズコントロールスイッチ、27…ステアリングセンサ、28…ヨーレートセンサ、29…電源スイッチ、30…ワイパスイッチ、43…物体認識ブロック、44…センサ異常検出ブロック、47…車速演算ブロック、49…操舵角演算ブロック、51…ヨーレート演算ブロック、53…先行車判定ブロック、55…車間制御部及び警報判定部ブロック、57…カーブ半径算出ブロック、70…レーザレーダCPU、71…発光レンズ、72…スキャナ、73…ミラー、74…モータ駆動回路、75…半導体レーザダイオード、76…レーザダイオード駆動回路、77…ガラス板、81…受光レンズ、83…受光素子、85…アンプ、87…コンパレータ、89…時間計測回路
Claims (12)
- 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果としての反射波による受信信号の内、認識対象としている所定の物体によって通常に反射された場合には生じるであろう信号強度に基づいて設定すると共に、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定したしきい値未満のものは削除し、残った受信信号に基づいて物体を認識すること
を特徴とする物体認識装置。 - 車幅方向の所定範囲内に渡り送信波を照射し、その反射波を受信して物体を検出するレーダ手段と、
該レーダ手段による検出結果に基づき、車両前方の物体を認識する認識手段とを備えた物体認識装置であって、
前記レーダ手段は、反射波による受信信号の内、認識対象としている所定の物体によって通常に反射された場合には生じるであろう信号強度に基づいて設定すると共に、認識した物体の車幅方向長さあるいは車長方向長さが所定範囲内に収まるまで変更設定したしきい値未満のものは削除し、検出結果とすること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1又は2に記載の物体認識装置において、
前記所定範囲は、物体を認識した距離に応じて調整すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の物体認識装置において、
対象となる物体までの距離に応じて前記しきい値を変更すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の物体認識装置において、
前記レーダ手段は、前記反射波による受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差が、その信号強度が大きくなるにつれて長くなる特性を有しており、
前記認識手段は、前記レーダ手段による検出結果である受信信号パルスの立ち上がりと立ち下がりの時間差に基づき、前記特性を参照して信号強度を推定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜5のいずれか記載の物体認識装置において、
雨天であるか否かを推定する雨天推定手段を備え、
その雨天推定手段による推定結果に応じて、前記しきい値を変更すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項6に記載の物体認識装置において、
前記雨天推定手段は、車両に搭載されたワイパが動作しているか否かによって雨天であるか否かを推定すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項1〜7のいずれか記載の物体認識装置において、
前記しきい値に基づいて受信信号を削除する処理は、所定の有効距離以内で物体を認識した場合に限り実行すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項8に記載の物体認識装置において、
雨天であるか否かを推定する雨天推定手段を備え、
その雨天推定手段による推定結果に応じて、前記有効距離を変更すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項8又は9に記載の物体認識装置において、
前記認識手段は、前記認識対象物体として自車に対する先行車を認識可能であり、前記しきい値に基づく受信信号の削除の実行中に前記有効距離以内で先行車を見失った場合には、前記しきい値に基づく受信信号の削除を一時的に中止すること
を特徴とする物体認識装置。 - 請求項10に記載の物体認識装置において、
前記一時的に中止した前記しきい値に基づく受信信号の削除は、次の(1)〜(3)のいずれかの条件を満たす場合に再開すること
を特徴とする物体認識装置。
(1)見失った先行車が前記有効距離より遠くに存在する。
(2)先行車の対象が変わる。
(3)先行車が存在しなくなる。 - 請求項1〜11のいずれか記載の物体認識装置の認識手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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