JP3606842B2 - 電子銃および電子ビーム照射処理装置 - Google Patents

電子銃および電子ビーム照射処理装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子銃および電子ビーム照射処理装置に係り、特に低温で用いることができ、長時間の連続使用が可能な電子銃および電子ビーム照射処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種研究において、金属などのサンプル加熱やサンプルに付着している不純物の除去,正電荷の中和(ニュートラライズ),プラズマ生成のトリガなどのために電子銃が用いられている。また、半導体分野におけるシリコンウエハの製造,光学分野における光学レンズの製造などでも、プラズマイオンプレーティング,プラズマCVD,プラズマスパッタリング,プラズマエッチング,電子ビーム(EB)蒸着等種々の技術で電子銃が用いられている。
【0003】
例えば、光学レンズ製造技術では、イオンビームミリング後に正電荷を中和させるために、電子銃が用いられている。イオンビームミリングとは、イオン銃から光学レンズ等の基体にイオンビームを照射して基体表面を所定の形状に加工する方法である。基体が光学レンズなど絶縁性のものである場合、イオンビームミリング時にイオンビームの電荷により基体が帯電し、アークが生じて基体が損傷することがある。この基体損傷の原因である帯電を防止するため、イオンビーム照射後の基体に、電子銃により電子ビームを照射して、基体上の電荷を中性化する技術が一般的に知られている。
【0004】
これらの技術には、電子銃として、図6に示すような熱電子放電型の電子銃S2が一般的に用いられている。図6の電子銃S2は、密閉容器体からなり、本体と、本体の図面左側端部に設けられたフィラメントを有するカソード電極102と、本体の図面右側端部に設けられた加速電極110と、本体内部を放電室101と電子ビーム加速室109とに分割する本体中央付近の位置に設けられたアノード電極104と、を備えている。また、放電室101には、アルゴンガスを導入するためのガス導入口107が設けられている。
【0005】
図6に示す電子銃S2を用いて電子ビームを発生させるには、まず、電子銃S2内を充分排気した後、ガス導入口107からアルゴンガスを導入し、直流電源102aをオンにしてカソード電極102を2000℃〜3000℃に加熱し、熱電子を放出させる。また、カソード電極102とアノード電極104との間に電圧を印加する。これにより、放電室101内にプラズマが発生する。次いで、加速電極110とアノード電極104との間に電圧を印加して、放電室101内のプラズマから加速電極110の孔を通して電子ビームを引出す。
【0006】
しかし、かかる熱電子放電型の電子銃S2によれば、カソード電極102を高温に加熱するため、高温状態で電子銃S2を使用しなければならないという問題点があった。また、カソード電極102が高温加熱されるため、カソード電極102の材料が蒸発して電子ビーム中に混入し、コンタミネーションを生ずるという問題点があった。ひいては、このコンタミネーションにより、電子銃S2の連続使用時間が短くなるという問題点もあった。また、熱電子放電型の電子銃S2によれば、放電室101内のプラズマの発生効率が低いため、充分な量の電子ビームを取るためには、加速電極110とアノード電極104との間に高電圧を印加しなければならないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、本発明の目的は、比較的低温下で使用することができ、コンタミネーションがなく、エネルギー効率よく電子ビームを得ることのできる電子銃および電子ビーム照射処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、請求項1に係る発明によれば、一方の端部から電子ビームを引出し可能な絶縁体からなる筒状の放電管と、該放電管内にプラズマを発生させるために前記放電管に巻装された高周波誘導コイルと、前記放電管内に収納され、前記プラズマを集束させるための空間を有し、側面に複数のスリットが形成された中空略円筒体の導電体からなるカソード電極と、前記放電管の前記一方の端部側に設けられ、前記カソード電極より正電位になるように電圧が印加されることにより前記プラズマから電子を引出して電子ビームを発生可能なアノード電極と、を備えたことにより解決される。
【0009】
このように、放電管内にプラズマを発生させるために放電管に巻装された高周波誘導コイルと、前記放電管内に収納され、前記プラズマを集束させるための空間を有し、側面に複数のスリットが形成された中空略円筒体の導電体からなるカソード電極とを備えているため、高周波誘導コイルによる高いプラズマ効率と、空間を有するカソード電極によるプラズマの集束効果とを併せて得ることが可能となる。
【0010】
また、放電管が絶縁体からなると共に、カソード電極の側面に複数のスリットが形成されているため、高周波誘導コイルにより発生する電界がカソード電極に囲まれた空間に導入され、カソード電極に囲まれた空間でプラズマを発生させることが可能となる。
0011
また、比較的低温で使用可能な電子銃とすることができ、ひいてはコンタミネーションのないクリーンな電子銃とすることができる
0012
また、前記カソード電極内には、矩形波からなる高電圧を定期的に印加するトリガ電極が設けられているように構成すると好適である。このように、矩形波または正弦波からなる高電圧を定期的に印加するトリガ電極が設けられているため、短時間で確実にプラズマを発生させることが可能となる。
0013
また、前記スリットは、少なくとも4つ以上形成されているように構成すると好適である。このように構成しているため、電子ビーム引出し方向と異なる方向からカソード電極内に電界を充分導入することが可能となる。
0014
上記課題は、請求項に係る発明によれば、真空ポンプにより内部を排気可能な気密の真空槽と、該真空槽内に配置された基板を保持する基板ホルダと、該基板ホルダに対向して配置され、前記基板上に電子ビームを照射可能な電子銃と、を備えた電子ビーム照射処理装置であって、前記電子銃は、請求項1乃至いずれか記載の電子銃からなることにより解決される。このように構成しているため、低温状態,低電力で使用可能な電子ビーム照射処理装置を得ることが可能となる。
0015
【発明の実施の形態】
本発明は、電子銃Sおよび電子ビーム照射処理装置に関するものである。本発明の電子銃Sは、放電管1と、高周波誘導コイル3と、カソード電極2と、アノード電極4と、を備えている。放電管1は、一方の端部1aから電子ビームを引出し可能な絶縁体からなり、筒状に形成されている。
0016
高周波誘導コイル3は、放電管1内にプラズマを発生させるためのものであり、放電管1に巻装されている
0017
カソード電極2は、導電体からなり、放電管1内に収納されている。カソード電極2は、側面に複数のスリットが形成された中空略円筒体からなり、中空略円筒体のカソード電極に囲まれたプラズマを集束させるための空間を有している。カソード電極2のビーム引出し側の端部は開口として形成され、スリット少なくとも4つ以上形成されている
0018
アノード電極4は、放電管1の一方の端部1a側に設けられている。カソード電極2より正電位になるように電圧が印加されることによりプラズマから電子を引出して電子ビームを発生可能である。
0019
カソード電極2内には、矩形波または正弦波からなる高電圧を定期的に印加するトリガ電極5が設けられている。
0020
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。本例の電子銃Sは、正電荷の中和(ニュートラライズ)のほか、プラズマイオンプレーティング,プラズマCVD,プラズマスパッタリング,プラズマエッチング,電子ビーム(EB)蒸着等の技術や、金属などのサンプル加熱やサンプルに付着している不純物の除去,プラズマ生成のトリガなどのために用いられるものである。
0021
本例の電子銃Sがイオンビームミリング後の正電荷の中和(ニュートラライズ)に用いられる場合,すなわち「ニュートラライザ」として用いられる場合について、図1に基づき説明する。本例の電子銃Sは、図1に示すように、真空槽41に設置される。真空槽41内には、図示しない基板と、この基板を保持する基板ホルダとしてのサセプタ42、基板にイオンビームを照射するイオン銃43等が設置されている。図1に示す装置全体が、請求項の「電子ビーム照射処理装置」に該当する。
0022
真空槽41は、図示しない配管を通して真空ポンプに接続され、真空槽41内を排気できるように構成されている。また、電子銃Sは、後に説明するアノード電極4が、基板を保持するサセプタ42に対向するように配置されている。
0023
本例の電子銃Sは、図2に示すものであり、電子銃S全体を内部に保持する電子銃ボディ9と、電子銃ボディ9内に固定された放電管1と、放電管1内に固定されたカソード電極2と、カソード電極2から距離をおいて電子銃ボディ9の電子ビーム放出側に固定されたアノード電極4と、放電管1内にガスを導入するためのガス導入管6と、放電管1周囲に巻回された高周波誘導コイル3を主要構成要素とする。
0024
電子銃ボディ9は、ステンレス製の略円筒体からなり、電子銃Sの各構成要素,すなわち放電管1,カソード電極2,アノード電極4,ガス導入管6,高周波誘導コイル3等を内部に保持している。電子銃ボディ9は、図1に示すように、電子銃ボディ9のガス導入側端部9a側に土台44を固定可能に形成されている。土台44は、真空槽41の底面,壁面等に固定可能である。
0025
放電管1は、プラズマの発生領域を形成し、プラズマの発生領域を気密にするものである。厚さ2mm程度のアルミナ(Al)製で、電子ビーム放出側の端面1aが閉じられ、ガス導入側の端面が開口となった断面略コの字型の中空略円筒体からなる。放電管1は、ガス導入側の端部が、電子銃ボディ9の内側に固定されている。
0026
電子ビーム放出側の端面1aの中心には、電子ビームを放出するための電子ビーム放出孔1bが穿孔されている。電子ビーム放出側の端面1aが、請求項の「一方の端部」に該当する。なお、放電管1は、耐スパッタ性を有するとともに高周波電界を透過可能な他の絶縁体材料,例えば石英(SiO),その他のセラミック材料(Si,AlN,BN)等を用いてもよい。
0027
カソード電極2は、発生したプラズマを集束させると共に、電子ビームの量が一定になるようコントロールする役割を果たすものである。また、プラズマから電子ビームを引出すためのカソード電極としての役割も果たす。カソード電極は、ニッケル(Ni)製で、図2,図3に示すように、ガス導入側の端面2cが閉じられ、電子ビーム放出側の端面が開口となった断面略コの字型の中空略円筒体からなる。カソード電極2の側面は、カソード板2bの集合として形成され、カソード板2bに囲まれた中空の領域が、請求項の「空間」に該当する。
0028
また、カソード電極2のガス導入側の端面2c中央には、ガス導入管6を通すための貫通孔2dが穿孔されている。カソード電極2は、本例ではニッケルで形成しているが、金属等の導電体であってスパッタされ難い性質を有する他の材料,例えば黒鉛(C),タンタル(Ta),モリブデン(Mo),タングステン(W)等から形成してもよい。
0029
カソード電極2の側面には、図3に示すように、電子ビーム放出側の端部からガス導入側に向かってスリット2aが6本形成されており、カソード電極2は櫛型の構造となっている。つまり、カソード電極2は、6つの断面扇形のカソード板2bが、所定の間隔をおいて配置されると共に、ガス導入側の端面2c側で互いに連結した形状からなり、6つのカソード板2bが全体として略円筒形を構成する櫛型の構造として形成されている。
0030
各カソード板2b間に所定の間隔を形成するために、スリット2aが形成されている。所定の間隔,すなわちスリット2aの幅は、高周波の振幅よりも大きく,具体的には2〜5mm,好ましくは3〜4mm程度に形成されている。カソード板2bおよびスリット2aの数は、単数または2以上の複数のうちから適宜選択することができる。なお、カソード板2bおよびスリット2aの数を2以上,さらに好ましくは4以上とするとよい。これにより、カソード電極2の内側に高周波電界を充分に導入することが可能となる。
0031
また、カソード電極2の円筒断面の円周のうち70〜90%,好ましくは75〜85%程度をカソード板2bが占めるように形成すると好適である。これにより、カソード電極2の内側に導入されたプラズマをカソード電極2により充分集束させることが可能となる。カソード電極2およびスリット2aの数は、12以下,さらに好ましくは8以下とするとよい。これにより、カソード電極2の内側に導入されたプラズマをカソード電極2により充分集束させることが可能となる。
0032
カソード電極2は、カソード電源(トリガ,アノード,カソード電源40)と接続され、電圧を印加可能に形成されている。カソード電極2は、図3に示すように、略円板形からなるカソード固定板11にボルト15により固定されている。カソード固定板11は、絶縁体のセラミック製からなり、図2に示すように電子銃ボディ9に固定されている。
0033
トリガ電極5は、カソード電極2内で、カソード電極2の軸を中心としてボルト15と対称になる位置に設置されている。また、トリガ電極5は、ワッシャ5aを介してカソード固定板11に固定され、トリガ電源(トリガ,アノード,カソード電源40)に接続されている。このトリガ電極5は、トリガ電源(トリガ,アノード,カソード電源40)から矩形波高電圧を印加して初期放電を行うために用いられる。
0034
アノード電極4は、カソード電極2より正電位になるように電圧を印加して、カソード電極2内のプラズマから電子を引出すために用いられる。アノード電極4は、電極に用いられる公知の素材からなり、中央に電子ビーム引出し孔4bが穿孔された略リング形状からなる。アノード電極4は、電子銃ボディ9内の電子ビーム放出側の端部近傍に、電子ビーム引出し孔4bの引出し方向が電子ビームの放出方向に一致するように固定されている。アノード電極4は、アノード電源(トリガ,アノード,カソード電源40)と接続され、電圧を印加可能に形成されている。
0035
ガス導入管6は、放電管1内にプラズマ発生用のガスを導入するものであり、電子銃等に用いられる公知のガス導入管からなる。ガス導入管6は、電子銃ボディ9の電子ビーム放出側とは逆側に、先端のガス導入口7がカソード電極2の内部に突出するように固定されている。ガス導入管6は、図1に示すように、電子銃Sおよび真空槽41の外に設置されたガス導入ユニット36を介してガスボンベ35に接続され、ガスボンベ35内のガスが放電管1内に導入可能に形成されている。なお、図1では、ガス導入ユニット36,ガスボンベ35は、電子銃Sに用いるもののみ図示し、イオン銃43に用いるものは省略している。本例では、電子銃Sのガス導入管6からアルゴン(Ar)ガスを導入する。
0036
高周波誘導コイル3は、高周波電波の放射器であって、放電管1の側面周囲に、放電管1と同軸状に巻装されている。高周波誘導コイル3は、図1に示すように、電流を制御するためのマッチングボックス33を介して高周波(RF)電源34に接続されている。
0037
高周波電源34から高周波誘導コイル3に高周波電流が流れると、高周波誘導コイル3が放電して放電管1内にプラズマが発生する。また、高周波誘導コイル3は、全長に渡って内部に不図示の冷却水配管を備えている。図1の冷却水配管38を通して高周波誘導コイル3内部に冷却水が導かれ、高周波誘導コイル3を冷却可能に構成されている。
0038
周波誘導コイルは、高周波電流が流れると誘導起電力が生じ、誘導結合方式の高周波放電によって放電管1内にプラズマが発生させる。
0039
電子銃ボディ9内の電子ビーム放出側端部9b近傍には、略円筒体からなるビーム放出口10が電子銃ボディ9と同軸状に固定されている。ビーム放出口10は、放電管1の電子ビーム放出側の端面1a近傍からアノード4の位置まで伸びている。ビーム放出口10の内壁の径は、電子ビーム放出孔1bの径よりも大きく形成されているため、電子ビームの径や角度は、ビーム放出口10に囲まれた部分で調整可能になっている。
0040
ビーム放出口10の外周には、環状の電磁コイル8が固定されている。電磁コイル8は、磁界分布を調整することにより電子ビームを所望の形状,角度,径にするために用いられる。電磁コイル8は、不図示のコイル電源に接続されている。
0041
次に、本例の電子銃Sの動作について説明する。電子銃Sを適用する真空槽41内を排気し、10−2Pa〜10−5Pa程度の高真空の状態とした後、電子銃Sの動作が開始する。真空槽41内が10−2Pa〜10−5Pa程度に達すると、電子銃Sの放電管1内,ビーム放出口10内も10−1Pa〜10−5Pa程度の高真空状態となる。まず、ガス導入ユニット36を作動させ、アルゴンガスをガス導入管6から放電管1内に5〜10sccm導入する。
0042
放電管1内の所定のガス圧力に達したら、高周波電源34をオンにしてRF(13.56MHz)電流を高周波誘導コイル3に流し、アルゴンガスを電離させて放電管1内にプラズマを発生させる。このとき、高周波電源34をオンにすると同時に、トリガ電極5にトリガ電源(トリガ,アノード,カソード電源40)から矩形波高電圧を印加して初期放電を行う。
0043
トリガ電極5への電圧印加は、図4に示すように1200Vの電圧の5秒間の印加を、6秒を1サイクルとして行う。つまり、5秒間印加したのち1秒間のインターバルをおくサイクルを繰返し行う。トリガ電極5の初期放電により、より確実にプラズマを発生させることが可能となる。
0044
高周波誘導コイル3による電界は、スリット2aを通ってカソード電極2内部に導入される。次いで、不図示のコイル電源に電圧を印加して電磁コイル8に磁場を発生させる。
0045
また、カソード電源,アノード電源(トリガ,アノード,カソード電源40)をオンにして、カソード電極2に負電位の電圧10〜60V、アノード電極4に正電位の電圧10〜100Vを印加する。これにより、プラズマがカソード電極2で集束されると共に、カソード電極2とアノード電極4との電位差および差圧で電子ビームが電子ビーム引出し孔4bから放出される。
0046
なお、本例の電子銃Sがイオンビームミリング後の正電荷の中和(ニュートラライズ)に用いられる場合には、まず、真空槽41内にイオン銃43と本例の電子銃Sを設置し、サセプタ42に不図示の基板を固定する。次いで、不図示の真空ポンプで真空槽41内を排気し、イオン銃43を用い、公知の方法により不図示の基板上にイオンビームを照射して基体表面の加工を行う。その後、上記電子銃Sの動作を行って、基体表面の電荷を中性化する。基体表面の電荷中性化が完了した後、不図示のバルブを開けて真空槽1内を大気圧に戻し、基体を取り出し、処理を終了する。
0047
(具体的実施例)次に説明するように、トリガ電極5に印加する初期放電の電圧について、プラズマ発生の確率を確認する実験を行った。本実施例では、図2に示す電子銃Sを用い、トリガ電極5に所定の電圧を10回印加し、10回の印加のうちプラズマが発生した回数を調べた。
0048
この実験は、次の方法で行った。すなわち、真空槽41内を排気して10−2Pa〜10−5Paとした後、アルゴンガスをガス導入管6から放電管1内に5〜10sccm導入した。高周波電源34をオンにしてRF(13.56MHz)電流を高周波誘導コイル3に流し、同時にトリガ電極5に、強さ800V,1000V,1200V,1400V,1600V,1800V,2000Vの矩形波または正弦波の電圧を印加した。その結果を表1
0049
【表1】
Figure 0003606842
0050
および図5に示す。表1の中央の列は矩形波を、右側の列は正弦波を10回印加した場合のプラズマ発生回数を示す。表1および図5に示すように、正弦波の電圧を印加した場合と対比して、矩形波の電圧を印加した場合の方が、プラズマ発生の確率が高かった。また、矩形波の場合、1200V以上の電圧を印加したときには90%以上、1400V以上の電圧を印加したときには100%の確率でプラズマが発生していた。この結果より、トリガ電極5による初期放電は、矩形波形の1000Vより高い電圧を印加したときに、高いプラズマ発生率が得られることが分かった。
0051
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、比較的低温で使用可能な電子銃とすることができ、ひいてはコンタミネーションのないクリーンな電子銃とすることができる。また、放電管内にプラズマを発生させるために放電管に巻装された高周波誘導コイルと、前記放電管内に収納され、前記プラズマを集束させるための空間を有し、側面に複数のスリットが形成された中空略円筒体の導電体からなるカソード電極とを備えているため、高周波誘導コイルによる高いプラズマ効率と、空間を有するカソード電極によるプラズマの集束効果とを併せて得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る電子ビーム照射処理装置の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施例に係る電子銃の縦断面を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施例に係る電子銃の放電管,カソード電極,トリガ電極を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施例に係るトリガ電極に印加する電圧波形を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施例に係るトリガ電極に印加する電圧波形の効果実験の結果を示す説明図である。
【図6】従来の電子銃の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
S,S2 電子銃
1 放電管
1a 電子ビーム放出側の端面
1b 電子ビーム放出孔
2,102 カソード電極
2a スリット
2b カソード板
2c ガス導入側の端面
2d 貫通孔
高周波誘導コイル
4,104 アノード電極
4b 電子ビーム引出し孔
5 トリガ電極
5a ワッシャ
6 ガス導入管
7,107 ガス導入口
8 電磁コイル
9 電子銃ボディ
9a ガス導入側端部
9b 電子ビーム放出側端部
10 ビーム放出口
11 カソード固定板
15 ボルト
33 マッチングボックス
34 高周波電源
35 ガスボンベ
36 ガス導入ユニット
38 冷却水配管
39 ノイズカットフィルタ
40 トリガ,アノード,カソード電源
41 真空槽
42 サセプタ
43 イオン銃
44 土台
101 放電室
102a 直流電源
109 電子ビーム加速室
110 加速電極

Claims (4)

  1. 一方の端部から電子ビームを引出し可能な絶縁体からなる筒状の放電管と、
    該放電管内にプラズマを発生させるために前記放電管に巻装された高周波誘導コイルと、
    前記放電管内に収納され、前記プラズマを集束させるための空間を有し、側面に複数のスリットが形成された中空略円筒体の導電体からなるカソード電極と、
    前記放電管の前記一方の端部側に設けられ、前記カソード電極より正電位になるように電圧が印加されることにより前記プラズマから電子を引出して電子ビームを発生可能なアノード電極と、を備えたことを特徴とする電子銃。
  2. 前記カソード電極内には、矩形波または正弦波からなる高電圧を定期的に印加するトリガ電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  3. 前記スリットは、少なくとも4つ以上形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子銃。
  4. 真空ポンプにより内部を排気可能な気密の真空槽と、該真空槽内に配置された基板を保持する基板ホルダと、該基板ホルダに対向して配置され、前記基板上に電子ビームを照射可能な電子銃と、を備えた電子ビーム照射処理装置であって、
    前記電子銃は、請求項1乃至いずれか記載の電子銃からなることを特徴とする電子ビーム照射処理装置。
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