JP3605924B2 - 食品の臭気マスキング剤および該マスキング剤を用いた食品の臭気マスキング方法 - Google Patents
食品の臭気マスキング剤および該マスキング剤を用いた食品の臭気マスキング方法 Download PDFInfo
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- General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は食品の臭気マスキングに関する。さらに詳しくはコーンスープや発酵乳等の臭気をマスキングするマスキング剤、該マスキング剤を用いた臭気マスキング方法および該マスキング剤を含有する臭気マスキングされたコーンスープ、発酵乳または豆乳に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に食品製造、特に大量に製造する場合には、洗浄、粉砕、抽出、濾過等に要する時間は長くなり、臭気の発生等により風味の劣化が生じやすい。さらに食品衛生、保存性の観点から加熱殺菌処理を行うと、加熱により臭気発生を一層促し、風味劣化を生ずる。中でも風味物質を含有する食品においては、形状、色調および食感等に加えて、風味がその食品の嗜好価値を決める要素になる。特に飲料や液状の食品にあっては、風味劣下は嗜好性に決定的に影響を及ぼす。
【０００３】
従来、この風味劣化の問題を解決するため、一般にフレーバー等の添加による食品の風味の改良が行われている。また、フレーバーや味そのものの改善のために砂糖や異性化糖を用い異味異臭などをマスキングする方法がとられてきた。しかし、例えば野菜ジュース、トマトジュースに砂糖や異性化糖を添加することは、甘味を持たない野菜ジュースの特徴である健康イメージの点からも好ましくないし、味を損なうことがある。さらに、糖を添加した野菜ジュースを高温で殺菌するとカラメル臭等の異臭を生じたり、また、蔗糖、異性化糖を用いた野菜ジュースは高温処理によって粘性が増加して食感の点からも好ましくないという問題もある。砂糖や異性化糖を用いフレーバーを主体とする風味物質を含有する食品の改良は、近年の甘味離れ、低カロリー化の点から好ましい方法とは言い難い。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
糖類に代わり、糖アルコールはアミノ酸と反応しないので加熱殺菌による臭気の変化は生じない。しかし、ソルビトール、マルチトールは消化吸収されるため、低カロリーな飲料としての健康イメージを損い、一定量以上使用すると下痢を起こすなどの欠点があり、マスキング剤として適さない。
【０００５】
余分な甘味によって本来の風味を損なうことのない、加熱処理により風味や食感の損なうことのない、低カロリーのイメージを損なうことのない、臭気マスキング剤、該マスキング剤を用いた臭気マスキング方法および該マスキング剤を用いた臭気マスキングされた食品が求められている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、詳しくは特定の糖アルコール、即ちエリスリトールを有効成分とする、特定の食品、即ちコーンスープ、発酵乳または豆乳の臭気マスキング剤及びこれを用いたマスキング方法並びに臭気マスキングされたコーンスープ、発酵乳または豆乳を提供するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるエリスリトールはぶどう糖を原料として酵母による発酵で製造した分子量が１２２の四炭糖アルコールである。加熱着色性が極めて低く、苛酷な加熱条件下で製造される食品、また経時的にも褐変しないことを必要とする商品に応用できる。甘味度は砂糖の約７５％であっさりした甘味質であり、しかも低カロリーである。エリスリトールの甘味質は軽く、しかも甘味のきれが早く、蔗糖のように長く甘味が口中に残ることなく果実・野菜等の爽やかな風味を損なうことがなく、加熱により褐変しないので臭気の発生も認められない。
【０００８】
本発明のマスキング剤は、上記の食品中にエリスリトール１．０〜５．０重量％、好ましくは１．０〜２．０重量％含有することでコーンスープ、発酵乳または豆乳の風味を変えることなく臭気をマスキングする。５．０重量％を超えて含有すると甘味を感じ食品の味が変わる場合があるので好ましくない。本発明のマスキング剤を添加する対象は、上記の食品である。
【０００９】
食品の形態としては、発酵乳、豆乳等の乳製品、コーンをベースとするスープ様飲食品が挙げられる。特に、酸味臭の強い発酵乳及び穀物臭の強い豆乳等を原料とする食品、中でも飲料、スープ等に代表される液状飲食品において効果が著しい。発酵乳とは、牛乳またはその他の乳を原料としてこれに乳酸菌、酵母、または両者を培養し発酵させたものである。
【００１０】
本発明のマスキング剤の添加方法、時期は特に限定されないが、コーンスープ、発酵乳または豆乳に直接添加するか、本発明の効果を損ねない範囲で従来からの分散剤等を用いても良い。
【００１１】
【実施例】
以下、実施例より本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例での官能評価については、パネルは食品研究に長年従事した４名で行い、各自が５段階評価を実施し、４名の評価を平均した。
【００１７】
＜実施例１＞
牛乳５００ｇ、脱脂粉乳８０ｇおよび水４２０ｇを混合し、これを８０℃で１０分間殺菌した。別に、乳業協会販売のラクトバチルス・ブルガリカスおよびストレプトコッカス・サーモフィルスの混合菌の凍結乾燥物を培養し、これを２回植継ぎした乳酸菌溶液（固形分１０％）を調整した。上記で得られた殺菌牛乳液に、この乳酸菌溶液の２ｍｌを接種し、ついで４５℃の恒温器に保持し、ｐＨが４．２に達したとき、所定のエリスリトール粉末を添加し、十分に攪拌し２４時間５℃の冷蔵にて保存した後、官能評価を行った。結果は表−４に示す。
【００１８】
【表４】
【００１９】
＜実施例２＞
前もって３０分間煮沸したコーン４重量部と水１重量部をジュサーミキサーに入れ粉砕した後、ガーゼを用いて濾過し、ろ液を試料としてこれに所定量のエリスリトールを加え２００mlの金属缶に充填、蓋をシールした後、１２０℃４分間加熱殺菌を行った。冷蔵庫
で１週間保存した後、官能評価を行った。結果は表−５に示す。
【００２０】
【表５】
【００２１】
＜実施例３＞
剥皮丸大豆１００ｇと熱水７００ｇを前もって熱水で昇温したジューサーミキサーに入れ１５分間高温磨砕した後、濾布で豆乳とおからに分離する。豆乳に所定のエリスリトールを添加し、十分に攪拌した後、金属缶に充填し１２０℃４分殺菌を行った。１週間５℃の冷蔵で保存した後、官能評価を行った。結果は表−６に示す。
【００２２】
【表６】
【００２３】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって次のような効果が得られる。＿発酵乳、コーンスープ、豆乳にエリスリトールを１．０〜５．０重量％添加したものは甘味の影響が少なくて殆ど感じることなく、臭気がやわらぎ嗜好性が向上する。
【発明の属する技術分野】
本発明は食品の臭気マスキングに関する。さらに詳しくはコーンスープや発酵乳等の臭気をマスキングするマスキング剤、該マスキング剤を用いた臭気マスキング方法および該マスキング剤を含有する臭気マスキングされたコーンスープ、発酵乳または豆乳に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に食品製造、特に大量に製造する場合には、洗浄、粉砕、抽出、濾過等に要する時間は長くなり、臭気の発生等により風味の劣化が生じやすい。さらに食品衛生、保存性の観点から加熱殺菌処理を行うと、加熱により臭気発生を一層促し、風味劣化を生ずる。中でも風味物質を含有する食品においては、形状、色調および食感等に加えて、風味がその食品の嗜好価値を決める要素になる。特に飲料や液状の食品にあっては、風味劣下は嗜好性に決定的に影響を及ぼす。
【０００３】
従来、この風味劣化の問題を解決するため、一般にフレーバー等の添加による食品の風味の改良が行われている。また、フレーバーや味そのものの改善のために砂糖や異性化糖を用い異味異臭などをマスキングする方法がとられてきた。しかし、例えば野菜ジュース、トマトジュースに砂糖や異性化糖を添加することは、甘味を持たない野菜ジュースの特徴である健康イメージの点からも好ましくないし、味を損なうことがある。さらに、糖を添加した野菜ジュースを高温で殺菌するとカラメル臭等の異臭を生じたり、また、蔗糖、異性化糖を用いた野菜ジュースは高温処理によって粘性が増加して食感の点からも好ましくないという問題もある。砂糖や異性化糖を用いフレーバーを主体とする風味物質を含有する食品の改良は、近年の甘味離れ、低カロリー化の点から好ましい方法とは言い難い。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
糖類に代わり、糖アルコールはアミノ酸と反応しないので加熱殺菌による臭気の変化は生じない。しかし、ソルビトール、マルチトールは消化吸収されるため、低カロリーな飲料としての健康イメージを損い、一定量以上使用すると下痢を起こすなどの欠点があり、マスキング剤として適さない。
【０００５】
余分な甘味によって本来の風味を損なうことのない、加熱処理により風味や食感の損なうことのない、低カロリーのイメージを損なうことのない、臭気マスキング剤、該マスキング剤を用いた臭気マスキング方法および該マスキング剤を用いた臭気マスキングされた食品が求められている。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであり、詳しくは特定の糖アルコール、即ちエリスリトールを有効成分とする、特定の食品、即ちコーンスープ、発酵乳または豆乳の臭気マスキング剤及びこれを用いたマスキング方法並びに臭気マスキングされたコーンスープ、発酵乳または豆乳を提供するものである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いるエリスリトールはぶどう糖を原料として酵母による発酵で製造した分子量が１２２の四炭糖アルコールである。加熱着色性が極めて低く、苛酷な加熱条件下で製造される食品、また経時的にも褐変しないことを必要とする商品に応用できる。甘味度は砂糖の約７５％であっさりした甘味質であり、しかも低カロリーである。エリスリトールの甘味質は軽く、しかも甘味のきれが早く、蔗糖のように長く甘味が口中に残ることなく果実・野菜等の爽やかな風味を損なうことがなく、加熱により褐変しないので臭気の発生も認められない。
【０００８】
本発明のマスキング剤は、上記の食品中にエリスリトール１．０〜５．０重量％、好ましくは１．０〜２．０重量％含有することでコーンスープ、発酵乳または豆乳の風味を変えることなく臭気をマスキングする。５．０重量％を超えて含有すると甘味を感じ食品の味が変わる場合があるので好ましくない。本発明のマスキング剤を添加する対象は、上記の食品である。
【０００９】
食品の形態としては、発酵乳、豆乳等の乳製品、コーンをベースとするスープ様飲食品が挙げられる。特に、酸味臭の強い発酵乳及び穀物臭の強い豆乳等を原料とする食品、中でも飲料、スープ等に代表される液状飲食品において効果が著しい。発酵乳とは、牛乳またはその他の乳を原料としてこれに乳酸菌、酵母、または両者を培養し発酵させたものである。
【００１０】
本発明のマスキング剤の添加方法、時期は特に限定されないが、コーンスープ、発酵乳または豆乳に直接添加するか、本発明の効果を損ねない範囲で従来からの分散剤等を用いても良い。
【００１１】
【実施例】
以下、実施例より本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
各実施例での官能評価については、パネルは食品研究に長年従事した４名で行い、各自が５段階評価を実施し、４名の評価を平均した。
【００１７】
＜実施例１＞
牛乳５００ｇ、脱脂粉乳８０ｇおよび水４２０ｇを混合し、これを８０℃で１０分間殺菌した。別に、乳業協会販売のラクトバチルス・ブルガリカスおよびストレプトコッカス・サーモフィルスの混合菌の凍結乾燥物を培養し、これを２回植継ぎした乳酸菌溶液（固形分１０％）を調整した。上記で得られた殺菌牛乳液に、この乳酸菌溶液の２ｍｌを接種し、ついで４５℃の恒温器に保持し、ｐＨが４．２に達したとき、所定のエリスリトール粉末を添加し、十分に攪拌し２４時間５℃の冷蔵にて保存した後、官能評価を行った。結果は表−４に示す。
【００１８】
【表４】
＜実施例２＞
前もって３０分間煮沸したコーン４重量部と水１重量部をジュサーミキサーに入れ粉砕した後、ガーゼを用いて濾過し、ろ液を試料としてこれに所定量のエリスリトールを加え２００mlの金属缶に充填、蓋をシールした後、１２０℃４分間加熱殺菌を行った。冷蔵庫
で１週間保存した後、官能評価を行った。結果は表−５に示す。
【００２０】
【表５】
＜実施例３＞
剥皮丸大豆１００ｇと熱水７００ｇを前もって熱水で昇温したジューサーミキサーに入れ１５分間高温磨砕した後、濾布で豆乳とおからに分離する。豆乳に所定のエリスリトールを添加し、十分に攪拌した後、金属缶に充填し１２０℃４分殺菌を行った。１週間５℃の冷蔵で保存した後、官能評価を行った。結果は表−６に示す。
【００２２】
【表６】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって次のような効果が得られる。＿発酵乳、コーンスープ、豆乳にエリスリトールを１．０〜５．０重量％添加したものは甘味の影響が少なくて殆ど感じることなく、臭気がやわらぎ嗜好性が向上する。
Claims (5)
- エリスリトールを有効成分とするコーンスープ、発酵乳または豆乳の臭気マスキング剤。
- 請求項１記載のマスキング剤１．０〜５．０重量％をコーンスープ、発酵乳または豆乳に含有させることを特徴とするコーンスープ、発酵乳または豆乳の臭気マスキング方法。
- 請求項１に記載のマスキング剤を含有する臭気マスキングされたコーンスープ。
- 請求項１に記載のマスキング剤を含有する臭気マスキングされた発酵乳。
- 請求項１に記載のマスキング剤を含有する臭気マスキングされた豆乳。
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|---|---|---|---|
| JP03220796A JP3605924B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 食品の臭気マスキング剤および該マスキング剤を用いた食品の臭気マスキング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03220796A JP3605924B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 食品の臭気マスキング剤および該マスキング剤を用いた食品の臭気マスキング方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09224588A JPH09224588A (ja) | 1997-09-02 |
| JP3605924B2 true JP3605924B2 (ja) | 2004-12-22 |
Family
ID=12352472
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP03220796A Expired - Fee Related JP3605924B2 (ja) | 1996-02-20 | 1996-02-20 | 食品の臭気マスキング剤および該マスキング剤を用いた食品の臭気マスキング方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
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| CA2533784C (en) | 2004-03-31 | 2009-09-15 | Morinaga Milk Industry Co., Ltd. | Glycoside having 4-methylergost-7-en-3-ol skeleton and hyperglycemia improving agent |
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| JP7460352B2 (ja) * | 2019-10-29 | 2024-04-02 | 興和株式会社 | 液状又は半固形状の組成物 |
| JP2021070639A (ja) * | 2019-10-29 | 2021-05-06 | 興和株式会社 | 組成物 |
-
1996
- 1996-02-20 JP JP03220796A patent/JP3605924B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH09224588A (ja) | 1997-09-02 |
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