JP3607590B2 - 炊飯器の蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は炊飯器(炊飯ジャーを含む)の蓋に関し、特に内蓋セットの着脱構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の炊飯器の蓋を本願の実施形態を示す図1から図3を参照して説明する。蓋1はヒンジ部2により炊飯器本体3に対し開閉自在に取付けられる。その蓋1は、蓋本体4と、その内面に着脱自在に取付けられた内蓋セット5とからなる。内蓋セット5は、リング部材6の内側に金属製の放熱板7を取付け、その放熱板7の上面に蓋本体4の蒸気孔8に対向する蒸気通路セット9が取付けられる。また、上記リング部材6と放熱板7の外周縁との間に蓋パッキン11が装着され、そのシール部を鍋12のつば部13に押圧するようにしている。
【0003】
上記の内蓋セット5は炊飯時に発生するおねばが付着するため、手入れのし易いように蓋本体4に対し着脱自在に取付けられる。その取付け構造は、蓋1のヒンジ部2に近い内周縁に係止部14を設け、その係止部14に内蓋セット5の係止片15を挿入する。また、内蓋セット5の前端部に設けられた突片16を蓋本体4に設けた蓋フック17の後端部に係合させるようにしている。蓋フック17はフックばね18(図3参照)により後方(ヒンジ部2の方向)に付勢されており、内蓋セット5はそのばね力により係合支持される。
【0004】
上記のように係合支持された内蓋セット5を外す際は、突片16の両側に設けられた把持片19を摘み、蓋フック17との係合を強制的に外すことにより行われる(従来例の1)。
【0005】
また、特開平10−243873号公報に開示された内蓋セット取付け構造は、前記の把持片19に相当するものが無いこと以外は同様の構造である。この場合は、蓋フック17を指先で押し込んで内蓋セット5の係合を外すようになっている(従来例の2)。
【0006】
その他、特開2000−107026号公報に開示されたものは、前記の把持片19をU字型のベンディング性ある摘みにより構成し、内蓋セット5の蓋本体4に対する係合力は蓋フック17と突片16の係合力によるが、その係合を外すときは把持片19をベンディングさせることにより行う(従来例の3)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の1のように、内蓋セット5の突片16を蓋フック17に係合する構造の場合は、内蓋セット5を安定良く蓋本体4に係合させるため、フックばね18のばね力がある程度以上に強く設定されているので、内蓋セット5を外す場合はそのばね力に打ち勝って外す必要がある。このばね力を小さくして軽く外れるように設定すると、蓋本体4と内蓋セット5の間のパッキンの反発力に耐えられなくなる等の問題が発生し、良好なばね力の設定が困難である。また、2ヶ所の把持片19を直接把持して係合を解除する必要があり、片手操作で係合解除ができない不便もある。
【0008】
従来例の2の場合は、直接内蓋セット5に手を触れないで蓋フック17を1本の指で押し込むだけで係合が外れる便利さはあるが、蓋フック17を押し込む際に、フックばね18のばね力に打ち勝って押し込む必要がある点では前記の場合と同様である。また、この場合は、蓋フック17の本来の機能が蓋1を炊飯器本体2に係合させる機能にあるので、これを操作して内蓋セット5を外すという機能が使用者に分かり難いおそれがある。
【0009】
従来例の3のように、把持部19をベンディング性ある摘みにより構成したものは、フックばね18のばね力を十分に大きく設定しても、内蓋セット5を外すときは把持片19を軽くベンディングさせるだけで外すことができる利点はあるが、把持片19を摘んで内蓋セット5の係合を解除する動作と、内蓋セット5を外す動作の2動作が必要となるため、操作が煩雑になる不利がある。また、2ヶ所の把持片を把持して内蓋セットの係合を解除する不便さは前記の従来例の1と同様である。
【0010】
そこで、この発明の第1の課題は、蓋本体の外部からのワンタッチの、しかも分かり易い操作により内蓋セットの係合を解除できるようにすることである。また、第2の課題は、一層軽い力で上記の係合を解除できるようにすることである。第3の課題は、係合を外すと同時に内蓋セットが蓋本体から自動的に分離できるようにすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の課題を解決するために、この発明は、蓋本体に設けた係合手段に対し内蓋セットの一部を係合して該内蓋セットを蓋本体に着脱自在に取り付けた炊飯器の蓋において、上記内蓋セットの係合解除手段を上記蓋本体に設け、その係合解除手段の操作部を該蓋本体の外部に露出させた構成としたのである。
【0012】
上記の構成によると、蓋本体の外部に露出した係合解除手段の操作部を操作するだけで、蓋本体に対する蓋セットの係合を解除することができる。
【0013】
第2の課題を解決する手段は、上記の構成を一層具体化したものであり、即ち、上記内蓋セットの係合手段を、上記蓋本体を炊飯器本体に係合させるスライド自在の蓋フックと、その蓋フックを蓋本体内方に付勢するフックばねとにより構成すると共に、その蓋フックの内端に設けた係合部に上記内蓋セットの一部を係合し、上記の係合解除手段を、上記蓋本体の外部に露出した操作ボタンと、該操作ボタンと上記蓋フックとの間に介在されたリンク機構とにより構成し、上記操作ボタンを操作して上記蓋フックを外方にスライドさせて内蓋セットの係合を解除するようにした。
【0014】
上記の構成によると、リンクレバー機構のレバー比を適宜設定することにより、内蓋セットの係合を一層軽いタッチで解除することができる。
【0015】
第3の課題を解決するために、この発明は、上記蓋本体を開放した状態で上記操作ボタンを操作して内蓋セットの係合を解除した際、該内蓋セットを部分的に蓋本体から離脱する方向に付勢する付勢手段を該内蓋セットに関連して設けた構成を採用した。
【0016】
上記の付勢手段としては、上記内蓋セットのヒンジ部側の一部を該蓋本体に係合するとともに、その係合部分に存在する内蓋セットの傾動中心より該内蓋セットの重心が蓋閉止方向に偏在した構成がある。この構成によると、蓋を開放した状態で内蓋セットの操作ボタンを操作して係合を解除すると、内蓋セットはヒンジ側の係合部分を中心に内方に傾動し、蓋本体から分離される。
【0017】
その他の付勢手段としては、蓋本体に取付けられた蒸気通路パッキンにより内蓋セットの内面を押圧するようにした構成がある。
【0018】
なお、上記内蓋セットのヒンジ部側の一部を上記蓋本体に係合するとともに、その係合部分に該内蓋セットを一定の傾斜角度で停止させる係止部を設けた構成を採用すると、係合が解除され前記の付勢力が作用した際に、内蓋セットが蓋本体から分離されるとともに、一定の傾斜姿勢で停止する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のジャー式の炊飯器は、炊飯器本体3と、その炊飯器本体3にヒンジ部2を介して開閉自在に取り付けられた蓋1とからなる。蓋1は蓋本体4とその内面に着脱自在に取り付けられた内蓋セット5からなる。
【0020】
内蓋セット5は、リング部材6の内側に金属製の放熱板7を取付け、その放熱板7の上面に蓋本体4の蒸気孔8に対向する蒸気通路セット9が取付けられる。また、上記リング部材6と放熱板7の外周縁との間に蓋パッキン11が装着される。
【0021】
上記蓋本体4のヒンジ部2に近い内周縁に係止部14が設けられ、その係止部14に内蓋セット5のリング部材6の後部に設けた係止片15を挿入するようにしている(図1一点鎖線矢印参照)。また、リング部材6の前部に突片16が設けられ、その突片16を蓋本体4に設けた蓋フック17の後端部に係合させるようにしている(図4参照)。蓋フック17はフックばね18により後方に付勢されており、内蓋セット5はその付勢力により係合支持される。また、突片16の両側に把持片19が設けられる。
【0022】
上記の蓋本体4において、蓋フック17に対する突片16の係合解除手段21は、図3に示すように、操作ボタン22を有する操作片23と、支点ピン24により水平面内で揺動自在に支持されたリンクレバー25とにより構成される。図5に示すように、操作ボタン22は蓋本体4の前面において蓋フック17の側方において露出し、前後方向にスライド自在にガイドされる。操作片23はリンクレバー25の一端部に回動自在に連結され、そのリンクレバー25の他端部は蓋フック17の後端部のピン26に回動自在に連結される。リンクレバー25は所要のレバー比が得られるように支点ピン24の位置が設定されている。
【0023】
上記の係合解除手段21は、図5に示すように、蓋本体4の前面に露出した操作ボタン22を、矢印のように1本の指で押し込むと、リンクレバー25が蓋フック17を前方にスライドさせる(図4,図5の二点鎖線参照)。これにより、内蓋セット5の係合が解除される。
【0024】
図2に示すように、蓋1をほぼ90度に開放した状態で前記のようにして内蓋セット5の係合を解除した場合、内蓋セット5が蓋1の閉まる方向に分離するようにするために、これを内向きに付勢しておく必要がある。その付勢手段として、蓋本体4側に取付けられた蒸気通路パッキン27を蒸気通路セット9に押し当て、その弾力による反発力を利用する。
【0025】
上記の反発力により蓋本体4から分離された内蓋セット5を落下させることなく、図2のように、一定の傾斜角で停止させるようにするため、蓋本体4の前述の係止部14の両側にこれより若干高い係止突起28,28(図1参照)と、その対向面に微小突起29(図2参照)を設け、内蓋セット5の下端部をその係止突起28と微小突起29との間で一定の傾斜角度に支持するようにしている。
【0026】
なお、その他の付勢手段として、蓋1が開放され、まだ係合解除手段21が操作されない状態の内蓋セット5(図2の二点鎖線参照)の重心Wが、係止部14における傾動中心に対して蓋閉止方向に距離Lだけ偏在した位置にあるように設定する構造をとることができる。この構造によると、内蓋セット5の係合解除手段21を解除すると、内蓋セット5がその自重で傾斜し、係止突起28と微小突起29により一定の傾斜角度に支持される。
【0027】
上記のようにして係合が解除された内蓋セット5を蓋本体4から外す場合、或いは、内蓋セット5を取付ける場合は一対の把持片19,19を両手で把持して行う。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、蓋本体の外部に露出した操作部を1本の指で操作するだけで、内蓋セットの蓋本体に対する係合を解除することができる。その操作部は、内蓋セットの係合解除の機能のみを持ったものであるので、使用者に分かり易い。また、係合解除手段としてリンクレバー機構を採用することにより、所要のレバー比が得られるので、フックばねのばね力を大きく設定しても、軽い力で係合を解除することができる。
【0029】
また、係合解除された内蓋セットを所要の付勢力により蓋本体から分離し、また一定の傾斜角に支持することができるので、内蓋セットの取扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の炊飯器の分解斜視図
【図2】同上の蓋開放状態の一部断面図
【図3】同上の蓋本体部分の分解斜視図
【図4】同上の蓋本体部分の断面図
【図5】同上の蓋本体部分の一部省略平面図
【符号の説明】
1 蓋
2 ヒンジ部
3 炊飯器本体
4 蓋本体
5 内蓋セット
6 リング部材
7 放熱板
8 蒸気孔
9 蒸気通路セット
11 蓋パッキン
12 鍋
13 つば部
14 係止部
15 係止片
16 突片
17 蓋フック
18 フックばね
19 把持片
21 係合解除手段
22 操作ボタン
23 操作片
24 支点ピン
25 リンクレバ−
26 ピン
27 蒸気通路パッキン
28 係止突起
29 微小突起

Claims (3)

  1. 蓋本体に設けた係合手段に対し内蓋セットの一部を係合して該内蓋セットを蓋本体に着脱自在に取り付け、上記内蓋セットの係合解除手段を上記蓋本体に設け、その係合解除手段の操作部を該蓋本体の外部に露出させた炊飯器の蓋において、上記内蓋セットの係合手段を、上記蓋本体を炊飯器本体に係合させるスライド自在の蓋フックと、その蓋フックを蓋本体内方に付勢するフックばねとにより構成すると共に、その蓋フックの内端に設けた係合部に上記内蓋セットの一部を係合し、上記の係合解除手段を、上記蓋本体の外部に露出した操作ボタンと、該操作ボタンと上記蓋フックとの間に介在されたリンク機構とにより構成し、上記操作ボタンを操作して上記蓋フックを外方にスライドさせて内蓋セットの係合を解除するようにしたことを特徴とする炊飯器の蓋。
  2. 上記蓋本体を開放した状態で上記操作ボタンを操作して内蓋セットの係合を解除した際、該内蓋セットを部分的に蓋本体から離脱する方向に付勢する付勢手段を該内蓋セットに関連して設けたことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器の蓋。
  3. 上記の付勢手段が、上記蓋本体に取付けられた蒸気通路パッキンにより構成され、該蒸気通路パッキンにより内蓋セットの内面を押圧するようにしたことを特徴とする請求項に記載の炊飯器の蓋。
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