JP3603004B2 - クランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等に用いられるクランクシャフトのピン部を高周波焼入等を行なう際に高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等に用いられるクランクシャフト1を示すものである。この種のクランクシャフト1は、図に示すように、鍛造加工により例えば各4つのピン部12,14,16,18及びジャーナル部11,13,15,17,19をウエイト部22を介して一体に成形して成るものである。なお、クランクシャフト1のピン部12,14,16,18はクランクシャフト1の回転中心軸(ジャーナル部11,13,15,17,19の軸線)から偏倚した位置に設けられており、ピン部12及び18とピン部14及び16とは位相が180゜ずれた位置に配置されているが、これらの形状はそれぞれ同一に構成されている。
【0003】
従来より、クランクシャフト1のピン部12,14,16,18には高周波焼入処理が施され、これによりピン部12,14,16,18の表面(外周面等)に焼入硬化層を形成するようにしている。なお、ピン部12,14,16,18の高周波焼入処理に当たっては、クランクシャフト1を回転中心軸X(ジャーナル部11,13,15,17,19の軸線)を中心に回転させながらピン部12,14,16,18の上に半開放鞍型の高周波誘導加熱コイルを僅かな間隔をもって載置し、この高周波誘導加熱コイルをピン部12,14,16,18の回転(ジャーナル部の周囲を回る公転)に追従させながら高周波誘導加熱し、しかる後に冷却を行なうことにより高周波焼入を施行している。
【0004】
図8は、本発明に係るクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置Sを備えた高周波焼入装置2を示すものである。この高周波焼入装置2は、図8に示すように、黄銅製の一対の側板(保持板)3と、この側板3に取付けられた半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル4と、この高周波誘導加熱コイル4にリード5を介して電力を供給する高周波電源6と、側板3の下端に取付られて高周波誘導加熱コイルの下方位置に配置された焼入冷却用の一対の冷却液噴射環7a,7bと、高周波電源6とリード5とを接続するための一対の接続端子8a,8bと、接続端子8a,8b及びリード5を保持するために側板3の上端に取付けられた絶縁性材料から成るブロック9と、ワーク(例えば、ピン部14)と高周波誘導加熱コイル4との間の間隔を一定(僅かな間隔)に保つための部材であってかつ前記一対の側板3に取付けられた複数のセラミックス製の接触子(チップ部材)10とをそれぞれ具備している。
【0005】
なお、側板3、高周波誘導加熱コイル4、冷却液噴射環7a,7b、接続端子8a,8b及びブロック9を互いに一体に組付けて成るアッセンブリ100が図外の支持機構によって垂下状態で保持されている。そして、クランクシャフト1がその回転中心軸Xを中心に回転されるのに伴い、後述の図9及び図10に示すワーク追従機構30により、高周波誘導加熱コイル4がピン部(以下においてピン部14を例にとって記載する)の上に載置された状態を維持したまま、前記アッセンブリ100がピン部14に追従して移動し得るように構成されている。なお、この際、ピン部14の上半分部分の周面には例えば3本のセラミック製の接触子10が当接され、これにより高周波誘導加熱コイル4の半円状凹部4aとピン部14の周面とが僅かな所定間隔を隔ててピン部14上に載置された状態でこのピン部14が高周波誘導加熱コイル4にて高周波誘導加熱されるようになっている。
【0006】
上述の一対の冷却液噴射環7a,7bは、図8に示すように、高周波誘導加熱コイル4の下方の所定の位置において既述の側板3に固定されている。そして、この冷却液噴射環7a,7bの内周壁には多数の冷却液噴射孔20が所要の上向き噴射角度β(図8参照)をもって形成されると共に、その外周壁には冷却液導入管21a,21bがそれぞれ接続されている。しかして、図外の冷却液供給部から冷却液導入管21a,21bを介して冷却液噴射環7a,7bから所要圧力、所要流量の冷却液が高周波誘導加熱後のピン部14の表面に上向き噴射角度βをもって噴射され、これによりピン部14の表面が冷却されるように構成されている。
【0007】
一方、高周波誘導加熱装置Sは、既述の高周波誘導加熱コイル4を主要構成部品として具備しており、この高周波誘導加熱コイル4は、図9及び図10に示すような追従機構30によって被加熱体(例えば、回転駆動されているクランクシャフト1のピン部14)の回動動作に追従して移動されるようになっている。従来の追従機構30は、図9及び図10に示すように、端部が固定されて水平状に配設された上部水平部材31と、所要間隔を隔てた上部水平部材31の2箇所にベアリング32a、32bをそれぞれ介して揺動可能に取付けられた2本の垂直部材33a,33bと、これらの垂直部材33a,33bの下端部にベアリング34a,34bをそれぞれ介して水平状に揺動可能に取付けられた基台35とから構成されており、全体としては平行四辺形をなすリンク機構の構造となっている。そして、前記基台35上に高周波変成器36が載置固定され、この高周波変成器36の下端に既述の高周波誘導加熱コイル4が接続固定されている。
【0008】
かくして、ピン部14を高周波誘導加熱する際、半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル4がセラミックス製の接触子10を介してピン部14上に載置され、クランクシャフト1の回転中心軸Xを中心として回転駆動されるのに伴いピン部14が前記回転中心軸Xの周りを公転すると、この公転に応じて前記追従機構30が作動して高周波誘導加熱コイル4がピン部14の上部に載置された状態のまま追従移動せしめられるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の如き従来の高周波誘導加熱装置Sでは、次のような問題点がある。すなわち、高周波誘導加熱コイル4をピン部14に追従させてこのピン部14を高周波誘導加熱する時には、セラミックス製の複数の接触子10(例えば、ピン部14の上方向に対応する箇所に一対、左右水平方向に対応する箇所にそれぞれ二対づつの合計6個の、前記一対の側板3に取付固定された接触子10)を介してピン部14に高周波変成器36及び高周波誘導加熱コイル4による実荷重及びピン部14の上下方向の加速度による実荷重の変動分とが合成された荷重が加わり、自転しているピン部14の表面(周面α)とこのピン部14の表面に摺接する接触子10との間に摩擦を生じる。そのため、ピン部14の温度が上昇するにつれて、複数の接触子10に摺接しているピン部14の表面がこれらの接触子10により削り取られ、高周波焼入後のピン部14の表面に可成りの深さの傷が残ることとなる。そこで、現状では、高周波焼入後の研磨工程で傷が消えるまで研磨処理を行っているが、その研磨処理に長い時間を要し、研磨代が高くなるという不具合がある。さらに、回転追従時に接触子10にかかる負荷により、接触子10の寿命が短くひいては装置全体としての耐久性が低いという問題点がある。
【0010】
また、高周波誘導加熱コイル4は、ピン部14の上半分部分を跨ぐような形状の半開放鞍型コイルであるため、高周波誘導加熱中におけるピン部14の全表面(全周面)については、高周波誘導加熱コイル4に対向する表面部分と、高周波誘導加熱コイル4に対向しない表面部分とが存在する。従って、ピン部14の回転速度(クランクシャフト1に回転中心軸Xを中心とする回転速度、ひいてはピン部14の中心軸Yを中心とする自転の速度)が遅くなると、高周波誘導加熱コイル4に対向していないピン部14の下半分部分が長い期間にわたって空冷される状態となって高周波誘導加熱の速度が遅くなり、ひいては熱容量の異なるピン部上死点側とピン部下死点側とでは加熱深さが異なってくる。具体的には、図11に示すように、熱容量が相対的に小さいピン部上死点側の表面部分の加熱深さaが相対的に深くなり、熱容量が相対的に大きいピン部下死点側の表面部分の加熱深bさが相対的に浅くなる(a>b)。こうした加熱現象は、被加熱体であるピン部14の回転速度(単位時間当たりの回転数)を上げて加熱速度を速くすることにより、大幅に改善される。
【0011】
しかしながら、図8及び図9に示すような従来の高周波誘導加熱装置Sでは、クランクシャフト1乃至ピン部14の回転速度を大幅に上げることは、困難である。それは、次の理由からである。従来のような構成の追従機構30を有する高周波誘導加熱装置Sでは、高周波変成器36及び高周波誘導加熱コイル4による荷重の大きさにもよるが、ピン部14に対する上下方向び水平方向への高周波誘導加熱コイル4の追従動作は、ピン部14の回転速度が或る限度を越えた速度になると不可能となる。すなわち、ピン部14の回転に追従できず、遅れを生ずることとなる。現状の設備では、60rpmの回転速度が限界である。そのため、現状では、30〜50rpmの回転速度で高周誘導加熱及び冷却液の噴射(焼入処理)を行っているが、この程度の回転速度では、上述した如くピン部上死点側とピン部下死点側とでは、加熱深さに大きな差を生ずる。この様な現象を解決するために、ピン部14の上死点側と下死点側とにそれぞれ投入する電力を変化させることにより加熱深さのバランスをとることが提案されている。具体的には、ピン部上死点側よりもピン部下死点側に投入する電力を大きく設定して加熱深さの均一化を図ることが提案されている。
【0012】
また、高周波誘導加熱後の冷却工程において、図8に示すように高周波誘導加熱コイル4の下方に配設された一対の噴射冷却環7a,7bから所要圧力、所要流量の冷却液をピン部14の加熱表面に向かって噴射させて焼入を行なうようにしているが、上述したピン部14の加熱深さと回転速度との関係と同様に、回転速度が遅いとピン部上死点側とピン部下死点側とでは冷却速度が異なる。すなわち、熱容量が相対的に小さいピン部上死点側は熱容量が相対的に大きいピン部下死点側より速く冷却され、従ってマルテンサイト変態開始が早くなる。この様なマルテンサイト変態開始時点の差は、焼割れや変形を誘起することとなる。
【0013】
以上述べたように、クランクシャフトのピン部の如くピン部の表面(円筒面)の各所における熱容量が異なるワーク(被加熱体若しくは被焼入体)をより均一に加熱して冷却することにより既述の如き問題点を解消するためには、ワークの回転速度が速い方がより有効である。
【0014】
本発明は、このような知見を基礎としてなされたものであって、その目的は、クランクシャフトのピン部と高周波誘導加熱コイルとの間に接触子を介在させないで、ピン部の表面に傷を発生させることなく、ピン部の回転速度(単位時間当たりの回転数)を上げることができ、より均一な高周波誘導加熱若しくは焼入冷却をし得て焼割れの発生のない、また焼入歪(変形)の小さな焼入処理を行なうことができ、さらに、耐久性の高いクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置及び高周波焼入装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、クランクシャフトの回転中心軸から偏倚した位置に設けられる前記クランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱する装置において、
(a) 被加熱体であるクランクシャフトを保持した状態の下でその回転中心軸を中心に回転駆動するクランクシャフト回転駆動機構と、
(b) 前記クランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイルと、
(c) 前記クランクシャフト回転駆動機構に同期して連動され、これにより、前記クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動される前記クランクシャフトのピン部とは別個独立に、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部に追従させる高周波誘導加熱コイル追従機構と、
をそれぞれ具備し、
前記クランクシャフト回転駆動機構にて前記クランクシャフトがその回転中心軸を中心に回転駆動されるのに伴って前記クランクシャフトのピン部が前記クランクシャフトの回転中心軸を中心に回動されるときに、前記クランクシャフト回転駆動機構と前記高周波誘導加熱コイル追従機構とを同期連動させることにより、前記クランクシャフトのピン部に対して前記高周波誘導加熱コイルを所定間隔を隔てた非接触状態の下で、前記ピン部と前記高周波誘導加熱コイルとの間に接触子を介在させることなく、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部に追従移動させながら、前記ピン部を高周波誘導加熱するように構成している。
また、本発明では、前記クランクシャフトのピン部の回動位置と、前記高周波誘導加熱コイルの移動位置とをクラッチ機構を介して同期連動させるようにしている。
また、本発明では、前記ピン部の加熱開始前及び加熱終了後に前記高周波誘導加熱コイルを上下方向に移動させ得るように、前記クランク機構を上下方向に移動させるためのクランク機構昇降装置を設けるようにしている。
また、本発明では、前記高周波誘導加熱コイルが下端に固着された高周波変成器を前記クランク機構のクランクピンにベアリングを介して取付けると共に、前記高周波変成器を上下及び左右方向にガイドするためのガイド機構を前記高周波変成器に付設し、前記高周波変成器を前記クランクピンに連動させて前記ガイド機構にて上下及び左右方向にガイドすることにより、前記高周波誘導加熱コイルを前記クランクシャフトのピン部に追従させるように構成している。
また、本発明では、前記高周波誘導加熱コイル追従機構を、前記クランクシャフト回転駆動機構の駆動源又はこれとは別の駆動源にて回転駆動される回転駆動板と、前記クランクシャフトの回転中心軸と前記ピン部の中心軸との間の距離に等しい距離だけ前記回転駆動板の回転中心から偏倚した箇所に取付けられたピン軸と、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン軸に垂下状態で支持する支持部材とで構成している。
また、本発明では、前記高周波誘導加熱コイルとして、前記クランクシャフトのピン部の上半分部分にほぼ対応する形状の半開放鞍型コイルを用いるようにしている。
また、本発明では、上述の高周波誘導加熱装置と、前記高周波誘導加熱装置の高周波誘導加熱コイルにより高周波誘導加熱された前記クランクシャフトのピン部に焼入冷却液を噴射する冷却液噴射環とをそれぞれ備え、前記クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動された前記クランクシャフトのピン部に前記冷却液噴射環から焼入冷却液を噴射することにより焼入冷却を行なうようにしている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。なお、図1〜図6において、図7〜図11と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下においては、クランクシャフト1のピン部14を例にとってピン部の高周波誘導加熱及び焼入処理を行なう場合について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係るクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置50を示すものである。図1に示すように、高周波誘導加熱装置50は、被加熱体であるクランクシャフト1を保持した状態の下でその回転中心軸Xを中心に回転駆動するクランクシャフト回転駆動機構51と、クランクシャフト1のピン部14を高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイル4と、クランクシャフト回転駆動機構51により回転駆動されるクランクシャフト1のピン部14とは別個独立に高周波誘導加熱コイル4を移動させて前記ピン部14に追従させる高周波誘導加熱コイル追従機構52とをそれぞれ具備している。なお、上述の高周波誘導加熱コイル4は、クランクシャフト1のピン部14の上半分部分にほぼ対応する形状の半開放鞍型コイルである(図8参照)。
【0018】
本実施形態においては、半開放鞍型の高周波誘導加熱コイル4は高周波変成器36の下端に固定状態で取付けられており、この高周波変成器36はガイド機構61を介して上下及び左右方向にそれぞれ移動可能に支持されている。さらに具体的に述べると、図1に示すように、端部が固定されて水平状に配設された上部水平部材71と、所要間隔を隔てた上部水平部材71の2箇所にベアリング72a、72bをそれぞれ介して垂下状態で揺動可能に取付けられた2つの垂直部材73a,73bと、これらの垂直部材73a,73bに上下方向に摺動可能にそれぞれ嵌合された2つの垂直摺動部材74a,74bと、これらの垂直摺動部材74a,74bの下端部にベアリング75a,75bをそれぞれ介して水平状に揺動可能に取付けられた2つの水平摺動部材76a,76bとから構成されたガイド機構61が設けられており、高周波変成器36の下部の両側に固着された左右一対の摺動板77a,77bがガイド機構61の水平摺動部材76a,76bに摺動可能な状態で嵌合保持されている。かくして、ガイド機構61、摺動板77a,77b及び高周波変成器36とにより、全体として平行四辺形をなすリンク機構が構成されている。そして、上述の高周波変成器36の下端に高周波誘導加熱コイル4が取付けられ、従ってこの高周波誘導加熱コイル4は高周波変成器36及びガイド機構61を介して上部水平部材71に支持されている。
【0019】
また、高周波変成器36ひいては高周波誘導加熱コイル4は、上述の高周波誘導加熱コイル追従機構52にてクランクシャフト1のピン部14の回動に同期連動してこのピン部14に追従するように構成されている。すなわち、高周波誘導加熱コイル追従機構52は、クランクシャフト1の回転中心軸Xとクランクシャフト1のピン部14の中心軸Yとの間の距離L1 (図3及び図7参照)に等しい偏倚距離L2 (クランク軸53の軸線からの偏倚距離)(図3に示す如く、L1 =L2 )を有するクランクピン54を備えたクランク機構55と、このクランク機構55のクランクピン54とクランクシャフト回転駆動機構51とを互いに連動させるための連動機構56とから成り、高周波変成器36の上端部がクランク機構55のクランクピン54にベアリング57及び連結部材58を介して取付けられている。そして、クランク機構55のクランク軸53は、前記連動機構56により、被加熱体であるクランクシャフト1の回転駆動に同期して連動されるように構成されている(図1及び図3参照)。かくして、高周波変成器36をクランクピン54に連動させてガイド機構61にて上下及び左右方向にガイドすることにより、高周波誘導加熱コイル4がクランクシャフト1のピン部14に追従移動されるように構成されている。
【0020】
上述の高周波誘導加熱装置50は、図8に示すような型式の高周波焼入装置2に加熱手段として備えられている。そして、この高周波焼入装置2には上下昇降機構(図示せず)が設けられており、この上下昇降機構により、高周波誘導加熱の開始時に上部の所定の位置にある高周波誘導加熱装置50が下降されて高周波誘導加熱コイル4がクランクシャフト1のピン部14との間に所要の間隙を保った位置(ピン部14の上半分部分に対して僅かな所要間隔を隔てて対向配置される位置)に停止されると共に、加熱終了時(若しくは、焼入終了時)に高周波誘導加熱装置50が上昇されて所定の待機位置で停止されるようになっている。また、前記ピン部14の加熱開始前及び加熱終了後に高周波誘導加熱コイル4を上下方向に移動させ得るように、クランク機構を上下方向に移動させるためのクランク機構昇降装置が設けられている。
【0021】
また、高周波誘導加熱装置50には、クランクシャフト1のピン部14の回動位置と、高周波誘導加熱コイル4の移動位置とを同期連動させるためのクラッチ機構(図示せず)が設けられている。なお、このクラッチ機構は、ピン部14と高周波誘導加熱コイル4との同期連動を停止するのに使用されるようになっている。
【0022】
かくして、クランクシャフト回転駆動機構50にてクランクシャフト1がその回転中心軸Xを中心に回転駆動されるのに応じて、クランクシャフト1の回転中心軸Xを中心に回動されるクランクシャフト1のピン部14に対して高周波誘導加熱コイル4が、ピン部14と高周波誘導加熱コイル4との間に接触子10を介在させることなく、所定間隔を隔てた状態(すなわち、非接触状態)で、前記ピン部14に追従して移動され、この追従移動中に前記ピン部14が高周波誘導加熱コイル4にて高周波誘導加熱されるようになっている。
【0023】
次に、上述のような構成の高周波誘導加熱装置50によりクランクシャフト1のピン部14を高周波誘導加熱して焼入処理する際の操作手順及び作用につき述べると、以下の通りである。
【0024】
(1) まず、クランクシャフト1の回転中心軸Xを水平にして、クランクシャフト回転駆動機構51に配設されているチヤツク及びセンター等により回転可能に保持する。
(2) その後に、クランクシャフト1のピン部14が下死点位置にくるように設定すると共に、上方の所定位置に配置されているクランク機構55のクランクピン54を下死点位置にくるように設定し、クランク機構55を図外のクランク機構昇降装置にて下降移動させてピン部14に対して所定の間隙を隔てて高周波誘導加熱コイル4を対向配置する。
(3) 次いで、クランクシャフト回転駆動機構51及びクランク機構55と連動機構56との連結を断接操作する図外のクラッチ機構をオン状態(接続状態)とし、これによりクランクシャフト1とクランク機構55とが互いに同期して連動し得る状態に設定する。
(4) 次いで、クランクシャフト回転駆動機構51の駆動源をオン状態にすることにより、クランクシャフト1とクランク機構55の同期連動を開始する。これに伴い、高周波誘導加熱コイル4は、ガイド機構61によって上下方向及び左右方向にそれぞれガイドされ、クランクシャフト1の回転中心軸Xを中心とするピン部14の単位時間当たりの回転数と同じ回転数でクランクシャフト1のピン部14に追従するように移動(回動)される。
(5) しかる後に、ピン部14が所定の回動位置(加熱位置)にきた時に所要周波数の高周波電流を高周波誘導加熱コイル4に供給し、これにより前記ピン部14の高周波誘導加熱を開始する。
(6) そして、ピン部14の表面を所要の回転数により所要時間わたり高周波誘導加熱することにより、所要の焼入温度まで加熱する。
(7) 次いで、所要時間にわたり加熱した後、ピン部14の表面が焼入温度に到達した時点で、高周波誘導加熱コイル4ヘの通電を遮断し、高周波誘導加熱を停止する。
(8) その後に、クランクシャフト1の回転駆動を継続させた状態の下で、高周波誘導加熱コイル4の下方に組み込まれた噴射冷却環7a,7bより、所要圧力流量の冷却液をピン部14の表面に噴射し、表面温度が常温に至るまで所要時間にわたって冷却する。
(9) 次いで、ピン部14が下死点に達した時点で噴射冷却を停止すると共に、クランクシャフト1の回転を停止し、一連の焼入処理を完了する。
(10) 次いで、上述のクラッチ機構をオフ(切断状態)にし、高周波誘導加熱装置50を上昇させて所定位置に待機させる。
【0025】
本実施形態の高周波誘導加熱装置50によれば、従来のようにピン部14の上に高周波誘導加熱コイル4を非接触子10を介して載置することなく、被加熱体であるクランクシャフト1のピン部14に対して所定の間隔をもって非接触状態で高周波誘導加熱コイル4を配置し、クランクシャフト回転駆動機構51に連動する高周波誘導加熱コイル追従機構52(連動機構56及びガイド機構61)にて高周波誘導加熱コイル4を前記ピン部14に追従させて高周波誘導加熱を行なうようにしているため、高周波誘導加熱コイル4と前記ピン部14との間隙を確保するために従来用いていた複数のセラミックス製接触子10が不要となり、これらの接触子10が前記ピン部14の表面に摺接することにより従来生じていた傷の発生をなくすことができる。その結果、高周波焼入後の研磨作業を短時間で容易に行なうことができ、研磨代を少なく済ませることが可能となる。
【0026】
また、上述の高周波誘導加熱装置50を備えた高周波焼入装置2によれば、高周波誘導加熱時及び焼入冷却時におけるクランクシャフト1(ひいてはピン部)の単位時間当たりの回転数は、従来の場合と比べて大幅に高い回転数(例えば、従来では30rpmであるのに対して本実施形態では120rpm)での処理が可能となり、従って加熱及び冷却の均一性を確保することができ、その結果、焼割れの発生をなくすことができると共に焼入歪(変形)の少ない焼入処理が可能となる。
【0027】
さらに、従来においては接触子10の損耗或いは破損に起因して装置の耐久性が低いという問題点があるが、本実施形態の高周波誘導加熱装置50にあってはピン部14からの高周波誘導加熱コイル4への負荷がなくなるため、装置全体の耐久性の向上を図ることができる。
【0028】
また、図4及び図5は本発明の第2実施形態に係る高周波誘導加熱装置80を示すものである。この高周波誘導加熱装置80に設けられる高周波誘導加熱コイル追従機構81は、駆動源としてのモータ82と、このモータ82の回転速度を減速する減速機83と、この減速機83にて回転駆動される回転軸84を回転自在に支持するベアリング85と、前記回転軸84の先端に一体に取付けられた回転駆動板86と、クランクシャフト1の回転中心軸Xとピン部14の中心軸Yとの間の距離L1 に等しい距離L3 (L1 =L3 )だけ前記回転駆動板85の回転中心から偏倚した箇所に一体に取付けられたピン軸87と、高周波誘導加熱コイル4が下端に取付けられた高周波変成器36を前記ピン軸87に垂下状態で支持する支持部材88とから構成されている。なお、支持部材88に対してピン軸87及び高周波変成器36の上端部がそれぞれ相対的に回転自在に組付けられている。
【0029】
また、上述の回転軸84は、連動機構89を介してクランクシャフト回転駆動機構51に連結されており、これにより高周波誘導加熱コイル追従機構81とクランクシャフト回転駆動機構51とが互いに同期連動されるように構成されている。そして、図示を省略したが、この同期連動を停止するためのクラッチ機構が設けられている。かくして、上述のクラッチ機構をオン状態にしてモータ82を駆動するのに伴い、回転駆動板85が回転駆動され、回転駆動板85の中心から所定の距離L3 だけ偏倚した箇所に取付けられているピン軸86が前記距離L3 を半径とする回動経路に沿って回動されるようになっている。
【0030】
このような構成の高周波誘導加熱装置80によれば、クランクシャフト回転駆動機構51に連動して高周波誘導加熱コイル4がクランクシャフト1のピン部14に追従して移動(回動)されることとなるため、既述の第1実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
以下に、本発明に係わる具体的な実施例を示す。
実施例
〈1〉 ワーク : 4気筒クランクシャフト
(a) 材質 : S−35C
(b) ピン部寸法 : ピン径 43φ、ピン幅 22mm
〈2〉 ピン部の高周波誘導加熱条件
(a) 電源周波数 : 10kHz
(b) 出力 : 70kW
(c) 加熱時間 : 16Sec
(d) 回転数 : 120rpm
〈3〉 冷却条件
(a) 回転数 : 120rpm
(b) 冷却時間 : 15Sec
(c) 冷却液 : ユーコンクエンチャントA(10.0%)
(d) 液温 : 30℃
(e) 流量 : 80 l/min
【0032】
上記加工条件により、上述の操作手順に従って、ピン部14にフィレットR焼入を施した場合の焼入硬化層パターン及び回転速度の遅い(30rpm)従来の方法による焼入硬化層パターンの比較例を図6に示す。図6において、(A)は従来の高周波誘導加熱装置Sを用いた場合の焼入硬化層パターンを示しており、(B)は本発明に係る高周波誘導加熱装置50又は80を用いた場合の焼入硬化層パターンを示している。なお、図6において、60は冷却油が流通される油孔である。
【0033】
従来の高周波誘導加熱装置Sを用いて焼入処理した場合には、図6(A)に示すように、ピン肩部144が過熱されることに起因して円柱部141の上死点側(ピン部14の周面のうちクランクシャフト1の回転中心軸Xに対して相対的に遠い側)の焼入硬化層Mが、下死点側(ピン部14の周面のうちクランクシャフト1の回転中心軸Xに対して相対的に近い側)の焼入硬化層Nよりも深くなっており、ピン部14の周方向において全体的に不均一な硬化層パターンとなる。これに対し、本発明に係る高周波誘導加熱装置50又は80を用いた場合には、加熱時及び冷却時におけるピン部14の単位時間当たりの回転数(回転速度)を従来の回転数(30rpm)の4倍(120rpm)としたため、図6(B)に示すように、ピン肩部144は従来の場合ほど過熱されず、ピン部14の表面全体の加熱が均熱化され、円柱部141の周面も略均一な焼入硬化層パターンとなる。
【0034】
また、本発明に係る高周波誘導加熱装置50又は80を用いた場合の焼入歪(変形)は、従来の高周波誘導加熱装置Sを用いた場合と比較すると、互いに隣り合うウエイト部22の間の寸法D(図11参照)は、従来の装置を用いた場合には減少する傾向を示したが、本発明の装置を用いた場合には焼入処理前と殆ど変化がなかった。また、円柱部141の変形については、従来装置を用いた場合には矢印Z方向(図11参照)に偏心変形をしたが、本発明の装置を用いた場合には、どちらの方向にも偏心変形は生ずることなくバランスを保っていた。
【0035】
なお、本発明に係る高周波誘導加熱装置50又は80を用いてピン部14の回転数を従来と同様に30rpmに設定して焼入処理を行ったところ、従来の高周波誘導装置Sを用いた場合に得られる焼入硬化層パターンと同じような焼入硬化層パターンとなった。
【0036】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、クランクシャフト回転駆動機構51の駆動源を利用して高周波誘導加熱コイル4を同期連動させてピン部14に追従させるようにしたが、高周波誘導加熱コイル4をクランクシャフト回転駆動機構51とは別個独立の駆動源にて高周波誘導加熱コイル追従機構52を別々に駆動すると共に、高周波誘導加熱コイル4とピン部14との間の同期をとって追従移動させるように構成することも可能である。また、既述の例では、クランクシャフト1の回転数を120rpmとしたが、これに限らず、クランクシャフト1のピン部14の質量の大小や高周波誘導加熱時間の長短などに応じてクランクシャフト1の単位時間あたりの回転数を適宜に変更可能であり、500rpm程度の回転数を充分にに達成可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動されるクランクシャフトのピン部とは別個独立に高周波誘導加熱コイルをピン部に追従させる高周波誘導加熱コイル追従機構を設け、クランクシャフト回転駆動機構と高周波誘導加熱コイル追従機構とを同期連動させることにより、クランクシャフト回転駆動機構にてクランクシャフトがその回転中心軸を中心に回転駆動されるのに伴ってクランクシャフトの回転中心軸を中心に回動されるクランクシャフトのピン部に対して高周波誘導加熱コイルを、ピン部と高周波誘導加熱コイルとの間に接触子を介在させることなく所定間隔を隔てた状態(ピン部の高周波誘導加熱時には高周波誘導加熱コイルを従来のように接触子を介してピン部の上に載置した状態ではなく、高周波誘導加熱コイルをピン部から完全に離した状態すなわち非接触状態)でピン部に追従移動させながら、ピン部を高周波誘導加熱するように構成したものであるから、各所の熱容量が異なるようなピン部表面の加熱温度を均一にするために、高周波誘導加熱時にクランクシャフトを従来の場合に比べて数倍以上の高速で回転させることが可能となる。これにより、過熱のない均一な高周波誘導加熱を行なうことが容易に可能となり、過熱変形を少なく抑えることができる。
【0038】
さらに、高周波誘導加熱コイルをピン部上に僅かな間隙を隔てて載置するためのセラミックス製接触子を用いる必要がなくなるため、この接触子とピン部との摺接に伴ってピン部の表面に傷がつくような不具合の発生を防止でき、従って焼入処理後の研磨に要する労力及び費用が少なくて済み、研磨時間の短縮化が可能となる。しかも、被加熱体であるピン部には高周波誘導加熱コイル等の装置部品が接触することが全くないので、高周波誘導加熱装置(特に、高周波誘導加熱コイル等)の耐久性も大幅に向上させることができる。
【0039】
また、上述の如き高周波誘導加熱装置を用いた本発明の高周波焼入装置によれば、クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動されたクランクシャフトのピン部に冷却液噴射環から焼入冷却液を噴射することにより焼入処理を行なう際のピン部の回動速度が上記のように高速であるため、各所で熱容量が異なるピン部表面の焼入冷却速度を均一にすることができる。すなわち、焼入冷却速度が速くなるのに伴って均一冷却を行なうことができる。その結果、焼割れの発生のない、焼入歪(変形)の少ない高周波焼入が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置を示す構成図である。
【図2】図1におけるP−P線矢視図である。
【図3】クランクシャフトのピン部に高周波誘導加熱コイルを同期連動させるクランク機構を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置を示す構成図である。
【図5】図4のクランク機構の側面図である。
【図6】従来の装置と本発明の装置とによる焼入硬化層パターンの比較をするためのものであって、図6(A)は従来の装置によりピン部の表面に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図、図6(B)は本発明の装置によりピン部の表面に得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【図7】クランクシャフトの外観を示す側面図である。
【図8】従来の高周波誘導加熱装置を備えた従来の高周波焼入装置を概略的に示す正面図である。
【図9】従来の高周波誘導加熱装置の正面図である。
【図10】図9におけるR−R線矢視図である。
【図11】従来の方法により得られる焼入硬化層パターンを示す断面図である。
【符号の説明】
1 クランクシャフト
2 高周波焼入装置
4 高周波誘導加熱コイル
6 高周波電源
7 冷却液噴射環
11,13,15,17,19 ジャーナル部
12,14,16,18 ピン部
22 ウエイト部
36 高周波変成器
50 高周波誘導加熱装置
51 クランクシャフト回転駆動機構
52 高周波誘導加熱コイル追従機構
53 クランク軸
54 クランクピン
55 クランク機構
56 連動機構
61 ガイド機構
71 上部水平部材
72a,72b ベアリング
73a,73b 垂直部材
74a,74b 垂直摺動部材
76a,76b 水平摺動部材
77a,77b 摺動板
75a,75b ベアリング
80 高周波誘導加熱装置
81 高周波誘導加熱コイル追従機構
82 モータ(駆動源)
86 回転駆動板
87 ピン軸
89 連動機構
L1 ,L2 ,L3 距離
Claims (8)
- クランクシャフトの回転中心軸から偏倚した位置に設けられる前記クランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱する装置において、
(a) 被加熱体であるクランクシャフトを保持した状態の下でその回転中心軸を中心に回転駆動するクランクシャフト回転駆動機構と、
(b) 前記クランクシャフトのピン部を高周波誘導加熱するための高周波誘導加熱コイルと、
(c) 前記クランクシャフト回転駆動機構に同期して連動され、これにより、前記クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動される前記クランクシャフトのピン部とは別個独立に、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部に追従させる高周波誘導加熱コイル追従機構と、
をそれぞれ具備し、
前記クランクシャフト回転駆動機構にて前記クランクシャフトがその回転中心軸を中心に回転駆動されるのに伴って前記クランクシャフトのピン部が前記クランクシャフトの回転中心軸を中心に回動されるときに、前記クランクシャフト回転駆動機構と前記高周波誘導加熱コイル追従機構とを同期連動させることにより、前記クランクシャフトのピン部に対して前記高周波誘導加熱コイルを所定間隔を隔てた非接触状態の下で、前記ピン部と前記高周波誘導加熱コイルとの間に接触子を介在させることなく、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン部に追従移動させながら、前記ピン部を高周波誘導加熱するように構成したことを特徴とするクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。 - 前記高周波誘導加熱コイル追従機構は、前記クランクシャフトの回転中心軸と前記ピン部の中心軸との間の距離に等しい偏倚距離を有するクランクピンを備えたクランク機構と、前記クランク機構のクランクピンとクランクシャフト回転駆動機構とを互いに連動させるための連動機構とから成ることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 前記クランクシャフトのピン部の回動位置と、前記高周波誘導加熱コイルの移動位置とをクラッチ機構を介して同期連動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 前記ピン部の加熱開始前及び加熱終了後に前記高周波誘導加熱コイルを上下方向に移動させ得るように、前記クランク機構を上下方向に移動させるためのクランク機構昇降装置を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 前記高周波誘導加熱コイルが下端に固着された高周波変成器を前記クランク機構のクランクピンにベアリングを介して取付けると共に、前記高周波変成器を上下及び左右方向にガイドするためのガイド機構を前記高周波変成器に付設し、前記高周波変成器を前記クランクピンに連動させて前記ガイド機構にて上下及び左右方向にガイドすることにより、前記高周波誘導加熱コイルを前記クランクシャフトのピン部に追従させるように構成したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 前記高周波誘導加熱コイル追従機構は、前記クランクシャフト回転駆動機構の駆動源又はこれとは別の駆動源にて回転駆動される回転駆動板と、前記クランクシャフトの回転中心軸と前記ピン部の中心軸との間の距離に等しい距離だけ前記回転駆動板の回転中心から偏倚した箇所に取付けられたピン軸と、前記高周波誘導加熱コイルを前記ピン軸に垂下状態で支持する支持部材とから成ることを特徴とする請求項1に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 前記高周波誘導加熱コイルは、前記クランクシャフトのピン部の上半分部分にほぼ対応する形状の半開放鞍型コイルであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のクランクシャフトのピン部の高周波誘導加熱装置。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の高周波誘導加熱装置と、前記高周波誘導加熱装置の高周波誘導加熱コイルにより高周波誘導加熱された前記クランクシャフトのピン部に焼入冷却液を噴射する冷却液噴射環とをそれぞれ備え、前記クランクシャフト回転駆動機構にて回転駆動された前記クランクシャフトのピン部に前記冷却液噴射環から焼入冷却液を噴射することにより焼入処理を行なうようにしたことを特徴とするクランクシャフトのピン部高周波焼入装置。
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