JP2648235B2 - イオン銃 - Google Patents

イオン銃

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JP2648235B2
JP2648235B2 JP2504251A JP50425190A JP2648235B2 JP 2648235 B2 JP2648235 B2 JP 2648235B2 JP 2504251 A JP2504251 A JP 2504251A JP 50425190 A JP50425190 A JP 50425190A JP 2648235 B2 JP2648235 B2 JP 2648235B2
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YUNAITETSUDO KINGUDAMU ATOMITSUKU ENAAJI OOSORITEI
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YUNAITETSUDO KINGUDAMU ATOMITSUKU ENAAJI OOSORITEI
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    • H01J37/08Ion sources; Ion guns

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、イオンビーム処理装置において用いられる
イオン銃、及び同様のイオン銃が組み込まれているイオ
ンビーム処理装置、及びイオンビーム中和器に関する。
従来、幅広ビームイオン源を用いてスパッタ蒸着、ス
パッタエッチング、又はスパッタミリングのいずれかに
より物体の表面加工を行う為、様々な提案が行われてき
た。そのような幅広ビームイオン源は、多孔イオン光学
を利用しており、その典型的な直径の範囲は、約25から
約500mmまでである。
典型的なイオンビーム源(又はイオン銃)において
は、加熱されたカソードとアノードとを備えた低圧放電
チャンバへガス蒸気を入れることによりプラズマが生成
される。前記チャンバは、プラズマから電子を取り除
き、過剰となった正に荷電したイオンを単数又は複数の
遮へいグリッドを介し、放電チャンバより低圧となるよ
うに排気されたターゲットチャンバへ通過させる為に用
いられる。イオンは、放電チャンバ内において電子衝突
電離により形成され、不規則熱運動によりイオン銃のボ
ディ内を移動する。プラズマは、このようにして、それ
が接触するいかなる表面の電位よりも高い正のプラズマ
電位を呈する。この装置は、グリッドを種々に配置して
用いることができ、その電位は個々に制御される。マル
チグリッドシステムにおいては、イオンが衝突する第1
のグリッドが通常は正にバイアスされ、一方、第2のグ
リッドが負にバイアスされている。イオン源から出てく
るイオンを減速させて、ほぼ均一なエネルギーを有する
イオンの視準ビームを供給する為に別のグリッドを用い
ることも出来る。高い電流動作を呈し、1500ボルトまで
の範囲内のイオンエネルギーを出射するイオン銃は、一
般的な様式のものとして、薄膜技術において広い用途を
有するものである。イオンスパッタリングを行う場合、
ターゲットはイオンビームが通常は斜めの角度で衝突可
能なようにターゲットチャンバ内に配置され、スパッタ
材料が付着されるべき基板が、スパッタ材料が衝突する
ことが出来る位置に配置されている。スパッタエッチン
グ又はスパッタミリングが行われる場合、基板はイオン
ビームの経路上に配置される。
よって、典型的なイオン銃においては、多孔抽出グリ
ッドアセブリに到着したイオンは正にバイアスされたグ
リッドに最初に出会う。そのグリッドと結合されたもの
がプラズマシースである。このシースを横切り、プラズ
マとグリッドとの間の電位差が降下する。この加速電位
は、シース領域内のイオンを第1のグリッドへ引き寄せ
る。この第1のグリッド内の孔を通って移動し、第1の
正のバイアスされたグリッドと第2の負にバイアスさた
グリッドとの間の空間へ入った如何なるイオンも、強電
場において強く加速される。イオンが第2のグリッドの
孔を通過して、接地されたターゲットへ飛んで行く場
合、イオンは減速領域を通って移動する。イオンは次い
で接地されたターゲットへ到着し、その際、イオンは第
1の正にバイアスされたグリッドの電位差にシース電位
を加えた電位と等しいエネルギーを有する。
しかしながら、このような従来のイオンビーム源は不
活性ガスを用いて十分に動作するが、酸素、フッ素、塩
素等の反応性ガスがプラズマを発生させる為に用いられ
る不活性ガスに追加され、又は置き換えられた場合に
は、カソードの寿命が甚だしく制限されてしまう。この
為、このようなイオンビーム源を反応性ガスと共に用い
ることは不十分である。
幅広ビームイオン源の論評雑誌が出版され、即ち、
「スパッタリングに用いられる幅広ビームイオン源の技
術と応用.第1部.イオン源技術」(1982年、9月/10
月、21(3)、J.Vac.Sci.Technol.H.R.カウフマン(Ka
ufman)、J.J.クオモ(Cuomo)、J.M.E.ハーパー(Harp
er)著)の725頁から736頁までがそうである。この論理
雑誌の第2部は、即ち、同紙においてその第1部に続い
てすぐに出版された「第2部.応用」(J.M.E.ハーパ
ー、J.J.クオモ、H.R.カウフマン著)の725頁から736頁
までである。同著者は更に、「幅広ビームイオン源技術
における進歩及び応用」という論文を同紙の764頁から7
67頁へ同時に発行した。ハロルド R.カウフマンからの
より最近の報告は、「幅広ビームイオン源・現在の状態
と更なる方向」(1986年、5月/6月、A4(3)、J.Vac.
Sci.Technol.)という表題の下において764頁から771頁
に発行された。
イオンビームを生成する為に容量結合された高周波放
電プラズマを使用するということが、C.リジュン(Leje
une)らにより「幅広及び反応性イオンビームの為の高
周波多極プラズマ」(第36巻、第11/12号(1986年)、V
acuum)という雑誌の837頁から840頁、及び欧州特許公
開第0200651号において提案された。
プラズマに対向してN極とS極とが交互に配列された
磁石を備えた多極配列を用いて磁場による閉じ込めを用
いた、高周波幅広ビームイオン源の他の形態が、R.ラシ
ー(Lossy)及びJ.イングマン(Engemann)により「反
応スパッタリングの為の高周波幅広ビームイオン源」
(第36巻、第11/12号(1986年)、Vacuum)という雑誌
の973頁から976頁、及び「反応性幅広ビーム高周波イオ
ン源の特性」(1988年、1月/2月、B6(1)、J.Vac.Sc
i.Technol.)という雑誌の284頁から287頁において提案
された。
高周波励磁手段によるプラズマ生成は、電子が高周波
場に反応可能なこと、及び慣性が比較的高い為、イオン
が高周波場に反応不能なことに依存する。結果として、
電子が気体分子からはぎ取られる。その電子は次いで、
プラズマに対向して交互に配列されたN極及びS極によ
り形成される磁場による閉じ込めカスプによって捉えら
れるようになり、プラズマ生成チャンバの中央部分に正
に帯電されたプラズマを残す。高周波容量的励起を包含
している従来の構成は、200V〜300V程度の高いプラズマ
電位を生じさせる為、イオンは、第1のグリッドへ向か
って非常に速く加速され、第1のグリッドへ高いエネル
ギーで衝突し、これにより第1のグリッドを加熱し、グ
リッド材料のスパッタリングをひき起こし易くなり、ス
パッタリングが発生した場合には、導き出されるイオン
ビームの汚染が生じる。
異なる構成のイオンビーム源として、ガス物質をプラ
ズマ状態へ励起させる為、及び分子状イオンよりも原子
状イオンを生成する為に、誘導結合された高周波電源が
用いられるものが、英国特許公開第−2162365号に説明
されている。この構成においては、鐘形を有する水晶チ
ャンバが、高周波電源と、コイル手段によりこの高周波
電源から絶縁されている第2の電源との両者に接続され
たコイルにより取り囲まれており、このコイルは、チャ
ンバの壁の大部分の領域に定常ソレノイド磁場を供給す
るように構成されている。金属板が、イオン源により生
成されるイオンの為の出口孔を除き、鐘の開放端部を閉
鎖しており、抽出電極として機能する。使用に当たり、
チャンバの壁は約600℃の温度に達し得る。このイオン
源は、約2MHzの周波数で合理的に十分に動作するが、よ
り高い周波数、即ち、より商業的に望ましい13.56MHz、
又はその倍数等の周波数では使用不能である。
異なる形態のイオン源として、プラズマが生成される
べきチャンバを取り囲むソレノイドコイルを用いたもの
が、英国特許公開第2180686号に説明されている。
全てのイオン源から抽出されたイオンビームは自然に
空間電荷により中和されるが、絶縁ターゲットにおける
電流中和は確実ではない。このため、イオンビーム生成
において、常に存在する熱電子とは別に、適度に加速さ
れた余剰電子を供給して、絶縁ターゲットへ必要な電子
流を供給して電流中和を提供する事が望ましい。このよ
うにして、ターゲット又は基板上の電荷の発達が妨げら
れる。多数の中和器が提案されてきた。典型的な中和器
は、水銀の蒸気(空間推進の為)とアルゴン(他の用途
の為)との何れかが注入された中空カソード放電を用い
て、電子源として機能するプラズマブリッジを形成す
る。このプラズマブリッジは、一般に約1000℃で動作す
る熱タングステンの先端にあけられた小径の開口部を介
して中空カソードから放出する。異なる構成の中和器と
して、プラズマ生成ガスとしてアルゴンを用い、やはり
熱カソードを用いてプラズマを生成するものが、「プラ
ズマブリッジ中和器としての静電反射プラズマ源」(第
36巻、第11/12号(1986年)、J.真空科学技術社、、C.
リジュン、J.P.グランチャンプ(Grandchamp)、O.ケシ
ー(Kessi)著)という表題の雑誌の857頁から860頁に
おいて提案されている。中和器の使用についての更なる
説明は、上記説明にて引用した他の論文にて理解される
であろう。
従来の構成の中和器を使用する場合の欠点は、この装
置が熱カソードを用いてプラズマを生成する為に、プラ
ズマを生成するものとして不活性ガス又は蒸気を用いる
必要があるという事である。反応性ガスの使用を含む或
る用途にとっては、アルゴン等の不活性プラズマ生成ガ
スを導入することは欠点であろう。しかしながら、熱カ
ソードを備えた中和器に反応性ガスが供給されている場
合、この中和器に直にそのカソードが破壊されるという
結果になるであろう。
従来の高周波励振イオン銃においては、プラズマは磁
気閉じ込めチャンバ内にて生成される。イオン銃の最適
動作の為には、イオンが加速されるプラズマが、高密度
からなり、可能な限り均一であり、可能な限り低電位で
あるということが重要である。しかしながら、これらの
狙いは従来の構成のものでは十分に満足させることは出
来ない。
イオンが加速グリッドにより加速されるプラズマが、
約500V以下の低い電位であり、動作時に加速グリッドへ
の損傷の危険性を最小限にするために低電位(即ち、約
500V以下)において達成されるイオンビーム内において
2〜5mA/cm2のオーダーの高電流密度を許可するような
均一密度を有するようなイオン銃を提供する事が望まし
い。
13.56MHz、又はその倍数の周波数等、市販用の条件に
合った高周波を用いてプラズマが効率よく生成され、結
果として生成されるプラズマが、高密度、密度の十分な
均一性、及び比較的低いプラズマ電位という望ましい性
質を有するイオン銃を提供する事が更に望ましい。
プラズマを生成するために熱カソードを用いず、これ
により、反応性ガスを供給可能としたイオンビーム中和
器を提供する事が更に望ましい。
よって、本発明は、上述の狙いが十分に達成されるよ
うな様式で動作可能なイオン銃を提供しようとするもの
である。
本発明は更に、反応性ガスを安全に利用する事が出来
るイオンビーム中和器の新規構成を提供しようとするも
のである。
本発明によれば、 (a)第1の端部と第2の端部とを有する排気可能チャ
ンバを定める壁手段と、 前記排出可能チャンバの第1の端部を横切って延びる
誘電性部材と よりなるプラズマチャンバと、 (b)チャンバへのプラズマ生成ガスの注入を許容する
ガス注入口手段と、 (c)イオン銃の使用時にプラズマチャンバ内のガスに
おいてプラズマを誘導的に発生させる、誘電性部材と組
み合わされた高周波放射手段と、 (d)正の電圧源へ接続する為に配置された第1のグリ
ッドと、負の電圧源へ接続する為に配置された第2のグ
リッドとを含み、これらにより、第2のグリッドへ向か
うと共にこれを通過するようにイオンを加速させるため
の加速場を生成し、プラズマチャンバ内のプラズマから
イオンを抽出する制御グリッド構造物と よりなるイオンビーム生成用のイオン銃が提供される。
本発明は更に、 (1)真空チャンバと、 (2)この真空チャンバ内へイオンビームを出射するた
めに配置されたイオン銃と、 (3)イオンビーム内へ電子を出射するために配置され
たイオンビーム中和器と、 (4)イオンビームの経路内のターゲット又は基板のた
めの支持手段とよりなり、前記イオン銃が、 (a)第1の端部と第2の端部とを有する排出可能チャ
ンバを定める壁手段と、 前記排出可能チャンバの第1の端部を横切って延びる
誘電性部材とよりなるプラズマチャンバと、 (b)プラズマチャンバへのプラズマ生成ガスの注入を
許容するガス注入入口手段と、 (c)イオン銃の使用時にプラズマチャンバ内のガスに
おいてプラズマを誘導的に発生させる、誘電性部材と組
み合わされた高周波放射手段と、 (d)正の電圧源へ接続する為に配置された第1のグリ
ッドと、負の電圧源へ接続する為に配置された第2のグ
リッドとを含み、これらにより、第2のグリッドへ向か
うと共にこれを通過するようにイオンを加速させるため
の加速場を生成し、プラズマチャンバ内のプラズマから
イオンを抽出する制御グリッド構造物と を含むイオンビーム生成装置を提供する。
本発明のイオン銃においては、プラズマチャンバ内に
てプラズマを生成するだめに誘導高周波結合が用いられ
ている。その結果として生成されたプラズマは一般に、
プラズマチャンバの電位又はその内部表面の最高電位よ
りも数十ボルト以上に高くなることがないプラズマ電位
を呈する。これは、プラズマを生成するために容量高周
波結合を用い、数百ボルトのプラズマ電位を有するプラ
ズマを形成する、従来構成のイオン銃の多くのものとは
対照的である。
壁手段は導電性材料により構成されても良い。しかし
ながら、例えば、金属イオン汚染物質によるイオンビー
ムの汚染のいかなる可能性をも回避したい場合には、壁
手段を導電性材料により構成すれば良い。
このイオン銃は更に、イオン銃の使用時にプラズマチ
ャンバの壁に隣接する電子を捉える為の一次磁石手段を
含んでも良い。このような一次磁石手段は、プラズマチ
ャンバ内に磁力線を生成するために配列された一列の磁
石よりなるものであり、その磁力線は、前記プラズマチ
ャンバの複数の壁領域、例えば、プラズマチャンバの壁
のほぼ縦方向に延びる領域の各々を越えてアーチ状に形
成されるようにプラズマチャンバの壁から曲線状に延び
て同壁へ戻る。希土類磁石が好ましく用いられる。
ある配置において、前記一次磁石手段は、前記プラズ
マチャンバの外周のまわりに延びる少なくとも1列を含
むアレイ内において整列された偶数個の磁石よりなり、
前記アレイ内における各々の磁石が、それらの磁軸がほ
ぼ水平面内において延びるように配置されると共に、プ
ラズマチャンバに面する隣接の磁石の極性と正反対の極
性の極を有している。プラズマチャンバのほぼ長手方向
に沿って長手寸法が配置され、好ましくは、チャンバ軸
にほぼ平行で、磁軸が磁石の最短寸法に配列された、1
列の棒磁石がある。このような配置は、或る磁石のN極
からこれに隣接する磁石のS極へと磁力線がアーチを形
成し、それらの磁力線のアーチの各々が、チャンバ軸に
対してほぼ平行に延びているプラズマチャンバの長手方
向の対応壁領域を越えて延びる、といった磁場をプラズ
マチャンバ内に生成する。
他の配置において、磁石の配列は、前記プラズマチャ
ンバの外周面のまわりに延び複数列の磁石よりなり、そ
の一列における各々の磁石は、プラズマチャンバに面す
る他の隣接列におけるどの隣接する磁石の極に対しても
正反対の極性の極を有する。このような配置は、チェッ
カー盤において交互に設けられた白及び黒のます目をそ
れぞれN極とS極とに置き代えたようなものであると考
える事が出来る。この種の典型的な配置において、例え
ば、約3列から約15列の磁石、好ましくは、約5列から
約10列の磁石がある。
アレイにおける一次磁石の個数は、普通は偶数であ
る。よって、通常は、1列中に、或いは1列以上ある場
合にはその各々の列中に、偶数個の磁石がある。一般に
は、1列、又は各々の列は、約10から約60の磁石を含ん
でいる。磁石の数は、通常はプラズマチャンバの大きさ
によって選択される。小さなプラズマチャンバには、普
通、大きなプラズマチャンバよりも少ない数の一次磁石
が組み込まれている。
凹状又は皿状の誘電性部材を用いて、それがプラズマ
チャンバの前記第1の端部上に延在するようにし、プラ
ズマチャンバのこの端部に誘電性部材により形成された
空洞が存在するようにすることも可能であるが、この場
合には、出切る限り誘電性部剤を平坦に近くして用いる
事が好ましい。よって、誘電性部材の中くぼみは最小限
である事が望ましい。しかしながら、真空装置の一体性
が保たれるということと、動作の際に誘電性部材の両端
に働く差圧による誘電性部材の破壊の全危険性とが回避
されることが保証されなければならないので、誘電性部
材の中くぼみを全て無くすということは実際的でない。
好ましくは、誘電性部材と組み合わされた高周波放射
手段は、誘電性部材に隣接して置かれた、又は誘電性部
材に埋め込まれた、コイルを含むものである。よって、
このコイルは好ましくは平坦であり、又、出来る限り平
坦に近いものが実際的である。このようなコイルは、例
えば、銅等の導電性材料からなるチューブ形状を有し、
その中に水等の冷却剤を通すことが出来る。これは、好
ましくは渦巻コイルよりなるものである。
この好ましい構成により、比較的高い周波数のr.f.信
号、例えば、13.56MHzの信号を効率よく利用する事が可
能となった。プラズマチャンバ内おけるプラズマ密度の
最適化は、プラズマが高周波誘導駆動プラズマチャンバ
内で生成されている場合には、電源周波数及び用いられ
ている付勢コイルのデザインの関数となる。好ましいほ
ぼ平坦な渦巻放射コイルを用いた場合、次に示すような
利点がある。
1.イオン化電子のプラズマループ電流に対するインダク
タンスを適度に低く保つことが出来る。これは、ガスの
衝突間に電子により獲得されたエネルギーがそれらの最
適条件をはるかに越えたイオン化断面積をとるような値
へ誘導電場が達するのを防止する。
2.壁への損失が最小限となる。
3.プラズマループから渦巻状に出射された高エネルギー
イオン化電子が電極構造物内に含まれる。その効果は、
付勢コイルを通過する重ねられた磁気双極場により更に
増す。
4.プラズマループ電流全体をイオン抽出グリッドに向か
って押し下げようとする電気力学的な力がある。
5.駆動コイルのQファクターが適度に高く、これは電源
効率が高いことを意味する。
一般に、誘電性部材と組み合わされた高周波放射手段
は高周波電源へ接続されるように配置されており、この
高周波電源は、約1MHzから約45MHzまでの範囲の周波
数、例えば、約2KHzで動作し、又は、より好ましくは、
この周波数の範囲内において産業上で割当てられた周波
数帯のうちの或る周波数、例えば、13.56MHz、又は27.1
2MHz、或いは40.68MHzで動作する。
十分な抽出ビーム電流密度に必要とされるイオン密度
において、大部分のプラズマは良導体として機能し、こ
れにより、高周波電磁場に対して低い浸透厚さを有す
る。これは、誘導結合については、誘導電流が、主とし
てプラズマの表面にあり駆動コイルに近い回路内を流れ
ることを意味する。プラズマが誘導電流に対して示すイ
ンピーダンスは、インダクタンス及びレジスタンスの直
列の組合わせにより示され、従って、プラズマループ駆
動電圧、即ち、誘導電場の線積分は、時間領域において
互いに90゜をなす2つのベクトルの和である。プラズマ
浸透厚さ内の初期イオン化電子は、この場により加速さ
れ、理想的には、獲得される平均エネルギーは、それら
のエネルギーの関数である電子イオン化断面積が最大値
をとるようなものとすべきである。不利なジオメトリー
及びその他の結果として、誘導電場が大きすぎる場合に
は、電子は衝突の前に非常に大きなエネルギーを獲得す
るので、それらの断面積は低い値に落ち、電源の入力に
かかわらずイオン化が低下するという結果になる。特別
な動作条件については、電場の抵抗成分と誘電成分との
間に正しい平衡が必要となり、よって、誘導成分は大き
すぎてはならない。13.56MHzにおいてソレノイド付勢コ
イルを用いた場合、プラズマ誘導リアクタンスは非常に
高くなるが、比較的小さい渦巻コイルについては、プラ
ズマ誘導リアクタンスはより小さくなる。
平坦な渦巻コイルは、プラズマにさらされる全表面積
をかなり縮小させ、これがプラズマチャンバの壁に対す
る電子の損失を減少させるということが更なる利点であ
る。
更に、駆動コイルを一次コイルとし、プラズマ回路を
二次コイルとして形成された結合トランスの総合電源効
率は、 という式により与えられるという事が示される。ここ
で、kは結合係数、Qは一次及び二次回路の性質係数を
示し、例えば、 であり、Qpはレジスタンスに対するコイルの誘導リアタ
ンスの比である。任意のプラズマ条件における最大効率
は、k2Qpが可能な限り高い場合に達成され、kは、他の
制約が許す限りコイルをプラズマの近くへ配置する事に
よって最大となり、この場合には、駆動コイルQpは熱
“暴走”を発生させる程低い値に落ちてはならない。こ
の熱暴走は、コイルが、最適状態に巻かれておらず、又
は水冷でない場合に発生し、これにより、銅の温度係数
が正である結果として、コイル温度の上昇が交流レジス
タンス の上昇を生み、これにより更に温度が上昇す。この場
合、交流レジスタンス の増加につれてQpが低下し、供給電力のほとんどがプラ
ズマにエネルギーを与える代わりにコイルの加熱に費や
されてしまう為、駆動トランスの効率が低下する。単純
なコイル構造は常に大きなQ値を生み、そして、大きな
ソレノイドよりも小さいQを有するものではあるが、渦
巻コイルもその例外ではない。
ソレノイドと比較した場合における渦巻コイルの他の
利点は、第1に、駆動コイルを流れる電流により電気力
学的な力がプラズマに働いてプラズマがビーム抽出グリ
ッドへ向かって押されるということ、又、プラズマチャ
ンバがコイルよりも大きいと考えれば、プラズマ電流ル
ープから渦巻状に出射された高エネルギー電子は、シス
テム内により良く保持されるということである。
渦巻駆動コイルの幾何学的形状を適宜選択することに
より、及び、プラズマチャンバ内の磁場強度又は磁場分
布を変更することにより、Ar、O2又はN2等の様々なガス
に対応して放電の励起を正しく調整することが可能とな
る。
好ましい形態において、本発明に基づくイオン銃は更
に、高周波付勢コイル又は他の形態の高周波放射手段を
通過する磁気双極場を生成する為に、高周波放射手段と
組み合わされた二次磁石手段を含むものである。
これ以降において三次磁石手段と呼ばれる更なる磁石
手段を設け、前記一次磁石手段の多極アレイにより生成
された磁場の頂点には、より長範囲の軸方向の場を重ね
ることもまた可能である。このような三次磁石手段は、
例えば、プラズマチャンバの軸とほぼ一致させて、又は
ほぼ平行に軸が並べられたプラズマチャンバを取り囲む
電磁場という形態をとることが可能である。
本発明のイオンビーム装置においては、高周波エネル
ギー源により電源が供給されてイオンビーム内へ出射さ
れる電子ビームを生成するイオンビーム中和器を利用す
ることが好ましい。好ましくは、そのような高周波エネ
ルギー源は、イオン銃の高周波生成手段と同一数波数で
作動する。
本発明は更に、誘電性部材よりなる壁を有して端部が
開放されたプラズマ源チャンバと、プラズマ源チャンバ
へのプラズマ生成ガスの注入を許容する手段と、プラズ
マ源チャンバを取り囲んでその内部にプラズマを発生さ
せる高周波生成コイルと、プラズマ源チャンバの開放端
部を横切って配設され、負の電圧源へ接続する為に配置
された第1のグリッドと、正の電圧源へ接続する為に配
置された第2のグリッドとを含み、これらにより、第2
のグリッドへ向かうと共にこれを通過するように電子を
加速させるための加速場を生成する、抽出グリッド構造
物とよりなるイオンビーム中和器を提供する。このよう
なイオンビーム中和器は、プラズマ生成ガスとして、不
活性ガス、反応性ガス、又は不活性ガスと反応性ガスと
の混合気が使用可能である。
本発明が明確に理解されるように、又、容易に実施さ
れるように、いくつかのイオンビーム生成装置の好まし
い形態が、例示としてのみ、添付する幾分概略した図面
を参照してここで説明されている。それらの図面におい
て、 図1はイオンビーム生成装置を示す縦断面図、 図2は図1の装置におけるイオン銃の上部を示す平面
図、 図3は図1及び図2の装置におけるプラズマチャンバ
を示す部分横断面図、 図4は図3の一部を示す拡大図、 図5は図1ないし図4の装置における一次磁石アレイ
を示す側面図、 図6は図1ないし図5の装置における制御グリッド構
造物を示す部分拡大縦断面図 図7は図1及び図2に示したイオン銃における二次磁
石により生成された磁場を示すイオンビーム生成装置の
部分縦断側面図、 図8は本発明に基づき構成された第二のイオン銃を示
す縦断面図、 図9は図8のイオン銃の平面図、 図10及び図11はそれぞれ、図9のA−A及びB−B断
面図、 図12及び図13はそれぞれ、図8のイオン銃の本体の部
分切断側面図及び平面図、 図14及び図15はそれぞれ、図12のC−C及びD−D断
面図、 図16は図8のイオン銃の本体の一部を示す拡大断面
図、 図17は高周波放射コイルを形成するチューブの軸を示
す概略図、 図18及び図19はそれぞれ、高周波放射コイルの断面図
及び側面図である。
図1ないし図7において、イオンビーム生成装置1
は、(図面において2と示されている)真空チャンバの
上方にイオン銃3が設けられてなるものである。イオン
銃3は、端部が開放されると共に下側の端部が制御グリ
ッド構造物により閉鎖されているプラズマチャンバ5の
上部にプラズマチャンバ生成器4が配設されてなるもの
である。イオンビーム中和器7は、イオン銃3の下端部
から発生したイオンビーム8を中和する為、真空チャン
バ2の内部に配設されている。ターゲット9はイオンビ
ーム8の経路内に配置されている。
プラズマ生成器4は、プラズマチャンバ5の上部の開
放端部を閉鎖する誘導性部材よりなるものである。ま
た、矢印11で示されるように、幾つかのガス注入ノズル
が設けられており、それらを通って、アルゴン等のプラ
ズマ生成ガス、又はプラズマ生成ガスと酸素等の反応性
ガスとの混合気がプラズマチャンバ5へ注入可能であ
る。高周波コイル12は、誘電性部材10の上部に配設され
ると共に、例えば、13.56MHz等の周波数で動作する適当
な高周波電源に接続されている。磁石13,14は、以下で
更に説明される目的の為に設けられている。
プラズマチャンバ5は、端部が開放されている金属製
の本体15よりなり、この本体15は、アルミニウム又はア
ルミニウム合金あるいは他の導電性非磁性材料により形
成され、その内部には複数の一次棒磁石16が配設されて
いる。組立作業を簡単にする為、本体15は2つの部分、
即ち、内側部分17及び外側部分18により形成され、それ
らの間に一次棒磁石16が配置されている。
図3からわかるように、32本の一次棒磁石16が内側部
分17の円筒状の外面に縦方向に固定されている。この一
次棒磁石16には、好ましくは、入手可能な最も強い磁
石、例えば、サマリウム−コバルト磁石のような希土類
磁石が用いられる。一般に、そのような磁石は、1〜2K
ガウスのオーダーの磁場強度を呈する。図3に示したよ
うに、32本の一次棒磁石がある。しかしながら、より多
くの又はより少ない本数の一次磁石、例えば、30本又は
それより少なく(例えば、24本)、或いは、40本又はそ
れより多く(例えば、48本)の一次磁石を用いることが
でき、これらの一次磁石は、常に偶数本の一次棒磁石16
があることになっている。このような一次棒磁石16は、
内側部分17の外側の外面の周りに均等に間隔をおいて配
設されており、それらの一次棒磁石16の最長寸法は、プ
ラズマチャンバ5の軸に対してほぼ平行に配置されてい
る。しかしながら、図4に示すように、一次棒磁石16の
磁軸は、プラズマチャンバ5に対して放射状に整列され
ており、そのため、それらの一次棒磁石16の(図4にお
いてそれぞれN及びSとして示されている)各々のN極
及びS極は、それらの最短寸法の方向において分離され
ており、この一次棒磁石16は、内側部分17の外面の周り
に磁極が交互に配置されている。
一次棒磁石16の上方には環状の溝19があり、下方には
同様の環状の溝20がある。これらの溝19,20は、隣接す
る一次棒磁石16同士の間の空間を介してその一方と他方
とが連絡する。溝19,20及び空間21は、冷却剤の液体
(例えば、水)の為の流路を形成し、これにより、使用
時に一次棒磁石16及び本体15を冷却することが出来る。
参照番号22及び22aは、環状部分23に設けられている冷
却剤供給/排出用導管を示している。バッフル24,25は
溝19,20内に設けられており、図5に示すように、冷却
剤の液体を所定の流路に従わせるためのものである。
図4は、一次棒磁石により生成された磁力線26を示す
ものである。これらの磁力線26は、本体5の軸に対して
平行に延びる領域28を越えるアーチ状に、本体15の内側
表面からプラズマチャンバ5内の空洞27へと延びて空洞
27の壁へと戻る。
図1に戻ると、プラズマチャンバ5の下側の端部は、
制御グリッド構造物6により閉鎖されており、この制御
グリッド構造物6は、図6において大きく拡大されてよ
り詳細に示されている。制御グリッド構造物6は2つの
グリッド29,30よりなり、その各々には整列された孔31,
32が形成されている。グリッド29が正にバイアスされる
と共にグリッド30が負にバイアスされ、これにより、グ
リッド30に向かってこれを通過するように電子を加速さ
せる為の加速場がグリッド29,30の間に設定される。こ
のようなグリッドは、モリブテン又はモリブテン合金あ
るいはカーボン・シートにより製造することが出来る。
一般に、グリッド29は、その使用時に0〜約1000Vの正
電圧を有し、この際、グリッド30に0〜約2000Vの負電
圧が印加される。
ここで、イオンビーム中和器7を振り返ってみると、
矢印33によって示されるように、通路34を通って中空の
絶縁された電極アセンブリ35内へアルゴン又は酸素等の
ガスが供給される。電極アセンブリ35の開放端部は、一
対のグリッド36,37により閉鎖されている。高周波発生
コイル38が電極アセンブリ35を囲んでいる。好ましく
は、これは、高周波発生コイル12と同一の周波数、例え
ば、13.56MHzにおいて駆動される。グリッド36は負にバ
イアスされ、この際、グリッド37は正にバイアスされ、
これにより、グリッド37に向かってこれを通過するよう
に電子を加速させる為の加速場がグリッド36,37の間に
設定される。
図2は高周波生成コイル12に比較した任意選択の二次
磁石13,14の位置を示す平面図である。これらの二次磁
石13,14は、付勢コイル12を通過する磁気双極場を生成
する。その磁場の形状が図7に概略的に示されている。
図7から分かるように、二次磁石13,14は、N極及びS
極の何れかが誘電性部材10に面するように、又、磁力線
47が高周波生成コイル12を通過して誘電性部材10の内側
面を越えてアーチを形成するように整列された磁軸を有
する。
参照番号48は、コイル12に接続された高周波電源を示
し、それは又コイル38に接続されている。その代わりに
なるべきものとし、コイル38は、それ自身の独立した高
周波電源を有することも出来る。線49,50はそれぞれ、
電極17及びグリッド29の為の正電圧供給経路を示してい
る。好ましくは、電極17及びグリッド29は等しい正電位
である。参照番号51は、グリッド30に負のバイアス電圧
を供給する為の負電圧供給経路である。
真空チャンバ2は、通路53を介してこの真空チャンバ
2に接続された適当な真空ポンプシステム52により排気
可能になっている。
イオンビーム生成装置1を使用する場合、真空チャン
バ2は、一般に、約10-3Pa(約10-5mmbar)から約10-5P
a(約10-7mmbar)の圧力まで排気される。アルゴン等の
プラズマ生成ガス、反応性ガス、又はプラズマ生成ガス
及び反応性ガスの混合気、例えば、又はO2、Cl2、SF6
CF4、C2F6、或いはC2F6/CHF3混合気が注入口11を介して
注入される。このプラズマは、最大で数十ボルトのプラ
ズマ電位を有し、例えば、グリッド29の電圧よりも+10
ボルト高く、普通は電極17と同一電位である。放出され
た電子は、磁力線26の傍らの領域28内へ捉えられる。グ
リッド29は約100Vの正電圧にバイアスされ、その際にグ
リッド30は約1000Vの負電圧にバイアスされる。空洞27
内のイオンは、グリッド29へ向かってそれを通過するよ
うに加速され、次いでグリッド29及びグリッド30間の電
場により更に加速されて、所定エネルギーを有する視準
イオンビーム8となる。グリッド30の通過後、接地され
たターゲット9へと飛んで行くイオンは減速場に入る。
接地されたターゲット9に到着したイオンは、第1の正
電圧にバイアスされたグリッド29にシース電位を加えた
電圧と等しい、又はほぼ等しいエネルギーを有する。よ
って、プラズマ内に突っ込まれているグリッド29に+10
0Vのバイアスが適用された場合には、どんなに高い負電
圧が第二のグリッド30に適用された場合にも関わらず、
イオンは約110Vの電位を有してターゲット9に到着す
る。
アルゴン等のプラズマ生成ガス、又は反応ガス、或い
はプラズマ生成ガスと反応性ガスとの混合気は、チュー
ブ34を介して約1cm3/分から約5cm3/分の割合でイオンビ
ーム中和器7へ注入可能であり、普通はこの範囲の最高
値にて注入される。高周波生成コイル38は、電子の放電
を開始させるために駆動される。電子の放電が一度開始
された場合には、チューブ33内におけるガス流量を約1c
m3/分に減少させ、次いで約20Vから約40Vの維持電位を
用いることにより、その放電を持続させることが出来
る。
コイル12からの高周波信号の作用下において、注入口
11を介して供給されたガスは分離されてプラズマチャン
バ5内にイオンのプラズマ及び自由電子を形成し、磁力
線26の傍らのプラズマチャンバ5の壁に隣接して電子が
捉えられる際、イオンがプラズマチャンバ5の中央部分
を満たす。プラズマチャンバ5内における磁気拘束領域
28からの高周波生成コイル12の幾何的分離の為、プラズ
マチャンバ5の中央部分におけるプラズマはほぼ均一で
あり、比較的低いプラズマ電位を有する。このことは、
このプラズマからイオンを抽出し、このイオンを制御グ
リッド構造物6へ向かってこれを通過するように加速す
るために、比較的低い加速電位のみが必要とされるとい
うことを意味する。これにより、制御グリッド構造物
6、特にグリッド29のオーバーヒート又はその損傷の危
険性が最小限となる。
イオンビーム中和器7は、電子流をイオンビーム8の
経路内へ送り、ターゲット9において電流中和を提供す
る。
プラズマを生成するために熱カソードが用いられない
ので、図示された装置は、あらゆる種類の不活性ガス又
は反応性ガスを用いることが出来る。使用可能な一般的
なガスは、アルゴン、O2、Cl2、SF6、CF4、C2F6、及び
それらの2種類又はそれ以上の混合気を含む。
図示されるように、イオンビーム生成装置1は、イオ
ンビームミリング用に設定されている。この装置をスパ
ッタリングを行うように変更することは簡単であり、こ
の場合、基板9がターゲットと置き換えられ、このター
ゲットが斜めの角度でイオンビーム8に衝突されるよう
に配置されると共に、あとに続くスパッタ材料の経路内
で、イオンビームの経路外に位置決めされる。
図8は本発明に基づいて構成された他の形態のイオン
銃100の縦断面図である。このイオン銃100は、オーステ
ナイト系ステンレス鋼により形成された本体101を含む
もので、その周りには20本の棒磁石102が配設されてお
り、これらの棒磁石102は、イオン銃100の外面に対称的
に配置されている。(この実施例においては、本体101
の直径が図1ないし図7に示したイオン銃の直径よりも
小さいので、図1ないし図7に示したものよりも更に幾
つかの磁石がある。)一般に、棒磁石102は、サマリウ
ム−コバルト磁石のような希土類磁石であり、1kガウス
〜2Kガウスの範囲内の磁場強度を呈する。図8から分か
れるように、各々の棒磁石102の磁軸は、イオン銃100の
軸に対して放射状に位置すると共に、棒磁石102の最短
寸法の方向に一致するように整列されている。棒磁石10
2は、イオン銃100の外面の周りに極性が交互になるよう
に配置され、図8に示す磁石に隣接する両側の磁石はイ
オン銃100の軸に対してそのN極(S極ではない)が面
し、それらの次の隣接する磁石はイオン銃100の軸に対
してそのS極が面しており、他も同様である。軟鉄又は
軟磁性材料により形成された磁極片103が本体101及び棒
磁石102を取り囲んでいる。
本体101は開放上端部を有し、この開放上端部は、ア
ルミナにより形成された誘電性の端板104により閉鎖さ
れている。この誘電端板104は、その代わりに、けい石
粉等の他の誘電性材料により形成することも出来る。端
板104の上方には、4回巻の渦巻状銅製チューブにより
形成された高周波生成コイル105がある。(図面を明快
にするため、図9において高周波生成コイルのコイルが
省略されているが、この高周波生成コイル105の構成
は、後述されるように、図17ないし図19においてより詳
細に示されている。)高周波生成コイル105を通って水
が注ぎ込まれ、高周波生成コイル105が冷却される。高
周波生成コイル105の端部は、参照番号106及び107によ
り示されている。
トップリング108は、端板104を所定位置において保持
し、更に高周波生成コイル105の為のクランプ109を支持
する。トップリング108は六角孔付きボルト110により所
定位置に保持されている。Oリング111は、端板104とト
ップリング108との間をシールする為に設けられてい
る。
イオン銃100は真空チャンバ内に配設されている。こ
の真空チャンバは、参照番号112により示され、図1な
いし図8の装置の真空チャンバ2に類似しており、一般
的に真空チャンバ2に類似している。特に、この真空チ
ャンバは、真空ポンプ(図示せず)に接続され、及びイ
オンビーム中和器(図示せず)に据え付けられ、更にタ
ーゲット(図示せず)を備えて提供される。イオン銃
は、スペーサ113と、クランプ114と、ボルト115によ
り、真空チャンバ112の本体へ据え付けられる。Oリン
グ116は、磁極片103とスペーサ113との間を真空にシー
ルする為に設けられている。図12ないし図15は、本体10
1の構成をより詳細に示している。この本体101は、その
外側面に形成された20個のスロット117を有し、それら
の各々は、対応する棒磁石102を受容する為に適合され
ている。本体101の下端部には、機械加工された幾つか
の短い溝118があり、全部で5つで、本体101の外面の周
りに等間隔に配設されている。本体101の上端部にもま
た、4つの溝119があるが、これらは溝118とはオフセッ
ト位置にある。縦穴120は溝118,119に接続されている。
穴121,122は、溝118,119及び穴120により提供される曲
がりくねった経路への注入及び排出経路を提供する。図
8から分かるように、溝118は、本体101の下端部に溶接
されている分割リング123、及び溝119から閉鎖する為に
本体1901の上端部内へ溶接された(図13に示されてい
る)挿入板124により閉鎖されている。この場合、水等
の冷却材用の閉鎖された通路は、本体101を介し、隣接
する複数対の棒磁石102の間を通る曲がりくねった経路
をたどって形成されている。注入及び排出接続部125,12
6は、穴121及び穴122との接続を行う為に提供されてい
る。
本体101は、その下端部で制御グリッド構造物を支持
しており、この制御グリッド構造物は、第1のグリッド
127及び第2のグリッド128を含むものである。グリッド
127は、本体101へ直接にボルト留めされており、そこに
電気的に接触している。グリッド128は、絶縁体の支持
部129(その1つのみが示されている)により、本体101
の外面の周りに3点で支持されている。このグリッド12
8は、リード線131によりターミナル130へ接続されてお
り、このリード線131は、絶縁柱132を通り、次いで穴13
4に取り付けられている絶縁チューブ133を通っている。
又、このリード線131は、グリッド127の穴に配置された
スペーサ136を通るフィードスルー135により、グリッド
128へ電気的に接続されている。ナット137及びワッシャ
138を用いてグリッド128への接続が完了する。この配置
のグリッド127は本体101の電圧を併用し、この際、グリ
ッド128は適切な負電圧をターミナル130へ適用すること
により、独立してバイアスすることが出来る。
図8及び図10及び図11及び図12より分かるように、本
体101は、誘導性部材104の縁の下側に位置決めされた溝
139を有する。この溝139は、横断斜め穴140(図16参
照)により更なる穴141と連絡されている。参照番号142
は、穴140の外側端部を閉鎖するプラグを示している。
プラズマ生成ガス供給用の(図9に示されている)接続
部143は、穴140へねじ込まれる。そのようなプラズマ生
成ガスは、誘電性部材104の下側の(図16においてより
明確に示されている)隙間145を介して溝139から漏出す
ることにより、本体101内のプラズマチャンバ144へ入る
ことができる。
図8及び図9における参照番号146は、本体101は、又
これによりグリッド127へ適切な電圧を、普通は正電圧
を適用する為に用いられるターミナルを示している。
図17ないし図19は、渦巻状の高周波生成コイル105の
構造をより詳細に示している。この高周波生成コイル10
5のチューブの軸のみが、図17において描かれている。
高周波生成コイル105は、端部106と端部107との間にお
いて4回巻かれている。
図8ないし図19のイオン銃を使用する場合、注入接続
部125及び排出接続部126によって水がコイル105及びボ
ディ101内の曲がりくねった経路を通過し、真空チャン
バ112が、適切な低気圧、例えば、約10-3Pa(約10-5mmb
ar)から約10-5Pa(約10-7mmbar)の圧力まで排気を行
う。ボディ101は適切な電圧、例えば、+100Vにバイア
スされ、この際、グリッド128は、例えば、−500Vにバ
イアスされる。次いで、アルゴン又はアルゴンと反応性
ガス(例えば、酸素)との混合気等のプラズマ生成ガス
が注入口143を介して真空チャンバ112内へと抽気され、
この際、約1Pa(約10-3mmbar)から約10-3Pa(約10-5mm
bar)の範囲内の圧力が維持される。適切な高周波、例
えば、13.56MHzをコイル105へ適用することにより、プ
ラズマチャンバ144内でプラズマが生成される。このプ
ラズマは一般に、ボディ101及びグリッド127の電位より
10V程度高いプラズマ電位にて平衡に達する。熱拡散に
よりグリッド127の付近へ、又はグリッド127を通過して
移動したと思われるイオンは、2個のグリッド127,128
の間の電位差(例えば、約600V)により生成された電場
により、グリッド128へ向かってこれを通過するように
加速される。グリッド128の通過後、イオンは真空チャ
ンバ112内を、普通は接地されているターゲット(図1
のターゲット9に類似するが、図示せず)へ向かって移
動する。図1のイオンビーム中和器7に類似するイオン
ビーム中和器(図示せず)は、真空チャンバ112内に配
設されても良い。グリッド128は更に、グリッド128を通
り抜けたイオンがターゲットに衝突する前に通過しなけ
ればならない減速場を生成する。このようにして、適切
なビーム電圧を有するイオンビームが、普通は上述の配
置内におけるボディ101の電圧とほぼ一致する電圧を有
するイオンビームが、生成される。
図示したイオン銃は、不活性ガスイオンビームエッチ
ングに、又は反応性ガスイオンビームエッチングに、或
いはプラズマチャンバ及びイオンビーム中和器へ供給さ
れるガスまたは混合ガスを適切に選択することにより化
学補助イオンビームエッチングに用いることが出来ると
いうことが当業者により理解されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デイヴィス,マーヴィン,ホワード イギリス国ウェスト・サセックス・ピー オー19・2アールキュー,チチェスタ ー,ドニングトン,クロイ・クローズ・ 1 (72)発明者 プラウドフット,ギャリー イギリス国オックスフォードシャー・オ ーエックス12・8ピーエス,ウォンテー ジ,アーディングトン・24 (72)発明者 ベイリス,キース,ホワード イギリス国オックスフォードシャー・オ ーエックス14・2エイジェイ,アビンド ン,ドーチェスター・クレセント,ラッ シュコモン・ハウス (番地表示なし) (56)参考文献 特開 昭62−63179(JP,A) 特開 昭63−96840(JP,A) 特開 昭61−138432(JP,A) 特開 昭63−88740(JP,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンビーム生成用のイオン銃(3,100)
    であって、 (i)一方の端部に誘電性の壁を有すると共に前記一方
    の端部と反対側の他方の端部に電極(29,30)を有し、
    前記電極(29,30)が正の電源に接続される第1のグリ
    ッド(29,127)と接地又は負の電源に接続される第2の
    グリッド(30,128)を含み、前記第2のグリッド(30,1
    28)へ向かうと共にこれを通過するようイオンを加速す
    る加速場を生成するプラズマチャンバ(5)と、 (ii)前記プラズマチャンバ内にプラズマを生成すべく
    前記誘電性の壁に隣接して配置されたほぼ平坦なコイル
    (12,105)を含む高周波誘導手段とからなり、 前記プラズマチャンバ(5)が開放した端部を有する導
    電性の非磁性材料の本体(15,101)からなり、この本体
    の一端が平坦な又は僅かに湾曲した誘電性部(10,104)
    により閉じられて前記誘電性の壁が形成されており、前
    記イオン銃(3,100)が、前記イオン銃(3,100)の使用
    時に前記プラズマチャンバ(5)の壁に隣接して電子を
    捕捉すべく前記本体(15,101)の周囲に配設された一次
    磁石手段をさらに含むことを特徴とする、イオン銃。
  2. 【請求項2】前記誘導性部材(10,104)が平坦であるこ
    とを特徴とする、請求項1のイオン銃(3,100)。
  3. 【請求項3】前記コイル(12,105)が前記誘電性部材
    (10,104)の外側に隣接し、又は前記誘電性部材(10,1
    04)に埋設されていることを特徴とする、請求項1又は
    2のイオン銃(3,100)。
  4. 【請求項4】前記コイル(12,105)が約1MHzから約40MH
    zの範囲内の周波数で動作するよう構成されていること
    を特徴とする、請求項1から3の何れかのイオン銃(3,
    100)。
  5. 【請求項5】前記一次磁石手段が、前記プラズマチャン
    バ(5)の前記壁の複数の領域のそれぞれについてアー
    チを形成するよう前記プラズマチャンバ(5)の前記壁
    から曲線状に延出し再度前記壁へと戻る磁力線を前記プ
    ラズマチャンバ(5)内に生成するよう配置された、磁
    石(16,102)の配列からなることを特徴とする、請求項
    1から4の何れかのイオン銃(3,100)。
  6. 【請求項6】前記複数の領域の各々が前記プラズマチャ
    ンバ(5)の一方の端部から他方の端部へと前記プラズ
    マチャンバ(5)の壁の長手方向に延びることを特徴と
    する、請求項5のイオン銃(3,100)。
  7. 【請求項7】前記一次磁石手段が、前記プラズマチャン
    バの周囲に延びる少なくとも一列を含む配列でもって配
    置された偶数個の磁石(16,102)からなり、前記配列中
    の各々の磁石(16,102)が、それらの磁軸がほぼ水平面
    内において延びるように配置されると共に、前記プラズ
    マチャンバ(5)に面する隣接の磁石の極性と反対の極
    性を有することを特徴とする、請求項5又は6のイオン
    銃(3,100)。
  8. 【請求項8】前記磁石(16,102)の配列が、プラズマチ
    ャンバの周囲に延びる複数列の磁石からなり、各列中の
    磁石の各々が、前記プラズマチャンバ(5)に面する他
    の列中における隣接の磁石の極性に対して反対の極性を
    有することを特徴とする、請求項7のイオン銃(3,10
    0)。
  9. 【請求項9】前記高周波誘導手段のコイル(12)と組み
    合わせられ、前記コイル(12)を貫通する磁気双極場を
    生成する二次磁石手段(13,14)をさらに含む、請求項
    1から8の何れかのイオン銃(3,100)。
  10. 【請求項10】(1)真空チャンバ(2)と、 (2)前記真空チャンバ(2)内へイオンビームを出射
    するイオン銃(3)と、 (3)前記イオンビーム中に電子を出射するイオンビー
    ム中和器(7)と、及び (4)前記イオンビームの経路内に置かれるターゲット
    (9)又は基板の支持手段とからなり、前記イオン銃
    (3)から請求項1から9の何れかのイオン銃であるこ
    とを特徴とする、イオンビーム生成装置(1)。
  11. 【請求項11】前記イオンビーム中和器(7)が高周波
    電源(38)により付勢されていることを特徴とする、請
    求項10のイオンビーム生成装置(1)。
  12. 【請求項12】前記イオンビーム中和器(7)が、端部
    が開放されたプラズマ源チャンバ(35)と、前記プラズ
    マ源チャンバ(35)へとプラズマ生成ガスの注入を許容
    する手段(34)と、前記プラズマ源チャンバ(35)を取
    り囲みその内部にプラズマを発生させる高周波生成コイ
    ル(38)と、前記プラズマ源チャンバ(35)の開放端部
    を横断すると共に負の電源に接続される第1のグリッド
    (36)と正の電源に接続される第2のグリッド(37)を
    含み、この第2のグリッド(37)へ向かうと共にこれを
    通過するよう電子を加速する加速場を生成する抽出グリ
    ッド構造(36,37)とを含むことを特徴とする、請求項1
    0又は11のイオンビーム生成装置(1)。
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