JP3605865B2 - 塗布具および塗布具のチップとコアとの接合構造 - Google Patents

塗布具および塗布具のチップとコアとの接合構造 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ペン先となるペン先チップを有する塗布具、およびそのペン先チップとコアとの接合構造に関するものであり、特に断面形状が角状あるいは偏平なペン先チップを有する塗布具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
旧来のフェルトペンに変わるものとして、近年樹脂製のペン先チップをペン先とする塗布具が普及しつつある。またこの種の塗布具において、比較的高粘度のインキを使用する場合には、弁を内蔵する構成が採用される場合が多い。
【0003】
以下に、樹脂製のチップをペン先とし、弁を内蔵した従来技術の塗布具について説明する。図10は、従来技術の塗布具の要部の分解斜視図である。図10において、100はペン先となるチップである。ペン先チップ100は樹脂で作られたものであり、細い円柱状をしている。即ち従来技術においては、この種の塗布具のペン先チップは専ら円柱状であってそれ以外の形状のものは提案されていない。
【0004】
そしてペン先チップ100の後端部には、コア101が取り付けられている。ここでコア101は、インキ溜めからペン先チップに円滑にインキを導く作用をする部材であり、多孔質体や繊維束を素材として、円柱状に成形されたものである。上記したペン先チップ100とコア101は、先金具と称される金具102で結合されている。従来技術の先金具102は、内径の異なる2つの部分が連続する筒状の部材である。即ち従来技術で採用される先金具102は、小径部103と大径部105を持つ。そして小径部103の内径はペン先チップ100の外径に等しく、大径部105の内径はコア101の外径に等しい。従来技術で用いられていた先金具102は、切削加工によって上記した小径部103と大径部105を有する形状に予め成形されていた。そしてペン先チップ100とコア101は、それぞれ先金具102の小径部103と大径部105に挿入されることによって結合されていた。
【0005】
このようにして一体化されたペン先チップ100とコア101は、塗布具の先栓106の孔108内に摺動可能に挿入される。ここで先栓106は図示しないインキ溜部の先端に取り付けられたものであり、先端の孔108は図示しないインキ溜部の内部と連通する。またインキ溜部内には図示しない弁が内蔵されている。
【0006】
従来技術の塗布具を用いて字や絵を書く際には、予めペン先チップ100を紙面等に押しつける。するとペン先チップ100は先金具102が孔108内を摺動することによって、孔108内に沈む。その結果ペン先チップ100の後端に取り付けられたコア101が図示しない弁の弁体を押し、弁を開いてインキ溜部の開口を開く。するとインキ溜部からインキが流れ出し、コア101を通じてペン先チップ100に導かれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の塗布具に採用されていたペン先チップは、前記したように円柱形状であった。そのため、従来技術の塗布具は文字や線図を描く場合には申し分の無い機能を果たすものであった。しかしながら従来技術の塗布具は太い線を引いたり、一定の範囲を塗りつぶす様な用途に使用する場合には、はなはだ使い勝手の悪いものであった。そこで本発明者らは、ペン先チップを有する塗布具を、太い線を描く用途に適する構成への改良を試みた。具体的にはペン先チップの形状を従来技術の円柱形状から断面が偏平なものに変更した。しかしながら、ペン先チップの形状を断面が偏平な形状に変更すると、従来技術には全く存在しなかった新たな問題に直面した。
【0008】
即ち、弁を内蔵する塗布具では、弁を開放するために、ペン先チップを押しつける必要がある。ところが断面形状が偏平のペン先チップを採用すると、ペン先チップを押しつける時に、ペン先チップに回転モーメントが発生し、ペン先チップが回転してしまう。
また線を書く際にも、使用者の筆圧によってペン先チップが回転してしまうことがある。そのため従来技術の塗布具では、太い線を引いている最中に、突然ペン先チップが回転し、線が細くなってしまう問題があった。
【0009】
そしてこの問題は、特に本塗布具をカリグラフに利用する場合に致命的な問題となるものであった。ここでカリグラフとは、人間の手を使って文字を描くデザインの手法である。カリグラフの代表的な方法は、先端が偏平な筆等を手に持ち、その筆をいろいろな向きに傾けたり、反転して線の太さに変化を持たせつつ文字を描く。
【0010】
ところが、本出願人らが試みに、断面形状が偏平のペン先チップを備えた塗布具を用いてカリグラフを行ったところ、線の太さに変化をつけるために塗布具を傾けて文字を描いていると、予期しないところでペン先チップが回転してしまい、意のままの太さの線を描くことができなかった。そのため断面形状が偏平のペン先チップを備えた塗布具は、とてもカリグラフの使用に耐えるものではなかった。
そこで本出願人は、先に先金具の一部を先栓と係合させ、ペン先チップの回転を阻止する構成を開示した(特願平5−352109号、実願平5−27854号)。
【0011】
本出願人が先に開示した構成は、図11の様にペン先チップ110を円筒状の先金具112に挿入し、先金具のペン先チップ挿入部分をX方向にかしめることによって先金具112の一部を幅方向に広げ、当該部分を先栓115に係合させるものである。
本出願人が先に開示した方策によって、筆記中にペン先チップ110が回転する不具合は解消された。
しかしながら、上述の構成では、筆記中にペン先チップ110がぐらついて不安定となることがあった。すなわち上述の構成によると、ペン先チップは厚さ方向にだけ押さえつけられて先金具112に保持されたものであり、ペン先チップ110は厚さ方向には、先金具と当接して移動が阻止されるものの、ペン先チップ110の幅方向にはかしめによってできた空所116がある。そのためペン先チップ110は図11の矢印Y方向の力に対して弱く、筆記中にぐらついてしまうのであった。
【0012】
本発明は、従来技術の上記した問題点に着目し、ペン先チップの断面形状を偏平にすることによって太い線を描くことが可能であり、かつ文字や絵を描いている最中にペン先チップが回転しない塗布具を提供することを目的とする。
また併せて本発明は、筆記中にペン先チップがぐらつかない塗布具を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そして、上記した目的を達成するための本発明は、断面が角状あるいは偏平状のペン先チップと、ペン先チップを保持する先金具と、インキ溜部に取り付けられ先端に孔が設けられた先栓を有し、前記先金具が前記先栓の孔内に装着された塗布具において、ペン先チップは先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部は、ペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は、当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っており、先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具である。
【0014】
また上記した発明と同様の目的を達成するもう一つの発明は、断面が略長方形のペン先チップと、ペン先チップを保持する先金具と、インキ溜部に取り付けられ先端に孔が設けられた先栓を有し、前記先金具が前記先栓の孔内に装着された塗布具において、ペン先チップは先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部では、先金具の内面は、ペン先チップの二つの長辺および一つの長辺の両端の角近傍に略コの字形に沿っており、さらに先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具である。
【0015】
そして上述のつの発明を改良した発明は、先金具は先栓の孔内に摺動可能に装着され、インキ溜部にはその開口を常時閉鎖する弁が取り付けられており、該弁は先金具の摺動と連動し、インキ溜部の開口を開放することを特徴とする。
【0016】
さらに同様の目的を達成するもう一つの発明は、断面が角状あるいは偏平状のペン先チップと、インキ溜部からインキを導き出すコアとを接合する構造であって、ペン先チップとコアとは筒形の先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて成り、先金具のかしめ部はペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っていることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合構造である。
【0017】
上記した接合構造を製造する方法の発明は、筒形の先金具の一方の開口から、断面が角状あるいは偏平状のペン先チップを挿入し、前記先金具の他方の開口にはコアを挿入し、先金具のペン先チップ挿入部分に、ペン先チップの側面形状に略一致する凹部を有する押し型を押圧装置によって押圧し、先金具をかしめることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合方法である。
【0018】
さらに同様の目的を達成する発明は、断面が略長方形のペン先チップと、インキ溜部からインキを導き出すコアとを接合する構造であって、ペン先チップとコアとは筒形の先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部では、先金具の内面は、ペン先チップの二つの長辺および一つの長辺の両端の角近傍に略コの字形に沿っており、さらに先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合構造である。
【0019】
【作用】
請求項1記載の発明の塗布具は、断面形状が偏平なペン先チップを有し、このペン先チップがペン先として機能する。従って使用者が本発明の塗布具のペン先チップを紙等に押し当てて塗布具を走らせると、紙等には最大でペン先チップの幅に相当する太さの線が描かれる。また請求項1記載の発明の塗布具は先金具に係合部が設けられ、該係合部が先栓の孔の一部と回転不能に係合しているので、筆記中に塗布具を傾けたり、反転を加えてもペン先チップが回転する事はない。加えて本発明の塗布具では、かしめ部は、ペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は、当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っている。そのためペン先チップは、3か所以上で先金具に保持され、横方向へのがたつきやずれは阻止される。
さらに本発明の塗布具は、先金具が先栓の孔の一部と係合するものであるため、ペン先チップに係る回転力は、先栓で負担される。そのためペン先チップに無理な力がかかることは無い。
【0020】
請求項2記載の塗布具の作用は、前述の請求項1記載の塗布具と略同様であり、先金具の内面は、ペン先チップの二つの長辺および一つの長辺の両端の角近傍で接し、ペン先チップの横方向へのがたつきやずれは阻止される。
【0021】
請求項3記載の塗布具では、インキ溜部にその開口を常時閉鎖する弁が取り付けられているため、ペン先チップに過度にインキが供給されたり、インキが乾燥してしまうことは少ない。そして使用者が請求項3記載の塗布具を利用して文字や線を描く時は、ペン先チップに筆圧を加えてペン先チップを押す。すると、ペン先チップを保持する先金具は先栓の孔内に摺動可能に装着されているので、先金具は先栓の孔内に沈む。そして先金具の摺動と連動して弁が開きインキ溜部の開口が開放されて、新たなインキがペン先チップに供給される。
【0022】
請求項4,6記載のペン先チップとコアとの接合構造では、ペン先チップとコア、および先金具は別々に成形され、ペン先チップとコアとを先金具に挿入した後、先金具をかしめることによってペン先チップとコアとを接合することができる。
そしてペン先チップがたつきやずれは阻止される。
【0023】
請求項5記載のペン先チップとコアとの接合方法は、ペン先チップの側面形状に略一致する凹部を有する押し型を押圧して先金具をかしめるものであり、押し型に押されて先金具は変形し、上述のペン先チップとコアとの接合構造が容易に製造される。
【0024】
【実施例】
以下更に本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の具体的実施例における塗布具の断面図である。図2は、図1の塗布具の要部の分解斜視図であり、(a)はペン先部の製造工程を示し、(b)は塗布具の先端部を示す。図3は、図1の先端部分の拡大図である。図4は、図3の側面断面図である。図5は、図4のA方向矢視図である。
【0025】
図1において、1は本発明の具体的実施例の塗布具である。本実施例の塗布具1は、大きく分けてインキ溜部2と先栓3およびペン先部5によって構成される。順次説明すると、インキ溜部2は従来技術のそれと大差なく、アルミニウム、ステンレススチール、合成樹脂、ガラス等によって成形された容器であって、端部が開口し、内部に弁6が内蔵されている。弁6は、樹脂で作られたものであり、弁座8と弁枠9および弁本体10によって構成される。ここで弁座8はインキ溜部2の内外を連通する弁孔13を有する部材である。弁枠9は、インキ溜部2の開口部分に装着された枠状の部材であり、周囲に図示しない開口が設けられていて、弁枠9内には自由にインキが出入りすることができる。また弁枠9の底部にはガイド孔15が設けられている。
【0026】
弁本体10は中央部が太く、先端に当接棒17が設けられ、後端にガイド棒18が形成されている。
【0027】
弁6は、弁座8と弁枠9によって弁体挿入空間が形成され、該空間内に弁本体10が配置されて成る。また弁本体10の当接棒17は弁座8の弁孔13から外部に突出し、一方ガイド棒18は弁枠9のガイド孔15に挿入されている。また弁本体10はバネ12によって常時弁座8に向かって付勢されている。従って弁座8の弁孔13は、常時は弁本体10によって塞がれている。また一方弁本体10のガイド棒18をインキ溜部2内に向かって押圧すると、弁本体10はばね12に抗して移動し、弁本体10が弁座8を離れて弁孔13が開放される。
【0028】
先栓3は弁本体10の蓋に相当する部材であり、先端に貫通孔19が設けられている。そして先栓3の構成で特記しておくべき構成は、貫通孔19の内部に突条20が設けられている点である。突条20は断面が半円状であり、貫通孔19の軸方向の全域に渡って形成されている。また突条20は同じ形のものが、貫通孔19内面の円周方向に、等間隔に4個設けられている。そして4個の突条20の先端の内接円は、後記するペン先部5を構成する先金具23の大部分27の直径よりも僅かに大きい。
【0029】
ペン先部5は、本発明の最も特徴的な部分であり詳細に説明する。本実施例の塗布具1ではペン先部5は、ペン先チップ21とコア22および先金具23から構成される。
【0030】
ペン先チップ21は、ポリアセタール樹脂等によって作られたものであり、断面が長方形の偏平な形状をしている。ペン先チップ21は、軸方向に微小な貫通孔或いは貫通溝を有するものであり、これらの微小な貫通孔等によって後端と先端が連通し、先端からインキがにじみ出される。
【0031】
コア22は多孔質の樹脂あるいは繊維束を素材として棒状に成形されたものである。
【0032】
先金具23はステンレススチールの引き抜き成形によって作られた筒であり、前記したペン先チップ21とコア22が両端から挿入され、両者を一体に結合するものである。先金具23の内径は、前記したコア22の外径にほぼ等しいものであり、コア22は先金具23に圧入することによって先金具23に結合されている。これに対して、ペン先チップ21の先金具23への固定手段はかしめ構造が採用されている。即ち、本実施例で採用するペン先部5では、いずれの位置の断面も等しい円形である先金具23を利用し、先金具23にペン先チップ21を挿入し、先金具23をかしめることによってペン先チップ21を固定する。
【0033】
先金具のかしめ方法は、図2(a)に示す様に押し型26を双方から押しつけることによって行うことが望ましい。
押し型26には、ペン先チップ21の側面形状に略一致する凹部32が設けられている。押し型26は、図示しない押圧装置によって先金具23の先端部に押しつけられる。
【0034】
本実施例の塗布具1ではペン先チップ21と先金具23との結合は、先金具23の先端をかしめることによって行われているので、先金具23の大部分27の断面は円形であるが、ペン先チップ21との結合部分となるかしめ部24だけは、偏平に潰された形をしている。より具体的に説明すると、かしめ部24は、図5に示す様にペン先チップ21の長辺側側面34では、ペン先チップ21に密着している。そして先金具23は、ペン先チップ21の長辺側側面34の端部、すなわち長辺側側面34との境界部分で短辺側側面35に向かって曲がり、略コの字形にペン先チップ21の角近傍に沿っている。そのため先金具23のかしめ部24では、ペン先チップ21の2つの長辺側側面34のそれぞれにおいて、長辺側側面34を挟む2つの角及びこの角の近傍が押さえられ、先金具23は長辺側側面34のみならず短辺側側面35とも接し、ペン先チップ21をがたつかない様に保持している。
【0035】
またさらに先金具23のかしめ部24は、幅方向に張り出している。
従ってかしめ部24は、ペン先チップ21の幅方向には、ペン先チップ21の幅よりも相当に大きく、先金具23の他の大部分27よりも突出した形状になっている。そしてこの突出した部分が係合部25として機能する。
【0036】
本実施例の塗布具1の組み立て構造は、インキ溜部2の先端に先栓3が装着され、更に先栓3の貫通孔19内にペン先部5が挿入されて、コア22が弁本体10のガイド棒17に当接したものである。そして先金具23の大部分27の外径は、先栓3の貫通孔19の内面にある突条20の内接円よりも僅かに小さいので、ペン先部5は先栓3の貫通孔19内を軸方向に摺動することができる。
【0037】
またここで重要な点は、先金具23のかしめ部24にある係合部25は、他の大部分27より外側に突出しているため、該係合部25は、先栓3の突条20間に係合する。従って先金具23の回転は阻止される。その結果、ペン先部5は先栓3の貫通孔19内を摺動可能であるが、回転することはない。
【0038】
次に本実施例の塗布具1の作用について説明する。本実施例の塗布具1を用いて例えばカリグラフを行う場合は、筆圧をもってペン先チップ21を紙等に押し当てる。するとペン先部5は係合部25が突条20に係合し、回転する事なく真っ直ぐに先栓3の貫通孔19内に沈み、コア22が弁本体10のガイド棒17を押して、インキ溜部2の弁孔13を開放させる。そしてインキ溜部2内からインキが流れ出し、コア22に吸収される。尚コア22の周囲にリング状の連続気泡体よりなるインキ吸蔵体を設け、余分なインキを吸収させてもよい。コア22にインキが吸収された結果、コア22を通じてペン先チップ21にインキが供給されて紙に線が描かれる。尚インキ溜部2内からインキが流れ出す際、突条20の間の隙間28および、ペン先チップ21と先金具23との間の隙間29は通気孔として作用するため、インキの流出は円滑である。
【0039】
そして使用者が塗布具1を傾け、或いは反転すると、ペン先チップ21に回転モーメントが発生する。しかしながら、本実施例の塗布具1では、先金具23のかしめ部24に係合部25が設けられており、この係合部25が先栓3の貫通孔19の突条20と係合しているので、ペン先チップ21の回転モーメントは当該係合部25で負担され、ペン先チップ21が回転することはない。
加えて本実施例の塗布具1では、ペン先チップ21の4つの角及びこの4つの角の近傍と2つの長辺側側面34はしっかりと先金具23に保持されており、ペン先チップ21ががたつく事もない。
そのため、ペン先チップ21は使用者の思うままに傾き、或いは反転し、自由自在に線径を変化させることができる。
【0040】
また、ペン先チップ21は、使用者の塗布具操作に応じて反転するとともに先栓3の貫通孔19を出入りするが、本実施例の塗布具1ではこれらのペン先チップ21の挙動によって、ペン先チップ21自身が傷付くことはない。即ち、本実施例の塗布具1では、ペン先部5の軸方向の摺動面および、回転モーメントの負担部分は、いずれも先金具23で行われる。そのためペン先チップ21自身には強い力はかからず、ペン先チップ21は保護される。
【0041】
以上述べた実施例では、かしめ部24の詳細な構成は、図5に示すように、先金具23がペン先チップ21に対して長辺側側面34には密着し、ペン先チップ21の長辺側側面34の境界部分から短辺側側面35に曲がっていて、4つの角及びこの4つの角の近傍を保持し、さらに短辺側側面35の中央で横方向に張り出した構成を開示したが、勿論本発明はこの構成にこだわるものではない。
すなわち、ペン先チップ21のがたつきを防止するためには、先金具23のかしめ部24はペン先チップ21の周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具23のかしめ部24は当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップ21の角近傍に沿っておれば良い。また特に断面が長方形のペン先チップ21を採用する場合には、先金具23のかしめ部は、ペン先チップ21の長辺を挟む2つの角に略コの字形に接しておれば、ペン先チップ21の横方向のがたつきは阻止できる。
【0042】
具体的には、図6の様にペン先チップ21の一方の長辺側だけで、ペン先チップ21の長辺を挟む2つの角及びこの2つの角の近傍を保持し、他方の長辺側は、先金具23の当接面が平坦であるものでも良い。
本実施例では、ペン先チップの二つの長辺は双方とも先金具23の内面と接しているが、角の部位(角及び角近傍)は、一つの長辺の両端だけが先金具23の内面と接し、他方の長辺の両端の角は先金具23の内面に接していない。そしてその接していない方の部位は、横方向に突出していて係合部25を構成している。
尚、図6の様な、一方の長辺側だけでペン先チップ21の2つの角近傍を保持する構成にかしめるには、図7の様にペン先チップ21の側面形状に略一致する凹部32が設けられた押し型26の上に先金具23を置き、上から平坦な押し板37で押圧することによって、容易に行うことができる。
【0043】
以上説明した筆記具は、いずれもペン先チップ21とコア22を備えるものを前提として説明したが、本発明の構成は、コアを省略した筆記具にも採用可能である。コアを省略した場合の構成を、図8,9を参照しつつ説明する。
【0044】
尚以下に説明する実施例については、図1乃至図で説明した筆記具と同一の部品については同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
図8,9は、本発明の具体的実施例における筆記具の要部の分解斜視図であり、(a)はペン先部の製造工程を示し、(b)は塗布具の先端部を示す。また図12は、本発明の変形実施例における筆記具の要部の分解斜視図であり、(a)はペン先部の製造工程を示し、(b)は塗布具の先端部を示す。
図8の塗布具50では、ペン先51は、ペン先チップ52と先金具23から構成される。
ここでペン先チップ52は、先の実施例のそれと、材質および性質は全く同一であり、長さだけが異なるものである。即ち本実施例で採用するペン先チップ52は、先の実施例のそれよりも長い。
【0045】
先金具23は、先の実施例と全く同一の部材であり、具体的には黄銅製の筒である。
本実施例で採用するペン先部51では、ペン先チップ52が先金具23内に挿入されており、ペン先チップ52の両端は、いずれも先金具23から突出している。
そして先金具23の一方の端部はかしめられており、ペン先チップ52が固定されていると共に、かしめ部24によって係合部25が形成されている。
本実施例の塗布具50では、先の実施例と同様にペン先部51が、先栓3の貫通孔19内に挿入される。そして本実施例の塗布具50では、ペン先チップ52の後端側が直接弁本体10のガイド棒17に当接している。
またペン先部51は、先の実施例と同様に、貫通孔19内を摺動すると共に、係合部25が突条20と嵌合してペン先部51の回転は防止され、ペン先チップ52ががたつくこともない。
加えて本実施例の塗布具50においてもペン先チップ52の座屈を防止する効果やペン先チップ52の貫通孔を潰さない効果がある。
【0046】
本実施例の塗布具50では、ペン先部51の構成上、先金具23の一方の端部だけにかしめ部24を設け、ペン先チップ52を固定すると共に、先金具23の一方の端部だけに係合部25を形成させた。
しかしながら、本発明は、このように先金具23の端部だけをかしめる方策の他、図9のペン先部60の様に先金具23の全長に渡ってかしめる方策の採用も可能である。
先金具23の全長に渡ってかしめる場合は、先の実施例で採用した押し型26よりもより長い押し型61を、先金具23の双方から押しつけることによって行うことが望ましい。
【0047】
先栓の孔の断面形状は、先金具の形状に応じて随時変更することが可能ではあるが、先栓の孔の断面形状は、4つの突条が設けられた構成が最も推奨される。この理由は、4つの突条20が設けられた構成は、4つの突条20の先端によって先金具の円柱状の部分が保持されるため、係合部が存在しない従来技術の先金具でも軸方向に慴動可能に挿入することができる。そのため本実施例で採用する先栓3は、従来技術のところで説明した断面が円状のペン先チップを有する塗布具と互換性を持たせることができる効果がある。
【0048】
本実施例では、本発明の効果が最も顕著であるものとして断面が長方形のペン先チップを有する塗布具を例示した。しかし正方形や6角形あるいは8角形等の角形のペン先チップについてもペン先チップが回転することによって線径が変化するので、本発明の適応の余地があることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
本発明の塗布具は断面形状が角状あるいは偏平状のペン先チップを有し、このペン先チップからインキをにじみ出させるものであるため、太い線を描くことができる効果があり、広い範囲を塗りつぶす場合の作業性が良い効果がある。
【0050】
また本発明の塗布具は先金具に係合部が設けられ、該係合部が先栓の孔の一部と回転不能に係合しているので、筆記中に塗布具を傾けたり反転しても、ペン先チップが回転する事はない。加えて請求項1記載の塗布具では、ペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は、当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っているので、ペン先チップはガタツキが少ない状態で保持されている。また請求項2の構成では、先金具のかしめ部は、ペン先チップの長辺を構成する2つの角及びこの2つの角の近傍と接しているので、ペン先チップはガタツキが少ない状態で保持されている。そのため本発明の塗布具は全体を傾けたり、反転することによって自由自在に線径を変化させることができる効果があり、カリグラフの新たな画材として採用することができる効果がある。さらに本発明の塗布具はペン先チップに係る回転力が、先栓で負担されるのでペン先チップに無理な力がかかることは無く、いつまでも滑らかな書き味を維持することができる効果がある。
【0051】
請求項3記載の塗布具では、インキ溜部にその開口を常時閉鎖する弁が取り付けられているため、ペン先チップに過度にインキが供給されたり、インキが乾燥してしまうことが少ない効果がある。
【0052】
請求項4,6記載の塗布具のペン先チップとコアとの接合構造は、少ない種類の先金具で多数の種類のペン先チップを取り付けることができるため、部品の互換性の向上を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的実施例における塗布具の断面図である。
【図2】図1の塗布具の要部の分解斜視図である。
【図3】図1の先端部分の拡大図である。
【図4】図3の側面断面図である。
【図5】図4のA方向矢視図である。
【図6】本発明の変形実施例のペン先チップおよび先金具の平面図である。
【図7】先金具のかしめ方法を示す説明図である。
図8】本発明の他の変形実施例の塗布具の要部の分解斜視図である。
図9】本発明の他の変形実施例の塗布具の要部の分解斜視図である。
図10】従来技術の塗布具の要部の分解斜視図である。
図11】従来技術の塗布具の要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 塗布具
2 インキ溜部
3 先栓
5 ペン先部
19 貫通孔
20 突条
21 ペン先チップ
22 コア
23 先金具
24 かしめ部
25 係合部

Claims (6)

  1. 断面が角状あるいは偏平状のペン先チップと、ペン先チップを保持する先金具と、インキ溜部に取り付けられ先端に孔が設けられた先栓を有し、前記先金具が前記先栓の孔内に装着された塗布具において、ペン先チップは先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部は、ペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は、当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っており、先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具。
  2. 断面が略長方形のペン先チップと、ペン先チップを保持する先金具と、インキ溜部に取り付けられ先端に孔が設けられた先栓を有し、前記先金具が前記先栓の孔内に装着された塗布具において、ペン先チップは先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部では、先金具の内面は、ペン先チップの二つの長辺および一つの長辺の両端の角近傍に略コの字形に沿っており、さらに先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具。
  3. 先金具は先栓の孔内に摺動可能に装着され、インキ溜部にはその開口を常時閉鎖する弁が取り付けられており、該弁は先金具の摺動と連動し、インキ溜部の開口を開放することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の塗布具。
  4. 断面が角状あるいは偏平状のペン先チップと、インキ溜部からインキを導き出すコアとを接合する構造であって、ペン先チップとコアとは筒形の先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて成り、先金具のかしめ部はペン先チップの周面の少なくとも一つと接し、且つ先金具のかしめ部は当該面と隣合う面との境界部分を境に曲がって略コの字形にペン先チップの角近傍に沿っていることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合構造。
  5. 筒形の先金具の一方の開口から、断面が角状あるいは偏平状のペン先チップを挿入し、前記先金具の他方の開口にはコアを挿入し、先金具のペン先チップ挿入部分に、ペン先チップの側面形状に略一致する凹部を有する押し型を押圧装置によって押圧し、先金具をかしめることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合方法。
  6. 断面が略長方形のペン先チップと、インキ溜部からインキを導き出すコアとを接合する構造であって、ペン先チップとコアとは筒形の先金具に挿入され、先金具のペン先チップ挿入部分がかしめられて保持され、先金具のかしめ部では、先金具の内面は、ペン先チップの二つの長辺および一つの長辺の両端の角近傍に略コの字形に沿っており、さらに先金具のかしめ部は他の部分から突出して先栓の孔の一部と回転不能に係合していることを特徴とする塗布具のチップとコアとの接合構造。
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