JP3607117B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱水運転時にドラム内の洗濯物のアンバランス状態を検出する機能を備えたドラム式洗濯機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来のドラム式洗濯機においては、水槽内にドラムが横軸状態で回転可能に配設されていて、モータの回転をベルトを介してドラムに伝達する構造となっているのが一般的である。このものにおいて、脱水運転時にドラムを高速回転させる場合には、低速回転域においてドラム内の洗濯物がアンバランス状態であるか否かを検出する。この場合、アンバランス状態か否かは、モータの回転むらを検出することに基づき判定する。
【0003】
そして、アンバランス状態であると判定した場合には、ドラムの回転速度を低下させるなどしてアンバランスを修正する修正運転を行い、アンバランス状態でないと判定した場合には、ドラムを定常回転速度(トップ回転速度)まで上昇させ、その定常回転速度を一定時間維持するようにしている。
【0004】
このような従来構成のものの場合、低速回転域において回転むらによりアンバランス状態を検出するので、大きなアンバランス状態については検出できる。しかしながら、比較的小さなアンバランス状態の場合には、回転むらが、アンバランス状態で生じたものであるのか、洗濯物が動いて生じたものであるのかが判り難いため、比較的小さなアンバランス状態については検出することはできない。このため、比較的小さなアンバランス状態のまま定常回転速度まで上昇させ、その定常回転速度で脱水運転が行われる場合がある。この場合、アンバランス状態のまま高速回転されることになるため、高速回転域での騒音や振動が大きくなる場合があった。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱水運転時において、高速回転域での騒音及び振動を低下させることができるドラム式洗濯機を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外箱内に配設された水槽と、この水槽内に横軸状態で回転可能に配設され、内部に洗濯物が収容されるドラムと、このドラムを回転駆動するモータと、前記ドラムの回転速度を検出する回転速度検出手段と、制御回路内に設けられ、前記ドラムの回転時に当該ドラム内の洗濯物のアンバランス状態を検出するアンバランス検出手段と、前記ドラムを回転させて行う脱水運転時に、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で前記アンバランス検出手段によりアンバランス状態か否かを検出し、その検出結果に応じて制御を行うことを特徴としている。
【0007】
このものによれば、脱水運転時において、ドラムが定常回転速度に到達した時点でアンバランス状態か否かを検出し、その検出結果に応じて制御を行うようにしている。このため、ドラムが定常回転速度に到達した時点でドラムがアンバランス状態である場合には、例えばドラムの回転速度を低下させるなどの制御を行うようにすることにより、ドラムがアンバランス状態であってもドラムを定常回転速度のまま運転する場合に比べて、脱水運転時における高速回転域での騒音及び振動を低減できるようになる。
【0008】
請求項2の発明は、ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御する構成とし、アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で、前記モータへの通電タイミングを早くなるように変化させて前記ドラムの回転速度の変化を検出し、その変化に基づきアンバランス状態を検出することを特徴としている。
【0009】
脱水運転時において、ドラムが定常回転速度に到達した時点でモータへの通電タイミングを早くなるように変化させると、ドラム内の洗濯物がアンバランス状態でない場合或いはごく小さなアンバランス状態の場合には、ドラムの回転速度は上昇するか、或いはほとんど変化しないが、モータのトルクとしては低下するため、アンバランス状態の場合には、ドラムの回転速度は低下するようになる。この回転速度の変化を検出することに基づき、アンバランス状態を検出することができる。
【0010】
また、請求項3の発明は、ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御で、かつ前記ドラムが予め決められた回転速度に達するようにフィードバック制御する構成とし、アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点の制御デューティ値に基づきアンバランス状態を検出することを特徴としている。
【0011】
脱水運転時において、ドラム内の洗濯物がアンバランス状態の場合、ドラムが定常回転速度に到達した時点の制御デューティ値は、アンバランス状態でない場合に比べて高くなる。従って、この制御デューティ値に基づいてアンバランス状態を検出することができる。
【0012】
請求項4の発明は、ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御で、かつ前記ドラムが予め決められた回転速度に達するようにフィードバック制御する構成とし、アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で、前記モータをフリーラン状態またはフィードバックによる回転速度低下制御を行った際の前記ドラムの到達最高回転速度に基づきアンバランス状態を検出することを特徴としている。
【0013】
脱水運転時において、ドラムが定常回転速度に到達した時点で、モータをフリーラン状態またはフィードバックによる回転速度低下制御を行った場合、ドラムの回転速度は一旦定常回転速度より高くなって到達最高回転速度に達した後、低下する。このとき、ドラム内の洗濯物がアンバランス状態の場合には、アンバランス状態でない場合に比べて、到達最高回転速度が低くなる。従って、この到達最高回転速度を検出することに基づきアンバランス状態を検出することができる。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1と同様な目的を達成するために、外箱内に配設された水槽と、この水槽内に横軸状態で回転可能に配設され、内部に洗濯物が収容されるドラムと、このドラムを回転駆動するモータと、前記ドラムの回転速度を検出する回転速度検出手段と、制御回路内に設けられ、前記ドラムの回転時に当該ドラムのアンバランス状態を検出するアンバランス検出手段と、前記ドラムを回転させて行う脱水運転時に、前記ドラムが所定の低回転速度にある時点で前記アンバランス検出手段により低回転域でのアンバランス検出を行うと共に、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で前記アンバランス検出手段により定常回転域でのアンバランス検出を行い、その検出結果に応じて制御を行う制御手段とを具備したことを特徴としている。
【0015】
このものによれば、脱水運転時において、低速回転域と定常回転域との双方でアンバランス検出を行い、その検出結果に応じた制御を行うので、脱水運転を一層良好に行うことができると共に、低速回転域と高速回転域との双方での騒音及び振動を低下させることが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例につき図1ないし図5を参照しながら説明する。まず、ドラム式洗濯機の概略構成を示す図2において、ドラム式洗濯機の外箱1は全体として矩形箱状をなし、その前板部2に円形の洗濯物出入口2aが形成されている。この外箱1の内部には、軸方向が前後方向を指向する円筒状をなす水槽3が、振動減衰機構を構成する例えば4組(2組のみ図示)のサスペンション4により弾性的に支持されて設けられている。
【0017】
この水槽3は、例えばいずれも金属板により形成された胴部5と、後板部6と、前板部7とを有して構成されており、その前板部7には円形の開口7aが形成されている。そして、この開口7aと前記洗濯物出入口2aとは、全体としては筒状をなす弾性材例えばゴム製の接続部材8により連通するように接続されている。なお、前板部7には、洗濯物出入口2aを開閉する扉9が回動可能に設けられている。
【0018】
上記水槽3の内部には、ドラム10が回転可能に設けられている。このドラム10は、例えばいずれも金属板により形成された胴部11と、後面部材12と、前板部13とを接合して構成されている。前記胴部11の周壁部には多数の孔部11aが形成されており、また、前記前板部13には円形の開口13aが形成されている。前記後面部材12は、複数の通気口を有するフレーム部材12aに、多孔状の板部材12bを取着して構成されている。
【0019】
ドラム10の後面部材12の中心部分には、ドラム軸14が後方に突出するように取り付けられており、このドラム軸14が、前記水槽13の後板部6を貫通して取り付けられた軸受ハウジング15に軸受16を介して回転自在に支承されており、もって、ドラム10は、水槽3の内部に軸方向を前後方向とした横軸状態(ほぼ水平状態)で回転可能に設けられている。
【0020】
上記ドラム10は、アウタロータ形でブラシレスモータであるモータ17により直接回転駆動されるようになっている。すなわち、前記ドラム軸14の後端部には永久磁石18aを備えたロータ18が一体回転し得るように取付けられ、また前記軸受ハウジング15には、このロータ18の内方に位置するようにステータコア19a及びコイル19bを備えたステータ19が設けられている。従って、ロータ18が回転されると、ドラム軸14を介してドラム10がダイレクトに回転駆動されるものである。
【0021】
外箱1内の上部前側には給水器20が設けられており、この給水器20には通常給水用の電磁形の給水弁21(図3参照)及びソフター投入のための電磁形の給水弁22(図3参照)が設けられており、各給水弁21及び22から出た水はそれぞれ専用の給水管21a及び22aを通して水槽3へ供給されるようになっている。水槽3の底部には、排水弁モータ23(図3参照)によって開閉される排水弁24が設けられており、この排水弁24の開放により水槽3内の水が外部に排水されるようになっている。
【0022】
水槽3の後部から上方及び前方にかけて、熱交換器付きの温風供給装置25が設けられており、これについて述べる。すなわち、水槽3の後板部6には、温風戻し口26が形成されている。この温風戻し口26には、外気と温風とを熱交換する熱交換器27の一端部が接続され、この熱交換器27の他端部は蛇腹状の連結ダクト28を介して、送風ケーシング29の吸入側に接続されている。この送風ケーシング29の吐出側には、ダクト30、加熱装置31、ダクト32の一端部に順に接続されている。そして、このダクト32の他端部は、前記接続部材8に形成した温風吐出口8aに接続されて、水槽3内に連通している。
【0023】
前記送風ケーシング29の内部にはファン(図示せず)が設けられていて、このファンは乾燥ファンモータ33(図3参照)により駆動されるようになっており、また、加熱装置31内には乾燥ヒータ34(図3参照)が設けられている。さらに、上記熱交換器27内には湿気凝縮用の水が供給されて排水されるようになっており、その水は乾燥用の電磁形の給水弁35(図3参照)により供給されるようになっている。
【0024】
このような温風供給装置25においては、乾燥運転時に、ドラム10が回転されると共に、乾燥ファンモータ33が回転駆動され、乾燥ヒータ34が通電発熱される。乾燥ファンモータ33によりファンが回転され、ドラム10内の空気が、矢印Aで示すように、温風戻し口26から吸引され、熱交換器27、連結ダクト28、送風ケーシング29、ダクト30、加熱装置31、ダクト32を通り、そして温風吐出口8aから水槽3内に戻される。この循環により上記空気が温風化されると共に熱交換(除湿)される。
なお、前記扉9は、ドアロック用のソレノイド36(図3参照)が通電されることにより閉鎖状態にロックされ、断電によりロックが解除されるようになっている。
【0025】
次に図3において電気的構成を説明する。
すなわち、交流電源37の両端子には、倍電圧整流回路及び平滑コンデンサを有して構成された直流電源回路38が接続されている。この直流電源回路38の出力端子から直流母線38a,38bが導出されており、これら直流母線38a、38bには、インバータ主回路39が接続されている。このインバータ主回路39は、3相ブリッジ接続された例えばIGBTからなるスイッチング素子40a〜40fと、これらスイッチング素子40a〜40fにそれぞれ並列接続されたフリーホイールダイオード41a〜41fとから構成されている。
【0026】
そして、このインバータ主回路39の出力端子42u、42v、42wは、モータ17の3相の巻線17u、17v、17wにそれぞれ接続されている。また、インバータ主回路39の各スイッチング素子40a〜40fの制御端子(ゲート)は、例えばフォトカプラからなる駆動回路43に接続されている。この駆動回路43は、制御回路44からの制御信号により制御されて各スイッチング素子40a〜40fをオンオフ制御するようになっている。
【0027】
前記モータ17の位置検出素子であるホールIC45u、45v、45wから出力された位置検出信号は、上記制御回路44に与えられるように構成されている。この制御回路44は、マイクロコンピュータ及びPWM回路44aを含んで構成されており、モータ17回転駆動のためのプログラムを有しており、上記位置検出信号に基づいて、上述したスイッチング素子40a〜40fをオンオフ制御及びPWM制御して各巻線17u、17v、17wに対する印加電圧のPWM制御及び通電タイミング制御を行ない、もって、モータ17を回転駆動制御するようになっている。また、上記位置検出信号に基づいてモータ17の回転速度も検出するようになっている。
【0028】
また、上記制御回路44は洗濯・脱水・乾燥運転のためのプログラムを有しており、外箱1の前面上部の操作パネル46aに設けられたスイッチ入力部46、及び水槽3内の水位を検知する水位検知部47の入力と、予め備えたプログラムに基づき、給水弁21、22、35、排水弁モータ23、乾燥ヒータ34、乾燥ファンモータ33、ドアロック用のソレノイド36、モータ17を駆動制御して洗濯・脱水・乾燥運転を制御するようになっている。この場合、この制御回路44は、モータ17の回転速度を検出する回転速度検出手段と、後述するように、脱水運転時にドラム10のアンバランス状態を検出するアンバランス検出手段と、そのアンバランス検出手段の検出結果に応じた制御を行う制御手段としても機能するようになっている。
【0029】
次に上記構成の作用を説明する。
最終の脱水運転時には、図1に示すように、まず、ドラム10を回転駆動するモータ17の回転速度(すなわちドラム10の回転速度)が100rpmとなるように、モータ17への制御デューティ値及び通電タイミング(制御位相)を制御する。この図1では、制御デューティ値はパーセント(%)で示し、また、制御位相は電気角で示している。
【0030】
そして、モータ17の回転速度が100rpmに到達した時点で、低速回転域でのアンバラ検知(アンバランス検出)1を行う。このアンバラ検知1は、制御回路44により、モータ17の回転むら(すなわちドラム10の回転むら)を検出することによって行う。
【0031】
図4は、モータ17の回転角30度間ごとの回転速度D1〜D12を説明するための図である。制御回路44は、ドラム10の回転角度30度間の回転速度D1〜D12を個々に測定し、各回転速度D1〜D12と平均速度Davとの差の絶対値の積算値Sを求め、この積算値Sの大きさにより回転むらが大きいか否かを判定するようになっている。上記回転角度30度間の回転速度D1〜D12は、モータ17の機械角が初期角度0から30度回転する都度そのタイムをカウントし、そのカウント値T1〜T12から算出する。なお、平均速度Davは、各30度間の回転速度D1〜D12の合計値を12で除したものである。
【0032】
ここで、制御回路44は、上記積算値Sが予め設定された設定値より小さく、回転むらが小さい場合には、アンバランス状態でないと判定し、モータ17の回転速度を100rpmで60秒間維持した後、中速回転域である600rpmまで上昇させるように制御する。
【0033】
アンバラ検知1において、積算値Sが前記設定値より大きく、回転むらが大きい場合には、制御回路44は、アンバランス状態であると判定し、図5のアンバランスを修正する修正運転(アンバラ修正)を行う。このアンバラ修正では、モータ17の回転速度を一旦80rpmに低下させた状態で15秒間維持する。この後、再び100rpmに上昇させ、ここで再度、上記と同様なアンバラ検知1を行う。この動作をアンバランスが修正されるまで繰り返し行う。アンバランス状態が修正されたら、モータ17の回転速度を中速回転域である600rpmまで上昇させる。このとき、モータ17の回転速度を最初に100rpmにしてからの時間が60秒以内であれば、60秒経過してから600rpmまで上昇させる。
【0034】
そして、モータ17を600rpmでの終了後からの経過時間が60秒経過したら、定常回転域(高速回転域)である1200rpmまで上昇させるように制御する。制御回路44は、モータ17の回転速度が1200rpmに到達した時点で、定常回転域でのアンバラ検知2を行う。このアンバラ検知2は、前記したアンバラ検知1と同様に、モータ17の回転むら(すなわちドラム10の回転むら)を検出することによって行う。
【0035】
制御回路44は、このアンバラ検知2において、回転むらが小さく、アンバランス状態でないと判定した場合には、定常回転域である1200rpmでの脱水を約3分間行い、この後、ブレーキをかけてモータ17を停止させ、脱水運転を終了する。
アンバラ検知2において、回転むらが大きく、アンバランス状態であると判定した場合には、モータ17の回転速度を900rpmに低下させて脱水運転を行う。この場合には、脱水時間を例えば1分間延長する。
【0036】
このような第1実施例によれば、次のような作用効果を得ることができる。まず、脱水運転時において、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点でアンバランス状態か否かを検出し、その結果、アンバランス状態である場合には、モータ17(ドラム10)の回転速度を900rpmに低下させるようにしている。これにより、ドラムがアンバランス状態であってもドラムを定常回転速度(例えば1200rpm)のまま運転する場合に比べて、高速回転域での騒音及び振動を低減できるようになる。
【0037】
また、低速回転域である100rpmでアンバラ検知1を行い、その結果、アンバランス状態であると判定された場合には、アンバラ修正運転を行うようにしているので、大きなアンバランス状態を早期に検出して修正できる。そして、このアンバラ検知1を通過した後、定常回転速度である1200rpmでアンバラ検知2を行い、その結果、アンバランス状態であると判定された場合には、モータ17(ドラム10)の回転速度を900rpmに低下させるようにしているので、脱水運転を一層良好に行うことができると共に、低速回転域と高速回転域との双方での騒音及び振動を低下させることが可能になる。
【0038】
図6は本発明の第2実施例を示したものであり、この第2実施例は、脱水運転時において、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で、ドラム10がアンバランス状態であるか否かを検出する場合(アンバラ検知2を行う場合)のアンバランス状態の検出の仕方が第1実施例とは異なっている。
【0039】
すなわち、モータ17が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で、ドラム10がアンバランス状態であるか否かを検出する場合に、制御回路44は、モータ17への通電タイミングを少しずつ早くなるように、制御位相指令で1ビットずつ(電気角で約2°ずつ(正確には1.875°ずつ))進めるように制御する。具体的には、モータ17への制御位相を、定常回転速度である1200rpmで71°であったものを、3秒ごとに73°、75°へと2段階変化させる。このとき、モータ17への制御デューティ値はほぼ一定とする。
【0040】
制御位相を進めると、モータ17のトルクが減少する。ドラム10内の洗濯物がアンバランス状態でない場合、或いはごく小さなアンバランス状態の場合には、図6に実線で示すようにドラム17の回転速度は上昇するか、或いはほとんど変化しないが、アンバランス状態である場合には、図6に点線で示すように低下するようになる。そこで、制御回路44は、回転速度が10rpm以上低下した場合にアンバランス状態であると判定し、モータ17の回転速度を900rpmに低下させて脱水運転を行い、それ以外(回転速度が上昇、或いは回転速度の低下が10rpm以内)の場合にはアンバランス状態でないと判定し、モータ17の回転速度を1200rpmに戻して脱水運転を行う。
【0041】
このような第2実施例においては、脱水運転時において、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点でのアンバランス状態の検出を容易に行うことができる。
【0042】
図7は本発明の第3実施例を示したものであり、この第3実施例は、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で、ドラム10がアンバランス状態であるか否かを検出する場合(アンバラ検知2を行う場合)のアンバランス状態の検出の仕方が第1及び第2実施例とは異なっている。
【0043】
すなわち、モータ17が定常回転速度である1200rpmに到達するまではモータ17はPWM制御し、1200rpmに到達した時点で、インバータ主回路39の各スイッチング素子40a〜40fをオフさせて開放状態に切り替え、モータ17をフリーラン状態とする。すると、モータ17は、回転速度が一時的に上昇した後、駆動力がなくなるために次第に低下し、オーバーシュート状態を呈する。
【0044】
このとき、モータ17の回転速度は、ドラム10内の洗濯物がアンバランス状態でない場合、或いはごく小さなアンバランス状態の場合には、図7に実線で示すように比較的高くまで上昇するが、アンバランス状態である場合には、図7に点線で示すように低いところまでしか上昇しない。そこで、制御回路44は、到達最高回転速度Pと定常回転速度(1200rpm)との差Qが20rpm以下の場合にアンバランス状態であると判定し、その差Qが20rpmより大の場合にはアンバランス状態でないと判定する。
【0045】
そして、制御回路44は、到達最高回転速度Pを検出してから2秒後にモータ17の制御を再びPWM制御に切り替え、上記アンバラ検知の結果、アンバランス状態であると判定した場合には、モータ17の回転速度を900rpmに低下させて脱水運転を行い、アンバランス状態でないと判定した場合には、モータ17の回転速度を1200rpmに戻して脱水運転を行う。
【0046】
このような第3実施例においても、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点でのアンバランス状態の検出を容易に行うことができる。
【0047】
なお、上記した第3実施例では、モータ17が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で、モータ17をフリーラン状態とすることに基づいてアンバランス状態を検出するようにしたが、これに変えて、次のようにしてアンバランス状態を検出することもできる。
【0048】
すなわち、モータ17が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で、モータ17をフィードバックによる回転速度低下制御(制御位相は変えずに、制御デューティのみを変える制御)を行った場合、図示はしないが、モータ17の回転速度は図7に示すような変化を示すようになる。従って、このときの到達最高回転速度Pと定常回転速度(1200rpm)との差Qを検出することにより、上記した第3実施例と同様にアンバランス状態を検出することができる。
【0049】
図8は本発明の第4実施例を示したものであり、この第4実施例は上記した第1実施例とは次の点が異なっている。
すなわち、モータ17が定常回転速度である1200rpmに到達した時点で行うアンバラ検知2において、1回目のアンバラ検知の結果でアンバランス状態であると判定した場合には、モータ17の回転速度を100rpm低下させて1100rpmとし、約10秒間の間に2回目のアンバラ検知を行う。2回目のアンバラ検知の結果でもアンバランス状態であると判定した場合には、モータ17の回転速度をさらに100rpm低下させて1000rpmとし、約10秒間の間に3回目のアンバラ検知を行う。このようにして、アンバラ検知の結果、アンバランス状態であると判定した場合には、モータ17の回転速度を100rpmずつ段階的に低下させ、この制御を800rpmまで繰り返して行う。アンバラ検知の結果、アンバランス状態でないと判定された場合には、モータ17の回転速度は定常回転速度である1200rpmに戻す。
なお、この場合のアンバラ検知の仕方としては、第1及び第2実施例のどちらの方法でも良い。
【0050】
このような第4実施例によれば、モータ17(ドラム10)が定常回転速度に到達した時点でアンバランス状態であった場合に、モータ17の回転速度を段階的に低下させるようにしているので、高速回転域での騒音及び振動を低下させながらも、脱水を極力良好に行うことができる。
【0051】
本発明は、上記した各実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
アンバラ検知の仕方として、モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点の制御デューティ値に基づきアンバランス状態を検出するようにしても良い。
【0052】
モータ17(ドラム10)が予め決められた回転速度となるようにフィードバック制御する場合、ドラム10内の洗濯物がアンバランス状態の場合には、モータ17が定常回転速度(1200rpm)に到達した時点の制御デューティ値は、アンバランス状態でない場合(81〜93%)(図1参照)に比べて高くなる。そこで、この制御デューティ値が例えば93%を越えた場合にはアンバランス状態であると判定し、それ以下の場合にはアンバランス状態でないと検出することができる。
【0053】
モータ17(ドラム10)が定常回転速度である1200rpmに到達した時点でのアンバラ検知2において、アンバランス状態であると判定した場合に、モータ17(ドラム10)を停止させると共に、ブザーなどで報知するようにしても良い。
【0054】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次のような効果を得ることができる。
請求項1のドラム式洗濯機によれば、ドラムが定常回転速度に到達した時点でアンバランス状態か否かを検出し、その検出結果に応じて制御を行うようにしているため、ドラムがアンバランス状態であってもドラムを定常回転速度のまま運転する場合に比べて、高速回転域での騒音及び振動を低下できるようになる。
【0055】
請求項2、3、4のドラム式洗濯機によれば、ドラムが定常回転速度に到達した時点でのアンバランス状態の検出を容易に行うことができる。
請求項5のドラム式洗濯機によれば、ドラムが定常回転速度に到達した時点でアンバランス状態であった場合に、ドラムの回転速度を低下させることにより、高速回転域での騒音及び振動を低下させながらも脱水を行うことができる。
請求項6のドラム式洗濯機によれば、ドラムが定常回転速度に到達した時点でアンバランス状態であった場合に、ドラムの回転速度を段階的に低下させることにより、高速回転域での騒音及び振動を低下させながらも、脱水を極力良好に行うことができる。
【0056】
請求項7のドラム式洗濯機によれば、低速回転域と定常回転域との双方でアンバランス検出を行い、その検出結果に応じた制御を行うので、脱水運転を一層良好に行うことができると共に、低速回転域と高速回転域との双方での騒音及び振動を低下させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す脱水時の動作説明図
【図2】全体の破断側面図
【図3】電気的構成図
【図4】アンバランス状態を検出する場合に、モータの回転角30度間ごとの回転速度を説明するための図
【図5】低速回転域でアンバラ修正運転を行った場合の動作説明図
【図6】本発明の第2実施例を示すもので、アンバランス状態を検出する場合の動作説明図
【図7】本発明の第3実施例を示すもので、アンバランス状態を検出する場合の動作説明図
【図8】本発明の第4実施例を示す脱水時の動作説明図
【符号の説明】
3は水槽、10はドラム、17はモータ、18はロータ、39はインバータ主回路、40a〜40fはスイッチング素子、44は制御回路(回転速度検出手段、アンバランス検出手段、制御手段)を示す。
Claims (7)
- 外箱内に配設された水槽と、
この水槽内に横軸状態で回転可能に配設され、内部に洗濯物が収容されるドラムと、
このドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
制御回路内に設けられ、前記ドラムの回転時に当該ドラム内の洗濯物のアンバランス状態を検出するアンバランス検出手段と、
前記ドラムを回転させて行う脱水運転時に、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で前記アンバランス検出手段によりアンバランス状態か否かを検出し、その検出結果に応じて制御を行う制御手段とを具備したことを特徴とするドラム式洗濯機。 - ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御する構成とし、
アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で、前記モータへの通電タイミングを早くなるように変化させて前記ドラムの回転速度の変化を検出し、その変化に基づきアンバランス状態を検出することを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。 - ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御で、かつ前記ドラムが予め決められた回転速度に達するようにフィードバック制御する構成とし、
アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点の制御デューティ値に基づきアンバランス状態を検出することを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。 - ドラムはモータにより直接回転駆動する構成とすると共に、前記モータはインバータ制御で、かつ前記ドラムが予め決められた回転速度に達するようにフィードバック制御する構成とし、
アンバランス検出手段は、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で、前記モータをフリーラン状態またはフィードバックによる回転速度低下制御を行った際の前記ドラムの到達最高回転速度に基づきアンバランス状態を検出することを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。 - 制御手段は、ドラムが定常回転速度に到達した時点でアンバランス検出手段がアンバランス状態であることを検出した場合に、ドラムの回転速度を所定値まで低下させることを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
- 制御手段は、ドラムが定常回転速度に到達した後の状態で、アンバランス状態に応じてドラムの回転速度を段階的に低下させることを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
- 外箱内に配設された水槽と、
この水槽内に横軸状態で回転可能に配設され、内部に洗濯物が収容されるドラムと、
このドラムを回転駆動するモータと、
前記ドラムの回転速度を検出する回転速度検出手段と、
制御回路内に設けられ、前記ドラムの回転時に当該ドラム内の洗濯物のアンバランス状態を検出するアンバランス検出手段と、
前記ドラムを回転させて行う脱水運転時に、前記ドラムが所定の低回転速度にある時点で前記アンバランス検出手段により低速回転域でのアンバランス検出を行うと共に、前記ドラムが定常回転速度に到達した時点で前記アンバランス検出手段により定常回転域でのアンバランス検出を行い、その検出結果に応じて制御を行う制御手段とを具備したことを特徴とするドラム式洗濯機。
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