JP3608461B2 - 液体保温容器の栓装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0003】
本願発明は、液体保温容器の栓装置に関するものである。
【従来の技術】
【0004】
例えば、断熱構造の容器本体の開口部を栓装置により密閉することにより、液体等を保温貯蔵するタイプの液体保温容器は従来から良く知られている。このようなタイプの液体保温容器の場合、保温性能を向上させるためには、栓装置における断熱性能の向上が一つの重要な要因となっており、そのために、栓装置を、内部に断熱空間を有する中空体により構成するようにしている。
【0005】
ところで、上記のように栓装置を中空体で構成するようにした場合、栓装置内に水や蒸気が侵入することがあり、内部に雑菌や黴が繁殖するおそれがある。このような事態に対処するために、栓装置を、容器本体の開口部に対して着脱自在に螺合される栓本体と、該栓本体に対して着脱自在とされる栓キャップとによって分解可能に構成したものが多用されてきている。
【0006】
ところで、上記構成の液体保温容器の場合、容器本体内に熱湯を入れた状態で栓装置を容器本体の開口部に螺着して使用することとなっているが、容器本体内部の圧力が熱湯から蒸発する水蒸気により上昇する。この現象は、保温性能の高いものほど顕著であり、このような内圧上昇によって栓装置に対して上向きの力が作用することとなる。すると、栓装置と容器本体開口部との螺合部がきしんで螺合解除が難しくなり、栓装置を取り外しにくくなるという問題が生じていた。
【0007】
また、容器本体内に長時間液体を保温しておいた場合には、容器本体内の水蒸気が液化して内部が負圧となるという現象が生ずることがある。このような現象が生ずると、上記した内圧上昇時とは逆に、栓装置が内方に引き込まれることとなる。すると、上記した内圧上昇時と同様に、栓装置と容器本体開口部との螺合部がきしんで螺合解除が難しくなり、栓装置を取り外しにくくなるという問題が生じていた。
【0008】
そこで、従来の方法では、栓装置を構成する栓本体に容器本体内に連通する連通孔を形成し、該連通孔を開閉する弁体を設けて、該弁体を適宜手動により開弁することにより、容器本体内と外部とを連通させて、容器本体内の正圧あるいは負圧を解消するようにしていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した圧力解消方法では、弁体を開弁作動させるために、栓キャップを栓本体から離脱させる必要があり、操作性がよくないという問題がある。
【0010】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、容器本体内の正圧あるいは負圧を簡易な構造で解消し得るようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明では、上記課題を解決するための手段として、断熱構造の容器本体の開口部に対して着脱自在に螺着される栓本体と、該栓本体に対して着脱自在とされる栓キャップとからなる中空体として構成された液体保温容器の栓装置において、前記栓本体に、前記容器本体内と前記栓本体内の断熱空間とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔を形成し且つ該連通孔を開閉する弁体を設けるとともに、前記栓キャップに、該栓キャップの離脱方向への操作と連動して前記弁体を開作動させる開弁作動機構を設けている。
【0012】
上記のように構成したことにより、栓キャップの離脱方向への操作と連動する開弁作動機構により弁体が開作動されて、容器本体内と外部(換言すれば、栓本体内の断熱空間)とが連通孔を介して連通状態とされることとなり、容器本体内の正圧あるいは負圧が容易に解消されることとなる。従って、栓キャップを離脱方向に操作するという簡単な操作で、栓装置の取り外しを困難にしていた正圧あるいは負圧を解消させることができるのである。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0014】
第1の実施の形態
図1ないし図4には、本願発明の第1の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置が示されている。
【0015】
この液体保温容器は、図1に示すように、ステンレス製の真空二重容器(即ち、断熱構造の容器)からなる容器本体1と、該容器本体1の開口部1aを密閉閉栓する栓装置2とによって構成されている。
【0016】
前記容器本体開口部1aの内周面には、前記栓装置2を螺合するためのネジ部3が形成されている。
【0017】
前記栓装置2は、前記容器本体開口部1aのネジ部3に対して螺合されるネジ部4を有する栓本体5と、該栓本体5に対して着脱自在に螺着される栓キャップ6とからなる中空体として構成されている。つまり、栓装置2内には、断熱空間S1が形成されることとなっているのである。
【0018】
前記栓本体5は、有底円筒状の合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)の栓部5aと該栓部5aの上端口縁から該栓部5aの外周側に垂設されて前記容器本体開口部1aの外側をカバーする合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)のカバー部5bとからなっており、本実施の形態においては、栓部5aが、前記カバー部5bと一体成形され且つ前記ネジ部4を有する円筒体5a1と、該円筒体5a1の下端に溶着等により一体的に結合された円盤部5a2とにより構成されている。このようにした理由は、後に詳述するように、円盤部5a2にガイド筒16を形成するために部材の形状を単純化する必要があるからである。符号7は栓体2と容器本体開口部1aとの間の気密を保持するためのシールパッキンである。
【0019】
一方、前記栓キャップ6は、前記栓本体5の栓部5aに内挿される有頂円筒状の合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)の栓キャップ本体6aと、該栓キャップ本体6aの外周面上端から一体に垂設され且つ当該外周面との間に環状空間Sを形成するとともに前記栓本体5への螺合時に該栓本体5の上端に当接される外鍔部6bと、該外鍔部6bおよび前記栓キャップ本体6aの外周面を被覆するステンレス製の保護カバー6cとからなっている。
【0020】
該保護カバー6cの下端には、内向きに突設された内向き鍔部8が一体に形成されており、保護カバー6cは、その内向き鍔部8を前記外鍔部6bの下端部に食い込ませた状態で一体成形されている。このようにすれば、保護カバー6cが強固に一体化されることとなり、内部への水侵入も防止できる。
【0021】
前記栓本体5における栓部5aの内周面および前記栓キャップ6における栓キャップ本体6aの外周面には、互いに螺合し合うネジ部9,10がそれぞれ一体に形成されている。ここで、ネジ部9は、前記栓本体5の内周面において対称位置となるように一対形成されており、ネジ部10は、前記栓キャップ6の外周面において螺旋状に形成されている(図2および図3参照)。
【0022】
前記栓キャップ6の内頂面には、開弁作動機構として作用するリブ11が一体に垂設されている。該リブ11は、前記栓キャップ6の中心から偏心した位置より垂設されている。つまり、図2に示すよう、該リブ11は、栓キャップ6の回動時においては回動軌跡R上を回動することとなっているのである。
【0023】
一方、前記栓本体5を構成する栓部5aの円盤部5a2には、前記リブ11の回転軌跡R上に位置させて容器本体1内と前記断熱空間S 1 とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔12と該連通孔12を開閉する弁体13とが設けられている。該弁体13は、前記連通孔12を開閉する弁部13aと、該弁部13aの中心部から前記連通孔12を貫通して上方に延設された弁棒部13bとからなっており、該弁棒部13bの上端には、前記弁体13を閉弁方向に付勢するスプリング14の上端を支持するスプリング受け15が取り付けられている。該スプリング14の下端は、前記栓部5aの円盤部5a2上に支持されている。符号18は弁体13の弁部13aに付設されたシールパッキンである。
【0024】
また、前記栓部5aの円盤部5a2上には、前記弁体13の開閉作動時に前記スプリング受け15をガイドする円筒状のガイド筒16が一体に突設されている。該ガイド筒16の高さは、前記リブ11により弁体13の弁棒部13b上端を押し下げて弁体13を開弁作動させる必要があるところから、前記リブ11の下端より高くされる。さらに、前記ガイド筒16の上端には、前記リブ11の回転軌跡R上に位置させて該リブ11の先端部の通過を許容する切欠溝17,17が形成されている(図3参照)。該各切欠溝17の深さは、前記リブ11の下端より深くされる。
【0025】
上記のように構成された液体保温容器においては、次のような作用効果が得られる。
【0026】
栓キャップ6を螺脱方向へ少し回動させると、該回動と連動して開弁作動機構として作用するリブ11が所定の回動軌跡R上を移動し、ガイド筒16の切欠溝17に案内されて回動軌跡R上に位置せしめられている弁体13の弁棒部13bの上端を押圧して弁体13を開弁作動させることとなる(図4参照)。その結果、容器本体1内と外部(換言すれば、栓本体5内の断熱空間S 1 )とが連通孔12を介して連通状態とされることとなり、容器本体1内の正圧あるいは負圧が容易に解消されることとなる。従って、栓キャップ6を螺脱方向に操作するという簡単な操作で、栓装置2の取り外しを困難にしていた内圧上昇あるいは内圧降下を解消させることができるのである。上記栓キャップ6の螺脱方向への回動は、リブ11が弁体13を開弁作動できる範囲であればよい。
【0027】
なお、栓キャップ6を完全に螺脱してしまえば、栓本体5および栓キャップ6の内部を洗浄できることとなり、栓装置2内に水や蒸気が侵入して内部に雑菌や黴が繁殖しているおそれがある場合にも、きれいに洗浄することができる。
【0028】
第2の実施の形態
図5および図6には、本願発明の第2の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置が示されている。
【0029】
この場合、栓本体5は、有底円筒形状の合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)の栓部5aと該栓部5aの上端口縁から該栓部5aの外周側に垂設されて容器本体1の開口部1aの外側をカバーする合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)のカバー部5bとからなっており、栓部5aとカバー部5bとは、溶着等により一体的に結合されている。また、前記栓本体5の栓部5aの中心部には、容器本体1内と栓本体5内の断熱空間S 1 とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔12が形成される一方、前記栓キャップ6の内頂面中心部には、前記連通孔12を開閉する棒状の弁体13が一体に垂設されている。該弁体13は、前記栓キャップ6の螺合完了状態において前記連通孔12を閉止し、前記栓キャップ6の螺脱方向への操作時に前記連通孔12を開放することとなっている。つまり、本実施の形態においては、栓キャップ6自体が開弁作動機構を構成することとなっているのである。符号19は前記弁体13の下端に付設されたシールパッキンである。このようにしたことにより、栓キャップ6の螺脱方向への操作により弁体13が上昇して開弁作動されることとなり(図6参照)、簡略な構造で容器本体1内の内圧上昇あるいは内圧降下を容易に解消することができる。その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0030】
第3の実施の形態
図7および図8には、本願発明の第3の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置の要部が示されている。
【0031】
この場合、栓本体5は、有底円筒形状の合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)の栓部5aと該栓部5aの上端口縁から該栓部5aの外周側に垂設されて容器本体1の開口部1aの外側をカバーする合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)のカバー部5bとからなっており、栓部5aとカバー部5bとは、溶着等により一体的に結合されている。また、前記栓本体5の栓部5aの中心部には、容器本体1内と栓本体5内の断熱空間S 1 とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔12が形成される一方、前記栓キャップ6の内頂面中心部には、前記連通孔12を開閉する棒状の弁体13が一体に垂設されている。前記連通孔12は、前記栓部5aの中心部に形成された開口20に嵌挿された環状パッキン21の穴により構成されている。該弁体13は、前記栓キャップ6の螺合完了状態において前記連通孔12を閉止し、前記栓キャップ6の螺脱方向への操作時に前記連通孔12を開放することとなっている。つまり、本実施の形態においては、栓キャップ6自体が開弁作動機構を構成することとなっているのである。符号19は前記弁体13の下端に付設されたシールパッキンである。このようにしたことにより、栓キャップ6の螺脱方向への操作により弁体13が上昇して開弁作動されることとなり(図8参照)、簡略な構造で容器本体1内の正圧あるいは負圧を容易に解消することができる。しかも、本実施の形態においては、連通孔12を、前記栓部5aの中心部に形成された開口20に嵌挿された環状パッキン21の穴により構成するようにしているため、弁体13による閉止時におけるシール性が向上することとなり、保温性能が向上する。その他の構成および作用効果は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0032】
第4の実施の形態
図9および図10には、本願発明の第4の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置の要部が示されている。
【0033】
この場合、栓本体5は、有底円筒形状の合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)の栓部5aと該栓部5aの上端口縁から該栓部5aの外周側に垂設されて容器本体1の開口部1aの外側をカバーする合成樹脂製(例えば、ポリプロピレン製)のカバー部5bとからなっており、栓部5aとカバー部5bとは、溶着等により一体的に結合されている。また、前記栓本体5の栓部5aの中心部には、容器本体1内と栓本体5内の断熱空間S 1 とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔12が形成されており、該連通孔12は、弁体13により開閉されることとなっている。該弁体13は、前記栓部5aの中心に支持される支持部13cの下端に前記連通孔12を下側から閉止する傘状部13dをゴム等の弾性部材により一体形成してなっており、前記傘状部13dにおいて前記連通孔12と反対側に位置する部分には、前記栓部5aの底面に形成された貫通穴22を貫通して上方に延びる棒状の操作部13eが一体形成されている。さらに、栓キャップ6の内周面には、開弁作動機構として作用するカム片23が突設されている。該カム片23は、栓キャップ6の螺脱方向への回動と連動して移動し、前記弁体13の操作部13eを押圧することとなっている。このようにしたことにより、栓キャップ6の螺脱方向への回動と連動して開弁作動機構として作用するカム片23が移動し、カム片23の当接力によって弁体13の操作部13eが押し下げられ、弁体13が開作動されることとなる(図10参照)。その結果、容器本体1内と外部とが連通孔12を介して連通状態とされることとなり、容器本体1内の正圧が容易に解消されることとなる。従って、栓キャップを螺脱方向に操作するという簡単な操作で、栓装置の取り外しを困難にしていた正圧を解消させることができるのである。なお、この実施の形態においては、容器本体1内の内圧が降下して負圧となった場合には、弁体13の傘状部13dが自然に開き、負圧が解消されることとなっている。
【0034】
上記各実施の形態においては、栓キャップを栓本体に螺合することにより着脱自在に結合することとしているが、栓キャップと栓本体との結合構造としては、他の方式(例えば、ヘリコイド結合、嵌合等)を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0035】
本願発明によれば、断熱構造の容器本体の開口部に対して着脱自在に螺着される栓本体と、該栓本体に対して着脱自在とされる栓キャップとからなる中空体として構成された液体保温容器の栓装置において、前記栓本体に、前記容器本体内と前記栓本体内の断熱空間とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔を形成し且つ該連通孔を開閉する弁体を設けるとともに、前記栓キャップに、該栓キャップの離脱方向への操作と連動して前記弁体を開作動させる開弁作動機構を設けて、栓キャップの離脱方向への操作と連動する開弁作動機構により弁体が開作動されて、容器本体内と外部(換言すれば、栓本体内の断熱空間)とが連通孔を介して連通状態とされるようにしたので、容器本体内の正圧あるいは負圧が容易に解消されることとなり、栓キャップを離脱方向に操作するという簡単な操作で、栓装置の取り外しを困難にしていた正圧あるいは負圧を解消させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器の縦断面図である。
【図2】本願発明の第1の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置における栓キャップの下面図である。
【図3】本願発明の第1の実施の形態にかかる液体保温容器の栓装置における栓本体の平面図である。
【図4】本願発明の第1の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器における開弁動作時の状態を示す要部断面図である。
【図5】本願発明の第2の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器の縦断面図である。
【図6】本願発明の第2の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器における開弁動作時の状態を示す要部断面図である。
【図7】本願発明の第3の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器の要部を示す断面図である。
【図8】本願発明の第3の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器における開弁動作時の状態を示す要部断面図である。
【図9】本願発明の第4の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器の要部を示す断面図である。
【図10】本願発明の第4の実施の形態にかかる栓装置を有する液体保温容器における開弁動作時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1は容器本体、1aは開口部、2は栓装置、5は栓本体、6は栓キャップ、11は開弁作動機構(リブ)、12は連通孔、13は弁体、23は開弁作動機構(カム片)、S 1 は断熱空間、Rは回動軌跡。
Claims (1)
- 断熱構造の容器本体の開口部に対して着脱自在に螺着される栓本体と、該栓本体に対して着脱自在とされる栓キャップとからなる中空体として構成された液体保温容器の栓装置であって、前記栓本体には、前記容器本体内と前記栓本体内の断熱空間とを連通する正圧あるいは負圧解消用の連通孔を形成し且つ該連通孔を開閉する弁体を設けるとともに、前記栓キャップには、該栓キャップの離脱方向への操作と連動して前記弁体を開作動させる開弁作動機構を設けたことを特徴とする液体保温容器の栓装置。
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