JP3606519B2 - ロール紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱発色性を有するロール紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通常の視覚能力を有する人間(以降、健常者という)と視覚障害者との双方に対して、単一の印字媒体によって印字内容を案内するための技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開平9−52450号公報に開示されているように、基材シートの上に、発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層と、着色性物質および熱溶融性バインダーを有する熱溶融性着色層とが、基材シートの長さ方向に交互に設けられた(公報中:面順次に備えてなるように構成された)盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いることで、健常者と視覚障害者との双方に対して、単一の印字媒体によって印字内容を案内するようにした技術がある。
【0004】
同公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いて、健常者に対して案内する情報を印字する場合、盛り上げ画像形成用熱転写シートを被転写体(印字媒体)に重ねた状態で熱溶融性着色層をサーマルヘッド等によって溶融させ、溶融させた熱溶融性着色層を被転写体(印字媒体)に転写することで、健常者が視認可能な墨字(以下、文字という)を印字する。
【0005】
また、同公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いて、視覚障害者に対して案内する情報を印字する場合、盛り上げ画像形成用熱転写シートを被転写体(印字媒体)に重ねた状態で膨張性インキ層をサーマルヘッド等によって溶融させ、溶融させた膨張性インキ層を被転写体(印字媒体)に転写した後、この被転写体(印字媒体)に対して熱エネルギーを印加して、被転写体に転写した膨張性インキ層を膨張させることで、視覚障害者が認識可能な点字を印字する。
【0006】
画像形成用熱転写シートを用いた印字に際しては、文字を印字する領域に熱溶融性着色層を位置合わせし、点字を印字する領域に膨張性インキ層を位置合わせすることで、単一の被転写体(印字媒体)に対して、文字または点字を選択的に印字することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特開平9−52450号公報に開示されている画像形成用熱転写シートを用いた印字に際しては、画像形成用熱転写シートにおける膨張性インキ層と熱溶融性着色層とが基材シートの長さ方向に交互に設けられているため、上述したように、文字を印字する領域と熱溶融性着色層との位置合わせ、あるいは、点字を印字する領域と膨張性インキ層との位置合わせが必要となるため、例えば、サーマルヘッド等の位置に合わせて、盛り上げ画像形成用熱転写シートを順次送り出す(あるいは、巻き取る)ための送り出し/巻き取りを行う機構が必要になる。このために、装置の構造が複雑化するとともに、大型化してしまう。
【0008】
また、特開平9−52450号公報に開示されている画像形成用熱転写シートを用いた印字に際しては、画像形成用熱転写シートにおける膨張性インキ層と熱溶融性着色層とが基材シートの長さ方向に交互に設けられているため、上述したように、文字を印字する領域と熱溶融性着色層との位置合わせ、あるいは、点字を印字する領域と膨張性インキ層との位置合わせのために、送り出し/巻き取りを行う機構を制御する必要がある。このため、印字に際しての制御が複雑化する。
【0009】
さらに、特開平9−52450号公報に開示されている画像形成用熱転写シートを用いた印字に際しては、上述したように、膨張性インキ層を被転写体(印字媒体)に転写した後、この被転写体(印字媒体)に対して熱エネルギーを印加して膨張性インキ層を膨張させなくてはならないため、熱エネルギーを印加するための機構が必要になる。このために、装置の構造が複雑化するとともに、大型化してしまう。
【0010】
加えて、特開平9−52450号公報に開示された技術では、基材シートの上に設けられた膨張性インキ層と熱溶融性着色層とを画像形成用熱転写シートにおける膨張性インキ層と熱溶融性着色層とが基材シートの長さ方向に交互に設けられているため、印字データによっては、膨張性インキ層(あるいは、熱溶融性着色層)を空送りするような場合が考えられる。このような場合、空送りされた分の盛り上げ画像形成用熱転写シートが不必要に消費されてしまう。
【0011】
本発明は、装置の構成を複雑化することなく、単一の印字媒体によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができるロール紙を得ることを目的とする。
【0012】
本発明は、装置を大型化することなく、単一の印字媒体によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができるロール紙を得ることを目的とする。
【0013】
本発明は、印字に際しての制御を複雑化することなく、単一の印字媒体によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができるロール紙を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、印字エネルギーが印加されることにより発色する長尺状の感熱印字媒体を長さ方向の一端部側から巻き上げたロール状のロール紙において、所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより発泡する発泡層を前記感熱印字媒体の幅方向の一側部に前記感熱印字媒体の長さ方向に形成した。
【0015】
したがって、印字エネルギーが印加されることにより発色する感熱印字媒体に所定量以上の熱エネルギーが印加されることによって、発泡層が発泡する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図8に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態の感熱紙を示す外観斜視図であり、図2はその一部を拡大して示す断面斜視図である。本実施の形態のロール紙1は、印字エネルギーが印加されることにより発色する長尺状の感熱印字媒体2を長さ方向の一端部側から巻き上げたロール状のロール紙1において、所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより発泡する発泡層4を感熱印字媒体2の幅方向の一側部に感熱印字媒体2の長さ方向に形成されている。
【0017】
具体的に、ロール紙1を構成する感熱印字媒体(以降、感熱紙という)2は、長尺状を有しており、ロール体形状となるように長さ方向の一端側からロール状に巻き上げられている。
【0018】
感熱紙2は、ベース5の一方の面に形成されたアンダー層6の上に形成され、熱等の印字エネルギーが印加されることによって発色するサーマル層7を有している。本実施の形態では、サーマル層7の発色が視認できる側を、「発色面」として、符号3を付けて説明する。アンダー層6は、ベース5に対するサーマル層7の接着を良好にするためのものであり、ベース5の種類や表面状態等の条件に応じて種類が変わり、ベース5の種類や表面状態等の条件によっては、塗布しない場合もある。
【0019】
発泡層4は、サーマル層7のベース5と反対側の面に積層されており、図3に示すように、感熱紙2の幅方向の一側部に、感熱紙2の長さ方向の全域に亘って形成されている。発泡層4には、所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより発泡する性質を有する発泡剤9が含まれている。発泡剤9は、必要に応じてバインダー樹脂等に分散された状態で、サーマル層7に積層されている。本実施の形態の発泡剤は、外部から印加される熱エネルギーによって発泡する。
【0020】
なお、感熱紙2の幅方向における発泡層4の幅方向の寸法の割合は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、用途等に応じて、感熱紙2の幅方向における発泡層4の幅方向の寸法の割合を増減することが可能である。
【0021】
サーマル層7は、サーマル層7を保護するオーバーコート層10によって被覆されている。なお、本実施の形態では、サーマル層7をオーバーコート層10によって被覆するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、図3に示す感熱紙2’のように、サーマル層7と発泡層4とをオーバーコート層10によって被覆するようにしてもよい。また、サーマル層7を形成する材料によっては、オーバーコート層10を設けず、サーマル層7および発泡層4を最上位層としてもよい。
【0022】
図4は別の実施の形態の感熱紙を示す外観斜視図であり、図5はその一部を拡大して示す断面斜視図である。図4に示すロール紙11は、印字エネルギーが印加されることにより発色する長尺状の感熱印字媒体(感熱紙)12を長さ方向の一端部側から巻き上げたロール状のロール紙11において、所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより硬化する熱硬化性樹脂層13を感熱印字媒体12の幅方向の一側部に感熱印字媒体12の長さ方向に形成した。
【0023】
具体的に、ロール紙11を構成する感熱紙12は、図5に示すように、ベース5の一方の面において、アンダー層6、サーマル層7、熱硬化性樹脂層13を順次積層することにより構成されている。本実施の形態の熱硬化性樹脂層13は、ベース5の幅方向の一側部に、長さ方向の全域に亘って形成されている。
【0024】
サーマル層7は、サーマル層7を保護するオーバーコート層10によって被覆されている。本実施の形態では、熱硬化性樹脂層13が、オーバーコート層10と同様に、サーマル層7を保護する機能を果たす。なお、本実施の形態では、サーマル層7をオーバーコート層10によって被覆するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、サーマル層7と熱硬化性樹脂層13とをオーバーコート層10によって被覆するようにしてもよい(図3参照)。また、サーマル層7を形成する材料によっては、オーバーコート層10を設けず、サーマル層7を最上位層としてもよい。
【0025】
熱硬化性樹脂層13は、所定量以上の熱エネルギーが印加されることによって硬化する性質を有する熱硬化性樹脂によって形成されている。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アミノ樹脂(ユリヤ樹脂、メラミン樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド等がある。
【0026】
なお、感熱紙12の幅方向における熱硬化性樹脂層13の幅方向の寸法の割合は、本実施の形態に限定されるものではない。例えば、用途等に応じて、感熱紙12の幅方向における熱硬化性樹脂層13の幅方向の寸法の割合を増減することが可能である。
【0027】
このようなロール紙1(あるいは、ロール紙11)は、例えば、感熱紙2(あるいは、感熱紙12)への熱エネルギーの印加が可能なサーマルヘッド21を有するサーマルプリンタ20(図4参照)で使用される。
【0028】
次に、上述したロール紙1(あるいは、ロール紙11)を用いて印字を行うサーマルプリンタ20について図6を参照して説明する。図6は、サーマルプリンタ20の概略を示す縦断側面図である。サーマルプリンタ20は、図示しないPOS端末に接続して使用されて、POS端末から送信される印字データ100(図8参照)に基づいて、ロール紙1(あるいは、ロール紙11)に対する印字を行い、レシート等を発行する。
【0029】
本実施の形態のサーマルプリンタ20は、長尺状の感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)を長さ方向に連続的に案内する案内手段と、案内手段によって案内される感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)に対して複数の発熱抵抗体を対向させ、文字データと点字データとを含む印字データに基づいて、所定の発熱抵抗体を駆動することにより感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)に対して所定パターンの熱エネルギーを印加する印字手段と、を具備し、印字手段は、印字データのうち点字データに対応するパターンの熱エネルギーの印加に際しては感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)の幅方向における所定範囲内の発熱抵抗体を駆動する。
【0030】
具体的に、案内手段としての案内経路22の一端部は、ロール紙1(あるいは、ロール紙11)を長さ方向の一端から引出自在に保持するロール紙保持部23に連通されている。案内経路22の他端は、印字後のロール紙1(あるいは、ロール紙11)を切断するカッタ機構24に連通されている。
【0031】
サーマルヘッド21は、案内経路22中のロール紙保持部23とカッタ機構24との間で、複数の発熱抵抗体を案内経路22に対して上側から臨ませるように位置付けられている。サーマルヘッド21の下方には、案内経路22を間にしてサーマルヘッド21に対向するプラテン25が設けられている。サーマルヘッド21は、図示しない付勢機構によって、プラテン25に対して所定の加圧力で当接するように付勢されている。プラテン25は、プラテンモータ26(図7参照)によって回転駆動されて、ロール紙1(あるいは、ロール紙11)を搬送する機能も果たす。本実施の形態では、プラテン25とサーマルヘッド21とによって印字部27が構成されている。
【0032】
カッタ機構24は、案内経路22の印字部27よりもロール紙搬送方向下流側に位置付けられている。カッタ機構24は、ともに平板長板状の固定刃24aと可動刃24bとを組み合わせてなり、固定刃24aに対して可動刃24bが摺動することにより案内経路22を搬送されるロール紙1(あるいは、ロール紙11)を任意の位置で切断する。カッタ機構24の可動刃24bは、カッタモータ28(図7参照)を駆動源として駆動される。
【0033】
次に、サーマルプリンタ20が備える各部の電気的接続について図7を参照して概略的に説明する。図7は、サーマルプリンタ20が備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図である。サーマルプリンタ20は、マイクロコンピュータ(Microcomputer:以下、マイコンとする)29を内蔵し、このマイコン29がサーマルプリンタ20内の各部を駆動制御する。マイコン29は、サーマルプリンタ20内の各部を集中的に駆動制御するCPU(Central Processing Unit)30に、制御プログラム等の固定的なデータが予め格納されるROM(Read Only Memory)31と、可変的なデータを書き換え自在に記憶してCPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)32とが、バスライン33を介して接続されて構成されている。
【0034】
CPU30には、キャラクタジェネレータ用ROM34が接続されている。キャラクタジェネレータ用ROM34には、印字する文字を示す文字キャラクタや、印字する点字を示す点字キャラクタが、文字コード毎に対応させて記憶保持されている。公知の技術であるため、説明を省略するが、点字は、マスと称される1の点から6の点までの6つの点で表わされることから、点字キャラクタはマスを構成する各点が、それぞれ「0」に設定されているか「1」に設定されているかによって示される。
【0035】
ROM31には、図示しないヘッド通電テーブルが格納されている。ヘッド通電テーブルとは、後述する印字処理に際して、サーマルヘッド21の発熱素子毎に、通電するパルス幅に関する情報が対応付けて記憶されている。
【0036】
特に図示しないが、RAM32には、POS端末より受信した印字データ100(図8参照)を一時格納する受信バッファ、受信バッファに一時的に格納した印字データをドット展開する編集バッファ等の各種バッファが確保されている。
【0037】
POS端末から送信される印字データ100は、図8に示すように、印字内容を示す文字コード等からなる一行印字データ101、一行印字データ101が印字データであることを特定する印字コマンド102、一行印字データ101に含まれる印字内容が文字データであるか点字データであるかを示す文字/点字コード103、一行印字データ101に含まれるデータが文字データである場合に印字される文字のフォント等を示す文字属性コード104、一行印字データ101の印字位置を特定する印字位置コード105、印字データ100の終了を示す終了コード106等によって構成されている。
【0038】
印字位置コード105は、文字/点字コード103によって文字データであると示される一行印字データ101に含まれる印字内容がサーマル層7に印字されるように、また、文字/点字コード103によって点字データであると示される一行印字データ101に含まれる印字内容が発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)に印字されるように、印字位置を特定する。
【0039】
編集バッファには、受信バッファに一時格納された印字データ100に含まれる印字内容が、文字属性コード104によって示されるフォントに対応する文字キャラクタあるいは点字キャラクタの形態で印字されるように、ドット展開される。このとき、文字/点字コード103と印字位置コード105とに基づいて、文字データであると示される一行印字データ101はサーマル層7に印字されるように、また、点字データであると示される一行印字データ101は発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)に印字されるようにドット展開される。
【0040】
以下に、マイコン29によって駆動制御される各部について説明する。
【0041】
サーマルヘッド21は、CPU30からの印字データ(DATA)、印字動作の基本信号であるクロック信号(CLOCK)、ストローブ信号(STROBE)の各信号に基づいて駆動される。
【0042】
プラテン25を回転駆動させるプラテンモータ26は、プラテンモータドライバ35を介して、CPU30に接続されている。プラテンモータドライバ35は、マイコン29からの制御信号に基づいて、プラテンモータ26を駆動制御する。
【0043】
可動刃24bを回転駆動させるカッタモータ28は、カッタモータドライバ36を介して、CPU30に接続されている。カッタモータドライバ36は、マイコン29からの制御信号に基づいて、カッタモータ28を駆動制御する。
【0044】
加えて、CPU30には、POS端末との間でデータ通信を行う通信I/F37が接続されている。POS端末から送信される印字データ100は、通信I/F37を介して受信される。
【0045】
次に、サーマルプリンタ20によって、ロール紙1(あるいは、ロール紙11)に対して印字を行う際の動作について説明する。サーマルプリンタ20にはライン型のサーマルヘッドが備えられているため、ロール紙1(あるいは、ロール紙11)に対して印字を行う際には、通電テーブルを参照して、編集バッファにドット展開された印字データ100に基づいてサーマルヘッド21の各抵抗発熱体(図示せず)を選択的に駆動することにより、案内経路22の中を連続的に搬送されるロール紙1(あるいは、ロール紙11)に対して、所定の印字エネルギーを印加する。サーマル層7に対向する発熱抵抗体からは、サーマル層7を発色させるような印字エネルギーが印加される。点字データであると示される一行印字データ101は、編集バッファにおいて発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)に印字されるようにドット展開されているため、印字データのうち点字データに対応するパターンの熱エネルギーの印加に際しては、感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)の幅方向における所定範囲内の発熱抵抗体が駆動されて、発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)を発泡(あるいは、熱硬化)させるような熱エネルギーとしての印字エネルギーが印加される。ここに、印字手段としての機能が実行される。
【0046】
ここで、「所定範囲内の発熱抵抗体」とは、案内経路22中を搬送される感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)の発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)に対向する発熱抵抗体を意味する。上述したように、感熱印字媒体2(あるいは、感熱紙12)の幅方向における発泡層4(あるいは、熱硬化性樹脂層13)の幅方向の寸法の割合は、本実施の形態に限定されるものではないため、「所定範囲内の発熱抵抗体」も、サーマルプリンタ20で使用する感熱印字媒体によって適宜変更される。
【0047】
ロール紙1(あるいは、ロール紙11)のサーマル層7は、サーマルヘッド21によって所定量以上の熱エネルギーとしての印字エネルギーが印加されることにより、印加されたエネルギーに応じてドット単位で発色する。
【0048】
健常者は、サーマル層7における文字を視認することで、感熱紙2(あるいは、感熱紙12)に印字された内容を認識することができる。
【0049】
ロール紙1を使用している場合、発泡層4に対して、サーマルヘッド21からの熱エネルギーが印加されると、発泡層4における発泡剤9が発泡する。発泡剤9が発泡することにより、発泡した部分が感熱紙2の表面から隆起して、点字を形成する。
【0050】
視覚障害者は、発泡層4部分を触って、感熱紙2の表面から隆起したドットを指触することにより、感熱紙2に印字された点字を認識することができる。
【0051】
これによって、感熱紙2自体が発色/発泡するため、例えば、特開平9−52450号公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いる場合と比較して、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となり、サーマルプリンタ20の構成を複雑化することなく、単一の感熱紙2によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0052】
また、特開平9−52450号公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いる場合と比較して、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となるため、装置を大型化することなく、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0053】
さらに、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となることから、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行うための複雑な制御が不要となるので、サーマルプリンタ20の制御の容易化を図ることができる。
【0054】
加えて、サーマルプリンタ20においてロール紙1を用いることにより、ロール紙1の長さ方向のどの位置で切断しても、ロール紙1の幅方向におけるサーマル層7と発泡層4との割合が常に同じとなるので、例えば、レシートのように、印字毎に必要とする長さが異なるために切断位置が不定であっても、次回の印字に際して、切断位置に応じて印字位置を検出する制御を行う必要がないので、これによっても、サーマルプリンタ20側の制御の容易化を図ることができる。
【0055】
また、ベース5に対してサーマル層7と発泡層4とが同一面に設けられているロール紙1を用いることにより、単一のサーマルヘッド21で文字印字と点字印字とを行うことができる。このため、従来のサーマルプリンタ20を利用することが可能になるので、サーマルプリンタ20の構成を複雑化することなく、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0056】
ロール紙11を使用している場合、熱硬化性樹脂層13に対して、サーマルヘッド21からの所定量以上の熱エネルギーとしての印加エネルギーが印加されると、印加エネルギーが印加された部分の熱硬化性樹脂が熱硬化する。熱硬化性樹脂が熱硬化することにより、熱硬化した部分は、熱硬化していない部分と比較してしこり状となって、点字を形成する。
【0057】
視覚障害者は、熱硬化性樹脂層13部分を触って、感熱紙12面内でしこり状となった熱硬化性樹脂を指触することにより、感熱紙12に印字された点字を認識することができる。これによって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0058】
これによって、感熱紙12自体が発色/熱硬化するため、例えば、特開平9−52450号公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いる場合と比較して、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となり、サーマルプリンタ20の構成を複雑化することなく、単一の感熱紙12によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0059】
また、特開平9−52450号公報に開示された盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いる場合と比較して、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となるため、装置を大型化することなく、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0060】
さらに、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行う機構が不要となることから、盛り上げ画像形成用熱転写シートの送り出し/巻き取りを行うための複雑な制御が不要となるので、サーマルプリンタ20の制御の容易化を図ることができる。
【0061】
加えて、サーマルプリンタ20においてロール紙11を用いることにより、ロール紙11の長さ方向のどの位置で切断しても、ロール紙11の幅方向におけるサーマル層7と熱硬化性樹脂層13との割合が常に同じとなるので、例えば、レシートのように、印字毎に必要とする長さが異なるために切断位置が不定であっても、次回の印字に際して、切断位置に応じて印字位置を検出する制御を行う必要がないので、これによっても、サーマルプリンタ20側の制御の容易化を図ることができる。
【0062】
また、ベース5に対してサーマル層7と熱硬化性樹脂層13とが同一面に設けられているロール紙11を用いることにより、単一のサーマルヘッド21で文字印字と点字印字とを行うことができる。このため、従来のサーマルプリンタ20を利用することが可能になるので、サーマルプリンタ20の構成を複雑化することなく、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、熱硬化性樹脂層13を、ベース5に対してサーマル層7と同一面側に形成したが、これに限るものではなく、例えば、ベース5を介してサーマル層7と反対側に形成するようにしてもよい。熱硬化性樹脂層13がベース5を介してサーマル層7と反対側に形成されたロール紙(図示せず)を、図6に示すように、単一のサーマルヘッド21を有するサーマルプリンタ20で使用する場合には、ベース5を介してサーマル層7と反対側に形成された熱硬化性樹脂層13を熱硬化させることができる熱エネルギーを印加する。
【0064】
加えて、ロール紙11を使用している場合には、印字部27を通過した感熱紙12を直線状に引き出し、引き出された感熱紙12が真っ直ぐになっている状態で熱硬化性樹脂層13を熱硬化させることにより、感熱紙12をロール状に巻き上げることにより、感熱紙12にカール癖がついている場合にも、印字後のカール癖を緩衝することができる。
【0065】
なお、ロール紙11を使用している場合には、印字部27を通過後に直線状に引き出された状態の感熱紙12に対して、例えば、図示しないヒーター等によって、サーマル層7が発色しない程度の熱を加えて、熱硬化性樹脂層13全体を真っ直ぐな状態で熱硬化させることで、感熱紙12のカール癖をより効果的に緩衝することができる。
【0066】
ところで、情報を点字によって案内する場合、同内容の情報を文字で案内する場合と比較して、感熱紙2(あるいは、感熱紙12)上により多くのスペースを必要とする。
【0067】
例えば、POS端末に接続して使用されるサーマルプリンタ20によってレシートを発行する場合、買い物をした日付、個々の商品名、単価、数量、買い上げ合計金額、預かり金額、釣り銭金額等、文字で印字される取引内容を全て点字で印字すると、非常に長い印字領域を必要とし、過剰に長いレシートが発行されてしまう。また、上述したサーマルプリンタによってクーポン券を発行する場合、クーポン券の名称や詳細な利用条件等の文字で印字される取引内容を全て点字で印字する場合も同様である。
【0068】
これに対し、取引の全内容を点字によって印字するのではなく、例えば、レシートの発行に際しては、買い物をした日付、買い上げ合計金額、釣り銭金額等の金銭に関する情報を点字として発泡層4または熱硬化性樹脂層13に印字し、クーポン券の発行に際しては、クーポン券によって割り引かれる金額等の限定した情報を点字として発泡層4または熱硬化性樹脂層13に印字するようにしてもよい。これによって、必要な情報を確実に案内するとともに、発行されるレシートやクーポン券が過剰に長くなってしまうことを抑制することができる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、装置の構成を複雑化あるいは大型化することなく、また、印字に際しての制御を複雑化することなく、単一の印字媒体によって、健常者と視覚障害者との双方に対して印字内容を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の感熱紙を示す外観斜視図である。
【図2】その一部を示す断面斜視図である。
【図3】別の実施の形態の感熱紙の一部を拡大して示す断面斜視図である。
【図4】別の感熱紙を示す外観斜視図である。
【図5】別の感熱紙の一部を拡大して示す断面斜視図である。
【図6】サーマルプリンタの概略を示す縦断側面図である。
【図7】サーマルプリンタが備える各部の電気的接続を概略的に示すブロック図である。
【図8】印字データのデータ構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1…ロール紙,2…感熱印字媒体,4…発泡層,11…ロール紙,12…感熱印字媒体,13…熱硬化性樹脂層,20…サーマルプリンタ,21…サーマルヘッド,22…案内手段

Claims (2)

  1. 印字エネルギーが印加されることにより発色する長尺状の感熱印字媒体を長さ方向の一端部側から巻き上げたロール状のロール紙において、
    所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより発泡する発泡層を前記感熱印字媒体の幅方向の一側部に前記感熱印字媒体の長さ方向に形成したことを特徴とするロール紙。
  2. 印字エネルギーが印加されることにより発色する長尺状の感熱印字媒体を長さ方向の一端部側から巻き上げたロール状のロール紙において、
    所定量以上の熱エネルギーが印加されることにより硬化する熱硬化性樹脂層を前記感熱印字媒体の幅方向の一側部に前記感熱印字媒体の長さ方向に形成したことを特徴とするロール紙。
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