JP3605470B2 - トナー用ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法および静電印刷法などにおいて、静電荷像または磁気潜像の現像に用いる乾式トナーとして有用なポリエステル樹脂に関し、より詳しくは、トナーとしての耐ブロッキング性、溶融流動性、低温定着性および帯電特性に優れ、特に、高い溶融流動性が要求されるフルカラー用、低温定着性が要求される高速複写機および高速プリンター用として有用なトナー用ポリエステル樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷像より恒久的な顕像を得る方法においては、光導電性感光体または静電記録体上に形成された静電荷像をあらかじめ摩擦により帯電させたトナーによって現像した後、定着される。磁気潜像の場合は、磁気ドラム上の潜像を含むトナーによって現像した後、定着される。定着は、光導電性感光体または静電記録体上に現像によって得られたトナー像を直接融着させるか、紙やフィルム上にトナー像を転写した後、これを転写シート上に融着させることによって行われる。トナー像の融着は、溶剤蒸気との接触、加圧および加熱によって行われ、加熱方式には電気オーブンによる無接触加熱方式と加圧ローラーによる圧着加熱方式があるが、定着工程の高速化が要請される昨今では主として後者が用いられている。
【0003】
乾式現像方式で使用されるトナーには、1成分系トナーとの2成分系トナーがある。2成分系トナーは、まず樹脂、荷電制御剤およびその他必要な添加剤を溶融混練して十分に分散させた後、粗粉砕し、次いで微粉砕して、所定の粒度範囲に分級して製造される。1成分系トナーは、上記の2成分系のトナーの各成分の他に磁性鉄粉を添加して同様に製造される。
【0004】
樹脂は、トナー配合中の主成分であるため、トナーに要求される性能の大部分を支配する。このためトナー用樹脂には、トナー製造においては溶融混練工程での着色剤の分散性、粉砕工程での粉砕性の良い事などが要求され、また、トナーの使用においては、定着性、非オフセット性、耐ブロッキング性および電気的性質が良いことなど多様な性能が要求される。トナーの製造に用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル系樹脂などが知られているが、圧着加熱定着方式用は、主としてスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が用いられてきた。
【0005】
さらに、カラー画像を得るためには、上述の現像工程において、3〜4色のトナーを転写紙に付着させ、次いで、定着工程において、それを溶融混合しながら発色し、定着させなければならない。このためフルカラートナー用バインダーには、上述のごとく定着工程での混合性の良い樹脂、換言すれば、溶融流動性の良い樹脂が強く望まれている。
【0006】
しかし、溶融流動性の良好なバインダーを用いた場合、定着工程でのオフセット現象が生じる問題がある。一方、オフセット現象を防止するために、バインダーに架橋構造をとらせたり、高分子化させたりすると、溶融流動性が低下するため、フルカラートナー用のバインダー樹脂としては適さなくなる。従って、フルカラー用複写機の場合、非オフセット性を得るため、定着ローラー表面にシリコーンオイル等を塗布している。このため、定着部の高速化、省エネルギー化が強く望まれている、フルカラー以外の一般複写機、プリンターにおいても、定着ローラーにシリコンオイル等を塗布するなどのオフセット防止の手法が用いられてきている。
【0007】
フルカラートナー用高速複写機用トナーのためのバインダー樹脂は、溶融混合や低エネルギー溶融のため、低粘度化の必要がある。一般にポリマーを低粘度化するためには低分子量化する必要がある。低分子量化すると必然的に末端のカルボキシル基や水酸基の数が増え、樹脂の耐湿性が低下し、目的とした帯電量を安定して維持する事が困難となる。
一方、この問題の解決方法として、帯電制御剤を多量に用いて帯電量を維持する方法も考えられるがフルカラートナーの場合には、帯電制御剤により色調の調整が困難となったり、トナーの価格が上昇するという問題が生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、溶融流動性および低温定着性が良好で、かつ耐ブロッキング性に優れたトナーを提供でき、樹脂自身の帯電量が高いトナー用樹脂を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を進めた結果、酸成分およびアルコール成分に特定量の特定成分を使用すると共に、特定の一塩基カルボン酸および/または一価アルコールを重合体成分として含み、特定の物性を有するポリエステルが上記の目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、(a)テレフタル酸および/またはイソフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分、(b)全ジカルボン酸成分に対して0.1モル%以上1.2モル%以下の一塩基カルボン酸成分および/または一価アルコール成分の少なくとも1種、(c)全酸成分に対して20モル%以上100モル%以下の脂肪族ジオール成分、および(d)その他のジオール成分とより構成され、ガラス転移温度が45℃以上70℃以下、軟化温度が90℃以上130℃以下、重量平均分子量Mwが3,000以上30,000以下、数平均分子量Mnが1,500以上14,000以下、体積平均粒径5〜15μmの微粒子にした場合の負帯電量が5μC/g以上であることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂にある。
【0011】
【発明の実施の態様】
本発明において用いられるテレフタル酸および/またはイソフタル酸を主成分分とするジカルボン酸成分(a)は、テレフタル酸、イソフタル酸または低級アルキルエステルから選ばれるものである。テレフタル酸およびイソフタル酸の低級アルキルエステルの例としては、ジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジエチルテレフタル酸、ジエチルイソフタル酸、ジブチルテレフタル酸、ジブチルイソフタル酸などが挙げられるが、コストおよびハンドリングの点でジメチルテレフタル酸やジメチルイソフタル酸が好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸成分は、樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと略記する)を上げて、トナーの耐ブロッキング性の向上に寄与する効果がある。このためテレフタル酸および/またはイソフタル酸は、全酸成分中、60〜100モル%含有するのが好ましく、より好ましくは80〜100モル%である。
【0012】
本発明において、上記の芳香族ジカルボン酸と併用することのできるその他のジカルボン酸の例としては、フタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸およびこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルならびにこれらの酸無水物等が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、得られる樹脂のTgを低下させ、トナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響を与えるため、全酸成分中、40モル%以下であることが好ましく、より好ましくは20モル%以下である。
【0013】
本発明における一塩基カルボン酸および/または一価アルコール(b)は、一塩基カルボン酸および一価アルコールから選ばれるものである。一塩基カルボン酸の例としては、安息香酸、p−置換安息香酸、o−置換安息香酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等を挙げることができる。一価アルコールの例としては、ベンジルアルコール、p−置換ベンジルアルコール、o−置換ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。上記の(b)成分は1種または2種以上を混合して用いられ、ポリマー分子の末端にエステル結合して得られるポリエステルの負帯電量を増加させ、この樹脂を体積平均粒径5〜15μmの微粒子にした場合の負帯電量を5μC/g以上にする効果があり、全ジカルボン酸成分に対して0.1モル%以上1.2モル%以下の範囲で用いることが好ましく、さらに好ましくは0.15モル%以上1モル以下の範囲である。これは、(b)成分が0.1モル%未満では十分な帯電量が得られないためであり、1.2モル%を超えると軟化温度が90℃以上である樹脂を得ることが困難となるためである。
【0014】
また、この(b)成分は、樹脂の軟化温度の度合いにより適正な範囲で使用することが好ましく、軟化温度x(℃)と全ジカルボン酸に対する一塩基カルボン酸成分および/または一価アルコール成分の総量y(モル%)が下記式(I)を満たすような範囲で含有させることが好ましい。
【0015】
131.3×(0.948) <y<97.0×(0.948) (I)
【0016】
これは、上記式(I)において、総量yが131.3×(0.948) より小さい場合には、ポリマー末端に対する(b)成分の導入量が少なくなるために高い帯電量が得られず、また、総量yが97.0×(0.948) より大きくなる場合には、得られる樹脂のTgが低くなり、トナーの耐ブロッキング性が悪くなるためである。
【0017】
また、本発明において用いられる脂肪族ジオール(c)としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどが挙げられ、1種または2種以上併用して使用される。これらの中でも定着性の点からエチレングリコール、ネオペンチルグリコールが好ましい。特にエチレングリコールは反応性を高めることができる。脂肪族ジオールは、全酸成分に対し20モル%以上100モル%以下、好ましくは30モル%以上80モル%以下の範囲で含有される。
【0018】
また、本発明において用いられるその他のジオール(d)としては、上記の脂肪族ジオール(c)以外のジオールであり、具体例としては、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(5.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルグリコール等が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を混合して使用される。
【0019】
上記(d)成分の中でも、芳香族ジオールは、樹脂のTgを上げる効果があり、特にポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよびポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの使用が好ましい。
【0020】
一方(d)成分として使用されるポリエーテルグリコールは、樹脂のTgを下げ定着性を良くする効果がある。このため芳香族ジオールとポリエーテルグリコールは、樹脂のTgを調整するためには使用されるが、高温で熱分解をおこし易いため、高い反応温度を必要とする芳香族ジカルボン酸との併用には、その量が限られる。その含有量は、全ジカルボン酸成分に対して80モル%以下であることが好ましく、より好ましくは70モル%以下である。
【0021】
また、本発明においては、ポリエステル樹脂の特性を損なわない限り、全酸成分に対し、10モル%以下の範囲で、上記以外のモノマーを使用してもよい。
【0022】
以上の構成からなる本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、Tgが45〜70℃、好ましくは50〜70℃、軟化温度が90〜130℃、好ましくは95〜120℃、重量平均分子量Mwが3,000〜30,000、好ましくは4,000〜16,000、数平均分子量Mnが1,500〜14,000、好ましくは2,000〜8,000、体積平均粒径5〜15μmの微粒子において、負帯電量が5μC/g以上、好ましくは7μC/g以上、さらに好ましくは10μC/g以上であることが必要である。
【0023】
これは、
(1)Tgが45℃未満では、耐ブロッキング性が悪く、一方、Tgが70℃を超えると耐ブロッキング性が良好となるが、定着性能が著しく低下する。
(2)軟化温度が90℃未満では、定着性は向上するが、樹脂の凝集力が低下し、一方、軟化温度が130℃を超えると溶融流動性および低温定着性が低下する。
(3)重量平均分子量Mwが3,000未満および数平均分子量Mnが1,500未満では、Tgが著しく低下して耐ブロッキング性が悪くなり、一方、重量平均分子量Mwが30,000を超え、および数平均分子量Mnが14,000を超えると溶融流動性および低温定着性が低下する。
(4)体積平均粒径5〜15μmの微粒子において、負帯電量が5μC/g未満では、安定した帯電量が得られない。
等の理由によるためである。
【0024】
本発明のトナー用ポリエステル樹脂の製造においては、上記の重合成分(a)〜(d)、および必要に応じて使用される他の重合成分を反応釜に仕込み、加熱昇温して、エステル化反応、またはエステル交換反応を行う。この時、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸マグネシウム、酢酸マンガンなどの通常のエステル化反応またはエステル交換反応で使用されるエステル化触媒またはエステル交換触媒を使用することができる。次いで、常法に従って、該反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重縮合反応を実施するが、このとき150mmHg以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら重合を行う。
【0025】
また、重合に際しては公知の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマンニウム等を用いることができる。また、重合温度、触媒量については特に限定されるものではなく、必要に応じて任意に設定すれば良い。
【0026】
本発明のトナー用ポリエステル樹脂においては、必要によりシリカなどの無機粉末を加えて耐ブロッキング性を改良することができる。このシリカ粉末の添加は樹脂のTgが低い場合、その効果は特に顕著である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例および比較例における性能評価は以下の方法を用いて行った。
【0028】
(1)Tg(ガラス転移温度)(℃)
(株)島津製作所製、示差走査熱量計を用い、昇温5℃/分で測定した時のTg近傍の吸熱曲線の接線と、ベースラインとの接点をTgとした。
【0029】
(2)軟化温度(℃)
(株)島津製作所製、フローテスター(CFT−500)を用いて、ノズル1.0mmφ×10mmL、荷重30kgf、昇温3℃/分、サンプル量1.0gの条件下でサンプルが半分流出した時の温度を軟化温度(℃)とした。
【0030】
(3)組成分析
樹脂をヒドラジンで加水分解し、液体クロマトグラフィーで定量した。
【0031】
(4)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn
東ソー(株)製、GPC HCL−8200により測定した。
【0032】
(5)体積平均粒径、帯電量
ホソカワミクロン(株)製、イースパートアナライザーにより測定した。
【0033】
(6)溶融流動性
厚さ0.15mmの塩化ビニル樹脂製シート上に樹脂粉末を均一にふりかけ(10cm×10cmの面積当たり250mgの量)、それをシリコンオイル(信越化学工業(株)製、KF96−30)を塗布し160℃の温度に設定した定着ローラーに、300mm/分のスピードで通して樹脂粉末層を溶融させた。次いで、そのシートをプロジェクターでスクリーンに投影し、光の透過度を測定して溶融流動性の評価を行った。
【0034】
上記の方法において、樹脂の溶融流動性が良好であれば、樹脂はシート上に均一に広がり、樹脂層は容易に光を透過することができるが、樹脂の溶融流動性が悪い場合には、シート上の樹脂層表面が平滑でないため、透過光を散乱し影が生じる。本発明においては、下記の評価基準において、AおよびBを溶融流動性が良好であるとした。
A:光が容易に透過する。
B:少し光の散乱が起こる。
C:光が散乱し影ができる。
【0035】
(7)耐ブロッキング性
50mlのガラス製サンプル瓶中に溶融流動性の評価を行う場合と同じ樹脂粉末5gを入れ、40℃の恒温槽中に24時間放置した後、室温まで冷却し樹脂粉末の凝集度を観察した。その凝集の度合いは、次のような方法によって評価した。
なお、本発明においては、凝集度AおよびBを耐ブロッキング性が良好であるとした。
A:サンプル瓶を逆さにしただけで樹脂粉末が落ちる。
B:サンプル瓶を逆さにし、軽く振っただけで樹脂粉末が落ちる。
C:サンプル瓶を逆さにし、軽くたたくと樹脂粉末が落ちる。
D:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えてやると樹脂粉末が落ちる。
E:サンプル瓶を逆さにし、強い振動を与えても樹脂粉末は落ちない。
【0036】
[実施例1]
テレフタル酸50モル%、イソフタル酸50モル%、エチレングリコール95モル%、ポリオキシエチレン−(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ジオールB)20モル%、安息香酸0.3モル%を蒸留塔を備えた反応容器に投入した。さらに、触媒である三酸化アンチモンを全ジカルボン酸成分に対して0.06重量部添加し、内温を260℃、撹拌回転数200rpmに保ち、常圧下で6時間エステル化反応させた。その後反応系内を30分かけて1.0mmHgまで減圧し、内温220℃に保ち、エチレングリコールを留出せしめながら縮合反応を4時間行い、淡黄色透明の樹脂R−1を得た。得られた樹脂R−1の組成分析結果および樹脂物性値を表1に示す。
【0037】
次いで、その得られた樹脂R−1を粗粉砕した後、ジェットミル(日本ニューマチック(株)製)を用いて15μm以下まで粉砕した。その後、風力分級機(日本ニューマチック(株)製)を用いて、分級した。その樹脂粉末を用いて溶融流動性および耐ブロッキング性の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0038】
次に、上記の樹脂粉末5gに対してフェライトキャリヤ(粒径60μm)95gを混合し、30分撹拌した後、イースパートアナライザー(ホソカワミクロン(株)製)で体積平均粒径および帯電量を測定した。結果を表1に示す。
樹脂R−1は、溶融流動性、耐ブロッキング性および負帯電量が良好であった。
【0039】
[実施例2〜4]
重合仕込み組成を表1のようにする以外は、実施例1と同様の操作を行い、樹脂R−2〜R−4を得た。樹脂R−2〜R−4の組成分析結果および樹脂物性値を表1に示す。
【0040】
次に、上記の樹脂R−2〜R−4を用い、実施例1と同様な操作を行って、その性能を評価した。溶融流動性、耐ブロッキング性および負帯電性についての試験結果を表1に示す。
樹脂R−2〜R−4は、溶融流動性、耐ブロッキング性および負帯電量が良好であった。
【0041】
【表1】
Figure 0003605470
【0042】
[比較例1〜4]
重合仕込み組成を表2のようにする以外は、実施例1と同様な操作を行い、樹脂R−5〜R−8を得た。樹脂R−5〜R−8の組成分析結果および樹脂物性値を表2に示す。
次に、上記の樹脂R−5〜R−8を用い、実施例1と同様な操作を行って、その性能を評価した。溶融流動性、耐ブロッキング性および負帯電性についての試験結果を表2に示す。
【0043】
樹脂R−5は、一塩基カルボン酸成分量が少なく、軟化温度が高いために、溶融流動性が悪く、負帯電量が低かった。樹脂R−6は、脂肪族ジオール成分量が少なく、一塩基カルボン酸成分量が過剰で、軟化温度が低すぎるために、耐ブロッキング性が悪く、負帯電量も十分でなかった。樹脂R−7は、一価アルコール成分量が少ないために、十分な負帯電量が得られなかった。樹脂R−8は、一塩基カルボン酸成分量が過剰なために、耐ブロッキング性が悪かった。
【0044】
【表2】
Figure 0003605470
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、一塩基カルボン酸成分および/または一価アルコール成分をポリマーに導入することによって、耐ブロッキング性、溶融流動性および帯電性能に優れており、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において静電荷像または磁気潜像に用いる乾式トナー用樹脂として有用である。
特に、本発明のトナー用ポリエステル樹脂は、高い溶融流動性が要求されるフルカラー用、低温定着性が要求される高速複写機および高速プリンター用のトナー樹脂として有用である。

Claims (2)

  1. (a)テレフタル酸および/またはイソフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分、(b)全ジカルボン酸成分に対して0.1モル%以上1.2モル%以下の一塩基カルボン酸成分および/または一価アルコール成分の少なくとも1種、(c)全酸成分に対して20モル%以上100モル%以下の脂肪族ジオール成分、および(d)その他のジオール成分とより構成され、ガラス転移温度が45℃以上70℃以下、軟化温度が90℃以上130℃以下、重量平均分子量Mwが3,000以上30,000以下、数平均分子量Mnが1,500以上14,000以下、体積平均粒径5〜15μmの微粒子にした場合の負帯電量が5μC/g以上であることを特徴とするトナー用ポリエステル樹脂。
  2. 軟化温度x(℃)と全ジカルボン酸成分に対する一塩基カルボン酸成分および/または一価アルコール成分の総量y(モル%)が下記式(I)を満たすものであることを特徴とする請求項1記載のトナー用ポリエステル樹脂。
    131.3×(0.948) <y<97.0×(0.948) (I)
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