JP3608013B2 - 多価不飽和脂肪酸用または多価不飽和脂肪酸含有油脂用酸化防止剤組成物 - Google Patents

多価不飽和脂肪酸用または多価不飽和脂肪酸含有油脂用酸化防止剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止剤組成物、及び該組成物が添加されてなる多価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸含有油脂に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
リノール酸やリノレン酸、また、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のような多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸あるいはプロスタグランジンの前駆体として重要な物質であり、また、最近は抗血栓作用、老人性痴呆症防止作用などの生理活性の点でも注目されている。なお、これらは脂肪酸あるいは油脂の形で食品に利用される。
【0003】
現在、これらの多価不飽和脂肪酸あるいは多価不飽和脂肪酸含有油脂を利用する上で最大の障害となるのが酸化である。
【0004】
不飽和結合が多いと特に酸化は進行しやすく、有害な過酸化物が生成したり、酸敗臭が出るため、食品に利用する場合、酸化防止の手段を講じる必要がある。
酸化を防止する方法としては、
(1)酸化防止剤の添加
(2)脂肪酸あるいは油脂のコーティング、粉末化
などが挙げられるが、その効果は充分ではなかった。
【0005】
例えば現在、我国ではBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)やBHA(t−ブチルヒドロキシアニソール)、トコフェロールなどが酸化防止剤として認可されてはいるが、BHTやBHAには使用制限があり、また安全性に対する疑問から使用はほとんど控えられていた。さらに、トコフェロールには、抗酸化力が最も強くなる最適の添加量というものが存在し、期待できる抗酸化力には限度があった。
【0006】
そこでトコフェロールの抗酸化力を増強するため、食品用の乳化剤であるレシチンや更にそこへアミノ酸等の抗酸化剤のシネルギスト(相乗化剤)を併用することも試みられているが、レシチンを添加すると加熱時に油脂が著しく着色するため、油脂を配合した食品の外観が不良になり実用上問題となる。
【0007】
また、コーティングや粉末化という技術はある程度有効であるが、この技術によって油脂と空気を完全に遮断することはできず、そればかりか、その加工のための工程の煩雑さやコスト面での不利な点、その形態から生じる利用上の制限などを考えると満足できる方法とはいえなかった。
【0008】
なお、従来より、ある種の食品用乳化剤には油脂に対する酸化防止効果があることが知られている。例えば、
1)青山らは、ショ糖脂肪酸エステルの油脂に対する抗酸化性を検討し、ショ糖脂肪酸エステルはパーム油に対しては酸化防止効果は示さないものの、ラードに対しては僅かではあるが酸化防止効果を示すことを報告している(青山稔、丸山武紀、兼松弘、新谷勤:油化学、34,554(1985))。
【0009】
しかしながら、青山らの報告は、ラードやパーム油以外の油脂、例えば魚油については全く言及していないばかりか、ここでいうショ糖脂肪酸エステルは、ステアリン酸、パルミチン酸を主な構成脂肪酸とするものである。
【0010】
また、青山らの報告にあるステアリン酸、パルミチン酸が主体のショ糖脂肪酸エステルは油脂に対する溶解性が悪いため、魚油などの液体油に添加した場合、白濁し、保存温度によっては沈殿も生じるため、食品工業で利用する場合、ストレーナーで目詰まりを起こしたり、外観が不良になった。
【0011】
この発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、多価不飽和脂肪酸あるいは多価不飽和脂肪酸を含有する油脂に対する抗酸化性に優れ、液体油に対する溶解性にも優れ、かつ有効量添加しても油脂を著しく着色させるおそれのない酸化防止剤組成物を提供するところにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の多価不飽和脂肪酸用または多価不飽和脂肪酸含有油脂用酸化防止剤組成物は、ショ糖脂肪酸エステル及びトコフェロールからなる酸化防止剤組成物であり、脂肪酸中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の含有割合が20〜80重量%、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸の含有割合が80〜20重量%であって、かつ、ショ糖に対する前記脂肪酸の平均置換度が2〜6であるショ糖脂肪酸エステル、及びトコフェロールからなる多価不飽和脂肪酸用または多価不飽和脂肪酸含有油脂用酸化防止剤組成物なるものである。
【0013】
請求項2記載の組成物のように、トコフェロール1に対するショ糖脂肪酸エステルの割合が重量比で2〜10であることが好ましい。
【0014】
請求項3記載の多価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸含有油脂は、請求項1または2記載の組成物が0.1〜10重量%添加されてなるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
炭素数8〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられ、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸としてはパルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0016】
飽和脂肪酸の割合が20%未満の場合(不飽和脂肪酸の割合が80%を超える場合)抗酸化力が弱くなり、飽和脂肪酸の割合が80%を超える場合(不飽和脂肪酸の割合が20%未満の場合)液体油に対する溶解性が悪くなる。
【0017】
また、ショ糖に対する脂肪酸の平均置換度は2〜6である。平均置換度が2を下回ると油脂に対する溶解性が悪くなり、6を超えると抗酸化力が弱くなる。
【0018】
トコフェロールには、α,β,γ,δの同族体があり、また、天然由来のもの以外に化学的合成品もある。本発明に使用するトコフェロールはα,β,γ,δのいずれでも良く、それら単独であってもまたそれらの混合物であっても構わない。また、天然由来のものであっても化学的合成品であってもよい。
【0019】
本発明による酸化防止剤組成物は、トコフェロールと上述の構造を持つショ糖脂肪酸エステルを必須成分とし、トコフェロールとショ糖脂肪酸エステルの配合割合は、トコフェロール/ショ糖脂肪酸エステル=1/2〜1/10(重量比)である。組成物中のショ糖脂肪酸エステルの割合がこの比率を超えると相対的にトコフェロールの量が減るため、組成物の抗酸化力が弱くなるし、逆にショ糖脂肪酸エステルの割合が減ると、トコフェロールとの相乗効果が弱くなる。
【0020】
本発明の酸化防止剤組成物が対象とする多価不飽和脂肪酸とは不飽和結合が2個以上あるもので、例えばリノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、エレオステアリン酸、EPA、DHAなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0021】
また、本発明の対象とする油脂は、構成脂肪酸中の多価不飽和脂肪酸の含有率が30%以上のものである。これは、栄養学的に望ましい脂肪酸の摂取比率が飽和脂肪酸:モノ不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=1:1.5:1とされているためである。このような油脂としては、鰯油、鮭油、鮪油、マリンクロレラ油、メンヘーデン油、アプリコット核油、あまに油、オレンジ種子油、かぼちゃ種子油、胡麻油、月見草種子油、ひまわり油、綿実油等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、原料油中の多価不飽和脂肪酸の含有率が低くても抽出あるいは分画などの精製技術により不飽和脂肪酸の含有率が30%以上になれば本発明の対象油脂となる。
【0022】
本発明の組成物は多価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸を含有する油脂に対して0.1〜10重量%添加される。
【0023】
0.1重量%を下回ると抗酸化力が弱くなり、10重量%を超えるとコストが上昇し、経済的に不利になる。
【0024】
その他必要に応じ、モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤や、アスコルビン酸やアスコルビン酸の脂肪酸エステル等のビタミンC誘導体、クエン酸やリン酸等の有機酸、アラニン等のアミノ酸等を併用しても構わない。
【0025】
【実施例】
調製例1〜4および比較調製例1〜4(ショ糖脂肪酸エステルの調製)
Snell法によりショ糖脂肪酸エステルを調製した。調製したショ糖脂肪酸エステルはGLC(ガスクロ)、GPC、OHV(水酸基価)測定により、構成脂肪酸の組成、脂肪酸の置換度を求めた。分析結果を下記[表1]に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003608013

【0027】
調製例5〜10および比較調製例5〜8(酸化防止剤組成物の調製)
上記調製例および比較調製例で得たショ糖脂肪酸エステル(以下、表中では、「SE」ともいう)と、天然ビタミンE(以下、表中では「ミックス−トコフェロール」あるいは「m−Toc」ともいう)を混合し、酸化防止剤組成物を調製した。その配合割合を[表2]に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003608013

【0029】
なお、下記において用いた(実験で使用した)精製魚油の脂肪酸組成は以下の通りである。
【0030】
【表3】
Figure 0003608013

【0031】
実施例1〜6および比較例1〜4(液体油に対する組成物の溶解性)
調製例5〜10、及び比較調製例5〜8で得た酸化防止剤組成物を精製魚油に5重量%添加し、一旦70℃まで加熱溶解させた後、20℃まで冷却した。
【0032】
その後、24時間静置して状態を観察し、組成物の液体油に対する溶解性を評価した。結果を[表4]に示す。
【0033】
【表4】
Figure 0003608013
[表4]から明らかなように、実施例1〜6の酸化防止剤組成物は液体油に対する溶解性に優れている。
【0034】
実施例7〜14および比較例5〜6(酸化防止剤組成物の抗酸化力の評価)
[表2]に示した酸化防止剤組成物例のうち、液体油に対する溶解性の良好な実施例1〜6、比較例2と4について抗酸化力の評価を行った。
【0035】
評価は上記実施例で用いた精製魚油(表3参照)を対象に、酸化防止剤組成物を所定量添加し、一旦70℃まで加熱して溶解させた後、60℃のオーブンテストに供して一定時間経過後、POV(過酸化物価)を測定することで行った。なお、POVは基準油脂分析試験法に従い測定した。結果を[表5]に示す。
【0036】
【表5】
Figure 0003608013
[表5]から明らかなように、本発明の酸化防止剤組成物を0.1〜10.0重量%添加することによって無添加の場合のPOV値の1/2以下になり、酸化が強く抑制されていることが分かる。なお、実施例12、13及び14は、併用割合が好ましい範囲からはずれているため、抗酸化力が少し劣っている。
【0037】
実施例15〜20
(加熱時における油脂の着色に対する酸化防止剤組成物の影響)
上記実施例で用いた精製魚油に酸化防止剤組成物を1重量%加え、60℃で2週間保存したときの着色の程度をガードナーNo.(G No)で評価した。結果を[表6]に示す。
【0038】
【表6】
Figure 0003608013
【0039】
【発明の効果】
本発明により、多価不飽和脂肪酸あるいは多価不飽和脂肪酸を含有する油脂に対する抗酸化性に優れ、液体油に対する溶解性にも優れ、かつ有効量添加しても油脂を著しく着色させることのない酸化防止剤組成物を提供することができた。

Claims (3)

  1. ショ糖脂肪酸エステル及びトコフェロールからなる酸化防止剤組成物であり、脂肪酸中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の含有割合が20〜80重量%、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸の含有割合が80〜20重量%であって、かつ、ショ糖に対する前記脂肪酸の平均置換度が2〜6であるショ糖脂肪酸エステル、及びトコフェロールからなる多価不飽和脂肪酸用または多価不飽和脂肪酸含有油脂用酸化防止剤組成物。
  2. トコフェロール1に対するショ糖脂肪酸エステルの配合割合が、重量比で2〜10である請求項1記載の組成物。
  3. 請求項1または2記載の組成物が0.1〜10重量%添加されてなる多価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸含有油脂。
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